JPH11269625A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

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JPH11269625A
JPH11269625A JP7721298A JP7721298A JPH11269625A JP H11269625 A JPH11269625 A JP H11269625A JP 7721298 A JP7721298 A JP 7721298A JP 7721298 A JP7721298 A JP 7721298A JP H11269625 A JPH11269625 A JP H11269625A
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steel sheet
plating film
less
layer
temperature
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JP7721298A
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English (en)
Inventor
Masahiko Hori
雅彦 堀
Tamotsu Toki
保 土岐
Hiroshi Takebayashi
浩史 竹林
Yozo Hirose
洋三 広瀬
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】深絞り性が良好で、耐低温チッピング性、耐フ
レーキング性および耐パウダリング性を向上させた合金
化溶融めっき鋼板およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】C≦0.02%、Si:0.015〜0.
15%、Mn:0.08〜0.8%、P≦0.025
%、Ti:0.005〜0.08%、Nb:0〜0.0
8%、B:0〜0.005%、Al:0.01〜0.0
8%を含有する鋼板に、Feを8〜11%含有し、付着
量が40〜70g/m2 、母材とめっき皮膜のΓ層間A
およびΓ層とδ層間Bの境界層の厚さがいずれも1μm
以下であるめっき皮膜を有する鋼板。Alを0.05〜
0.135%含有する亜鉛めっき浴でめっきし、350
〜400℃に冷却し、500〜540℃に急速加熱して
前期合金化処理を施し、450℃以下に冷却し、400
〜450℃でFeを8〜11%に調整する後期合金化処
理を施す製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材等の用途に好適な、めっき皮膜の密着性および加工性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電、建材等の産業分野
において溶融亜鉛めっき鋼板が大量に使用されている
が、とりわけ経済性、防錆性、塗装性が優れた合金化溶
融亜鉛めっき鋼板が広く用いられている。
【0003】溶融亜鉛めっき鋼板は通常、低炭素Alキ
ルド鋼板や極低炭素Ti添加鋼板等を母材とし、これを
弱酸化性もしくは還元性雰囲気中で予熱し、さらに還元
性雰囲気中で高温に加熱または焼鈍した後、溶融亜鉛め
っき浴温度付近まで冷却し、めっき浴に浸漬して製造さ
れる。合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜鉛めっきし
た鋼板を500〜600℃に加熱し、Znめっき皮膜
を、平均のFe含有量が8〜12重量%であるFe−Z
n合金皮膜としたものである。合金化溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき付着量は通常片面当り20〜70g/m2
あり、この範囲以下のものは通常の手段において製造す
ることが難しく、この範囲を上回るものはめっき皮膜の
耐パウダリング性を確保することが困難であるので一般
には供給されていない。
【0004】自動車外装用途に用いられる合金化溶融亜
鉛めっき鋼板には、加工時には耐パウダリング性と耐フ
レーキング性が求められ、塗装されて使用される時には
耐食性、塗装鮮映性等と共に耐低温チッピング性が重視
される。
【0005】パウダリングは、鋼板が圧縮変形を受けた
場合に、めっき皮膜が粉状になって剥離する現象であ
る。パウダリングが生じるとその部分の耐食性が劣化
し、発生したZn粉末が金型に付着して成形品の外観品
質を損なう。パウダリングはFe―Zn合金化が進行
し、Г相(Fe3Zn10 )等の硬質な合金相が過剰に生
じると顕著になるといわれている。
【0006】特公平8−16260号公報には、めっき
皮膜中のFe含有量を低く制限してΓ相の発生を抑制し
てζ相(FeZn13)を形成させる合金化処理を施して
耐パウダリング性を改善し、その上面にFe系めっきを
施して耐フレーキング性を改善する合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法が開示されている。ζ相はめっき皮膜
中で柱状晶として成長するために、ζ相が発達するとめ
っき皮膜表面の凹凸がひどくなり、金型との間の摺動性
が損なわれてフレーキングが発生しやすくなる。特公平
8−16260号公報で開示されている方法は、これを
防止するために合金化溶融亜鉛めっき皮膜の上にさらに
Fe系めっきを施すものである。しかしこの方法では、
溶融めっき鋼板の上にさらに電気めっきを施さなければ
いけないので経済性が損なわれる。
【0007】フレーキングは、鋼板が金型の表面を摺動
する時に、めっき皮膜が薄片状に剥離する現象である。
フレーキングが生じるとプレス加工時の破断や形状不良
が生じやすく、成形品の外観や耐食性が損なわれる。フ
レーキングは、めっき皮膜表面が軟質な場合や、めっき
皮膜の摺動抵抗が大きく鋼板と金型との間の摩擦抵抗が
高くなる場合に発生しやすいとされている。フレーキン
グ防止方法として、プレス加工時の潤滑剤の保持性を向
上させるためにめっき皮膜の表面を粗くすることが考え
られるが、この方法では塗装後の鮮映性が損なわれる。
【0008】特開平5−331608号公報では、鋼板
の片面にδ1 相(FeZn7 )を主体とするめっき皮膜
を設けて耐フレーキング性を改善し、鋼板の他の面には
ζ相を主体とするめっき皮膜を配することによってパウ
ダリング性を改善した合金化溶融亜鉛めっき鋼板および
その製造方法が開示されている。しかしながら、この鋼
板は、使用に際して特定の表面を特定の方向にして使用
する必要があるので一般的ではない。また、上記のいず
れの文献にも耐低温チッピング性に関しては言及されて
いない。
【0009】低温チッピングは、寒冷時に塗装製品に石
はねなどによる衝撃力が加えられた際に、めっき皮膜が
母材界面から剥離する現象である。剥離部分では製品外
観とともに発錆などの問題も生じるので、自動車の外装
用途に用いる場合には特に問題になる。
【0010】特開平6−81099号公報には、極低C
鋼にSiを含有量させ、P含有量を低く制限し、さらに
めっき皮膜が接する母材表面の粗さを粗くすることによ
って耐低温チッピング性を改善した合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板が開示されている。Siを含有させることによ
り、合金化する際のめっき皮膜中のΓ相成長の結晶方位
依存性を助長し、かつ、母材の結晶粒界へのZnの浸入
を促進してZnを母材に食い込ませる、いわゆる投錨効
果を増すことにより、めっき皮膜と母材界面との密着性
が向上する、とされている。
【0011】また、W.van Koesveld らは、母材にSi
を少量含有させることによってめっき皮膜の密着性、特
にチッピング性が改善できることを指摘した(文献:GA
LVATECH '95 CONFERENCE PROCEEDINGS P343-355)。 し
かしながら、上述の特開平6−81099号公報や、W.
van Koesveldらの文献においては、このような耐低温チ
ッピング性が改善された鋼板の耐パウダリング性と耐フ
レーキング性の改善方法については示されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの研究結果
によれば、耐低温チッピング性を改善するためにSi含
有量を増したIF(Interstitial Free )鋼を母材に用
いると、耐フレーキング性が損なわれる場合があるた
め、自動車用途に用いるには改善が必要であることが判
明した。
【0013】これは、母材にSiを含有させたために合
金層の表面が通常よりも軟質になり、摺動性が悪くなる
のが原因と推察された。合金化しためっき皮膜内では、
Fe含有量が母材界面側で高くめっき皮膜の表面側で低
くなる濃度勾配が生じることが知られている。母材にS
iを含有させるとめっき皮膜内でのFeの濃度勾配がさ
らに大きくなり、平均のFe含有量が同じであれば、め
っき皮膜表層部の鉄含有量がより低くなって表面が軟質
になるものと推測された。摺動性を改善するべくめっき
皮膜の鉄含有量を高めると、母材界面での鉄含有量が平
均以上に高くなるために、めっき皮膜の加工性が著しく
劣化して耐パウダリング性が損なわれる。
【0014】以上述べたように、これまでに開示されて
いる方法では、IF鋼を母材とした場合に、耐低温チッ
ピング性およびプレス加工時の耐パウダリング性と耐フ
レーキング性ともに優れる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造するのが困難であった。本発明が解決しようとする
課題は、上記の問題点を解決し、深絞り性が良好で、耐
低温チッピング性の優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板で
の耐フレーキング性および耐パウダリング性を向上さ
せ、皮膜密着性に優れた合金化溶融めっき鋼板およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記
(1)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板および(2)
に記載のその製造方法にある。
【0016】(1)化学組成が重量%で、C:0.02
%以下、Si:0.015〜0.15%、Mn:0.0
8〜0.8%、P:0.025%以下、Ti:0.00
5〜0.08%、Nb:0〜0.08%、B:0〜0.
005%、sol.Al:0.01〜0.08%、残部
がFeおよび不可避的不純物である鋼からなる母材の少
なくとも片面に、Feを8〜11重量%含有し、残部が
実質的にZnからなり、母材とΓ層間の境界層の厚さが
1μm以下、Γ層とδ層間の境界層の厚さが1μm以下
である付着量が40〜70g/m2 のめっき皮膜を有す
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0017】(2)上記(1)の化学組成を有する鋼板
に、Alを0.05〜0.135重量%含有する溶融亜
鉛めっき浴を用いてめっきした後、一旦350〜400
℃に冷却した後、25℃/秒以上の加熱速度で500℃
以上に加熱し、500〜540℃でめっき皮膜中にFe
を7重量%以上、8重量%未満含有させる前期合金化処
理を施し、15℃/秒以上の冷却速度で450℃以下に
冷却し、400〜450℃でめっき皮膜中のFe含有量
を8〜11%に調整する後期合金化処理を施すことを特
徴とする上記(1)の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法。
【0018】合金化処理初期のめっき皮膜は、母材側か
らΓ相(Fe3Zn10、Fe5Zn21等)、δ相(FeZ
7 等)、ζ相(FeZn13)等の合金相からなる層
と、最表面の固相および未凝固のZnで構成されてい
る。Γ相のFe含有量は18.5〜31原子%であり、
δ相のFe含有量は8.5〜13原子%、ζ相のFe含
有量は5.5〜6.2原子%の範囲である。Feが1
8.5〜23.5at%のものをΓ1 相とすることもあ
るが、本発明では、特に限定しない場合には、Γ1 相を
含めて単にΓ相と記す。合金化の進展につれてめっき皮
膜のFe含有量が増し、Zn相やζ相が消失する。合金
化処理完了時のめっき皮膜は、通常は、Γ相からなる層
(以下、単に「Γ層」と記す)とδ相からなる層(以
下、単に「δ層」と記す)で占められるが、僅かにζ相
が表層部に残存する場合もある。
【0019】本発明では、合金化の進行過程を前期と後
期に区分する。めっき皮膜表面のZn相が消失するまで
の合金化処理を「前期合金化処理」その際の合金化温度
を「前期合金化温度」、Zn相が消失した時以降の合金
化処理を単に「後期合金化処理」、その際の合金化温度
を「後期合金化温度」と記す。
【0020】本発明者等は、耐低温チッピング性を確保
するためにSiを含有させた極低炭素鋼を母材とする合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の、めっき皮膜の耐フレーキン
グ性と耐パウダリング性の改善方法について詳細な研究
をおこなった。その結果、以下に述べるように、これら
の性質がめっき皮膜の内部構造に大きく影響されている
ことを知見した。
【0021】 合金化処理完了後のめっき皮膜では、
母材表面とΓ層、およびΓ層とδ層の間には、双方が混
在する境界領域(以下、単に「境界層」と記す)が形成
される。この境界層の厚さが、ある限界値を超えて厚く
なると耐パウダリング性が著しく劣化する。
【0022】境界層が厚くなると耐パウダリング性が劣
化する理由の詳細は不明であるが、この境界層は硬度が
異なる相が混合して形成されている部分であるため、め
っき皮膜が加工された場合に破壊されやすく、その厚さ
が増すにつれてめっき皮膜の剥離頻度が増してパウダリ
ング不良となるものと推測される。
【0023】 これらの境界層は、後期合金化温度を
450℃よりも高くすると、母材/Γ層間およびΓ層/
δ層間のいずれの境界層とも厚くなりやすい。境界層を
薄くするには、後期合金化温度を450℃以下にするこ
とが重要である。
【0024】 後期合金化処理を450℃以下の温度
で施しても、前期合金化処理を540℃を超える高温で
合金化したものは耐パウダリング性が好ましくない。前
期合金化温度が高い場合には、合金化処理完了後のδ相
の皮膜中鉄濃度が平均的に高くなりδ相が脆くなって皮
膜自身の加工性が劣化し、耐パウダリング性が損なわれ
るものと推定される。
【0025】 耐フレーキング性は、合金化終了後、
表層のζ相が少ないほど向上する。さらに、溶融めっき
後直ちに急冷してめっき皮膜を一旦凝固させ、その後、
前期合金化温度まで急速加熱すれば、前期合金化温度を
540℃以下の低温にしてもζ相を著しく減少させるこ
とができる。この理由は定かではないが、Znを急速冷
却した後に急速加熱をおこなうと、Zn拡散反応が急速
に始まる温度が高温側にずれて、合金化初期にζ相が生
じにくくなるものと推定される。
【0026】なお、めっき皮膜には、その厚さが平均厚
さの50%に満たない薄い部分が局部的に発生すること
がある(この様な部分を、本発明では単に「ミクロ陥没
部」と記す)。ミクロ陥没部は皮膜厚さが薄いために、
Γ相が著しく成長し、めっき皮膜が剥離する起点にな
る。このため、耐パウダリング性を向上させるには、ミ
クロ陥没部の発生を抑制するのが望ましい。これは、め
っき浴のAl濃度を低くしてめっきする方法で実現でき
る。
【0027】本発明は、以上に述べたような新たに得ら
れた知見を基にして完成されたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、以下に詳
細に述べる。なお、以下に記す化学組成の%表示は重量
%を意味する。
【0029】(a)母材の化学組成 C:鋼板のプレス成形性を阻害する作用があるので、C
含有量の上限は0.02%とする。成形性をさらに重視
する場合には、0.01%以下にするのがよい。
【0030】Si:合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐低温
チッピング性を改善する作用があるので0.015%以
上含有させる。好ましくは0.02%以上である。しか
し過度にSiを含有させると鋼板の加工性を損なううえ
合金化反応性を阻害するため、Si含有量の上限は0.
15%とする。好ましくは0.08%以下である。
【0031】Mn:Sに起因する鋼の熱間脆性を抑止す
るために0.08%以上含有させる。好ましくは0.1
%以上である。Mnは鋼板の強度を高めるために含有さ
せてもよいが、0.8%を超えると、鋼板の加工性が損
なわれるので、その上限を0.8%とする。好ましくは
0.4%以下である。
【0032】P:母材の結晶粒界へのZnの浸入を抑制
し合金化反応性を阻害する作用を有する。このため、P
含有量が増すと耐低温チッピング性が損なわれるうえ、
合金化処理時間を長くする必要がある。めっき皮膜の表
層にはζ相が残りやすく、耐フレーキング性が好ましく
なく、生産性も良くない。従ってP含有量は0.025
%以下とする。
【0033】sol.Al:鋼を脱酸する作用と、不可
避的不純物であるNをAlNとして固定して母材の成形
性を改善する作用がある。これらの効果を得るために、
sol.Alは0.01%以上含有させる。0.08%
を超えると上記の効果が飽和するうえ、還元焼鈍時に母
材表面に酸化物を形成し、溶融めっき時のZnの濡れ性
を損ない、不めっきが発生するおそれがある。このた
め、sol.Alの含有量は0.08%以下、好ましく
は0.05%以下とする。 Ti:極低C鋼の固溶Cを固定し、鋼板の成形性を向上
させる作用があるので0.005%以上含有させる。上
記の効果はTi含有量が0.08%を超えると飽和する
ため、含有させる場合でも0.08%以下とするのがよ
い。
【0034】Nb:必須元素ではないが、Tiと同様に
固溶Cを固定する作用や、熱間圧延後の鋼板の結晶粒径
を小さくし、冷間圧延および焼鈍後の深絞り性を改善す
る効果があるので含有させてもよい。深絞り性を改善す
る目的で含有させる場合には、0.003%以上含有さ
せるのがよい。Nbは高価であるうえ、過剰に含有させ
ると、焼鈍時の結晶粒成長を阻害し深絞り性をかえって
悪くするため、含有させる場合でも0.08%以下とす
るのがよい。
【0035】B:必須元素ではないが、鋼中の固溶Nを
固定し鋼板の成形性を改善する作用があるので0.00
5%以下を含有させてもよい。
【0036】鋼の化学組成は、上記以外はFeおよび不
可避的不純物である。不可避的不純物の内、特にSは熱
間脆性の原因になるうえ、鋼板の成形性を損なうので
0.008%以下とするのが望ましい。その他、Nは
0.004%以下、Niは0.2%以下、より好ましく
は0.02%以下、Cuは0.2%以下、より好ましく
は0.01%以下、Crは0.1%以下、より好ましく
は0.02%以下がよい。
【0037】(b)めっき皮膜 化学組成:本発明のめっき鋼板は、Feを8〜11%含
有し、残部が実質的にZnからなる合金化亜鉛めっき皮
膜を有する。めっき皮膜のFe含有量が8%に満たない
場合には、母材からのFeの拡散が不十分でSi添加に
よる界面の密着性向上効果が得られないために耐低温チ
ッピング性が好ましくない。また、8%に満たない場合
には、めっき皮膜にζ相が残存し、耐フレーキング性が
損なわれるので好ましくない。
【0038】めっき皮膜中のFe含有量が高くなると、
皮膜の主な構成層であるδ相のFe比率が高くなり、加
工性が劣化して耐パウダリング性が損なわれる。これを
防ぐために、めっき皮膜のFe含有量は11.0%以下
とする。
【0039】めっき皮膜中のFeは皮膜の厚さ方向で濃
度勾配を有するが、上記のFe含有量は、めっき皮膜全
体の平均値であり、めっき皮膜をインヒビターを含有す
る塩酸用液中で溶解し、化学分析して求められる。
【0040】残部が実質的にZnからなる、との意味
は、めっき皮膜にはさらにAlを0.2〜0.4%含有
させてもよいことを意味する。Alをこの範囲で含有さ
せるとめっき時にめっき浴と母材との反応が均一になり
やすく、ミクロ陥没部の発生を抑制できる。
【0041】付着量:めっきの付着量が増すと耐食性が
向上するとともに、耐低温チッピング性が改善される。
めっき皮膜が厚いと、石跳ねなどによる衝撃力がめっき
皮膜内部を伝播する間に減衰し、母材界面に作用する力
が弱められるために剥離しにくくなるものと考えられ
る。この緩衝効果はめっき付着量が40g/m2 以上に
なると顕著になるため、付着量の下限を40g/m2
する。めっき付着量が70g/m2 を超えると耐パウダ
リング性が損なわれるので、70g/m2 を上限とす
る。
【0042】皮膜構造:母材とΓ層間の境界層の厚さが
1μmを超えると耐パウダリング性が劣化する。このた
め、この境界層の厚さは1μm以下とする。境界層は薄
いほど好ましい。さらに耐パウダリング性は、Γ層とδ
層との間の境界層の厚さも薄いほど良好になるので、そ
の上限を1μmとする。Γ相の厚みは限定しないが、良
好な耐パウダリング性を得るには、2.5μm以下にす
るのがよい。
【0043】本発明の境界層の厚さは、例えばEPMA
の線分析および点分析により測定できる。まず、めっき
皮膜の断面を点分析して、各合金相のFe含有量を測定
し、X線の強度とFe含有量との関係を表す検量線を作
成する。その後、めっき皮膜の断面で、母材表面からめ
っき皮膜表面までの間を線分析し、皮膜の厚さ方向のF
eの分布曲線を求める。
【0044】図1は本発明の実施例に係わるめっき鋼板
のめっき皮膜断面のFe含有量の線分析結果の1例であ
る。母材とΓ層との境界層の厚さ(A)は、Feが10
0重量%未満に減少し始める位置からΓ相の上限のFe
含有量である27.7重量%(31原子%)に達するま
での間とし、Γ相とδ相との境界の厚さ(B)は、Γ相
のFe含有量の下限である16.2重量%(18.5原
子%)から、δ相のFe含有量の上限である11.3重
量%(13原子%)になるまでの間とする。
【0045】なお、耐パウダリング性をさらに向上させ
るには、めっき厚さが平均厚さの50%に満たない部分
であるミクロ陥没部の発生率を、断面長さ率で5%以下
にするのがよい。ミクロ陥没部は、めっき厚さに占める
Γ相の比率が高くなるために、パウダリングの起点とな
りやすく、耐パウダリング性を損なうことがあるからで
ある。
【0046】このミクロ陥没部の断面長さ率は、圧延方
向に対しては任意の方向で、めっき皮膜表面に対しては
垂直な方向に切断しためっき皮膜の断面を走査型電子顕
微鏡を用いて倍率1000倍で写真撮影し、めっき皮膜
の平均厚さの50%の位置でめっき皮膜表面と平行に引
いた線分上で、めっき厚さが平均厚さの50%に満たな
い部分の長さを測定し、測定対象長さに対する長さ率を
算出する方法で測定できる。
【0047】(c)製造方法 本発明の鋼板を製造するための好ましい条件を以下に記
す。
【0048】母材:本発明の鋼板の母材としては、前記
(a)に記載した化学組成からなる鋼の冷間圧延板が好
適である。しかし、冷間圧延板を焼鈍したもの、また
は、スケールを除去した熱間圧延板を母材としてもよ
い。
【0049】溶融亜鉛めっき:母材は、常法に従って脱
脂、乾燥した後、600℃程度に予備加熱された後、水
素ガスを2〜20体積%含有し、残りが窒素ガスからな
る露点が−60〜0℃の雰囲気中で600〜900℃に
加熱(焼鈍を必要とする場合は焼鈍)される。加熱温度
が600℃未満では鋼板表面の酸化物などの還元速度が
遅く、鋼板表面が活性化されないで不めっきが生じるお
それがある。900℃を超えると板が破断するおそれが
増す。その後、常法によりめっき浴温度近傍の520〜
460℃まで冷却した後溶融亜鉛めっきする。
【0050】溶融亜鉛めっき浴には、初期合金層を制御
し、付着量を所定の範囲内にするために、ドロス中のA
lを含まない値でAlを0.05〜0.135重量%含
有させるのがよい。めっき浴中のAl濃度は、過度に高
くするとめっき皮膜の合金加速度が遅くなり好ましくな
いので、0.135重量%以下とするのがよい。さらに
好ましくは0.12%以下である。めっき浴中のAl濃
度を過度に低くするとドロスが発生し、めっき表面に付
着して表面欠陥となるため、Al濃度は0.05%以上
とするのがよい。0.08%以上にすれば、高圧ガス等
によるめっき付着量の調整が容易になるのでさらによ
い。
【0051】めっき浴に含有される不可避的不純物とし
ては、Fe、Pb、Ni、Cr、Ti、Mg、Mnなど
があるが、それぞれ、多くても0.2%以下であれば特
に影響はない。
【0052】めっき浴の温度は440〜470℃の範囲
がよい。440℃に満たない場合にはめっき浴が凝固す
るおそれがある。470℃を超えると、合金化直前にめ
っき鋼板の温度を400℃以下に冷却するのに時間を要
するので好ましくない。本発明の製造方法を効率的にお
こなうためのより好ましいめっき浴温度は450〜45
5℃の範囲である。
【0053】前期合金化処理:めっきした後、合金化温
度に鋼板を加熱する前に、鋼板を350〜400℃の範
囲に急速に冷却し、めっき皮膜を一旦凝固させるのがよ
い。これにより、以降の合金化処理時に、ζ相の生成が
抑制されて耐フレーキング性が向上する。冷却温度が4
00℃を超える場合には、めっき皮膜の凝固が不十分
で、その後の急速加熱時にζ相が生成するのを抑制でき
ない。冷却温度の下限は、合金化の効率性と設備上の制
約から350℃とするのがよい。これよりも低くするの
は通常の冷却設備では困難であり、冷却設備が大きくな
るうえ再加熱に時間を要するので非効率的である。さら
に好ましくは380〜400℃の範囲に冷却するのがよ
い。
【0054】冷却の方法は任意であるが、付着量を調節
する際に使用するワイピングガスの温度や合金化処理炉
の位置などを調整しておこなうのがよいが、専用の冷却
装置を設けてもよい。上記温度範囲での保持時間は短い
方が好ましく、2〜3秒程度でよい。
【0055】ζ相の生成を抑制して耐フレーキング性を
向上させるために、上記の冷却に続けて、25℃/秒以
上の加熱速度で前期合金化温度まで急速加熱するのがよ
い。加熱速度が25℃/秒に満たない場合には、凝固し
たZnが加熱中に溶解し、低温で合金化反応が進行する
のでζ相が生じやすく、耐フレーキング性が損なわれ
る。加熱方法は、急速加熱が可能な誘導加熱方式や直接
通電などがよい。
【0056】前期合金化温度は500℃〜540℃の範
囲とするのがよい。500℃未満では、ζ相が発達し耐
フレーキング性を改善することが困難である。540℃
を超える温度域で合金化した場合、δ相のFe含有量が
高くなり、皮膜の加工性が劣化して耐パウダリング性が
損なわれる。
【0057】この温度域での合金化によって、皮膜中の
Fe含有量を7%以上、8%未満とするのがよい。皮膜
中のFe含有量が7%に満たない場合には、めっき皮膜
の表層にZnが残存し、後期合金化処理時にζ相が発生
しやすいので好ましくない。この温度範囲は、耐パウダ
リング性を劣化させる母材とΓ層間およびΓ層とδ層間
の境界層が発達する温度域であるため、めっき皮膜表層
のZnが消失した後は速やかに低温域に移行させて境界
層の成長を抑制するのがよい。前期合金化処理時にFe
含有量を高くし過ぎると、皮膜の主層であるδ層のFe
含有量が高くなり、耐パウダリング性が劣化する。この
ため、前期合金化処理時のFe含有量は8%未満とする
のがよい。前期合金化処理の滞留時間は、Fe含有量が
上記の範囲になるように選択すればよいが、1秒〜7秒
程度で十分である。
【0058】前期合金化処理完了後、400〜450℃
の範囲の後期合金化処理温度に15℃/秒以上の冷却速
度で急冷し、後期合金化処理を施すのがよい。冷却速度
が15℃/秒に満たない場合には、めっき皮膜内の境界
層が成長し、耐パウダリング性が劣化する。ガス冷却を
用いれば20℃/秒程度で冷却することが可能であり、
制御も簡易で実用的である。ミスト冷却方法を用いれば
100℃/秒以上で冷却できるのでさらによい。
【0059】後期合金化処理温度が400℃に満たない
場合には合金化速度が遅く、所望のFe含有量を得るの
が困難になる。450℃を超える場合には、それぞれの
境界層が過度に成長して耐パウダリング性がそこなわれ
る。
【0060】後期合金化処理では、めっき皮膜中のFe
含有量が皮膜平均値で8〜11%の範囲になるように温
度や保持時間を調整するのがよい。後期合金化処理後
は、強制空冷、ミスト冷却などにより常温まで急速冷却
すれば合金化度の制御精度が向上するので好ましい。
【0061】合金化処理した鋼板には、常法に従って表
面粗度や平坦形状を調整するための調質圧延や、めっき
皮膜の上に化成処理やクロメート処理等の後処理を施し
ても構わない。
【0062】
【実施例】(実施例1)化学組成が本発明の規定する範
囲にある9種類の鋼と、本発明が規定する範囲から外れ
る4種類の鋼からなる鋳片を、転炉―RH―連続鋳造の
工程で製造し、熱間圧延および冷間圧延を施して、厚さ
0.80mmの冷延板を得た。表1にこれらの化学組成
を示す。
【0063】
【表1】
【0064】これらの冷延板の幅100mmのコイル
(鋼帯)を連続溶融めっきシミュレータ装置を使用し、
水素ガス10体積%、残りが窒素ガスからなり露点が−
30℃以下である雰囲気中で最高到達温度850℃に加
熱して60秒間保持する還元焼鈍を施し、460℃に冷
却して溶融めっき浴に浸漬してめっきした。
【0065】めっき浴の化学組成は、Alを0.08〜
0.135重量%含有し、残部がZnおよび不可避的不
純物であった。めっき浴の温度は455℃とした。各鋼
板をめっき浴に5〜8秒間浸漬し、引き上げて高圧ガス
を吹き付けてめっき付着量を30〜70g/m2 の範囲
内で調整し、350℃〜400℃まで冷却した後、誘導
加熱装置により25〜80℃/秒の加熱速度で500〜
540℃に急速加熱して前期合金化処理を施した。
【0066】その後窒素ガスを吹き付けて400〜45
0℃の温度範囲に急速冷却し、誘導加熱装置を用いて後
期合金化処理を施したのち室温まで冷却して合金化処理
を終了した。別途、前期合金化処理が終了した鋼板をミ
スト冷却して100℃/秒以上の冷却速度で室温まで急
冷し、このめっき皮膜を化学分析して前期合金化処理が
完了した時点での合金化度を測定した。めっき皮膜の化
学組成は、試験片をインヒビターを含有する塩酸溶液に
溶解して化学分析して求めた。
【0067】合金化終了後の鋼板は、めっき皮膜の合金
層の状態、摺動性、耐低温チッピング性、耐パウダリン
グ性および耐フレーキング性を調査した。
【0068】めっき皮膜の境界層の厚さ:合金化処理後
の試験片の切断面をEPMAを用いて点分析し、各合金
相のFe含有量を測定し、2次X線強度とFe含有量と
の関係を表す検量線を作成した。その後、めっき皮膜断
面の、皮膜の厚さ方向の線分析を行ってFeの分布曲線
求め、図1または図2に示すように、Feが100重量
%未満に減少し始める位置からΓ相の上限のFe含有量
である27.7重量%に達するまでの距離を境界層Aの
厚さとし、Γ相のFe含有量の下限である16.2重量
%から、δ相のFe含有量の上限である11.3重量%
になるまでの距離を境界層Bの厚さとした。
【0069】ミクロ陥没部の断面長さ率:圧延方向に対
して任意の方向で、めっき皮膜表面に対しては垂直な方
向の切断面を走査電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で
写真撮影し、めっき皮膜の平均厚さの50%の位置にめ
っき面に平行に引いた線分上で、平均厚さの50%に満
たない部分の長さ率を測定した。この測定を5視野以上
についておこない、これらの平均値でめっき皮膜の薄い
部分の断面長さ率を求めた。
【0070】耐低温チッピング性:幅70mm、長さ1
50mmの寸法に切り出した評価サンプルに、市販の浸
漬式リン酸塩処理液を用いて付着量3〜7g/m2 のリ
ン酸塩処理を施し、カチオン型電着塗料により、厚さ2
0μmの下塗り、35〜40μmの中塗り、および、3
5〜40μmの上塗りからなる、合計膜厚:100μm
程度の3コート塗装を施した。得られた塗装鋼板を−2
0℃に冷却保持し、グラベロ試験機を用いて、直径4〜
6mmの砂利石10個を空気圧2.0kg/cm2 、衝
突速度100〜150Km/時の条件で衝突させ、各衝
突点での剥離片の直径を測定した。この10個の剥離片
の直径を平均して平均剥離径とし、下記の区分で評価し
た。
【0071】 ◎(特に良好):3mm未満、 ○(良好):3mm以上、4mm未満、 △(やや不良):4mm以上、5mm未満、 ×(不良):5mm以上。
【0072】耐パウダリング性:それぞれの試験片から
直径60mmの円板を打ち抜き、孔径32.5mm、肩
半径3mmのダイスと直径30mmのポンチを用いて円
筒絞り成形をおこない、円筒部の外周部20cm2 から
粘着テープによって剥離されるめっき皮膜の重量を測定
し、下記の区分で評価した。
【0073】 ◎:10mg未満、 ○:10mg以上15mg未満、 △:15mg以上25mg未満、 ×:25mg以上。
【0074】耐フレーキング性:図3に示す摺動性評価
装置を用いて耐フレーキング性を評価した。防錆油を塗
布した幅30mm、長さ270mmの試験片1をダイス
2と半径5mmの半円形のしわ押さえビード4との間で
保持し、しわ押さえ荷重を1000Kgfとしてポンチ
3を圧入し、試験片1をコの字型に成形した。試験片1
の両面には防錆油を片面当たり2g/m2 塗布し、ポン
チ3の圧入速度は60mm/分とした。成形された試験
片の側壁部のビードに接して摺動した面に粘着テープを
貼り、テープに付着するめっき皮膜の剥離片の状況を目
視で観察した。この様な試験を各鋼板について3回おこ
ない、3回とも全く剥離しなかった場合は○、剥離が1
〜2回発生した場合は△、3回とも剥離が発生した場合
は×として評価した。
【0075】摺動性:図3に示す摺動性評価装置を用い
て摩擦係数を測定し摺動性を評価した。寸法が幅30m
m、長さ270mmである防錆油を塗布した試験片を摺
動性評価装置のダイス2としわ押さえビード4との間で
保持し、しわ押さえ荷重は、750、1000、125
0、1500Kgfの4条件とした。ダイス2、しわ押
さえビード4およびポンチ3の表面は、600#の研磨
紙で研磨した。試験片1の両面には潤滑剤として防錆油
を片面あたり、2.5g/m2 塗布し、ポンチ3の圧入
力速度60mm/分とした。それぞれの場合のポンチ3
の圧入力の最大値(F)を求め、しわ押さえ荷重の増分
(dP)とポンチ圧入力の最大増分(dF)とから、下
記式によって摩擦係数(μ)を求めた。その結果は、
μが0.24以下の場合を◎、0.24を超え0.28
以下の場合を○、0.28を超え0.32以下の場合を
△、0.32を超える場合を×、とした。
【0076】摩擦係数(μ)=dF/2dP---- 合金化処理条件および上記各種の性能調査結果をまとめ
て表2に示した。
【0077】
【表2】
【0078】表2の試験番号1〜9の欄に示された測定
結果からわかるように、本発明の規定する範囲内の化学
組成とめっき皮膜構成を有するめっき鋼板は、いずれも
良好な性能であった。これに対し、試験番号10では、
めっき付着量が不足して耐低温チッピング性が好ましく
なかった。試験番号12のSi含有量が低すぎた鋼Jお
よび試験番号13の鋼Kでは耐低温チッピング性が好ま
しくなかった。P含有量が高すぎた試験番号13および
14の鋼Lおよび鋼Mでは合金化が遅延したために耐フ
レーキング性が劣化し、Znの侵入が不足して耐低温チ
ッピング性も好ましくなかった。また、P含有量が高い
ためにГ層とδ層との境界層が厚くなり、耐パウダリン
グ性が低下した。
【0079】(実施例2)表1に記載の鋼B、Cおよび
Iから製造された冷延板を用い、実施例1に記載したの
と同様の方法で溶融亜鉛めっきを施した。その際、めっ
き付着量と合金化処理条件を変更したが、その他の条件
は実施例1と同一の条件とした。これらの鋼板から得た
試験片について、実施例1に記載したのと同様の方法で
めっき皮膜の性状とめっき皮膜性能を調査した。めっき
付着量、合金化処理条件および上記各種の性能調査結果
をまとめて表3に示した。
【0080】
【表3】
【0081】表3に示された測定結果からわかるよう
に、本発明の規定する範囲内の化学組成とめっき皮膜構
成を有するめっき鋼板は、いずれも良好な性能であっ
た。しかし、前期合金化処理温度への加熱速度が遅かっ
た試験番号24は、前期合金化も不足したためにζ相が
生じて耐フレーキング性と摺動性がやや劣った。めっき
後の急冷温度が高めの420℃であった試験番号25は
ζ相が生じて耐フレーキング性と摺動性がやや劣った
が、従来のものに較べると総合的に良好と判断された。
前期合金化温度が550℃と高かった試験番号34およ
び35では境界層の厚さが厚くなり、耐パウダリング性
が悪かった。試験番号31は、前期合金化処理後の冷却
速度が遅かったために境界層が厚くなりすぎて、いづれ
も耐パウダリング性が悪かった。試験番号29および3
0では、前期合金化時間が長すぎて前期合金化が過度に
進行し、境界層が厚くなって耐パウダリング性が悪かっ
た。後期合金化処理を省略した試験番号32はめっき皮
膜表層部でζ相が多く、摺動性が低下して耐フレーキン
グ性が良くなかった。試験番号33では、後期合金化処
理を省略したためにΓ層とδ層間の境界層が厚くなりす
ぎて耐パウダリング性が悪かった。
【0082】
【発明の効果】本発明の鋼板は、深絞り性が良好で、塗
装後の耐低温チッピング性に優れるうえ、プレス加工時
のパウダリングやフレーキングが発生し難くいので、自
動車外装用鋼板に加工しやすく、かつ、性能が優れた塗
装製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例に係わるめっき皮膜のFe濃度の線分
析結果の例を模式的に示す図である。
【図2】従来のめっき皮膜のFe濃度の線分析結果の例
を模式的に示す図である。
【図3】めっき鋼板の耐フレーキング性および摺動性を
評価する装置の断面を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1・・・試験片、2・・・ポンチ、3・・・しわ押さ
え、4・・・ダイ、5・・・ビード。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広瀬 洋三 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化学組成が重量%で、C:0.02%以
    下、Si:0.015〜0.15%、Mn:0.08〜
    0.8%、P:0.025%以下、Ti:0.005〜
    0.08%、Nb:0〜0.08%、B:0〜0.00
    5%、sol.Al:0.01〜0.08%、残部がF
    eおよび不可避的不純物である鋼からなる母材の少なく
    とも片面に、Feを8〜11重量%含有し、残部が実質
    的にZnからなり、母材とΓ層間の境界層の厚さが1μ
    m以下、Γ層とδ層間の境界層の厚さが1μm以下であ
    る付着量が40〜70g/m2 のめっき皮膜を有する合
    金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化学組成を有する鋼板
    に、Alを0.05〜0.135重量%含有する溶融亜
    鉛めっき浴を用いてめっきした後、一旦350〜400
    ℃に冷却した後、25℃/秒以上の加熱速度で500℃
    以上に加熱し、500〜540℃でめっき皮膜中にFe
    を7重量%以上、8重量%未満含有させる前期合金化処
    理を施し、15℃/秒以上の冷却速度で450℃以下に
    冷却し、400〜450℃でめっき皮膜中のFe含有量
    を8〜11%に調整する後期合金化処理を施すことを特
    徴とする請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
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