JPH11269082A - ヒト血清コレステロール低下作用を有する食品及びヒト高コレステロール血症又はヒト動脈硬化予防又は治療剤 - Google Patents

ヒト血清コレステロール低下作用を有する食品及びヒト高コレステロール血症又はヒト動脈硬化予防又は治療剤

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JPH11269082A
JPH11269082A JP10070510A JP7051098A JPH11269082A JP H11269082 A JPH11269082 A JP H11269082A JP 10070510 A JP10070510 A JP 10070510A JP 7051098 A JP7051098 A JP 7051098A JP H11269082 A JPH11269082 A JP H11269082A
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human
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Toshio Tabei
利男 田部井
Mayumi Kotani
麻由美 小谷
Akihito Fujita
晃人 藤田
Akira Takeuchi
明 竹内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒトの血清コレステロール低下作用を有し、
脂質代謝改善に有効な食品、及び、ヒト高コレステロー
ル血症又はヒト動脈硬化の予防又は治療剤を提供する。 【解決手段】 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はた
ざお、たがらし、たいせい、おおばたねつけばな、やま
がらし、おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、
ゆりわさび、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶ
らな、きゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる
群より選ばれる1種又は2種以上を含有するヒト血清コ
レステロール低下作用を有する食品、並びに、これら植
物を含有するヒト高コレステロール血症又はヒト動脈硬
化予防又は治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトにおいて肝細
胞コレステロール合成阻害活性を有し、ヒトの血清コレ
ステロール低下作用を有する脂質代謝改善に有効な食
品、及び、ヒト高コレステロール血症又はヒト動脈硬化
の予防又は治療剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、心筋梗塞や動脈硬化症といった生
活習慣病を患う中高年者や小児が増加してきている。心
筋梗塞や動脈硬化症の主要な危険因子の1つに、高コレ
ステロール血症がある。
【0003】高コレステロール血症の治療は一般には、
医薬品が投与され、種々の食事制限が加えられる。しか
し、医薬品の中で主流となっている体内でのコレステロ
ール合成経路の酵素の働きを阻害する、いわゆるHMG
−CoAリダクターゼ阻害剤には、横紋筋融解作用や肝
機能障害等の副作用やリバウンドがある。また、回腸内
で、コレステロールを多く含む胆汁酸を吸着させ、体外
に排泄させるイオン交換樹脂を用いる医薬品は大量に服
用する必要があるが、まずくて不快感を伴なう等の欠点
がある。
【0004】又、食べる楽しみを奪われ我慢を強いられ
る長期の食事制限も、好ましいものではない。
【0005】従って、食事制限をすることなく、かつ横
紋筋融解作用や肝機能障害等の副作用等のある医薬品を
投与することなしに、通常の食生活で血清コレステロー
ル値を低下させることができれば、極めて理想的であ
る。
【0006】この様な状況に鑑み、ヒトの血清コレステ
ロールを低下させ、脂質代謝を改善する為に有効な機能
性食品の研究が種々行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記したような欠点がない、ヒトの血清コレステロ
ール値を下げる作用を有する食品、及び、肝機能障害等
の副作用を伴わないヒトの高コレステロール血症又は動
脈硬化の予防又は治療剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明者は、所属会社が販
売している多種の野菜汁の混合物(野菜ジュース)が、
血清コレステロール値低下の作用を有しているか否かに
ついてラットに投与することにより試験を行ったが、そ
のような効果は得られなかった。従って、当該野菜ジュ
ースは、血清コレステロール値低下作用がないものと考
えられていた。
【0009】その後、本発明者の所属会社において、通
常の健康診断と、後の精密検査において、血清コレステ
ロール値に著しい低下を生じている社員が多数おり、そ
れらの者を調査した結果、そのような低下を生じている
者は、上記野菜ジュースを、健康診断の前には飲用して
いなかったが、健康診断と精密検査の間に社内販売によ
り購入した野菜ジュースを1日1本程度飲用していたこ
とが判明し、驚くべきことに、当該野菜ジュースはヒト
の血清コレステロール値を低下する作用を有しているこ
とを見出した。
【0010】そこで、本発明者は、当該混合野菜ジュー
スのヒト血清コレステロールに対する効果に関して、い
ずれの成分が当該作用を有するのかについて鋭意研究
し、さらに他の食用植物についても当該作用を有するか
否かについて鋭意研究を行った結果、ブロッコリー、な
ずな等がヒトの肝細胞コレステロール合成阻害活性を有
し、特に、これらの水溶性画分中の機能性成分が当該活
性を有し、ヒトに対する良好な血清コレステロール値低
下作用及び低密度リポプロテインコレステロール(LDL-C
hol)値低下作用を有することを見出した。さらに、驚く
べきことに、きゃべつ・めきゃべつ・大根・大根葉に、
上記したヒトの肝細胞コレステロール合成阻害活性を有
する他の食用植物を組み合わせることにより、特異的に
肝細胞コレステロール合成阻害活性が強まり、より良好
なヒトの血清コレステロール値低下作用及びヒトの低密
度リポプロテインコレステロール(LDL-Chol)値低下作用
を有することを見出した。また、上記した植物を含有す
る薬剤は、肝機能障害等の副作用を伴わないヒトの高コ
レステロール血症の予防又は治療剤、或いは、ヒトの動
脈硬化の予防又は治療剤として使用することができるこ
とを見出した。本発明は、かかる見地により完成され
た。
【0011】即ち、本発明は、 項1 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はたざお、た
がらし、たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、
おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、ゆりわさ
び、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶらな、き
ゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる群より選
ばれる1種又は2種以上を含有するヒト血清コレステロ
ール低下作用を有する食品、 項2 (A)きゃべつ、めきゃべつ、大根、大根葉からな
る群より選ばれる1種又は2種以上と、(B)ブロッコリ
ー、なずな、すずしろ、はたざお、たがらし、たいせ
い、おおばたねつけばな、やまがらし、おらんだがら
し、たかな、からしな、わさび、ゆりわさび、はくさ
い、ひのな、すぐきな、かぶ及びあぶらなからなる群よ
り選ばれる1種又は2種以上、を含有するヒト血清コレ
ステロール低下作用を有する食品、 項3 (a)ブロッコリー、(b)きゃべつ及び大根葉からな
る群より選ばれる少なくとも1種、並びに、(c)セロ
リ、レタス、ほうれん草、小松菜、パセリ及びリンゴか
らなる群より選ばれる1種又は2種以上、を含有するヒ
ト血清コレステロール低下作用を有する食品、 項4 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はたざお、た
がらし、たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、
おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、ゆりわさ
び、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶらな、き
ゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる群より選
ばれる1種又は2種以上を含有するヒト高コレステロー
ル血症予防又は治療剤、 項5 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はたざお、た
がらし、たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、
おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、ゆりわさ
び、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶらな、き
ゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる群より選
ばれる1種又は2種以上を含有するヒト動脈硬化予防又
は治療剤に係るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明をより詳細に説明す
る。
【0013】I.本発明食品 本発明の食品は、ブロッコリー、なずな、すずしろ、は
たざお、たがらし、たいせい、おおばたねつけばな、や
まがらし、おらんだがらし、たかな、からしな、わさ
び、ゆりわさび、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、
あぶらな、きゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉から
なる群より選ばれる1種又は2種以上を含有するもので
ある。
【0014】これら食用植物は、ヒトにおいて最も効率
良く血清コレステロール値を低下させ、かつ悪玉コレス
テロールといわれている低密度リポプロテインコレステ
ロール(LDL-Chol)値を低下させる作用機作である肝細胞
コレステロール合成阻害活性を有しており、本発明食品
は、これら植物を含有することにより、ヒトに対する良
好な血清コレステロール値低下作用及びLDL-Chol値低下
作用を有しており、脂質代謝の改善に有効な食品といえ
る。従って、本発明の食品は、健康食品、機能性食品、
特定保健用食品として摂取することができるものであ
る。
【0015】本発明においては、これら食用植物の内、
ブロッコリー、なずな、すずしろ、はたざお、たがら
し、たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、おら
んだがらし、たかな、からしな、わさび、ゆりわさび、
はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ及びあぶらなからな
る群より選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
【0016】これらは2種以上を組み合わせて使用する
ことができるが、特に、きゃべつ、めきゃべつ、大根、
大根葉からなる群より選ばれる1種又は2種以上と、ブ
ロッコリー、なずな、すずしろ、はたざお、たがらし、
たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、おらんだ
がらし、たかな、からしな、わさび、ゆりわさび、はく
さい、ひのな、すぐきな、かぶ及びあぶらなからなる群
より選ばれる1種又は2種以上を組み合わせて使用する
ことが好ましい。
【0017】好ましい組合せとしては、具体的には、き
ゃべつとブロッコリー、きゃべつと大根葉とブロッコリ
ー、きゃべつとブロッコリーと白菜が挙げられる。
【0018】本発明食品において、これら植物は、生の
状態として使用してもよいし、生の状態を加熱殺菌した
ものでもよい。また、上記の生の状態又は加熱殺菌した
ものを、熱風乾燥、フリーズドライ処理等により乾燥さ
せて、膜状、板状、ブロック状等の固形物或いは当該固
形物を粉砕した粉末として使用してもよい。
【0019】さらに、上記の生の状態又は加熱殺菌した
ものを、破砕、搾汁して使用することも可能である。或
いは、上記の生の状態又は加熱殺菌したものを適当な濾
布等で濾過した液体そのもの、又は、その濾過した液体
を遠心分離処理して得られる上澄み液を使用することも
可能である。当該上澄み液を熱風乾燥又はフリーズドラ
イ処理等により乾燥させて、膜状や板状やブロック状の
固形物やその固形物を粉砕した粉末として使用してもよ
い。
【0020】これら植物の、食品中における総含有量
は、適用する食品や、個体差(個人差、人種差等)等に
よって異なり、ヒトの血清コレステロール低下の効果が
得られるものであれば特に限定はされないが、0.01
〜100 w/w%が適当であり、好ましくは、1.0
〜99.9 w/w%である。
【0021】食品中の含有量が、0.01 w/w%よ
り少ないと、十分な脂質代謝改善効果を期待できないお
それがあるので好ましくない。
【0022】本発明食品には、上記した植物の他に、ヒ
トの血清コレステロール低下の効果を妨げない限り、他
の成分を添加することが可能である。
【0023】他の成分として、ケール、大豆、からす
麦、大麦等のコレステロール低下作用を有する植物とし
て公知のものを添加することが可能である。また、通常
食品に含有されているような他の植物、例えば、セロ
リ、レタス、ほうれん草、小松菜、パセリ、リンゴ、レ
モン等を上記と同様に処理したものを添加してよい。
【0024】特に、本発明においては、ブロッコリーと
きゃべつ又は大根葉の組合せに、セロリ、レタス、ほう
れん草、小松菜、パセリ、リンゴ又はレモンから選ばれ
る1種以上を添加した食品が好ましい。
【0025】本発明食品には、他の成分として、通常食
品の分野で用いられている添加物、例えば、澱粉、乳
糖、セルロース、デキストリン、糖アルコール、増粘多
糖類などの賦形剤;蔗糖、麦芽糖、ソルビトール、マン
ニトール、オリゴ糖などの甘味成分;ビタミン、カルシ
ウムなどの栄養補給剤を添加することもできる。
【0026】本発明食品は、食品を製造する工程中の適
当な時期に、上記のように処理された植物そのもの、賦
形剤や食品中の原料の一部に希釈した混合物、或いは、
エタノールやその水溶液等に溶解乃至分散させたものを
原料中に添加し、常法に従って混合し、その他は当該食
品の通常の製造方法によって製造することができる。か
かる混合に際しては熱をかけることもできる。
【0027】また、上記のように処理された植物そのも
の又はその混合物や溶解液を、一旦製造された食品に添
加し、常法により混合することによっても製造すること
ができる。
【0028】本発明食品は、ヒトが食する食品に限ら
れ、ヒト以外の動物(犬・猫・兎・ラット・マウス等)
の飼料(餌)は含まないものである。
【0029】本発明食品は、特に限定されることなく、
飲食物や嗜好品も含まれる。具体的には、粉末、錠剤、
カプセル、飴、キャンディー、ヌガー、チョコレート、
ゼリー、ビスケット、ケーキ、パン、麺類、液体飲料、
野菜ジュース、乳酸飲料、みそ、ヨーグルト等の醗酵製
品、かまぼこ、ちくわ等の水産練り製品、ハム、ソーセ
ージ、加工乳、チーズ等の畜産製品、たれ、ドレッシン
グ、ソース、醤油等の調味食品や健康食品等を挙げるこ
とができる。
【0030】本発明食品の摂取量は、食品の形態、摂取
するヒトの年齢、体重、性別、目的、健康状態等におい
て適宜決定でき、特に限定されるものではないが、通
常、液状であれば、1日5〜1,000 ml程度、固体
状であれば、1日 0.1〜100g程度を数回に分け
て摂取するのが好ましい。
【0031】また、本発明食品は、食前、食後、食間を
問わず、1日のうちいつでも摂取しても良いが、特に朝
食前、昼食前、夕食前、空腹時に摂取すると効果的であ
る。
【0032】さらに、本発明食品は、公知の高コレステ
ロール血症予防又は治療剤、例えばメバロチン等と併用
して用いることができる。併用する場合は、本発明食品
のコレステロール低下作用により、該予防又は治療剤の
使用量を減少させても使用量を減少させない場合と同等
のコレステロール低下作用を得ることが可能となり、長
期の予防又は治療において、副作用の面から有利であ
る。
【0033】II.本発明予防又は治療剤 上記したブロッコリー、ナズナ等の本発明食品に含有さ
れる食用植物は、ヒトの肝細胞コレステロール合成阻害
活性を有するものであり、ヒトの血清コレステロール低
下作用を有するものである。従って、これら植物を含有
する薬剤は、ヒトの高コレステロール血症予防又は治療
剤、さらに、ヒトの動脈硬化予防又は治療剤として使用
することができる。
【0034】従って、本発明には、ブロッコリー、なず
な、すずしろ、はたざお、たがらし、たいせい、おおば
たねつけばな、やまがらし、おらんだがらし、たかな、
からしな、わさび、ゆりわさび、はくさい、ひのな、す
ぐきな、かぶ、あぶらな、きゃべつ、めきゃべつ、大根
及び大根葉からなる群より選ばれる1種又は2種以上を
含有するヒト高コレステロール血症又はヒト動脈硬化予
防又は治療剤も含まれる。
【0035】本発明予防又は治療剤におけるこれら食用
植物の好ましい種類・組合せについては、上記本発明食
品における場合と同様である。
【0036】本発明予防又は治療剤には、通常医薬製剤
の調製に用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤
化材、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、
保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味・矯臭剤、安定剤等
の添加剤等を適宜配合することもできる。
【0037】これら通常添加剤の添加量は、所期の効果
を妨げない限り特に限定されるものではないが、例え
ば、添加後の全量に対して0.001〜90.0重量
%、好ましくは、0.01〜70.0重量%程度添加す
ることできる。
【0038】本発明の高コレステロール血症予防又は治
療剤は、その目的に応じて、液剤、錠剤、顆粒剤、丸薬
等の任意の形態として使用でき、本発明食品と同様にし
てブロッコリー等の植物を処理し、その剤型の常法に従
って調製することができる。
【0039】本発明血症予防又は治療剤は、ヒトに適用
するもの限られ、人間以外の動物(犬・猫・兎・ラット
・マウス等)の高コレステロール血症又は動脈硬化予防
又は治療剤は含まないものである。
【0040】本発明予防又は治療剤の投与量は、その形
態、投与するヒトの年齢、体重、性別、目的等に応じて
適宜決定でき、特に限定されるものではないが、通常、
液剤であれば、1日5〜1,000 ml程度、固形状剤
であれば、1日0.1〜100g程度を数回に分けて摂
取するのが好ましい。また、食前、食後、食間を問わ
ず、1日のうちいつでも摂取してもよいが、特に朝食
前、昼食前、夕食前、空腹時に摂取するのが好ましい。
【0041】
【発明の効果】本発明食品を摂取することにより、食事
制限や、運動指導をすることなく、ヒトの血清コレステ
ロール値を低下させることが可能となる。
【0042】また、本発明のヒト高コレステロール血症
予防又は治療剤、或いはヒト動脈硬化予防又は治療剤に
よれば、横紋筋融解作用や肝機能障害等の副作用等を伴
うことがない。
【0043】
【実施例】以下、試験例を挙げて本発明を更に詳しく説
明する。尚、特に断らない限り、以下の%表示は重量%
(w/w%)を表わす。
【0044】試験例1 肝細胞コレステロール合成阻害
活性試験 I. 試験試料の組成及び調製 表1に示すそれぞれの植物混合物1000gの野菜汁を
ガーゼ濾布で濾過し、得られた濾液を10000Gで遠心濾
過した。濾過により得られた上澄み液をフリーズドライ
処理して表2に示す試験試料を得た。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】II. 試験方法 被験物質として、表2に示したS−1〜S−8を用い、
陽性対照としてプラバスチンナトリウムを5.6%含有
している錠剤(商品名:メバロチン)を用いた。これら
被検物質を、乳鉢で粉砕し、投与した。
【0048】10%FCSを含むDMEMで培養したH
epG2細胞(2×105cells)を、6ウェルプレート
に植え込み3日間培養した(ほぼコンフルエント)。培地
除去後、DMEMで調製した被験物質S−1〜S−8と
陽性対照に14C―酢酸を添加し、2時間培養した後、培
地除去、PBS洗浄、KOHで細胞を溶解、ケン化とい
う処理を行い、次いでエーテルで抽出し、乾固した。
【0049】乾固し得られた抽出物をアセトンーエタノ
ールで溶解し、0.5%ジキトニン添加後の沈渣の放射
能量をシンチレーションカウンターで測定した。
【0050】III. 試験結果 試験結果、即ち、HepG2細胞でのコレステロール合
成を50%阻害する被験物質及び陽性対照物質の濃度を
表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3に於いて、力価の陽性対照比とは、各
被験物質の50%コレステロール合成阻害濃度で、陽性
対照(メハ゛ロチン) の50%コレステロール合成阻害濃度の
0.002%を割った値であり、陽性対照と同一重量の
被験物質の力価を陽性対照比で表わしたものである。
【0053】又、力価補正収率換算(基準S-7)とは、試
験試料の収率を表2から求め、S−7を基準にして力価
の陽性対照比を補正したものであり、コレステロール合
成阻害活性を元の植物混合物にさかのぼって各試験試料
間で比較できる様に、表わしたものである。
【0054】従って、理論的には、試験試料S−7と陽
性対照(メバロチン)の高コレステロール血症群への投
与臨床試験を実施し、その結果を比較して、両試料が同
等の血清コレステロール低下作用を示す投与量(dose)が
見出せた場合には、この力価補正値を基に各植物混合物
の投与量が算出可能となる。
【0055】尚、試験例1に於いて、上記コレステロー
ル合成阻害活性は各試験試料の水溶性画分のみに見出さ
れたものであり、同時に実施した、各試験試料のエタノ
ール画分・アセトン画分・酢酸エチル画分中には、コレ
ステロール合成阻害活性は見出されなかった。
【0056】試験例2 人臨床試験 試験例1で肝細胞でのコレステロール合成阻害活性が見
出された試験試料の中から、T−1、T−5、T−7、
S−7について高コレステロール血症群を被験者として
人臨床試験を実施し、臨床効果の有無と臨床効果とコレ
ステロール合成阻害活性との間の相関性について評価し
た。
【0057】I. 臨床試験内容 1)高コレステロール血症患者80名を4群に分け、表
4に示す試験試料(缶詰飲料)を1日当たり2缶、4週
間飲用してもらい、血清コレステロール値等の血液指標
の改善効果を評価した。
【0058】2)4週間の試験期間前後(0週・4週)
に血液採取を行った。
【0059】3)試験期間中は、試験試料飲用以外は通
常の食生活・日常生活を行い、食事制限・運動指導は一
切行わなかった。
【0060】II. 臨床試験の対象 以下の基準を満たす高コレステロール血症患者を対照と
した。
【0061】1)選択基準 i) 血清総コレステロール値が240(mg/dl)以上の者 ii) 本試験の目的と内容を理解し、被験者となる事に同
意した者 2)除外基準 i) 肝臓疾患・糖尿病等の合併症を有する者 ii) 高コレステロール血症治療中で治療薬を服用中の者 iii) その他、担当医師が不適当と判断した者 III. 試験試料 表1に示した植物混合物T−1、T−5、T−7を搾汁
して得られた野菜汁を濾過して得られた濾液をそれぞれ
1缶160gの缶詰に充填して試験試料とする。表2に
示したS−7をT−7 160gに相当する量の9.9
2gを精製水で溶解し、160gとして、同様に1缶1
60gの缶詰に充填して試験試料とする。
【0062】
【表4】
【0063】IV. 試験結果 試験を行った4群の臨床試験前後の総コレステロール値
の変化及び低下率を表5に示し、LDLコレステロール
値の変化及び低下率を表6に示す。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】表5より、本発明食品を飲用することによ
り、O−1〜O−4群のいずれの群においても、総コレ
ステロール値が低下していることがわかる。
【0067】特に、O−4群では、総コレステロール値
が、4週の飲用により平均11.9%低下している。こ
の低下率は、試験例1で陽性対照としたメバロチンの投
与量別の低下率と比較すると、1日当たり、5mgを4
週間投与した場合の11.1%の低下率にほぼ匹敵して
いる。尚、メバロチンの定められた投与量は、1日当た
り10mgであり、この場合、総コレステロール値は1
8〜20%低下する。
【0068】表5と表6のコレステロールの変化量よ
り、総コレステロール値の低下における主要な低下要因
が、LDLコレステロールの低下によるものである事が
明らかである。
【0069】表3に示した力価補正と表5の結果を比較
すると、S―7の力価を1とした場合、O−3(T−7)
は▲11.5%と、O−4(S−7)の▲11.9%とほ
ぼ同等の低下率を示し、力価補正が1対1と同一力価で
あることと、ほぼ一致している。
【0070】O−1(T−1)は▲10.6%と、O−4
(S−7)の▲11.9%に比べ0.89対1となり、力
価補正が0.90対1であることと、ほぼ一致してい
る。
【0071】O−5(T−5)は▲3.5%と、O−4
(S−7)の▲11.9%に比べ0.29対1となり、力
価補正の0.34対1であることと、ほぼ一致してい
る。
【0072】又、安全性関連指標は、肝臓関連指標のGO
T、GPT、ALP、γ―GTP、LDH-5等には、変化は見られ
ず、心筋・骨格筋関連指標のCPK、LDH-1、LDH-2、LDH-
3、LDH-4、クレアチン、クレアチニン等にも変化は見ら
れず、腎臓関連指標のBUN、クレアチニン、尿酸等にも
変化は見られなかった。
【0073】さらに、栄養充足関連指標では、血清総蛋
白、アルブミン、免疫グロブリン、コリンエステラー
ゼ、血清アミラーゼ等には、変化は見られず、赤血球
数、血色素量、血小板数、ヘマトクリット、白血球数、
白血球分画(好塩基球、好酸球、リンパ球、単球等)等に
も変化は見られなかった。
【0074】以上から、本発明食品のヒト血清コレステ
ロール低下作用は、肝細胞コレステロール合成阻害活性
を主たる作用機作としており、低密度リポプロテインコ
レステロール(LDL-Chol)値を選択的に低下させること
で、血清総コレステロールを低下させ、脂質代謝の改善
に有効であることが明らかである。
【0075】本発明食品の血清コレステロール低下作用
は、医薬品のメバロチンに比較すると、弱い効果である
が、肝臓や心筋への副作用は何ら認められなかった。
【0076】従って、本発明食品は、新規の医薬品に見
られる様な未知の副作用の心配がない、通常の食生活で
食している一般的な野菜の混合物で、ヒトの血清コレス
テロールを低下させることができる点で、コレステロー
ルが高めの人が予防的に使用する場合には十分、保健的
な意義があると考えられる。
【0077】比較試験例1 ラットに、ブロッコリー、きゃべつ、大根葉、セロリ、
レタス、ほうれん草、小松菜、パセリ及びリンゴを適量
含有する混合野菜ジュースを投与した試験結果を以下に
示す。
【0078】SD−SPFラット(雄、4週齢)10匹
を2群に分け、A群(コントロール群)には、標準餌の
みを自由摂取させ、B群(試験群)には、標準餌と、混
合野菜ジュースを自由摂取させた。
【0079】一般的に、コレステロール値を下げるため
の予防又は治療を行う際には、食事制限をしない場合で
あっても、脂肪負荷食のような脂肪過剰な食事はしな
い。従って、本発明の試験例では、混合野菜ジュースの
血清コレステロール低下作用を評価するために、脂肪負
荷食ではなく、標準餌を摂取させた。
【0080】試験開始前、試験開始4週間後の両群の総
コレステロール値を表7に示す。
【0081】
【表7】
【0082】標準食に加えて混合野菜ジュースを与えた
B群において、総コレステロール量は低下しているが、
標準食を与えたA群においても、同様に総コレステロー
ル量は低下していた。また、A群とB群の変化量及び変
化率を比較すると、標準食のみを与えたA群の方が高か
った。
【0083】以上の結果は、ブロッコリー、きゃべつ、
大根葉等を含有する混合野菜ジュースが、ラットの総コ
レステロールを低下させる作用を有していないことを示
す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はた
    ざお、たがらし、たいせい、おおばたねつけばな、やま
    がらし、おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、
    ゆりわさび、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶ
    らな、きゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる
    群より選ばれる1種又は2種以上を含有するヒト血清コ
    レステロール低下作用を有する食品。
  2. 【請求項2】 (A)きゃべつ、めきゃべつ、大根、大根
    葉からなる群より選ばれる1種又は2種以上と、(B)ブ
    ロッコリー、なずな、すずしろ、はたざお、たがらし、
    たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、おらんだ
    がらし、たかな、からしな、わさび、ゆりわさび、はく
    さい、ひのな、すぐきな、かぶ及びあぶらなからなる群
    より選ばれる1種又は2種以上、を含有するヒト血清コ
    レステロール低下作用を有する食品。
  3. 【請求項3】 (a)ブロッコリー、(b)きゃべつ及び大根
    葉からなる群より選ばれる少なくとも1種、並びに、
    (c)セロリ、レタス、ほうれん草、小松菜、パセリ及び
    リンゴからなる群より選ばれる1種又は2種以上、を含
    有するヒト血清コレステロール低下作用を有する食品。
  4. 【請求項4】 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はた
    ざお、たがらし、たいせい、おおばたねつけばな、やま
    がらし、おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、
    ゆりわさび、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶ
    らな、きゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる
    群より選ばれる1種又は2種以上を含有するヒト高コレ
    ステロール血症予防又は治療剤。
  5. 【請求項5】 ブロッコリー、なずな、すずしろ、はた
    ざお、たがらし、たいせい、おおばたねつけばな、やま
    がらし、おらんだがらし、たかな、からしな、わさび、
    ゆりわさび、はくさい、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶ
    らな、きゃべつ、めきゃべつ、大根及び大根葉からなる
    群より選ばれる1種又は2種以上を含有するヒト動脈硬
    化予防又は治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6887500B2 (en) * 2002-11-01 2005-05-03 Rulin Xiu Compositions for lowering blood pressure
KR100813175B1 (ko) 2005-06-16 2008-03-17 롯데제과주식회사 지방분해 촉진제 및 이를 함유하는 비만 예방 및 개선용기능성 식품
US7794758B2 (en) * 2007-04-05 2010-09-14 Pmc Formulas, Inc. Compounds and methods for promoting cellular health and treatment of cancer
US8394425B2 (en) 2007-04-05 2013-03-12 Pmc Formulas, Inc. Methods for promoting cellular health and treatment of cancer
JP2016208936A (ja) * 2015-05-12 2016-12-15 株式会社東洋新薬 風味改善組成物及び風味改善方法

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