JP2002053686A - 易接着性ポリエステルフィルム - Google Patents

易接着性ポリエステルフィルム

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JP2002053686A
JP2002053686A JP2000239929A JP2000239929A JP2002053686A JP 2002053686 A JP2002053686 A JP 2002053686A JP 2000239929 A JP2000239929 A JP 2000239929A JP 2000239929 A JP2000239929 A JP 2000239929A JP 2002053686 A JP2002053686 A JP 2002053686A
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polyester film
acid
easily adhesive
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JP2000239929A
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Shinji Yano
真司 矢野
Masayuki Fukuda
雅之 福田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキ層との密着性に優れ、インキの易接層
への染着性はなく、階調性に優れた転写画像を得る易接
着性ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 結晶配向が完了する前のポリエステルフ
ィルムの片面または両面に、反応性基を有するアクリル
樹脂(A)、反応性基を有するポリエステル樹脂(B)
および架橋剤(C)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸そ
して熱処理して易接着性層を形成した易接着性ポリエス
テルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は易接着性ポリエステ
ルフィルムに関し、詳しくは特定の塗布層を設けること
により接着性が優れ、更には加熱による接着性およびフ
ィルム寸法の変化がなく皺の発生がない易接着性ポリエ
ステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムはその機械特性、
寸法安定性、耐熱性等の優れた性質を有し、現在までに
多くの分野で使用されている。その中の一つに感熱転写
記録材料の基材フィルムとしての用途がある。
【0003】感熱転写記録方式は、高画質のフルカラー
画像を簡便に出力できる記録方式として、例えばビデオ
プリンター、デジタルカメラやデジタルビデオなどの映
像コピー用を中心に需要が伸びている。そのうち昇華型
感熱転写方式とは熱昇華性染料がバインダー中にあり、
熱によって染料のみが昇華し、被転写紙の受像層に吸収
され階調性の画像を形成させる。染料のみを昇華させる
ためバインダーと基材フィルムとの高い密着性が必要で
あり、さらには環境変化や経時による密着性の低下がな
いことは必須である。密着性不足の場合はバインダー層
が被転写紙に移行し著しく階調性を損ない、過転写とい
う現象が発生する。一般にポリエステルフィルムは高度
に結晶配向しているため、接着性に乏しく直接インキ層
を塗布しても密着しにくい。
【0004】インキ層との接着性を上げるためにフィル
ム表面に物理的、化学的処理をする方法が開示されてい
るが充分な接着性を得られない欠点がある。また、製造
工程内で行うプライマー処理による接着性の向上は性能
的にも加工上でも非常に有利であり、広く行われてい
る。ポリエステル、アクリル、ウレタンなど水性塗剤を
用いるプライマー処理が知られている。しかし、従来の
技術には次のような問題点がある。一般的なポリエステ
ル、アクリル、ウレタンなど水性塗剤の塗膜では所望の
接着性が得られたとしても耐湿性、耐水性、耐溶剤性、
耐ブロッキング性等が劣る可能性がある。更には、昇華
性染料の易接層への染着性の問題もある。近年、高速プ
リント化が進められており、瞬間的により高い温度がか
かるようになっており、易接層の耐熱性、熱時のインキ
層との密着性が必要である。密着性が悪いと本来の色濃
度や階調性が不充分である。
【0005】さらに、ベースフィルムは極限まで薄いも
のが追求されるので高強度が必要であり、印刷時の加熱
による収縮による寸法変化が小さいことも必要とされて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、これ
らの問題点を解決し、昇華性インキ層との密着性に優
れ、昇華性染料の易接層への染着性はなく、階調性に優
れた転写画像を得る易接着性ポリエステルフィルムを提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題に鑑み鋭意検討した結果、特定の物性を有するポリエ
ステルフィルムを基材として用いれば、上記の問題を解
決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、結晶配向が完了する
前のポリエステルフィルムの片面または両面に、反応性
基を有するアクリル樹脂(A)、反応性基を有するポリ
エステル樹脂(B)および架橋剤(C)を含む塗液を塗
布し、乾燥、延伸そして熱処理して易接着性層を形成し
た易接着性ポリエステルフィルムをその骨子とするもの
である。
【0009】さらに、本発明のフィルムは、以下の態様
をとることが好ましい。 1.反応性基を有するアクリル樹脂(A)、反応性基を
有するポリエステル樹脂(B)および架橋剤(C)が架
橋構造を形成している。 2.アクリル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)
の反応性基が、それぞれ、カルボキシル基、水酸基、ア
ミノ基、エポキシ基およびオキサゾリン基から選ばれる
一種以上である。 3.反応性基を有するアクリル樹脂(A)、反応性基を
有するポリエステル樹脂(B)および架橋剤(C)の割
合が、下記式(1)および(2)を満足する。 0.2≦A/B≦5 (1) 4≦(A+B)/C≦200 (2) 4.ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレー
トを主体とするフィルムである。 5.ポリエステルフィルムがポリエチレン−2,6−ナ
フタレートを主体とするフィルムである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル
とは、芳香族2塩基酸またはそのエステル形成性誘導体
とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成
される線状飽和ポリエステルである。
【0011】かかるポリエステルの具体例として、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シク
ロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート等が例示でき、これらの共重
合体またはこれらと小割合の他樹脂との混合物なども含
まれる。この中でも好ましくはポリエチレンテレフタレ
ート、より薄膜化、耐熱化を求めるなら更に好ましくは
ポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。
【0012】本発明に使用するポリエステルには、粒径
0.1〜5μmの二酸化珪素、炭酸カルシウム、カオリ
ン、シリコーン粒子などの無機または有機滑剤を0.0
3〜3.0重量%、さらには0.1〜1.0重量%含有
させることが好ましい。これらの滑剤を添加することに
より、表面の中心線粗さが0.01〜1μmのポリエス
テルフィルムを得ることができる。フィルム表面の中心
線粗さが0.01μmより小さいと充分な滑り性を得る
ことができず、フィルムに皺が入ったり、サーマルヘッ
ド部のステッキングが発生し好ましくない。表面の中心
線粗さが1μmより大きくなると、印刷の際の熱伝導性
が悪くなり、充分な画像が得られない。
【0013】また、本発明に使用するポリエステルに
は、本来の性能を損なわない程度に必要に応じて、安定
剤、着色剤、酸化防止剤、その他の添加剤を含有しても
よい。
【0014】本発明に使用するポリエステルフィルム
は、かかるポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キ
ャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し未延伸フィ
ルムとする。その未延伸フィルムをTg(ガラス転移温
度)〜(Tg+60)℃に加熱をして長手方向に1回も
しくは2回以上延伸し、合計の倍率が3倍〜7倍になる
ようにする。その後Tg〜(Tg+60)℃で幅方向が
3〜5倍になるように延伸し、次に200〜250℃に
て0.1〜10秒間熱処理を行い、熱処理温度より10
〜20℃低い温度で幅方向に0〜20%収縮もしくは0
〜10%伸長させながら再熱処理を行う。
【0015】本発明に使用するポリエステルフィルムの
厚みは0.5〜10μmが好ましく、更に好ましくは1
〜5μmである。近年の印刷機器の小型化、印刷の高速
化などによりフィルムの薄膜化の要求がある。例を挙げ
ると、ポリエチレンテレフタレートフィルムの薄膜の限
界は1.5μmであり、更に高強度のポリエチレン−
2,6−ナフタレートフィルムを用いることで薄膜の限
界は0.5μmになる。フィルムの厚みが10μmより
大きくなると印刷時の熱伝導性が悪化し、高速印刷がで
きなくなる。
【0016】本発明に使用するポリエステルフィルムは
長手方向および幅方向の厚み斑が0〜20%の範囲が好
ましい。厚み斑が20%より大きくなるとバックコート
および昇華インキ層を均一に塗布することができず、印
刷時の走行性や印刷の解像度などが悪化する。
【0017】本発明において、ポリエステルフィルムの
片面または両面に反応性基を有するアクリル樹脂
(A)、反応性基を有するポリエステル樹脂(B)およ
び架橋剤(C)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸そして
熱処理して易接着性層を形成する。この塗布層は昇華性
染料と樹脂バインダーとからなるインキ層とポリエステ
ルフィルムとの接着性を上げるために必要である。反応
性基は反応性を有する官能基なら特定はされないが、以
下のような官能基が挙げられる。例えば、カルボキシル
基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、オキサゾリン基、
ビニル基、エーテル基、イソシアネート基、アゾ基、イ
ミノ基等が挙げられる。これらのうち、カルボキシル
基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、オキサゾリン基が
好ましい。
【0018】反応性基を有しないアクリル樹脂もしくは
ポリエステル樹脂では形成される易接着性層において架
橋構造を形成できないため印画時に易接着性層の熱負け
しインキバインダーの異常転写が発生してしまう。
【0019】昇華インキ層との接着性を更に上げるため
には、反応性基を有するアクリル樹脂(A)、反応性基
を有するポリエステル樹脂(B)および架橋剤(C)の
割合を下記式(1)および(2)の範囲とすることが好
ましい。 0.2≦A/B≦5 (1) 4≦(A+B)/C≦200 (2)
【0020】式(1)において混合比率が0.2より小
さいとアクリル樹脂が少なくなり昇華インキ層との接着
性が不足してしまい、5より大きいと塗布層とベースフ
ィルムとの密着性が不足し十分な昇華インキ層との接着
性が発現しない。式(2)において混合比率が4よりも
小さくなると未反応の架橋剤が多くなりフィルムのブロ
ッキングが発生し、200よりも大きくなると架橋密度
が低くなり脆弱な塗膜となり昇華インキ層のとの接着
性、特に印画時が悪化し好ましくない。
【0021】易接着性層の厚みは0.001〜1μmの
範囲が好ましく、更に好ましくは下限が0.01μm、
上限が0.5μmである。厚みを0.001〜1μmの
範囲とすることにより、ポリエステルフィルムとの接着
性が良好となり、易接着性層塗布後のフィルムをロール
状にまいたときにブロッキングが発生し難く、また昇華
性染料の易接着性層への染着が起り難く十分な色濃度や
階調性が得られる。
【0022】反応性基を有するアクリル樹脂(A)は以
下のようなアクリルモノマーと反応性基を有するモノマ
ー1種または2種以上とを共重合することで得られる。
アクリルモノマーとしては、アルキルアクリレート、ア
ルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘ
キシル基、シクロヘキシル基等)、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエー
テル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン
酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、ア
ルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピ
レン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマ
ーが挙げられ、反応性基を有するアクリルモノマーとし
ては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等
のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル
等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン
酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の
カルボキシ基またはその塩を含有するモノマー;アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルア
ミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアル
キルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルア
ミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘ
キシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−ア
ルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアク
リルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド
(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブ
トキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリ
ン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フ
ェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマ
ー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモ
ノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート
等が挙げられる。反応性基を有するアクリルモノマーの
割合は全アクリルモノマーに対し、0.5モル%以上3
0モル%以下、さらには1モル%以上20モル%以下が
好ましい。共重合割合が30モル%より高いと塗膜中の
架橋密度が高くなり塗膜に応力緩和力が少なくなりイン
キとの密着力が低下する。また未反応の反応性基が塗膜
に残りフィルムのブロッキングが発生する。共重合比率
が0.5モル%よりも少ないと架橋密度が低くなり印画
時のインキ密着性が悪化する。
【0023】反応性基を有するポリエステル樹脂(B)
は、酸成分としてジカルボン酸と、共重合後反応性基と
なり得るポリカルボン酸または反応性基を有するジカル
ボン酸成分の組合わせ、もしくはそれらのエステル形成
性誘導体、グリコール成分としてジオールと、共重合後
反応性基となり得るポリオールの組合わせ、もしくはそ
れらのエステル形成誘導体から重縮合して得られる。
【0024】ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸等が挙げられ、共重合後反応性基となり得る
ポリカルボン酸成分としては、トリメリット酸、ピロメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシ
ン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテ
ート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテー
ト)等が挙げられる。さらに反応性基を有するジカルボ
ン酸成分としては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸等およびp−ヒドロキシ安息香酸等の如
きヒドロキシカルボン酸が挙げられる。
【0025】また、ジオール成分としては、エチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレン
グリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオ
キシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)
グリコール等が挙げられ、共重合後反応性基となり得る
ポリオール成分はグリセリン、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙
げられる。
【0026】これらの成分のうち、共重合後反応性基と
なり得るポリカルボン酸成分および反応性基を有するジ
カルボン酸から選ばれる少なくとも1種の成分と、ジカ
ルボン酸成分との組合わせ、ならびに、ジオール成分お
よび共重合後反応性基となり得るポリオール成分から選
ばれる少なくとも1種の成分の組合わせを重縮合するこ
とで反応性基を有するポリエステル樹脂(B)を製造す
ることができる。
【0027】上記酸成分の組合わせにおいて、共重合後
反応性基となり得るポリカルボン酸成分および反応性基
を有するジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の成
分の全酸成分に対する割合は、0.5モル%以上10モ
ル%以下が好ましい。また、共重合後反応性基となり得
るポリオール成分の全ジオール成分に対する割合は、0
モル%以上5モル%以下が好ましい。上記酸成分の割合
が10モル%より多いと塗膜中の架橋密度が高く塗膜が
硬くなり応力緩和力が少なくなりインキとの密着力が悪
化し、他方0.5モル%よりも小さいと塗膜中の架橋密
度が低くなり印画時の密着が悪化し、また未反応の反応
性基が塗膜に残りフィルムのブロッキングが発生する。
また、上記ジオール成分の割合が5モル%よりも多いと
同様に架橋密度が高く塗膜が硬くなり応力緩和力が少な
くなりインキとの密着力が悪化し、また未反応の反応性
基が塗膜に残りフィルムのブロッキングが発生する。ま
た、これらモノマーが挙げられるがこれらに限定される
ものではない。
【0028】本発明で用いる架橋剤(C)としては、エ
ポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、
イソシアネート化合物等が好ましく挙げられ、塗膜の反
応性、塗液のポットライフの点がバランスできる。これ
らの架橋剤を用いることにより、架橋剤によって形成さ
れる架橋構造により易接着性層へ昇華性染料が移行する
染着を低減することができる。
【0029】エポキシ化合物としては、ポリエポキシ化
合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシ
ジルアミン化合物等が挙げられ、ポリエポキシ化合物と
しては、例えば、ソルビトール、ポリグリシジルエーテ
ル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタ
エリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロー
ルポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2
−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポ
リグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例え
ば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾ
ルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、
モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジ
ルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、
フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物
としてはN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m
−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリ
シジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0030】オキサゾリン化合物としては、オキサゾリ
ン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾ
リン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合
によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モ
ノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル
−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メ
チル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オ
キサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オ
キサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オ
キサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または
2種以上の混合物を使用することができる。これらの中
でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に
も入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合
性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマー
であれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アル
キルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシ
ル基、シクロヘキシル基)等のア(メタ)クリル酸エス
テル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸
およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリ
ル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキ
ルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、
N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキ
ルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル
基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチ
ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン
類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含
ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メ
チルスチレン、等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を
挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノ
マーを使用することができる。
【0031】メラミン化合物としては、メラミンとホル
ムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘
導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエ
ーテル化した化合物およびそれらの混合物が好ましい。
メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチ
ロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロー
ルメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロ
ールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられ
る。
【0032】イソシアネート化合物としては、例えば、
トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,
4’−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、
1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシ
アネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイ
ソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリ
オール変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネ
ート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’
−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ビト
リレン−4,4’ジイソシアネート、3,3’ジメチル
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタ
フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0033】塗布層の塗布液は、密閉されたフィルム製
膜工程内で塗工する際の作業環境を保持する点で水系が
好ましい。なお、作業環境に影響を与えない場合はアル
コール等の若干の有機溶剤を含んでいてもよい。
【0034】この塗布液はアニオン型界面活性剤、カチ
オン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等の界面活性
剤を必要量添加して用いることができる。かかる界面活
性剤としては水性塗布液の表面張力を40mN/m以下
に低下でき、ポリエステルフィルムへの濡れを促進する
ものが好ましく、例えばポリオキシエチレン−脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸
エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキル
スルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アン
モニウムクロライド塩、アルキルアミン塩酸、ベタイン
型界面活性剤等を挙げることができる。さらに本発明の
効果を消失させない範囲において、例えば帯電防止剤、
紫外線吸収剤、顔料、有機フィラー、無機フィラー、潤
滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加剤を併用するこ
とができる。
【0035】この塗布液はポリエステルフィルム製造工
程中で結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの
片面または両面に塗工するのが好ましい。延伸製膜工程
の熱を利用して塗布液の乾燥ができ、なおかつフィルム
の熱固定工程を通る際に塗膜の架橋を効率良く反応させ
ることができる。更には製造工程中での塗工は塵や埃等
を巻き込みにくく、好適なフィルムを比較的安価で製造
できる。これらの点から製造工程中の塗工が好ましい。
その際塗布液の固形分濃度は通常0.1〜30重量%で
あり、更に好ましくは1〜10重量%である。塗布量は
走行中のフィルム1m2当り0.5〜50gが好まし
い。
【0036】塗工方法としては公知の方法が適用でき
る。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、ロー
ルブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフ法、
含浸法、カーテンコート法等を単独または組み合わせて
適用するとよい。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。また、各特性値は下
記の方法によって測定した。
【0038】 (1)厚みフィルムの重量を測定し、ポリエステルの密
度より算出する。
【0039】(2)塗布層の厚み 塗布液の1m2当りの塗布量と固形分濃度より算出す
る。
【0040】(3)耐溶剤性 塗布層表面にメチルエチルケトンを滴下し、ガーゼにて
擦過させ表面の状態を顕微鏡により観察し以下のように
評価した。この耐溶剤性は塗膜の架橋状態を判定する評
価方法である。 ○;変化無し △;擦過傷有り ×;塗膜の脱落有り
【0041】(4)接着性 フィルムの易接着性層の反対面に「背面層」を形成さ
せ、その後「インキ層」を易接着性層面に形成させ、昇
華型感熱転写材を作成した。その昇華型感熱転写材を用
いて昇華型感熱転写記録方式デジタルカラープリンター
(ソニー(株)製商品「UP−D70A」)でA4サイ
ズの受像紙の中央に幅15cm、長さ25cmのベタ印
字を行った。インキ層の過転写の状態を目視観察し以下
のように評価した。 ○;インキ層の過転写が全くない △;インキ層の過転写が1%未満 ×;インキ層の過転写が1%以上10%未満 ××;インキ層の過転写が10%以上 <背面層塗液の組成>アミノ変性シリコーン 3重量
%、エポキシ変性シリコーン 2重量%、溶媒(エタノ
ール/イソプロピルアルコール=1/1) 95重量% (乾燥状態で0.5g/m2になるよう塗布し、80
℃、1分で乾燥させる。) <インキ層塗液の組成>KST−B−136(昇華性染
料 日本化薬(株)製、商品名) 4重量%、ポリビニ
ルアセトアセタール 積水化学工業(株)製、商品名)
6重量%、溶媒(メチルエチルケトン/トルエン=1
/1) 90重量% (乾燥状態で1g/m2になるよう塗布し、80℃、1
分で乾燥させる。)
【0042】(5)ガラス転移点 パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)を用
いて測定した。測定方法は次の通りである。試料10m
gをDSC装置にセットし、300℃の温度で5分間溶
融した後、液体窒素中で急冷する。この急冷試料を10
℃/分で昇温させ、ガラス転移点を検知する。
【0043】[実施例1、比較例1、2]25℃のo−
クロロフェノール中で測定した極限粘度0.61のポリ
エチレンテレフタレート(滑剤含有、ガラス転移温度7
8℃)をTダイから押出し、これを約40℃に維持して
ある回転冷却ドラム上で静電印加しつつ急冷して未延伸
フィルムを得た。次いで該未延伸フィルムを115℃に
て長手方向に4.2倍延伸して一軸延伸フィルムを得
た。この一軸延伸フィルムの片面に、表1記載の固形分
濃度4重量%の塗布液をキスコート法にて2g/m2
工した。次に115℃で幅方向に3.8倍に延伸し22
0℃で固定長の緊張熱処理を行い、210℃で幅方向に
2%伸長させながら再熱処理を行い、厚みが4.5μm
の二軸配向のポリエステルフィルムを得た。フィルム物
性を表2に示す。
【0044】[実施例2]25℃のo−クロロフェノー
ル中で測定した極限粘度0.63のポリエチレン−2,
6−ナフタレート(滑剤含有、ガラス転移温度121
℃)をTダイから押出し、これを約40℃に維持してあ
る回転冷却ドラム上で静電印加しつつ急冷して未延伸フ
ィルムを得た。次いで該未延伸フィルムを135℃にて
長手方向に4.5倍延伸して一軸延伸フィルムを得た。
この一軸延伸フィルムの片面に、表1記載の固形分濃度
4重量%の塗布液をキスコート法にて2g/m2塗工し
た。次に140℃で幅方向に4.0倍に延伸し235℃
で固定長の緊張熱処理を行い、230℃で幅方向に2%
伸長させながら再熱処理を行い、厚みが2.5μmの二
軸配向のポリエステルフィルムを得た。フィルム物性を
表2に示す。
【0045】[比較例3]易接着性層の塗工を行わない
以外、実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリエス
テルフィルムを得た。フィルム物性を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1の樹脂の組成は以下の通りである。 アクリルA:メチルメタクリレート75モル%/エチル
アクリレート20モル%/アクリル酸5モル%で構成さ
れている。 アクリルB:メチルメタクリレート75モル%/エチル
アクリレート25モル%で構成されている。 ポリエステルA:テレフタル酸66モル%/イソフタル
酸22モル%/トリメリット酸4モル%/5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸8モル%/エチレングリコール9
0モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成され
ている。 ポリエステルB:テレフタル酸70モル%/イソフタル
酸22モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸8モ
ル%/エチレングリコール90モル%/ジエチレングリ
コール10モル%で構成されている。 架橋剤:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)
シクロヘキサン 濡れ剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテ
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】本発明の易接着性ポリエステルフィルム
は昇華型感熱転写方式印刷用のインキ層とフィルムとの
接着性が良好であり、優れた画像を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 133/00 C09J 133/00 4J040 167/00 167/00 // B29K 33:00 B29K 33:00 67:00 67:00 B29L 9:00 B29L 9:00 C08L 67:02 C08L 67:02 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB24 AB35 AB52 BA01 CA01 EA01 4F071 AA44 AF58 BB06 BB07 BC01 4F210 AA20 AA24 AA26 AB03 AC05 AD11 AE10 AG03 QA02 QA03 QC06 QD08 QG01 QG15 QG18 QW11 QW14 QW17 4J004 AA02 AA10 AA15 AA17 CA06 CC02 FA10 4J031 AA20 AA49 AA50 AB04 AC05 AC08 AC09 AD01 AE03 AF10 AF23 AF28 4J040 DF041 DF042 DF051 DF052 DF061 DF062 ED041 ED042 ED121 ED122 GA05 GA07 GA11 GA19 JA09 JB02 KA16 NA21

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶配向が完了する前のポリエステルフ
    ィルムの片面または両面に、反応性基を有するアクリル
    樹脂(A)、反応性基を有するポリエステル樹脂(B)
    および架橋剤(C)を含む塗液を塗布し、乾燥、延伸そ
    して熱処理して易接着性層を形成した易接着性ポリエス
    テルフィルム。
  2. 【請求項2】 反応性基を有するアクリル樹脂(A)、
    反応性基を有するポリエステル樹脂(B)および架橋剤
    (C)が架橋構造を形成している請求項1記載の易接着
    性ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 アクリル樹脂(A)およびポリエステル
    樹脂(B)の反応性基が、それぞれ、カルボキシル基、
    水酸基、アミノ基、エポキシ基およびオキサゾリン基か
    ら選ばれる一種以上である請求項1記載の易接着性ポリ
    エステルフィルム。
  4. 【請求項4】 反応性基を有するアクリル樹脂(A)、
    反応性基を有するポリエステル樹脂(B)および架橋剤
    (C)の割合が、下記式(1)および(2)を満足する
    請求項1記載の易接着性ポリエステルフィルム。 0.2≦A/B≦5 (1) 4≦(A+B)/C≦200 (2)
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムがポリエチレンテ
    レフタレートを主体とするフィルムである請求項1記載
    の易接着性ポリエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルフィルムがポリエチレン−
    2,6−ナフタレートを主体とするフィルムである請求
    項1記載の易接着性ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017088635A (ja) * 2015-10-31 2017-05-25 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2021115851A (ja) * 2020-01-29 2021-08-10 ダイニック株式会社 昇華性染料受像層を有するオーバーシート及びそれを用いたカード

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