JPH11271244A - X線スペクトルによる定量分析方法 - Google Patents

X線スペクトルによる定量分析方法

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JPH11271244A
JPH11271244A JP10079302A JP7930298A JPH11271244A JP H11271244 A JPH11271244 A JP H11271244A JP 10079302 A JP10079302 A JP 10079302A JP 7930298 A JP7930298 A JP 7930298A JP H11271244 A JPH11271244 A JP H11271244A
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ray spectrum
ray
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JP10079302A
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Hideto Furumi
秀人 古味
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X線スペクトルによる定量分析方法におい
て、正確な波形フィッティングによって定量誤差を減少
させる。 【解決手段】 未知試料のX線スペクトルに対して標準
試料のX線スペクトルを波形フィッティングして未知試
料の定量分析を行う定量分析方法において、少なくとも
未知試料のX線スペクトルについて、波長毎にX線吸収
によるX線強度の減衰を補正して補正X線スペクトルを
求め、補正X線スペクトルを用いた波形フィッティング
により元素毎のX線スペクトルを求め、元素毎のX線ス
ペクトルに対して定量補正を行う。これによって、測定
したX線スペクトルをそのまま用いて波形フィッティン
グを行うのではなく、X線スペクトルの自己吸収による
影響を補正した補正X線スペクトルを求め、この補正X
線スペクトルを用いて波形フィッティングを行うことに
よって、X線の自己吸収による影響を除去した正確な定
量分析を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、定量分析方法に関
し、EPMAや蛍光X線分析装置から得られるX線スペ
クトルを波形フィッティングすることによって、各元素
の定量値を求める定量分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】未知試料についてEPMAや蛍光X線分
析装置によってX線スペクトルを求め、このX線スペク
トルを用いて未知試料に含まれる各元素の定量値を求め
ることによって組成を求めることが行われている。
【0003】このX線スペクトルによる定量分析におい
て、未知試料から求められるX線スペクトルは、未知試
料に含まれる各元素の重量濃度に対応したX線強度を加
算した値となっている。一方、各元素のスペクトル波形
のピークは重なる場合がある。そのため、ピークの重な
りがある場合には、未知試料から得られたX線スペクト
ルのピークの重なりを波形分離して、各元素毎のX線強
度を求める必要がある。
【0004】従来、重なったピークを波形分離して未知
試料に含まれる各元素の定量値を求めるには、各元素に
ついて標準試料のX線スペクトルを求めておき、この標
準試料のX線スペクトルの波形と未知試料のX線スペク
トルの波形とを比較する波形フィッティングが行われて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、X線スペクト
ルでは、ピークの波形範囲が広い長波長領域において
は、長波長側ほどX線吸収係数が大きく、また、ピーク
の途中に吸収端が存在するなど、元素毎に波長に対する
X線吸収係数が大きく変動する場合がある。また、この
X線吸収係数は、標準試料と未知試料の間においても大
幅に異なる場合がある。
【0006】従来の定量分析では、波形フィッティング
処理において、標準試料と未知試料のX線吸収係数は測
定波長範囲内で一定あるいは同一の変化特性を有するも
のと仮定し、測定したX線スペクトルをそのまま用いて
波形フィッティングを行っている。
【0007】したがって、測定されたX線スペクトルに
は、元素毎のX線吸収係数の相違や、標準試料と未知試
料のX線吸収係数の相違によって生ずる誤差が含まれて
いる。そのため、従来のX線スペクトルの定量分析で
は、測定されたX線スペクトルをそのまま用いて波形フ
ィッティングを行うため、正確な波形フィッティングは
困難であり、定量誤差が大きくなるという問題がある。
【0008】図10は従来の波形フィッティングを説明
するための図であり、未知試料が元素Iと元素Kを含
み、両元素のX線スペクトルのピークが重なる場合につ
いて、従来の波形フィッティングによる波形分離を示し
ている。図10(a),(b)は元素Iと元素Kについ
ての標準試料のX線スペクトルの波形形状(以下、この
X線スペクトルの波形形状をプロファイルという)を示
している。この元素Iと元素Kのプロファイル1,2
を、図10(c)に示す未知試料のプロファイル3にあ
てはめて波形フィッティングを行う。図10(d),
(e)は、波形フィッティングを行うために、元素Iと
元素Kの各プロファイルの強度比を変更した状態を示し
ており、この変更の度合いを示すフィッティング係数が
定量分析の測定値となる。なお、一点鎖線及び破線は変
更後のプロファイルを示している。
【0009】従来の波形フィッティングでは、X線の自
己吸収の影響を補正していないため、図10(d),
(e)で得られた各元素のプロファイルを用いて、逆に
未知試料のプロファイルを形成すると、図10(f)の
長い破線で示すプロファイルとなり、実線で示す未知試
料のプロファイルとは異なることになる。これは、波形
フィッティングで得られる定量値は、定量誤差を含んで
いることを表している。
【0010】そこで、本発明は前記した従来の問題点を
解決し、正確な波形フィッティングによって定量誤差を
減少させるX線スペクトルによる定量分析方法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のX線スペクトル
による定量分析方法は、測定したX線スペクトルをその
まま用いて波形フィッティングを行うのではなく、X線
スペクトルの自己吸収による影響を補正した補正X線ス
ペクトルを求め、この補正X線スペクトルを用いて波形
フィッティングを行うことによって、X線の自己吸収に
よる影響を除去して、正確な定量分析を行うものであ
る。
【0012】そこで、本発明の定量分析方法では、未知
試料のX線スペクトルに対して標準試料のX線スペクト
ルを波形フィッティングして未知試料の定量分析を行う
定量分析方法において、少なくとも未知試料のX線スペ
クトルについて、波長毎にX線吸収によるX線強度の減
衰を補正して補正X線スペクトルを求め、補正X線スペ
クトルを用いた波形フィッティングにより元素毎のX線
スペクトルを求め、元素毎のX線スペクトルに対して定
量補正を行う。
【0013】X線スペクトルの吸収補正は、波長に対す
るX線吸収係数を元素毎に求め、このX線吸収係数を用
いて、波長毎にX線強度を補正することによって行う。
このX線スペクトルの吸収補正を少なくとも未知試料に
ついて行うことによって、X線スペクトルの自己吸収に
よる影響を補正する。なお、X線スペクトルの吸収補正
を、未知試料のみでなく未知試料及び標準試料について
行うことによってより正確な波形フィッティングを行う
ことができる。
【0014】吸収補正後のX線スペクトルに対して定量
補正を行うことによって、未知試料の重量濃度を求める
ことができ、この重量濃度から未知試料の組成を求める
ことができる。定量補正としては、たとえばZAF補正
計算を適用することができる。ZAF補正計算による定
量補正は、原子番号補正(Z)と吸収補正(A)と蛍光
励起補正(F)の各補正を含んでいる。
【0015】本発明の定量分析方法の一態様は、定量補
正で得られる重量濃度の値が収斂するまで、X線スペク
トルの吸収補正と定量補正を繰り返して行う。これによ
って、より正確な波形フィッティングを行い、正確な定
量分析を行うことができる。なお、重量濃度の値の収斂
判定は、各繰り返し処理で得られる重量濃度の値の差が
所定以下となることによって行うことができる。また、
X線スペクトルの吸収補正は、Philbertの方法やφ(ρ
z)の方法を適用することができる。
【0016】なお、未知試料のX線スペクトルの吸収補
正をPhilbertの方法で行う場合、このPhilbertの方法は
吸収補正(A)を含んでいるため、この吸収補正後に行
う定量補正では、原子番号補正(Z)と蛍光励起補正
(F)の補正を行う。また、未知試料のX線スペクトル
の吸収補正をφ(ρz)の方法で行う場合、このφ(ρ
z)の方法は吸収補正(A)と原子番号補正(Z)とを
含んでいるため、この吸収補正後に行う定量補正では、
蛍光励起補正(F)の補正を行う。
【0017】図1は本発明のX線スペクトルによる定量
分析方法を説明するためのフローチャートである。本発
明の定量分析方法は、未知試料の組成を仮決定する工程
(ステップS1〜ステップS3)と、この仮決定した組
成を元に測定で得られたX線スペクトルのデータを吸収
補正及び定量補正して、より正確な組成を求める工程
(ステップS4〜ステップS8)とにより行うことがで
きる。
【0018】未知試料の組成を仮決定する工程におい
て、測定対象となる元素について、波長に対するX線吸
収係数値をあらかじめ関数として計算しておき、データ
ベースとして作成しておき、以後のステップS4におけ
る吸収補正の処理に用いる。なお、この波長に対するX
線吸収係数値は、吸収端による急峻な変化についても考
慮して作成する(ステップS1)。
【0019】測定で得られた元データであるX線スペク
トルについて、吸収補正を行わずに波形フィッティング
を行ってフィッティング係数を求め(ステップS2)、
求めたフィッティング係数を元に定量補正を行って元素
の重量濃度を求め、未知試料の組成を仮に決定する(ス
テップS3)。
【0020】次に、補正処理の工程において、ステップ
S1で求めたX線吸収係数のデータベースを用いて、少
なくとも未知試料のX線スペクトルについて、各波長に
対して吸収補正処理を行う(ステップS4)。吸収補正
した未知試料のX線スペクトルに対して、複数の標準試
料のX線スペクトルを用いて波形フィッティングを行っ
てフィッティング係数を求め(ステップS5)、求めた
フィッティング係数を元に定量補正を行って元素の重量
濃度を求め、未知試料の組成を修正する(ステップS
6)。吸収補正の前後において未知試料の重量濃度の変
化を求め、この変化が設定値より小さくなった場合に
は、修正が収斂したものとし(ステップS7)、最終的
な重量濃度が求められたものとして未知試料の組成を決
定する(ステップS8)。
【0021】したがって、ステップS1〜ステップS3
によって未知試料の概略組成を求めることができ、ステ
ップS4〜ステップS7によってX線の自己吸収による
影響を除去し、正確な組成を確定することができる。
【0022】本発明によれば、X線スペクトルの波長毎
にX線吸収の補正を行うことによって、全体のX線スペ
クトルについて自己吸収による影響を補正した補正X線
スペクトルを求めることができる、この補正X線スペク
トルを用いて波形フィッティングを行うことによって、
X線の自己吸収による影響を除去して、正確な定量分析
を行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照しながら詳細に説明する。はじめに、前記ステップ
S1で求めるX線吸収係数のデータベースについて説明
する。このデータベースは、測定対象となる元素につい
て、波長に対するX線の質量吸収係数値を関数として求
めて作成するものである。一般に、各元素の特性X線波
長におけるX線の質量吸収係数は、たとえば B.L.Henke
(1966)などの文献に示されている。このX線の質量吸
収係数値を用いて、最小二乗近似によって関数近似を行
う。
【0024】この近似関数は、一般に波長に対して対数
直線で近似することができ、以下の式で表すことができ
る。 μ=aλb …(1) なお、μはX線の質量吸収係数、λはX線波長、a,b
は定数である。式(1)によって、全波長範囲にX線の
質量吸収係数を求めることができる。
【0025】また、X線の質量吸収係数は全波長範囲に
渡って単調関数ではなく吸収端が存在し、この吸収端の
波長位置ではX線の質量吸収係数が急峻に変化する。こ
の変化は、対象となる原子内にある電子軌道のイオン化
エネルギーに対応している。吸収端波長よりわずかにエ
ネルギーの高い(波長の短い)X線は、非常に効率よく
イオン化を行うためX線の質量吸収係数が大きくなる。
電子軌道は、たとえば、K殻軌道の場合には1種類のエ
ネルギー順位を有し、L殻軌道の場合には3種類のエネ
ルギー順位を有し、M殻軌道の場合には5種類のエネル
ギー順位を有する。そこで、吸収端波長におけるX線の
質量吸収係数の変化を、軌道毎に以下のように仮定し
て、X線の質量吸収係数の関数を決定する。
【0026】図2は吸収端を考慮したX線の質量吸収係
数を説明するための図である。図2(a)は吸収端がな
い場合の前記式(1)で表されるX線の質量吸収係数を
示している。図2(b)はK殻に対応する吸収端を有す
る場合のX線の質量吸収係数を示し、吸収端に対して長
波長側と短波長側でそれぞれ対数近似した関数(式
(1))を計算し、吸収端波長でこの2つの関数が瞬時
に変化するとしたものである。図2(c)はL殻に対応
する吸収端を有する場合のX線の質量吸収係数を示し、
K殻の場合と同様に、吸収端に対して長波長側と短波長
側でそれぞれ対数近似した関数(式(1))を計算し、
吸収端波長で関数が瞬時に変化するとしたものであり、
この変化はLI,LII,LIII の3段階に分ける。それ
ぞれの吸収端での変化量は、LI,LIIはそれぞれ1.
17,1.39の固定値とし、LIIIはその残り分を分
配する。
【0027】また、図2(d)はM殻に対応する吸収端
を有する場合のX線の質量吸収係数を示し、K殻、L殻
の場合と同様に、吸収端に対して長波長側と短波長側で
それぞれ対数近似した関数(式(1))を計算し、吸収
端波長で関数が瞬時に変化するとしたものであり、この
変化はMI,MII,MIII ,MIV,MV の5段階に分け
る。それぞれの吸収端での変化量は、MI,MII,MII
I はそれぞれ1.175,1.191,1.157の固
定値とし、MIV,MV はその残り分を等分配する。
【0028】上記のX線の質量吸収係数のデータベース
を形成した後(前記ステップS1に対応)、未知試料の
概略組成を求め(前記ステップS2,3に対応)、吸収
補正を行ってX線の自己吸収による影響を除去した組成
を確定する(前記ステップS4〜ステップS7に対
応)。以下、この手順例を図3のフローチャート及び図
4〜図9を用いて説明する。なお、図3のフローチャー
トにおいて、ステップS11〜ステップS17は前記ス
テップS2に対応し、ステップS18はステップS3に
対応し、ステップS19〜ステップS20は前記ステッ
プS4に対応し、ステップS22は前記ステップS5に
対応し、ステップS23は前記ステップS6に対応し、
ステップS24は前記ステップS7に対応している。ま
た、図4,5はステップS11〜ステップS17に対応
する図であり、図6はステップS19に対応する図であ
り、図7はステップS20に対応する図であり、図8は
ステップS21に対応する図であり、図9はステップS
22に対応する図である。
【0029】なお、以下の例では、未知試料がm種類の
元素で構成され、そのうちのi番目の元素のピークに、
k番目のピークが重なる場合について説明する。なお、
k番目のピークは定量分析を行うピークとは異なるもの
とする。
【0030】ステップS11〜ステップS16は、ステ
ップS17で波形フィッティングを行うための処理であ
り、i番目の元素についてはステップS13〜ステップ
S15の測定で求めたプロファイルを用い、i番目以外
の元素についてはステップS11,12,16の処理に
より行う。
【0031】i番目以外の元素について、i番目以外の
(m−1)種類の標準試料及び未知試料のピーク強度を
測定する。図4(a)は標準試料のピーク強度(IA ,
IB,・・・,IK )を示し、図4(b)は未知試料の
ピーク強度(Ia ,Ib ,・・・,Ik )を示している
(ステップS11,12)。求めた標準試料のピーク強
度(IA ,IB ,・・・,IK )と未知試料のピーク強
度(Ia ,Ib ,・・・,Ik )との比(Ca =Ia/I
A ,Cb =Ib/IB ,・・・,Ck =Ik/IK)を求
め、このX線強度比を1次測定値とする。したがって、
ここでは(m−1)この1次測定値が求められる(図4
(c)参照)(ステップS16)。
【0032】また、i番目の元素について、図4(d)
に示すように、i番目の元素の標準試料のX線スペクト
ルからピークプロファイルを求めてプロファイル1とし
(ステップS13)、i番目の元素のピーク波長におけ
るk番目の元素の標準試料のX線スペクトルからピーク
プロファイルを求めてプロファイル2とし(ステップS
14)、また、図4(e)に示すように、未知試料のi
番目の元素のX線スペクトルからピークプロファイルを
求めてプロファイル3とする(ステップS15)。
【0033】そして、ステップS13〜15で求めた標
準試料のi番目の元素のプロファイル1と標準試料のk
番目の元素のプロファイル2を用いて、未知試料のプロ
ファイル3の波形フィッティングを行う。図5はこの波
形フィッティングの手順を示している。
【0034】図5(f)中のeで示される未知試料のプ
ロファイル3に対して、dの一点鎖線及び破線で示され
る元素i,kの標準試料のプロファイル1,2をあては
めることによって、波形フィッティングを行う。図5
(g)は、波形フィッティングで得られた元素i,kの
プロファイル1,2を示しており、このときのフィッテ
ィング係数Ciがi番目の元素の1次測定値とする(図
5(h)参照)(ステップS17)。
【0035】したがって、前記ステップS16、17に
よって、m種の元素の1次測定値が求まる。このm種の
元素の1次測定値を用いて定量補正を行って重量濃度を
求め、濃度値C1とする。定量補正としては、たとえば
ZAF補正計算を用いることができる(ステップS1
8)。
【0036】次に、標準試料のプロファイル1,2と未
知試料のプロファイル3について吸収補正処理を行い、
吸収補正したプロファイルに基づいて波形フィッティン
グを再度行ってi番目の元素の1次測定値を更新し、補
正した濃度値C2を求める。
【0037】吸収補正はPhilbertの方法やφ(ρz)の
方法を適用することができる。Philbertの方法は、X線
スペクトルのデータを、Iλj (なお、jはデータ数で
あり、λjはデータjにおける波長を示している)とす
ると、吸収補正計算式は、たとえば、 f(χj)=(1+h)/ 〔(1+χj/σ)[1+h(1+χj/σ)]〕 …(2) χj=μjcosecφ …(3) h=1.2A/Z2 …(4) σ=4.5×105/(EO 1.65−EC 1.65) …(5) で表される。なお、μjは波長λjにおける質量吸収係
数(複数元素で構成される試料では重量ので求める平均
値を用いる)、φはX線取り出し角度、Aは平均原子量
(重量濃度から計算される試料における原子量の平均
値)、Zは平均原子番号(重量濃度から計算される試料
における原子番号の平均値)、σはレナード常数、EO
は加速電圧、EC は最小励起電圧である。
【0038】各X線スペクトルのデータ列Iλjに対し
てf(χj)を乗算する計算を行うことによって、吸収
補正したデータ列Iλj’を得ることができる。 Iλj’=f(χj)×Iλj …(6) 上記式において、質量吸収係数μは波長に対する関数と
して、データ列Iλj中のそれぞれの波長に対応するμ
の値を用いて計算を行う。
【0039】ここで、φは装置固有の値、ECは測定す
る特性X線に固有の値、EO,σは分析条件で定まるパ
ラメータであり、データ列Iλj において一定とするこ
とができる。また、A,Zは繰り返しの計算毎に値は変
化するが、1つのデータ列では一定とすることができ
る。また、μj ,A,Zは、標準試料については組成か
ら計算することができ、未知試料については波形フィッ
ティングで得た組成値から計算することができる。
【0040】図6,7は標準試料のプロファイル1,2
の吸収補正を説明する図である。図6(a),7(a)
のプロファイル1,2に対して、図6(b),7(b)
の質量吸収係数を用いて前記式(2)〜(6)の計算を
行うことによって、吸収補正したプロファイル1−2,
2−2を求める(ステップS19,20)。
【0041】また、図8は未知試料のプロファイル3の
吸収補正を説明する図である。図8(a)のプロファイ
ル3に対して、図8(b)の質量吸収係数を用いて前記
式(2)〜(6)の計算を行うことによって、吸収補正
したプロファイル3−2を求める。なお、平均原子量
A、平均原子番号Z、及び質量吸収係数μは、濃度値か
ら求めることができる(ステップS21)。
【0042】次に、前記ステップS19〜ステップS2
1の吸収補正で得た標準試料のプロファイル1−2,プ
ロファイル2−2を未知試料のプロファイル3−2に適
用して波長フィッティングを行う。
【0043】図9は本発明の波形フィッティングを説明
するための図である。図9(a),(b)は元素Iと元
素Kについての標準試料の吸収補正後のプロファイル1
−2,2−2を示している。この元素Iと元素Kのプロ
ファイル1−2,2−2を、図9(c)に示す未知試料
の吸収補正後のプロファイル3−2にあてはめて波形フ
ィッティングを行う。図9(d),(e)は、波形フィ
ッティングを行うために、元素Iと元素Kの各プロファ
イルの強度比を変更した状態を示しており、この変更の
度合いを示すフィッティング係数が定量分析の測定値と
なる。なお、一点鎖線及び破線は変更後のプロファイル
を示している。なお、図9(f) は、波形フィッティング
後のプロファイルを重ね合わせた状態を示すものであ
り、未知試料のプロファイルに近似したプロファイルを
得ることができる。したがって、吸収補正を行うことに
よって、前記図10に示した吸収補正を行わない場合の
波長フィッティングよりもより正確な波形フィッティン
グを行うことができる。この波形フィッティングで得た
フィッティング係数によって、i番目の元素の1次測定
値を更新する(ステップS22)。
【0044】上記で求めた1次測定値を用いて定量補正
を行って濃度値を補正し、濃度値C2とする。未知試料
のX線スペクトルの吸収補正をPhilbertの方法で行う場
合、このPhilbertの方法は吸収補正(A)を含んでいる
ため、この吸収補正後に行う定量補正では、原子番号補
正(Z)と蛍光励起補正(F)の補正を行う(ステップ
S23)。ステップS18で求めた濃度値C1と濃度値
C2の差を求め、前記ステップS18〜ステップS24
を繰り返して、該差から補正処理が収斂したか否かを判
定する。この判定は、たとえば、濃度値C1と濃度値C
2の差が、濃度値C1(C2)から所定の比率以下に低
下したか否かで行うことができる。
【0045】なお、φ(ρz)の方法を用いて吸収補正
を行う場合には、 φ(ρz)=γ0exp(−α2(ρz)2)・(1−q・exp(−βρz)) …(7) の補正式を用いることができる。なお、γ0,α,β,q
は、たとえば、Brown&Packwood,Bastin&Heijliger
s,Pouchou&Pichoir,Merlet などの種々の計算式が提
案されている。
【0046】上記計算式を用いて、各X線波長に対し
て、それぞれ試料中でのX線発生の深さ分布を計算し、
この分布から、ある深さでの試料中でのX線吸収量を以
下の式で計算することができる。
【0047】 φ’(ρz)=φ(ρz)・exp(−χρz) …(8) 全深さで積分して、吸収によって実際に検出されるX線
量と全発生量の比をf(χj)として求めると、 f(χj)=∫φ(ρz)dρz/∫φ(ρz)exp(−χρz)dρz…(9) Philbertの方法に用いた式と同様に計算を行うことがで
きる。
【0048】なお、未知試料のX線スペクトルの吸収補
正をφ(ρz)の方法で行う場合、このφ(ρz)の方
法は吸収補正(A)と原子番号補正(Z)とを含んでい
るため、このφ(ρz)の方法の吸収補正後に行う定量
補正では、蛍光励起補正(F)の補正を行う。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のX線スペ
クトルによる定量分析方法によれば、正確な波形フィッ
ティングによって定量誤差を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線スペクトルによる定量分析方法を
説明するためのフローチャートである。
【図2】吸収端を考慮した質量吸収係数を説明するため
の図である。
【図3】本発明のX線スペクトルによる定量分析方法の
手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明のX線スペクトルによる定量分析方法の
手順を説明するための図である。
【図5】本発明のX線スペクトルによる定量分析方法の
手順を説明するための図である。
【図6】本発明の波形フィッティングを説明するための
標準試料のプロファイルを説明する図である。
【図7】本発明の波形フィッティングを説明するための
標準試料のプロファイルを説明する図である。
【図8】本発明の波形フィッティングを説明するための
未知試料のプロファイルを説明する図である。
【図9】本発明の波形フィッティングを説明するための
図である。
【図10】従来の波形フィッティングを説明するための
図である。
【符号の説明】
λ…波長、I…X線強度、logμ…質量吸収係数。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未知試料のX線スペクトルに対して標準
    試料のX線スペクトルを波形フィッティングして未知試
    料の定量分析を行う定量分析方法において、 少なくとも未知試料のX線スペクトルについて、波長毎
    にX線吸収によるX線強度の減衰を吸収補正して補正X
    線スペクトルを求め、 補正X線スペクトルを用いた波形フィッティングにより
    元素毎のX線スペクトルを求め、 前記元素毎のX線スペクトルに対して定量補正を行う、
    X線スペクトルによる定量分析方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007178445A (ja) * 2007-03-05 2007-07-12 Jeol Ltd 試料分析装置における定量分析方法
JP2010107277A (ja) * 2008-10-29 2010-05-13 Nippon Paper-Pak Co Ltd 有機薄膜の膜厚測定方法
CN106383135A (zh) * 2016-08-18 2017-02-08 广州市怡文环境科技股份有限公司 基于全反射x射线荧光光谱的元素定量分析方法和系统
KR20170114536A (ko) * 2016-04-05 2017-10-16 주식회사 엘지화학 그래파이트 및 소프트 카본 혼합물의 중량비 분석 방법 및 분석 시스템
JP2019020409A (ja) * 2017-07-14 2019-02-07 マルバーン パナリティカル ビー ヴィ フィッティングを使用した複数のx線スペクトラムの分析

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