JP3188054B2 - 混繊長繊維不織布及びその製造方法 - Google Patents

混繊長繊維不織布及びその製造方法

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JP3188054B2 JP16006193A JP16006193A JP3188054B2 JP 3188054 B2 JP3188054 B2 JP 3188054B2 JP 16006193 A JP16006193 A JP 16006193A JP 16006193 A JP16006193 A JP 16006193A JP 3188054 B2 JP3188054 B2 JP 3188054B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,相互に熱水収縮率を異
にする複数のポリエステル系長繊維が混繊されてなり,
機械的性能が優れ,柔軟性とドレープ性及び嵩高性に富
み,衣料用や医療衛生材用の素材として好適な長繊維不
織布及びこれを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から,衣料用,医療・衛生材用,土
木資材や農業資材用あるいは一般産業資材用の素材とし
て短繊維不織布あるいは長繊維不織布が用いられてい
る。短繊維不織布では,紡糸工程あるいは延伸工程にお
いて熱履歴を異ならせて得た異収縮性双糸を混繊する方
法や,いわゆる高速紡糸法において紡糸口金から紡出し
た糸条の集束位置を異ならせて複屈折と収縮性能の異な
る異収縮性繊維糸条を混繊する方法等により,例えば柔
軟性やドレープ性の優れた不織布を得ることが知られて
いる。これに対し,スパンボンド法により得られる長繊
維不織布では,不織布を製造するに際し,溶融紡出され
た繊維糸条をエアーサツカ等の引取り手段を用い空気抵
抗により冷延伸・細化し,開繊器により開繊した後,連
続して移動式捕集面上に捕集・堆積してウエブを形成す
るという方法を採用するため,短繊維不織布に比較して
機械的性能とリントフリー性が優れ,製造工程が少なく
かつ安価であるものの,構成繊維間の収縮性能を異なら
しめることは困難であり,しかも,得られた不織布は,
その表面が平滑で,剛直であって,短繊維不織布に比較
して柔軟性やドレープ性あるいは嵩高性のいずれも劣る
ものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,前記問題を
解決し,相互に熱水収縮率を異にする複数のポリエステ
ル系長繊維が混繊されてなり,機械的性能が優れ,柔軟
性とドレープ性及び嵩高性に富み,衣料用や医療衛生材
用の素材として好適な長繊維不織布及びこの不織布を製
造する方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,前記問題
を解決すべく鋭意検討の結果,本発明に到達した。すな
わち,本発明は,下記のとおりの構成をその要旨とする
ものである。熱水収縮率Sa(%)及び熱水収縮率Sb
(%)が下記式(1),(2)及び(3)を満足するポ
リエステル系高収縮性長繊維Aとポリエステル系低収縮
性長繊維Bとが混繊され,かつ部分的熱圧着点が形成さ
れてなることを特徴とする混繊長繊維不織布。 15 ≦Sa(%)≦35 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 1.5≦Sb(%)≦25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) Sa(%)−Sb(%)≧7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) Sa(%):ポリエステル系高収縮性長繊維Aの熱水収
縮率 Sb(%):ポリエステル系低収縮性長繊維Bの熱水収
縮率 部分的熱圧着点の形成に引き続いて弛緩熱処理が施され
てなり,低収縮性長繊維Bが不織布表面層にループ状の
形態を呈して位置し,かつ高収縮性長繊維Aが不織布内
層に位置することを特徴とする前記混繊長繊維不織布。
ポリエステル系重合体を紡糸口金から溶融紡出し,紡出
長繊維群を冷却し引取りローラを用いて引取った後2群
に分割し,一方の長繊維群を引取りローラとその下流側
に配設された延伸ローラとの間で冷延伸して延伸長繊維
Aの群とし,他方の長繊維群を引取りローラとその下流
側に配設された延伸ローラとの間で両ローラ間に配設さ
れかつ下記式(4)を満足する温度T(℃)に加熱され
た延伸手段により熱延伸して延伸長繊維Bの群とし,得
られたこれら延伸長繊維Aの群及び延伸長繊維Bの群を
一旦混繊した後,再度複数の長繊維群に分割し,各長繊
維群毎にエアーサツカに導入して引取り,開繊器により
開繊した後,移動式捕集面上に捕集・堆積してウエブを
形成し,次いで熱圧着装置によりポリエステル系重合体
の融点Tm(℃)以下の温度で前記ウエブに部分的熱圧
着処理を施すことを特徴とする混繊長繊維不織布の製造
方法。 Tg≦T(℃)≦Tm−30 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(4) Tg:ポリエステル系重合体のガラス転移温度(℃) Tm:ポリエステル系重合体の融点(℃) 部分的熱圧着処理に引き続いてポリエステル系重合体の
融点Tm(℃)以下の温度で弛緩熱処理を施すことを特
徴とする前記混繊長繊維不織布の製造方法。
【0005】次に,本発明の不織布に関して,詳細に説
明する。本発明の不織布の第1の特徴は,熱水収縮率S
a(%)及び熱水収縮率Sb(%)がそれぞれ前記式
(1),(2)及び(3)を満足するポリエステル系高
収縮性長繊維Aとポリエステル系低収縮性長繊維Bとか
らなる点にある。ここでいうポリエステルとは,ポリエ
チレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル系重合体,あるいはフタル酸,イソフタ
ル酸,ナフタレン−2,6−ジカルボン酸,アジピン
酸,セバチン酸,パラオキシ安息香酸,5−ソジウムス
ルホイソフタル酸等の酸成分やジエチレングリコール,
1,4−ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,ポ
リアルキレングリコール等のジオール成分が10モル%
以下共重合された共重合ポリエステルであってかついず
れも繊維形成性を有するものであれば,特に限定される
ものではない。また,製糸性を損なわない範囲内であれ
ば,例えば艶消し剤,顔料,難燃剤,消臭剤,帯電防止
剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤等が添加されていてもよ
い。さらに,繊維の横断面形状も,通常の円形断面型以
外に三角形や四角形あるいは星型その他のいわゆる異型
断面であってもよい。本発明の不織布では,不織布を構
成する前記高収縮性長繊維Aと前記低収縮性長繊維Bの
単繊維繊度は特に限定されるものではないが,好ましく
は1.2デニール以上8デニール以下であるのがよい。
これらの単繊維繊度が1.2デニール未満であると,本
発明の不織布を製造するに際しての溶融紡糸時の製糸性
が低下し,一方,単繊維繊度が8デニールを超えると,
単繊維が太過ぎるため得られた不織布に粗硬感が生じた
り,ウエブ化工程における開繊性が低下したりして,い
ずれも好ましくない。したがって,本発明の不織布で
は,これらの単繊維繊度を好ましくは1.2デニール以
上8デニール以下,特に好ましくは1.5デニール以上
6デニール以下とするのがよい。
【0006】本発明の不織布では,前記高収縮性長繊維
Aと低収縮性長繊維Bは,その熱水収縮率Sa(%)及
び熱水収縮率Sb(%)がそれぞれ前記式(1)及び
(2)を満足することが必要で,この熱水収縮率Saが
35%を超えかつ熱水収縮率Sbが25%を超えると,
繊維の配向が低過ぎるためウエブに熱処理を施して得た
不織布に柔軟性の低下や粗硬感が生じたり,ウエブ化工
程における開繊性が低下したりし,一方,この熱水収縮
率Sbが1.5%未満であると,紡糸時の製糸性が低下
し,いずれも好ましくない。また,熱水収縮率Sa
(%)及び熱水収縮率Sb(%)が前記式(3)を満足
することも必要で,これらの熱水収縮率の差〔Sa−S
b〕が7%未満であると,これらの繊維からなるウエブ
に対する部分的熱圧着点の形成に引き続いて弛緩熱処理
を施したとき,低収縮性長繊維Bが不織布表面層にルー
プ状の形態を呈して位置し,かつ高収縮性長繊維Aが不
織布内層に位置するという特定の構造が形成されない。
したがって,本発明では,熱水収縮率Saを15%以上
35%以下,好ましくは15%以上25%以下とし,ま
た熱水収縮率Sbを1.5%以上25%以下,好ましく
は3.0%以上10%以下とし,さらに熱水収縮率の差
〔Sa−Sb〕を7%以上,好ましくは10%以上とす
る。
【0007】本発明の不織布の第2の特徴は,前記式
(1),(2)及び(3)を満足する高収縮性長繊維A
と低収縮性長繊維Bとが混繊されてなる点にある。本発
明の不織布では,同一の素材から形成されているにもか
かわらず収縮率を異にする前記高収縮性長繊維Aと前記
低収縮性長繊維Bとが混在しているため,これらの長繊
維からなるウエブに部分的熱圧着点を形成するに際し
て,高収縮性長繊維Aは熱接着性繊維として機能し,一
方,低収縮性長繊維Bは熱劣化をすることがなく,した
がって,不織布としての機械的性能が良好に維持され
る。
【0008】本発明の不織布の第3の特徴は,これらの
繊維からなるウエブに対する部分的熱圧着点の形成に引
き続いて弛緩熱処理を施したとき,低収縮性長繊維Bが
不織布表面層にループ状の形態を呈して位置し,かつ高
収縮性長繊維Aが不織布内層に位置するという特定の構
造が形成されてなる点にある。本発明の不織布では,収
縮率を異にする前記高収縮性長繊維Aと前記低収縮性長
繊維Bとが混在しているため,これらの繊維からなるウ
エブに対する部分的熱圧着点の形成に引き続いて弛緩熱
処理を施すと,高収縮性長繊維Aは高度に収縮するため
不織布の内層部に位置し,このとき低収縮性長繊維Bは
不織布表面層に取り残されるためいわゆるループ状の形
態を呈して位置することになり,したがって,不織布表
面層のこの繊維が寄与して従来にない柔軟性とドレープ
性そして嵩高性が発現される。
【0009】次に,本発明の不織布の製造方法に関し
て,詳細に説明する。本発明の不織布の製造方法は,ポ
リエステル系重合体を紡糸口金から溶融紡出し,紡出長
繊維糸条を冷却し引取りローラを用いて引取った後2群
に分割し,一方の長繊維群を引取りローラとその下流側
に配設された延伸ローラとの間で冷延伸して延伸長繊維
Aの群とし,他方の長繊維群を引取りローラとその下流
側に配設された延伸ローラとの間で両ローラ間に配設さ
れかつ前記式(4)を満足する温度T(℃)に加熱され
た延伸手段により熱延伸して延伸長繊維Bの群とし,得
られたこれら延伸長繊維Aの群及び延伸長繊維Bの群を
一旦混繊した後,再度複数の長繊維群に分割し,各長繊
維群毎にエアーサツカに導入して引取り,開繊器により
開繊した後,移動式捕集面上に捕集・堆積してウエブを
形成し,次いで熱圧着装置によりポリエステル系重合体
の融点以下の温度で前記ウエブに部分的熱圧着処理を施
すというものである。
【0010】本発明の製造方法の第1の特徴は,従来か
ら公知のスパンボンド法でポリエステル系重合体長繊維
からなる不織布を製造するに際し,溶融紡出長繊維群を
冷却し引取りローラを用いて引取った後2群に分割し,
一方の長繊維群を引取りローラとその下流側に配設され
た延伸ローラとの間で冷延伸して延伸長繊維Aの群と
し,他方の長繊維群を引取りローラとその下流側に配設
された延伸ローラとの間で両ローラ間に配設されかつ前
記式(4)を満足する温度T(℃)に加熱された延伸手
段により熱延伸して延伸長繊維Bの群とし,得られたこ
れら延伸長繊維Aの群及び延伸長繊維Bの群を一旦混繊
した後,再度複数の長繊維群に分割し,各長繊維群毎に
エアーサツカに導入して引取ることによって,熱水収縮
率Sa(%)及び熱水収縮率Sb(%)が前記式
(1),(2)及び(3)を満足する高収縮性長繊維A
と低収縮性長繊維Bとを構成繊維とする不織布を得る点
にある。なお,本発明の製造方法では,前述したような
各種ポリエステル系重合体を用いることができ,特に限
定されるものではない。
【0011】一般に,ポリエチレンテレフタレート重合
体に代表されるポリエステル系重合体からなる繊維で
は,溶融紡糸時の紡糸速度,紡糸応力,延伸倍率,延伸
温度等の製糸条件を変更することにより共重合という手
段を採ることなく熱収縮性能を変更し得ることが知られ
ている。特に,溶融紡糸に直結して延伸を行ういわゆる
直接紡糸延伸法においては,紡糸に連続した延伸工程に
おいてその延伸倍率や延伸温度等の条件により繊維の熱
収縮性能が著しく変化し,例えば,紡糸引取りローラと
その下流側に配設された延伸ローラとの間で延伸するに
際し,通常の室温下で延伸を行う冷延伸に対し加熱雰囲
気下で延伸を行う熱延伸では,得られる延伸繊維の熱収
縮率は大幅に低下する。本発明の製造方法では,前述し
たように溶融紡出長繊維糸条を冷延伸される長繊維群と
熱延伸される長繊維群との2群に分割し,得られた両延
伸長繊維群をエアーサツカに導入して引取った後ウエブ
化を行うため,熱水収縮率Sa(%)及び熱水収縮率S
b(%)が前記式(1),(2)及び(3)を満足する
高収縮性長繊維Aと低収縮性長繊維Bとから構成される
不織布を得ることができるのである。
【0012】本発明の製造方法では,引取りローラの周
速度すなわち紡糸速度は特に限定されないが,生産性を
考慮すると好ましくは300m/分以上,より好ましく
は500m/分以上,さらに好ましくは1000m/分
以上とするのがよい。本発明の製造方法では,前述した
ように溶融紡出長繊維糸条を冷延伸される長繊維群と熱
延伸される長繊維群との2群に分割するが,冷延伸は引
取りローラとその下流側に配設された延伸ローラとの間
で,また,熱延伸は引取りローラとその下流側に配設さ
れた延伸ローラとの間で両ローラ間に配設された延伸手
段によってそれぞれ行う。延伸手段としては,温度T
(℃)が前記式(4)を満足する加熱板や加熱筒あるい
は熱ローラを採用することができる。延伸倍率は,当然
ながら引取り速度に依存して変化するため一概に決定す
ることは困難であるが,これを敢えて特定すれば,1.
3以上4.5以下程度の範囲とするのがよい。延伸倍率
が1.3未満であると,得られる長繊維の強度が十分に
向上しないため不織布強力が劣り,一方,延伸倍率が
4.5を大きく超えると,延伸に際して単繊維自体が切
断するといった操業上の不都合が生じ,いずれも好まし
くない。本発明の方法では,前記2種の延伸を行い,冷
延伸された長繊維群では配向は進行するものの結晶化は
進行せず,したがって高収縮率の繊維群となり,また,
熱延伸された長繊維群では配向と共に結晶化が進行し,
したがって低収縮率の繊維群となる。また,熱延伸で
は,前述したように,前記延伸手段の温度T(℃)が前
記式(4)を満足することが必要で,延伸手段の温度T
がポリエステル系重合体のガラス転移温度Tg(℃)未
満であると,冷延伸された長繊維群との収縮率の差が小
さくなり,一方,延伸手段の温度Tが〔ポリエステル系
重合体の融点Tm(℃)−30℃〕を超えると,いわゆ
るスーパードロー延伸となって結晶化が進行せず,いず
れも好ましくない。
【0013】本発明の製造方法では,前述のようにして
得られた延伸長繊維Aの群及び延伸長繊維Bの群を同一
のエアーサツカに導入して引取った後,コロナ放電法や
摩擦帯電法等を用いた開繊器により開繊した後,連続し
てスクリーンコンベア等の移動式捕集面上に捕集・堆積
してウエブを形成し,次いで熱圧着装置によりポリエス
テル系重合体の融点Tm(℃)以下の温度で前記ウエブ
に部分的熱圧着処理を施す。本発明では,熱圧着装置と
して,加熱されたエンボスロールと加熱された平滑表面
ロールとを用いる他,超音波融着装置を採用することも
できる。部分的熱圧着処理に際しては,冷延伸された長
繊維が混在しているため,処理温度をポリエステル系重
合体の融点Tm(℃)以下の温度とする。また,部分的
熱圧着部の形状は,丸型,楕円型,菱型,三角型,T型
あるいは井型等の任意の形状とすることができる。さら
に,熱圧着面積率は,不織布としての形態を保持し,か
つ一般に不織布として要求される程度の強力を具備せし
めるように,例えば3〜50%の範囲内から適宜選択す
ればよいが,本発明の効果をより有効にするには4〜2
0%,より好ましくは6〜10%とするとよい。
【0014】本発明の製造方法の第2の特徴は,前記高
収縮性長繊維Aの群と低収縮性長繊維Bの群とからなる
ウエブに熱圧着装置によりポリエステル系重合体の融点
Tm(℃)以下の温度で部分的熱圧着処理を施した後,
さらにポリエステル系重合体の融点Tm(℃)以下の温
度で弛緩熱処理を施す点にある。本発明の製造方法で
は,熱圧着装置によりポリエステル系重合体の融点Tm
(℃)以下の温度で部分的熱圧着処理を施した後,ポリ
エステル系重合体の融点Tm(℃)以下の温度で弛緩熱
処理を施すことにより,低収縮性長繊維Bが不織布表面
層にループ状の形態を呈して位置し,かつ高収縮性長繊
維Aが不織布内層に位置する不織布を得ることができる
のである。すなわち,この弛緩熱処理を施すことによ
り,高収縮性長繊維Aは高度に収縮するため不織布の内
層部に位置し,このとき低収縮性長繊維Bは不織布表面
層に取り残されるためいわゆるループ状の形態を呈して
位置することになり,したがって,不織布表面層のこの
長繊維が寄与して従来にない柔軟性とドレープ性そして
嵩高性が発現される。この低収縮性長繊維Bが不織布表
面層において発現するループの大きさは,低収縮性長繊
維Bと高収縮性長繊維Aとの混繊比率や各繊維の単繊維
繊度,熱水収縮率等の特性の組み合わせや,部分的熱接
着処理時の圧接面積,弛緩熱処理時の処理温度と弛緩率
によって適宜制御することができる。このとき,前述し
たように,前記低収縮性長繊維Bと高収縮性長繊維Aと
が共に,その単繊維繊度が1.2デニール未満である
と,溶融紡糸時の製糸性が低下し,一方,単繊維繊度が
8デニールを超えると,単繊維が太過ぎるためウエブ化
工程における開繊性が低下したり,得られた不織布に粗
硬感が生じたりして,いずれも好ましくない。また,前
述したように,前記低収縮性長繊維Bと高収縮性長繊維
Aとが共に,その熱水収縮率Saが35%を超えかつ熱
水収縮率Sbが25%を超えると,繊維の配向が低過ぎ
るためウエブ化工程における開繊性が低下したり,ウエ
ブに熱処理を施して得た不織布に柔軟性の低下や粗硬感
が生じたりし,一方,この熱水収縮率Sbが1.5%未
満であると,溶融紡糸時の製糸性が低下し,いずれも好
ましくない。
【0015】
【実施例】次に,実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。なお,実施例における各種特性の測定及び評価
は,次の方法により実施した。 重合体の融点:パーキンエルマ社製示差走査型熱量計D
SC−2型を用い,昇温速度20℃/分で測定した融解
吸収熱曲線の極値を与える温度を融点とした。 固有粘度:ポリエチレンテレフタレート重合体の固有粘
度を次の方法により測定した。すなわち,フエノールと
テトラクロロエタンとの等重量混合液を溶媒とし,温度
20℃の条件で常法により測定した。 不織布の引張強力(kg/5cm幅):東洋ボールドウ
イン社製テンシロンUTM−4−1−100を用い,J
IS L−1096に記載のストリツプ法にしたがい測
定した。すなわち,試料幅が5cmで試料長が10cm
の試料片10片を準備し,各試料毎に引張速度10cm
/分で測定して最大引張強力(kg)を求め,得られた
各引張強力値の平均値を試料幅5cmで除して,不織布
の引張強力(kg/5cm幅)とした。 不織布の引張伸度(%):東洋ボールドウイン社製テン
シロンUTM−4−1−100を用い,前記試料片10
片につき各々引張速度10cm/分で測定し,得られた
引張伸度(%)の平均値を不織布の引張伸度(%)とし
た。 長繊維の熱水収縮率Saf(%)及びSbf(%):高収縮
性長繊維Aの熱水収縮率Saf(%)と低収縮性長繊維B
の熱水収縮率Sbf(%)をそれぞれ次の方法により測定
した。すなわち,試料長が90cmの試料片20本を準
備し,全試料片を一つに束ね沸水中にて処理時間30分
の沸水処理を施し,処理前の試料長Saf1(cm)及びS
bf1(cm)と処理後の試料長Saf2(cm)及びSbf2(c
m)を求め,下記式(5A)及び(5B)により熱水収
縮率Saf(%)及びSbf(%)を算出した。 熱水収縮率Saf(%)=〔1−(Saf2 /Saf1 )〕×100 ・・(5A) 熱水収縮率Sbf(%)=〔1−(Sbf2 /Sbf1 )〕×100 ・・(5B) 不織布の熱水収縮率Sw(%):試料幅と試料長が共に
25cmの試料片5片を準備し,各試料毎に沸水中にて
処理時間5分の沸水処理を施し,処理前の試料面積Sw
1(cm2 )と処理後の試料面積Sw2(cm2 )を求め,
下記式(6)により熱水収縮率Sw(%)を算出した。 熱水収縮率Sw(%)=〔1−(Sw2 /Sw1 )〕×100 ・・(6) 圧縮剛軟度(g):試料長が10cm,試料幅が5cm
の試料片計5点を作成し,各試料片毎に横方向に曲げて
円筒状物とし,各々その端部を接合したものを圧縮剛軟
度測定試料とした。次いで,各測定試料毎にその軸方向
について,定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン
社製テンシロンUTM−4−1−100)を用い,圧縮
速度5cm/分で圧縮し,得られた最大荷重値(g)の
平均値を圧縮剛軟度(g)とした。
【0016】実施例1 融点が259℃,ガラス転移温度が68℃で固有粘度が
0.70のポリエチレンテレフタレート重合体のチツプ
を通常の溶融紡糸装置を用いて温度290℃で溶融した
後,紡糸孔径が0.4mmでかつ全紡糸孔数が160の
紡糸口金を通し単孔吐出量を0.9g/分として紡出
し,紡出長繊維群を冷却装置を用いて冷却した。引き続
いて,紡出長繊維群を周速が1500m/分の引取りロ
ーラを用いて引取った後2群(1群当りの長繊維本数は
80本)に分割し,一方の長繊維群を引取りローラとそ
の下流側に配設されかつ周速が3800m/分の延伸ロ
ーラとの間で冷延伸して延伸長繊維Aの群とし,他方の
長繊維群を前記引取りローラとその下流側に配設された
周速が3800m/分の延伸ローラとの間で両ローラ間
に配設されかつ温度が180℃に加熱された直径10c
mで長さ1mの加熱筒により熱延伸して延伸長繊維Bの
群とした。引き続いて,得られた延伸長繊維Aの群及び
延伸長繊維Bの群を一旦混繊した後,再度4群の長繊維
群(1群当りの長繊維本数は40本)に分割し,各長繊
維群毎にエアーサツカに導入して引取り,コロナ放電式
開繊器を用いて開繊し,移動するスクリーンコンベア上
に堆積させてウエブを形成し,引き続き得られたウエブ
に圧着部が丸型で温度が235℃に加熱された熱エンボ
スロールを用い,熱圧着面積率を6%,ロール線圧を5
0kg/cmとして部分熱圧着処理を施し,混繊長繊維
不織布を得た。引き続いて,得られた混繊長繊維不織布
に移動式シユリンクドライヤを用い,処理温度を150
℃として弛緩熱処理を施し,目付けが20g/m2 の長
繊維不織布製品を得た。製造条件と得られた長繊維の収
縮特性及び不織布製品の各特性を表1に示す。
【0017】比較実施例1及び2 加熱筒の温度を50℃(比較実施例1)及び240℃
(比較実施例2)とした以外は実施例1と同様にして,
目付けが各々22g/m2 及び20g/m2 の長繊維不
織布製品を得た。製造条件と得られた長繊維の収縮特性
及び不織布製品の各特性を表1に示す。
【0018】比較例1 紡出長繊維群を分割せず,全て周速が1500m/分の
引取りローラとその下流側に配設された周速が3800
m/分の延伸ローラとの間で両ローラ間に配設されかつ
温度が180℃にに加熱された直径10cmで長さ1m
の加熱筒を通し熱延伸した以外は実施例1と同様にし
て,長繊維不織布製品を得た。製造条件と得られた長繊
維の収縮特性及び不織布製品の各特性を表1に示す。
【0019】比較例2 紡出長繊維群を分割せず,全て周速が1500m/分の
引取りローラとその下流側に配設された周速が3800
m/分の延伸ローラとの間で冷延伸した以外は実施例1
と同様にして,長繊維不織布製品を得た。製造条件と得
られた長繊維の収縮特性及び不織布製品の各特性を表1
に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1に示したところから明らかなように,
紡出長繊維群を2群に分割し,一方の長繊維群を冷延伸
して延伸長繊維Aの群とし,他方の長繊維群を熱延伸し
て延伸長繊維Bの群とした実施例1では,両延伸長繊維
間で熱水収縮率が大きく異なるものであった。そして,
得られた不織布製品は,収縮率を異にする長繊維が混在
しており,高収縮性長繊維は熱接着性繊維として機能
し,かつ低収縮性長繊維は熱劣化をすることがないため
不織布として実用上十分な強力を有しており,しかも弛
緩熱処理を施すことにより高収縮性長繊維が高度に収縮
して不織布の内層部に位置し,かつ低収縮性長繊維が不
織布表面層にループ状の形態を呈して位置し,優れた柔
軟性を具備するものであった。これに対し,熱延伸時の
加熱筒温度を重合体のガラス転移温度未満とした比較実
施例1では,得られた不織布製品は,両延伸長繊維間で
熱水収縮率が殆ど異ならず,不織布自体の熱水収縮率も
高く,柔軟性が劣るものであった。また,両延伸長繊維
間での熱水収縮率差を向上させることを目的に熱延伸時
の加熱筒温度を高くした比較実施例2では,得られた不
織布製品は,前記加熱筒の温度が高過ぎるため重合体自
体が熱劣化し,強力が劣るものであった。また,紡出長
繊維群を分割せずに全ての長繊維を熱延伸した比較例1
では,得られた不織布製品は,強力は高いものの柔軟性
が劣るものであった。さらに,紡出長繊維群を分割せず
に全ての長繊維を冷延伸した比較例2では,得られた不
織布製品は,比較実施例1と同様に不織布自体の熱水収
縮率が高く,柔軟性が劣るものであった。
【0022】
【発明の効果】本発明の混繊長繊維不織布は,相互に熱
水収縮率を異にする複数のポリエステル系長繊維が混繊
されてなり,機械的性能が優れ,柔軟性とドレープ性及
び嵩高性に富み,衣料用や医療衛生材用の素材として好
適である。そして,本発明の製造方法によれば,前記混
繊長繊維不織布を効率良く製造することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱水収縮率Sa(%)及び熱水収縮率S
    b(%)が下記式(1),(2)及び(3)を満足する
    ポリエステル系高収縮性長繊維Aとポリエステル系低収
    縮性長繊維Bとが混繊され,かつ部分的熱圧着点が形成
    されてなることを特徴とする混繊長繊維不織布。 15 ≦Sa(%)≦35 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 1.5≦Sb(%)≦25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) Sa(%)−Sb(%)≧7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) Sa(%):ポリエステル系高収縮性長繊維Aの熱水収
    縮率 Sb(%):ポリエステル系低収縮性長繊維Bの熱水収
    縮率
  2. 【請求項2】 部分的熱圧着点の形成に引き続いて弛緩
    熱処理が施されてなり,低収縮性長繊維Bが不織布表面
    層にループ状の形態を呈して位置し,かつ高収縮性長繊
    維Aが不織布内層に位置することを特徴とする請求項1
    記載の混繊長繊維不織布。
  3. 【請求項3】 ポリエステル系重合体を紡糸口金から溶
    融紡糸し、紡出長繊維群を冷却し引取りローラを用いて
    引取った後2群に分割し、一方の長繊維群を引取りロー
    ラとその下流側に配設された延伸ローラとの間で冷延伸
    して延伸長繊維Aの群とし、他方の長繊維群を引取りロ
    ーラとその下流側に配設された延伸ローラとの間で両ロ
    ーラ間に配設されかつ下記式(4)を満足する温度T
    (℃)に加熱された延伸手段により熱延伸して延伸長繊
    維Bの群とし、得られたこれら延伸長繊維Aの群及び延
    伸長繊維Bの群を一旦混繊した後、再度複数の長繊維群
    に分割し、各長繊維群毎にエアーサッカに導入して引取
    り、開繊器により開繊した後、移動式捕集面上に捕集・
    堆積してウエブを形成し、次いで熱圧着装置によりポリ
    エステル系重合体の融点Tm(℃)以下の温度で前記ウ
    エブに部分的熱圧着処理を施すことを特徴とする請求項
    1または2に記載の混繊長繊維不織布の製造方法。
  4. 【請求項4】 部分的熱圧着処理に引き続いてポリエス
    テル系重合体の融点Tm(℃)以下の温度で弛緩熱処理
    を施すことを特徴とする請求項3記載の混繊長繊維不織
    布の製造方法。
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