JP2003166127A - ポリエステル熱接着性複合繊維とその製造方法 - Google Patents

ポリエステル熱接着性複合繊維とその製造方法

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JP2003166127A
JP2003166127A JP2001366123A JP2001366123A JP2003166127A JP 2003166127 A JP2003166127 A JP 2003166127A JP 2001366123 A JP2001366123 A JP 2001366123A JP 2001366123 A JP2001366123 A JP 2001366123A JP 2003166127 A JP2003166127 A JP 2003166127A
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heat
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Hironori Aida
裕憲 合田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアレイド工程での空気分散性が良好で、優
れた熱接着性能を発揮し、かつ嵩高で反撥性をも兼ね備
えたエアレイド法不織布を得ることができるポリエステ
ル熱接着性複合繊維およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 芯がポリエチレンテレフタレート、鞘が
50〜220℃の融点または軟化点をもつイソフタル酸
共重合ポリアルキレンテレフタレートとし、繊度が30
〜90デシテックス、繊維長が3〜20mm、80℃乾
熱収縮率が5〜15%、熱収縮応力ピーク温度が65〜
85℃、膠着繊維束含有率が0.03重量%以下であっ
て、かつ、65〜90℃の温度で立体捲縮を発現する潜
在捲縮性能を有するエアレイド不織布用ポリエステル熱
接着性複合繊維による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアレイド法不織
布用ポリエステル系熱接着性複合繊維に関し、更に詳し
くは、嵩高で反撥性に優れたエアレイド法不織布の製造
に適したポリエステル系熱接着性複合繊維に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】エアレイド法により製造される不織布
は、従来のカード機を用いた抄造法で製造される不織布
に比べ、繊維の配向が進行方向と幅方向の差がなく均一
であり、また、嵩高性を発現し易い特徴があり、近年特
に生産量を伸ばしている分野である。
【0003】その中でも、更に嵩高であり、その上圧縮
回復性に富んだ不織布をエアレイド法で製造すべく、様
々な特性を有する繊維の使用が試みられている。例え
ば、特開2000−328415号公報には、繊維長3
〜40mm、繊度33〜89デシテックス(30〜80
デニール)といった比較的繊度の大きい平面ジグザグや
3次元立体の顕在捲縮を有する熱接着性複合繊維を使用
したエアレイド法不織布の記載がある。しかし、該公報
の技術範囲内では、嵩高性および圧縮回復性を良くする
ために顕在捲縮を多くすると、このような繊維は、空気
開繊工程で繊維同士が絡み合って分散性が悪くなり、未
開繊繊維塊がウェブに残り、醜悪なウェブ地合となるこ
とが多い。しかし、捲縮数を低く抑えると、不織布に充
分な嵩高性および圧縮回復性を付与することができない
という問題があった。
【0004】また、該公報に記載されているようなポリ
エチレン/ポリプロピレンあるいはポリエチレン/ポリ
エチレンテレフタレートなどのポリオレフィン系複合繊
維を使用した場合は、繊維自体の剛性が小さいため、嵩
高で圧縮回復性に優れていても、例えば敷物やコースタ
ーのような荷重をかけた状態で使用する用途では変形に
より嵩が消滅してしまうという問題があった。従って、
荷重のかかる用途に使用される不織布には、嵩高性に加
えて圧縮強さすなわち反撥性を具備させる必要がある。
【0005】なお、鞘成分、芯成分ともにポリエチレン
テレフタレート系ポリエステルとした、繊度30デシテ
ックス以上の複合繊維は、繊維自体の剛性が上がり、エ
アレイド不織布の反撥性を向上せしめることが知られて
いる。しかしながら、このような比較的繊度の大きなポ
リエチレンテレフタレート系ポリエステル複合繊維はそ
の鞘成分中に多数の膠着塊を有している場合が多く、均
一で秀麗なウェブ地合のエアレイド不織布を得るのが困
難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、嵩高性と反撥
性とに富み、均一で秀麗なウェブ地合いの不織布がエア
レイド法で得られるポリエステル熱接着性複合繊維およ
びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、芯成分がポリ
エチレンテレフタレート、鞘成分が50〜220℃の融
点または軟化点をもつイソフタル酸共重合ポリアルキレ
ンテレフタレートからなる複合繊維において、繊度が3
0〜90デシテックス、繊維長が3〜20mm、80℃
の乾熱収縮率が5〜15%、熱収縮応力ピーク温度が6
5〜85℃、膠着繊維束含有率が0.03重量%以下お
よび65〜90℃の温度で捲縮数7〜40個/25mm
の立体捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する熱接着性複
合繊維となすことによって課題を解決した。
【0008】また、芯成分がポリエチレンテレフタレー
ト、鞘成分が50〜220℃の融点または軟化点をもつ
イソフタル酸共重合ポリアルキレンテレフタレートから
なる熱接着性複合繊維を紡糸・延伸するに際し、溶融ポ
リエチレンテレフタレートを265〜280℃の温度範
囲とし、かつ溶融イソフタル酸共重合ポリアルキレンテ
レフタレートを180〜230℃の温度範囲とし、芯鞘
型複合紡糸口金を組み込んだスピンパックに導入し、該
溶融ポリマー同士を複合し、吐出し、15〜40℃の冷
却風で固化することおよび全延伸倍率を未延伸繊維の4
5℃温水中最大延伸倍率の0.7〜0.95倍に設定
し、70〜80℃の温水中で全延伸倍率の0.6〜0.
90倍まで延伸した後、60〜80℃の温水中で全延伸
倍率まで延伸することによって本発明のポリエステル熱
接着性複合繊維が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。まず、本発明のポリエステル熱接着性複
合繊維は、芯成分がポリエチレンテレフタレート(以
下、PETと称する)、鞘成分が50〜220℃の融点
または軟化点をもつイソフタル酸共重合ポリアルキレン
テレフタレート(以下I−PETと称する)からなる芯
鞘型複合繊維である。芯鞘型複合繊維の芯成分が、ポリ
プロピレンのようなポリオレフィンや脂肪族ポリアミ
ド、あるいはポリトリメチレンテレフタレートやポリブ
チレンテレフタレート等のPETより長鎖のジオール成
分をもつポリアルキレンテレフタレートの場合は、エア
レイド法でえられる不織布に充分な嵩高性と反撥性をも
たらすことができない。また、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート等のポリアルキレンナフタレートは剛性が
高く、不織布の反撥性は良好となるが、溶融粘度が高
く、溶融紡糸の過程で発生する膠着繊維束によって、ウ
ェブ地合の品位は劣ったものとなる。
【0010】ここで、PETとは、主たる繰り返し単位
の85モル%以上、好ましくは95モル%以上がエチレ
ンテレフタレートからなるポリエステルであり、また本
発明の効果を損なわない範囲で、テレフタル酸成分およ
びエチレングリコール成分以外の成分を少量共重合した
ものであっても良い。PETの固有粘度の範囲は0.5
0〜0.70の範囲が曳糸性の面から好ましく用いられ
る。また、これらのPETには、本発明の効果を阻害し
ない範囲で、顔料、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、蛍光増
白剤、紫外線吸収剤等の公知の添加剤を含んでいてもよ
い。
【0011】熱接着成分である鞘成分のI−PETは、
結晶性であっても非晶性であってもよいが、50〜22
0℃、好ましくは60〜200℃の融点または軟化点を
もつことが肝要である。融点または軟化点が50℃未満
では紡糸時の膠着に由来する膠着繊維束を少なくするこ
とができない。融点が220℃より高くなると、熱接着
機能が発現しないのでエアレイド不織布用熱接着繊維と
して使用することができない。
【0012】本発明のI−PETの代表的例として、イ
ソフタル酸を酸成分の20〜60モル%共重合したポリ
エチレンテレフタレート、イソフタル酸を酸成分の5〜
60モル%共重合したポリトリメチレンテレフタレー
ト、イソフタル酸を酸成分の3〜55モル%共重合した
ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸を酸成分の
1〜20モル%共重合したポリヘキサメチレンテレフタ
レートが挙げられる。特に、不織布の反撥性を向上する
面で、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート
が好ましい。また、融点または軟化点が50〜220℃
の範囲であれば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、アゼライン酸、ドデカン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの酸成分と、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジ
オール成分を共重合させてもよい。
【0013】繊維の複合形態が、芯鞘構造以外のサイド
バイサイド型、海島構造、セグメントパイ型等の場合
は、PET成分の曲げ剛性が小さくなり、不織布の反撥
性が下がるため好ましくない。鞘が芯を完全に被覆して
いれば、偏芯芯鞘構造をとっても差し支えない。芯と鞘
の比率は、重量比で芯/鞘=80/20〜30/70の
範囲にあればよい。芯比が80重量%を超えると、鞘部
分の熱融着機能が低下する傾向があり、芯比が30重量
%を下回ると、不織布の反撥性が小さくなる傾向が認め
られる。
【0014】本発明のポリエステル熱融着性複合繊維の
繊度は30〜90デシテックスであり、好ましくは40
〜70デシテックスである。繊度が30デシテックス未
満となると不織布の嵩高性および反撥性が不十分とな
り、90デシテックスより大きくなると、溶融紡糸の過
程で発生する膠着繊維束によって、得られた不織布のウ
ェブ地合は劣ったものとなる。
【0015】また、本発明のポリエステル熱融着性複合
繊維の繊維長は3〜20mm、好ましくは5〜15mm
である。繊維長が3mm未満の場合、不織布の強力を十
分高くすることができないし、熱処理後に発現する立体
捲縮による不織布の嵩高性および反撥性が不充分とな
る。繊維長が20mmを超えると、空気開繊工程で繊維
同士が絡み合って分散性が悪くなり、未開繊繊維塊がウ
ェブに残り、ウェブ地合の品位は劣ったものとなる。
【0016】また、本発明のポリエステル熱融着性複合
繊維の80℃における乾熱収縮率(以下80℃乾熱収縮
率と称する)は5〜15%、好ましくは6〜10%の範
囲である。なお、80℃乾熱収縮率は、所定の繊維長に
カットする前のトウの状態で測定し、下記式で計算し
た。 80℃乾熱収縮率(%)=〔(L0−L1)/L0〕×1
00 (ここで、L0、L1は、各々80℃熱風乾燥器中で無負
荷の状態で20分間熱処理する前後のトウの基準線の間
隔を示す。ただし、L0、L1測定は、0.040cN/
dtexの初荷重を付与した状態で行う。) 80℃乾熱収縮率が5%未満であると、熱処理後捲縮発
現が不充分となり不織布の嵩高性が不足する。80℃乾
熱収縮率が15%を超えると、熱処理後の捲縮数が過剰
となり、繊維長が短くなるために繊維の接着機能が充分
発現せず、不織布の強力が低下する。
【0017】また、本発明のポリエステル熱融着性複合
繊維の熱収縮応力ピーク温度は65〜85℃、好ましく
は70〜80℃の範囲である。ここで、熱収縮応力ピー
ク温度とは、5cmの輪状となした繊維試料を収縮応力
測定器の試料把持部に固定し、昇温速度120秒/30
0℃、初荷重0.09cN/dtexで熱収縮応力を測
定するとき、収縮応力が一番高い値を示す温度をいう。
熱収縮応力ピーク温度が65℃未満であると、保管中に
雰囲気温度が高くなった場合、あるいはエアレイド工程
での擦過発熱などがあった場合は、繊維の潜在捲縮が熱
処理前に発現してしまい、繊維の分散性が悪くなり、ウ
ェブ地合の均質性を損なう。また熱収縮応力ピーク温度
が85℃を超えると、熱処理時の潜在捲縮発現性が悪く
なり、不織布で充分な嵩高性および反撥性が得られな
い。
【0018】また、本発明のポリエステル熱接着性複合
繊維は0.03重量%を超える膠着繊維束を含んでいて
はならない。ここで膠着繊維束とは複合繊維単糸が2本
以上融着した状態をいい、複合繊維中に含まれる膠着繊
維束の重量%を膠着繊維束含有率とした。膠着繊維束含
有率が0.03重量%を超える場合は、得られた不織布
の地合は多数の膠着繊維塊が顕在し極めて醜悪な品位と
なり、製品として使用することができない。
【0019】また、本発明のポリエステル熱接着性複合
繊維は、65〜90℃の温度で捲縮数7〜40個/25
mm、好ましくは10〜30個/25mmの立体捲縮を
発現する潜在捲縮性能を有している。捲縮数が7個/2
5mm未満しか発現しない潜在捲縮性能であると、不織
布の嵩高性が不充分となる。また40個/25mmより
大きい捲縮数が発現する潜在捲縮性能であると、発現し
た捲縮のスパイラル径が小さくなるために、繊維間密度
が大きくなり、得られた不織布の嵩高性が不足する。
【0020】本発明のポリエステル熱接着性複合繊維は
以下の方法で製造することができる。すなわち、ペレッ
ト化したPETおよびI−PETを各々常法で乾燥後、
2基のスクリュー押出機を装備した複合紡糸設備で各々
溶融・混練し、スピンブロックに導入し、公知の偏芯芯
鞘型の複合紡糸口金を組み込んだスピンパックを介して
溶融PETとI−PETとを複合させて吐出する。
【0021】ここで、溶融PETは265〜280℃お
よび溶融I−PETは180〜230℃の温度範囲に保
持しつつ該スピンパックに導入することが肝要である。
この時、溶融PETの温度が280℃を、あるいは溶融
I−PETの温度が230℃を超えてしまうと、吐出後
の溶融ポリマー糸条流の冷却が不十分となり、多数の膠
着繊維束が発生する。溶融PETの温度が265℃未満
であると、ポリマー流の溶融粘度が急激に増大し紡糸不
可となる。溶融I−PETの温度が180℃未満である
と、紡糸口金吐出面での溶融ポリマー温度低下が起こり
紡糸不可となる。
【0022】吐出されたポリマー糸条流は、15〜40
℃に維持された冷却風で冷却・固化される。15℃未満
では口金面の温度低下を起こし易く、40℃以上では冷
却不足による膠着が発生し易い。十分に固化しない状態
で水冷などの液体の冷媒で冷却すると、液体の表面張力
による集束が起こり、繊維膠着を助長するので、空気冷
却とするのが好ましい。
【0023】冷却・固化後、油剤エマルジョンを付与
し、150〜3000m/分の速度で引き取り複合未延
伸繊維とする。油剤エマルジョンとしては、ポリエチレ
ングリコールとポリエチレンテレフタレートイソフタレ
ートセグメントを主成分とするポリエーテルポリエステ
ル共重合体の水系エマルジョンを好ましく用いることが
できる。
【0024】引き続き、得られた複合未延伸繊維を、公
知の温水延伸バスを具備した延伸装置を用い温水中で延
伸を行う。
【0025】本発明における延伸倍率設定は、全延伸倍
率(以下、TDRと称する)が未延伸糸の45℃温水中
最大延伸倍率(以下、HDRと称する)の0.7〜0.
95倍とすることが肝要である。ここでHDRとは、紡
糸直後から5分以内に採取した未延伸糸を、45℃の温
水中で、手でチャック長10cmとして5cm/秒の速
度でスリップしないように延伸して、これ以上伸びなく
なる時点のチャック長間隔(cm)を初期チャック長
(10cm)で除した値である。
【0026】TDRがHDRの0.7倍未満であると、
複合繊維の収縮応力が低く充分な潜在捲縮性能が付与さ
れず、熱処理後の捲縮発現が不充分となる。TDRがH
DRの0.95倍を超えると複合繊維の80℃乾熱収縮
率が5%未満となり、不織布の嵩高性が発現しない。
【0027】本発明の延伸は、先ず第1段延伸として7
0〜80℃の温水中でTDRの0.6〜0.90倍まで
延伸を実施し、次いで、第2段延伸として60〜80℃
の温水中でTDRまで延伸する方法で行われる。
【0028】温水温度が70℃未満であると延伸浴中で
未延伸糸の単糸切れが多発し、膠着束多発に繋がる。温
水温度が80℃を超える場合は、複合繊維の熱応力ピー
ク温度が85℃を超えてしまい、潜在捲縮発現性が悪く
なる。1段延伸倍率がTDRの0.6倍未満であると、
複合繊維の収縮応力が低くなり潜在捲縮発現性が悪くな
る。1段延伸倍率がTDRの0.90倍を超えると、複
合繊維の80℃乾熱収縮率が5%を下回る。
【0029】第2段延伸は60〜80℃の温水中で行
い、設定のTDRまで延伸する。温水温度が60℃未満
であると複合繊維の80%乾熱収縮率が15%を超えて
しまい、熱処理後発現する捲縮数が多すぎて接着強力が
低下する。一方、温水温度が80℃以上では熱応力ピー
ク温度が85℃を超えてしまい、潜在捲縮発現性が悪く
なる。
【0030】延伸終了後の複合繊維に、エアレイド加工
性や機能に応じた油剤を付与し、乾燥および弛緩熱処理
を行った後、3〜20mmの繊維長にカットする。な
お、クリンパーにて機械捲縮を付与してもよいが、捲縮
数0〜10個/25mmの範囲に留めることが好まし
い。
【0031】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測
定した。
【0032】(a)極限粘度(〔η〕) オルトクロロフェノールを溶媒として、温度35℃で測
定した。
【0033】(b)融点(Tm) JIS K7121記載の示査走査熱量測定(DSC)
に従って得たDSC曲線における吸熱ピーク温度として
定義した。
【0034】(c)軟化点(Ts) 結晶融点をもたないポリマーに限り、JIS K712
1記載の示査走査熱量測定(DSC)に従って得たDS
C曲線におけるガラス転移温度を軟化点(Ts)として
定義した。
【0035】(d)繊度 JIS L 1015 7.5.1 A法に記載の方法
により測定した。
【0036】(e)繊維長 JIS L 1015 7.4.1 C法に記載の方法
により測定した。
【0037】(f)80℃乾熱収縮率 所定の繊維長にカットする前のトウを約2200デシテ
ックス(以下dtexと記す)のトウに分離し、0.0
40cN/dtexの初荷重を付与した状態でL0の間
隔の基準線をマーキングする。続いて、80℃熱風乾燥
器中で無負荷の状態で20分間熱処理し、室温までの冷
却した後、0.040cN/dtexの初荷重を付与し
た状態で、基準線の間隔L1を測定し、下記の式より算
出した。 80℃乾熱収縮率(%)=〔(L0−L1)/L0〕×1
00
【0038】(g)熱収縮応力ピーク温度 カネボウ製収縮応力測定器を使用し、5cmの輪状糸を作
り、測定把持部に糸条を把持させ昇温速度120秒/3
00℃、初荷重0.09cN/dtexで収縮応力を測
定し、収縮応力が極大となる温度として定義した。
【0039】(h)膠着繊維束含有率 10gの繊維試料中に含まれる膠着繊維束を目視で検出
し、全試料重量にたいする膠着繊維束の重量百分率を膠
着繊維束含有率とした。
【0040】(i)捲縮数、捲縮率 所定の繊維長に切断前のトウより単糸を取り、JIS
L 1015 7.12に記載の方法により測定した。
なお、熱処理後の立体捲縮(三次元スパイラル捲縮)に
関しては、トウを単糸毎に分離して、熱風乾燥器中で9
0℃1分間熱処理し、室温まで冷却後、同様の方法で測
定した。立体捲縮数は、スパイラル1周期につき2個と
みなした。
【0041】(j)油剤付着率 所定繊維重量に対し、繊維から30℃のメタノールによ
って浴比1:20で10分間抽出した残査の重量を測定
し、所定繊維重量で除した値を用いた。
【0042】(k)ウェブ地合均一性 熱風乾燥器中で150℃2分間熱接着させた目付50g
/m2のエアレイドウェブを10cm角に切り出し、こ
れを更に縦、横共に2cm間隔で切断して、2cm角の
サンプル25枚を採取した。このサンプル25枚の重量
を測定し、その変動係数(標準偏差/平均値)をウェブ
地合均一性とした。変動係数が小さいほどウェブの地合
が均一であると定義した。
【0043】(l)不織布厚さ(嵩高性) 熱風乾燥器中で150℃2分間熱接着させた目付50g
/m2のエアレイドウェブの、平均の厚さを測定した。
厚さが大きいほど嵩高性が大きいことを示す。
【0044】(m)不織布圧縮率(反撥性) 熱風乾燥器中で150℃2分間熱接着させた目付50g
/m2のエアレイドウェブに関し、JIS L 109
7 5.3と同様の方法で、圧縮率を測定した。圧縮率
が高いほど反撥性が高いことを示す。
【0045】なお、エアレイドウェブの成形は、簡便法
として、5メッシュの金網篩上に熱接着性複合繊維サン
プルを載せ、緩やかに圧空を吹きつけながら金網篩を通
過させ、下面を大気開放とした16メッシュのポリエチ
レンテレフタレート製ネット上に均一に落下させること
によって得た。
【0046】[実施例1][η]0.64、Tm256
℃のPETおよび酸成分がモル比でテレフタル酸成分:
イソフタル酸成分=60:40、ジオール成分がモル比
でエチレングリコール:ジエチレングリコール=95:
5の割合で共重合された[η]0.56、Ts64℃の
非晶性I−PETを各々常法で乾燥した後、スクリュー
式押出機を2基設置した芯鞘型複合溶融紡糸装置にて各
々溶融した。
【0047】引き続き、溶融PETは275℃で芯成分
として、溶融I−PETは225℃で鞘成分として、芯
鞘形成性複合紡糸口金パックに導入し、芯/鞘体積比5
0/50の複合比率で2つの溶融ポリマー流を複合し、
吐出孔を70個穿設した該紡糸口金を通して、口金温度
280℃、吐出量680g/分で吐出した。
【0048】紡出した複合繊維糸条を30℃の冷風で冷
却し、紡糸油剤としてラウリルホスフェートカリウム塩
0.3重量%水エマルジョンをエマルジョン付着率が1
5重量%となるようにオイリングローラーを用いて付与
し、紡糸速度500m/分で引き取って芯鞘複合未延伸
繊維を得た。この複合未延伸繊維のHDRは4.4倍で
あった。
【0049】この複合未延伸繊維を集束し、15万デニ
ールのトウにして、まず75℃の温水中で3.2倍(H
DRの0.72倍)に延伸した後、74℃の温水中で更
に1.25倍延伸して(TDR4.0倍、TDR/HD
R=0.91)、ラウリルホスフェートカリウム塩/ポ
リオキシエチレン変成シリコンを80/20の重量比で
ミックスしてなる紡績用油剤を純分として0.25重量
%付与した。
【0050】その後、35℃で押し込み式クリンパーに
より捲縮を付与し、50℃で乾燥および弛緩熱処理を行
った後、繊維長5mmに切断して単糸繊度52dtex
の熱接着性複合繊維を得た。この熱接着性複合繊維の機
械捲縮数は4個/25mm、捲縮率は25%であった。
【0051】得られた熱接着性複合繊維の特性およびこ
の熱接着性複合繊維から得られた不織布の品位および性
能を表1にまとめて示す。
【0052】
【表1】
【0053】[実施例2]2段目延伸温度を69℃に変
更した以外は、実施例1と同一条件とした。得られた熱
接着性複合繊維の特性およびこの熱接着性複合繊維から
得られた不織布の品位および性能を表1にまとめて示
す。
【0054】[実施例3]繊度を70dtexとすべ
く、吐出量を915g/分とした以外は、実施例1と同
一条件とした。得られた熱接着性複合繊維の特性および
この熱接着性複合繊維から得られた不織布の品位および
性能を表1にまとめて示す。
【0055】[比較例1]2段目延伸温度を90℃に変
更した以外は、実施例1と同一条件とした。得られた熱
接着性複合繊維の特性およびこの熱接着性複合繊維から
得られた不織布の品位および性能を表1にまとめて示
す。
【0056】[比較例2]2段目延伸倍率を1.4倍、
TDRを4.5倍(TDR/HDR=1.02)に変更
した以外は、実施例1と同一条件とした。得られた熱接
着性複合繊維の特性およびこの熱接着性複合繊維から得
られた不織布の品位および性能を表1にまとめて示す。
【0057】[実施例4][η]0.64、Tm256
℃のPET、酸成分がモル比でテレフタル酸成分:イソ
フタル酸成分=80:20、ジオール成分がモル比でエ
チレングリコール:テトラメチレングリコール=65:
35の割合で共重合された[η]0.57、Tm155
℃の結晶性I−PETを各々常法で乾燥した後、スクリ
ュー式押出機を2基設置した芯鞘型複合溶融紡糸装置に
て各々溶融・混練した。
【0058】引き続き、溶融PETは275℃で芯成分
として、溶融I−PETは215℃で鞘成分として、芯
鞘形成性複合紡糸口金パックに導入し、芯/鞘体積比5
0/50の複合比率で2つの溶融ポリマー流を複合し、
吐出孔を70個穿設した該紡糸口金を通して、口金温度
280℃、吐出量680g/分で吐出した。
【0059】紡出した複合繊維糸条を30℃の冷風で冷
却し、紡糸油剤としてラウリルホスフェートカリウム塩
0.3重量%水エマルジョンをエマルジョン付着率が1
5重量%となるようにオイリングローラーを用いて付与
し、紡糸速度500m/分で引き取って芯鞘複合未延伸
繊維を得た。この複合未延伸繊維のHDRは4.7倍で
あった。
【0060】この未延伸繊維を集束し、15万デニール
のトウにして、まず72℃の温水中で3.1倍(HDR
の0.66倍)に延伸した後、65℃の温水中で更に
1.3倍延伸して(TDR4.0倍、TDR/HDR=
0.85)、ラウリルホスフェートカリウム塩/ポリオ
キシエチレン変成シリコンを80/20の重量比でミッ
クスしてなる紡績用油剤を純分として0.25重量%付
与した。
【0061】その後35℃まで自然に冷却された押し込
み式クリンパーで捲縮を付与し、105℃で乾燥および
弛緩熱処理を行った後、繊維長5mmに切断して単糸繊
度56dtexの熱接着性複合繊維を得た。このときの
機械捲縮数は4.1個/25mm、捲縮率は23%であ
った。
【0062】得られた熱接着性複合繊維の特性およびこ
の熱接着性複合繊維から得られた不織布の品位および性
能を表1にまとめて示す。
【0063】[比較例3][η]0.64、Tm256
℃のPETおよびメルトインデックス20g/10mi
n、Tm131℃、真密度0.95g/cm3の高密度
ポリエチレン(HDPE)を各々常法で乾燥した後、ス
クリュー式押出機を2基設置した芯鞘型複合溶融紡糸装
置にて各々溶融・混練した。
【0064】引き続き、溶融PETは290℃で芯成分
として、溶融HDPEは250℃で鞘成分として、芯鞘
形成性複合紡糸口金パックに導入し、芯/鞘体積比50
/50の複合比率で2つの溶融ポリマー流を複合し、吐
出孔を70個穿設した該紡糸口金を通して、口金温度2
80℃、吐出量660g/分で吐出した。
【0065】紡出した複合繊維糸条を30℃の冷風で冷
却し、紡糸油剤としてラウリルホスフェートカリウム塩
0.3重量%水エマルジョンをエマルジョン付着率が1
5重量%となるようにオイリングローラーを用いて付与
し、紡糸速度500m/分で引き取って芯鞘複合未延伸
繊維を得た。この複合未延伸繊維のHDRは4.85倍
であった。
【0066】この複合未延伸繊維を集束し、12万デニ
ールのトウにして、まず75℃の温水中で4.0倍(H
DRの0.82倍)に延伸した後、90℃の温水中で更
に1.25倍延伸して(TDR5.0倍、TDR/HD
R=1.03)、ラウリルホスフェートカリウム塩/ポ
リオキシエチレン変成シリコンを80/20の重量比で
ミックスしてなる紡績用油剤を0.25重量%付与し
た。
【0067】その後、40℃で押し込み式クリンパーに
より捲縮を付与し、105℃で乾燥および弛緩熱処理を
行った後、繊維長5mmに切断して単糸繊度56dte
xの熱接着性複合繊維を得た。この熱接着性複合繊維の
機械捲縮数は4.3個/25mm、捲縮率は18%であ
った。
【0068】得られた熱接着性複合繊維の特性およびこ
の熱接着性複合繊維から得られた不織布の品位および性
能を表1にまとめて示す。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、嵩高性と反撥性を備
え、地合いが良好なエアレイド法不織布の製造が可能と
なる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 AA15 AA18 AA19 AA20 BA02 BA05 BA21 BA49 BA59 BD03 BD11 CA06 CA12 CA14 DD01 DD04 DD05 DD15 4L047 AA21 AA27 AB02 AB07 AB10 BA05 BA09 BB06 BB09 CB01 CB02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯成分がポリエチレンテレフタレート、
    鞘成分が50〜220℃の融点または軟化点をもつイソ
    フタル酸共重合ポリアルキレンテレフタレートからなる
    複合繊維であって、繊度が30〜90デシテックス、繊
    維長が3〜20mm、80℃の乾熱収縮率が5〜15
    %、熱収縮応力ピーク温度が65〜85℃、膠着繊維束
    含有率が0.03重量%以下および65〜90℃の温度
    で捲縮数7〜40個/25mmの立体捲縮を発現する潜
    在捲縮性能を有することを特徴とするポリエステル熱接
    着性複合繊維。
  2. 【請求項2】 芯成分がポリエチレンテレフタレート、
    鞘成分が50〜220℃の融点または軟化点をもつイソ
    フタル酸共重合ポリアルキレンテレフタレートからなる
    熱接着性複合繊維を溶融紡糸するに際し、溶融ポリエチ
    レンテレフタレートを265〜280℃の温度範囲と
    し、かつ溶融イソフタル酸共重合ポリアルキレンテレフ
    タレートを180〜230℃の温度範囲とし、芯鞘型複
    合紡糸口金を組み込んだスピンパックに導入し、該溶融
    ポリマー同士を複合・吐出し、15〜40℃の冷却風で
    固化することを特徴とする請求項1記載のポリエステル
    熱接着性複合繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 芯成分がポリエチレンテレフタレート、
    鞘成分が50〜220℃の融点または軟化点をもつイソ
    フタル酸共重合ポリアルキレンテレフタレートからなる
    熱接着性複合未延伸繊維を延伸するに際し、全延伸倍率
    を未延伸繊維の45℃温水中最大延伸倍率の0.7〜
    0.95倍に設定し、70〜80℃の温水中で全延伸倍
    率の0.6〜0.90倍まで延伸した後、60〜80℃
    の温水中で全延伸倍率まで延伸することを特徴とする請
    求項1記載のポリエステル熱接着性複合繊維の製造方
    法。
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