JP2023140088A - スパンボンド不織布 - Google Patents

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Masayoshi Iwane
慎一 峯村
Shinichi Minemura
博明 西村
Hiroaki Nishimura
公夫 川戸
Kimio Kawato
靖司 山田
Yasushi Yamada
伸一郎 稲富
Shinichiro Inatomi
英夫 吉田
Hideo Yoshida
勝二 小田
Katsuji Oda
勇祐 浦谷
Yusuke Uratani
卓也 藤田
Takuya Fujita
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Abstract

【課題】軽量で取扱い性に優れ、高伸度となるスパンボンド不織布を提供する。【解決手段】本発明のスパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、熱処理後の伸度が150%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、スパンボンド不織布に関する。
従来知られている不織布は、引張強度や引裂強度などの機械的強度特性に優れたものは伸長性(伸び率)が低いものであった。一方、伸長性の高い不織布は、機械的強度特性に劣るものであった。この課題を改善するため、これまでに様々なものが提案されている。
例えば、特許文献1には高収縮糸が収縮されたメッシュ形状のシートと不織布とから成る異種材複合シートが提案されている。特許文献2には熱収縮繊維を含む第1の不織布繊維シートと熱収縮しにくい第2の不織布繊維シートとが積層した、伸度120%以上のシートが提案されている。特許文献3には、短繊維不織布に50%以上の未延伸の高伸度合成繊維を用いた高伸度不織布が提案されている。さらに、熱収縮する短繊維不織布と熱収縮しにくい短繊維不織布とを積層し、熱処理して、凸凹形状を付与したり、伸縮性を付与したりする方法が多数提案されている(例えば、特許文献4~6)。
特開2001-30401号公報 特開2010-150737号公報 特開2004-36065号公報 特開平7-54256号公報 特開2002-302866号公報 特開2003-306859号公報
しかし、特許文献1の異種材複合シートは、高収縮糸がメッシュ形状を有するため、高収縮糸が存在する場所としない場所での特性差が大きい。また、特許文献2のシートであれば、部分的な特性の差が出にくくなるが、土木用途等の機械的強度特性(特に引張強力)が重要な用途では、機械的強度特性を満たすために、シートの目付を高くする必要があり、作業現場でシートを使用する際に、重量が重く、作業者の負担が増える問題がある。さらに前記シートを得るためには、収縮しにくい不織布繊維シートが収縮する不織布繊維シートの収縮を阻害しないようにするために、収縮しにくい不織布繊維シートにシリコン系油剤で処理した短繊維を使用することが提案されている。しかし、シリコン系油剤で処理した短繊維を使用する前記シートでは、シートを海水に沈めて使用する場合、シートの撥水性が高く、シートが海中に沈みにくい、あるいは沈まない問題が予想される。
また、特許文献3では、機械的強度特性を満足させるためには非常に高い目付の不織布が必要であり、作業現場でシートを使用する際、重量が重く、作業者の負担が増える問題がある。特許文献4~6では、いずれも短繊維不織布を基布としているため、優れた機械的強度特性を得るためにはシートの目付を上げる必要があり、作業現場でシートを使用する際、重量が重く、作業者の負担が増える問題がある。
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高伸度にすることができ、軽量で取扱い性に優れた不織布を提供することを課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに到った。すなわち本発明は以下の通りである。
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、熱処理後の伸度が150%以上であることを特徴とするスパンボンド不織布。
本発明のスパンボンド不織布は、熱処理により伸度が150%以上という高伸度にすることができ、スパンボンド不織布であるため軽量で取扱い性に優れる。また、熱処理により伸度が150%以上となったスパンボンド不織布も本発明の範疇に含まれる。
(2)前記長繊維は、前記熱処理により捲縮が発現され捲縮糸となる(1)に記載のスパンボンド不織布。
本発明のスパンボンド不織布は、熱処理により長繊維が捲縮糸となり伸度が150%以上という高伸度にすることができる。また、熱処理により長繊維が捲縮糸となった(1)のスパンボンド不織布も本発明の範疇に含まれる。
(3)ポリエステル系親水化剤が塗布されている(1)または(2)に記載のスパンボンド不織布。
本発明のスパンボンド不織布は、ポリエステル系親水化剤を塗布しているため、水中で使用する場合には水中に沈みやすく利便性がある。
(4)機械的交絡処理がされている(1)~(3)のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
本発明のスパンボンド不織布は、機械交絡がされていることにより、強度、伸度が向上する。
(5)前記長繊維は、芯鞘構造である(1)~(4)のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
(6)前記芯鞘構造は、芯成分の中央が2%以上偏心されている(5)に記載のスパンボンド不織布。
(7)前記長繊維は、サイドバイサイド構造である(1)~(4)のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
(8)前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である(1)~(7)のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
(9)ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されたスパンボンド不織布の製造方法において、当該スパンボンド不織布の伸度が150%以上になるよう熱処理することを特徴とするスパンボンド不織布の製造方法。
(10)前記長繊維は、前記熱処理により捲縮が発現される(9)に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
本発明によれば、高伸度にすることができ、軽量で取扱い性に優れたスパンボンド不織布を提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[スパンボンド不織布]
本実施形態に係るスパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成される。
前記スパンボンド不織布を構成する前記長繊維は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸で構成される。
本明細書において、長繊維とは、紡糸時の繊維の長さがエンドレスであるもの(無端連続繊維)をいう。ただし、最終的に得られたスパンボンド不織布が所定長さに切断されたものである場合、長繊維の長さは、前記スパンボンド不織布の長さと同一となる。一方、短繊維とは、不織布中に含まれる繊維の長さが不織布の長さ未満のものをいう。つまり、スパンボンド不織布とは、不織布の長さと同一の長さの繊維(長繊維)で構成された不織布であり、短繊維不織布とは、前記短繊維不織布の長さ未満の繊維(短繊維)で構成された不織布をいう。
前記長繊維がポリエチレンテレフタレートを含むため、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を用いる場合と比較して機械的強度、耐熱性、保型性等に優れる。前記長繊維における前記ポリエチレンテレフタレートの含有割合は、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。前記ポリエチレンテレフタレートの含有割合が前記数値範囲内であると、機械的強度、耐熱性、保型性等により優れる。なお、ポリエチレンテレフタレートは、示差走査型熱量計(DSC)による測定において、結晶化に由来する発熱ピーク、及び/又は、結晶融解に由来する吸熱ピークを示すポリエステルである。
前記非晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、明確な結晶化発熱ピーク及び結晶融解ピークを持たない樹脂である。また、前記非晶性ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上である。前記ガラス転移温度(Tg)は、DSCにより昇温速度20℃/minで昇温時の潜熱の転移点から求めた値である。前記非晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度(Tg)50℃以上のものを採用することにより、耐熱性が良好となる。すなわち、前記長繊維不織布においては、耐熱性と耐衝撃性とを向上させるために、非晶性でありながらTgの高い前記共重合ポリエステルを採用している。
また、前記共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(ホモポリマー)と比較して結晶性が低下している。前記スパンボンド不織布を構成する前記長繊維は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸であるため、熱処理された際に、結晶性の差に起因して収縮量に差が生じ、捲縮が発現する。このように熱処理により前記長繊維に捲縮が発現して捲縮糸となるため、本発明のスパンボンド不織布は熱処理後の伸度が150%以上となる。伸度が150%以上であると、複雑な形状に追随することができる。
なお、本明細書において、「伸度が150%以上」とは、MD(machine direction)方向における伸度が150%以上であり、且つ、CD(cross direction)方向における伸度が150%以上であることをいう。
前記共重合ポリエステルの共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、2,6ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール;ビスフェノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。前記共重合成分は、前記共重合ポリエステルのTgが50℃以上を保持できる範囲で選択されることが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、なかでも、以下の(a)~(d)が好ましく、(a)がより好ましい。
(a)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(b)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール15~50モルdである共重合ポリエステル。
(c)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分が1,4ブタンジオール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(d)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分が1,4ブタンジオール50~85モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール15~50モル%である共重合ポリエステル。
前記(a)、前記(b)の場合、エチレングリコールの含有量は、50~85モル%がより好ましく、65~75モル%がさらに好ましい。
前記(c)、前記(d)の場合、1,4ブタンジオールの含有量は、50~85モル%がより好ましく、65~75モル%がさらに好ましい。
前記(a)、前記(c)の場合、ネオペンチルグリコールの含有量は、15~50モル%がより好ましく、25~35モル%がさらに好ましい。
前記(b)、前記(d)の場合、1,4-シクロヘキサンジメタノールの含有量は、15~50モル%がより好ましく、25~35モル%がさらに好ましい。
前記(a)~前記(d)の共重合ポリエステルは、結晶性が適度に低下し、スパンボンド不織布に好適な捲縮を発現させることができる。また、熱安定性等の特性が好適である。
前記長繊維における前記共重合ポリエステルの含有割合は、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは40質%以上60質量%以下である。前記共重合ポリエステルの含有割合が前記数値範囲内であると、好適に捲縮を発現させることができる。
前記共重合ポリエステルを製造するための共重合方法としては、特に限定されず、従来知の方法を採用することができる。
前記長繊維は、芯鞘構造であることが好ましい。前記長繊維が芯鞘構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記芯鞘構造は、繊維断面が偏心されていることが好ましい。具体的には、芯成分の中央が2%以上偏心されていることが好ましく、3%以上偏心されていることがより好ましい。すなわち、実施例に記載の方法にて測定される偏心率が2%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。前記芯成分の中央の偏心は、大きいほど好ましいが、例えば、80%以下、60%以下等とすることができる。
前記芯鞘構造は、好適な捲縮が得られる観点から、鞘側が共重合ポリエステルであり、芯側がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
前記長繊維は、共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとが貼り合わせられたサイドバイサイド構造であることも好ましい。前記長繊維がサイドバイサイド構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記長繊維の繊維径は、好ましくは5~60μm、より好ましくは10μm~50μm、さらに好ましくは12μm~40μmである。前記繊維径が5μm以上であると、スパンボンド法での可紡性がより良好となり、安定した製造が可能となる。また、前記繊維径が60μm以下であると、不織布の斑が悪くなりにくく、優れた外観品位を得ることができる。
前記スパンボンド不織布は、機械的交絡処理が施されていることが好ましい。機械的交絡処理としては、例えば、ニードルパンチ法やウォーターパンチ法による交絡処理等が挙げられる。前記機械的交絡処理が施されていない場合、強度、伸度共に低下し、水中で用いる場合、破断する恐れがある。
前記スパンボンド不織布は、ポリエステル系親水化剤が塗布されているのが好ましい。親水化剤により、水中で使用する場合、水中に沈みやすい。親水化剤の塗布方法は特に限定はなく、スプレー法、ディップ法等を用いることができる。さらに塗布するタイミングも熱処理する前であれば効果を得ることができる。
以上、本実施形態に係るスパンボンド不織布について説明した。次に、本実施形態に係るスパンボンド不織布の製造方法について説明する。
[スパンボンド不織布の製造方法]
本実施形態に係るスパンボンド不織布の製造方法は、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクタにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する工程と、前記工程で得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する工程と、前記長繊維ウェブを仮圧着して巻き取る工程と、巻き取られた長繊維不織布に親水化剤を塗布して機械交絡を施す工程と、を備える。
本実施形態に係るスパンボンド不織布の製造方法においては、まず、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクタにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する。
従来公知の2成分スパンボンド紡糸機を用いて実施することができる。つまり、前記長繊維は、繊維を作る工程(紡糸工程)からそのまま不織布を製造する紡糸直結タイプの製造方法であるスパンボンド法にて製造することができる。
前記ポリエチレンテレフタレート、前記共重合ポリエステルとしては、上記のスパンボンド不織布の項で説明したもの採用することができる。
前記ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルを使用する場合、紡糸速度を3500m/分以上で紡糸することが好ましい。つまり、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクタにて紡糸速度3500m/分以上で牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成することが好ましい。前記紡糸速度を3500m/分以上とすることにより、ポリエステルテレフタレートの配向結晶化度が高くなる。前記紡糸速度を3500m/分以上にすると、共重合ポリエステルも配向は進む。しかしながら、共重合ポリエステルは、結晶性が低いことから、その後に実施する捲縮加工工程において、共重合ポリエステル側の成分の収縮が起こることになり、捲縮が好適に発現する。前記紡糸速度は、より好ましくは3800m/分以上、さらに好ましくは4200m/分以上である。また、前記紡糸速度は、可紡性の観点から、好ましくは5500m/分以下、より好ましくは5000m/分以下である。
本明細書において、前記紡糸速度は、下記式(1)で得られる値をいう。
V=(10000×Q)/T (1)
ここで、Vは紡糸速度(m/分)、Tは単繊維の繊度(dtex)、Qは単孔吐出量(g/分)である。
単孔吐出量Qは、2成分の合計で、好ましくは0.2~5g/分である。前記単孔吐出量Qを0.2~5g/分に制御することにより、紡糸速度Vを所望の範囲に制御し易くなる。より好ましくは0.3~4g/分より好ましくは0.5~3g/分である。なお、単繊維の繊度T(dtex)は、10000メートルの単繊維の質量をグラム単位で表した値である。
前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出することが好ましい。前記偏心芯鞘ノズルとしては、従来公知のものを採用することができる。前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出すると、後に熱処理する際に好適に捲縮加工を施すことができ、熱処理後の伸度を150%以上に容易にすることができる。
前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出することが好ましい。前記サイドバイサイドノズルとしては、従来公知のものを採用することができる。前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出すると、後に熱処理する際に好適に捲縮加工を施すことができ、熱処理後の伸度を150%以上に容易にすることができる。
オリフィス径0.1~0.5mmの紡糸口金より紡出し、エジェクタに1.5~4.0kg/cmの圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、延伸することが好ましい。前記紡糸口金のオリフィス径は、0.15~mmであることがより好ましく、0.18~0.45mmであることがさらに好ましい。前記ジェット圧は、2.0~4.0kg/cmがより好ましく、2.5~3.8kg/cmがさらに好ましい。オリフィス径を上記範囲内に制御することにより、所望の繊維径が得られ易くなる。また、乾燥エアの供給圧力(ジェット圧)を上記範囲内に制御することにより、紡糸速度を所望の範囲に制御し易くなるとともに、適度に乾燥させることができる。
次に、前記工程で得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する。例えば、下方のコンベア上へ前記長繊維を開繊させつつ捕集して、長繊維ウェブを形成すればよい。
次に、前記工程により得られた前記長繊維ウェブを仮圧着する。前記仮圧着は、前記長繊維ウェブが収縮しない温度範囲内において行う。これにより、好適に搬送することが可能となる。前記仮圧着時の温度としては、50℃~80℃が好ましく、より好ましくは、55℃~75℃、さらに好ましくは、60℃~70℃である。前記仮圧着は、フラットロールを用いることができる。仮圧着時の線圧としては、好ましくは1~10kg/cm、より好ましくは3~7kg/cmである。前記線圧を前記数値範囲内にすると、搬送による破断が生じず工程通過できる。次に、仮圧着された前記長繊維ウェブを巻き取り機で長繊維ウェブを巻き取る。
次に機械交絡方法について説明する。機械交絡させる方法としてはニードルパンチまたはウォーターパンチなどの方法があるが、乾燥が不要、高い目付けが可能であることからニードルパンチがよい。さらに、水中への沈みやすさを効率良く行うため、スパンボンド不織布の繊維表面を親水化処理することが好ましい。親水化処理としては油剤による処理が好ましい。油剤としてはポリエステルポリエーテルブロック共重合体を使用したポリエステル系の樹脂や、シリコーン系高分子として、アミノ変性オルガノポリシロキサンやエポキシ変性オルガノポリシロキサンなどの変性シリコーンとこれらと反応性の硬化剤などを主体としたものなどがあるが、水中での使用を考慮すると、親水性を有するポリエステル系の樹脂が好ましい。油剤の付与方法も特に限定はなく、スプレー法、ディップ法等を用いることができる。さらに付与するタイミングも熱処理する前であれば効果を得ることができるが、好ましくは上記機械交絡処理する前である。
長繊維不織布は、ニードルパンチでニードルを貫入させ交絡させる必要がある。ペネ数や針深は使用するニードルの種類、得たい機械強力特性や目付により適宜設定する必要があり、限定されるものではない。
本発明のスパンボンド不織布は、上記したように熱処理によりスパンボンド不織布を構成する長繊維に捲縮が発現して捲縮糸となるため、スパンボンド不織布は熱処理後の伸度が150%以上となる。そこで、熱処理方法について説明する。熱処理方法は、バッチ式でも良いが生産性の観点から、連続熱処理が好ましい。熱処理の温度と時間は所定の捲縮を施すことができれば限定されないが、温度は90~150℃が好ましく、100~150℃がより好ましく、熱処理時間は30秒以上が好ましく、30秒以上2分以下がより好ましい。
熱処理時間が30秒以下では熱処理による捲縮発現が完了できず、2分以上では冷却に時間が掛かり、工程張力により伸ばされて本来の捲縮が発現しない。
熱処理により伸度が150%以上となったスパンボンド不織布も本発明の範疇に含まれる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(固有粘度)
樹脂(ポリエチレンテレフタレート、又は、共重合ポリエステル)0.1gを秤量し、25mlのフェノール/テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で3回測定し、その平均値を求めた。
(ガラス転移温度)
JIS K7122(1987)に従って、20℃/分の昇温速度で、共重合ポリエステルのガラス転移温度を求めた。
(目付)
JIS L1913(2000)5.2に従って、単位面積当たりの質量を測定した。
(繊維径)
試料(仮圧着前の長繊維ウェブ)の任意の場所5点を選び、光学顕微鏡を用いて単繊維の径をn=20で測定し、平均値を求めた。
(繊度(dtex))
試料(仮圧着前の長繊維フリース)の任意の場所5点を選び、光学顕微鏡を用いて単繊維径をn=20で測定して、平均単繊維径を求めた。同じ場所5点の繊維を取り出し、密度勾配管を用いて繊維の比重をn=5で測定し、平均比重を求めた。ついで、平均単繊維径より求めた単繊維断面積と平均比重から10000mあたりの繊維重量である繊度[dtex]を求めた。
(偏心率)
0.5~2mmの孔の開いた金属板を準備した。また、不織布からなる繊維を切り出し、黒色の繊維で包埋した。前記金属板の前記孔に、黒色の繊維で包埋した不織布からなる繊維を詰め込み、両端を剃刀でカットした。距離が計測できるソフトが導入されているコンピューターに接続された光学顕微鏡で、鞘側の外円の半径(R)を計測した。芯側の中心部と鞘側中心部の距離を計測し、これを偏心距離(L)とした。次に、偏心率(%)を、下記式にて求めた。
(偏心率)=(L/R)×100
(紡糸速度(m/分))
紡糸速度V(m/分)は、上記繊度T(dtex)と設定の単孔吐出量Q(g/分)から下記式に基づいて求めた。
V=(10000×Q)/T
(伸度)
JIS L1913(2010)の引張強さ及び伸び率に記載されている手法にて伸び率を伸度とした。引張試験機は島津製オートグラフAGS-1kNを用い、幅50mm、縦方向の測定長さ200mmのサンプルを、掴み間隔100mm、引張速度200mm/minの引張条件で得られたn5の平均値を求めた。
(実施例1) 2成分スパンボンド紡糸設備で偏心度が0.1mmの芯鞘ノズルを使用し、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度(iv値):0.63)と共重合ポリエステル(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%である共重合体、固有粘度(iv値):0.75、Tg:75℃)を6.5:3.5の割合で紡出した。紡出は、オリフィス径0.3mmの紡糸口金より単孔吐出量1.74g/分にて行った。その後、さらに、エジェクタに3.5kg/cmの圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、1段階で延伸して、下方のコンベア上へ繊維を開繊させつつ捕集し、長繊維ウェブを得た。次に、得られた前記長繊維ウェブを仮圧着した。仮圧着の条件は、仮圧着ロール温度60℃、線圧30kg/cmとした。
以上により得られた長繊維ウェブの繊維径は3.8dtex、紡糸速度は4500m/分、目付量1200g/mであった。
次に、得られた長繊維ウェブにスプレーにて付着量0.2質量%となるよう高松油脂株式会社製油剤SR1000を塗布し、単独でニードルパンチ加工としてニードル針グロッツ社製R333を用い、ペネ数58、針深12mmでニードルパンチ加工を行い、スパンボンド不織布を得た。このスパンボンド不織布を、110℃の熱風乾燥機に30秒間通過させる熱処理をした後、伸度を測定した。
(比較例1)
スパンボンド紡糸設備を用い、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度(iv値):0.65)にオリフィス径0.3mmの紡糸口金より単孔吐出量1.74g/分で紡出した。更に、エジェクタに3.5kg/cmの圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、1段階で延伸して、下方のコンベア上へ繊維を開繊させつつ捕集し長繊維ウェブを得た。得られた長繊維ウェブの繊維径は3.8dtex、換算紡糸速度は4500m/分であった。次に、得られた長繊維ウェブにスプレーにて付着量0.2質量%となるよう高松油脂株式会社製油剤SR1000を塗布し、単独でニードルパンチ加工としてニードル針グロッツ社製R333を用い、ペネ数58、針深12mmでニードルパンチ加工を行い、スパンボンド不織布を得た。このスパンボンド不織布を、110℃の熱風乾燥機に30秒間通過させる加熱処理をした後、伸度を測定した。
実施例1と比較例1の物性を表1に示す。
Figure 2023140088000001
表1にてよると、熱処理後の伸度が150%以上となる実施例1は、比較例1の不織布に比べ伸度が向上していることがわかる。
本発明により、高い伸長性があり、親水化剤を塗布することで海水中で使用しても沈みやすく軽量で取扱い性に優れた積層長繊維不織布の製造を提供することが可能となり、産業界へ大いに寄与できる。

Claims (10)

  1. ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、熱処理後の伸度が150%以上であることを特徴とするスパンボンド不織布。
  2. 前記長繊維は、前記熱処理により捲縮が発現され捲縮糸となることを特徴とする請求項1に記載のスパンボンド不織布。
  3. ポリエステル系親水化剤が塗布されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスパンボンド不織布。
  4. 機械的交絡処理がされていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
  5. 前記長繊維は、芯鞘構造であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
  6. 前記芯鞘構造は、芯成分の中央が2%以上偏心されていることを特徴とする請求項5に記載のスパンボンド不織布。
  7. 前記長繊維は、サイドバイサイド構造であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
  8. 前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載のスパンボンド不織布。
  9. ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されたスパンボンド不織布の製造方法において、
    当該スパンボンド不織布の伸度が150%以上になるよう熱処理することを特徴とするスパンボンド不織布の製造方法。
  10. 前記長繊維は、前記熱処理により捲縮が発現されることを特徴とする請求項9に記載のスパンボンド不織布の製造方法。
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