JP2012162472A - 脂質排泄促進剤 - Google Patents

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【課題】梅果肉の新規な機能を見出し、脂質の吸収阻害と排泄促進の両活性を兼ね備えた効果的な梅由来の脂質排泄促進剤を提供することを目的とする。
【解決手段】梅果肉またはその処理物は、リパーゼ阻害作用および脂質吸着作用を併せ持ち、これらの作用に基づいて脂質排泄を顕著に促進する脂質排泄促進剤の有効成分として非常に有用である。本発明により、食事からの脂質をすみやかに体外に排出することができ、メタボリックシンドローム予防または改善に大きく貢献することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、梅果肉またはその処理物を含有する脂質排泄促進剤に関するものである。
脂質は、糖質、たんぱく質と並ぶ3大栄養素の一つで、体内ではエネルギー源となるほか、細胞膜やホルモンの材料となる生命活動に欠かせない大切な成分である。しかしながら、近年の食の欧米化にともない日本人の脂質摂取量が増加しており、高カロリー・高脂肪食が続くと、肥満の要因となるだけでなく、高脂血症や糖尿病などを発症させ、動脈硬化を促進させてしまう恐れがある。そのため日本高血圧学会や、日本肥満学会等からメタボリックシンドロームという概念が提唱され、国を挙げてその予防に注力している。
食事により摂取された脂質は、胃から小腸に達し、胆管より分泌される胆汁酸でミセル状に分散される。更に膵臓から分泌されるリパーゼによりモノアシルグリセロールと脂肪酸に分解され、小腸で吸収される。
脂質の体内への吸収量を低下させるためには、まずは摂取しないことであるが、栄養バランスの観点から医師や栄養士などの専門家の指導が必要となる。その他には、物理的吸着作用により脂質の吸収を阻害するか、あるいはリパーゼの活性を阻害することが有効であると考えられる。
脂質吸収量の低下を目的とした取り組みとして、キトサンとアスコルビン酸を有効成分として摂取すると、糞中の脂質排泄量が増加する食餌脂質吸収阻害剤が開示されている。(例えば特許文献1)また、クロレラを有効成分として摂取すると、脂質の吸収阻害・排出促進効果を得られることが開示されている。(例えば特許文献2)これらは作用機序まで明らかにされていないが、食物繊維などの難消化性成分が上記機能を発揮していると考えられる。
食物繊維は、成人で1日20g程度の摂取量が推奨されているが、食の欧米化は食物繊維摂取量にも影響を及ぼし、現在は1日15g程度にまで減少してきており、1日約5g分が不足していると言われている。食物繊維の摂取は、腸内環境の改善や便秘の解消などに有効であることが知られているだけでなく、メタボリックシンドロームにも挙げられる心筋梗塞の予防、糖尿病の予防、大腸ガンの予防などに効果があると言われているので、積極的な摂取が望まれる。
脂質吸収量の低下を目的としたもう一つの取り組みとして、杜仲葉水抽出物成分により脂肪の吸収および蓄積に関係するリパーゼの阻害剤が開示されている。(例えば特許文献3)また、雲南紅茶の抽出物がリパーゼ阻害作用を有し、胃内滞留時間を延長することが開示されている。(例えば特許文献4)これらは、いずれも植物から抽出された低分子成分であり、食物繊維などの難消化性高分子がリパーゼ阻害作用を持つという報告はこれまで存在しなかった。故に、脂質の吸収阻害と排泄促進の両活性を兼ね備えた効果的な素材が求められていた。
梅(Prunus mume Sieb.et Zucc)は、古くから梅干し、梅酒、梅肉エキスなどに加工され広く利用されてきた。梅の健康効果については、有効成分クエン酸による抗菌作用や疲労回復効果、風邪の予防など経験的に伝えられてきたが、近年の研究で、胃がんの原因の一つとされるヘリコバクターピロリの運動能阻害作用があること(例えば特許文献5)、α−グルコシダーゼ阻害作用があること(例えば特許文献6)が明らかにされている。しかし、これらはともに梅の抽出物を有効成分としており、固形分として食物繊維を多く含む梅果肉についての健康効果は何ら明らかにされていなかった。
特開平6−7117号公報 特開平9−12466号公報 特開2005−289950号公報 特開2007−99651号公報 特許第4081678号公報 特許第4403547号公報
本発明は、梅果肉の新規な機能を見出し、脂質の吸収阻害と排泄促進の両活性を兼ね備えた効果的な梅由来の脂質排泄促進剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、梅果肉がリパーゼ阻害作用および脂質吸着作用を有し、その結果脂質排泄を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記本発明の課題は、下記する本発明により一挙に解決される。即ち、本発明は、
(1)梅果肉またはその処理物を有効成分として含有することを特徴とする脂質排泄促進剤、
(2)脂質吸着作用を有することを特徴とする前記(1)に記載の脂質排泄促進剤、
(3)リパーゼ阻害作用を有することを特徴とする前記(1)に記載の脂質排泄促進剤、
(4)メタボリックシンドロームの予防または改善のための前記(1)に記載の脂質排泄促進剤。
(5)血糖値上昇抑制のための前記(1)に記載の脂質排泄促進剤、
(6)内臓脂肪抑制のための前記(1)に記載の脂質排泄促進剤、
(7)梅果肉またはその処理物が、梅果肉乾燥物または梅果肉乾燥粉末であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の脂質排泄促進剤、
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の脂質排泄促進剤を含有する医薬品、
(9)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の脂質排泄促進剤を含有する飲食品、
(10)梅果肉またはその処理物を有効成分として含有する脂質吸着剤、および
(11)梅果肉またはその処理物を有効成分として含有するリパーゼ阻害剤、
に関する。
本発明によれば、リパーゼ阻害作用および脂質吸着作用に基づいて脂質排泄を顕著に促進する梅果肉由来の脂質排泄促進剤を提供することができる。本発明により、食事からの脂質をすみやかに体外に排出することができ、メタボリックシンドロームの予防または改善に大きく貢献することができる。
梅果肉乾燥粉末の脂質吸着量を示す図である。 梅果肉乾燥粉末のリパーゼ阻害作用を示す図である。 梅果肉乾燥粉末を摂取したときの乾燥糞便総脂質濃度を示す図である。 梅果肉乾燥粉末を摂取したときの乾燥糞便重量を示す図である。 梅果肉乾燥粉末を摂取したときの血漿グルコース濃度を示す図である。 梅果肉乾燥粉末を摂取したときの内臓脂肪量を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、梅果肉またはその処理物を有効成分として含有する脂質排泄促進剤を提供する。梅果肉は、未熟果(青梅)でもよく、完熟果でもよいが、得られる梅果肉の風香味の点で、完熟果の方が好ましい。梅の品種は特に限定されず、例えば南高、小粒南高、古城、白加賀、鶯宿などが挙げられる。
梅果肉は、生の梅果実からタネを除いたものであればよい。梅果肉の処理物は、生の梅果実からタネを除いた梅果肉に何らかの処理を行ったものであればよく、処理の内容は限定されない。梅果肉の処理物としては、例えば、梅果肉から得られる梅果汁、搾汁後の梅果肉、梅果汁を濃縮した梅エキス(梅肉エキスともいう)、梅果肉または搾汁後の梅果肉を乾燥した梅果肉乾燥物、梅果肉乾燥物をさらに粉末化した梅果肉乾燥粉末などが挙げられるが、これらに限定されない。梅果肉の処理物は、食物繊維を高含有するものが好ましく、この点で搾汁後の梅果肉、梅果肉乾燥物、梅果肉乾燥粉末が好適に用いられる。また、梅果肉乾燥物、梅果肉乾燥粉末は、常温での長期保存が可能となるので、本発明の脂質排泄促進剤の有効成分として好ましく用いることができる。
梅果肉の処理物は、公知の方法で製造することができる。例えば、梅エキス(梅肉エキス)は、梅果汁をアクなどを取りながら長時間煮詰める方法などの公知の方法で製造することができる。また、梅果肉の乾燥は、例えば、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、遠赤外線乾燥などの公知の乾燥方法を制限なく採用できる。中でも成分の変化が最も少ない凍結乾燥が好ましい。乾燥温度は、特に限定されないが、糖の褐変による変色を防ぐため、通常約80℃以下で行われ、約60℃以下が好ましい。乾燥温度の下限は通常30℃である。乾燥は、梅果肉の水分量が、好ましくは約3〜14質量%、より好ましくは約3〜8質量%になるまで行えばよい。
粉末化の方法は、特に限定されないが、例えばハンマーミル、ボールミル、ピンミル、ウイングミル、ジェットミルなどを用いる方法が挙げられる。メッシュサイズは、特に限定されないが、約30メッシュ〜200メッシュが好ましく、約60メッシュ〜100メッシュがより好ましい。30メッシュ以上になると、粉末としての用途に適さなくなり、200メッシュ以下の微粉末になると、粉末が空気の対流で飛散するので、取り扱いが困難になる。
本発明の脂質排泄促進剤の有効成分である梅果肉またはその処理物は、脂質吸着作用およびリパーゼ阻害作用を有することが確認されており(試験例1、2参照)、これらの作用に基づいて脂質排泄を促進するものと考えられる。したがって、「梅果肉またはその処理物を有効成分として含有する脂質吸着剤」および「梅果肉またはその処理物を有効成分として含有するリパーゼ阻害剤」も本発明に含まれる。
本発明の脂質排泄促進剤は、動物試験において、血糖値上昇抑制作用および内臓脂肪抑制作用を有することが確認されていることから(試験例4参照)、糖尿病等の血糖値上昇に基づく疾患や、内臓脂肪型肥満、脂肪肝等の内臓脂肪の増加に基づく疾患、すなわち生活習慣病と称される疾患を予防または改善するために好適に用いることができる。
また、本発明の脂質排泄促進剤は、メタボリックシンドロームを予防または改善するために好適に用いることができる。わが国では、以下の(1)に加えて(2)〜(4)のうち2つ以上が当てはまるとメタボリックシンドロームと診断される。
(1)腹囲(へそ周り)が、男性の場合は85cm以上、女性の場合は90cm以上
(2)中性脂肪が150mg/dL以上、HDLコレステロールが40mg/dL未満、のいずれか、または両方
(3)最高(収縮期)血圧が130mmHg以上、最低(拡張期)血圧が85mmHg以上、のいずれか、または両方
(4)空腹時血糖値が110mg/dL以上
本発明の脂質排泄促進剤をメタボリックシンドロームの診断基準を満たすヒトに適用すれば、上記(1)、(2)、(4)の改善が期待できる。
本発明の脂質排泄促進剤は、医薬品、医薬部外品、飲食品などとして使用することができる。本発明の脂質排泄促進剤を含有する医薬品は、各種の経口投与形態を有する製剤とすることができる。固形製剤としては、例えば散在、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、チュアブル剤などが挙げられる。液体製剤としては、乳剤、液剤、シロップ剤などが挙げられる。
固形製剤は、有効成分である梅果肉またはその処理物に、薬学的に許容される担体や添加物を配合して調製される。例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、デンプン、マンニットのような賦形剤;アラビアゴム、ゼラチン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースのような結合剤;カルメロース、デンプンのような崩壊剤;無水クエン酸、ラウリン酸ナトリウム、グリセロールのような安定剤などが配合される。さらに、ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなどでコーティングしたり、カプセル化したりしてもよい。
また、液体製剤は、有効成分である梅果肉またはその処理物を、例えば、水、エタノール、グリセリン、単シロップ、またはこれらの混液などに、溶解または分散させることにより調製される。これらの製剤には、甘味料、防腐剤、粘滑剤、希釈剤、緩衝剤、着香剤、着色剤のような添加剤が添加されていてもよい。
本発明の医薬品における有効成分の含有量は、乾燥質量に換算して、通常約1質量%以上とすればよく、約10質量%以上が好ましく、約20質量%以上がより好ましい。また、当該含有量は通常約99質量%以下とすればよく、約50質量%以下が好ましい。
また、本発明の医薬品の1日使用量は、対象者の症状、体重などによっても異なるが、有効成分を乾燥重量に換算した1日使用量が、約0.1〜50gとなる量が好ましく、約1〜30gとなる量がより好ましい。上記範囲であれば、十分に脂質の吸収阻害・排泄促進作用が発揮されると共に副作用が生じない。
本発明の脂質排泄促進剤を含有する飲食品は、各種の飲食品の形態で提供することができる。飲食品には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病者用食品等が含まれる。本発明に好適な飲食品は特に限定されないが、栄養補助食品(サプリメント)として用いることが好ましい。
本発明の飲食品は、食品に通常用いられる賦形剤または添加物を配合して、錠剤、タブレット剤、丸剤、顆粒剤、散剤、粉剤、カプセル剤、水和剤、乳剤、液剤、エキス剤、またはエリキシル剤などの剤型に調製することができる。食品に通常用いられている賦形剤としては、シロップ、アラビアゴム、ショ糖、乳糖、粉末還元麦芽糖、セルロース糖、マンニトール、デキストラン、デンプン類、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドンのような結合剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコールのような潤滑剤;ジャガイモ澱粉のような崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウムのような湿潤剤などが挙げられる。添加剤としては、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤などが挙げられる。
本発明の飲食品の特に好ましい形態として、梅果肉乾燥粉末および梅エキスのみを用いて製剤化したもの(特許4566978号公報参照)が挙げられる。
本発明の飲食品における有効成分の含有量は、乾燥質量に換算して、通常約1質量%以上とすればよく、約10質量%以上が好ましく、約20質量%以上がより好ましい。また、梅果肉またはその処理物のみからなる飲食品、すなわち有効成分の含有量を100質量%としてもよい。上記範囲であれば、通常の摂取量で十分な脂質の吸収阻害・排泄促進作用が発揮される。
また、本発明の飲食品は、一般の飲料、食品、調味料等の形態であってもよい。飲料としては、スポーツ飲料、ドリンク剤、乳飲料、乳酸菌飲料、果汁飲料、炭酸飲料、野菜飲料、茶飲料、コーヒー飲料、アルコール飲料などが挙げられる。食品としては、麺類、パン粉のような穀物加工品;味噌のような豆類加工品;米粉、小麦粉、きな粉のような粉類;即席麺、即席スープのような乾燥食品;スープ、カレーのようなレトルト食品;クッキー、ビスケット、スナック、ゼリー、ガム、グミ、飴、チョコレート、アイスクリームのような菓子などが挙げられる。調味料としては、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、しょうゆ、ソース、つゆ、たれなどが挙げられる。
このような一般の飲食品における有効成分の含有量は、乾燥質量に換算して、通常約1質量%以上とすればよく、約10質量%以上が好ましく、約20質量%以上がより好ましい。また、梅果肉またはその処理物のみからなる飲食品、すなわち有効成分の含有量を100質量%としてもよい。上記範囲であれば、無理なく摂取できる飲食品中に、脂質の吸収阻害・排泄促進作用が発揮される十分な量の梅果肉またはその処理物が含まれることになる。
一般の飲食品に含まれる有効成分は、個状、ペースト状の梅果肉そのものを包含し、この場合、梅果肉を食事に直接添加することにより摂取することができる。
本発明の飲食品の1日の摂取量は、摂取者の健康状態、体重などによって異なるが、有効成分を乾燥重量に換算した1日摂取量が、例えば約0.1〜50g、好ましくは約1〜30gとなる量とすればよい。上記範囲であれば、十分な脂質の吸収阻害・排泄促進作用が得られると共に、通常の飲食物の摂取量で有効量の梅果肉を摂取できる。また、上記範囲であれば、副作用が生じることもない。
本発明の医薬品および飲食品は、人類が長年摂取してきた梅を有効成分とするものであるから、毒性が低く、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し安全に用いられる。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
和歌山県産南高梅の完熟果を洗浄し、ペンチを用いて果実からタネを除去し、果汁を含んだ果肉を得た。果肉はミキサーにて破砕し、遠心分離(3000rpm)することにより、搾汁後の梅果肉と梅果汁を得た。最終的に南高梅の完熟果10kgから搾汁後の梅果肉2.7kg、梅果汁6.0kg、タネ1.3kgが得られた。
次に、搾汁後の梅果肉2.7kgを遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)に投入し、60℃で20時間乾燥させた。得られた梅果肉乾燥物(水分6.1質量%)をミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、梅果肉乾燥粉末530gを得た。
[比較例1]
青森県産りんご(ふじ)の果実を洗浄し、ナイフで種子を含んだ芯部分を切り取り、皮を含んだ可食部をミキサーで粉砕した。得られたりんごピューレを遠心分離(3000rpm)し、搾汁後のりんご果肉とりんご果汁を得た。最終的にりんご10kgから、搾汁後のりんご果肉3.6kg、りんご果汁5.4kgが得られた。
次に、搾汁後のりんご果肉3.6kgを遠赤外線乾燥機(ヴィアノーベ社製)に投入し、60℃で20時間乾燥させた。得られたりんご果肉乾燥物(水分5.6質量%)をミルミキサー(大阪ケミカル社製)により粉末状に粉砕し、りんご果肉乾燥粉末700gを得た。
[試験例1]
実施例1の梅果肉乾燥粉末0.5gを試験管に秤量し、食用なたね油(Jオイルミルズ社製)を10mlと蒸留水10mlを加えて密栓した。この試験管を37℃の恒温室にて、120ストローク/分のスピードで一晩振とうを行った。この試験管を遠心分離(2500rpm)にかけ、上澄みをデカンテーションで除去したのち得られた梅果肉粉末の重量を測定した。梅果肉粉末の重量増加分を油の吸着量とし、比較例1のりんご果肉乾燥粉末、コントロールとしてのセルロース、市販されている山芋粉末、酒粕粉末、米粉を用いて比較検討を行った。なお実験条件は全て同様に行った。
結果を図1に示す。今回比較した素材はいずれも吸着能を有していたが、中でも実施例1は、最も高い脂質の吸着量を示した。食用なたね油10mlと蒸留水10mlの混合状態は、食事を取ったときの胃の中の混合比を想定した評価系(「飲み水の雑学」小沢正昭著、研成社)であるため、実際の生体内においても実施例1が最も効果的に脂質を吸着できると考えられる。
[試験例2]
実施例1の梅果肉乾燥粉末0.05gを試験管に秤量し、リパーゼキットS(DSファーマバイオメディカル社製)を用いて、リパーゼ活性を測定し、その残存活性から阻害作用を求めた。リパーゼにはブタ膵臓由来のリパーゼを用いた。比較例1のりんご果肉乾燥粉末、コントロールとしてのセルロース、市販されている山芋粉末、酒粕粉末、米粉を比較サンプルとし、実験条件は全て同様に行った。
結果を図2に示す。実施例1は、今回比較した素材の中で最も阻害活性が高かった。リパーゼ阻害活性が高いということは、摂取された脂質が分解を受けず、小腸で吸収されないので、実施例1は、実際の生体内においても非常に効果的に脂質を排泄できると考えられる。
[試験例3]
日本チャールズリバーから購入したマウス(ICR系、オス、7週齢、各群7匹)をAIN−93M食で1週間予備飼育した後、試験食に切り替え40日間飼育した。コントロールとしてのセルロース食群には、セルロースを5質量%添加した精製飼料を40日間摂取させ、梅果肉食群には、実施例1の梅果肉乾燥粉末を食物繊維量換算で5質量%添加した飼料を40日間摂取させた。飼育期間中マウスの糞を全て回収し乾燥糞便重量を測定した。また、最終日に排泄された糞便中の総脂質含有量をBligh&Dyer法で測定した。
結果を図3(乾燥糞便総脂質濃度)および図4(乾燥糞便重量)に示す。セルロース食群に比べ梅果肉食群のマウスでは最終日に採取した糞便中の総脂質含有量が30%以上増加した。糞重量も有意に増加していた。以上の結果から、本発明の脂質排泄促進剤による脂質排泄促進効果および糞便排泄促進効果が、動物実験において実証された。
[試験例4]
日本チャールズリバーから購入したマウス(ICR系、オス、8週齢、各群7匹)をAIN−93M食で1週間予備飼育した後、試験食に切り替え28日間飼育した。梅果肉食群には、実施例1の梅果肉乾燥粉末を食物繊維量換算で5質量%添加した飼料を28日間摂取させ、リンゴ繊維食群には、リンゴ食物繊維(商品名:ポメライトLV、ユニテックフーズ社製)を5質量%添加した飼料(リンゴ繊維食)を28日間摂取させた。試験終了後、マウスを解剖し、採血して血漿を採取し、血漿のグルコース濃度をグルコースCIIテストワコー(和光純薬製)で測定した。また、内臓脂肪重量の測定を行った。
結果を図5(血漿グルコース濃度)および図6(内臓脂肪重量)に示す。リンゴ繊維食群に比べ、梅果肉食群のマウスでは血漿グルコース濃度が有意に低値を示した。また、内臓脂肪量が平均で1/2に有意に減少していた。以上の結果から、本発明の脂質排泄促進剤は、糞便排泄量を増加させ、糞便への脂質排泄を増加させる作用、および血糖値を低下させ、内臓脂肪重量を減少させる作用を有することが明らかとなった。
本発明の脂質排泄促進剤は、リパーゼ阻害作用および脂質吸着作用を併せ持ち、食事からの脂質をすみやかに体外に排出することができ、メタボリックシンドローム予防または改善に使用することができる。

Claims (11)

  1. 梅果肉またはその処理物を有効成分として含有することを特徴とする脂質排泄促進剤。
  2. 脂質吸着作用を有することを特徴とする請求項1に記載の脂質排泄促進剤。
  3. リパーゼ阻害作用を有することを特徴とする請求項1に記載の脂質排泄促進剤。
  4. メタボリックシンドロームの予防または改善のための請求項1に記載の脂質排泄促進剤。
  5. 血糖値上昇抑制のための請求項1に記載の脂質排泄促進剤。
  6. 内臓脂肪抑制のための請求項1に記載の脂質排泄促進剤。
  7. 梅果肉またはその処理物が、梅果肉乾燥物または梅果肉乾燥粉末であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の脂質排泄促進剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の脂質排泄促進剤を含有する医薬品。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の脂質排泄促進剤を含有する飲食品。
  10. 梅果肉またはその処理物を有効成分として含有する脂質吸着剤。
  11. 梅果肉またはその処理物を有効成分として含有するリパーゼ阻害剤。
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