JP2023144934A - 長繊維不織布、及び、長繊維不織布の製造方法 - Google Patents

長繊維不織布、及び、長繊維不織布の製造方法 Download PDF

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Shinichi Minemura
伸一郎 稲富
Shinichiro Inatomi
靖司 山田
Yasushi Yamada
博明 西村
Hiroaki Nishimura
公夫 川戸
Kimio Kawato
勝二 小田
Katsuji Oda
勇祐 浦谷
Yusuke Uratani
卓也 藤田
Takuya Fujita
正好 岩根
Masayoshi Iwane
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Abstract

【課題】優れた伸縮性を有する長繊維不織布を提供することである。【解決手段】本発明の長繊維不織布は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、10%の伸長回復率が80%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、長繊維不織布、及び、長繊維不織布の製造方法に関する。
従来合皮レザーは合成樹脂単独では良好な伸び縮み性の発現が困難であり、基材(裏張り)としてニットや不織布を用いることで、回復特性を有する合成レザーが製造されているのが一般的である。例えば、基材に用いられるニットとして、ポリエステルやレーヨン、ポリアミドなど混紡糸やフィラメント糸を用いたニットが提案されている(特許文献1)。また、基材に用いられる不織布として、潜在捲縮繊維の短繊維とゴム状樹脂ニードルパンチによる複合した不織布をオーバーフィード率で熱処理しつつ捲縮を発現させた不織布が提案されている(特許文献2)。
特開平11-335978号公報 特開平9-158023号公報
合皮レザーにニット基材が用いられる場合、製糸工程から編立工程と極めて工程が長くコスト高になりやすい。回復特性を高くするほど編み構造が複雑化し製品性能としては良好であるが、工業製品としての生産コストがより高くなりやすい。
また、不織布基材が用いられる場合、短繊維を不織布に製造する場合も、製糸工程からカード工程、機械的交絡処理が必要であり、ニット同様にコスト高になりやすく、短繊維を使用することから、伸ばした時に繊維構造が脱落しやすく、回復特性が損なわれやすい問題がある。
このように、合成レザーの基材として、ニットや短繊維の不織布では問題が生じる場合がある。また、合皮レザー基布に適した長繊維不織布は、従来、知られていない。
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む長繊維不織布であり、優れた伸縮性を有する長繊維不織布を提供することにある。また、当該長繊維不織布の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、これら課題を解決するために工程が簡略化できるスパンボンドによる製造工程を用い、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルを含む長繊維不織布について、鋭意研究を行った。その結果、新規な製造方法を採用することにより、低応力で変形が可能であり且つ、優れた伸縮性を有する長繊維不織布が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を提供する。
(1)ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、10%の伸長回復率が80%以上であることを特徴とする長繊維不織布。
上述したように、低コストで高い回復特性を持つ合皮レザー基布を製造する事は出来なかった。例えば、特許文献1では回復特性が良好であるが、極めてコストが高いが、本発明では、後に詳述するように、共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブを仮圧着した後、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施すことにより、製造コストが低く回復特性が良好な長繊維不織布を得る事が可能となった。
このように、本発明によれば、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含み、10%伸長時の伸長回復率が80%以上である長繊維不織布を提供することができる。圧縮しても復元するため合皮レザー基布として好適に使用できる。
(2)前記(1)の構成においては、不織布単体の10%伸長荷重が1.0N/25mm以下であることが好ましい。
10%伸長荷重が1.0N/25mm以下であると、合皮レザー基布として使用した際に手で触れた感触がソフトであり高級感を感じやすい。
(3)前記(1)又は(2)の構成において、見掛密度が0.1g/cc以上であることが好ましい。
見掛密度が0.1g/cc以上であるため、摩擦を受けにくく、基材として使用する場合、使用中にメクレが生じたりすることを防止することができる。
(4)前記(1)~(3)の構成において、前記長繊維は捲縮糸であることが好ましい。
前記長繊維は、捲縮糸であると、より優れた伸縮性が得られる。
(5)前記(1)~(4)の構成において、前記長繊維は芯鞘構造であることが好ましい。
前記長繊維が芯鞘構造であると、製造時に好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(6)前記(5)の構成において、前記芯鞘構造は芯成分の中央が2%以上偏心されていることが好ましい。
前記芯鞘構造において、芯成分の中央が2%以上偏心されていると、製造時により好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(7)前記(1)~(4)の構成において、前記長繊維はサイドバイサイド構造であることが好ましい。
前記長繊維がサイドバイサイド構造であると、製造時に好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(8)前記(1)~(7)の構成においては、機械的交絡処理が施されていないことが好ましい。
本発明に係る長繊維不織布は、後に詳述するように、共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブを仮圧着した後、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施すことにより得られる。非晶性ポリエステルは、130℃付近まで接着されにくい特性があり、接着点による拘束が起こりにくいため、捲縮加工の工程では、まず、伸縮が発現する。そして、伸縮が発現した状態で密着させることができる。そのため、機械的交絡処理を必要としない。機械的交絡処理を施さない構成の場合、安価に製造することができる。また、機械的交絡処理としてニードルパンチを採用する場合と比較して、ニードル針の混入といったリスクを回避することができる。
(9)前記(1)~(8)の構成において、前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることが好ましい。
前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であると、結晶性が適度に低下し、長繊維不織布に好適な捲縮を発現させることができる。
(10)前記(1)~(9)のいずれか1に記載の長繊維不織布を用いた合皮レザー用基布も本願発明に含まれる。前記長繊維不織布は、優れた伸縮性を有するであるため、合皮レザー基布として好適に用いることができる。
(11)前記(10)の合皮レザー用基布が用いられている合皮レザーも本願発明に含まれる。本願発明の合皮レザーは、良好な伸び縮み性の発現を容易にすることが可能となる。
また、本発明は以下を提供する。
(12)前記(1)~(9)に記載の長繊維不織布の製造方法であって、
溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する工程Aと、
前記工程Aで得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する工程Bと、
前記長繊維ウェブを仮圧着する工程Cと、
仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施す工程Dと
を備えることを特徴とする長繊維不織布の製造方法。
共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブは、熱による捲縮収縮が起こりやすいため、従来の長繊維不織布の製造方法では、見掛密度(嵩密度)が高く、且つ、優れた伸縮性を有する長繊維不織布を得ることはできなかった。一方、本発明では、共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブを仮圧着した後、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施すことにより、見掛密度が高く、且つ、優れた伸縮性を有する長繊維不織布を得ることが可能となった。
(13)前記(12)の構成においては、前記工程Dが、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程であることが好ましい。
前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬すると、長繊維に好適に捲縮加工を施すことができる。
(14)前記(13)の構成においては、前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸する工程Eを備えることが好ましい。
前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸すると、延伸倍率に応じた厚さの長繊維不織布が得られる。すなわち、横方向の延伸倍率により、得られる長繊維不織布の厚さを調節することができる。
(15)前記(14)の構成においては、前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施す工程Fを備えることが好ましい。
前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施すと、カレンダー加工のロール間距離により、得られる長繊維不織布の厚さをより好適に調節することができる。また、厚みの均一化が図れる。
(16)前記(15)の構成においては、前記工程Fにおけるカレンダー加工のロール間距離が0.1mm以上であることが好ましい。
前記工程Fにおけるカレンダー加工のロール間距離が0.1mm以上であると、繊維の過剰圧着に伴う伸縮機能低下や初期引張応力向上を抑えられる。
(17)前記(12)の構成においては、前記工程Dが、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程であることが好ましい。
温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施すと、長繊維に好適に捲縮加工を施すことができる。
(18)前記(12)~(17)の構成において、前記工程Aは、前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出する工程A-1を含むことが好ましい。
前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出すると、後の捲縮加工工程(工程D)において、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(19)前記(12)~(17)の構成において、前記工程Aは、前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出する工程A-2を含むことが好ましい。
前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出すると、後の捲縮加工工程(工程D)好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
(20)前記(12)~(19)の構成において、前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることが好ましい。
前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であると、結晶性が適度に低下し、長繊維不織布に好適な捲縮を発現させることができる。
本発明によれば、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む長繊維不織布であり、低応力でありながら優れた伸縮性を有する長繊維不織布を提供することができる。また、当該長繊維不織布の製造方法を提供することができる。本発明は、捲縮繊維の伸縮性を有効に利用した長繊維不織布であり、伸縮性が要求される合皮レザーの基材として好適に用いることが可能である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[長繊維不織布]
本実施形態に係る長繊維不織布は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維を含んで構成されており、10%伸長時の伸長回復率が80%以上である。
前記長繊維不織布を構成する前記長繊維は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸で構成される。
本明細書において、長繊維とは、紡糸時の繊維の長さがエンドレスであるもの(無端連続繊維)をいう。ただし、最終的に得られた長繊維不織布が所定長さに切断されたものである場合、長繊維の長さは、前記長繊維不織布の長さと同一となる。一方、短繊維とは、不織布中に含まれる繊維の長さが不織布の長さ未満のものをいう。つまり、長繊維不織布とは、不織布の長さと同一の長さの繊維(長繊維)で構成された不織布であり、短繊維不織布とは、前記短繊維不織布の長さ未満の繊維(短繊維)で構成された不織布をいう。
前記長繊維がポリエチレンテレフタレートを含むため、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を用いる場合と比較して機械的強度、耐熱性、保型性等に優れる。前記長繊維における前記ポリエチレンテレフタレートの含有割合は、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。前記ポリエチレンテレフタレートの含有割合が前記数値範囲内であると、機械的強度、耐熱性、保型性等により優れる。なお、ポリエチレンテレフタレートは、示差走査型熱量計(DSC)による測定において、結晶化に由来する発熱ピーク、及び/又は、結晶融解に由来する吸熱ピークを示すポリエステルである。
前記非晶性ポリエステルは、示差走査熱量計(DSC)による測定において、明確な結晶化発熱ピーク及び結晶融解ピークを持たない樹脂である。また、前記非晶性ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上である。前記ガラス転移温度(Tg)は、DSCにより昇温速度20℃/minで昇温時の潜熱の転移点から求めた値である。前記非晶性ポリエステルとして、ガラス転移温度(Tg)50℃以上のものを採用することにより、耐熱性が良好となる。すなわち、前記長繊維不織布においては、耐熱性と耐衝撃性とを向上させるために、非晶性でありながらTgの高い前記共重合ポリエステルを採用している。
また、前記共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(ホモポリマー)と比較して結晶性が低下している。前記長繊維不織布(前記長繊維)は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸であるため、熱処理された際に、結晶性の差に起因して収縮量に差が生じ、捲縮が発現する。
前記共重合ポリエステルの共重合成分としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、2,6ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール;ビスフェノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族グリコールが挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。前記共重合成分は、前記共重合ポリエステルのTgが50℃以上を保持できる範囲で選択されることが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、なかでも、以下の(a)~(d)が好ましく、(a)がより好ましい。
(a)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(b)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール15~50モルdである共重合ポリエステル。
(c)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分が1,4ブタンジオール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%である共重合ポリエステル。
(d)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分が1,4ブタンジオール50~85モル%及び1,4-シクロヘキサンジメタノール15~50モル%である共重合ポリエステル。
前記(a)、前記(b)の場合、エチレングリコールの含有量は、50~85モル%がより好ましく、65~75モル%がさらに好ましい。
前記(c)、前記(d)の場合、1,4ブタンジオールの含有量は、50~85モル%がより好ましく、65~75モル%がさらに好ましい。
前記(a)、前記(c)の場合、ネオペンチルグリコールの含有量は、15~50モル%がより好ましく、25~35モル%がさらに好ましい。
前記(b)、前記(d)の場合、1,4-シクロヘキサンジメタノールの含有量は、15~50モル%がより好ましく、25~35モル%がさらに好ましい。
前記(a)~前記(d)の共重合ポリエステルは、結晶性が適度に低下し、長繊維不織布に好適な捲縮を発現させることができる。また、熱安定性等の特性が好適である。
前記長繊維における前記共重合ポリエステルの含有割合は、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。前記共重合ポリエステルの含有割合が前記数値範囲内であると、好適に捲縮を発現させることができる。
前記共重合ポリエステルを製造するための共重合方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
前記長繊維は、芯鞘構造であることが好ましい。前記長繊維が芯鞘構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記芯鞘構造は、繊維断面が偏心されていることが好ましい。具体的には、芯成分の中央が2%以上偏心されていることが好ましく、3%以上偏心されていることがより好ましい。すなわち、実施例に記載の方法にて測定される偏心率が2%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましい。前記芯成分の中央の偏心は、大きいほど好ましいが、例えば、80%以下、60%以下等とすることができる。
前記芯鞘構造は、好適な捲縮が得られる観点から、鞘側が共重合ポリエステルであり、芯側がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
前記長繊維は、共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとが貼り合わせられたサイドバイサイド構造であることも好ましい。前記長繊維がサイドバイサイド構造であると、製造時に、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記長繊維の繊維径は、好ましくは5~60μm、より好ましくは10μm~50μm、さらに好ましくは12μm~40μmである。前記繊維径が5μm以上であると、スパンボンド法での可紡性がより良好となり、安定した製造が可能となる。また、前記繊維径が60μm以下であると、不織布の斑が悪くなりにくく、合皮レザー基布として使用する際に、合皮材の表皮への繊維の転写を抑制することができる。
前記長繊維不織布は、機械的交絡処理が施されていないことが好ましい。機械的交絡処理としては、例えば、ニードルパンチ法やウォーターパンチ法による交絡処理等が挙げられる。前記機械的交絡処理が施されていない場合、安価に製造できる点で好ましい。また、ニードルパンチ法を採用した場合に生じ得るニードル針の混入といったリスクを回避することができる点で好ましい。また、ウォーターパンチ法は、大量の水を使用し、且つ、莫大なエネルギーを必要とする。そのため、環境保存の観点、及び、省エネルギーの観点から、前記機械的交絡処理が施されていないことが好ましい。
前記長繊維不織布は、10%伸長時の伸長回復率が80%以上であり、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。また、前記10%伸長時の伸長回復率は、大きいほど好ましいが、例えば、98%以下、95%以下等とすることができる。前記10%伸長時の伸長回復率が80%以上であるため、伸縮性に優れ、合皮レザーとして使用した際に使用感が良好である。例えば、合皮材に腕などが触れ圧縮した場合に、型が付きにくい。
なお、本明細書において、「10%伸長時の伸長回復率が80%以上」とは、MD(machine direction)方向における10%伸長時の伸長回復率が80%以上であり、且つ、CD(cross direction)方向における10%伸長時の伸長回復率が80%以上であることをいう。
前記長繊維不織布は、見掛密度が0.1g/cc以上であることが好ましく、より好ましくは0.11g/cc以上、さらに好ましくは0.13g/cc以上である。また、前記見掛密度は、0.25g/cc以下である。前記見掛密度は、大きいほど好ましいが、例えば、0.23g/cc以下、0.20g/cc以下等とすることができる。前記見掛密度が0.1g/cc以上であるため、擦れが生じたとしても、摩擦を受けにくく、基材として使用する場合、使用中にメクレが生じたりすることを防止することができる。
前記長繊維不織布は、10%伸長荷重が1.0N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8N/25mm以下、さらに好ましくは0.6N/25mm以下である。前記5%伸長荷重は、小さいほど好ましいが、例えば、0.01N/25mm以上、0.05N/25mm以上等とすることができる。前記5%伸長荷重が1.0N/25mm以下であると、合皮レザー基材として使用した際に、圧縮による屈曲折れが生じ難い。
なお、本明細書において、「10%伸長荷重が1.0N/25mm以下」とは、MD(machine direction)方向における10%伸長荷重が1.0N/25mm以下であり、且つ、CD(cross direction)方向における10%伸長荷重が1.0N/25mm以下であることをいう。
従来、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む長繊維不織布であるにも関わらず、10%伸長時の伸長回復率が80%以上である長繊維不織布を得ることはできなかった。一方、本実施形態では、新規な製造方法、すなわち、共重合ポリエステルが含まれる長繊維ウェブを仮圧着した後、仮圧着された前記長繊維ウェブに前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する捲縮加工を施すことにより、10%伸長時の伸長回復率が80%以上を達成することが可能となった。
前記長繊維不織布は、合皮レザー基布として用いられることが好ましい。つまり、前記長繊維不織布は、合皮レザー基布として好適に用いることができる。前記長繊維不織布は、10%伸長時の伸長回復率が80%以上であるため、伸縮性に優れ、合皮レザーとして使用した際に使用感が良好であるからである。
以上、本実施形態に係る長繊維不織布について説明した。
次に、本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法について説明する。
[長繊維不織布の製造方法]
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法は、
溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する工程Aと、
前記工程Aで得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する工程Bと、
前記長繊維ウェブを仮圧着する工程Cと、
仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施す工程Dとを備える。
<工程A>
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法においては、まず、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する。
この工程Aは、従来公知の2成分スパンボンド紡糸機を用いて実施することができる。つまり、前記長繊維は、繊維を作る工程((紡糸工程)からそのまま不織布を製造する紡糸直結タイプの製造方法であるスパンボンド法にて製造することができる。
前記ポリエチレンテレフタレート、前記共重合ポリエステルとしては、上記の長繊維不織布の項で説明したもの採用することができる。
前記工程Aでは、紡糸速度を3500m/分以上で紡糸することが好ましい。つまり、溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて紡糸速度3500m/分以上で牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成することが好ましい。前記紡糸速度を3500m/分以上とすることにより、ポリエステルテレフタレートの配向結晶化度が高くなる。前記紡糸速度を3500m/分以上にすると、共重合ポリエステルも配向は進む。しかしながら、共重合ポリエステルは、結晶性が低いことから、その後に実施する捲縮加工工程(工程Dにおける加熱工程)において、共重合ポリエステル側の成分の収縮が起こることになり、捲縮が好適に発現する。前記紡糸速度は、より好ましくは3800m/分以上、さらに好ましくは4200m/分以上である。また、前記紡糸速度は、可紡性の観点から、好ましくは5500m/分以下、より好ましくは5000m/分以下である。
本明細書において、前記紡糸速度は、下記式(1)で得られる値をいう。
V=(10000×Q)/T (1)
ここで、Vは紡糸速度(m/分)、Tは単繊維の繊度(dtex)、Qは単孔吐出量(g/分)である。
単孔吐出量Qは、2成分の合計で、好ましくは0.2~5g/分である。前記単孔吐出量Qを0.2~5g/分に制御することにより、紡糸速度Vを所望の範囲に制御し易くなる。より好ましくは0.3~4g/分より好ましくは0.5~3g/分である。なお、単繊維の繊度T(dtex)は、10000メートルの単繊維の質量をグラム単位で表した値である。
前記工程Aにおいては、前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出する工程A-1を含むことが好ましい。前記偏心芯鞘ノズルとしては、従来公知のものを採用することができる。前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと、鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出すると、後の捲縮加工工程(工程D)において、好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記工程Aにおいては、前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出する工程A-2を含むことも好ましい。前記サイドバイサイドノズルとしては、従来公知のものを採用することができる。前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出すると、後の捲縮加工工程(工程D)好適に捲縮加工を施すことが可能となる。
前記工程Aにおいては、前記工程A-1、又は、前記工程A-2のいずれかを採用することが好ましい。
前記工程A-1、前記工程A-2のいずれを採用する場合であっても、オリフィス径0.1~0.5mmの紡糸口金より紡出し、エジェクターに1.5~4.0kg/cm2の圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、延伸することが好ましい。前記紡糸口金のオリフィス径は、0.15~mmであることがより好ましく、0.18~0.45mmであることがさらに好ましい。前記ジェット圧は、2.0~4.0kg/cm2がより好ましく、2.5~3.8kg/cm2がさらに好ましい。オリフィス径を上記範囲内に制御することにより、所望の繊維径が得られ易くなる。また、乾燥エアの供給圧力(ジェット圧)を上記範囲内に制御することにより、紡糸速度を所望の範囲に制御し易くなるとともに、適度に乾燥させることができる。
<工程B>
次に、前記工程Aで得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する(工程B)。例えば、下方のコンベア上へ前記長繊維を開繊させつつ捕集して、長繊維ウェブを形成すればよい。
<工程C>
次に、前記工程Bにより得られた前記長繊維ウェブを仮圧着する(工程C)。前記仮圧着は、前記長繊維ウェブが収縮しない温度範囲内において行う。これにより、好適に搬送することが可能となる。前記仮圧着時の温度としては、50℃~80℃が好ましく、より好ましくは、55℃~75℃、さらに好ましくは、60℃~70℃である。前記仮圧着は、フラットロールを用いることができる。仮圧着時の線圧としては、好ましくは1~10kg/cm、より好ましくは3~7kg/cmである。前記線圧を前記数値範囲内にすると、搬送による破断が生じず工程通過できる。
<工程D>
次に、仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施す(工程D)。捲縮加工を施された長繊維は、捲縮糸となる。
前記工程Dは、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程であることが好ましい。また、前記工程Dは、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程であることも好ましい。
以下では、まず、前記工程Dが、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程である場合について説明する。
前記捲縮加工を施す工程(前記工程D)が、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程である場合、前記沸水の温度は、80℃以上であれば特に限定されないが、85℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。前記沸水の温度は、急激な収縮に起因した皺の発生を抑制する観点から、99℃以下が好ましく、97℃以下がより好ましい。前記沸水の温度が80℃以上であるため、長繊維に好適に捲縮加工を施すことができる。
前記沸水への浸漬時間としては、特に制限されないが、好ましくは2秒以上、より好ましくは3秒以上である。前記沸水への浸漬時間が5秒以上であれば、充分に捲縮加工を施すことができる。前記沸水への浸漬時間としては、生産性の観点から、例えば、20秒以下、10秒以下等とすることができる。
沸水に使用する水分は特に限定しないが、含浸速度を向上させるために親水性を付与する液体を混ぜてもよく、環境面を考慮し中性洗剤などを適量加えることができる。
前記工程Dにおいて、前記長繊維ウェブを前記沸水に浸漬している間は、横方向に張力を加えないことが好ましい。横方向に張力を加えないことにより、見掛密度をより高めることができる。
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法は、前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸する工程Eを備えることが好ましい。前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸すると、延伸倍率に応じた厚さの長繊維不織布が得られる。すなわち、横方向の延伸倍率により、得られる長繊維不織布の厚さを調節することができる。
前記工程Eにおける延伸方法としては、従来公知のテンターを用いた延伸が好ましい。
前記工程Eにおける横方向の延伸倍率としては、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。また、前記延伸倍率としては、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましい。
なお、本明細書において、横方向の延伸倍率とは、延伸前の横幅に対する延伸倍率をいう。すなわち、延伸後の横幅は、延伸前の横幅100%に対して延伸倍率を加えた幅となる。例えば、延伸倍率が10%である場合、延伸後の横幅は、延伸前の横幅に対して110%となる。
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法は、前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施す工程Fを備えることが好ましい。前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施すと、カレンダー加工のロール間距離により、得られる長繊維不織布の厚さをより好適に調節することができる。また、厚みの均一化が図れる。
前記工程Fにおけるカレンダー加工のロール間距離は、0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上である。前記工程Fにおけるカレンダー加工のロール間距離が0.1mm以上であると、繊維の過剰圧着に伴う伸縮機能低下や初期引張応力向上を抑えられる。前記ロール間距離は、得られる長繊維不織布の厚さを好適に調節する観点から、0.7mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以下である。
前記工程Fにおけるカレンダー温度(ロールの温度)は、40℃以上であることが好ましく、より好ましくは50℃以上である。前記カレンダー温度を40℃以上とすることにより、繊維不織布の厚さをさらに好適に調節することができる。また、厚みの均一化がより図れる。
本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法は、前記工程Fの後、前記長繊維ウェブを乾燥させる工程Gを備えることが好ましい。
前記工程Gにおける乾燥温度は、水分除去の観点から、80℃以上が好ましく、より好ましくは90℃以上である。また、前記乾燥温度は、繊維同士の融着抑制の観点から、150℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下である。
前記工程Gにおける乾燥時間としては、水分除去の観点から、10秒以上が好ましく、より好ましくは20秒以上である。また、前記乾燥温度は、繊維同士の融着抑制の観点から、100秒以下が好ましく、より好ましくは60秒以下である。
以上、前記工程Dが、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程である場合について説明した。
次に、前記工程Dが、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程である場合について説明する。
前記工程Dが、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程である場合、前記加熱ローラーは、捲縮が発現する温度又はそれ以上に設定することになり、収縮も発生することになるが、本実施形態では、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施すため、捲縮に伴って収縮させた分、搬送の速度比率を下げるため、急激な収縮に起因した皺の発生等を抑制することができる。
前記加熱ローラーの本数は、2本以上が好ましく、4本以上がこのましい。複数の加熱ローラーを用い、徐々に速度比率を落としていくことにより、収縮量に応じて前記長繊維ウェブの面積を小さくすることができ、皺の発生等を抑制することができる。前記加熱ローラーの本数の上限は特に制限されないが、設備コストの観点から、例えば、12本以下、
10本以下等とすればよい。
捲縮加工の際の加熱温度(前記加熱ローラーの温度)としては、60~150℃が好ましく、70~140℃がより好ましく、80~130℃がさらに好ましい。前記加熱温度が前記数値範囲内であると、好適に捲縮を発現させることができる。前記搬送速度は、捲縮加工時の前記長繊維ウェブの収縮量に応じて遅くすればよい。
捲縮加工の際、必要に応じてニップを行ってもよい。ニップは、一番温度の高い加熱ローラーでの捲縮加工時に行うことが好ましい。一番温度の高い加熱ローラーでの捲縮加工時にニップを行うと、密着を向上させることができる。
上記の工程Dでは、捲縮を加熱ローラーに接触させた状態で施している。その結果、平滑で見掛密度が高く、且つ、薄く仕上げることができる。
以上、前記工程Dが、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程である場合について説明した。
以上、本実施形態に係る長繊維不織布の製造方法について説明した。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(固有粘度)
樹脂(ポリエチレンテレフタレート、又は、共重合ポリエステル)0.1gを秤量し、25mlのフェノール/テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で3回測定し、その平均値を求めた。
(ガラス転移温度)
JIS K7122(1987)に従って、20℃/分の昇温速度で、共重合ポリエステルのガラス転移温度を求めた。
(比重)
密度勾配管にて硝酸カルシウム四水和物から作成した密度勾配液を作製し1.29~1.5g/cm3の範囲の比重フロート範囲を用い、ジェット延伸後の繊維を密度勾配管に投入し4時間以上安定させて浮遊している位置のメモリを読み取り、フロートの検量線から比重を求めた。
(目付)
JIS L1913(2000)5.2に従って、単位面積当たりの質量を測定した。
(見掛密度(嵩密度))
JIS-L1913(2010)5.2に準拠して求められた上記目付及び厚みから1cm3当りの重量に換算し、嵩密度とした。具体的には、厚さ測定器により0.5g/cmの端子を用いて厚さを計測し、目付を厚さで除することにより嵩密度を求めた。
(繊維径)
試料(仮圧着前の長繊維ウェブ)の任意の場所5点を選び、光学顕微鏡を用いて単繊維の径をn=20で測定し、平均値を求めた。
(繊度(dtex))
試料(仮圧着前の長繊維フリース)の任意の場所5点を選び、光学顕微鏡を用いて単繊維径をn=20で測定して、平均単繊維径を求めた。同じ場所5点の繊維を取り出し、密度勾配管を用いて繊維の比重をn=5で測定し、平均比重を求めた。ついで、平均単繊維径より求めた単繊維断面積と平均比重から10000mあたりの繊維重量である繊度[dtex]を求めた。
(偏心率)
0.5~2mmの孔の開いた金属板を準備した。また、不織布からなる繊維を切り出し、黒色の繊維で包埋した。前記金属板の前記孔に、黒色の繊維で包埋した不織布からなる繊維を詰め込み、両端を剃刀でカットした。距離が計測できるソフトが導入されているコンピューターに接続された光学顕微鏡で、鞘側の外円の半径(R)を計測した。芯側の中心部と鞘側中心部の距離を計測し、これを偏芯距離(L)とした。次に、偏心率(%)を、下記式にて求めた。
(偏心率)=(L/R)×100
(紡糸速度(m/分))
紡糸速度V(m/分)は、上記繊度T(dtex)と設定の単孔吐出量Q(g/分)から下記式に基づいて求めた。
V=(10000×Q)/T
(10%伸長時の伸長回復率)
25×150mmの試料を準備した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、手でゆるまない程度に引っ張った状態で50mmのつかみ間隔に取り付け、初荷重を0.02N/25mmとした。この際の「(つかみ間隔)+(初荷重をかけた際に伸びた長さ)」を、L0とした。その後、引張速度25mm/分で、つかみ間隔の10%(5mm伸長)まで引き伸ばした。この際の長さをL1とした。その後、直ちに、同じ速度で初荷重まで除重した試料長をL2とした。10%伸長時の伸長回復率は、下式で求めた。縦方向、横方向それぞれn=5で測定し、平均値の小数点第一を四捨五入した。
10%伸長時の伸長回復率(%)=[(L1-L2)/(L1-L0)]×100
(10%伸長荷重)
25×150mmの試料を準備した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、手でゆるまない程度に引っ張った状態で50mmのつかみ間隔に取り付け、引張速度25mm/分で、つかみ間隔の10%まで引き伸ばした。初荷重を0.02N/25mmとし、この際の「(初期つかみ間隔50mm)+(初荷重をかけた際に伸びた長さ)」を補正した値をつかみ間隔とした。10%まで引き伸ばした際の荷重を5%伸長荷重とした。
(レザー複合時の触りなめらかさ)
湿式法により当該不織布を複合したものを縦横50cm厚さ20cmの軟質ウレタンフォーム全体を包み縫製したものを非縫製面から手のひらで10cm押し込んだ時に折れ曲がりがないものを5と判定、折れ曲がりが酷いものを1と判定した。折れ曲がり度合いにより2~4の範囲で判定した。
(レザー複合時の後戻り)
湿式法により当該不織布を複合したものを縦横50cm厚さ20cmの軟質ウレタンフォーム全体を包み縫製したものを非縫製面から手のひらで10cm押込み、解除後5秒以内で元に戻るものを5と判定、10秒で戻らないものを4と判定、20秒で戻らないものを3と判定、30秒で戻らないものを2と判定、40秒で戻らないものを1と判定した。
(実施例1)
2成分スパンボンド紡糸設備でサイドバイサイドノズルを用い、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度(iv値):0.63)と共重合ポリエステル(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%である共重合体、固有粘度(iv値):0.75、Tg:75℃)を質量比5.5(ポリエチレンテレフタレート):4.5(共重合ポリエステル)の割合で紡出した。紡出は、オリフィス径0.36mmの紡糸口金より単孔吐出量1.0g/分にて行った。その後、さらに、エジェクターに3.5kg/cmの圧力(ジェット圧)で乾燥エアを供給し、1段階で延伸して、下方のコンベア上へ繊維を開繊させつつ捕集し、長繊維ウェブを得た。次に、得られた前記長繊維ウェブを仮圧着した。仮圧着の条件は、仮圧着ロール温度60℃、線圧5kg/cmとした。
以上により得られた長繊維ウェブの繊維径は14.5μm、紡糸速度は4500m/分、目付量25g/mであった。
次に、得られた長繊維ウェブを沸水に浸漬した。沸水の温度、沸水への浸漬時間は、表1に記載の通りとした。なお、沸水への浸漬時は、横方向に張力を加えていない。
前記長繊維ウェブを沸水に浸漬した後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸した。延伸倍率は、表1に記載の通りとした。
前記長繊維ウェブを横方向に延伸した後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施した。
カレンダー温度(ロールの温度)、及び、カレンダー加工のロール間距離(カレンダークリアランス)は、表1に記載の通りとした。
前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施した後、前記長繊維ウェブを乾燥させた。乾燥温度は、表1に記載の通りとした。以上により、実施例1に係る不織布を得た。
(実施例2)
偏心度が0.1mmの芯鞘ノズルを使用し、鞘側に共重合ポリエステル(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%である共重合体、固有粘度(iv値):0.75、Tg:75℃)を配置させたこと、及び、横延伸倍率を8%に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で不織布を得た。
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステル(ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール70モル%及びネオペンチルグリコール30モル%である共重合体、固有粘度(iv値):0.75、Tg:75℃)を6.5:3.5の割合にしたこと、及び、横延伸倍率を5%に変更したこと以外は実施例2と同じ条件で不織布を得た。
(実施例4)
鞘側の共重合ポリエステルとして、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール85モル%及びネオペンチルグリコール15モル%である共重合体(固有粘度(iv値):0.75、Tg:75℃)を用いたこと、及び、横延伸倍率を3%に変更したこと以外は実施例2と同じ条件で不織布を得た。
(比較例1)
沸水の温度を表1の通りに変更したこと、及び、横延伸を行わなかったこと以外は、実施例3と同じ条件で不織布を得た。なお、横延伸を行わなかった理由は、比較例1では、横延伸する前の目付量が少なかったためである。すなわち、各実施例、比較例では、得られる不織布の目付量を同程度(100g/m程度)とするために横延伸しているが、比較例1では、横延伸する前の目付量が少なく、横延伸をすると目付量がさらに少なくなるため、行わなかった。
(比較例2)
14.5μmの繊維径、51mmの繊維長を有する捲縮繊維からなるポリエステル短繊維不織布100g/mを用いた。
(比較例3)
50dtexのポリエステルマルチフィラメントからなるスムース編み構造のニット100g/mを用いた。
得られた不織布の目付量、厚さ、見掛密度、MD方向の10%伸長荷重、CD方向の10%伸長荷重、MD方向の10%伸長時の伸長回復率、CD方向の10%伸長時の伸長回復率、及び、レザー複合後の触り柔らかさ、押しあと残り等級は、表1に示す通りであった。
表1より、実施例は比較例に対して、10%の伸長回復率が高く、レザー複合後において、なめらかで、後戻りがよいことがわかる。
本発明は、長繊維不織布であり生産性に優れ、伸長回復率が高く優れた伸縮性を有するため、例えば、レザー合皮用の基材として好適に活用することができる。よって、産業に大きく貢献できる。

Claims (20)

  1. ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを含む2成分複合紡糸の長繊維とを含んで構成されており、
    10%の伸長回復率が80%以上であることを特徴とする長繊維不織布。
  2. 不織布単体の10%伸長荷重が1.0N/25mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の長繊維不織布。
  3. 見掛密度が0.1g/cc以上であることを特徴とする請求項1に記載の長繊維不織布。
  4. 前記長繊維は、捲縮糸であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の長繊維不織布。
  5. 前記長繊維は、芯鞘構造であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の長繊維不織布。
  6. 前記芯鞘構造は、芯成分の中央が2%以上偏心されていることを特徴とする請求項5に記載の長繊維不織布。
  7. 前記長繊維は、サイドバイサイド構造であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の長繊維不織布。
  8. 機械的交絡処理が施されていないことを特徴とする請求項1~7のいずれか1に記載の長繊維不織布。
  9. 前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1に記載の長繊維不織布。
  10. 請求項1~9のいずれか1に記載の長繊維不織布を用いたことを特徴とする合皮レザー用基布。
  11. 請求項10の合皮レザー用基布が用いられていることを特徴とする合皮レザー。
  12. 請求項1~9のいずれか1に記載の長繊維不織布の製造方法であって、
    溶融させたポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルとを紡糸口金から吐出して、冷却固化させたのち、エジェクターにて牽引、延伸して2成分複合紡糸の長繊維を形成する工程Aと、
    前記工程Aで得られた前記長繊維を捕集して長繊維ウェブを形成する工程Bと、
    前記長繊維ウェブを仮圧着する工程Cと、
    仮圧着された前記長繊維ウェブに捲縮加工を施す工程Dと
    を備える長繊維不織布の製造方法。
  13. 前記工程Dが、前記長繊維ウェブを80℃以上の沸水に浸漬する工程であることを特徴とする請求項12に記載の長繊維不織布の製造方法。
  14. 前記工程Dの後、前記長繊維ウェブを横方向に延伸する工程Eを備えることを特徴とする請求項13に記載の長繊維不織布の製造方法。
  15. 前記工程Eの後、前記長繊維ウェブにカレンダー加工を施す工程Fを備えることを特徴とする請求項14に記載の長繊維不織布の製造方法。
  16. 前記工程Fにおけるカレンダー加工のロール間距離が0.1mm以上であることを特徴とする請求項15に記載の長繊維不織布の製造方法。
  17. 前記工程Dが、温度変調および速度比率の変更可能な2本以上の加熱ローラーを用いて、前記長繊維ウェブに、速度比率を徐々に落としながら捲縮加工を施す工程であることを特徴とする請求項12に記載の長繊維不織布の製造方法。
  18. 前記工程Aは、前記紡糸口金として偏心芯鞘ノズルを使用し、芯成分としての前記ポリエチレンテレフタレートと鞘成分としての前記共重合ポリエステルを、前記偏心芯鞘ノズルから吐出する工程A-1を含むことを特徴とする請求項12~17のいずれか1に記載の長繊維不織布の製造方法。
  19. 前記工程Aは、前記紡糸口金としてサイドバイサイドノズルを使用し、前記ポリエチレンテレフタレートと前記共重合ポリエステルとを繊維長さ方向にサイドバイサイド型に貼り合わせるように前記サイドバイサイドノズルから吐出する工程A-2を含むことを特徴とする請求項12~17のいずれか1に記載の長繊維不織布の製造方法。
  20. 前記共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール50~85モル%及びネオペンチルグリコール15~50モル%であることを特徴とする請求項12~19のいずれか1に記載の長繊維不織布の製造方法。
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