JP2018123077A - Adl改善剤 - Google Patents

Adl改善剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2018123077A
JP2018123077A JP2017015180A JP2017015180A JP2018123077A JP 2018123077 A JP2018123077 A JP 2018123077A JP 2017015180 A JP2017015180 A JP 2017015180A JP 2017015180 A JP2017015180 A JP 2017015180A JP 2018123077 A JP2018123077 A JP 2018123077A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adl
mass
extract
polymethoxyflavonoid
improving agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017015180A
Other languages
English (en)
Inventor
穏行 坂田
Yasuyuki Sakata
穏行 坂田
浩彦 中村
Hirohiko Nakamura
浩彦 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP2017015180A priority Critical patent/JP2018123077A/ja
Publication of JP2018123077A publication Critical patent/JP2018123077A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、安全に摂取できる日常生活動作(ADL)改善剤、及びそれを含む飲食品を提供することを課題とする。【解決手段】シークワーシャー抽出物、好ましくはシークワーシャーの果実又は葉の水及び/又は有機溶媒抽出物、あるいはシークワーシャーの果実又は葉の、超臨界又は亜臨界抽出物を、ADL改善剤の有効成分とする。前記シークワーシャー抽出物は、好ましくは、固形物換算で0.6質量%以上のポリメトキシフラボノイド、例えば固形物換算で0.4質量%以上のノビレチン及び/又は0.2質量%以上のタンゲレチンを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)改善剤に関する。ADL改善剤は、医薬、食品、又は飼料として利用することができる。
脳卒中は我が国の「寝たきり」の主な要因となっている。脳卒中の分類としては、脳の血管が閉塞する「脳梗塞」と、脳の血管からの出血による「脳出血」及び「くも膜下出血」に大きく分けられる。
これら脳卒中の後遺症として典型的に見られるものとして、半身(体の右半分又は左半分)の手足に麻痺が発生する片麻痺がある。このような後遺症は日常生活に支障をきたすことが多いため、脳卒中後患者においてはこれらの状態から回復を図り、ADL(日常生活動作)を向上させるために、リハビリテーションが重要である。このリハビリテーションにおいて、理学療法等に加えて、抗鬱剤や脳機能改善剤を投与することによりADL障害が改善することが知られている(特許文献1)。
ところで、植物由来の健康食品原料として、シークワーシャー抽出物が注目されている。シークワーシャー抽出物に含まれるノビレチンおよびタンゲレチン等のポリメトキシフラボノイドは、これまで種々の効能が見出されている。例えば、ノビレチンは、抗高血圧、抗ガン作用(特許文献2)、心疾患予防治療作用(特許文献3)、抗潰瘍作用(特許文献4)、及び、認知機能改善作用(非特許文献1,2)等の作用を有することが報告されている。また、タンゲレチン及びノビレチン等のポリメトキシフラボノイドは血管新生抑制作用(特許文献5)を有することが報告されている。さらに、シークワーシャー等の柑橘類に含まれるフラボノイドが、血圧上昇抑制作用を有すること(特許文献6)が知られている。
さらに、ノビレチン及びタンゲレチンが神経突起伸長作用を有することが報告されており、アルツハイマー型認知症や脳虚血病態等の神経変性疾患の治療への有用性が示されている(特許文献7)。ただし、これらの報告は、認知機能改善を伴わない、身体的なADL改善を示唆するものではない。
また、ノビレチンおよびタンゲレチン等のポリメトキシフラボノイドを含有するシークワーシャー抽出物が、筋萎縮抑制作用を有することが報告されている(特許文献8)。特許文献8では、筋萎縮に起因する種々の症状の改善にシークワーシャー抽出物が有用となり得ることが示されているが、筋萎縮のみが原因ではなく、麻痺等に起因する身体障害におけるADL改善についてはその効果は不明である。
上記のように、シークワーシャー抽出物、又はノビレチンおよびタンゲレチン等のポリメトキシフラボノイドには各種の効能が報告されているが、これらの抽出物又は物質が脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者におけるADL改善作用を有することは知られていない。
また、リンゴ等のバラ科植物の果実にも、プロシアニジンのようなポリフェノールが含まれていることが知られているが(特許文献9)、バラ科果実由来のポリフェノールはポリメトキシフラボノイド含有量が低いことが分かっている。
一般に、ポリメトキシフラボノイドは果汁中にはほとんど含まれず、果皮に多く含まれていることから、単に果実を搾汁するだけでは、これらポリメトキシフラボノイドを十分量得ることはできない。
ポリメトキシフラボノイドは、フラボノイドの水酸基が複数メトキシ基に置換された構造を持つフラボノイドの一種であり、主として柑橘類に含まれる。ノビレチン、またはタンゲレチンのようなポリメトキシフラボノイドは、摂取後、肝臓において代謝される。例えば、ノビレチンはラット肝の代謝により、メトキシ基が水酸基に置換され、4'-OH、7-OH、6-OH、3',4'-diOH、または6,7-diOHノビレチン等が代謝産物として生成される。また、タンゲレチンからは、4'-OH、3',4'-diOH、7,4'-diOH、または6,7-diOHタンゲレチン等が代謝産物として生成されることが報告されている(非特許文献3)。
特表2003−523385号公報 国際公開2006/492734号 特開2011−37798号公報 特開平6−72870号公報 特開2004−83417号公報 特開2001−240539号公報 特開2002−60340号公報 特許第5824531号 特開2006−328031号公報
Geriatr. Gerontol. Int. 13(1):236-238, 2013 Clin. Psychopharmacol. Neurosci. 12(2):75-82, 2014 Koga, N. et al., Biol. Pharm. Bull. 30(12):2317-2312, 2007
本発明は、ADL改善剤、及びそれを含む飲食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、シークワーシャー抽出物又はその含有成分であるポリメトキシフラボノイドが、優れたADL改善作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、シークワーシャー抽出物を有効成分として含有するADL改善剤を提供する。
本発明は、前記シークワーシャー抽出物が、シークワーシャーの果実及び/又は葉の有機溶媒抽出物であることを好ましい態様とする。本態様において、前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、アセトニトリル、及びこれらの有機溶媒の含水物からなる群より選ばれることがより好ましい。
また、本発明の別の好ましい態様では、前記シークワーシャー抽出物が、シークワーシャーの果実及び/又は葉の、超臨界又は亜臨界抽出物である。
また、本発明は、前記シークワーシャー抽出物が、固形物換算で0.6質量%以上のポリメトキシフラボノイドを含むことを好ましい態様とする。
また、本発明は、前記シークワーシャー抽出物が、固形物換算で0.4質量%以上のノビレチン及び/又は0.2質量%以上のタンゲレチンを含むことを好ましい態様とする。
本発明のADL改善剤は、さらに、ポリメトキシフラボノイドを水可溶化する包接剤を
含むことを好ましい態様とする。本態様において、前記包接剤がシクロデキストリンであり、その含有量が、シークワーシャー抽出物の固形物とシクロデキストリンの合計量に対して0.1〜95質量%であることがより好ましい。
本発明において、ADLは、更衣及び/又はトイレ動作であることを好ましい態様とする。
また、本発明のADL改善剤は、脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者に用いられることを好ましい態様とする。
本発明はさらに、前記ADL改善剤を、ポリメトキシフラボノイドの含有量として固形物換算で0.6質量%以上含む、ADL改善用の飲食品を提供する。
また、本発明は、前記ADL改善剤を、ノビレチンの含有量として固形物換算で0.4質量%以上及び/又はタンゲレチンの含有量として固形物換算で0.2質量%以上含む、ADL改善用の飲食品を提供する。
さらに、本発明は、ポリメトキシフラボノイドを有効成分として含有するADL改善剤を提供する。
本発明は、前記ポリメトキシフラボノイドがノビレチン及び/又はタンゲレチンであることを好ましい態様とする。
本発明によれば、ADL改善剤が提供される。本発明のADL改善剤は、特に脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者におけるADL改善に有用である。本発明のADL改善剤は、医薬として利用することができる。また、本発明のADL改善剤は、シークワーシャー中に含まれる成分を有効成分としているため、安全性が高く飲食品等にも用いることができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
本発明のADL改善剤は、シークワーシャー抽出物、又はポリメトキシフラボノイドを有効成分として含有する。
シークワーシャー抽出物は、例えば、シークワーシャーの果実及び/又は葉から、水及び/又は有機溶媒を用いて抽出することにより製造することができる。有機溶媒は含水物であってもよい。シークワーシャー(Citrus depressa)は、ミカン科の柑橘類の一種である。
前記果実及び/又は葉は、果実及び/葉の全体であってもよく、その一部であってもよい。例えば、果実は、果肉又は果皮であってもよい。さらに、果実及び/又は葉は、そのまま用いてもよく、破砕物、例えば、果実及び/又は葉をナノメートルオーダーまで微細化したものであってもよい。また、果実及び/又は葉は、果実及び/又は葉、もしくはそれらの一部の搾汁残渣であってもよい。以下、これらの果実及び/又は葉、その一部、それらの破砕物、及び、それらの搾汁残渣を、「シークワーシャー果実及び/又は葉等」と記載することがある。
また、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、ヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、アセトニトリルもしくはこれらの有機溶媒の含水物、又はこれらの有機溶媒及びその含水物のいずれかを組み合わせたもの等が挙げられるが、これ
らの中ではエタノール又は含水エタノールが好ましい。有機溶媒の含水率は、特に制限されないが、好ましくは0〜90質量%、より好ましくは0〜40質量%である。
有機溶媒抽出において、シークワーシャー果実及び/又は葉等に対する有機溶媒の量は、特に制限されないが、シークワーシャー果実及び/又は葉等:有機溶媒の比(重量比)は好ましくは1:0.5〜1:100、より好ましくは1:1〜1:20である。
抽出の方法は特に制限されないが、例えば、シークワーシャー果実及び/又は葉等に有機溶媒を加えて、好ましくは5分〜3時間撹拌抽出した後、濾過又は遠心分離等の固液分離手段により液層を採取する方法が挙げられる。
また、抽出後、又は乾燥工程の前に、後述するポリメトキシフラボノイドを水可溶化する包接剤を添加することが好ましい。このような包接剤は、水可溶化性の向上、消化吸収性の向上、又は風味改善の効果が期待される。また、包接剤としては、例えば、シクロデキストリン等の包接化合物を用いることが好ましい。包接剤の量は、シクロデキストリンの場合は、得られるシークワーシャー抽出物の固形物とシクロデキストリンの合計量に対して好ましくは0.1〜95質量%、より好ましくは1〜90質量%である。
本発明のシークワーシャー抽出物は、超臨界抽出法によって製造することも可能である。具体的には、例えば、シークワーシャーの果実及び/又は葉部分を冷凍後に破砕したもの、又はシークワーシャーの果実及び/又は葉部分を凍結乾燥又は熱風乾燥して粉末状にしたものを、以下の(a)〜(d)の条件に基づいて、超臨界抽出法によって製造することができる。
(a)抽出溶媒が二酸化炭素(炭酸ガス)であること、
(b)抽出温度が31.1〜120℃、好ましくは40〜100℃、特に好ましくは60〜80℃であること、
(c)圧力が7.38〜60MPa、好ましくは20〜40MPa、特に好ましくは25〜35MPaであること、
(d)抽出時間が5〜70分、好ましくは10〜50分、特に好ましくは20〜30分であること。
なお、前記抽出流体としては、シークワーシャー果実及び/又は葉等の抽出効率を改善する観点からは、超臨界プロパン、超臨界エチレン、超臨界1,1,1,2-テトラフルオロエタンなどを使用することも可能であるが、飲食品としての安全性を向上させる観点からは、二酸化炭素(炭酸ガス)を使用することが好ましい。また、抽出温度としては、31.1℃〜120℃の温度範囲で適宜選択することが可能であるが、抽出効率を改善し、かつ後述するポリメトキシフラボノイド、特にノビレチン及び/又はタンゲレチンの含有量を高めるためには、40〜100℃の範囲が好ましく、60〜80℃の範囲がさらに好ましい。また、圧力としては、7.38〜60MPaの範囲が好ましく、20〜40MPaの範囲がさらに好ましい。また、本発明においては、抽出効率を改善する観点からは、エタノール、水等をエントレーナーとして使用しても良い。
抽出時間は、温度や圧力によって適宜設定すればよいが、好ましくは10〜50分、さらに好ましくは20〜30分の範囲が挙げられる。
抽出操作は、市販の装置を用いて行うことができる。
本発明のシークワーシャー抽出物は、亜臨界抽出法によって製造することも可能である。具体的には、例えば、シークワーシャーの果実又は葉部分を冷凍後に破砕したもの、又はシークワーシャーの果実又は葉部分を凍結乾燥又は熱風乾燥して粉末状にしたものを、
以下の(a)〜(d)の条件に基づいて、亜臨界抽出法によって製造することができる。
(a)抽出溶媒が水であること、
(b)抽出温度が140〜374℃、好ましくは140〜180℃であること、
(c)圧力が3〜22MPa、好ましくは3〜10MPaであること、
(d)抽出時間が0〜10分、好ましくは0〜5分であること。
なお、抽出時間0分とは、抽出開始から目的の抽出温度まで上げた直後に、冷却して温度を抽出開始温度に下げることを意味する。
亜臨界抽出法で用いる流体としては、例えば、水、二酸化炭素が挙げられるが、飲食品としての安全性を向上させる観点からは、水を使用することが好ましい。
抽出温度は、抽出流体として水を用いる場合は、140〜374℃の温度範囲で適宜選択することが可能であるが、抽出効率を改善し、かつポリメトキシフラボノイド、特にノビレチン及び/又はタンゲレチンの含有量を高めるためには、140〜180℃の範囲が好ましい。また、圧力は、抽出流体として水を用いる場合は、3〜10MPaの範囲が好ましい。
抽出時間は、温度や圧力によって適宜設定すればよいが、好ましくは0〜10分、さらに好ましくは0〜5分の範囲が挙げられる。
抽出操作は、市販の装置を用いて行うことができる。
上記のようにして、水、有機溶媒、又は有機溶媒の含水物を用いた抽出法、又は超臨界抽出法もしくは亜臨界抽出法により得られる抽出物は、下記式で表される構造を有するポリメトキシフラボノイドを含有する。このようなポリメトキシフラボノイドの具体例としては、ノビレチン、タンゲレチン、5−デメチルノビレチン、8−デメトキシノビレチン(シネンセチン)、6−デメトキシタンゲレチン、6−デメトキシノビレチン、シトロミチン、5,6,7,8,4−ペンタメトキシフラバノン等が挙げられる。これらのうち、本発明におけるシークワーシャー抽出物に含まれるポリメトキシフラボノイドとしては、ノビレチン及びタンゲレチンが好ましい。
下記化学式において、R、R、R、R、及びRは、各々ノビレチンでは、R=OMe、R=OMe、R=H、R=Me、R=OMeであり、タンゲレチンでは、R=OMe、R=H、R=H、R=Me、R=OMeである(ただし、Meはメチル基、OMeはメトキシ基、Hは水素原子を表す)。
ポリメトキシフラボノイドは、一種でもよく、任意の2種以上の混合物であってもよい。
本発明においてADL改善剤に含有されるシークワーシャー抽出物は、固形物換算で好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上のポリメトキシフラボノイドを含有する。また、このようなシークワーシャー抽出物は、固形物換算で好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上のノビレチン、及び/又は、固形分換算で好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上のタンゲレチンを含む。
すなわち、本発明の別の側面は、ポリメトキシフラボノイドを有効成分として含有するADL改善剤であり、前記ポリメトキシフラボノイドは好ましくはノビレチン及び/又はタンゲレチンである。
ここで「固形物換算で」とは、「固形物(固形分)の量として」と同義である。また、薬剤又は食品等が、シークワーシャー抽出物、ポリメトキシフラボノイド、ノビレチン、又はタンゲレチンを、「固形物換算でX%以上含む」との文言は、薬剤又は食品の固形物に対するシークワーシャー抽出物中の固形物、ポリメトキシフラボノイド、ノビレチン、又はタンゲレチンの量がX%であることを意味する。
抽出物は、そのまま又は濃縮したものを使用してもよく、溶媒を一部又は完全に除去してもよい。なお、濃縮や溶媒の除去については、各種クロマトグラフィー法、蒸留、乾固、再結晶等の方法により実施することができる。特に、医薬品又は飲食品に含まれることが好ましくない有機溶媒、例えばメタノール、プロパノール、ブタノール、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル等は、除去することが好ましい。また、ポリメトキシフラボノイド、特にノビレチン及び/又はタンゲレチンの含有量が高くなるように、抽出物を分画してもよい。ノビレチン及び/又はタンゲレチン等のポリメトキシフラボノイドの含有量は、HPLC等により測定することができる。
上記のようなシークワーシャー抽出物、又はポリメトキシフラボノイドは、そのままADL改善剤(以下、「本発明の薬剤」とも記載する)、または飲食品もしくは飼料の有効成分として利用することが可能である。シークワーシャー抽出物、又はポリメトキシフラボノイドは、溶液であってもよく、常法により凍結乾燥または噴霧乾燥して粉末として保存、使用することもできる。
本発明の薬剤は、一態様として、医薬又はその有効成分として利用することができる。本発明の薬剤は、シークワーシャー抽出物をそのまま、又はポリメトキシフラボノイド、又はノビレチン、及び/又はタンゲレチン、若しくはこれらを製剤学的に許容される製剤担体と組み合わせて、経口的にヒトを含む哺乳動物に投与することができる。
本発明の薬剤の製剤形態は特に限定されず、錠剤(糖衣錠、腸溶性コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル剤(腸溶性カプセル、ソフトカプセルを含む。)、顆粒剤(コーティングしたものを含む。)、丸剤、トローチ剤、封入リポソーム剤、液剤、又はこれらの製剤学的に許容され得る徐放製剤等を例示することができる。製剤化にあたっては製剤成分として通常の経口薬剤に汎用される、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、溶剤等の添加剤を使用できる。
また、本発明の効果を損なわない限り、シークワーシャー抽出物、又はポリメトキシフラボノイドと、公知の、もしくは将来的に見出されるADL改善作用を有する薬剤、又は医薬組成物、公知の、もしくは将来的に見出されるADL改善効果を有する薬剤、又は医薬組成物とを併用してもよい。併用する医薬組成物は、本発明の薬剤中に有効成分の一つとして含有させてもよいし、本発明の薬剤中には含有させずに別個の薬剤として組み合わ
せて商品化してもよい。
上記の製剤に用いる担体及び賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末等を、結合剤としては例えば澱粉、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を、それぞれ例示することができる。
また、崩壊剤としては、澱粉、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム等を例示することができる。
更に、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、及びマクロゴール等、着色剤としては医薬品に添加することが許容されている赤色2号、黄色4号、及び青色1号等を例示することができる。
錠剤及び顆粒剤は、必要に応じ、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セラック、ゼラチン、ソルビトール、グリセリン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、及びメタアクリル酸重合体等により被膜することもできる。
本発明の一態様は、ADL改善剤の製造における、シークワーシャー抽出物、又はポリメトキシフラボノイド若しくはシークワーシャー抽出物に含有されるポリメトキシフラボノイドの使用である。また、本発明の他の態様は、ADL改善に用いられるシークワーシャー抽出物、又はシークワーシャー抽出物に含有されるポリメトキシフラボノイドである。
この態様におけるシークワーシャー抽出物及びポリメトキシフラボノイドの説明は、ADL改善剤の説明に準じる。すなわち、この態様において、ポリメトキシフラボノイドは、好ましくはノビレチン及び/又はタンゲレチンである。また、この態様において、シークワーシャー抽出物は、好ましくは固形物換算で0.6質量%以上のポリメトキシフラボノイドを含むシークワーシャー抽出物である。また、この態様において、シークワーシャー抽出物は、好ましくは固形物換算で0.4質量%以上のノビレチン及び/又は0.2質量%以上のタンゲレチンを含む。またこの態様において、ADL改善剤は、好ましくは脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者におけるADL改善のために用いられるものである。
また、本発明の他の一態様は、シークワーシャー抽出物、又はポリメトキシフラボノイド若しくはシークワーシャー抽出物に含有されるポリメトキシフラボノイドを動物に投与する、ADL改善方法である。ここで、動物は、ヒトを含む哺乳動物が好ましい。
この態様におけるシークワーシャー抽出物及びポリメトキシフラボノイドの説明は、ADL改善剤の説明に準じる。すなわち、この態様において、ポリメトキシフラボノイドは、好ましくはノビレチン及び/又はタンゲレチンである。また、この態様において、シークワーシャー抽出物は、好ましくは固形物換算で0.6質量%以上のポリメトキシフラボノイドを含むシークワーシャー抽出物である。また、この態様において、シークワーシャー抽出物は、好ましくは固形物換算で0.4質量%以上のノビレチン及び/又は0.2質量%以上のタンゲレチンを含む。またこの態様において、投与対象は、好ましくは脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者である。
本発明の薬剤中に含まれるポリメトキシフラボノイド、又はポリメトキシフラボノイド
を含むシークワーシャー抽出物の量は、特に限定されず適宜選択すればよいが、例えば、ポリメトキシフラボノイドを含むシークワーシャー抽出物を用いる場合は、シークワーシャー抽出物に含まれる固形物の量として、好ましくは4質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上とするのがよい。あるいは、薬剤中に含まれるシークワーシャー抽出物の量は、ポリメトキシフラボノイド含有量として、固形分換算で、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とするのがよい。シークワーシャー抽出物の含有量の上限は特に制限されないが、シークワーシャー抽出物中の固形物の量として、例えば95質量%以下、90質量%以下、又は50質量%以下、あるいは、ポリメトキシフラボノイドの量として、例えば95質量%以下、80質量%以下、60質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
また、ポリメトキシフラボノイドとして用いる場合は、薬剤中に含まれるポリメトキシフラボノイドの量は、固形物換算で、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とするのがよい。ポリメトキシフラボノイドの含有量の上限は特に制限されないが、例えば95質量%以下、80質量%以下、60質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
また、ポリメトキシフラボノイドとしてノビレチンを用いる場合は、薬剤中に含まれるノビレチンの量は、固形物換算で、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上とするのがよい。ノビレチンの含有量の上限は特に制限されないが、例えば95質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
また、ポリメトキシフラボノイドとしてタンゲレチンを用いる場合は、薬剤中に含まれるタンゲレチンの量は、固形物換算で、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上とするのがよい。タンゲレチンの含有量の上限は特に制限されないが、例えば95質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
ノビレチン、タンゲレチン、又は他のポリメトキシフラボノイド等、複数種のポリメトキシフラボノイドを用いる場合は、薬剤中の含有量は、上記範囲に応じて適宜設定すればよい。例えば、ポリメトキシフラボノイドとしてノビレチン及びタンゲレチンの両方を用いる場合は、薬剤中に含まれるこれらの化合物の量は、少なくとも一方が上記範囲を満たしていればよいが、両方の化合物が上記範囲を満たしていることが好ましい。
本発明の薬剤は、ADL改善作用を有する。より具体的には、ADL評価に用いられる改訂バーセルインデックス(mBI;modified Bathel Index(Improving the sensitivity of the Barthel Index for stroke rehabilitation. J Clin Epidemiol, 42(8)703-709, 1989)による評価スコアを向上させる作用を有する。特に、mBIの評価項目のうち、更衣及びトイレ動作といった日常生活動作を改善させるのに有用である。
また、本発明の薬剤は、脳卒中患者、回復期を含む脳卒中後のリハビリテーション患者、及び脳卒中の後遺症を有する患者におけるADL改善に有効である。対象の脳卒中としては、脳梗塞、脳出血、及びくも膜下出血のいずれも含まれる。本発明の薬剤は、特に、脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者に好ましく用いることができる。
なお、本発明の薬剤の投与対象としては、筋萎縮に起因する疾患又は症状を原因とするADL障害を除くものであることが好ましい。ここで筋萎縮とは、筋線維数の減少および筋線維の容積の減少により筋量が減少する状態を指す。
また、本発明の薬剤の投与対象としては、IGF−1産生低下によりタンパク質合成が
低下した状態を原因とするADL障害を除くものであることが好ましい。
また、本発明の薬剤の投与対象としては、神経変性疾患を原因とするADL障害を除くものであることが好ましい。ここで神経変性疾患とは、例えばアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症のような中枢機能障害、脊髄損傷、末梢神経損傷、糖尿病性神経障害、並びに筋萎縮変性側索硬化症のような末梢神経障害等が挙げられる。
本発明の薬剤の投与時期は特に限定されず、投与対象の状態に応じて適宜選択することが可能であるが、ADL改善のためのリハビリテーションと併用して摂取されることが好ましい。本発明の薬剤の摂取により、リハビリテーションによるADL改善効果を増強(補強)することができる。
本発明の薬剤の投与量は、投与対象の年齢、性別、状態、その他の条件等により適宜選択される。シークワーシャー抽出物中の固形物の量(mg)として、1日あたり体重1kgあたりで、好ましくは0.1〜500(mg/kg/日)、より好ましくは、1〜50(mg/kg/日)での範囲となる量を目安とするのが良い。
なお、シークワーシャー抽出物中の固形物に含まれるポリメトキシフラボノイド換算量(mg)として、1日あたり体重1kgあたり、好ましくは0.06(mg/kg/日)以上、より好ましくは0.1(mg/kg/日)以上、特に好ましくは0.3(mg/kg/日)以上となる量を目安として投与することがよい。この場合、上限は150(mg/kg/日)以下、好ましくは120(mg/kg/日)以下、より好ましくは90(mg/kg/日)以下、特に好ましくは60(mg/kg/日)以下とするのがよい。
また、本発明の薬剤の投与量は、ポリメトキシフラボノイドの量(mg)として、1日あたり体重1kgあたり、好ましくは0.06(mg/kg/日)以上、より好ましくは0.1(mg/kg/日)以上、特に好ましくは0.3(mg/kg/日)以上となる量を目安とするのが良い。投与量の上限は150(mg/kg/日)以下、好ましくは120(mg/kg/日)以下、より好ましくは90(mg/kg/日)以下、特に好ましくは60(mg/kg/日)以下とするのがよい。
またノビレチンの量(mg)としては、1日あたり体重1kgあたり、好ましくは0.04(mg/kg/日)以上、より好ましくは0.1(mg/kg/日)以上、特に好ましくは0.2(mg/kg/日)以上となる量を目安とするのが良い。投与量の上限は90(mg/kg/日)以下、好ましくは72(mg/kg/日)以下、より好ましくは54(mg/kg/日)以下、特に好ましくは36(mg/kg/日)以下とするのがよい。
またタンゲレチンの量(mg)としては、1日あたり体重1kgあたり、0.01(mg/kg/日)以上、好ましくは0.03(mg/kg/日)以上、より好ましくは0.04(mg/kg/日)以上、特に好ましくは0.09(mg/kg/日)以上となる量を目安とするのが良い。投与量の上限は60(mg/kg/日)以下、好ましくは48(mg/kg/日)以下、より好ましくは36(mg/kg/日)以下、特に好ましくは24(mg/kg/日)以下とするのがよい。
また、投与期間が長い場合、例えば1ヶ月から数ヶ月、又はそれ以上の場合は、薬剤の投与量は上記範囲の1/10〜1/100程度でも効果が期待できる。
投与期間にかかわらず、薬剤は1日1回又は複数回に分けて投与することができる。
本発明の薬剤、又はその有効成分であるシークワーシャー抽出物、若しくはポリメトキシフラボノイドは、飲食品(飲料又は食品)に含有させることもできる。
また、ポリメトキシフラボノイド、若しくはポリメトキシフラボノイドを含むシークワーシャー抽出物、又は本発明の薬剤を有効成分として飲食品に含有させ、ADL改善剤の一態様として、ADL改善用の飲食品として加工することも可能である。
飲食品としては、ポリメトキシフラボノイド、又はシークワーシャー抽出物の効果を損なわず、経口摂取できるものであれば形態や性状は特に制限されず、ポリメトキシフラボノイド、又はシークワーシャー抽出物を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
上記のような食品としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食等のほか、例えば、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類; 農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品; 水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等のその他の市販食品等;育児用調製粉乳;経腸栄養食等が挙げられる。
また上記飲食品は、ADL改善の用途等の保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能
食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一年内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
さらに、ポリメトキシフラボノイド、若しくはポリメトキシフラボノイドを含むシークワーシャー抽出物、又は本発明の薬剤を有効成分として飼料中に含有させ、ADL改善剤の一態様として、ADL改善作用を有する飼料として加工することも可能である。
飼料の形態としては特に制限されず、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、ホエイ、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トルラ酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を配合することにより製造できる。飼料の形態としては、例えば、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
本発明の飲食品(飼料を含む)中に含まれるポリメトキシフラボノイド、又はシークワーシャー抽出物の量は、特に限定されず適宜選択すればよいが、例えば、ポリメトキシフラボノイドを含むシークワーシャー抽出物を用いる場合は、シークワーシャー抽出物中の固形物の量として、4質量%以上とするのがよい。
あるいは、飲食品中に含まれるシークワーシャー抽出物の量は、ポリメトキシフラボノイド含有量として、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とするのが良い。シークワーシャー抽出物の含有量の上限は特に制限されないが、シークワーシャー抽出物中の固形物の量として、例えば95質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下、あるいは、ポリメトキシフラボノイドの量として、例えば95質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
また、ポリメトキシフラボノイドを用いる場合は、飲食品中に含まれるポリメトキシフラボノイドの量は、固形物換算で、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上とするのが良い。ポリメトキシフラボノイドの含有量の上限は特に制限されないが、例えば95質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
また、ノビレチンを用いる場合は、飲食品中に含まれるノビレチンの量は、固形物換算で、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上とするのが良い。ノビレチンの含有量の上限は特に制限されないが、例えば95質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
また、タンゲレチンを用いる場合は、飲食品中に含まれるタンゲレチンの量は、固形物換算で、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上とするのが良い。タンゲレチンの含有量の上限は特に制限されないが、例えば95質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、30質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
また、本発明の飲食品とともに、乳たんぱく質(カゼイン)、乳清たんぱく質(ホエイ)、大豆たんぱく質、乳清ペプチド、分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)、HMB、グルタミン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、クレアチン、カルニチン、核酸(DNA、RNA)、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛、マグネシウム、各種ポリメトキシフラボノイド、各種ポリフェノール等の成分を摂取すると、より高いADL改善効果が得られることが期待される。これらの成分は、本発明の飲食品に配合してもよい。
また、本発明の飲食品(飼料を含む)は、単回摂取あたり、シークワーシャー抽出物を、固形物換算で20mg以上、より好ましくは50mg以上、さらに好ましくは100mg以上含むことが望ましい。
また、本発明の飲食品(飼料を含む)は、単回摂取あたり、ポリメトキシフラボノイドを、固形物換算で3mg以上、より好ましくは8mg以上、さらに好ましくは17mg以上含むことが望ましい。
また、本発明の飲食品(飼料を含む)は、単回摂取あたり、ノビレチンを、固形物換算で2mg以上、より好ましくは6mg以上、さらに好ましくは12mg以上含むことが望ましい。
また、本発明の飲食品(飼料を含む)は、単回摂取あたり、タンゲレチンを、固形物換算で1mg以上、より好ましくは2mg以上、さらに好ましくは5mg以上含むことが望ましい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
シークワーシャー抽出物の脳卒中リハビリテーションへの効果を検証するため、回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中(脳梗塞、脳出血、又はくも膜下出血)のリハビリテーション患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較優越性試験を行った。
(方法)
シークワーシャー抽出物を1個あたり固形物として100mg配合したカプセルを作製した。
使用したシークワーシャー抽出物(市販品、アークレイ株式会社製)は、シークワーシャー果実の絞りかすから含水エタノールで抽出した抽出物に包接剤としてシクロデキストリンを添加したものであり、通常の仕様では以下の組成を有する。
固形物 92質量%以上
シクロデキストリン 50質量%
ポリメトキシフラボノイド 10質量%以上
なお、上記カプセルは、上記シークワーシャー抽出物を100mg含有し、カプセル中のポリメトキシフラボノイド含有量は8.6mg、ノビレチン含有量は6mg、タンゲレチン含有量は2.6mgであった。また、上記カプセルは、澱粉及び結晶セルロースを含有する。
試験参加の同意を得た患者を摂取群と対照群とに分け(各群20名)、摂取群には前記
カプセルを1日2個、シークワーシャー抽出物の固形物として計200mg/日を12週間投与した。対照群には、シークワーシャー抽出物に代えて食物繊維を含むプラセボカプセルを1日2個ずつ投与した。
(評価)
ADLの評価は、改訂バーセルインデックス(mBI;modified Bathel Index(Improving the sensitivity of the Barthel Index for stroke rehabilitation. J Clin Epidemiol, 42(8)703-709, 1989))を指標として行った。改訂バーセルインデックスは、食事、整容、更衣、トイレ動作、入浴動作、ベッド移乗、排尿管理、排便管理、歩行(車椅子操作)、及び階段昇降の項目について、これらの介助量を全介助、最大介助、中等度介助、軽介助、及び自立の5段階で項目毎に得点化し、通常はその合計得点(最高100〜最低0)で評価するものである。
また、脳卒中の重症度を評価する指標として、Fugl-Meyer assessment下肢項目を評価した(Fugl-Meyer AR, Jaasko L, Leyman I, Olsson S, Steglind S. The post-stroke hemiplegic patient, I: a method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 7: 13-31, 1975.)。また、コミュニケーション・社会的認知機能についても、常法により評価を行った。
ADL評価は試験開始前、摂取開始4週後、8週後、及び12週後に、脳卒中の重症度評価及びコミュニケーション・社会的認知機能の評価は試験開始前、及び摂取開始12週後に行った。
(結果)
表1に、脳卒中リハビリテーション患者のADLに対するシークワーシャー抽出物として、試験開始前と試験(摂取)開始12週後の改訂バーセルインデックスの各項目(mBI)のスコアの変化量を示す。これから明らかなように、改訂バーセルインデックスは、シークワーシャー抽出物摂取群で有意な改善が見られた。項目別にみると、「更衣」及び「トイレ動作」において有意(表中の「*」で表される)な改善が見られた。
一方、Fugl-Meyer assessment下肢項目、及びコミュニケーション・社会的認知機能は、シークワーシャー抽出物による改善作用は確認されなかった。
本試験の結果より、シークワーシャー抽出物は、脳卒中の重症度、認知機能の改善作用によらず、脳卒中リハビリテーション患者のリハビリテーションによるADLの回復を増強する効果を有することが明らかとなった。また、当該効果は、ADLのうち、特に「更衣」及び「トイレ動作」に代表される動作に有効であると考えられる。
[実施例2]ゼリー食品の製造
以下の原料を全て水に溶解、混合した後、シクロデキストリンで包接処理したノビレチンを溶解した。溶解液を、常法に従い殺菌、充填し、以下の配合のゼリー食品(1個50g)を製造した。得られたゼリー食品1個分のノビレチンの含有量は325mgである。本食品を1日に1個、長期間摂取することで、ADL改善作用が示唆される結果が得られた。
デキストリン(松谷化学工業社製) 10質量%
ホエイタンパク質(森永乳業社製) 5質量%
ゲル化剤(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.3質量%
クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.2質量%
ノビレチン(東京化成工業社製) 0.065質量%
シクロデキストリン(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.065質量%
香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.02質量%
水 84.4質量%
[実施例3]飲料の製造
以下の原料を全て水に溶解、混合した後、シクロデキストリンで包接処理したタンゲレチンを溶解した。溶解液を、常法に従い殺菌、充填し、以下の配合の飲料(1本125ml)を製造した。得られた飲料1本分のタンゲレチンの含有量は20mgである。本食品を1日に2本、長期間摂取することで、ADL改善作用が示唆される結果が得られた。
デキストリン(松谷化学工業社製) 7質量%
タンパク質加水分解物(森永乳業社製) 0.5質量%
クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.2質量%
アスコルビン酸Na(DSMニュートリション社製) 0.2質量%
香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.02質量%
甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.01質量%
タンゲレチン(東京化成工業社製) 0.016質量%
シクロデキストリン(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 0.016質量%
水 92.038質量%
[実施例4]錠菓の製造
以下の配合の錠菓を常法により打錠して、1粒250mgの錠菓を製造した。得られた錠菓1g中のシークワーシャー抽出物含有量は、60mgである。本原料に使用したシークワーシャー抽出物のポリメトキシフラボノイド含有量は10%以上であることから、ポリメトキシフラボノイド含有量としては、錠菓1gあたり6mg程度である。本食品を1日4粒、長期間摂取することで、ADL改善作用が示唆される結果が得られた。
粉あめ(昭和産業社製) 86質量%
シークワーシャー抽出物(アークレイ社製) 6質量%
クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 4質量%
香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 2質量%
乳化剤(花王社製) 2質量%
[実施例5]チュアブル錠の製造
以下の配合のチュアブル錠を常法に従って製造して、1粒250mgのチュアブル錠を製造した。得られたチュアブル錠1g中のシークワーシャー抽出物含有量は、200mgである。本原料に使用したシークワーシャー抽出物のポリメトキシフラボノイド含有量は10%以上であることから、ポリメトキシフラボノイド含有量としては、チュアブル錠1gあたり20mg程度である。本食品を1日1粒、長期間摂取することで、ADL改善作用が示唆される結果が得られた。
エリスリトール(三菱化学フーズ社製) 68質量%
シークワーシャー抽出物(アークレイ社製) 20質量%
クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 7質量%
タルク(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 3質量%
香料(三栄源エフ・エフ・アイ社製) 2質量%

Claims (14)

  1. シークワーシャー抽出物を有効成分として含有するADL改善剤。
  2. 前記シークワーシャー抽出物が、シークワーシャーの果実及び/又は葉の有機溶媒抽出物である、請求項1に記載のADL改善剤。
  3. 前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、アセトニトリル、及びこれらの有機溶媒の含水物からなる群より選ばれる、請求項2に記載のADL改善剤。
  4. 前記シークワーシャー抽出物が、シークワーシャーの果実及び/又は葉の、超臨界又は亜臨界抽出物である、請求項1に記載のADL改善剤。
  5. 前記シークワーシャー抽出物が、固形物換算で0.6質量%以上のポリメトキシフラボノイドを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のADL改善剤。
  6. 前記シークワーシャー抽出物が、固形物換算で0.4質量%以上のノビレチン及び/又は0.2質量%以上のタンゲレチンを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のADL改善剤。
  7. さらに、ポリメトキシフラボノイドを水可溶化する包接剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のADL改善剤。
  8. 前記包接剤がシクロデキストリンであり、その含有量が、シークワーシャー抽出物の固形物とシクロデキストリンの合計量に対して0.1〜95質量%である、請求項7に記載のADL改善剤。
  9. ADLが、更衣及び/又はトイレ動作である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のADL改善剤。
  10. 脳卒中の後遺症の片麻痺を有する患者に用いられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のADL改善剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のADL改善剤をポリメトキシフラボノイドの含有量として固形物換算で0.6質量%以上含む、ADL改善用の飲食品。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のADL改善剤をノビレチンの含有量として固形物換算で0.4質量%以上及び/又はタンゲレチンの含有量として固形物換算で0.2質量%以上含む、ADL改善用の飲食品。
  13. ポリメトキシフラボノイドを有効成分として含有するADL改善剤。
  14. 前記ポリメトキシフラボノイドがノビレチン及び/又はタンゲレチンである、請求項13に記載のADL改善剤。
JP2017015180A 2017-01-31 2017-01-31 Adl改善剤 Pending JP2018123077A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017015180A JP2018123077A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 Adl改善剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017015180A JP2018123077A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 Adl改善剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018123077A true JP2018123077A (ja) 2018-08-09

Family

ID=63110941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017015180A Pending JP2018123077A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 Adl改善剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018123077A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2854281C (en) A muscle atrophy inhibitor
JP5594819B2 (ja) 脂質代謝改善用組成物
JP6443804B2 (ja) ナチュラルキラー細胞活性促進剤
JPWO2004112817A1 (ja) セリ科植物由来抽出物およびその製造方法
JP2008069095A (ja) 血中脂質改善剤
JP6131275B2 (ja) Igf−1産生促進剤
JP6273440B2 (ja) Glp−1産生促進剤、dppiv阻害剤及びグルコース吸収阻害剤
JP6044944B2 (ja) 新規梅加工品の製造方法及びこれを用いた機能性組成物、食品組成物、医薬組成物
JP2012082172A (ja) チョウセンゴミシ水抽出エキスを有効成分として含有するジペプチジルペプチダーゼiv阻害剤
JP2018123077A (ja) Adl改善剤
JP2007051103A (ja) 抗酸化組成物
JP2007099671A (ja) 抗酸化組成物
JP2007269685A (ja) 生理機能改善用組成物
JP6173850B2 (ja) 筋肉増量剤、運動併用時の筋肉増量剤、及び筋肉増量用の飲食品
JP6091067B2 (ja) 細胞賦活剤およびその用途
JP2007284366A (ja) 脂質吸収阻害剤およびその摂取方法
JP2003012527A (ja) 過食抑制剤
JP2022038319A (ja) インターフェロン-γ産生促進剤
JP2022079610A (ja) 血中中性脂肪上昇抑制組成物
JP2012162472A (ja) 脂質排泄促進剤
JP2015042630A (ja) 運動併用時の早期血糖低下剤