JP3820033B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、感熱転写プリンター用リボンに好適に用いられ、感熱転写プリンター用リボンとした場合、高速で印字してもインクの転写斑がなく、かつ印字性能に優れる二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱転写プリンター用リボンのベースフィルムとしては、表面粗さを規定したもの(特開昭62−299389号公報)が知られている。
【0003】
感熱転写記録方式の中でも昇華型感熱転写方式は高画質のフルカラー画像を簡便に出力できる記録方式として非常に伸びている。昇華型感熱転写方式は熱昇華性染料がバインダー中にあり、熱によって染料のみが昇華し、被転写紙の受像層に吸収され階調性の画像を形成させる方式である。近年印字速度の高速化が求められるようになり、その対策として印画時のサーマルヘッドからの熱を効率よく伝えるためにベースフィルムの薄膜化が要求されている。
【0004】
このようなフィルムの薄膜化の要求があるものの、従来の延伸フィルムの厚みを単に薄くするだけでは、染料インキの塗布工程やスリット工程における作業性が悪くなる問題がある。
【0005】
上記作業性はフィルム表面の滑り性に左右され、一般的に熱可塑性樹脂フィルムにおいては滑り性を改良するためにフィルム表面に微小な凹凸を与える方法が知られている。かかる方法の例として、不活性粒子をフィルムの原料である熱可塑性重合体の重合時、または重合後に添加したり(外部粒子添加方式)、熱可塑性重合体の重合時に使用する触媒等の一部または全部を反応工程でポリマー中に析出させる技術(内部粒子析出方式)が公知である。
【0006】
しかし、本発明の如き極薄フィルムの製造方法において、不活性無機微粒子を同一濃度のまま添加した重合体を薄膜化すると、単位面積当たりの不活性無機微粒子の数が減少し、フィルム表面における微粒子の間隔が広がり、フィルム表面が平坦化しすぎ、滑り性が低下する傾向にある。従って薄膜化にともなう滑り性低下を補うためには、フィルム厚みが薄くなればなるほど、添加する不活性無機微粒子の添加濃度を高めるかあるいは粒径を大きくする必要があった。
【0007】
この場合、特にドラフト比の高い溶融押出し時や延伸の際、不活性無機微粒子と熱可塑性重合体との親和性が乏しいことに起因して、ボイドが界面すなわち不活性無機微粒子の周りに多発し、得られたフィルムの機械的性質(例えば機械的強度)が著しく低下したり、フィルムを製造する際に破断が発生しやすくなり生産性が低下する問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題点を解決せしめ、階調性に優れた転写画像を得られ、さらに破断が少ない生産性に優れ、そして平面性に優れる、熱転写リボンに好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平均粒径が1.0〜2.0μmの炭酸カルシウムを0.1〜2重量%、および平均粒径が0.4〜0.8μmの珪酸アルミニウムを0.05〜1重量%含有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、該フィルムの中心線平均粗さが10〜40nm、スペースファクターが1〜19%であり、該フィルム表面の高さ1.5μm以上の突起が300〜700個/cm以下であり、かつ該フィルムの連続厚みチャートにおいて隣接する山と谷の高さの差(厚み差)が平均厚みの8%以内であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムである。
【0010】
[ポリエステル]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主たる成分としてなる。上記成分の他、エチレンテレフタレートもしくはエチレン−2,6−ナフタレートを繰り返し単位とするランダムポリマー成分以外の成分も主エステル形成成分として好ましく用いられるが、汎用性と、コストの面からエチレンテレフタレートもしくはエチレン−2,6−ナフタレート成分が好ましく用いられる。また、これらに20mol%以下の割合で第3成分を導入しても良い。20mol%以下であると主成分の本来の特性を極端に損なうことのないフィルムとなる。
【0011】
好適な共重合成分としては2個のエステル形成官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、テレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸およびこれらの低級アルキルエステル;p−オキシエトキシ安息香酸等の如きオキシカルボン酸およびその低級アルキルエステル;プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加体、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
【0012】
また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートを主成分とするポリエステルは例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコール等の1官能性化合物によって、末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよく、あるいは例えば極少量のグリセリン、ペンタエリスリトールなどの如き3官能以上のエステル形成化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で変成されたものであってもよい。また、共重合ではなくこれらのポリエステルをブレンドしても良い。
【0013】
[添加微粒子]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはその表面に多数の微細な突起を有している。それらの多数の微細な突起は、本発明によればポリエステル中に分散して含有される炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムに由来する。
【0014】
本発明においてポリエステル中に含有される炭酸カルシウムは、その平均粒径が0.5〜4.0μm、好ましくは0.5〜2.0μmのものである。
【0015】
ここで「平均粒径」とは、測定した全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形直径」を意味する。「等価球形直径」とは粒子と同じ容積を有する想像上の球(理想球)の直径を意味し、粒子の電子顕微鏡写真または通常の沈降法による測定から計算することができる。
【0016】
炭酸カルシウムの平均粒径が0.5μm未満では、フィルムをマスタロールまたは製品ロール等に巻き取る際エアースクイーズ性が不良(巻き込み空気が逃げにくい)なためしわが発生しやすく、また滑り性が不充分で加工工程での作業性が低下し、好ましくない。また平均粒径が4.0μmを超えるとフィルム表面が粗れすぎ、スペースファクターが増大し、さらには絶縁破壊電圧の低下、絶縁欠陥の増加等をもたらすので好ましくない。なお、炭酸カルシウムの平均粒径はフィルム厚みより大きくても良い。
【0017】
本発明において炭酸カルシウムの添加量は、ポリエステル中に0.1〜2重量%とする必要があり、好ましくは0.1〜1重量%である。炭酸カルシウムの添加量が0.1重量%未満では、フィルムを巻き取る際のエアースクイーズ性が不良となり、一方2重量%を超えると、フィルム表面が粗れすぎ、絶縁破壊電圧の低下等を招き好ましくない。
【0018】
本発明に用いる炭酸カルシウムとしては、任意のものを用いることができ、天然に算出する石炭石、チョーク(白亜)、および石炭石から化学的方法によって生成せしめる沈降炭酸カルシウム等のカルサイト結晶、石炭乳に高温で炭酸ガスを反応させて得られるアルゴナイト結晶、バテライト結晶およびこれらを組み合わせたもの等が例示される。石炭石を機械的に粉砕して得られる重質炭酸カルシウム(カルサイト結晶)も用いることができる。
【0019】
本発明においてポリエステル中に含有される珪酸アルミニウムは、その平均粒径が0.1〜2.0μm、好ましくは0.3〜1.2μmのものであり、その含有量としては0.05〜1重量%である。
【0020】
珪酸アルミニウムの平均粒径が0.1μm未満では、フィルムの滑り性が損なわれ、作業性が低下するので好ましくなく、一方2.0μmを超えるとフィルム表面が粗れすぎスペースファクターが増大するので好ましくない。
【0021】
また珪酸アルミニウムの含有量が0.05重量%未満では、フィルムを巻き取る際のエアースクイーズ性が不良となり、一方1重量%を超えるとフィルム表面が粗れすぎスペースファクターが増大するので好ましくない。
【0022】
本発明における珪酸アルミニウムとは、板状アルミノ珪酸塩のことをいい、任意のものを用いることができ、天然に産出するカオリン鉱物からなるカオリンクレー等が例示される。さらに、カオリンクレーは、水洗等の精製処理を施されたものであってもよい。
【0023】
本発明においては、ポリエステルフィルムに、平均粒径0.5〜4μmの炭酸カルシウムおよび平均粒径0.1〜2.0μmの珪酸アルミニウムを含有させる。炭酸カルシウムのみでフィルムの作業性を確保しようとすると、フィルムのスペースファクターが大きくなりすぎ好ましくない。一方珪酸アルミニウムのみでは、大突起の形成ができず作業性とスペースファクターの両立ができない。
【0024】
本発明のポリエステルフィルムに含有される炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムの添加時期は、ポリエステルポリマー重合前でもよく、重合反応中でもよく、また重合終了後ペレタイズする時に押出機中で混練させてもよく、さらにシート状に溶融押出する際に添加し、押出機中で分散させて押出してもよいが、重合前に添加するのが好ましい。
【0025】
ポリエステルに炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムを添加するには、公知の任意の方法を採用すればよいが、ポリエステル、例えばポリエチレン−2,6−ナフタレート重合前に添加を行う場合には、エチレングリコール中に炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムを添加し、超音波振動等を行ってポリマー中に分散させるのが好ましい。
【0026】
このように2種の炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウム微粒子を添加することにより、表面の平均粗さが10〜40nmの二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。フィルムの平均表面粗さが10nmより小さいと、十分な滑り性が得られず、巻き取ることが困難になる。また、平均表面粗さが40nmより大きいと、熱転写プリンターで高速印字する際、熱伝導が悪化し、印字が不鮮明となる。
【0027】
また、これら2種の微粒子以外にさらに第3成分として、上記粗さの範囲内に入るように上記2種の微粒子の粒径より小さい滑剤を添加してもよい。
【0028】
[粗大突起]
本発明に用いる二軸配向ポリエステルフィルムの表面は、前述の炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムに由来する多数の突起を有するが、その突起は1.5μm以上の高さのものが300〜700個/cm2である必要がある。1.5μm以上の高さの突起が300個/cm2未満では、突起間の間隔が広がってフィルム表面が平坦化し、滑り性が低下する。他方1.5μm以上の高さの突起が700個/cm2を超えるとフィルム表面が粗くなり、場合によっては含有する微粒子周辺に発生するボイドのため、フィルム形成中の破断や延伸製膜中の破断が増加し好ましくない。
【0029】
[添加剤]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムには前述のシリカ微粒子の他、添加剤、例えば安定剤、染料、紫外線吸収剤、および難燃剤などを所望により含有させることができる。
【0030】
[スペースファクター]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、そのスペースファクターが1〜19%である必要がある。スペースファクターが1%未満では、フィルムの滑り性、作業性(ハンドリング性)が不十分であり、他方19%を超えると表面が粗くなりすぎ、場合によっては破断の原因となり好ましくない。
【0031】
なお、スペースファクター(SF)は、フィルム100cm2のフィルム重量w(g)と密度d(g/cm3)から重量法厚みt1(μm)を求め、10cm角のフィルムを10枚重ね、マイクロメーターを用いて求めた試料フィルム1枚分の厚みをt2(μm)とした時、下記式より算出する。
SF(%)=100−t1/t2×100
【0032】
[厚み]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚さは0.5〜10μmが好ましい。厚さが10μmを超えると、印字時熱伝導に時間がかかり、高速印字に好適ではない。他方厚さが0.5μm未満であると、張力が低く加工適性に劣る。さらにリボンとして必要な強度に劣り好ましくない。
【0033】
[厚み斑]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、連続で厚み測定を実施して連続厚みチャートを得たとき、該連続厚みチャートにおいて隣接する山と谷の高さの差(厚み差)が長手方向、幅方向とも平均厚みの8%以内、好ましくは5%以内、さらに好ましくは3%以内である。また、上記山と谷の間隔は10cm以上あることが好ましい。
【0034】
さらに、全幅方向の厚み斑が13%以内、好ましくは10%以内であることが好ましく、長手方向5m長あたりの厚み斑が15%以内、好ましくは12%以内であることが望ましい。かかる条件を満足するフィルムは厚みが極めて均一なフィルムであり、易接着層を塗設する際に塗り斑の発生しない、また、染料を塗布する時にも塗り斑が発生しないという優れた効果を達成できる。
【0035】
連続厚みチャートにおいて隣接する山と谷の高さの差(厚み差)、山と谷の間隔、厚み斑は以下の方法で測定して得られる値である。
【0036】
電子マイクロメータを用い、フィルムの長手方向および幅方向それぞれ5m、1mの長さにわたって厚みを連続的に測定し、連続厚みチャート(位置に対する厚みの図)を得、このチャートから最大厚みと最小厚みならびに隣接する山と谷の厚み差と間隔を読み取り、そしてフィルムの幅(cm)、長さ(cm)、重量(g)および密度(g/cm3)から計算して求めた平均厚みとから下式で算出する。なお、厚み斑は、フィルムの長手方向、幅方向別に計算して求める。
平均厚み(μm)=[重量/(幅×長さ×密度)]×10000
厚み斑(%)=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100
隣接する山と谷の厚み差=[(山の厚み−谷の厚み)/平均厚み]×100
【0037】
[易接着層]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、熱転写インク層を設けることにより熱転写リボンが製造できる。その際、フィルムと熱転写インク層の接着性を向上させる目的で、フィルムのインキ層を塗布する側の表面に、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、およびビニル系樹脂変性ポリエステルの群から選ばれた少なくとも一種の水溶性または水分散性樹脂からなる塗布層を有していることが好ましい。
【0038】
塗布層として用いるウレタン系樹脂は、それを構成する成分として以下のような多価ヒドロキシ化合物、多価イソシアネート化合物、鎖長延長剤、架橋剤などを例示できる。すなわち、多価ヒドロキシ化合物としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールのようなポリエーテル類、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンのようなポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル系ポリオール、ひまし油、などを用いることができる。多価イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを用いることができる。鎖長延長剤あるいは架橋剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン−ナトリウムアクリレート付加物、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選択して、常法の重縮合−架橋反応によりポリウレタン系樹脂を合成する。
【0039】
塗布層として用いるポリエステル系樹脂は、それを構成する成分として以下のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩、およびそれらのエステル形成性誘導体等を用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ビスフェノールA−エチレングリコール付加物、ビスフェノールA−1,2−プロピレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等を用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上選択して、常法の重縮合反応によりポリエステル系樹脂を合成する。なお、上記のほか、ポリエステルポリオールをイソシアネートで鎖延長したポリエステルポリウレタンなどのポリエステル成分を有する複合高分子も本発明でいうポリエステル系樹脂に含まれる。
【0040】
塗布層として用いるアクリル系樹脂は、アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレートを主要な成分とするものが好ましく、当該成分が30〜90モル%であり、共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体成分70〜10モル%を含有する水溶性あるいは水分散性樹脂である。アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレートと共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体は、官能基としてカルボキシル基またはその塩、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)またはアルキロール化されたアミノ基あるいはそれらの塩、水酸基、エポキシ基などを有するビニル単量体である。これらの中でも特に好ましいものはカルボキシル基またはその塩、酸無水物基、エポキシ基などである。これらの基は樹脂中に2種類以上含有されていてもよい。アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートのアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0041】
アルキルアクリレートあるいはアルキルメタクリレートと共重合する官能基を有するビニル系単量体は、反応性官能基、自己架橋性官能基、親水性基などの官能基を有する下記の化合物類が使用できる。カルボキシル基またはその塩、酸無水物基を有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、これらのカルボン酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム塩あるいは無水マレイン酸などが挙げられる。スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらのスルホン酸のナトリウムなどとの金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。アミド基あるいはアルキロール化されたアミド基を有する化合物としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリレートなどが挙げられる。アミノ基あるいはアルキロール化されたアミノ基あるいはそれらの塩を有する化合物としては、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、それらのアミノ基をメチロール化したもの、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトンなどにより4級化したものなどが挙げられる。水酸基を有する化合物としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる、エポキシ基を有する化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。その他官能基を有する化合物として、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネートなどが挙げられる。さらに、エチレン、プロピレン、メチルペンテン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレンなどのオレフィン類や、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレン、酢酸ビニルなどもビニル系単量体化合物として挙げられる。
【0042】
塗布層として用いるビニル系樹脂変性ポリエステル系樹脂の水溶性または水分散性樹脂はポリエステルの水溶性または水分散性樹脂中においてビニル系樹脂を重合することによって合成できる。このポリエステルを構成する成分として以下のような多塩基酸またはそのエステル形成誘導体とポリオールまたはそのエステル形成誘導体を例示できる。すなわち、多塩基酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等が挙げられる。これら酸成分を2種以上を用いて共重合ポリエステル樹脂を合成する。また、若干量ながら不飽和多塩基酸成分のマレイン酸、イタコン酸等およびp−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を用いることができる。また、ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等が挙げられる。これらは2種以上を用いることができる。また、ビニル系樹脂成分としては以下に例示するようなビニル系モノマーが挙げられる。例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基またはその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマーが挙げられる。また、これらモノマー以外のものも用いることができる。これらのモノマーは1種あるいは2種以上を用いて共重合することができる。
【0043】
本発明の塗布層の塗布液は上記樹脂の水溶性または水分散性樹脂や他の添加物に影響を与えない限り、若干の有機溶剤を含んでいてもよい。この塗布液はアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。かかる界面活性剤としては水性塗布液の表面張力を40dyne/cm以下に低下でき、ポリエステルフィルムへの濡れを促進するものが好ましく、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウムクロライド塩、アルキルアミン塩酸、ベタイン型界面活性剤等を挙げることができる。
【0044】
本発明における易接着層には、固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のために架橋剤としてイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン化合物、メラミン系化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤などを含有しても良い。また、中間接着層の樹脂成分に架橋反応点があれば、過酸化物、アミン類などの反応開始剤や、感光性樹脂などに増感剤を含有しても良い。また、固着性や滑り性改良のために、塗布層中に無機系微粒子としてシリカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモンゾルなどを、有機系微粒子として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などを含有してもよい。さらに必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料などを含有しても良い。
【0045】
この塗布液はポリエステルフィルム製造工程中で結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの片面または両面に塗工するのが好ましい。ポリエステルフィルム製造工程と切り離して塗工してもよいが、この場合では塵、埃等を巻き込みやすく、その部分が印刷時の欠点となるのでクリーンな雰囲気が望ましく、さらには好適なフィルムを比較的安価で製造でき、これらの点から製造工程中の塗工が好ましい。その際塗布液の固形分濃度は通常0.1〜30重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%である。塗布量は走行中のフィルム1m2当り0.5〜50gが好ましい。
【0046】
塗工方法としては公知の方法が適用できる。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフ法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組み合わせて適用するとよい。
【0047】
[フィルムの製造方法]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは通常の方法により得た未延伸フィルムを二軸延伸し熱固定することで製造することができ、また熱固定中に弛緩または緊張処理を行うことによってさらに有利に製造することができる。例えば、未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃の温度(Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で縦方向、横方向に倍率2.0〜6.0倍で二軸延伸し、225℃以上好ましくは235〜250℃で1〜100秒間熱固定する。熱固定はゾーンを2分割以上好ましくは4分割以上に分けられていることがゾーンごとに温度コントロールを行え望ましい。延伸は一般に用いられる方法、例えばIRヒーターによる方法やロールによる方法やテンターを用いる方法で行うことができ、縦方向、横方向を同時に延伸してもよく、また縦方向、横方向に逐次延伸してもよい。
【0048】
さらに弛緩処理を行う場合は、熱固定後ロールに巻き取るまでの間で弛緩処理を行うが、弛緩処理方法としては熱固定ゾーンの途中でテンター幅を縮めフィルム幅方向に0〜3%の弛緩処理を行う方法、フィルムの両端部を切り離しフィルムのガラス転移温度以上融解温度以下の温度条件下においてフィルムの供給速度に対して引き取り速度を減速させる方法、2つの速度の異なる搬送ロールの間においてIRヒーターで加熱する方法、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ加熱搬送ロール後の搬送ロールの速度を減速させる方法、熱固定後熱風を吹き出すノズルの上にフィルムを搬送させながら、供給の速度よりも引き取りの速度を減速する方法、あるいは製膜機で巻き取った後、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ搬送ロールの速度を減速する方法、あるいは加熱オーブン内やIRヒーターによる加熱ゾーンを搬送させながら加熱ゾーン後のロール速度を加熱ゾーン前のロール速度より減速する方法があり、いずれの方法を用いても良く、供給側の速度に対して引き取り側の速度の減速率を0.1〜3%にして弛緩処理を行うのが好ましい。
【0049】
特に、本発明においてはフィルムの熱収縮率を感熱転写リボンとして適切な範囲にするために、弛緩処理のほか、熱固定ゾーンの途中でテンターの幅を広げフィルム幅方向に緊張処理を0〜3%施してもよい。このような処理は熱収縮率が本発明のフィルムの適切な範囲内に収まるような方法であればこれらに限定されるものではない。また、処理の位置は最も温度の高い熱固定ゾーンで行うことが寸法安定構造を形成する上で好ましい。
【0050】
また、必要に応じてクーリングゾーンを設けフィルムのTg±40℃付近の温度に冷却することができる。これにより、厚み斑の少ない平坦なフィルムとなり好ましい。
【0051】
[熱転写インク層]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面、特に片面に、熱転写インク層を設けることにより熱転写リボンが製造できる。かかる熱転写インク層は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。すなわち、バインダー成分、着色成分などを主成分とし、必要に応じて柔軟剤、可塑剤、分散剤などを適量添加して構成される。上記主成分の具体例としては、バインダー成分として、カルナウバワックス、パラフィンワックスなど公知のワックス類やセルロース類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコール部分アセタール化物、ポリアミド類、低融点の各種高分子物質等が用いられ、着色剤としては、カーボンブラック主体とし、その他各種の染料、あるいは有機、無機の顔料が用いられる。また、熱転写インキ層は、昇華性の染料を含んでいてもよい。昇華性染料としては各種分散染料、塩基性染料などを用いることができる。
【0052】
熱転写インキ層を基材層の易接着層面に設ける方法としては、公知の方法、例えばホットメルト塗工、溶剤を添加した状態でグラビア、リバース、スリットダイ方式などの溶液塗工方法などを用いることができる。
【0053】
[融着防止層]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの特に好ましい熱転写リボンとしての使用形態としては、該フィルムの片面に前述の易接着層を設け、その上に熱転写インク層を設け、その反対のフィルム面に融着防止層を設けた積層体が挙げられる。
【0054】
この融着防止層はサーマルヘッド部のスティックキングを防ぐために設けられるもので、具体的にはポリオール、例えばポリアルコールとポリイソシアネート化合物およびリン酸ポリエステル系化合物から形成される層が設けられる。
【0055】
上記ポリアルコールとしては、水酸基を有するポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ニトロセルロース樹脂、セルロースアセテート樹脂、酢酸セルロース樹脂、ウレタンやエポキシのプレポリマー等が好ましく挙げられる。
【0056】
さらに、融着防止層の形成方法は公知の方法を用いることができ、フィルムの製造工程において未延伸フィルムにまたは縦延伸後のフィルムに設けても、一旦、二軸フィルムとして巻き取った後に設けても良い。このようにすることにより、転写リボンに加工した後に、サーマルヘッドから、ベースにかかる熱履歴を減らすことができ好ましい。
【0057】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明で規定する特性値の測定方法と評価方法を以下に説明する。
【0058】
1.粒子の粒径
(1.1)粉体の粒径
島津製作所CP−50型セントリフュグルパーティクルサイズアナライザーを用いて測定した。得られた遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量の累積曲線から、50マスパーセントに相当する粒径を読み取り、この値を平均値とした(「粒度測定技術」、日刊工業新聞社発行、1975年、p.242〜247参照)
(1.2)フィルム中の粒子の粒径
試料フィルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台に固定し日本電子(株)製スパッターリング装置(JIS−1100型イオンスパッターリング装置)を用いてフィルム表面に、1×10-3torrの真空下で0.25kV、1.25mAの条件にてイオンエッチング処理を10分間施した。さらに、同じ装置で金スパッターを施し、走査型電子顕微鏡にて1〜3万倍で観測し、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも100個の粒子の面積相当粒径(Di)を求めた。下式で表される面積相当(Di)の数平均値を平均粒径(D)とした。
【0059】
【数1】
Figure 0003820033
【0060】
2.密度
硝酸カルシウム水溶液を用いた密度勾配管中、25℃で浮沈法により測定した値である。
【0061】
3.フィルム厚みおよび厚み斑
アンリツ(株)製電子マイクロメータ(K−312A型)を用い、針圧30g、走行速度25mm/秒でフィルムの縦方向および横方向それぞれ5m、1mの長さにわたって測定し、連続厚みチャートを得た。このチャートから最大厚みと最小厚み、および隣接する山と谷の厚みの差を読み取った。次に同じサンプルについて幅(cm)、長さ(cm)、重量(g)、密度(g/cm3)を測定し平均厚み(μm)を下式で算出した。そして上述の最大厚みと最小厚みの差の平均厚みに対する割合を下式で算出し厚み斑とし、隣接する山と谷の厚みの差の平均厚みに対する割合を下式で算出した。
平均厚み(μm)=[重量/(幅×長さ×密度)]×10000
厚み斑(%)=[(最大厚み−最小厚み)/平均厚み]×100
隣接する山と谷の厚み差の平均厚みに対する割合
=[(山の厚み−谷の厚み)/平均厚み]×100
【0062】
4.表面粗さ(中心線表面粗さ、Ra)
フィルムの表裏両面を表面粗さ計(東京精密(株)サーフコム111A)で測定し平均値を算出して表面粗さとした。
【0063】
5.スペースファクター(SF)
試料100cm2のフィルム重量w(g)と密度d(g/cm3)から求めた重量法厚みをt1(μm)、10cm角の試料フィルムを10枚重ね、マイクロメーターを用いて求めた試料フィルム1枚分の厚みをt2(μm)とした時、下記式より算出した。
SF(%)=100−t1/t2×100
【0064】
6.高さ1.5μm以上の高さの突起数
NIKON二光束顕微鏡OPTIPHOTO(波長λ=546nm)を用いて干渉縞が2/λであることを利用し、突起高さを算出し、1cm2当たりに存在する高さ1.5μm以上の突起をカウントした。
【0065】
7.巻取り性
製膜したベースフィルムを所定の幅にスリットする時に入るしわの程度を観察し、下記の基準で評価した。
ランクA:しわは発生せず、極めて安定に巻取りが可能。
ランクB:しわはほほとんど発生せず、安定に巻取りが可能。
ランクC:時々しわが発生し、安定に巻取りができない。
ランクD:大きなしわが多発し、実質的に安定な巻き取りが不可能。
【0066】
8.接着性
作製した熱転写リボンのインキ層面に、住友スリーエム(株)製のメンディングテープ810を貼り付け急速に剥離し、インク層の剥離の程度によって接着性を以下のように評価する。
5:インク層剥離が全くない
4:インク層剥離面積が10%未満
3:インク層剥離面積が10〜30%
2:インク層剥離面積が31〜80%
1:インク層剥離面積が80%超える
【0067】
9.印画性
受像シートVY・200((株)日立製作所製、標準ペーパー、商品名)に、プリンター日立VY・200((株)日立製作所製、商品名)で光学濃度最大になるように印画した。作製した熱転写リボンについて、次の基準により、印画性およびリボンに生じる皺を評価した。
○:鮮明に印画される。
△:印画濃度が均一とならない。
×:リボンに皺が入り印画が乱れる。
【0068】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60部の混合物に酢酸マンガン・4水塩0.024部を添加し、150℃から240℃に徐々に昇温しながらエステル交換反応を行なつた。途中反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.019部を添加し、さらに表1に記載された平均粒径を有する炭酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムを表1に記載の量添加した。引続いてエステル交換反応を行ない、エステル交換反応終了後、リン酸トリメチルをエチレングリコール中で135℃、5時間1.1〜1.6kg/cm2の加圧下で加熱処理した溶液(リン酸トリメチル換算量で0.018部)を添加した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空下にて重縮合反応を行なつて25℃のo−クロロフィノール溶液で測定した固有粘度が0.62のポリエステルを得た。
【0069】
このポリマーを、押し出し機とTダイでシート状に溶融押し出し、水冷キャスティングドラムに37.5m/分の速度で密着させて冷却固化し、未延伸シートを得た。この未延伸フイルムを、ロール延伸により縦方向(機械軸方向)に高速ロール150m/分で105℃で4.6倍延伸した。この縦延伸後のフィルムのインキ層を塗布しない側に、融着防止層として下記組成1の塗剤を乾燥後の塗膜厚みが0.5μmになるようにグラビアコーターで塗工し、インキ層を塗布する側に易接着層として下記組成2の塗剤を乾燥後の塗膜厚みが0.1μmになるようにグラビアコーターで塗工した。その後、横方向(幅方向)に110℃で3.8倍逐次二軸延伸して第1、2、3熱固定および冷却ゾーンでそれぞれ220、238、180、90℃で2秒間ずつ熱固定および冷却し第2熱固定ゾーンで幅方向に緊張処理を2%行い、厚みが3.0μmの二軸配向フイルムを得た。
【0070】
<塗剤組成1>
アクリル酸エステル 14.0重量%
アミノ変性シリコーン 5.9重量%
イソシアネート 0.1重量%
水 80.0重量%
<塗剤の組成2(アクリル+ポリエステル+エポキシ)>
・アクリル樹脂 固形分重量で42重量%
(メチルメタクリレート65モル%/エチルアクレート28モル%/2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%)・ポリエステル樹脂 固形分重量で42重量%
(酸成分としてテレフタル酸35モル%/イソフタル酸13モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル%、グリコール成分としてエチレングリコール45モル%/ジエチレングリコール5モル%)
・エポキシ系架橋剤 固形分重量で6重量%
(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン)
・濡れ剤 固形分重量で10重量%
(ラウリルポリオキシエチレン)
得られた二軸配向ポリエステルフィルムについて、突起数、厚み斑、厚みの山谷の差、厚み、およびスペースファクターを求めた。
【0071】
次に、下記組成の転写インクを、塗膜厚みが1.0μmになるようにグラビアコーターで融着防止層とは反対面に塗工し、熱転写リボンを作製した。
<熱転写インク組成>
マゼンタ染料(MSRedG) 3.5重量%
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5重量%
メチルエチルケトン 46.5重量%
トルエン 46.5重量%
作製した熱転写リボンについてインキの接着性および印字性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0072】
[実施例2〜3、比較例1〜3]
添加する滑剤の種類と添加量を表1の値に変更する以外は実施例1と同じ方法で二軸配向フィルムおよびそれからなる熱転写リボンを作成した。二軸配向フィルムのおよび熱転写リボンの評価結果を表1に示す。
【0073】
[実施例4]
25℃のo−クロロフィノール溶液で測定した固有粘度が0.62のポリエチレン−2,6−ナフタレートを用い、縦方向に144℃で4.5倍、テンターオーブンで137℃、4.0倍の横延伸を行った。次に、表1中に示す熱固定温度で熱処理、弛緩処理および冷却処理を行う以外はすべて実施例1と同様に二軸配向フィルムを作成し、さらにこれから熱転写リボンを作成した。二軸配向フィルムのおよび熱転写リボンの評価結果を表1に示す。
【0074】
[比較例4、5]
添加する滑剤の種類と添加量、延伸条件を表1の値に変更する以外は実施例4と同じ方法で二軸配向フィルムおよびそれからなる熱転写リボンを作成した。二軸配向フィルムのおよび熱転写リボンの評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0003820033
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、表面が適度に粗面化され、製膜加工時の作業性にすぐれ、破断が少なく、また平面性に優れた特に熱転写リボンに好適な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。

Claims (5)

  1. 平均粒径が1.0〜2.0μmの炭酸カルシウムを0.1〜2重量%、および平均粒径が0.4〜0.8μmの珪酸アルミニウムを0.05〜1重量%含有する二軸配向ポリエステルフィルムであって、該フィルムの中心線平均粗さが10〜40nm、スペースファクターが1〜19%であり、該フィルム表面の高さ1.5μm以上の突起が300〜700個/cm以下であり、かつ該フィルムの連続厚みチャートにおいて隣接する山と谷の高さの差(厚み差)が平均厚みの8%以内であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 隣接する山と谷の高さの差(厚み差)が平均厚みの5%以内であり、かつ隣接する山と谷の間隔が10cm以上である請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 二軸配向ポリエステルフィルムが、主としてポリエチレンテレフタレートからなる請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 二軸配向ポリエステルフィルムが、主としてポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 感熱転写リボン用ベースフィルムとして用いる請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
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