JPH11269735A - ポリエステル系繊維の延伸方法 - Google Patents

ポリエステル系繊維の延伸方法

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JPH11269735A
JPH11269735A JP10063789A JP6378998A JPH11269735A JP H11269735 A JPH11269735 A JP H11269735A JP 10063789 A JP10063789 A JP 10063789A JP 6378998 A JP6378998 A JP 6378998A JP H11269735 A JPH11269735 A JP H11269735A
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JP
Japan
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polyester
yarns
fiber
yarn
temperature
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JP10063789A
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English (en)
Inventor
Michinori Fujisawa
道憲 藤澤
Takeshi Yamazaki
豪 山崎
Yoshihiro Tanba
善博 丹波
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水を20%以上含むケンス内に長期保存された
ポリエステル系未延伸糸の放置条件による経時変化の影
響を極力消滅させ、紡糸直後の未延伸糸と同様な延伸性
および収縮性能を有するポリエステル系繊維が得られ、
安定した条件下でポリエステル系繊維の高収縮糸を得る 【解決手段】ポリエステル系繊維の未延伸糸を浴液延伸
するに際し、65℃以下の液浴で1.2〜1.5倍で1
次の延伸をした後、75〜95℃に加温し1.0〜1.
8倍の延伸倍率で第2次の延伸をし、引き続き55〜7
5℃でかつ第2次の延伸温度より5℃以上低い温度にお
いて残余の第3次延伸を行うことを特徴とするポリエス
テル系繊維の延伸方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル系繊維の
延伸方法の改良に関する。更に詳しくは、高温、高湿度
下で長期間放置された未延伸糸を、予熱延伸方法で均一
に延伸し人工皮革用の不織布を製造するのに適した高収
縮性のポリエステル系繊維を安定に製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】収縮性ポリエステル系繊維からなるウエ
ブまたは収縮性ポリエステル系繊維が混合されたウエブ
を絡合した後、該繊維を収縮させることにより高見掛密
度を有する柔軟な不織布が得られ、この不織布にポリウ
レタンを含有させることにより風合いのソフトな、繊維
密度の高い人工皮革用基材が得られることは公知であ
る。
【0003】収縮性ポリエステル系繊維の製造方法につ
いては従来から多数の提案がなされている。例えば、8
5%以上がエチレンテレフタレート単位で構成されてい
て、35%以下の結晶化度を有する高収縮性のポリエス
テル繊維が特公昭41−12052号公報に、またポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
などのポリエステルやこれらポリエステルに芳香族また
は脂肪族ジカルボン酸、あるいはグリコールを共重合し
たコポリエステルを溶融紡糸し、次いで60〜65℃の
温水中で2.4〜2.7倍に延伸し、65℃以下で乾燥
することによって高収縮性のポリエステル繊維を得る方
法が特公昭62−46662号公報に、紡速1800〜
3200m/分で巻きとられた未延伸糸を室温下で1.
2〜2.1倍に延伸し高収縮性のポリエステル繊維を得
る方法が特公昭59−53388号公報に、また、紡速
2500〜4100m/分の範囲で紡糸して得た延伸処
理を施さない高収縮性のポリエステル繊維を得る方法が
特開昭62−110990号公報などにそれぞれ提案さ
れている。
【0004】一方、多成分繊維の延伸についても、ポリ
スチレンで代表される環含有ビニル系ポリマーとポリエ
ステルもしくはポリアミドからなる多成分繊維を延伸す
る方法が特公昭41−7893号公報や特公昭55−3
6723号公報に、海成分が主としてポリスチレンおよ
び/またはその共重合体からなる海島繊維を延伸する方
法が特公昭48−25366号公報や特開昭56−12
8314号公報に、海成分が主としてポリスチレンから
なる、かつ紡出後24時間以上経過した海島繊維を延伸
する方法が特公昭48−32296号公報などにそれぞ
れ提案されている。また、水分を20%以上含む状態で
26℃以上の温度下に120時間以上放置されたポリエ
ステル系単成分繊維、またはポリエチレンを海成分とす
るポリエステル系多成分繊維の未延伸糸を75〜95℃
で延伸後、55〜75℃の延伸をし、高収縮性のポリエ
ステル繊維を得る方法が特開平4ー333613号公報
に提案されている。
【0005】しかしながらポリエステル系繊維の未延伸
糸は紡出後の時間の経過とともに次第に延伸が困難にな
り、ついには経時的変化が起こり延伸不可能な状態とな
ったり、同一延伸条件において繊維同志の膠着および延
伸ムラが発生し、繊度および物性の安定性がなくなった
りする問題があった。また、多成分繊維の未延伸糸の場
合にも、紡出後の時間の経過とともに、延伸時の繊維の
膠着、糸割れ、白化現象などが発生し、カード工程での
ネップの発生、不織布作製時のニードルパンチにおける
絡合不良などの問題があり不織布としての品質上の問題
が発生する。一般的には、紡糸工程において急冷された
ポリエステル系繊維の未延伸糸は、放置しておくと、た
とえガラス転移温度(Tg)以下の温度であっても、比
容が真の平衡値へ向けて体積緩和を起こし、その環境条
件と放置条件に対応した構造が発生するものと考えられ
ている。また、人工皮革用として収縮率15%以上の高
収縮繊維が多用されるが、紡出後長時間放置されたポリ
エステル系繊維の未延伸糸を使用して、高収縮糸を安定
に得ることは極めて困難であった。特に、夏期および梅
雨時には紡糸現場あるいは延伸現場はかなり高温多湿に
なり、しかも、通常未延伸糸は、紡糸油剤、水分を多量
に付着した状態でケンス内に保存され、紡出後数日で延
伸困難になるため、紡出後の放置時間を制限したり、未
延伸糸を冷凍保存するなどポリエステル系繊維の未延伸
糸の取り扱いおよび生産性には多大の支障をきたしてい
た。
【0006】すなわち水分を20%以上含む状態で26
℃以上の温度下に120時間以上放置されたポリエステ
ル系繊維の未延伸糸は液浴延伸で繊維同志の膠着が生じ
たり、またそれに伴う延伸ムラが発生し、必ずしも満足
できるものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解決するためになされたものであって、ケン
ス内に保存されたポリエステル系繊維の未延伸糸の放置
条件による経時変化の影響を極力消滅させ、安定した条
件下でポリエステル系繊維の高収縮糸を製造できる延伸
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下のような構成を採用した。すなわち、
本発明は、ポリエステル系繊維の未延伸糸を浴液延伸す
るに際し、65℃以下の液浴で1.2〜1.5倍で1次
の延伸をした後、75〜95℃に加温し1.0〜1.8
倍の延伸倍率で第2次の延伸をし、引き続き55〜75
℃でかっ第2次の延伸温度より5℃以上低い温度におい
て残余の第3次延伸を行うことを特徴とするポリエステ
ル系繊維の延伸方法である。
【0009】本発明の繊維を構成するポリエステル繊維
成分は、エチレンテレフタレート単位またはブチレンテ
レフタレート単位を主構成単位とするものであって、通
常エチレンテレフタール単位または、ブチレンテレフタ
レート単位を85モル%以上、好ましくは90モル%以
上含み、芳香族または脂肪族のジカルボン酸あるいはグ
リコールを共重合したコポリエステルもしくはホモポリ
エステルまたはそれらのポリエステル混合物である。共
重合成分としては、イソフタル酸、2,6ーナフタリン
ジカルボン酸、アジピン酸、セパチン酸、シュウ酸、ジ
エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘ
キサンジメタノール、Pーオキシ安息香酸、3,5ージ
(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸金属塩、あるい
はこれらの誘導体などが挙げられるが、以上の具体例に
限定されるものではない。
【0010】本発明において、ポリエステル系繊維と
は、ポリエステテル系ポリマーからなる繊維のみなら
ず、ポリエステル系ポリマーを一成分とし、他のポリマ
ーとの混合繊維または複合繊維も包含している。特に本
発明において、ポリエステル単独ポリマーからなる繊維
およびポリオレフィンを分散媒成分としポリエステルを
分散成分とするポリエステル系多成分系繊維が本発明の
効果が顕著に得られることから本発明に適している。多
成分系繊維の場合の分散媒ポリマーと分散ポリマーの重
量比としては90/10〜5/95の範囲が好ましい。
【0011】本発明においては、酸化チタンの添加によ
る白色不透明化はもちろん、あらかじめ有機あるいは無
機の顔料、染料などの着色剤、金属塩などの消臭剤、抗
菌剤、炭素微粉末などの導電性物質などを練り混んだポ
リエステルチップを使用しても構わない。これらの、ポ
リエステル成分を公知の方法で溶融紡糸して延伸により
収縮性能を発現するポリエステルの単繊維を製造するこ
とができる。
【0012】また、本発明で好適な多成分系ポリエステ
ル繊維である、分散媒成分がポリオレフィン、分散成分
がポリエステルからなる多成分系ポリエステル繊維の製
法としては、これらのポリマーを同一溶融系で溶融し、
分散系と分散媒系を形成させ紡糸する方法、これらのポ
リマーを別々の溶融系で溶融し、紡糸頭の流れの過程で
分散系と分散媒系を形成させ紡糸する方法、またはこれ
らのポリマーを別々の溶融系で溶融し、紡糸口金構造で
規制し、分散系と分散媒系を形成させ紡糸する方法が挙
げられる。
【0013】分散媒成分としては、極細繊維成分を得る
ためポリエステルとは溶剤を異にするポリマーであるポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチ
レンなどが使用可能であるが、溶融時の熱安定性および
流動性の良好な高分子であり、紡糸性、延伸性の良好な
こと、ポリウレタンの溶剤であるN,N−ジメチルホル
ムアミドに対する耐溶剤性が高く易抽出性であることな
どの適性からポリエチレンが好ましく、なかでもAST
M・D1238で測定したMI(メルトインデックス)
が50〜200g/10分の低密度ポリエチレンが良流
動性であるので特に好ましい。分散媒成分の比率は製品
不織布の用途指向により5〜50%の範囲で選択される
が、紡糸の安定性、収縮の発現性、布帛の構造を緻密に
し、毛羽密度を良くするため、さらには溶剤による抽出
効率の向上などのバランスから10〜35%の範囲がよ
り好ましい。
【0014】これらの溶融紡糸繊維は、直結で、または
一旦ボビン巻したりケンスに収容した後、延伸装置に供
給して延伸処理を行なうが、短繊維として使用する場
合、通常はCan Take方式によりケンスに収容さ
れる。Can Take方式でケンスに収容する方法に
おいては、Can Takeで原糸をケンスに投入する
際、糸の整形、投入量の増加、引き取りロールへの巻き
付き防止等の目的で糸に水分を付与するため、通常ケン
ス内には繊維重量の20〜50%の水を含んだ状態で保
管される。従って外気温が上昇するとケンス内は極めて
高温多湿の状態になり、ポリエステル系未延伸糸の経時
的変化が進みやすい。ここで言う水分率とはケンス内に
収容された、繊維重量に対して含まれている水分率のこ
とである。 水分率=乾燥後繊維重量/乾燥前ケンス内繊維重量×1
00
【0015】本発明では、紡出後ケンス内等に集束さ
れ、水分を20%以上含む状態で、26℃以上の温度下
に120時間以上放置されたポリエステル系未延伸糸を
特に好適な対象とするものであり、このような繊維を特
定の条件で予熱延伸後、特定の条件で延伸処理する。本
発明において上記120時間以上とは、120時間以上
連続である場合のみならず断続的に合計時間が120時
間以上となる場合も包含している。熱処理に際しては、
繊維同志の膠着を避けるため低温での1次延伸を行った
後、未延伸糸の経時変化を解消するための高温度での2
次延伸をし、その後、高収縮を発現させるための3次延
伸を行うことにある。
【0016】低温度での1次延伸は65℃以下の浴温度
に抑える必要がある。65℃を超える温度の浴液で一挙
に延伸すると、繊維相互の膠着が生じ実用に供しない繊
維となる問題がある。またこの経時変化の進んだ未延伸
糸を65℃以下で一挙に延伸すると延伸ムラが発生し、
繊度および物性の安定がなくなったり、また、ポリエス
テル系多成分繊維では延伸時の糸割れ、白化現象等が発
生し、カード工程でのネップの発生、不織布作成時のニ
ードルパンチにおける絡合不良などの問題があり、不織
布としての品質上の問題が発生するので、目安として、
40〜50℃が良い。また、この1次の延伸倍率は1.
2〜1.5倍が好ましい。1.2倍より低い延伸倍率で
は予備結晶化および分子配向による耐熱水性が不足し、
2次の高温延伸時に膠着する傾向がある。また1.5倍
を超えると、延伸ムラが発生し、繊度および物性の安定
がなくなる傾向がある。その後未延伸糸の経時変化を解
消するための2次延伸をする。
【0017】この2次延伸の熱処理に際しては、その温
度として75〜95℃の温度範囲で行なう。75℃未満
では熱処理効果が少なく、95℃を越えると処理時間に
よってはポリエステルの結晶化が進み過ぎ、繊維が硬化
したり、多成分繊維の場合には、分散媒成分のポリエチ
レンが軟化し次の延伸工程で融着して十分な延伸ができ
ない。延伸倍率については1.0倍(等速)〜1.8倍
が好ましい条件であるが、ポリエステルの単繊維の場合
には1.0倍(等速)〜1.5倍がより好ましく、ポリ
エステル系多成分繊維の場合には1.3倍〜1.8倍が
より好ましい。1.0倍(等速)未満では熱処理効果が
不安定であり、得られる延伸糸物性が不良となり、1.
8倍を越えると次の工程での延伸性が劣り、得られる延
伸糸の収縮率が少なくなる。
【0018】熱処理時間に関しては、温水浴の場合2〜
30秒の範囲で処理されるが、長期間放置された未延伸
糸の場合、低温浴(75℃)での処理時間を長くするか
または、高温浴(95℃)での処理時間を短く設定する
のが好ましい。かかる予熱延伸処理を行なった後、引き
続き残余の延伸処理を行なう。延伸温度としては予熱延
伸温度より5℃以上低い温度でかつ55〜75℃、より
好ましくは60〜70℃の温度範囲、延伸倍率としては
1.2〜3.2倍、より好ましくは1.5〜2.8倍の
範囲で所定の収縮率の得られる条件設定を行なう。延伸
温度が55℃未満では延伸性不良であり、75℃を越え
ると一般的には収縮率が10%未満となり高収縮繊維と
はならない。
【0019】紡出後、温度26℃以上でも室温程度の温
度条件であれば120時間未満の放置の未延伸糸、また
は温度26℃未満の条件で1か月程度放置された未延伸
糸は比較的安定であり、必ずしも本発明を適用する必要
はないが、本発明を適用してもさしつかえはない。
【0020】紡出直後のポリエステル系未延伸糸は、5
5〜75℃の温度範囲で2.5倍の延伸処理により、そ
れぞれ55℃で延伸した延伸糸は70℃温水中で60%
の収縮率を示し、75℃で延伸した延伸糸は70℃の温
水中で10%の収縮率を示すが、紡出後ケンス内に集束
され、水を20%以上含み、かつ26℃以上の温度条件
で120時間以上経過したポリエステル系未延伸糸は、
55〜75℃の温度範囲で2.5倍の延伸処理を行なっ
た場合、70℃の温水中で10〜20%の収縮率しか示
さず、放置時間が増えるにつれて収縮率が低下し、しか
も不安定になってくる。本発明の方法によれば、紡出後
ケンス内に集束され、水を20%以上含む状態で26℃
以上の温度下に120時間以上放置されたポリエステル
系未延伸糸であっても特定の条件で予熱延伸後、特定の
条件で延伸処理することにより、紡糸直後の未延伸糸と
同様な延伸性および収縮性能を有するポリエステル系繊
維が得られる。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で
説明する。なお、実施例中の部および%はことわりのな
い限り、重量に関するものである。
【0022】本発明における製品の測定方法は以下の方
法による。 (1)繊維の収縮率:約15cmの長さの繊維試料に0.
002g/デニールの荷重下で10cmのマーキングをし
て、70℃の温水中で2分間処理した後、試料の寸法変
化を測定し次式により元の長さに対する収縮率を求め
る。測定数はn=10とする。試料長が短い場合にはマ
ーキング長さを短くし、誤差が小さくなるよう測定数を
適宜増加させる。 (1−収縮後繊維長/未処理繊維長)×100(%)
【0023】(2)延伸性:延伸時の繊維間の膠着、ト
ウ内の延伸バラツキ程度および延伸糸の単糸切れの程度
をつぎの基準で評価した。 ◎…良好(問題なし) ○…繊維間膠着少量発生、延伸バラツキ少なく、実用上
問題なし △…繊維間膠着多く、実用上問題あり ×…繊維間膠着極めて多く、延伸不可
【0024】(3)未延伸部個数:延伸後のトウから延
伸糸の単糸10本を取り出し、1本につき2cmの長さの
部分3ヶ所を顕微鏡観察し、他の部分より瘤状に太くな
った未延伸部の個数を測定する。なお、未延伸部個数が
多い程カード通過性が不良となり、未延伸部の個数とカ
ード通過性には次のような相関が認められる。 0個/10本×2cm :カード通過性良好 1〜3個/10本×2cm :カード通過性ほぼ良好 4〜9個/10本×2cm :カード通過性不安定 10個/10本×2cm以上:カード通過性不良
【0025】(4)剥離強力測定:試料を23cm×2.
5cmに切り出し、該試料の厚み方向の中央部を試料の長
さ方向の中央部までスライスする。次に該スライス端を
通常の歪応力測定機にクランプ長さ10cmで取付ける。
この試料を20cm/分の速度で引張り応力を求める。測
定数は1サンプルにつき3点である。
【0026】実施例1〜3 固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを紡糸
温度290℃にて溶融し、1000個のオリフィス孔を
有するノズルより吐出した糸条を、冷却後引取速度11
00m/分にて紡出された単糸デニール4.5デニール
のポリエチレンテレフタレート繊維を未延伸の状態で2
0錘分集束後ケンス採りした(トウデニール9万デニー
ル)。ケンス内の水分率はポリエチレンテレフタレート
繊維に対して40%であった。
【0027】得られた未延伸糸を、ケンスに入れたまま
で30℃に保温された恒温室(ケンス内湿度80〜85
%)で20日間放置した。この未延伸糸を45℃に保管
された長さ1.5mの第1温水浴で入速20m/分、引
き取り速度24m/分の1.2倍延伸し、その後第2次
延伸の浴温を75、80および85℃に保温された長さ
2mの温水浴で入速24m/分、引き取り速度30m/
分にてそれぞれ延伸し、しかるのち第3次延伸を65℃
に保温された長さ3mの温水浴で、引き取り速度50m
/分の速度で、全延伸倍率2.5倍として巻きとった。
得られた延伸糸はいずれも膠着糸、延伸ムラもなく、良
好な延伸性を示した。延伸性、延伸糸の収縮率を測定し
た結果を表1に示す。
【0028】比較例1〜3 実施例1〜3におて放置された未延伸糸を、第1温水浴
45℃での予熱処理なしで、75、80および85℃に
保温された長さ2mの第2温水浴に入速20m/分、引
き取り速度30m/分にてそれぞれ延伸し、しかるのち
65℃に保温された長さ3mの第3温水浴で引き取り速
度50m/分の速度で、全延伸倍率2.5倍として巻き
取った。得られた延伸糸はいずれも膠着糸、延伸ムラが
激しく発生した。延伸性、延伸糸の収縮率を測定した結
果を表1に示す。
【0029】参考例1、2 実施例1で得られた未延伸を室温(20〜25℃)で2
4時間放置後、第1温水浴および第2温水浴での予熱処
理なしに、65℃および85゜Cに保温された長さ3m
の第3温水浴で入速20m/分、引き取り速度50m/
分の速度で、全延伸倍率2.5倍としてそれぞれ巻きと
った。得られた延伸糸はいずれも膠着糸、延伸ムラもな
く、良好な延伸性を示した。延伸性、延伸糸の収縮率を
測定した結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】実施例4、5 海成分としてMI(メルトインデックス)70の低密度
ポリエチレン、島成分として固有粘度0.68のポリエ
チレンタレフタレートを用いて、島成分が75%で、島
の本数を50本にした海島型複合繊維を、紡糸温度31
5℃で、引取速度1100m/分で紡糸し、未延伸の状
態で集束後ケンス採りした。この時の単糸繊度は9.0
デニールで、集束後のトウデニールは約10万デニール
であり、ケンス内の水分率は海島繊維に対して30%で
あった。
【0032】得られた未延伸糸をケンスに入れたままで
30℃に保温された恒温室で7日間放置後、45℃に保
温された長さ1.5mの第1温水浴で入速20m/分、
引き取り速度を25m/分、30m/分に変更し、第1
浴延伸倍率を1.25倍および1.5倍に変更した。こ
の第1浴の延伸倍率を変更後、80℃に保温された長さ
2mの第2温水浴での延伸倍率が1.2倍になるように
30m/分、36mで引き取り、しかるのち65℃に保
温された長さ3mの第3温水浴で引き取り速度60m/
分の速度で、全延伸倍率3.0倍として巻き取った。得
られた延伸糸はいずれも膠着糸の発生も、延伸ムラもな
く、良好であった。延伸状態、延伸糸の収縮率および未
延伸部個数を測定した結果を表2に示す。
【0033】比較例4、5 実施例4、5のケンスに入れたままで30℃に保温され
た恒温室で7日間放置後の未延伸糸を使用して、第1温
水浴での延伸倍率を等倍および2.0倍に変更した以外
は、.実施例4、5と同一延伸方法をした。第1温水で
等倍に延伸されたものは、第2浴80℃で膠着が発生し
た。また第1温浴で2倍に延伸された延伸糸は膠着は発
生しなかったが物性が低く、未延伸個数が多かった。
【0034】比較例6 実施例4、5のケンスに入れたままで30℃に保温され
た恒温室で7日間放置後の未延伸糸を使用して、第1温
水浴での予熱処理なしで80℃に保温された長さ2mの
第2温水浴に入速20m/分、引き取り速度30m/分
の延伸倍率1.5倍で延伸し、しかるのち65℃に保温
された長さ3mの第3温水浴で引き取り速度60m/分
の速度で全延伸倍率3.0倍として巻き取った。得られ
た延伸糸は膠着糸が激しく発生した。延伸性、延伸糸の
収縮率および未延伸部個数を測定した結果を表2に示
す。
【0035】実施例6、比較例7 実施例4および比較例4で得た繊維を用い、常法により
不織布ウエブとした後、1200パンチ/cm2のニード
ルパンチを行ない絡合不織布を得た。比較例4で得た繊
維は膠着糸が多く、カードでの糸われが多発し、ニード
ルでの絡合効果も不良であり、不織布の層間剥離強力が
3.5kg/インチであったが、実施例4で得た繊維はカ
ード通過性が良好であり、ニードルでの絡合効果も充分
であり、不織布の層間剥離強力が9.6kg/インチであ
った。この絡合不織布を70℃の温水槽に浸漬して、面
積で23〜45%収縮させた後乾燥熱固定を行ない、見
掛け密度0.38〜0.42とした後、ポリエーテル系
のポリウレタンの固型分12%のDMF溶液を含浸し、
DMF濃度30%の凝固浴中で凝固し、更に熱トルエン
に浸漬して、海成分のポリエチレンを抽出除去して乾燥
後、厚さ1.5mmのシート物とした。得られたシート物
の中央部を水平に2枚にスライスし、その両面をサンド
ペーパーでバフィングし、染色しスエード調の人工皮革
とした。この表面をJISL1096マーチンデール法
に従い、10万回摩耗後の減量を測定したところ、比較
例5で得た繊維を用いたシートの摩耗減量は63mgと不
良であったが、実施例4で得た繊維を用いたシートの摩
耗減量は35mgと少なく、優れた耐摩耗性を有してい
た。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の方法によれ
ば、水を20%以上含むケンス内に長期保存されたポリ
エステル系繊維を特定の条件で予熱延伸後、特定の条件
で延伸処理することにより、未延伸糸の放置条件による
経時変化の影響を極力消滅させ、紡糸直後の未延伸糸と
同様な延伸性および収縮性能を有するポリエステル系繊
維が得られ、安定した条件下でポリエステル系繊維の高
収縮糸を合理的な製造方式で製造できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系繊維の未延伸糸を浴液延伸
    するに際し、65℃以下の液浴で1.2〜1.5倍で1
    次の延伸をした後、75〜95℃に加温し1.0〜1.
    8倍の延伸倍率で第2次の延伸をし、引き続き55〜7
    5℃でかつ第2次の延伸温度より5℃以上低い温度にお
    いて残余の第3次延伸を行うことを特徴とするポリエス
    テル系繊維の延伸方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019058924A1 (ja) * 2017-09-22 2019-03-28 株式会社クラレ 立毛人工皮革

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019058924A1 (ja) * 2017-09-22 2019-03-28 株式会社クラレ 立毛人工皮革
JPWO2019058924A1 (ja) * 2017-09-22 2020-10-15 株式会社クラレ 立毛人工皮革

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