JPH11269845A - 桟 橋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脚柱に作用する最大曲げモーメントを低減し
て脚柱の負担を軽減するとともに、必要な脚柱径を大幅
に小さくすることである。 【解決手段】 脚柱により床組を支持した桟橋におい
て、前記脚柱４間に斜材としての制震ブレース８を設け
たことである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は床組が鋼管杭等で支
持された桟橋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の桟橋は、図６に示すように、鋼管
杭等の脚柱２１で床組２２を支持する構成のものが多く
構築されている。この桟橋２０は脚柱２１で鉛直荷重を
支えるとともに、地震時の水平外力にも抵抗する構造と
なっている。したがって、地震時には床組２２と脚柱２
１の接合部付近と、海底面から１／βの位置に最大曲げ
モーメントが発生し、この大きさから必要な脚柱径が決
定されている。前記のβは同図に示した式によって算出
される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような桟橋は、
脚柱に作用する最大曲げモーメントによって必要な脚柱
径が決定されているため、該径が大きくならざるを得な
かった。

【０００４】本発明は上記のような問題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、脚柱に作用する最大曲げモ
ーメントを低減して脚柱の負担を軽減するとともに、必
要な脚柱径を大幅に小さくすることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の課題を達成するた
めの手段は、請求項１の発明が、脚柱により床組を支持
した桟橋において、前記脚柱間に斜材としての制震ブレ
ースを設けたことを特徴とする。

【０００６】請求項１の発明によれば、地震時において
制震ブレースが降伏することによって水平力を吸収して
脚柱に作用する曲げモーメントを大幅に低減させる。

【０００７】また請求項２の発明が、請求項１におい
て、前記脚柱は鋼管杭であり、水面から突出した部分に
制震ブレースがボルト止めされたことを特徴とする。

【０００８】請求項２の発明によれば、制震ブレースの
取り付け、および取り替えが簡単にできるとともに、既
存の桟橋にも容易に取り付けられる。

【０００９】また請求項３の発明が、請求項１または２
において、制震ブレースは被覆材で覆われたことを特徴
とする。

【００１０】請求項３の発明によれば、制震ブレースの
圧縮時における座屈を防止して安定した覆歴性状を示
す。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に、本発明における桟橋の実
施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図１は桟橋
の縦断面図、図２は図１のＡ−Ａ線断面図、図３の
（１）は制震ブレースの取り付け状態の正面図、（２）
は同断面図である。

【００１２】桟橋１はコンクリート製の床組２が鋼管杭
３の脚柱４で支持されて構成されている。前記床組２は
床板５の下面に長辺方向の長尺梁６ａと短辺方向の短尺
梁６ｂとが格子状に形成され、これらの梁６ａ、６ｂに
鋼管杭３が接合されている。鋼管杭３は５本一列のもの
が３列並列して支持基盤７に打設され、縦列方向（長尺
梁方向）の鋼管杭３間に斜材としての制震ブレース８が
取り付けられている。

【００１３】制震ブレース８は低降伏点鋼の芯材９がコ
ンクリート１０で被覆して形成され、鋼管杭３の突材１
１にボルト１２で接合されている。このように芯材９の
外側をコンクリート１０で被覆したことにより、圧縮時
における芯材９の座屈を防止するとともに、水による劣
化も防いでいる。この制震ブレース８の取り付け本数は
地震時における水平力の負担率によって決定する。

【００１４】このように鋼管杭３間に取り付けられた制
震ブレース８は、地震が発生すると比較的早期に降伏す
ることによって水平力を吸収して鋼管杭３の負担を低減
させる。

【００１５】図４の（２）は、同図の（１）の桟橋１に
おいて、八戸波最大加速度２００ｇａｌで地震応答解析
を行った場合の鋼管杭３に発生する最大曲げモーメント
を示したものである。これによると杭頭３ａから１／β
までの最大曲げモーメントに関しては、在来の桟橋（制
震ブレースのない図６に示す桟橋２０）と比べて２／３
程度まで低減している。以上のようなことから本願発明
の下記の効果を確認することができた。

【００１６】前記制震ブレース８は縦列方向（長尺梁方
向）の鋼管杭３間に限らず、図５の（１）に示すように
横列方向（短尺梁方向）の鋼管杭３間や、同図の（２）
に示すように縦列方向（長尺梁方向）および横列方向
（短尺梁方向）の鋼管杭３間に設けることもできる。

【００１７】

【発明の効果】地震時において制震ブレースが降伏する
ことによって水平力を吸収して脚柱に作用する曲げモー
メントが大幅に低減されるので、脚柱の径を小さくでき
る。

【００１８】制震ブレースの取り付け、および取り替え
が簡単にできるとともに、既存の桟橋にも容易に取り付
けられる。

【００１９】制震ブレースの圧縮時における座屈を防止
するとともに、水による劣化を防ぐこともできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】桟橋の縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】（１）は制震ブレースを取り付けた状態の正面
図、（２）は同断面図である。

【図４】（１）は桟橋の縦断面図、（２）は鋼管杭に発
生する最大曲げモーメントを示したグラフ図である。

【図５】（１）は短尺梁方向の鋼管杭間に制震ブレース
を取り付けた底面図、（２）は短尺梁方向および長尺梁
方向の鋼管杭間に制震ブレースを取り付けた底面図であ
る。

【図６】従来の桟橋の縦断面図である。

【符号の説明】 １、２０ 桟橋 ２、２１ 床組 ３ 鋼管杭 ４、２２ 脚柱 ５ 床板 ６ａ 長尺梁 ６ｂ 短尺梁 ７ 支持基盤 ８ 制震ブレース ９ 芯材 １０ コンクリート １１ 突材 １２ ボルト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 脚柱により床組を支持した桟橋におい
   て、前記脚柱間に斜材としての制震ブレースを設けたこ
   とを特徴とする桟橋。
2. 【請求項２】 前記脚柱は鋼管杭であり、水面から突出
   した部分に制震ブレースがボルト止めされたことを特徴
   とする請求項１に記載の桟橋。
3. 【請求項３】 前記制震ブレースは被覆材で覆われたこ
   とを特徴とする請求項１または２に記載の桟橋。