JPH11240256A - 感熱転写用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

感熱転写用二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH11240256A
JPH11240256A JP10341701A JP34170198A JPH11240256A JP H11240256 A JPH11240256 A JP H11240256A JP 10341701 A JP10341701 A JP 10341701A JP 34170198 A JP34170198 A JP 34170198A JP H11240256 A JPH11240256 A JP H11240256A
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JP
Japan
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film
thickness
polyester film
stretching
coating
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JP10341701A
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English (en)
Inventor
Shigehiro Masuda
成裕 増田
Shigeyuki Watanabe
重之 渡辺
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濃度変動の少ない色調再現性の良好な印刷を
行うことができるインクリボンを製造するのに適した感
熱転写用二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 水溶性または水分散性の有機高分子化合
物を含む塗液を、配向結晶化が完了する前のポリエステ
ルフィルムの少なくとも片面に塗布し、ついで乾燥・延
伸・熱処理を施して得られる厚み20μm以下の塗布フ
ィルムであって、当該塗布フィルムの長手方向の任意の
15m長区間における厚さムラが10%以下である二軸
配向ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱転写用二軸配
向ポリエステルフィルムに関する。より詳しくは、本発
明は、印刷時の濃度ムラの少ない、高精細な画像を与え
ることができる感熱転写用二軸配向ポリエステルフィル
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】感熱転写方式のインクリボンは、溶融型
・昇華型共に、ベースとなるポリエステルフィルムの片
面にインク層を有しており、転写時には、フィルムを、
インク層とは反対の面からサーマルヘッド等で加熱し、
この熱をインク層に伝えることによってインクを溶融あ
るいは昇華させて選択的に被転写体に転写させる。この
時、反対面に加えられた熱は、フィルムの厚み方向を貫
通する形で伝わり、インク層まで到達する。したがっ
て、フィルムの厚みが厚ければ熱が伝わり難く、逆に薄
ければ熱が伝わりやすい。すなわち、フィルムに厚み変
動があると、厚い部分では印字濃度が薄くなり、薄い部
分では印字濃度が濃くなる現象が生じる。この現象は、
文字や単純なカラー画像等の画質を問わない用途であれ
ば問題は少ない。しかしながら、感熱転写方式の印刷
は、最近のパーソナルコンピューターやデジタルカメラ
等の普及に伴い、画像の高画質化の傾向が顕著であり、
特に写真画像を印刷するような高精細なフルカラー印刷
が必要な場合、インクリボンのベースフィルムの厚さ変
動による印字濃度変動が、画像の色調を不本意に変えて
しまったり、色調の再現性をなくしてしまったりするな
どの不具合となり、極めて大きな問題となっている。
【0003】ところで感熱転写用インクリボンのベース
フィルムとして汎用されているポリエステルフィルム
は、その表面に感熱転写用としての特殊な機能を付与す
るためにコーティングを施されているものがある。この
コーティングは、一般に、水を媒体とした有機高分子化
合物を含む塗液をフィルムに塗布した後、乾燥・延伸・
結晶化を行う、いわゆるインラインコーティングにより
適用されている。インラインコーティングには、たとえ
ば縦延伸を終えたフィルムに水を媒体とした塗液を塗布
し、次の横延伸工程の予熱ゾーンを利用して乾燥を行う
方法が、工程の簡便さおよび熱効率の点で好ましく、広
く用いられている。
【0004】このようなインラインコーティングプロセ
スでは、水を多量に含む塗液をポリエステルフィルムの
上に塗布するため、フィルムの延伸のために与えられた
熱量は、まず先に水の蒸発潜熱により奪われてしまう。
そして塗液の水分が十分に蒸発した後に、フィルムの温
度が上昇することになるため、インラインコーティング
を施さない場合と比べて、フィルムの温度ムラが生じや
すく、その結果、フィルムの厚み変動が大きくなる。
【0005】さらに感熱転写用として比較的薄いフィル
ムを生産する場合には、フィルムの厚みに対する塗液の
厚みの比率、すなわちポリエステル量に対する水分量の
比率が必然的に大きくなり、前述したフィルムの厚み変
動は一層顕著なものとなる。インラインコーティングを
施さないポリエステルフィルムの厚み変動を抑える技術
としては、たとえばポリエチレンナフタレートフィルム
に関する改良(特開昭63−60730号公報、特開昭
63−60731号公報、特開昭63−60732号公
報)、ポリエステル系収縮フィルムに関する改良(特開
昭63−146940号公報)、口金周辺の音圧レベル
を一定値以下とする製造方法(特開昭63−16221
5号公報)、厚さムラの波形をフーリエ変換した際のス
ペクトル強度和の比を規定した技術(特願平9−254
254号公報)などが知られているが、インラインコー
ティングが施されていて、しかも厚さ変動の少ないポリ
エステルフィルム、およびそれを製造する技術に関して
は、従来知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、濃度変動の
少ない色調再現性の良好な印刷を行うことができる感熱
転写用インクリボンを提供するベースフィルムを提供す
ることを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の厚さ変動の領域
にあるポリエステルフィルムを用いて感熱転写用インク
リボンを製造したならば、高精細なフルカラー印刷を行
っても、印字濃度変動が少なくなることを見いだし、本
発明を完成する至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、水溶性または
水分散性の有機高分子化合物を含む塗液を、配向結晶化
が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面
に塗布し、ついで乾燥・延伸・熱処理を施して得られる
厚み20μm以下の塗布フィルムであって、当該塗布フ
ィルムの長手方向の任意の15m長区間における厚さム
ラが10%以下である感熱転写用二軸配向ポリエステル
フィルムに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリエステルフィ
ルムのポリエステルとは、その繰り返し単位の80モル
%以上、好ましくは90モル%以上が、エチレンテレフ
タレート、あるいはエチレン−2、6−ナフタレート、
およびシクロヘキサンジメチレンテレフタレートの少な
くとも一種に由来する繰り返し単位であるものを指す。
上記繰り返し単位の割合が80モル%以上であれば、他
の繰り返し単位を含むコポリエステルであってもよい。
他の繰り返し単位を形成する共重合成分の例には、グリ
コール成分としてエチレングリコール、プロピレンング
リコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘ
キサンジメチレングリコール、ポリアルキレングリコー
ル等のジオール成分など、ジカルボン酸成分としてテレ
フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、アジピン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン
酸などが挙げられる。各種ポリエステルの中でも、品質
・経済性を総合的に考慮すると、ポリエチレンテレフタ
レートが最も好ましい。
【0010】本発明で用いるポリエステルフィルムは、
必要に応じて無機粒子・有機系潤滑剤・帯電防止剤・安
定剤・染料・顔料・有機高分子等を添加成分として含有
していてもよい。特に、転写記録画像の光沢調整のた
め、あるいはポリエステルフィルムの製造時やインクリ
ボンにした際の走行性を改良するために、無機粒子や有
機粒子をポリエステルフィルムに含有させ、ポリエステ
ルフィルムの表面を粗面化することが好ましい。フィル
ムの平均表面粗さを0.03〜0.2μm、さらには
0.04〜0.1μmとした場合に、走行性と高精細な
画像を得ることが両立できて特に好ましい。
【0011】また、製造途中で発生するフィルムのスク
ラップをリサイクル使用するときに、後述するフィルム
表面のコート層成分が混入しても構わない。本発明で用
いるポリエステルフィルムは、フェノール/テトラクロ
ルエタン混合溶媒(重量比50/50)中30℃で測定
した場合、0.45〜1.20dl/g、より好ましく
は0.50〜0.80dl/gの範囲の固有粘度を有す
ることが、製膜時の連続性維持のためと、厚さムラを特
定の範囲内とするために好ましい。
【0012】本発明のポリエステルフィルムは、感熱転
写材のベースフィルムとして用いるので、その機械的強
度、熱伝導性あるいは感熱転写材の製造時の操作性等が
良好であることが必要である。とりわけ、高精細な画像
を得るために、(塗布フィルムの)総厚みは20μm以
下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下
である。総厚みの下限は、通常0.5μm、好ましくは
1μmである。
【0013】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、フィルムの長手方向およびこれと垂直方向(幅方
向)に二軸延伸されて配向しているフィルムであり、未
延伸の状態あるいは一軸延伸フィルムでは、機械的強度
や寸法安定性が劣り、高精細な転写画像を得ることがで
きない。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、水
溶性または水分散性の有機高分子化合物を含む塗液を、
配向結晶化が完了する前のフィルムの少なくとも片面に
塗布し、ついで乾燥・延伸・熱処理を施して得られる塗
布フィルムである。
【0014】水溶性有機高分子化合物としては、冷水ま
たは温水に可溶であるか、あるいはpHを調整すれば可
溶化するものが好ましく、具体的には、ポリアルキレン
グリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、
ポリメタアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニル
ピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチン、カゼ
イン、デキストラン、セルロースなどや、これらの誘導
体を挙げることができる。
【0015】水分散性の有機高分子化合物としては、水
中で安定に微分散できるものが好ましく、具体的には、
サスペンジョン平均粒径の範囲は、0.001〜50μ
mであることが好ましく、安定性は25℃で3時間放置
した後のサスペンジョン平均粒径の変化率が±10%以
内であることが好ましい。有機高分子化合物の微分散液
は、もともと乳化重合で作られた分散液、機械的な剪断
を強くかけて分散する方法、有機高分子分化合物溶液に
水を加えた後に溶剤を留去する方法等を用いて調製した
分散液であってよく、有機高分子化合物を水に分散させ
るために、分散剤を使用することもできる。
【0016】水に微分散が可能な有機高分子化合物とし
て、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、
ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアク
リル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリ酪酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ
デン、芳香族または脂肪族ポリエステル、芳香族または
脂肪族ポリアミド、芳香族または脂肪族ポリウレタン、
芳香族または脂肪族ポリエーテル、芳香族または脂肪族
ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリールケトン、
芳香族または脂肪族エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、シアネート樹脂、ポリフルオロ
エチレン、ポリオルガノシロキサン、天然または合成ワ
ックス、ポリアミノ酸などの化合物、およびこれらの誘
導体を挙げることができる。
【0017】これらの有機高分子化合物は、ホモポリマ
ーであってもよいし、2種以上の繰り返し単位を含むラ
ンダムあるいはブロックあるいはグラフトコポリマーで
あってもよい。さらに、初めから目的の有機高分子化合
物を水中に存在させるだけでなく、反応性モノマーある
いはポリマーを共存あるいは存在させて、塗布を行った
後に架橋反応あるいは重合反応を行うことも可能である
し、この際には触媒を併用してもよい。
【0018】本発明においては、二軸延伸ポリエステル
フィルムに塗布する塗液には、上述の有機高分子化合物
のほかに、例えば無機微粒子、帯電防止剤、防カビ剤、
酸化防止剤、安定剤等の添加剤を必要に応じた量で添加
することができる。本発明における有機高分子化合物を
含む塗液の媒体は、水であることが好ましいが、有機高
分子化合物を分散するため、あるいは塗膜の可撓性(延
伸時の追従性)を改善するために、水に可溶な有機溶媒
を併用することができる。ただしこの場合、その濃度の
上限は、用いる有機溶媒の大気中での濃度が爆発限界以
下となるように設定するのが好ましい。
【0019】上述した有機高分子化合物を含む塗液は、
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布される
が、この塗布工程は、ポリエステルフィルムの製造工程
内で行う必要がある。すなわち、ポリエステル未延伸フ
ィルムに塗布し、逐次あるいは同時に二軸延伸する方
法、一軸延伸されたポリエステルフィルムに塗布し、さ
らにこの一軸延伸方向と直角の方向に延伸する方法、あ
るいは二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布し、さらに
横および/または縦方向に延伸する方法を用いる必要が
ある。これらの中でも特に、一軸延伸後のポリエステル
フィルムに塗布する方法が、フィルムの厚さ変動を抑
え、しかも生産性を損なわないため、最も好ましい方法
である。上述した塗布液をポリエステルフィルムに塗布
するには、通常の塗布装置、例えば、リバースロールコ
ーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアード
クタコーター等を用いることができる。
【0020】上述した有機高分子化合物を含むコート層
は、 1)ポリエステルフィルムとインク層との中間層とし
て、 a)昇華転写用インク層バインダーとの接着性改良 b)溶融転写用インクとの接着性改良・離型性改良; 2)ポリエステルフィルムと背面層との中間層として、 インクリボン背面層との接着性改良; 3)インクリボン背面層そのものとして、あるいは 4)インクリボンに帯電防止性能を付加する 等の目的で、設けられるものである。
【0021】本発明の感熱転写用二軸配向ポリエステル
フィルムは、長手方向の任意の15m長区間で、厚さム
ラが10%以下であることが必要である。この厚さムラ
は、フィルムの長手方向に任意の15m長区間を設定し
た時に、その区間での最大厚みと最小厚みとの差を、フ
ィルムの平均厚みで除した値である。厚さムラが10%
を越える場合には、これをベースフィルムとして用いた
インクリボンで高精細なフルカラー画像を印刷した時
に、濃度変動による色調の差が目視でも分かるようにな
り、画像品位が損なわれる結果となる。厚さムラの範囲
は7%以下が好ましく、さらに5%以下であるならば、
色調の差はほとんど問題にならないレベルとなる。下限
は0%となることが本来理想であるが、様々な要因で、
通常は2%程度が限界となることが多い。
【0022】一方、幅方向に関しても厚さムラが少ない
ことが好ましいが、ほとんどの場合、幅方向には通常1
5mの有効幅を取ることができないため、測定長を3m
として厚さムラを測定する。このとき幅方向の厚さムラ
も、10%以下、さらに7%以下、特に5%以下である
ことが好ましい。本発明の感熱転写用二軸配向ポリエス
テルフィルムは、水溶性または水分散性の有機高分子化
合物を含む塗液を配向結晶化が完了する前に塗布し、つ
いで乾燥・延伸・熱処理を施す、いわゆるインラインコ
ーティングを用いて積層したフィルムであり、しかも長
手方向の厚さムラが小さいことが必要である。ところが
前述したように、上記インラインコーティングプロセス
を行った場合、水を多量に含む塗液をポリエステルフィ
ルムの上に塗布することが原因で、インラインコーティ
ングを施さない場合と比べて、その後の延伸工程でフィ
ルムの温度ムラを生じやすく、この結果フィルムの厚み
変動が大きくなる問題が存在する。
【0023】本発明者らは、この問題を解決すべくさら
に鋭意検討を行ったところ、基材のベースフィルムの振
動が原因で、流動性の残っている塗膜が不均一な厚み分
布となり、この結果、乾燥→予熱→横延伸と続く工程中
にベースフィルムの温度分布も不均一となって、これが
長手方向の厚さ変動に極めて大きな影響を及ぼすことが
要因であるとの結論に到達した。すなわち、この振動を
少なくするか、あるいは振動があってもその影響を受け
難くすることで、ポリエステルフィルムの長手方向の厚
さ変動を抑えられることが判明した。
【0024】塗液をコートした後、乾燥工程に供されて
から塗液中の水分が十分に蒸発する(塗膜中の水分量で
1重量%を目安とする)までの間(以後、乾燥区間と略
称する)に、フィルムに発生する振動の多くの部分は、
テンタークリップでフイルムの耳部を把持する際に発生
する衝撃によるもの、およびテンターでの熱風の吹き出
しでフィルムが煽られることによるものである。これら
の振動を少なくするためには、例えば、テンターでの熱
風をインバーター制御として脈動を抑える方法、熱風の
風量自体を下げる方法、フィルムが加熱されることによ
り膨張する分だけクリップ幅を徐々に広げて、両端をク
リップで把持されたフィルムの中央に弛みを生じさせな
い方法、テンタークリップがフィルムの耳を把持する際
に、衝撃が少なくなるようにクリップに緩衝材を用いる
方法などを採用することができる。また、振動があって
もその影響を受け難くするために、乾燥区間において、
コーターからテンタークリップでフィルムの耳を把持す
る箇所までの距離をできるだけ短くして、振動の振幅を
小さく抑える方法、片面塗布の場合には、乾燥区間にお
いて塗布面とは反対のフィルム面に、駆動あるいはフリ
ーロールを単独であるいは複数個接触させて、振動の伝
搬を短い区間で遮断する方法などを用いることができ
る。もちろんこれらの2つ以上の方法を併用することも
可能である。
【0025】上記のような方法を採用することにより、
乾燥区間内のフィルムの振動、特に振幅が大きな振動を
抑えることで、結果として二軸配向・熱固定が施された
フィルムにおける長手方向の厚さムラの発生を小さく抑
えることができる。この際に、乾燥区間の振動によるフ
ィルムの振幅は、テンターの幅、フィルムの厚み、塗布
厚みにもよるが、最大でも5cm以下、さらには3cm
以下とするのが好ましい。
【0026】本発明においては、インラインコーティン
グに起因する厚さムラの上記防止方法のほかに、公知の
厚さムラ防止方法を併用できる。本発明者らの経験によ
れば、フィルムの厚さムラは、最も不良となるプロセス
に足を引きずられて、そのレベルが決まってしまう傾向
にある。したがって、本発明によってインラインコーテ
ィングプロセスは改善できたとしても、それだけでは必
ずしも十分とは言えず、総合的な対策が必要となる。
【0027】以下、本発明のフィルムを得るために好ま
しく用いることのできるプロセスの好ましい態様を説明
するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。ポ
リエステル原料の溶融押し出しを行う際には、吐出の脈
動を押さえる目的で、押し出し機のメルトラインにギヤ
ーポンプを設置するのが好ましい。このほか、溶融ポリ
エステルのメルトラインでの温度分布を均一化させるた
め、スタティックミキサーを設置するのも好ましい。
【0028】溶融ポリエステルをキャスティングして固
化させ、未延伸フィルムを得るプロセスには、いわゆる
静電密着法を用いるのが好ましい。静電密着法は、電極
として、エッジ部の厚みが50μm以下のアモルファス
金属電極(特開平1−152031号公報参照)や、電
気絶縁体の少なくとも片面に厚さ0.01〜10μmの
導電性薄膜を設けてなる積層ブレード電極(特開平1−
156036号公報参照)など用いて、溶融ポリエステ
ルを効果的に冷却ドラムへ密着させつつ行うことが好ま
しい。静電密着法を有効に行うため、原料として用いる
ポリエステルの溶融時の比抵抗を1×1010Ω・cm以
下、さらには1×109〜1×106Ω・cmの範囲とす
ることが好ましい。また同じ目的で、特開昭57−19
0040号公報、特開昭58−225123号公報、特
開昭59−91121号公報、特開昭59−17254
2号公報、特開昭59−182840号公報、特開昭5
9−229314号公報、特開昭60−141751号
公報、特開昭60−248737号公報、特開昭62−
218416号公報、特開昭62−236722号公
報、特開昭62−236722号公報などに記載されて
いる方法も用いることもできる。さらに、溶融ポリエス
テルを口金から吐出する際には、口金スリット間隙/冷
却固化した未延伸フィルムの厚みの比を5〜20、さら
には8〜15に調節すれば、未延伸フィルムの厚さムラ
を少なくすることができて好ましい。上記手法のほか、
冷却ドラムの回転ムラを極力小さくすること、風等を遮
ることで、キャスティング時の溶融ポリエステルをでき
るだけ振動させないで冷却ドラムへ密着させる等の処方
も用いることができる。これらの方法を採用し、シート
状の溶融ポリエステルが冷却ドラムに接地する際に、冷
却ドラム上に幅方向に広がる線状の接地部(以後、接地
ラインと略称する)のゆらぎの幅が、有効製品幅に相当
する領域で、1mm以下、さらに0.5mm以下となる
ようにするのが好ましい。
【0029】キャスティング工程で未延伸フィルムとし
たポリエステルは、次にロール延伸法を用いた縦延伸を
行うのが好ましい。この時に用いる延伸条件は、用いる
ポリエステルの組成によって異なるが、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)の場合を例にとると、90〜1
10℃の温度範囲で延伸倍率2.0〜3.0倍の1段目
の延伸を行った後、70〜90℃の温度範囲で延伸倍率
1.2〜2.0倍の2段目の延伸を行うというように、
縦延伸を2段階に分けて実施し、しかも2段目の延伸温
度を1段目よりも低く設定することが好ましい。またこ
の際には、各々の延伸段階において、低速ロールおよび
高速ロール上の延伸区間で、塑性変形が開始する位置お
よび終了する位置のゆらぎが発生しないように、適切な
位置にニップロールあるいは静電密着法を用いて、各ロ
ールにフィルムを押さえ付けながら行うことが好まし
い。
【0030】縦延伸を終えた一軸配向フィルムは、前述
したインラインコーティングの工程に供される。この
後、テンターで横延伸を行うが、横延伸の条件も縦延伸
と同様に、用いるポリエステルの組成によって異なる。
PETを例にとれば、85℃〜130℃の温度範囲で
3.0〜5.0倍に延伸倍率を設定することができる。
この際に、テンター内でフィルムを加熱・冷却するため
の空気の吹き出しは、インバーター制御を行って脈動を
極力抑えるのが好ましく、また、特開平5−30128
4号公報に記載されているように、吹き出し口の角度を
経時的に変化させて、幅方向の厚さムラを改善する方法
も採用できる。
【0031】横延伸を終えた二軸配向フィルムは、さら
に再縦延伸および/または再横延伸を行うことも可能で
あるが、再縦延伸はロール延伸法で、再横延伸はテンタ
ー法でそれぞれ行うのが好ましく、これらの際には前述
したロール延伸法およびテンター延伸法で用いた厚さム
ラ対策と同様の方法を用いることができる。延伸工程を
すべて終了した二軸配向フィルムは、次に熱固定工程へ
供される。熱固定にはテンター法を用いるのが好ましい
が、この際にも横延伸と同様の厚さムラ対策を行うこと
ができる。熱固定の際、好ましくは、温度は180〜2
45℃の範囲で、時間は0.5〜60秒の範囲である。
また熱固定の際には、幅方向の熱収縮率を改善する目的
で、最高到達温度領域および/または冷却領域におい
て、幅方向に1〜10%の弛緩処理を行うことも可能で
ある。
【0032】かくして得られた二軸配向ポリエステルフ
ィルムは、長手方向および幅方向の破断強度が、いずれ
も25kgf/mm2 以上で、かつ180℃3分間にお
ける収縮率が、長手方向および幅方向共に5%以下とな
ることが好ましい。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。なお実施例中の
「部」または「%」は、特に断りのない限り、「重量
部」または「重量%」である。
【0034】特性の測定方法および効果の評価方法は以
下のとおりである。 (1)フィルム厚み 「フィルム厚み」として、ベースフィルムおよび有機高
分子化合物を含む塗布層の積層体の総厚みを、マイクロ
メーターを用いて測定した。 (2)フィルムの厚さムラ アンリツ株式会社製連続フィルム厚さ測定器(電子マイ
クロメーター使用)により、長手方向は二軸配向フィル
ムの15m長区間を、幅方向は3m長区間を、それぞれ
無作為に20区間抽出した。それぞれのサンプル毎に最
大厚み(μm)および最小厚み(μm)を測定し、さら
にその区間での平均厚み(μm)から以下の式に従って
厚さムラを算出し、最も大きな値を、そのサンプルの厚
さムラとした。
【0035】
【数1】厚さムラ(%)={(最大厚み−最小厚み)÷
平均厚み}×100
【0036】なお、ここで用いた平均厚みは、測定した
サンプルの面積、重量および密度から算出したした値で
あり、このとき密度は、ポリエチレンテレフタレートで
は1.397、ポリエチレンナフタレートでは1.35
4、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートでは
1.270を用いた。
【0037】(3)平均表面粗さ 平均表面粗さは、ポリエステルベースフィルムの表面粗
さを測定した。塗布層が片面のみの場合には反塗布面の
表面粗さを、両面塗布の場合にはMEKやアセトン等を
用いて表面形状が変わらないように注意深く塗布層を剥
がして現われた表面での粗さを測定を行った。測定は、
マイクロマップ社製2光束干渉式非接触表面形状計測シ
ステム(Micromap 512。対物レンズ20倍)を使用して
行い、SRaを測定した。測定は20視野について行
い、平均値を平均表面粗さとした。
【0038】(4)ポリエステルフィルムの固有粘度 ポリエステルフィルムの固有粘度は、塗布層をMEKや
アセトン等の有機溶剤を用いて完全に除去した後、十分
に乾燥したフィルムを用いて、フェノール/テトラクロ
ルエタン混合溶媒(50/50重量)に溶解させて、3
0℃の温度下で測定した。 (5)サスペンジョンの平均粒径 有機高分子化合物を含むサスペンジョンについて、日機
装社製粒度分析計UPA9340(レーザードップラー
/周波数解析方式)を用いて、粒度分布を測定し、平均
粒径を算出した。
【0039】(6)印刷画像の濃度変動の程度 片面にインク易接着塗布層を有する二軸配向ポリエステ
ルサンプルの塗布層面に、昇華性インク層を形成し、反
対面に背面層をコートして、インクリボンを作成した。
コーディングが施されていないフィルムの場合には、任
意の面にインク層を付与して、反対面に背面層をコート
した。下記に示した組成の昇華性インクビヒクルおよび
背面層ビヒクルを、各々乾燥した後に1g/m2の塗布
量となるように、グラビアコートで順次塗布した後、乾
燥し、裁断して、インクリボンを作成した。
【0040】 インクおよび背面層ビヒクルの組成 イエロー: マイクレックスイエロー6G (バイエル社製) 2部 ポリビニルアセトアセタール KS−5D (積水化学社製) 3部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 95部 マゼンダ: バイミクロンVPSN2670 (バイエル社製) 3部 ポリビニルアセトアセタール KS−5D (積水化学社製) 4部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 93部 シアン: カヤセットブルー714 (日本化薬社製) 4部 ポリビニルアセトアセタールKS−5D (積水化学社製) 4部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 92部 背面層: ポリビニルブチラール,エスレックBX−1(積水化学社製) 2部 ポリイソシアネート バーノック D750-45(大日本インキ社製) 9部 リン酸エステル滑剤プライサーフ A208S(第一工業製薬社製) 2部 タルク,ミクロエースL−1 (日本タルク社製) 0.3部 トルエン/MEK=1/1(重量比) 86.7部
【0041】これらのインクリボンを、市販の昇華転写
型カラープリンターに組み込んで、昇華転写モードでテ
スト印刷を行った。なお印刷紙は、プリンター標準の専
用紙を用いた。テストでは、人の顔写真のデジタルデー
タ(データサイズ約32Mb、A4サイズ画像)を基
に、同じ画像を連続して5枚印刷し、色調の再現性を評
価した。評価は、5枚の画像について、目視で注意深く
全体の色調を比較すること、および東京電色社製カラー
アナライザーTC−1800MKII型を用いて、5枚そ
れぞれについて、肌色部分の同じ個所を測定し、色差の
最大値(ΔE)を求めた。目視での評価の基準は、色調
の再現性について次の3つのランクに分けた。
【0042】 A:画像の色調に、全く差を認められず再現性が良好で
ある B:画像に色調の差が認められるが、よほど注意深く見
ないと認識できない C:画像に色調の差が認められ、一目見て差が認識でき
るランクCは、不適格である。
【0043】(7)フィルムの破断強度 インテスコ社製引張試験機インテスコモデル2001型
を用いて、温度23℃、湿度50%RHに調節された室
内において、長さ50mm、幅15mmの試料フィルム
を、200m/分の速度で引張り、引張応力−ひずみ曲
線より、破断時における荷重(kg)を試験片の元の断
面積(mm2)で除した数値を破断強度とした。 (8)フィルムの熱収縮率 タバイ社製熱風循環式オーブンを用いて、試料フィルム
を180℃で3分間、自由端熱処理を行い、フィルムの
処理前後で縦方向および横方向の寸法変化を%で表し
た。
【0044】実施例1 平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を0.3%含有する
固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレ−トペレッ
トを、十分に加熱乾燥した後、押出機に供給し、290
℃で溶融押出して未延伸フィルムを製造した。この際、
押出機には、異物除去のために10μmカットのフィル
ター、脈動を抑えて計量吐出するためのギヤーポンプを
設置し、かつ、メルトラインには溶融ポリエステルの温
度分布を均一化させるためのスタティックミキサーを設
置した。Tダイよりフィルム状に押出し、これを静電密
着法を用いて表面温度40℃の冷却ドラムに巻きつけて
冷却固化させた。Tダイの口金のスリット間隙は1.1
mmであり、冷却固化した未延伸フィルムの厚みは91
μmであった(スリット間隙/冷却固化した未延伸フィ
ルムの厚みの比は約12.1)。またこの静電密着法で
は、厚さ20μm、幅2mmのコバルト−クロム−モリ
ブデン−カーボンのアモルファス金属ブレードを用い
て、6kVの電圧を印加した。さらにキャスティングを
行うゾーンを小部屋として囲い、空調機等の風による影
響を遮断した。この結果、溶融ポリエステルが冷却ドラ
ムに接地する接地ラインのゆらぎを、有効製品幅全域で
ほぼ0とすることができた。
【0045】得られた未延伸フィルムを、縦延伸工程へ
と導いた。縦延伸はロール延伸法を用いて行い、1段目
の延伸は100℃で延伸倍率2.70倍で行い、さらに
2段目の延伸は87℃で延伸倍率1.60倍で行った。
この際、1段目および2段目の延伸は共に、周速差を利
用して延伸を行う低速ロールと高速ロールには、各々ロ
ールからフィルムが離れる位置、およびロールにフィル
ムが接する位置にニップロールを設置して、延伸区間で
塑性変形が開始する位置および終了する位置のゆらぎが
発生しないようにフィルムをロールに押さえ付けて、行
った。
【0046】得られた一軸延伸フィルムの片面に空気中
でコロナ放電処理を施し、その処理面にグラビアコート
方式で、次に示す組成となるように各成分の水分散液を
混合した混合物を塗布した。水分散液の塗布量は6g/
2 で、水分散液中の固形分量は10重量%とした。
【0047】水分散液組成 ポリエステル系樹脂 40部(固形分比) アクリル系樹脂 40部(固形分比) オキサゾリン系架橋剤 20部(固形分比)
【0048】なお、上記ポリエステル系樹脂の分散液
は、テレフタル酸55モル%、イソフタル酸40モル
%、5−ソジウムスルホイソフタル酸5モル%、エチレ
ングリコール60モル%、ジエチレングリコール13モ
ル%および1,4−ブタンジオール27モル%よりなる
ポリエステル系樹脂水分散体であり、アクリル系樹脂の
分散体は、エチルアクリレート50モル%、イソブチル
メタクリレート35モル%、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート10モル%、メタクリル酸5モル%よりなる
アクリル系樹脂水分散体であり、オキサゾリン系架橋剤
の分散体は、スチレン58.2重量%、アクリル酸ブチ
ル21.8重量%、2−ビニル−2−オキサゾリン20
重量%よりなる重合物水分散体であった。
【0049】この塗布処理の後に、フィルムを乾燥・予
熱工程に導いたが、このとき水分散体が塗布されたフィ
ルムができるだけ振動しないように次の手段を講じた。
まずグラビアコーターとテンター入り口までの間隔(2
m)に、2本のフリーロールを等間隔となるように設置
して、水分散体が塗布してある面とは反対の面に、フィ
ルムの抱き角が2゜となるように接触させた。次にテン
タークリップでフィルムの両端部(耳部)を把持し、イ
ンバーター制御で脈動を抑えた熱風をフィルムに当て
て、水分散体から水分を除去した。この際に塗布層の水
分がなくなるに従って徐々にフィルムの温度が上昇し、
この結果フィルムが熱膨張して中央部が弛む現象が見ら
れた。そこで中央部の弛みがなくなるように、テンター
の奥へ行くほど広くなるようにクリップ幅をわずかに広
げた。
【0050】上記手段を講じることで、塗布液のコータ
ー出口から塗布層の水分が十分に蒸発するまでの乾燥区
間内で、フィルムが受けた振動の最大振幅は、1.5c
mであった。次いで、横方向に105℃で延伸倍率4.
5倍で延伸し、連続したテンター内で、230℃で2秒
間の熱処理を行った。この後、210℃でクリップ幅を
5%縮めて弛緩処理を行い、冷却ゾーンを通過させて、
厚さ0.1μmの塗布層が積層された、総厚み4.5μ
mの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0051】得られたポリエステルフィルムの特性を下
記表1に示す。得られたフィルムは、インラインコーテ
ィングにより昇華性インク易接着層が片面に付与されて
おり、しかも厚さムラの少ないポリエステルフィルムで
あるため、これを用いて作成したインクリボンは、印刷
した時の濃度変動が少ないものであった。
【0052】比較例1 実施例1と同じポリエステル原料を用いて、実施例1と
まったく同様に押し出し、キャスティング、縦延伸およ
びコロナ放電処理を行い、さらに同様の水分散液を同じ
方法で塗布した。この後、実施例1で行った乾燥区間内
のフィルム振動対策のうち、グラビアコーターとテンタ
ー入り口までの間隔に、フリーロール設置を行わずに、
テンタークリップでフィルムの両端部(耳部)を把持し
た。この後、インバーター制御で脈動を抑えた熱風をフ
ィルムに当てて、水分散体の水分の除去を行った。この
際に、テンターの奥へ行くほど広くなるようにクリップ
幅をわずかに広げることをせずに、中央部に弛みができ
た状態で乾燥区間を通過させた。乾燥区間内で、フィル
ムが受けた振動の最大振幅は、7cmであった。
【0053】次いで実施例1とまったく同様に横延伸、
熱固定および幅弛緩を行い、塗布層の厚さ0.1μmの
塗布層が積層された、総厚み4.5μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィル
ムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、インライ
ンコーティングにより昇華性インク易接着層が片面に付
与されているが、厚さムラが多いポリエステルフィルム
であるため、これを用いて作成したインクリボンは、印
刷した時の濃度変動が多く、フルカラー画像の印刷には
不向きであった。
【0054】比較例2 実施例1と同じポリエステル原料を用いて、実施例1と
まったく同様に押し出し、キャスティング、縦延伸およ
びコロナ放電処理を行った。ここで、実施例1で行った
水分散液を塗布することなしに、グラビアコーターを素
通しさせた。この後、比較例1と全く同様に、乾燥区間
内のフィルム振動対策のうち、グラビアコーターとテン
ター入り口までの間隔に、フリーロール設置を行わず
に、テンタークリップでフィルムの両端部(耳部)を把
持した。この後、インバーター制御で脈動を抑えた熱風
をフィルムに当てて搬送した。この際に、テンターの奥
へ行くほど広くなるようにクリップ幅をわずかに広げる
ことをせずに、中央部に弛みができた状態で乾燥区間を
通過させた。乾燥区間内で、フィルムが受けた振動の最
大振幅は、7cmであった。
【0055】次いで実施例1とまったく同様に横延伸、
熱固定および幅弛緩を行い、塗布層を有さない総厚み
4.4μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得
られたポリエステルフィルムの特性を表1に示す。厚さ
ムラのレベルは良好であったが、インラインコーティン
グによる昇華性インク易接着層が付与されておらず、こ
のフィルムを用いて作成したインクリボンでは、インク
層が剥がれてしまい、印刷を行うことができなかった。
【0056】実施例2 平均粒子径1.2μmのシリカ粒子を0.3%含有する
固有粘度0.55のポリエチレンナフタレート(PE
N)ペレットを、十分に加熱乾燥した後、押出機に供給
して305℃で溶融押出して未延伸フィルムとした。こ
の際押出機には、実施例1と同様のフィルター、ギヤー
ポンプ、およびスタティックミキサーが各々設置されて
いる。Tダイよりフィルム状に押出し、得られたフィル
ムを、静電密着法を用いて表面温度60℃の冷却ドラム
に巻きつけて、冷却固化させた。Tダイの口金は、スリ
ット間隙が1.1mmであり、冷却固化した未延伸フィ
ルムの厚みは107μmであった(スリット間隙/冷却
固化した未延伸フィルムの厚みの比は約10.3)。ま
たこの静電密着法では、実施例1と同じアモルファス金
属ブレードを用いて、同じ電圧を印加した。さらに実施
例1と同様に、キャスティング行うゾーンを小部屋とし
て囲い、空調機等の風による影響を遮断した。この結
果、溶融ポリエステルが冷却ドラムに接地する接地ライ
ンのゆらぎを、有効製品幅全域でほぼ0とすることがで
きた。
【0057】この未延伸フィルムを、次に縦延伸工程へ
と導いた。縦延伸は、ロール延伸法を用いて行い、1段
目の延伸は130℃で延伸倍率2.70倍で行った後、
さらに2段目の延伸を123℃で延伸倍率1.80倍で
行った。この際、1段目および2段目の延伸は共に、低
速ロールと高速ロールには、実施例1と同様の位置にニ
ップロールを設置して、延伸区間で塑性変形が開始する
位置および終了する位置のゆらぎが発生しない様に、フ
ィルムをロールに押さえ付けて、行った。
【0058】この一軸延伸フィルムの片面に空気中でコ
ロナ放電処理を施し、その処理面にグラビアコート方式
で、実施例1と全く同じ組成の水分散液を、同じ塗布量
で塗布した。この塗布処理の後に、乾燥・予熱工程に導
いたが、このとき水分散体が塗布されたフィルムができ
るだけ振動しないように、実施例1と全く同様の手段を
講じた。この処方を講じることで、塗布液のコーター出
口から塗布層の水分が十分に蒸発するまでの乾燥区間内
で、フィルムが受けた振動の最大振幅は、1.5cmで
あった。
【0059】次いで、横方向に135℃で4.7倍延伸
し、連続したテンター内で、230℃で2秒間の熱処理
を行った。この後、210℃でクリップ幅を5%縮めて
弛緩処理を行い、冷却ゾーンを通過させて、最終的に厚
さ0.1μmの塗布層が積層された、総厚み4.5μm
の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたポリ
エステルフィルムの特性を表1に示す。PENを用いた
場合においてもPETを用いた実施例1と同様に、得ら
れたフィルムは、インラインコーティングによる昇華性
インク易接着層が片面に付与されており、しかも厚さム
ラの少ないポリエステルフィルムであるため、これを用
いて作成したインクリボンは、印刷した時の濃度変動が
少ないものであった。
【0060】比較例3 実施例2と同じポリエステル原料を用いて、実施例2と
まったく同様に押し出し、キャスティング、縦延伸およ
びコロナ放電処理を行い、さらに同様の水分散液を同じ
方法で塗布した。この後、実施例2で行った乾燥区間内
のフィルム振動対策のうち、グラビアコーターとテンタ
ー入り口までの間隔に、フリーロール設置を行わずに、
テンタークリップでフィルムの両端部(耳部)を把持し
た。この後、インバーター制御で脈動を抑えた熱風をフ
ィルムに当てて、水分散体の水分の除去を行った。この
際に、テンターの奥へ行くほど広くなるようにクリップ
幅をわずかに広げることをせずに、中央部に弛みができ
た状態で乾燥区間を通過させた。乾燥区間内で、フィル
ムが受けた振動の振幅は、最大で7cmであった。
【0061】次いで実施例2とまったく同様に横延伸、
熱固定および幅弛緩を行い、塗布層の厚さ0.1μmの
塗布層が積層された、総厚み4.5μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィル
ムの特性を表1に示す。インラインコーティングによ
り、昇華性インク易接着層が片面に付与されているが、
厚さムラが多いポリエステルフィルムであるため、これ
を用いて作成したインクリボンは、印刷した時の濃度変
動が多く、フルカラー画像の印刷には不向きであった。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】本発明の感熱転写用二軸配向ポリエステ
ルフィルムは、感熱転写用として特殊な機能を付与する
ためのコーティングを有しており、しかもそのコーティ
ングはフイルムの製膜工程中に水を媒体にして施されて
積層されたものであるにもかかわらず、フィルムの厚さ
ムラが少ない。この結果、本発明のフィルムを用いたイ
ンクリボンによれば、濃度変動の少ない色調再現性の良
好な印刷を行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 重之 滋賀県坂田郡山東町井之口347番地 三菱 化学ポリエステルフィルム株式会社中央研 究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性または水分散性の有機高分子化合
    物を含む塗液を、配向結晶化が完了する前のポリエステ
    ルフィルムの少なくとも片面に塗布し、ついで乾燥・延
    伸・熱処理を施して得られる厚み20μm以下の塗布フ
    ィルムであって、当該塗布フィルムの長手方向の任意の
    15m長区間における厚さムラが10%以下であること
    を特徴とする感熱転写用二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012206045A (ja) * 2011-03-30 2012-10-25 Toray Ind Inc 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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