JPH11277303A - 旋盤用切削工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 角形の工作物における角部を切削して、該工
作物を丸軸状に加工するに際し、衝撃及び振動の発生を
抑制出来ながら、円滑に切削が行える旋盤用切削工具を
提供する。 【解決手段】 角形の工作物の角部を該工作物の回転に
より刃物で切削して、前記工作物を丸軸状に加工するた
めの旋盤用切削具であって、複数個の刃物を備え、工作
物の切削加工時、前記刃物の少なくとも一つが常に工作
物を切削する状態となるように、前記各刃物を配設し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、旋盤に取り付け、
角形の工作物における角部を切削して丸軸状に加工する
のに用いる切削工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】旋盤により工作物を加工するのに従来で
は、刃物を刃物台にセットすると共に、工作物を主軸の
回し板にチャックを介して固定した後、この工作物を前
記主軸の駆動により回転させながら前記刃物の刃先に当
接させ、該工作物を刃物により順次切削するようにして
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、以上の切削
工具を用いた旋盤により、例えば被切削面がほぼ正方形
である工作物の四隅角部を刃物で切削して丸軸状に加工
する場合には、工作物の回転に伴い、刃物の刃先が工作
物の四隅の角部に断続的に当接することから、換言すれ
ば、刃物が一つめの角部を切削した後、次の角部の切削
を開始するまでの間は非切削状態となることから、四隅
の各角部を切削するに際しては、切削状態と非切削状態
とが繰り返されて、刃物の刃先が工作物の四隅の各角部
に断続的に激しく当接することとなる。

【０００４】そのため、旋盤に対する衝撃及び該衝撃に
伴う振動の発生が大きくなり、刃物として用いる切削用
のチップが破損し易く、旋盤自体の耐久力も低くなると
いう問題がある。本発明は以上の実情に鑑みて開発した
ものであって、目的とするところは、角形の工作物にお
ける角部を切削して、該工作物を丸軸状に成形するに際
し、衝撃及び振動の発生を抑制出来ながら、円滑に切削
が行える旋盤用切削工具を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、請求項１記載の発明は、角形の工作物の角部を該
工作物の回転により刃物で切削して、前記工作物を丸軸
状に加工するための旋盤用切削具であって、複数個の刃
物を備え、工作物の切削加工時、前記刃物の少なくとも
一つが常に工作物を切削する状態となるように、前記各
刃物を配設したのである。

【０００６】また請求項２記載の発明は、一つ刃物の刃
先の高さを、他の刃物の刃先の高さよりも高くしたので
ある。また請求項３記載の発明は、工作物の角部の切削
を複数個の刃物により分担すると共に、工作物の回転に
伴って最初に切削を開始する刃物が、工作物の角部にお
ける径方向外方部を切削するようにしたのである。

【０００７】

【発明の実施の形態】先ず、本発明にかかる切削工具に
より切削加工する工作物１は、正面視ほぼ正方形の直方
体に形成された鋳造物であって、以上の工作物１は、図
６に示すように、その四隅角部１０ａ〜１０ｄを一部切
削することで、所定径の丸軸部１１を突設するように加
工するものである。

【０００８】また図において符号３で示す本発明の切削
工具は、所謂ＮＣ制御の自動旋盤に用いるものであっ
て、この切削工具３は、図１に概略的に示すように、基
本的には旋盤の工具取付け体２にセットしたブラケット
２０に取り外し可能に挿嵌する支持軸部４と、この支持
軸部４の一端部に一体成形されて、後記する第１、第
２、第３刃物６ａ〜６ｃを組付けるためのホルダー部５
とを備えている。

【０００９】前記支持軸部４は円柱状に形成され、また
前記ホルダー部５は、前記支持軸部４の軸端に固着した
扇状の連結壁５１と、この連結壁５１の円弧状外周から
立ち上がる略湾曲状の支持壁５２とにより構成され、支
持壁５２の先端には、第１、第２、第３刃物６ａ〜６ｃ
の組付け溝５３ａ〜５３ｃを設けている。また第１、第
２、第３刃物６ａ〜６ｃは、超硬合金から成る既知構造
のチップを用い、これら第１、第２、第３刃物６ａ〜６
ｃを前記組付け溝５３ａ〜５３ｃ内にスペーサ６０ａ〜
６０ｃを介して組み付けるようにしている。

【００１０】しかして以上の構成から成る切削工具にお
いて、本発明は、工作物１の切削加工時、常に前記第
１、第２、第３刃物６ａ〜６ｃの少なくとも一つが工作
物１の角部１０ａ〜１０ｄの一つを切削している状態と
なるように、前記各刃物６ａ〜６ｃを配設しているので
ある。即ち、図に示す実施形態では、第１刃物６ａの刃
先の高さを、第２、第３刃物６ｂ・６ｃの刃先の高さよ
りも僅かに（例えば０．１ｍｍ）高くして、切削の開始
時点では、先ず第１刃物６ａだけで所定部位（図５にお
ける円弧Ｒ１と円弧Ｒ２との間）を切削して、例えば
０．１ｍｍの深さの切削面が形成された段階から、第
２、第３刃物６ｂ・６ｃにより所定部位の切削を順次開
始するようにしている。

【００１１】また工作物１の回転に伴い、最初に切削を
開始する第１刃物６ａが、工作物１の四隅角部１０ａ〜
１０ｄにおける径方向最外方位置、詳しくは、図５にお
ける円弧Ｒ１と円弧Ｒ２との間を切削し、次に切削を開
始する第２刃物６ｂが、工作物１の四隅角部１０ａ〜１
０ｄにおける径方向中間位置、詳しくは、図５における
円弧Ｒ２と円弧Ｒ３との間を切削し、さらに第３刃物６
ｃが、工作物１の四隅角部１０ａ〜１０ｄにおける径方
向最内方位置詳しくは、図５における円弧Ｒ３と円弧Ｒ
４との間を切削するように、前記各刃物６ａ〜６ｃを支
持壁５２の先端に配設している。

【００１２】そして、図に示す実施形態では、図３にお
いて２点鎖線で示すように、第１刃物６ａが最初の角部
１０ａの切削を終了する前に第２刃物６ｂが最初の角部
１０ａの切削を開始すると共に、図４において１点鎖線
で示すように、第２刃物６ｂが最初の角部１０ａの切削
を行っている段階では、第３刃物６ｃが最初の角部１０
ａの切削を開始し、且つ図３において１点鎖線で示すよ
うに、第３刃物６ｃが最初の角部１０ａの切削を終了す
る前には第１刃物６ａが次の角部１０ｂの切削を開始す
るように、前記各刃物６ａ〜６ｃを配設することで、工
作物１の切削加工時、常に前記第１、第２、第３刃物６
ａ〜６ｃの少なくとも一つが工作物１の角部１０ａ〜１
０ｄの一つを切削する状態となるようにしている。

【００１３】以上の切削工具３は、図１に概略的に示す
ように、旋盤における工具取付け体２のブラケット２０
に支持軸部４を固定すると共に、工作物１を旋盤の主軸
の回し板（図示せず）に固定する。そして前記主軸の駆
動により、工作物１を回転させながら前記第１、第２、
第３刃物６ａ〜６ｃの刃先に順次当接させ、該工作物１
の角部１０ａ〜１０ｄを、各刃物６ａ〜６ｃにより分担
して切削するのである。

【００１４】しかして以上の切削工具３により、工作物
１の四隅角部１０ａ〜１０ｄを切削するに伴い、少なく
ともいずれか一つの刃物６ａ〜６ｃが工作物１の角部１
０ａ〜１０ｄの一つを切削しており、換言すれば、所謂
連続切削状態となり、回転している工作物１側には常に
ロードがかかっている状態となる。そのため従来のよう
に、刃物の刃先が工作物の四隅の角部に断続的に当接し
て切削状態と非切削状態とが繰り返されるような場合に
比較して、衝撃の発生及び該衝撃に伴う振動の発生が格
段に小さく、しかも刃物６ａ〜６ｃとして用いる切削用
のチップの破損も少なくなって、全体として旋盤自体の
耐久力も向上するのである。

【００１５】しかも以上の実施形態では、工作物１の角
部１０ａ〜１０ｄの切削を３つの刃物６ａ〜６ｃにより
分担しているので、各刃物６ａ〜６ｃによる切削が円滑
となって、全体として滑らかな連続切削が行われるので
ある。以上の実施形態では、支持壁５２の先端に、第
１、第２、第３刃物６ａ〜６ｃの合計３個の刃物を設け
たが、これに限定されるものではなく、例えば工作物１
の形状が小さい時には２個の刃物でも良いし、工作物１
の形状が大きい時には４個の刃物を設けるようにしても
よい。

【００１６】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、複数個の
刃物を備え、工作物の切削加工時、前記刃物の少なくと
も一つが常に工作物を切削する状態となるように、前記
各刃物を配設したことにより、切削時における衝撃の発
生及び該衝撃に伴う振動の発生が小さく、しかも刃物の
破損も少なくなって、全体として旋盤自体の耐久力を向
上することが出来る。

【００１７】また請求項２記載の発明によれば、請求項
１記載の切削工具において、一つ刃物の刃先の高さを、
他の刃物の刃先の高さよりも高くしたことにより、請求
項１記載の発明の作用効果に加えて、特に切削開始時に
おける切削作業がスムーズに行える。また請求項３記載
の発明によれば、請求項１または２記載の切削工具にお
いて、工作物の角部の切削を複数個の刃物により分担す
ると共に、工作物の回転に伴って最初に切削を開始する
刃物が、工作物の角部における径方向外方部を切削する
ようにしたことにより、各刃物による切削がより一層円
滑となって、全体として滑らかな連続切削を行うことが
出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】旋盤に取り付けた本発明に係る切削工具の正面
図。

【図２】本発明に係る切削工具の側面図。

【図３】本発明に係る切削工具の正面図。

【図４】本発明に係る切削工具の正面図。

【図５】本発明にかかる切削工具により切削する工作物
の正面図。

【図６】本発明にかかる切削工具により切削された工作
物の斜視図。

【符号の説明】

１ 工作物 １０ａ〜１０ｄ 角部 ３ 切削工具 ６ａ 第１刃物 ６ｂ 第２刃物 ６ｃ 第３刃物

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】角形の工作物の角部を該工作物の回転によ
   り刃物で切削して、前記工作物を丸軸状に加工するため
   の旋盤用切削具であって、複数個の刃物を備え、工作物
   の切削加工時、前記刃物の少なくとも一つが常に工作物
   を切削する状態となるように、前記各刃物を配設してい
   ることを特徴とする旋盤用切削工具。
2. 【請求項２】一つ刃物の刃先の高さを、他の刃物の刃先
   の高さよりも高くしている請求項１記載の旋盤用切削工
   具。
3. 【請求項３】工作物の角部の切削を複数個の刃物により
   分担すると共に、工作物の回転に伴って最初に切削を開
   始する刃物が、工作物の角部における径方向外方部を切
   削するようにしている請求項１または２記載の旋盤装
   置。