JP7275557B2 - 複合繊維およびそれよりなる繊維構造体 - Google Patents
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Description
(1)ポリアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよび熱可塑性セルロース誘導体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂と側鎖融解型の蓄熱材料とからなり、吸放湿パラメーターΔMRが1.5%以上であり、示差走査熱量計において観測される吸熱ピーク温度および発熱ピーク温度が10℃以上、40℃以下の範囲にあり、吸熱ピークの温度幅および発熱ピークの温度幅が5℃以上、20℃以下である複合繊維。
(2)熱可塑性樹脂が吸湿性の化合物を含有しているポリアミドである(1)に記載の複合繊維。
(3)ポリアミド中に含有されている吸湿性の化合物がポリビニルピロリドンである(2)に記載の複合繊維。
(4)芯部に側鎖融解型の蓄熱材料、鞘部に熱可塑性樹脂を配した芯鞘複合繊維である(1)~(3)のいずれかに記載の複合繊維。
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の複合繊維を用いた繊維構造体。
試料0.25gを濃度1g/lになるように濃度98wt%の硫酸100mlに溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98wt%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
純度98%以上のオルトクロロフェノール(以下OCPと略す)10mlに試料0.8gを溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(t)を測定した。引き続き、OCPのみの流下時間(t0)を測定した。
固有粘度[IV]=0.0242ηr+0.2634・・・(2)
溶液の密度q(g/cm3)およびOCPの密度q0(g/cm3)と上記の流下時間を用いて、式(1)により相対粘度[ηr]を算出し、続いて式(2)により固有粘度(IV)を算出した。
TA instruments社製DSC2920を用い、試料20mgを、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から280℃まで昇温し、280℃の温度で5分間保持した後、降温速度20℃/分で280℃から20℃まで降温し、20℃の温度で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から280℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点とした。
繊維試料を枠周1.125mの検尺機にて200回巻き取ってかせを作製し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を繊度とした。
繊維試料をオリエンテック(株)製“TENSILON”(登録商標)UCT-100を測定機器として用い、化学繊維フィラメント糸試験方法(JIS L1013(2010))に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ-伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、引っ張り強度は、最大強力を繊度で除した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を引っ張り強度および伸度とした。
繊維試料を枠周1.125mの検尺機で20回巻き取ってかせを作製し、0.09cN/dtex荷重下で初長L0を求めた。次に無荷重下沸騰水中で30分間処理した後、風乾した。次いで0.09cN/dtex荷重下で処理後の長さL1を求め式(3)で算出した。
沸騰水収縮率(%)=[(L0-L1)/L0]×100・・・(3)
繊維試料を秤量瓶に1~2g程度量り取り、110℃で2時間乾燥させた後に質量を測定し、この質量をw0とした。次に乾燥後の繊維試料を温度20℃、相対湿度65%にて24時間保持させた後に質量を測定し、この質量をw65%とした。続いて、温度30℃、相対湿度90%に調整し、繊維試料を24時間保持させた後に質量を測定し、この質量をw90%とした。
MR1=[(w65%-w0)/w0]×100・・・(4)
MR2=[(w90%-w0)/w0]×100・・・(5)
ΔMR=MR2-MR1・・・(6)
このとき、式(4)~(6)にて算出したものをΔMRとした。
TA instruments社製DSC2920により示差熱量測定を行い、以下の条件(1)~(4)を3回繰返し、示差熱量測定を行った。
(1)-20℃から50℃まで4℃/分で昇温
(2)50℃で30分保持
(3)50℃から-20℃まで4℃/分で降温
(4)-20℃で30分保持
得られたDSC曲線のベースラインを-15℃、45℃の2点で引き、吸熱、発熱ピークにおけるピーク温度(℃)、吸発熱量ΔH(J/g)を計測した。この時、JIS K7121(2012)に記載の方法に準拠して、補外融解開始温度、補外融解終了温度、補外結晶化開始温度、補外結晶化終了温度を求めて、ピークの温度幅を求めた。
繊維試料の側面をキーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX2000にて300倍の倍率で撮影した画像において、無作為に抽出した10箇所について、繊維の幅の長さを測定し、その平均の小数点第2位を四捨五入して小数点第1位まで求めた値を繊維直径d(μm)とした。
繊維試料を切り出して、ベレック式コンペンセーターを備えたOLYMPUS BH-2偏光顕微鏡により、レターデーション(nm)を測定し、上記K項で求めた繊維直径d(μm)を用いて、式(7)により、Δnを求めた。
Δn=(レターデーション/繊維直径d)×10-3・・・(7)
繊維の5箇所について、Δnの測定を行い、その平均値を有効数字2桁となるように、3桁目を四捨五入して算出した値を試料の複屈折率とした。
繊維試料を英光産業製丸編機NCR-BL(釜径3インチ半(8.9cm)、27ゲージ)を用いて、度目が50となるように調整して筒編地を作製した。繊維の正量繊度が80dtex未満の場合は、筒編機に給糸する繊維の総繊度が80~160dtexとなるように適宜合糸し、総繊度が80dtexを超える場合は、筒編機への給糸を1本で行い、前記同様度目が50となるように調整して作製した。
室温を20℃、相対湿度60%に調整した室内に、上記N項で得られた筒編地と装置(KES-F7 THERMO LABO II TYPE(カトーテック(株)製))を1昼夜放置しておく。筒編地に接触させて熱の移動量を測定するT-BOXを室温より10℃高くするために蓄熱する熱板BTを30℃に設定し、BTを暖めるためにBTの回りでガードしている熱板G-BTを20.3℃に設定し、安定させる。筒編地の裏(着用時に肌側になる)面を上に向けたサンプルを置き、T-BOXをサンプルの上に素早くのせてq-maxを測定する。なお、サンプルの目付(g/cm2)は測定部の筒編地を10cm四方に切断し、重量を測定して算出した。
室温を20℃、相対湿度を65%に調整した室内に、上記N項で得られた筒編地を1昼夜放置しておく。熱板を40℃に温め、温度の安定を確認後、筒編地を熱板上に設置した。サーモカメラで筒編地の温度を計測し、40℃で温度が安定した後に、室内環境で放置された断熱材の上に筒編地を移動した。移動した瞬間を時間0として、サーモカメラで温度変化を計測し、室内環境の温度20℃に筒編地温度が到達するまでの時間を測定した。到達時間が15分以下であった場合、温度調節機能は好ましいとし、10分以下であった場合、より好ましいとした。
エチレンを主鎖にアクリレート系ポリマーが共重合されたMFR109の側鎖融解型の樹脂(住友化学製)を蓄熱材料として選択した。次に、添加物を含まないポリカプロラクタム(硫酸相対粘度2.71、融点220℃)にポリビニルピロリドン(BASF社製“ルビスコール”K30SP,K値=30)を20重量%添加したポリカプロラクタムマスターチップを作製した。続けて、添加物を含まないポリカプロラクタム(硫酸相対粘度2.71、融点220℃)に前記マスターチップをチップブレンドし、ポリビニルピロリドン添加率5.0重量%のポリカプロラクタムブレンドポリマーを調整し、このブレンドポリマーを熱可塑性樹脂として選択した。それぞれの材料および樹脂を250℃で溶融し、蓄熱材料を芯部、ポリカプロラクタムブレンドポリマーを鞘部として、同心芯鞘複合用口金(吐出孔径0.30mm、孔数18ホール)から芯/鞘比率(重量部)=50/50になるように吐出させた。なお、芯鞘比率については、溶融ポリマーを計量するギヤポンプ回転数によって調整した。糸条冷却装置で糸条を冷却固化し、給油装置により含水油剤を給油した後、第1ロールである引き取りローラーの周速度を800m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を800m/min、ワインダーの巻取速度を800m/minとして巻き取り、185dtex-18フィラメントの未延伸糸の芯鞘複合繊維を得た。続いて、第1ローラー温度90℃、第2ローラー温度160℃、第1ローラーと第2ローラーの周速度の比で表される延伸倍率を2.56倍として得られた未延伸糸を延伸し、73dtex-18フィラメントの芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
芯/鞘比率(重量部)=70/30としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
芯/鞘比率(重量部)=10/90としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
酸化チタンを0.32重量%含むポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.66、融点260℃)にポリエチレングリコール(数平均分子量8300g/mol、三洋化成工業製PEG6000S)を10重量%添加したポリエチレンテレフタレートマスターチップを作製した。前記マスターチップを熱可塑性樹脂として選択し、溶融温度を270℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
数平均分子量8300g/molのポリエチレングリコール(三洋化成工業製PEG6000S)を10重量%共重合したポリエチレンテレフタレートを熱可塑性樹脂として選択し、溶融温度を270℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
セルロース(コットンリンター)に無水酢酸、無水プロピオン酸を混合してエステル化反応させることで得られるセルロースアセテートプロピオネートに、数平均分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)およびリン系酸化防止剤としてビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを混練してセルロース脂肪酸混合エステルチップを得た。前記チップを熱可塑性樹脂として選択し、溶融温度を260℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
添加物を含まないポリカプロラクタム(硫酸相対粘度2.71、融点220℃)を250℃で溶融し、丸孔口金(吐出孔径0.30mm、孔数18ホール)から吐出させたこと以外は、実施例1と同様の条件でポリカプロラクタム単独繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂にn-オクタデカンを10重量%添加して、二軸混練機で混練した後に冷却してチップ化した。前記チップを蓄熱材料として選択したこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
同心芯鞘複合用口金の吐出孔径を0.15mmとし、第1ロールである引き取りローラーの周速度を400m/min、第2ロールである延伸ローラーの周速度を400m/min、ワインダーの巻取速度を400m/minとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維を得ようと試みたが、未延伸糸の巻き取り中に繊維が吸湿して膨潤し、安定巻き取りが困難であった。
芯/鞘比率(重量部)=95/5としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維を得ようと試みたが、未延伸糸の強度が低く、安定して延伸糸を得ることができなかった。
酸化チタンを0.32重量%含むポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.66、融点260℃)を熱可塑性樹脂として選択し、溶融温度を270℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件で芯鞘複合繊維の延伸糸を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
Claims (5)
- ポリアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドおよび熱可塑性セルロース誘導体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂と
側鎖融解型の蓄熱材料とからなり、
吸放湿パラメーターΔMRが1.5%以上であり、
示差走査熱量計において観測される吸熱ピーク温度および発熱ピーク温度が10℃以上40℃以下の範囲にあり、吸熱ピークの温度幅および発熱ピークの温度幅が5℃以上20℃以下である複合繊維。 - 熱可塑性樹脂が吸湿性の化合物を含有しているポリアミドである請求項1に記載の複合繊維。
- ポリアミド中に含有されている吸湿性の化合物がポリビニルピロリドンである請求項2に記載の複合繊維。
- 芯部に側鎖融解型の蓄熱材料、鞘部に熱可塑性樹脂を配した芯鞘複合繊維である請求項1~3のいずれかに記載の複合繊維。
- 請求項1~4のいずれかに記載の複合繊維を用いた繊維構造体。
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