JPH11263077A - 感熱転写用積層フィルム - Google Patents

感熱転写用積層フィルム

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JPH11263077A
JPH11263077A JP11006346A JP634699A JPH11263077A JP H11263077 A JPH11263077 A JP H11263077A JP 11006346 A JP11006346 A JP 11006346A JP 634699 A JP634699 A JP 634699A JP H11263077 A JPH11263077 A JP H11263077A
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重之 渡辺
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Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンターの高速化、インクリボンの薄膜化
に最適な感熱転写用積層フィルムを提供する。 【解決手段】 水溶性または水分散性の有機高分子化合
物を含む塗液を、配向結晶化が完了する前のポリエステ
ルフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥・延
伸・熱処理を施すことによって形成された塗布層を有す
る、全厚み1.0〜7.0μmのフィルムであって、当
該フィルムの長手方向の任意の5m長区間における厚さ
ムラが15%以下であり、前記塗布層の固着力が100
gf/125mm以下である感熱転写用積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱転写用積層フ
イルムに関し、より詳しくは、プリンターの高速化、イ
ンクリボンの薄膜化に最適な感熱転写用積層フィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PET)
およびポリエチレンナフタレート(PEN)に代表され
るポリエステルフイルムは、機械的強度、耐熱性、寸法
安定性、耐薬品性など、多くの性能に優れており、コス
トパフォーマンスに優れているため、種々の用途に使用
されている。
【0003】加えて、更なる機能化のため、これらポリ
エステルフィルムの製膜工程中において、水溶性または
水分散性の有機高分子を含む塗液をポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥・延伸・熱処
理を施して積層させる方法、いわゆるインラインコーテ
ィング法(以下、ILC法と略記する)が広く採用され
ている。
【0004】感熱転写記録方式は、フィルム等からなる
基材の表面に設けられたインク層を印字ヘッドの加熱状
態に応じて印刷用紙などの表面に転写する記録方式であ
り、印字が鮮明であるとともに装置の簡便さや低騒音の
観点から、広く普及しつつあり、基材として用いるポリ
エチレンテレフタレートフィルムにILC法により、種
々の機能に応じたコート層を積層する手法が提案されて
いる。
【0005】ところで、近年、溶融型・昇華型ともにプ
リンターの高速化、インクリボンカセットの小型化の傾
向が強まっており、それに伴い、以下に述べるような弊
害が起きている。 (1)高速化に伴い、単位時間当りにフィルムにかかる
熱量が大きくなるため、基材のポリエステルフィルムが
いわゆる「熱負け」を起こし、インクリボンにしわが発
生して、この部分が印字ぬけになったり、基材の印字ヘ
ッドに当たる側に設けられた耐熱易滑層が印字ヘッドと
の間で貼り付く、いわゆるスティッキング現象を起こし
てしまい、使用に耐えられなくなってしまう。また、イ
ンクに昇華性のインクを用いる昇華型インクリボンにつ
いては昇華型インクを保持しているバインダー樹脂ごと
転写してしまう、いわゆる異常転写を引き起こす。 (2)小型化に伴い、基材のポリエステルフィルムの厚
さが薄くなるため、上記の熱負けによる弊害がさらに助
長されるとともに、 インクリボン厚さの変動割合が大きくなり、結果とし
てリボンの厚さ方向の熱伝導の、場所による変動が顕在
化し、その結果、印字濃度のむらを引き起こす。 強度不足がヘッドとの熱インパクト時のリボンの伸び
を引き起こし、上記のインクリボンのしわがさらに悪化
する。 ILC法によりコート層が積層されたフィルムを製造
し、これを一旦ロール状に巻き取った後、保管中に高温
高湿度下にさらされた場合、重なり合ったフィルム同士
がはりついてしまい、加工時に巻き出すことが不可能と
なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の実情
に鑑みなされたものであり、プリンターの高速化、イン
クリボンの薄膜化に最適な感熱転写用積層フィルムを提
供することを解決課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構成を採用する
ことにより、上記課題が容易に解決されることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要
旨は、水溶性または水分散性の有機高分子化合物を含む
塗液を、配向結晶化が完了する前のポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥・延伸・熱処
理を施すことによって形成された塗布層を有する、全厚
み1.0〜7.0μmのフィルムであって、当該フィル
ムの長手方向の任意の5m長区間における厚さムラが1
5%以下であり、前記塗布層の固着力が100gf/1
25mm以下であることを特徴とする感熱転写用積層フ
ィルムに存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感熱転写用積層フイルム(以下、積層フイルム
と略記する)は、基材としてポリエステルフィルムが使
用される。本発明で用いるポリエステルフィルムのポリ
エステルとは、その繰り返し単位の80モル%以上、好
ましくは90モル%以上が、エチレンテレフタレート、
エチレン−2,6−ナフタレート及びシクロヘキサンジ
メチレンテレフタレートの少なくとも1種に由来する繰
り返し単位であるものを指す。上記繰り返し単位の割合
が80モル%以上であれば、他の繰り返し単位を含むコ
ポリエステルであってもよい。他の繰り返し単位を形成
する共重合成分の例には、グリコール成分としてエチレ
ングリコール、プロピレンングリコール、ジエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブチレン
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメチレングリコ
ール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分な
ど、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル
酸、2,6ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、オキ
シ安息香酸等のオキシカルボン酸などが挙げられる。
【0009】本発明で用いるポリエステルの極限粘度
(o−クロロフェノール中25℃で測定)は、通常0.
40〜1.20dl/g、好ましくは0.50〜0.8
0dl/gの範囲である。極限粘度が0.40未満の場
合は、重合度が低く、フィルムとしたときに機械的強度
が低下する傾向がある。また、極限粘度が1.20を超
える場合は、溶融押し出しして未延伸シートを作るのが
事実上、困難となる。
【0010】上記の基材として特にポリエチレンナフタ
レートを使用した場合、他のポリエステルよりも耐熱性
に優れるので、熱負けを最も効果的に防止でき、高強度
化が図れるのでインクリボンのしわをさらに低減でき、
最も好ましい。ここで言うポリエチレンナフタレートと
は、その構成単位の80モル%以上、好ましくは90モ
ル%以上が、エチレン−2,6−ナフタレート単位から
構成されているポリマーを指し、上記の制限範囲内で他
のエステル成分を含んでいてもよい。ポリエチレンナフ
タレートは、触媒の存在下で適当な反応条件により、通
常、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはそのアル
キル誘導体と、エチレングリコールとを重縮合させるこ
とにより得ることができる。
【0011】また、上記の基材ポリエステルフィルム中
には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、公知の添加
剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、
紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、微粒子、核
剤などの少なくとも1種を添加してもよい。
【0012】本発明の積層フイルムは、基材の少なくと
も片面に水溶性または水分散性の有機高分子を含む塗布
層を有する。ここで言う、水溶性または水分散性の有機
高分子とは、水溶性有機高分子化合物、および水に微分
散が可能な有機高分子化合物を併せて指す。これら有機
高分子化合物を含む塗布層を適宜、設けることにより、
上述した印字ヘッドとのスティッキング現象、昇華型イ
ンク/バインダーの異常転写等を防止することができ
る。
【0013】水溶性有機高分子化合物としては、冷水ま
たは温水に可溶であるか、あるいはpHを調整すれば可
溶化するものが好ましく、具体的には、ポリアルキレン
グリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピ
ロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチン、カゼイ
ン、デキストラン、セルロースなどを挙げることがで
き、また、これらの誘導体も用いることができる。
【0014】水に分散可能な有機高分子化合物として
は、水中で安定に微分散できるものが好ましく、具体的
には、サスペンジョン平均粒径の範囲が0.001〜5
0μmであることが好ましい。有機高分子化合物の分散
液は、もともと乳化重合で作られた分散液、機械的なせ
ん断を強くかけて分散する方法、有機高分子化合物溶液
に水を加えた後に溶剤を留去する方法等を用いて調製し
た分散液であってよく、有機高分子化合物を水に分散さ
せるために、公知の分散剤を使用することもできる。
【0015】水に微分散可能な有機高分子化合物の具体
例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエ
ン、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタ
クリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ酪酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、芳香族または脂肪族ポリエステル、芳香族また
は脂肪族ポリアミド、芳香族または脂肪族ポリウレタ
ン、芳香族または脂肪族ポリエーテル、芳香族または脂
肪族ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリールケト
ン、芳香族または脂肪族エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シアネート樹脂、ポリフ
ルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、天然または
合成のワックス、ポリアミノ酸など、およびこれらの誘
導体を挙げることができる。
【0016】これらの有機高分子化合物は、ホモポリマ
ーであってもよいし、2種以上の繰り返し単位を含むラ
ンダムあるいはブロックあるいはグラフトコポリマーで
あってもよい。さらに、初めから目的の有機高分子化合
物を水中に存在させるだけでなく、反応性モノマーある
いはポリマーを共存あるいは存在させて、塗布を行った
後に架橋反応あるいは重合反応を行うことも可能である
し、この際には公知の触媒を併用してもよい。
【0017】さらに、これらの有機高分子化合物を含む
塗布剤中に、後述するように、積層フィルム間の固着力
を低減するために架橋剤あるいは架橋性高分子を加える
ことができる。上記の塗布剤の媒体は、水を主成分とす
るが、上記有機高分子化合物等の水への分散性または造
膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有させても
よい。有機溶剤を用いる場合、主たる媒体である水に溶
解する範囲で使用するのが好ましい。
【0018】上記の塗布剤には、以上の各成分のほか
に、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の添
加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定
剤、紫外線吸収剤、有機易滑剤、有機または無機微粒
子、界面活性剤、ワックス類などを添加してもよい。な
お、基材フイルムには、その表面への塗液の塗布性、形
成される塗布層との密着性を改良するために、塗布前に
その表面に化学処理や放電処理を施してもよい。これら
の中で放電処理が特に効果的である。
【0019】上述した塗液は、ポリエステルフィルムの
少なくとも片面に塗布されるが、この塗布工程は、ポリ
エステルフィルムの製造工程(製膜工程)内で行う必要
がある。塗布される面は、その機能に応じ、基材のどち
らの面であっても構わない。もちろん、両面に施されて
も構わない。
【0020】例えば、昇華型感熱リボンとして用いる場
合は、昇華型インクの塗布される方の面にインクとの接
着力を強化し、異常転写を防止するために易接着塗布層
を設けるか、または、インク面側に易接着塗布層を設
け、反対側の印字ヘッドに当たる方の面に耐熱塗布層
(耐熱易滑層)を設けることができる。また、例えば、
溶融型感熱リボンとして用いる場合は、耐熱塗布層を設
けるか、または、溶融インク側にインクの剥離用の塗布
層を設け、反対面に耐熱塗布層を設けることができる。
【0021】なお、本発明の積層フィルムの製造終了後
に、さらに、個々の感熱転写機能に応じ、種々の塗布層
を設けるのはむろん構わない。しかし、本発明で定義す
る全厚さとは、フィルム製膜の工程中にILC法により
積層された塗布層と基材のポリエステルフィルムの総和
と定義し、厚さむらとは、この全厚さの変動(比)を指
す。
【0022】塗液を基材のフイルムに塗布する方法とし
ては、「コーティング方式」(原崎勇次著、槙書店、1
979年発行)に示されるような公知のコーター、例え
ば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッ
ドコーター、エアドクターコーター、ダイコーターを使
用する塗布方法が挙げられる。塗液を塗布した後に、後
述する乾燥区間を経て、さらに、横延伸を含む工程を経
て、熱処理する必要がある。
【0023】上記の塗布、乾燥、延伸および熱処理の各
工程を実施する具体的な方法としては、例えば、次の2
つの方法が例示されるが、これらに限られるものではな
い。第一の方法は、未延伸シートを長手方向に一軸延伸
(縦延伸)した後、フイルム表面に塗布剤を塗布し、こ
れを加熱ゾーンに導き、乾燥区間を経て、幅方向に延伸
(横延伸)した後、最後に熱処理を施す方法である。第
二の方法は、未延伸シートを長手方向に一軸延伸した
後、フイルム表面に塗布剤を塗布し、これを加熱ゾーン
に導き、乾燥区間を経て、幅方向に延伸した後、再度、
長手方向および/または幅方向に再延伸し、最後に熱処
理を施す方法である。
【0024】上記の延伸において、延伸条件はポリエス
テルの種類により最適条件を選ぶ必要がある。例えばP
ENの場合は、延伸温度は、通常115〜180℃であ
り、延伸倍率は、全延伸工程を合わせて面積倍率で通常
4〜35倍、好ましくは6〜30倍である。延伸された
フイルムは、通常150〜250℃で熱処理されるが、
必要に応じ、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱
処理クーリングゾーンにおいて縦方向、横方向または両
方向に0.1〜20%弛緩状態で熱処理する方法が好ま
しく採用される。
【0025】本発明の積層フィルムの全厚さは、1.0
〜7.0μmであり、好ましくは、1.5〜4.0μ
m、さらに好ましくは1.5〜3.0μmである。な
お、全厚さの測定法は後述の実施例に記載された方法に
よる。全厚さが1.0μm未満では、機械的強度が不足
し不適当であり、7.0μmを超えると、インクリボン
の薄膜化が不十分であり、不適当である。
【0026】本発明の積層フィルムは長手方向の厚さむ
らが小さいことが必要である。すなわち、後述の実施例
に記載された方法により測定された長手方向の任意の5
m長区間での厚さむらが15%以下である必要があり、
好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下であ
る。厚さむらが15%を超える場合、前述した印字濃度
のむらを引き起こし、不適当である。
【0027】ところで、水を多量に含む塗液をフィルム
の上に塗布することが原因で、インラインコーティング
を施さない場合と較べて、その後の延伸工程でフィルム
の温度むらが生じやすく、この結果、フィルムの厚み変
動が大きくなる問題が生じる。つまり、フィルムの延伸
のために与えられた熱量は、まず先に、水の蒸発潜熱に
より奪われてしまう。そして塗液の水分が十分に蒸発し
た後にフィルムの温度が上昇することになるため、イン
ラインコーティングを施さない場合と較べて、フィルム
の温度むらが生じやすく、この結果、フィルムの厚み変
動が大きくなる。さらに、感熱転写用として薄いフィル
ムを生産する場合には、フィルムの厚みに対する塗液の
厚みの比率、すなわち、ポリエステル量に対する水分量
の比率が必然的に大きくなり、前述した傾向は一層、顕
在化してしまう。
【0028】本発明者らは、この問題を解決すべく鋭意
検討を行ったところ、基材のベースフィルムの振動が原
因で、流動性の残っている塗膜が不均一な厚み分布とな
り、この結果、乾燥→横延伸と続く工程中にベースフィ
ルムの温度分布も不均一となって、これが長手方向の厚
さ変動に極めて大きな影響を及ぼすことが要因であると
の結論に到達した。すなわち、この振動を少なくする
か、あるいは振動があってもその影響を受け難くするこ
とで、ポリエステルフィルムの長手方向の厚さ変動を抑
えられることが判明した。
【0029】塗液を塗布した後、乾燥工程に供されてか
ら塗液中の水分が十分に蒸発する(塗膜中の水分量で1
重量%を目安とする)までの間(以後、乾燥区間と略称
する)に、フィルムに発生する振動の多くの部分は、テ
ンタークリップでフイルムの耳部を把持する際に発生す
る衝撃によるもの、およびテンターでの熱風の吹き出し
でフィルムが煽られることによるものである。これらの
振動を少なくするためには、たとえばテンターでの熱風
をインバーター制御として脈動を抑える方法、熱風の風
量自体を下げる方法、フィルムが加熱されることにより
膨張する分だけクリップ幅を徐々に広げて、両端をクリ
ップで把持されたフィルムの中央に弛みを生じさせない
方法、テンタークリップがフィルムの耳を把持する際
に、衝撃が少なくなるようクリップに緩衝材を用いる方
法などを採用することができる。また、振動があっても
その影響を受け難くするために、乾燥区間において、コ
ーターからテンタークリップでフィルムの耳を把持する
までの距離をできるだけ短くして、振動の振幅を小さく
抑える方法、片面塗布の場合には、乾燥区間において塗
布面とは反対のフィルム面に、駆動あるいはフリーロー
ルを単独であるいは複数個接触させて、振動の伝搬を短
い区間で遮断する方法などを用いることができる。もち
ろんこれらの2つ以上の方法を併用する事も可能であ
る。
【0030】上記のような方法を採用することにより、
乾燥区間内のフィルムの振動、特に振幅が大きな振動を
抑えることで、結果として二軸配向・熱固定が施された
フィルムで、長手方向の厚さムラの発生を小さく抑える
ことができる。この際に、乾燥区間の振動によるフィル
ムの振幅は、テンターの幅、フィルムの厚み、塗布厚み
にもよるが、最大でも5cm以下、さらには3cm以下
とするのが好ましい。
【0031】本発明においては、インラインコーティン
グに起因する厚さむらの上記防止方法のほかにも、公知
の厚さムラ防止方法を併用できる。本発明者らの経験に
よれば、フィルムの厚さムラは、最も不良となるプロセ
スに引きずられて、そのレベルが決まってしまう傾向に
ある。したがって、本発明によってインラインコーティ
ングプロセスは改善できたとしても、それだけでは十分
とは言えず、総合的な対策が必要となる。
【0032】以下、本発明のフィルムを得るために好ま
しく用いることのできるプロセスの好ましい態様を説明
するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。ポ
リエステル原料の溶融押し出しを行う際には、吐出の脈
動を押さえる目的で、押し出し機のメルトラインにギヤ
ーポンプを設置するのが好ましい。このほか溶融ポリエ
ステルのメルトラインでの温度分布を均一化させるた
め、スタティックミキサーを設置するもの良い方法であ
る。
【0033】溶融ポリエステルをキャスティングして固
化させ、未延伸フィルムとなすプロセスは、いわゆる静
電密着法を用いるのが好ましい。静電密着法は、電極と
して、エッジ部の厚みが50μm以下のアモルファス金
属電極(特開平1−152031号公報参照)、電気絶
縁体の少なくとも片面に厚さ0.01〜10μmの導電
性薄膜を設けてなる積層ブレード電極(特開平1−15
6036号公報参照)などを用いて、溶融ポリエステル
を効果的に冷却ドラムへ密着させつつ行うことが好まし
い。静電密着法を有効に行うため、原料として用いるポ
リエステルの溶融時の比抵抗を1×1010Ω・cm以
下、好ましくは1×109Ω・cm〜1×106Ω・cm
の範囲とすることが好ましい。
【0034】また同じ目的で、特開昭57−19004
0号公報、特開昭58−225123号公報、特開昭5
9−91121号公報、特開昭59−172542号公
報、特開昭59−182840号公報、特開昭59−2
29314号公報、特開昭60−141751号公報、
特開昭60−248737号公報、特開昭62−218
416号公報、特開昭62−236722号公報、特開
昭62−236722号公報などに記載されている方法
も用いることもできる。さらに、溶融ポリエステルを口
金から吐出させる際には、口金スリット間隙/冷却固化
した未延伸フィルムの厚みの比を5〜20、さらには8
〜15に調節することを併用すると、未延伸フィルムの
厚さムラを少なくすることができて好ましい。これらの
ほか、冷却ドラムの回転ムラを極力小さくすること、風
等を遮ることで、キャスティング時の溶融ポリエステル
をできるだけ振動させないで冷却ドラムへ接地させる等
の処方も用いることができる。これらの結果、シート状
の溶融ポリエステルが冷却ドラムに接地する際に、冷却
ドラム上に幅方向に広がる線状の接地点(以後、接地ラ
インと略称する)のゆらぎの幅が、有効製品幅に相当す
る領域で、最大でも1mm、さらには0.5mm以下と
するのが好ましい。
【0035】キャスティング工程で未延伸フィルムとし
たポリエステルは、この後、上述した方法に代表される
方法で処理されるが、縦延伸はロール延伸法を用いて行
うのが好ましく、この際には、各々の延伸段階におい
て、低速ロールおよび高速ロール上の延伸区間で、塑性
変形が開始する位置および終了する位置のゆらぎが発生
しないように、適切な位置にニップロールあるいは静電
密着法を用いて、各ロールにフィルムを押さえ付けなが
ら行うことが好ましい。
【0036】また、横延伸はテンターで行うのが好まし
く、この際には、テンター内でフィルムを加熱・冷却す
るための空気の吹き出しは、インバーター制御を行って
脈動を極力抑えるのが好ましく、また、特開平5−30
1284号公報に記載されているように、吹き出し口の
角度を経時的に変化させて、幅方向の厚みムラを改善す
る処方も採用できる。
【0037】さらに再縦延伸および/または再横延伸を
行う場合には、再縦延伸はロール延伸法で、再横延伸は
テンター法でそれぞれ行うのが好ましく、これらの際に
は前述したロール延伸法・テンター延伸法で用いた厚さ
ムラ対策と同様の処方を用いることができる。最後に熱
処理を行う際には、テンター法を用いるのが好ましい
が、この際にも横延伸と同様の厚さムラ対策を行うこと
ができる。
【0038】本発明の積層フィルムは、後述の実施例に
記載された方法により測定された固着力が100gf/
125mm以下であることが必要であり、好ましくは5
0gf/125mm以下、さらに好ましくは30gf/
125mm以下である。このことは積層フィルムが一
旦、ロール状に巻き取られた後、フィルム間に圧力がか
かった状態で高温高湿度下にさらされた場合でもフィル
ム同士が貼り付かず、加工時、巻き出す際に容易にフィ
ルムが引き出せることを意味する。
【0039】固着力の制御は、例えば、塗液中に架橋剤
あるいは架橋性高分子を添加し、上述のフィルムの熱処
理工程中で上記の有機高分子化合物の各成分内あるいは
成分間の架橋を進行させることにより達成される。ま
た、これにより昇華型インクとの接着力向上のための塗
布層の場合はさらにインクとの接着力が向上することが
できる。また、基材フィルム中に含まれる有機あるいは
無機の粒子の種類と添加量を調整し、表面の粗度を高く
することも効果的である。即ち、後述の実施例に記載さ
れた方法により測定された平均粒子径が1.0μm以上
の粒子を基材フィルム中に0.25重量%以上含有する
ことが固着力の低減の点から好ましく、更に好ましい含
有量は0.40重量%以上、最も好ましい含有量は0.
60重量%以上である。
【0040】さらに、本発明の積層フィルムの長手方向
および幅方向のF5値はともに13.0kgf/mm2
以上であることが好ましく、この条件を満足すれば、イ
ンクリボンの長手方向および幅方向の伸びをさらに低減
させることができ、結果として印字しわおよび印字ぬけ
を低減することができる。なお、F5値の測定法は後述
の実施例に記載された方法による。
【0041】
【実施例】以下、本発明の積層フィルムを実施例により
説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
なお、実施例および比較例中において、単に「部」およ
び「%」とあるのは、特に断わらない限り、それぞれ
「重量部」および「重量%」を意味する。また、本発明
における特性の測定方法および判定基準は次のとおりで
ある。 (1)積層フィルムの全厚さ まず、フィルム試験片の密度(ρ:(g/cm3))を
JIS K7112に規定するD法(密度勾配管法)に
より測定し、次に、100±0.5cm2のサイズに切
り取った試験片を天秤に乗せ、フィルム質量(m:
(g))を0.0001gまで精密に測定した後、以下
の式により算出した。この測定を5回繰り返し、得られ
たtの値の中央値を積層フィルムの全厚さ(μm)とし
た。
【0042】
【数1】t=100m/ρ
【0043】(2)積層フィルムの長手方向の厚さむら 積層フィルムの長手方向の5m長区間を無作為に20点
抽出した。光干渉の原理を用いた非接触型の膜厚測定器
(大塚電子株式会社製 瞬間マルチ測光システム「MC
PD−1000」)により、それぞれのサンプル毎に最
大厚さ(μm)および最小厚さ(μm)を測定し、変動
幅(=最大厚さ−最小厚さ)を算出した。かかる測定を
20回繰り返し、最も大きい変動幅を用い、以下の式に
より厚さむら(%)を求めた。ここで用いる平均厚さ
(μm)とは上記(1)により求めた積層フィルムの全
厚さ(μm)である。
【0044】
【数2】厚さむら(%)={(最大厚さ−最小厚さ)/
平均厚さ)}×100
【0045】(3)固着力 切り取った2枚の積層フィルム試験片を用い、一方の塗
布面と、他方のこれと反対の面が接するように重ね合わ
せ、40℃、80%R.H.に調節された恒温恒湿室内
でプレス機により、幅12.5cm、長さ10.0cm
の長方形部分を圧力10kgf/cm2でプレスした状
態で24時間放置した後、圧力を解除し、恒温恒湿室内
を23℃、50%R.H.に変更し、そのまま24時間
放置した。
【0046】放置後、試験片を取り出し、この重ね合わ
せた2枚の試料の間に緊張させた線径0.8mmφのピ
アノ線を通し、プレスした長方形の幅12.5cmの辺
に平行に維持した状態で、ピアノ線を50cm/分の速
度で移動して前記のプレス部分を剥離した。この剥離の
際にピアノ線にかかった剥離荷重(gf/125mm
幅)値のチャートから平均線を求め、固着力とした。
【0047】(4)F5値 インテスコ社製引張試験機 インテスコモデル2001
型を用いて、温度23℃、50%R.H.に調節された
室内において、幅15mmの試料フィルムを、チャック
間50mmでチャックし、200mm/分の速度で引っ
張り、元の長さより5%伸びた時の荷重(kgf)を試
験片の元の断面積(mm2)(厚さとして上記の積層フ
ィルムの全厚さを使用して計算)で除した数値を値とし
た。なお、5点測定し、その平均値をF5値とした。
【0048】(5)基材フィルム中に含有される粒子の
平均粒子径(μm) 島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP
3型)で測定した等価球形分布において大粒子側から積
算した積算体積分率50%の粒径を平均粒子径(μm)
とした。
【0049】[塗布剤]実施例および比較例において使
用した塗布剤は、下記のとおりである。 <ポリエステル系ポリマー:A>ジカルボン酸中のテレ
フタル酸90モル%、5−ソジウムスルホイソフタル酸
10モル%、グリコール中のエチレングリコール73モ
ル%、ジエチレングリコール27モル%よりなるポリエ
ステル系ポリマー <アクリル系ポリマー:B>メタクリル酸35モル%、
メタクリル酸アルキル35モル%、スチレン30モル%
よりなるアクリル系ポリマー <架橋剤あるいは架橋性高分子:C1>テトラグリセロ
ールテトラグリシジルエーテルを主成分とする水溶性エ
ポキシ化合物 <架橋剤あるいは架橋性高分子:C2>ほぼ4官能のメ
チロールおよびメトキシメチロールメラミンの1核体、
2核体、3核体を中心とする水溶性メラミン化合物
【0050】実施例1 シリカ粒子(平均粒子径1.2μm)を0.7%含有す
るポリエチレンナフタレートペレット(固有粘度0.5
5)を、十分に加熱乾燥した後、押出機に供給し、30
5℃で溶融押出して未延伸フィルムとした。この際、押
出機には、異物除去のために10μmカットのフィルタ
ー、脈動を抑えて計量吐出するようにギヤーポンプを設
置し、かつメルトラインには溶融ポリエステルの温度分
布を均一化させるためのスタティックミキサーを設置し
た。Tダイよりフィルム状に押出し、これに静電密着法
を用いて表面温度60℃の冷却ドラムに巻きつけて冷却
固化させた。Tダイの口金は、スリット間隙が1.1m
mであった。またこの静電密着法では、厚さ20μm、
幅2mmのコバルト−クロム−モリブデン−カーボンの
アモルファス金属ブレードを用いて、6kVを印加し
た。さらにキャスティング行うゾーンを小部屋として囲
い、空調機等の風による影響を遮断した。この結果、溶
融ポリエステルが冷却ドラムに接地する接地ラインのゆ
らぎを、有効製品幅全域でほぼ0とすることができた。
【0051】この未延伸フィルムを、次に縦延伸工程へ
と導いた。縦延伸は、ロール延伸法を用いて行い、1段
目の延伸は130℃で2.70倍とした後、さらに2段
目は123℃で1.90倍の延伸を行った。この際、1
段目および2段目の延伸時ともに、周速差を利用して延
伸を行う低速ロールと高速ロールには、各々ロールから
フィルムが離れる位置、およびロールにフィルムが接す
る位置にニップロールを設置して、延伸区間で塑性変形
が開始する位置および終了する位置のゆらぎが発生しな
いように、フィルムをロールに押さえ付けて縦延伸を行
った。
【0052】この一軸延伸フィルムの片面に空気中でコ
ロナ放電処理を施し、その処理面にグラビア塗布方式
で、下記表1に示す固形分比となるように各々の水分散
液あるいは水溶液を混合したものを塗布した。この塗布
処理の後に、乾燥・予熱工程に導いたが、このとき塗液
が塗布されたフィルムができるだけ振動しないように次
の手段を講じた。まずグラビアコーターとテンター入り
口までの間隔(2m)に、2本のフリーロールを等間隔
となるように設置して、塗液が塗布してある面とは反対
の面に、フィルムの抱き角が2゜となるように接触させ
た。次にテンタークリップでフィルムの両端部(耳部)
を把持し、インバーター制御で脈動を抑えた熱風をフィ
ルムに当てて、塗液の水分の除去を行った。この際に塗
布層の水分が無くなるに従って徐々にフィルムの温度が
上昇し、この結果フィルムが熱膨張して中央部が弛む現
象が見られた。そこで中央部の弛みがなくなるまで、テ
ンターの奥へ行くほど広くなるようにクリップ幅を微小
に広げた。
【0053】上記処方を講じることで、塗布液のコータ
ー出口から塗布層の水分が十分に蒸発するまでの乾燥区
間内で、フィルムが受けた振動の振幅は、最大で1.5
cmであった。次いで、横方向に135℃で4.8倍延
伸し、連続したテンター内で、230℃2秒間の熱処理
を行った。この後、180℃でクリップ幅を3%縮めて
弛緩処理を行い、冷却ゾーンを通過させて、最終的に厚
さ0.09μmの塗布層が積層された、積層フィルムを
得た。この塗布層は昇華型インクとの接着力を向上(易
接着)するものである。
【0054】この積層フィルムを500mm幅にトリミ
ングしつつ、内径6インチ、肉厚10mmの巻き芯に巻
きずれが起きないような適度な硬度でロール状に300
00m巻き取った。得られた積層フィルムの特性を評価
した。結果を下記表2に示す。
【0055】次にこのロール状の積層フィルムから下記
に示す方法で高温高湿処理した後、昇華型感熱転写リボ
ンを作成し、諸特性を評価した。 <高温高湿処理後の昇華型感熱転写リボンの製造および
印刷画像の濃度むらおよび異常転写の評価>上記で得ら
れたロール状の積層フィルムを40℃、80%R.H.
に調整した恒温恒湿室に入れ、24時間処理した。処理
後、恒温恒湿内を23℃50%R.H.に変更し、その
まま24時間放置した。この後、取り出した積層フィル
ムを巻き出して塗布層の反対面に、複数の回転するロー
ラー上を搬送させた後、積水化学社製ポリビニルブチラ
ール エスレックBX−1が2部、大日本インキ社製ポ
リイソシアネート バーノックD750−45が9部、
第一工業製薬社製リン酸エステル滑剤 プライサーフA
208Sが2部、日本タルク社製タルク ミクロエース
L−1が0.3部およびトルエン/メチルエチルケトン
(以下MEKと略記する)=1/1(重量比)が86.
7部からなる塗布液をグラビア塗布法により塗布し、乾
燥して最終厚さ1.0μmの耐熱易滑層を設けた。
【0056】次に、上記の耐熱易滑層の設けられたフィ
ルムを複数の回転するローラー上を搬送させた後、耐熱
易滑層と反対面の塗布層上に下記に示す組成のインク塗
布液を各々グラビア塗布法により塗布し、乾燥して各
々、最終厚さ1.0μmの昇華型インク層を設けた。 インク塗布液組成 イエロー: マクロレックスイエロー6G (バイエル社製) 2部 ポリビニルアセトアセタール KS−5D(積水化学社製) 3部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 95部 マゼンダ: バイミクロンVPSN2670 (バイエル社製) 3部 ポリビニルアセトアセタール KS−5D(積水化学社製) 4部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 93部 シアン: カヤセットブルー714 (日本化薬社製) 4部 ポリビニルアセトアセタール KS−5D(積水化学社製) 4部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 92部 さらに、これを、所定の幅に裁断して、カセットに組み
込んでインクリボンとした。
【0057】これらのインクリボンカートリッジを、市
販のカラープリンターに組み込んで、昇華転写モードで
印刷を行った。なお印刷紙は、プリンター標準の専用紙
を用いた。
【0058】濃度むらのテストでは、人の顔写真のデジ
タルデータ(データサイズ約32Mb、A4サイズ画
像)を基に、同じ画像を連続して3枚印刷し、色調の再
現性を評価した。評価は、3枚の画像について、目視で
注意深く全体の色調を比較すること、および東京電色社
製カラーアナライザー TC―1800MKII型を用い
て、肌色部分の同じ個所を測定し、色差の最大値を求め
た。目視での評価の基準は、色調の再現性について次の
3つのランクに分けた。
【0059】 ◎:(優秀)画像の色調に、全く差を認められず再現性
が良好である ○:(良好)画像に色調の差が認められるが、よほど注
意深く見ないと認識できない ×:(不良)画像に色調の差が認められ、一目見て差が
認識できる(不適格)
【0060】異常転写のテストは、上記濃度むら(色調
むら)のテストと同様に昇華転写モードで印刷した3枚
の画像を目視観察して、インク層が異常転写しているか
どうかについて次の3つのランクに分けた。
【0061】 ◎:(優秀)異常転写が全く認められない ○:(良好)わずかではあるが異常転写が認められる
が、よほど注意深く見ないと認識できない ×:(不良)しばしば異常転写が認められ、実用上、使
用できない(不適格)
【0062】<昇華型感熱転写リボンの印字しわ、印字
ぬけの評価>上記で作成したインクリボンカートリッジ
を市販のカラープリンターに組み込んで、昇華転写モー
ドでベタ印刷(同一色で一様に印刷)を各々のインクに
ついて行った。なお印刷紙は、プリンター標準の専用紙
を用いた。このベタ印刷を行った後のすべてのインクリ
ボンおよびベタ印字部分を目視観察し、印字しわおよび
印字ぬけの様子を次の3つのランクに分けた。
【0063】 ◎:(優秀)印字しわ、印字ぬけが全く認められない ○:(良好)わずかではあるが印字しわ、印字ぬけが認
められるが、よほど注意深く見ないと認識できない ×:(不良)しばしば印字しわ、印字ぬけが認められ、
実用上、使用できない (不適格)以上の評価結果をまとめて表2に示す。
【0064】実施例2 実施例1において、最終の基材のポリエチレンナフタレ
ートフィルムの厚さが実施例1のそれと同一になるよう
に未延伸シートの厚さを変更し、縦延伸の2段目の倍率
を1.6倍に変更し、塗布層の最終厚さが実施例1と同
じになるように塗液の固形分濃度を調整し、かつ、横延
伸の倍率を4.3倍に変更したほかは、全く同様にして
積層フィルムを作成した。この積層フィルムの特性を評
価した結果を表2に示す。さらに、実施例1と全く同様
にして、高温高湿処理後、昇華型感熱転写リボンを作成
し、諸特性を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0065】比較例1 実施例1と同じポリエステル原料を用いて、実施例1と
全く同様にして押し出し・キャスティング・縦延伸・コ
ロナ放電処理を行い、さらに同様の塗液を同じ方法で塗
布した。この後、実施例1で行った乾燥区間内のフィル
ム振動対策のうち、グラビアコーターとテンター入り口
までの間隔にフリーロールを設置せずに、テンタークリ
ップでフィルムの両端部(耳部)を把持させた。この後
インバーター制御で脈動を抑えた熱風をフィルムに当て
て、塗液の水分の除去を行った。この際に、テンターの
奥へ行くほど広くなるようにクリップ幅を微小に広げる
ことをせずに、中央部に弛みができた状態で乾燥区間を
通過させた。乾燥区間内で、フィルムが受けた振動の振
幅は、最大で7cmであった。
【0066】次いで、実施例1とまったく同様に横延伸
・熱固定・幅弛緩を行い、積層フィルムを得た。この積
層フィルムの特性を評価した結果を表2に示す。さら
に、実施例1と全く同様にして、高温高湿処理後、昇華
型感熱転写リボンを作成し、諸特性を評価した。得られ
た結果を表2に示す。
【0067】比較例2 実施例1において、塗液の組成を表1に示す組成に変更
した以外は全く同様にして積層フィルムを得た。この積
層フィルムの特性を評価した結果を表2に示す。さら
に、実施例1と全く同様にして昇華型感熱転写リボンを
作成しようとしたが、40℃、80%R.H.処理後の
ロール状積層フィルムはフィルム同士が強く貼り付いて
巻き出すことができず、加工不能であった。
【0068】実施例3 平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を0.7%含有する
固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレートペレッ
トを、十分に加熱乾燥した後、押出機に供給して290
℃で溶融押出して未延伸フィルムとした。この際押出機
には、実施例1と同様のフィルター、ギヤーポンプ、お
よびスタティックミキサーが各々設置されている。Tダ
イよりフィルム状に押出し、これに静電密着法を用いて
表面温度40℃の冷却ドラムに巻きつけて冷却固化させ
た。Tダイの口金は、スリット間隙が1.1mmであっ
た。またこの静電密着法では、実施例1と同じアモルフ
ァス金属ブレードを用いて、同じ電圧を印加した。さら
に実施例1と同様に、キャスティング行うゾーンを小部
屋として囲い、空調機等の風による影響を遮断した。こ
の結果、溶融ポリエステルが冷却ドラムに接地する接地
ラインのゆらぎを、有効製品幅全域でほぼ0とすること
ができた。
【0069】この未延伸フィルムを、次に縦延伸工程へ
と導いた。縦延伸は、ロール延伸法を用いて行い、1段
目の延伸は100℃で2.70倍とした後、さらに2段
目は87℃で1.60倍の延伸を行った。この際、1段
目および2段目の延伸時ともに、低速ロールと高速ロー
ルには、実施例1と同様の位置にニップロールを設置し
て、延伸区間で塑性変形が開始する位置および終了する
位置のゆらぎが発生しないように、フィルムをロールに
押さえ付けて縦延伸を行った。
【0070】この一軸延伸フィルムの片面に空気中でコ
ロナ放電処理を施し、その処理面にグラビア塗布方式
で、表1に示す組成に変更し、かつ、塗布層の最終の厚
さが実施例1と同じになるように塗液の固形分を変更し
た以外は実施例1と全く同様にして塗布した。この塗布
処理の後に、乾燥・予熱工程に導いたが、このとき塗液
が塗布されたフィルムができるだけ振動しないように、
実施例1と全く同様の手段を講じた。この処方を講じる
ことで、塗布液のコーター出口から塗布層の水分が十分
に蒸発するまでの乾燥区間内で、フィルムが受けた振動
の振幅は、最大で1.5cmであった。
【0071】次いで、横方向に105℃で4.4倍延伸
し、連続したテンター内で、220℃2秒間の熱処理を
行った。この後180℃でクリップ幅を3%縮めて弛緩
処理を行い、冷却ゾーンを通過させて、最終的に厚さ
0.09μmの塗布層が積層された、積層フィルムを得
た。この積層フィルムの特性を評価した結果を表2に示
す。さらに、実施例1と全く同様にして、高温高湿処理
後、昇華型感熱転写リボンを作成し、諸特性を評価し
た。得られた結果を表2に示す。
【0072】実施例4 実施例3において、平均粒子径が2.0μmの炭酸カル
シウム粒子を0.24%含有する固有粘度0.66のポ
リエチレンテレフタレートペレットに変更する以外は全
く同様にして積層フィルムを得た。この積層フィルムの
特性を評価した結果を表2に示す。更に実施例1と全く
同様にして高温高湿処理後のロール状の積層フィルムを
巻き出した際、フィルム間が一部、固着しており、とき
たま、破断が発生し、昇華型感熱転写リボンを作成する
のに、歩留まり(生産性)が若干、低下した。得られた
昇華型感熱転写リボンの諸特性を評価した。得られた結
果を表2に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】以上のように、本発明で特定した要件のい
ずれかを満足しない場合には、昇華型インクリボンとし
てのすべての特性を満足することはできなかった。
【0076】
【発明の効果】本発明の感熱転写用積層フィルムは、薄
膜化されても、高速印刷に極めて優れ、その工業的価値
は甚大である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性または水分散性の有機高分子化合
    物を含む塗液を、配向結晶化が完了する前のポリエステ
    ルフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥・延
    伸・熱処理を施すことによって形成された塗布層を有す
    る、全厚み1.0〜7.0μmのフィルムであって、当
    該フィルムの長手方向の任意の5m長区間における厚さ
    ムラが15%以下であり、前記塗布層の固着力が100
    gf/125mm以下であることを特徴とする感熱転写
    用積層フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフィルムがポリエチレンナ
    フタレートよりなる請求項1に記載の感熱転写用積層フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 長手方向および幅方向のF5値がともに
    13.0kgf/mm2以上である請求項1または2に
    記載の感熱転写用積層フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムは、平均粒子径が
    1.0μm以上の粒子を少なくとも0.25重量%含有
    する請求項1〜3のいずれかに記載の感熱転写用積層フ
    ィルム。
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