JP2000080548A - 収縮不織布の製造方法 - Google Patents

収縮不織布の製造方法

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JP2000080548A
JP2000080548A JP25221898A JP25221898A JP2000080548A JP 2000080548 A JP2000080548 A JP 2000080548A JP 25221898 A JP25221898 A JP 25221898A JP 25221898 A JP25221898 A JP 25221898A JP 2000080548 A JP2000080548 A JP 2000080548A
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shrinkage
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polyester
shrink
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JP25221898A
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Takeshi Yamazaki
豪 山崎
Michinori Fujisawa
道憲 藤澤
Yoshihiro Tanba
善博 丹波
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】経時的に収縮率が変化する、ポリエステル系ポ
リマーおよびポリエチレン系ポリマーからなる収縮性多
成分系繊維から、経時変化の影響を解消し、均一な収縮
不織布を得る。 【解決手段】上記繊維から繊維ウェッブを作製し、ニー
ドルパンチし、そして85℃以上の液中で収縮処理して収
縮不織布を製造するに際し、該収縮処理に先立って該繊
維を55〜65℃の液中で処理することを特徴とする収
縮不織布の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレン系ポ
リマーおよびポリエステル系ポリマーからなる多成分系
収縮性繊維からなる収縮不織布の製造方法の改良に関す
る。更に詳しくは、経時的に収縮率が変化するポリエス
テル−ポリエチレン系繊維から不織布を製造するに当た
り、予備熱水処理することにより、経時変化の影響を解
消し、人工皮革、特にスエード調人工皮革に適した不織
布を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、収縮性ポリエステル系繊維のウェ
ッブまたは収縮性ポリエステル系繊維が混合されたウェ
ッブを絡合した後、収縮させることにより高い見掛密度
を有する柔軟な不織布となし、これにポリウレタンをバ
インダーとして含浸することにより、風合いのソフト
な、繊維密度の高い人工皮革用基材が得られることは公
知である。
【0003】収縮性ポリエステル系繊維の製造方法につ
いては従来から多数の提案がなされている。例えば、特
公昭41−12052号公報には、85%以上がエチレ
ンテレフタレート単位で構成されていて、35%以下の
結晶化度を有する高収縮性のポリエステル繊維が記載さ
れている。また特公昭62−46662号公報には、ポ
リエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレー
トなどのポリエステルやこれらポリエステルに芳香族ま
たは脂肪族ジカルボン酸、あるいはグリコールを共重合
したコポリエステルを溶融紡糸し、次いで60〜65℃
の温水中で2.4〜2.7倍に延伸し、65℃以下で乾
燥することによって高収縮性のポリエステル繊維を得る
方法が記載されている。また特公昭59−53388号
公報には、紡速1800〜3200m/分で巻きとられ
た未延伸糸を室温下で1.2〜2.1倍に延伸し高収縮
性のポリエステル繊維を得る方法が、さらに特開昭62
−110990号公報には、紡速2500〜4100m
/分の範囲で紡糸して延伸処理を施さないで高収縮性の
ポリエステル繊維を得る方法がそれぞれ記載されてい
る。
【0004】一方、多成分系繊維の延伸についても、特
公昭41−7893号公報や特公昭55−36723号
公報には、ポリスチレンで代表される環含有ビニル系ポ
リマーとポリエステルもしくはポリアミドからなる多成
分系繊維を延伸する方法が、また特公昭48−2536
6号公報や特開昭56−128314号公報には、海成
分が主としてポリスチレンまたはその共重合体からなる
海島繊維を延伸する方法が、さらに特公昭48−322
96号公報には、海成分が主としてポリスチレンからな
る、かつ紡出後24時間以上経過した海島繊維を延伸す
る方法がそれぞれ記載されている。また特開平4−33
3613号公報には、水分を20%以上含む状態で26
℃以上の温度下に120時間以上放置されたポリエステ
ルの単繊維、またはポリエチレンを海成分とするポリエ
ステル系多成分繊維の未延伸糸を75〜95℃で延伸し
た後、55〜75℃の温度条件で延伸をして、高収縮性
のポリエステル繊維を得る方法が記載されている。
【0005】しかしながら、このようにして得られたポ
リエステル系多成分系収縮繊維は収縮性能の経時変化安
定性に欠けるという問題があった。一例として、ポリエ
ステル系ポリマーとポリエチレン系ポリマーからなる多
成分系収縮性繊維を製造した後、直ちに室温で放置した
場合の収縮率の経時変化を示すと、繊維の製造直後は9
0℃の熱水中で3分収縮させた場合の収縮率が34%あ
ったものが、5日間放置後においては収縮率が31%と
なり、20日間放置後においては27%となり、さらに40
日間放置後においては24%となり、80日後において2
3%となり、以後放置時間にかかわらず23%を保つこ
ととなる。また保管温度が高い場合には、収縮率の変化
がより一層加速されることとなる。
【0006】しかもポリエチレン系ポリマーを一成分と
し、ポリエステル系ポリマーを他の一成分とする収縮性
繊維の場合には、収縮率が経時変化するにもかかわら
ず、繊維自体は放置中に収縮を生じることはない。すな
わち、ポリエステル系ポリマー単独からなる収縮性繊維
の場合には、放置時間の経過とともに収縮を生じること
となるが、ポリエチレン系ポリマーとポリエステル系ポ
リマーからなる収縮性繊維の場合には、ポリエチレン成
分が放置時間中に収縮が生じることを防ぐこととなるた
め、放置中は繊維自体の収縮は殆ど生じない。
【0007】繊維生産工程で得られた収縮性原綿は、製
造直後に不織布化され、直ちに熱水収縮処理される場合
もあれば、原綿状態で長期にわたり保管され、必要な時
に不織布化される場合もある。また不織布化された状態
で保管され、必要な時期に収縮処理される場合もある。
さらに放置時間の異なる2種以上の原綿をブレンドして
不織布を 製造せざるを得ない場合もある。しかし上記
したように、原綿の製造からの放置期間、保管温度によ
り不織布の熱水収縮率が変化し、不織布製造ロット間で
収縮率の異なる不織布が得られることとなる。さらに同
一ロットであっても、放置時間の相違する繊維がブレン
ドされている場合にはブレンドが不均一な場合には、不
織布の収縮率が部分部分で異なることから極めて不均一
な品質斑のあるものとならざるをえない。収縮率に差が
生じた場合には、不織布の目付け、緻密さや柔軟さにお
いて不織布間や不織布内でバラツキを生じ、品質的に不
安定なものとなる。特に人工皮革の分野においては、収
縮率が異なる繊維が用いられている場合には、得られる
人工皮革を構成する繊維の太さが相違することとなるた
め、緻密さや柔軟性において一定のものが得られず、さ
らにそのような太さの相違する繊維が立毛となっている
スエード調人工皮革においては、表面繊維の太さが異な
ることより、発色性も異なり、均一な色調を有する、一
定品質のものが得られないこととなる。
【0008】原綿での放置時間を一定に保ち、さらに不
織布を作成したのち収縮処理するまでの時間を一定にす
ることにより、上記ロット間での収縮率差をなくするこ
とは可能であうが、現実には、そのような管理を常に行
うことは殆ど不可能に近い。また原綿および作製不織布
を保冷保存することにより収縮率の低下を抑制すること
は可能であるが、設備的な面で、さらにそのような特別
の条件で保管するためのコストが多大となり、そのよう
な方法は実用的ではない。また収縮率低下が完了するま
で原綿または作製不織布を長期間放置する方法もある
が、収縮率低下が完了するまで放置するためには通常80
日以上が必要であり、そのような長期間にわたり保管し
ておくための広いスペースが必要となり、このような方
法も実用的ではない。
【0009】本発明者らは不織布の収縮処理におけるか
かる問題を解決すべく鋭意研究した結果、該繊維を予め
特定の温度で予備収縮させることによりこの問題が解決
できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステル系ポリマーおよびポリエチレン系ポリマーから
なる収縮性多成分系繊維から不織布を製造し、そして収
縮処理して収縮不織布を製造する方法において、収縮処
理するまでの繊維および不織布の放置条件による経時変
化の影響を極力消滅させ、安定した条件下で一定品質の
不織布が製造できる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ポリ
エチレン系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーから
なり、かつ熱水収縮性を有する多成分系繊維から繊維ウ
ェッブを作製し、ニードルパンチし、そして85℃以上の
液中で収縮処理して収縮不織布を製造するに際し、該収
縮処理に先立って該繊維を55〜65℃の液中で処理す
ることを特徴とする収縮不織布の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の繊維を構成する一成分で
あるポリエステル系ポリマーとは、エチレンテレフタレ
ート単位またはブチレンテレフタレート単位を主たる構
成単位とするポリマーであって、通常エチレンテレフタ
ール単位またはブチレンテレフタレート単位を85モル
%以上、好ましくは90モル%以上含み、ポリエチレン
テレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートの他
に、テレフタル酸、エチレングリコールおよびブタンジ
オール以外の芳香族または脂肪族のジカルボン酸あるい
はグリコールを共重合したコポリエステルまたはそれら
のポリエステル混合物を意味する。共重合成分として
は、イソフタール酸、2,6ーナフタリンジカルボン
酸、アジピン酸、セパチン酸、シュウ酸、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメ
タノール、Pーオキシ安息香酸、スルホイソフタル酸金
属塩、あるいはこれらの誘導体などが挙げられるが、以
上の具体的化合物に限定されるものではない。
【0013】本発明において、ポリエステル系ポリマー
として、酸化チタンの添加による白色不透明化はもちろ
ん、あらかじめ有機あるいは無機の顔料、染料などの着
色剤、金属塩などの消臭剤、抗菌剤、炭素微粉末などの
導電性物質などを練り混んだポリエステルチップを使用
しても構わない。
【0014】また本発明に用いられる繊維を構成するも
う一方の成分である、ポリエチレン系ポリマーとして
は、通常市販されているポリエチレン系ポリマーが用い
られ、もちろん他のモノマー単位を共重合したポリエチ
レン系ポリマーでもよい。なかでもASTM・D123
8で測定したMI(メルトインデックス)が50〜20
0g/10分の低密度ポリエチレンが良流動性であるこ
とから、ポリエステル系ポリマーとの多成分系繊維の紡
糸安定性に優れている点で特に好ましい。もちろんポリ
エチレン系ポリマーにも、抽出速度を活性化するような
物質が添加されていてもよい。本発明において、ポリエ
チレン系ポリマーとポリエステル系ポリマーは、後にお
いて、ポリエチレン系ポリマーを抽出除去することか
ら、両ポリマーは均一に混ざり合わないこと、すなわち
混和を有していないことが必要である。
【0015】繊維中におけるポリエステル系ポリマーと
ポリエチレン系ポリマーの量比(重量比)としては、95
/5〜40/60の範囲が紡糸の安定性や製品不織布の
用途等の点から選ばれ、特に人工皮革を目的とする場合
には、収縮の発現性、布帛の構造を緻密にし、毛羽密度
を良くするため、さらには溶剤による抽出効率の向上な
どのバランスから90/10〜65/35の範囲がより
好ましい。
【0016】なお本発明に用いる繊維としては、ポリエ
ステル系ポリマーおよびポリエチレン系ポリマーの他
に、本発明の目的を大きく損なわない範囲で第3のポリ
マーが存在していてもよい。
【0017】また本発明で言う、ポリエチレン系ポリマ
ーおよびポリエステル系ポリマーからなる多成分系収縮
性繊維の製法としては、これらのポリマーを同一溶融系
で溶融し、一方のポリマーを分散系、他のポリマーを分
散媒系として海島型断面の繊維を紡糸する方法、これら
のポリマーを別々の溶融系で溶融し、紡糸頭で一方を分
散系、他方を分散媒系となるように合流させて海島型断
面の繊維を形成させる方法、同じくこれらのポリマーを
別々の溶融系で溶融し、紡糸頭で合流して貼り合わせ型
の繊維を形成させる方法、またはこれらのポリマーを別
々の溶融系で溶融し、紡糸口金構造で規制し、分散系と
分散媒系を形成させ紡糸する方法が挙げられる。特に人
工皮革、中でもスエード調の人工皮革に用いる不織布の
場合には、ポリエチレン系ポリマーを分散媒成分(海成
分)、ポリエステル系ポリマーを分散成分(島成分)とす
る、海島型繊維とするのが、海成分を抽出除去すること
によりポリエステル系ポリマーからなる極細繊維の束状
繊維が得られ、天然スエード調のものが得られることか
ら好ましい。
【0018】このようにして紡糸されたポリエステル−
ポリエチレン系繊維は、公知の収縮繊維を得る方法で目
的に合った収縮率になるように延伸し原綿化される。例
えば、未延伸繊維を通常よりも低い温度の65℃の第1
浴と温度75℃の第2浴の間で延伸倍率を3.0倍と
し、延伸後の熱セットは行わないか、あるいは熱セット
を行うとしても50℃以下の低温で行うことにより繊維
の長さ方向の収縮率が25〜35%のものを得ることが
できる。収縮率としては、人工皮革として要求される見
掛け密度を達成する上で、熱水収縮処理する直前で25
%以上が好ましい。
【0019】このような多成分系収縮性繊維から、ウェ
ッブの作製は公知のウェッブ化技術が用いられる。ウェ
ッブ化する際に、該多成分系収縮性繊維以外の繊維を混
合してもよい。ウェッブ化の際には、通常のカード・ク
ロスラッパー装置が使用されるが、特にこれらに限定さ
れるものではない。得られた繊維ウエブは所望の重さ、
厚さに積層し、公知の方法でニードルパンチ処理を行
い、ニードルパンチ不織布とする。もちろん積層する際
に、他の繊維からなるウェッブや織編物等を間に挿入し
たり、上や下に重ねてもよい。パンチ数は通常300〜
3000パンチ/m2の範囲で処理を行う。
【0020】本発明では、ポリエチレン系ポリマーとポ
リエステル系ポリマーからなる収縮性繊維から形成され
た不織布を特定の温度条件で予備熱水処理をし、さらに
85℃以上の熱水で収縮を完了させることにより、製造
直後からの放置時間および放置温度条件が異なる繊維で
あっても、繊維間の収縮率差を少なくし、ほぼ均一な品
質の不織布を得るものである。なお本発明において、予
備熱水処理は、多成分系収縮性繊維を不織布化する前の
繊維の段階でも行うことが出来るが、不織布化した後に
おいていずれにおいても85℃以上の熱水中で収縮処理
することが必須であることから、繊維の段階で予備熱水
処理すると、不織布化するに先立って予備熱水処理した
繊維を乾燥することが必要であり、かつその際の乾燥条
件としても繊維の収縮性能を損なわないように低温条件
を用いることが必要となり、エネルギー的に不利とな
る。従って予備熱水処理は、85℃以上の熱水処理の直
前に行い、予備熱水処理して濡れた状態の不織布をその
まま85℃以上の熱水処理に供するのがエネルギー面で
好ましい。
【0021】本発明において、85℃以上の熱水処理に
より不織布は、面積収縮率が15%以上となるのが好ま
しく、15%未満の場合には、経時変化による収縮変化
が比較的少なく、本発明で問題とするトラブルは大きな
問題とはならないが、必要とする緻密性は付与されな
い。また収縮性繊維の収縮率は、不織布の収縮率と相関
関係を有するが、これらは必ずしも一致しない。本発明
は、収縮面積が未収縮のそれの15%以上、特に問題の
起こり易い30%以上収縮させる必要のある不織布を対
照とする場合に好適に用いられる。
【0022】本発明において重要なのは、85℃以上の
温度で熱水収縮処理するに先立って、55〜65℃の予
備熱水処理を行うことにある。本発明の予備熱水処理の
時間は2分以上必要であり、好ましくは4〜8分であ
る。この処理の効果は、不織布ロット間および熱水収縮
ロット間の差がなくなりその収縮率は、ある放置期間で
変化がなくなり一定の収縮率におちつく時の収縮率にな
ることである。すなわちこの予備熱水処理は、通常除々
に経時変化が起こりある一定の収縮率におちつく経時変
化の工程を一挙に完了させてしまう効果をもっている。
【0023】この効果発生要因は定かではないが、海成
分がポリエチレンであることに起因していると思われ
る。つまり55〜65℃の範囲では、通常の収縮性ポリ
エステル繊維ではすでに全収縮の30〜70%が完了し
ているが、海成分がポリエチレンの場合この収縮挙動を
抑えながら、経時変化で起こる変化を工業的に連続処理
可能な短時間で完了させるためと思われる。
【0024】すなわち、海成分のポリエチレンが、島成
分ポリエステルの収縮挙動を抑えられるのは65℃迄で
あり、それ以上の温度ではポリエステルの収縮力に負
け、通常の収縮が発現するのである。たとえば70℃の
予備熱水処理では全収縮率の70〜90%の収縮が予備
熱水処理で生じ、その後、引き続き85℃以上の温度で
収縮処理したものは、予備熱水処理をしないで85℃以
上の熱水処理だけをしたものとの面積収縮率は同じにな
る。また55℃未満の予備熱水処理では、島成分の収縮
挙動は発現しないが、経時変化で起こる変化を、工業的
に連続処理可能な時間で完了することが出来ない。たと
えば50℃の予備熱水処理を10分し、引き続き85℃
以上の熱水処理したものは、予備熱水処理では収縮しな
いが、引き続き85℃以上の熱水処理の工程で予備熱水
処理しないものと同収縮率となる。
【0025】予備熱水処理後引き続き熱水収縮処理する
温度は85℃以上必要である。残留収縮量を残さず収縮
を完了さすためには85℃以上、好ましくは90〜95
℃である。85℃未満では、不織布のもつている全収縮
が完了せず部分的な目付ムラや後工程の乾燥等で形態変
化を生じ品質が悪化する。この収縮処理に要する時間は
約10〜30秒で完了するが、不織布の均整度を考慮し
て2〜5分が好ましい。
【0026】本発明では、経時変化とともに収縮率の変
化する収縮性ポリエステルーポエチレン系繊維で得られ
た不織布を予備熱水処理方法により、経時変化の影響を
解消し、人工皮革の特にスエード系に適した不織布を工
業的に安定した方法で得ることかできる。本発明により
得られた不織布にポリウレタンで代表される弾性重合体
を含浸し、そして繊維を構成しているポリエチレン系ポ
リマーをトルエン等により抽出除去し、得られるシート
の表面をサンドぺーパー等により毛羽立てることにより
表面がポリエステル系ポリマーからなる極細繊維で覆わ
れたスエード調の人工皮革が得られる。そしてこのよう
なスエード調人工皮革を染色すると、均一な色調に染色
された高級感あるスエード調人工皮革となる。
【0027】
【実施例】次に、本発明の実施態様を具体的な実施例で
説明する。なお、実施例中の部および%はことわりのな
い限り、重量に関するものである。
【0028】本発明における製品の測定方法は以下の方
法による。 (1)繊維の収縮率:約15cmの長さの繊維試料に
0.002g/デニールの荷重下で10cmのマーキン
グをして、目的の温水中で目的の時間処理した後、試料
の寸法変化を測定し、次式により元の長さに対する収縮
率を求める。測定数はn=10とする。試料が短い場合
にはマーキング長を短くし、誤差を小さくなるように測
定数を適宜増加させる。 (1―収縮後繊維長/未処理繊維長)×100 (%) (2)不織布の収縮率:約20cm×20cmの不織布
の中央部に15cm×15cmのマーキングをして、こ
の不織布を縦×横×高さ=30cm×30cm×5cm
の金属バスケットに入れ、その後目的の温度の温水中に
目的の時間浸漬した後、試料の寸法変化を測定し、次式
により元の面積に対する面積収縮率を求める。測定はn
=10とする。試料面積が小さい場合にはマーキング面
積を小さくし、誤差が小さくなるように測定数を増加さ
せる。 (1―収縮後不織布面積/未処理不織布面積)×100%
【0029】実施例1 海成分としてMI(メルトインデックス)70の低密度
ポリエチレン、島成分として固有粘度0.68のポリエ
チレンタレフタレートを用いて、海成分が25%、島成
分が75%で、島の本数を50本にした海島型複合繊維
を、紡糸温度315℃、引取速度1100m/分で紡糸
した。この未延伸糸を80℃の温水浴で1.3倍延伸し
引き続き65℃の温水浴で延伸し全延伸倍率を3.0倍
とした。その後40℃で乾燥後、切断して単糸繊度4デ
ニール、長さ51mmの短繊維を得た。この短繊維を通
常のカード・クロスラッパー装置を用いウエーブとした
後、ニードルパンチを施し、目付300g/m2の不織
布を得た。
【0030】この製造直後の不織布は熱水90℃での面
積収縮率が58%であった。この不織布を30℃の保管
状態で5、10、20、40、80、160日、240
日後に各不織布を熱水90℃で3分間処理した後の面積
収縮率を測定した。その結果、保管日数とともに面積収
縮率は除々に低下し、約80日後に40%の面積収縮率
に低下していた。また180日ではそれ以上の変化はな
かった。またそれぞれの不織布を構成する繊維自体の収
縮率は5日保管、20日保管、40日保管、80日保管、160
日、240日保管でそれぞれ37%、33%、28%、2
5%、22%、22%であった。
【0031】また上記温度で保管の日数の異なる不織布
を各々60℃の温水で5分間処理し引き続き90℃で3
分間処理したものの面積収縮を測定した。その結果すべ
てほぼ40%の面積収縮率となっていた。
【0032】またこの製造直後の不織布で予備熱水処理
温度を40、50、55、60、65、70、80、9
0℃で各々5分間処理し、引き続き各々熱水90℃で3
分間処理し面積収縮率を測定した。55℃〜65℃で
は、経時変化完了後の面積収縮率(40%)であった
が、他は製造直後の面積収縮率(58%)であった。
【0033】実施例2 実施例1で得た不織布を予備熱水収縮温度60℃で5分
間処理し、引き続き熱水90℃で3分間処理した。面積
収縮率は40%であった。この不織布を加熱し、カレン
ダーロールでプレスすることで表面の平滑な絡合不織布
を作成した。この絡合不織布の目付は500g/m2
見掛密度は0.4g/cm3であった。この絡合不織布
にエーテル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン1
3%のDMF溶液を含浸し、DMF/水混合液の中に浸
して湿式凝固した後、熱トルエン中で複合繊維中の海成
分ポリマーを抽出除去して極細繊維を発現させ、繊維質
基体を得た。得られた繊維質基体を厚さ方向に2分割
後、分割面をバッフィングして厚さ0.5mmに調整
し、反対面を#400および#600のサンドペーパー
で起毛し表面に立毛を有する繊維質基体とした。この立
毛繊維質基体を高圧液流染色機で基体重量の3%の分散
染料Red RSE(三井化学製)で130℃で80分染色
後、還元、水洗、乾燥処理をした。かくして得られた人
工皮革は、色むら、目付むらのない均一なスエード調の
風合を有するシートであった。
【0034】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の方法によれ
ば、経時的に収縮率が変化する収縮性ポリエステルーポ
リエチレン系多成分系繊維から得られた不織布を予備熱
水処理方法により、経時変化の影響を解消し、人工皮
革、特にスエード系人工皮革に適した不織布を工業的に
安定した方法で得ることかできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L047 AA14 AA21 AA27 AB02 AB08 BA03 BA05 BA24 CB10 CC01 CC16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレン系ポリマーおよびポリエステ
    ル系ポリマーからなり、かつ熱水収縮性を有する多成分
    系繊維から繊維ウェッブを作製し、ニードルパンチし、
    そして85℃以上の液中で収縮処理して収縮不織布を製造
    するに際し、該収縮処理に先立って該繊維を55〜65
    ℃の液中で処理することを特徴とする収縮不織布の製造
    方法。
  2. 【請求項2】収縮不織布がスエード調人工皮革用不織布
    である請求項1記載の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100403766B1 (ko) * 2001-12-26 2003-10-30 주식회사 효성 고수축 복합사 단섬유를 이용한 부직포의 제조방법
CN1303274C (zh) * 2000-10-04 2007-03-07 纳幕尔杜邦公司 熔喷纤维、熔喷纤维网和包含熔喷纤维的复合非织造织物
CN103192568A (zh) * 2013-04-02 2013-07-10 福建鑫华股份有限公司 一种高性能均匀革基布

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