JPH11256352A - 意匠性に優れた金属材料およびその製造方法 - Google Patents

意匠性に優れた金属材料およびその製造方法

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JPH11256352A
JPH11256352A JP5523698A JP5523698A JPH11256352A JP H11256352 A JPH11256352 A JP H11256352A JP 5523698 A JP5523698 A JP 5523698A JP 5523698 A JP5523698 A JP 5523698A JP H11256352 A JPH11256352 A JP H11256352A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属や塗膜さらには化成処理膜などの単一な
物質とは全く異なった質感を有する特異な意匠性を有す
る金属材料および製造方法を提供する。 【解決手段】 明度指数Lが50以下の暗色を地の色
として、その中に平均面積5mm2 以下で明度指数L
60以上の明色部を有し、表面粗さRaが0.5μm以
上である表面を有する金属材料。好ましくは、暗色と明
色の一方もしくは両方を色質指数aが−10以上10
以下、色質指数bが−10以上10以下としたり、物
質色のみならず干渉色も用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋根や壁などの建
築物の内外装材、フェンスやドアノブなどの建材建材金
物、輸送用機器の内外板などに用いられる意匠性に優れ
た金属材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の内外装材は、町並みなど都市景
観を形成する素材であり、人間が外観から受ける質感は
極めて重要な特性である。特に近年、塗装や金属に特有
な人工的な質感でも石材などが有する非人工的な外観で
もない、他に類例のない外観を有する素材が求められつ
つある。
【0003】その一つの試みとして、石材などに比べて
加工性に優れる金属材料に脱鋼材感を付与する技術が提
案されている。例えば、特開平5−147161号公報
には、鋼材に下地処理層、防食被覆層、必要に応じて接
着層を形成した後に、最上層に長さ0.5mm以上の非金
属繊維を植毛する脱鋼材感を有する重防食被覆鋼材とそ
の製造方法が開示されている。また、特開平7−114
52号公報には、ステンレス鋼表面に目付量200g/mm
2 以上の溶融亜鉛めっきを有し、さらに燐酸塩処理によ
り黒灰色に発色させる意匠性に優れたステンレス鋼製屋
根外装材および製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者は植毛塗
膜、後者は化成処理膜の質感であり、鋼材に脱鋼材感を
付与することには成功しているものの、他に類例を見な
い外観を有する素材の開発には至っていない。本発明
は、主に鋼材の表面色の組合わせ方および表面粗さを制
御することで、金属や塗膜さらには化成処理膜などの単
一な物質とは全く異なった質感を有する特異な意匠性を
有する金属材料およびその製造方法を提供することを目
的になされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を要旨とする。 (1) 表面の色調が、明度指数Lが50以下の暗色
を地の色として、その中に平均面積5mm2 以下で明度指
数Lが60以上の明色である部分を有し、かつ、表面
粗さRaが0.5μm以上である表面を有することを特
徴とする意匠性に優れた金属材料。
【0006】(2) 前記明色および暗色の一方もしく
は両方において、色質指数aが−10以上10以下、
かつ、色質指数bが−10以上10以下であることを
特徴とする前項(1)に記載の意匠性に優れた金属材
料。 (3) 前記明色および暗色が、金属表面の物質色、金
属表面に形成した表面処理層の物質色、金属表面に形成
した表面処理層による干渉色のいずれかであることを特
徴とする前項(1)または(2)に記載の意匠性に優れ
た金属材料。 (4) 前記明色が、金属表面の物質色または金属表面
上に形成された表面処理層による干渉色であって、前記
暗色が金属表面上に形成された表面処理層の物質色また
は表面処理層による干渉色であることを特徴とする前項
(3)に記載の意匠性に優れた金属材料。
【0007】(5) 前記明色が、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Alおよびこれらのいずれかを主成分
とする合金の金属表面の物質色であって、前記暗色が、
前記明色を有する金属上に形成した陽極酸化皮膜による
干渉色であることを特徴とする前項(4)に記載の意匠
性に優れた金属材料。 (6) 前記明色が、ステンレス鋼の金属表面の物質色
であって、前記暗色が、前記明色を有するステンレス鋼
上に形成した酸化スケールもしくは黒色クロメート皮膜
の物質色であることを特徴とする前項(4)に記載の意
匠性に優れた金属材料。
【0008】(7) 金属表面上に、表面処理層を形成
した後に、硬質粒子の投射や研磨によって、該表面処理
層を部分的に剥離もしくは薄膜化すると共に、表面粗さ
を調整することを特徴とする前項(4)に記載の意匠性
に優れた金属材料の製造方法。 (8) 金属表面上に、表面処理層を形成した後に、硬
質粒子の投射や研磨によって、該表面処理層を部分的に
剥離して、下地金属を露出させると共に、表面粗さを調
整した後に、再度表面処理を行うことを特徴とする前項
(4)に記載の意匠性に優れた金属材料の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成要素ごとに限
定理由を詳細に述べる。 1)明色および暗色の明度指数L、明色部の平均面
積、表面粗さ 物体の表面を暗色系の色を地として、その中に明度指数
の異なる多数の小区画の作製することにより、単一
な物質とは異なった質感を発現させることができると共
に、意匠性を付与することができる。しかし、地の暗色
と小区画の明度指数Lが近接している場合には、その
効果が不充分でる。従来の塗膜や化成処理とは異なった
質感を出すためには、明度指数Lが50以下の暗色を
地の色として、その中に明度指数Lが60以上の明色
部を形成する必要がある。
【0010】また、明色部の単位区画の面積が大きくな
ると、暗色部と明色部の色を別々のものとして認識でき
るようになるため、単一な物質とは独特な質感を発現さ
せることはできない。充分な効果を発揮するためには、
明色部の単位区画が平均面積で5mm2 以下である必要が
ある。さらに、表面粗さRaが小さいと、表面全体が光
って見えるため、暗色と明色の色の差が際立たず特異な
質感を付与することができない。充分な効果を得るに
は、算術平均粗さRaを0.5μm以上とすることが必
要である。
【0011】2)金属 本発明は、表面状態および外観を規定した金属材料であ
る。金属は、陶器、ガラス、セラミックス、高分子(プ
ラスチック)、ゴム、木材など他の素材とは異なり、一
般に、曲げ、溶接、切断、穴あけなどの加工が容易であ
るため、建築物などの内外装材として好適であり、本発
明の必須要件である。
【0012】3)色質指数a、b 暗色と明色の一方もしくは両方の色質指数aを−10
以上10以下、色質指数bを−10以上10以下とす
ることで、暗色と明色の一方もしくは両方を無彩色に近
づけることができ、さらに特異な質感を得ることが可能
である。したがって、明度指数L、明色部の大きさ、
表面粗さの制御だけで、所定の効果が得られない場合に
は、暗色と明色の一方もしくは両方の色質指数をa
−10以上10以下、bが−10以上10以下にする
ことが好ましい。
【0013】尚、本発明でいう明度指数L、色質指数
、bとは、JIS Z8729に規定されている
表色系の色の表し方の定義によるものであ
り、光源としては同規格に示されている2度視野XYZ
系による場合のD65を用いた際のものとする。
【0014】4)干渉色 暗色と明色の一方もしくは両方に表面処理層による干渉
色を用いることで、上述した色彩の混合による特異な質
感に加え、干渉色が持つ金属的な質感を付与することが
できる。
【0015】5)表面処理層 暗色の地の中に明色の小区画を描く方法は、多種多様な
ものが考えられる。例えば、象嵌のように、金属の表面
に異種の金属や陶器などの小片を埋め込む技術は、古く
から工芸品で用いられている装飾技術である。また、蒔
絵のように漆に金や銀をまぶし、最後に表層から軽く研
磨することで、漆の暗色のなかに金や銀の明色を作製す
る方法も知られている。しかし、これらの技術は工業製
品としての大量生産には不向きである。
【0016】そこで、安価に大量に必要とする際には、
暗色として金属表面に化成処理、めっき、塗装、高温酸
化処理、陽極酸化処理、酸洗処理、腐食、溶射処理、ド
ライコーティング処理や侵炭・脱炭処理などにより作製
した表面処理層の物質色もしくはその表面処理層による
干渉色を、また明色として金属の物質色もしくは金属表
面に化成処理、めっき、塗装、高温酸化処理、陽極酸化
処理、酸洗処理、腐食、溶射処理、ドライコーティング
処理や侵炭・脱炭処理などにより作製した表面処理層に
よる干渉色を用いることが可能である。
【0017】6)下地金属 本発明は、表面状態および外観を規定した金属材料であ
り、金属の種類や組成を必ずしも規定するものではな
い。しかし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al
およびこれらのいずれかを主成分とする合金の表面に干
渉色を有する陽極酸化皮膜による干渉色を暗色として、
下地金属の物質色を明色とすることで、耐食性を付与す
ることができ、さらに、これら金属および合金の陽極酸
化皮膜は、可視光の吸収がほとんどないため、澄んだ色
調の独特な質感を得ることができる。また、ステンレス
鋼表面に形成した酸化スケールもしくは黒色クロメート
皮膜の物質色を暗色として、皮膜下地金属の物質色を明
色とすることで、特異な質感のみならず、安価で耐食
性、加工性、溶接性、切削性、穴あけ性に優れた材料を
得ることができる。
【0018】7)製造方法 前記(7)および(8)は、意匠性に優れた金属材料の
製造方法を規定したものである。まず、はじめに金属の
表面に表面処理層を形成し、硬質粒子の投射や研磨によ
って、表面処理層を部分的に剥離もしくは薄膜化し、下
地金属の色もしくは表面処理層の干渉色を発現させると
共に、所定の範囲の表面粗さを付与するものである。硬
質粒子を表面処理層を有する金属に投射することで、皮
膜の部分的な剥離に伴う明色部の形成と粗さの付与を同
時に行うことができ、省工程化、大量生産が可能で安価
で効率的である。製造工程は、大きく、表面全体への
暗色系の表面処理、硬質粒子の投射、の2工程であ
り、現有する各種の表面処理工程が流用できるのみなら
ず、生産性アップや大規模化が可能となる。
【0019】さらに、硬質粒子の投射や研磨の後に、干
渉色を有する表面処理層を表面全体に形成することによ
り、硬質粒子投射ままとは異なった趣のある質感を得ら
れるだけではなく、2度目に形成した干渉色を有する表
面処理層による防錆効果や防汚染効果などを得ることが
でき、堅牢で意匠性に優れた金属材料を製造することが
できる。尚、ここで言う硬質粒子の投射とは、例えばシ
ョットブラスト法でアルミナ粒子、ガラスビーズなどを
用いるものである。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。真鍮(65%Cu−35%Zn)、純銅(99.9
9%)、ステンレス鋼(SUS304)、純チタン(J
IS1種)、アルミニウム(純度99.99%)を基板
となる素材として、各種の表面処理を施し、種々の組合
わせの明色部と暗色部からなる金属板を作製した。作製
した金属板の明細を表1(表1−1及び表1−2)に示
す。表1において、番号1〜25は本発明であり、番号
a1〜a11は比較例である。尚、表1には官能検査で
調査した意匠性の程度も示した。
【0021】この官能検査は20〜40歳までの10名
の一般消費者を対象に行い、「建築物などの外観外装材
として従来にないデザインの金属材料である」という尺
度で、100点満点で採点してもらった結果を整理した
ものである。意匠性Aは100点〜90点、Bは89点
〜80点、Cは79点〜70点、Dは69点〜60点、
Eは59点以下である。従来材の中でも比較的意匠性が
高く、脱鋼材感があると言われているステンレス鋼に黒
色クロメート処理を施したものが53点で、一方ステン
レス鋼に黒色の塗料を塗ったものが32点であったこと
から、D(60点〜69点)以上を従来材に比べ、得意
な質感を有する意匠性に優れるものと判断した。尚、こ
の官能検査は、北天昼光が射し込む北向きの部屋の窓辺
に置いた白色の机の上に、試験片を並べて、1名ごとに
実施した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】番号1および2は、真鍮および純銅に、茶
色のエナメル塗料を塗布し乾燥させた後に、ショットブ
ラスト処理を行い膜を部分的に剥離したものである。番
号3〜5は、純銅に対して同じ処理を行ったものである
が、投射粒子の径とブラスト処理の時間を調節し、皮膜
剥離部の大きさと粗さを変えたものである。これらの比
較より、明色部の平均面積が小さいほど、また粗さが大
きいほど意匠性に優れることが分かる。これらの番号1
〜5の意匠性は、官能検査の結果いずれもDランク以上
である。
【0025】一方、比較例a1およびa2は、番号1の
明色部の色はそのままとして、塗料の色を変えた比較例
である。塗料としては銀白色および金色のものを使用し
た。製造方法は番号1と同様である。この比較例a1お
よびa2は暗色の明度指数Lが50を超えるため、明
色部の平均面積と表面粗さは本発明の範囲内であるもの
の、意匠性は低いことが分かる。これは素材全面の色調
が明るく、従来材と同じく金属的な質感であることが原
因ではないかと思われる。
【0026】また、番号a3(比較例)は、粗さは本発
明の範囲内であるが明色部の面積が規定をはずれている
もの、番号a4(比較例)は明色部の面積は本発明の範
囲であるが粗さが規定範囲外であるものであり、いずれ
も意匠性には優れていないことが分かる。さらに、番号
a5は、明色部の素材として真鍮を用いた例であるが、
エナメル塗装、ショットブラスト後に、高温高湿の大気
環境で真鍮を腐食させ、エナメルが剥離した部分をやや
暗い色に変化させたものである。明度指数が低下し、本
発明の範囲外となっており、意匠性にも優れていないこ
とが分かる。
【0027】次に、番号6はステンレス鋼の表面に茶色
のエナメル塗料を塗り、その後にショットブラスト処理
を行うことにより、Lが50以下の有彩色の地の中
に、Lが60以上でしかも色質指数a、bが共に
−10以上10以下の無彩色のステンレス鋼素地を部分
的に露出させたものである。意匠性はBランクであり、
明色暗色共に有彩色とした番号1〜5に比べ意匠性に優
れている。
【0028】また、番号7は純銅に黒色のエナメル塗料
を塗り、ショットブラスト処理を行ったもので、L
50以下でaおよびbが−10以上10以下の無彩
色の黒色の地の中に、有彩色である銅の色を部分的に露
出させたものである。この意匠性はAランクであり、明
色部暗色部共に有彩色とした番号1〜5に比べ意匠性に
優れている。
【0029】次に、番号8は、ステンレス鋼の表面に黒
色クロメート処理を施し表面全体のLを低めると共
に、色質指数aおよびbを−10以上10以下に制
御した後に、ショットブラスト処理により部分的に黒色
クロメート皮膜を剥離し、Lが60以上でaおよび
が−10以上10以下であるステンレス鋼の素地を
露出させたものである。すなわち、明色部暗色部ともに
無彩色にした例である。これも官能検査の結果はAラン
クであり、意匠性に優れている。
【0030】同様に、暗色部の無彩色として、番号9は
黒色のエポキシ系塗料の塗布、番号10は熱硫酸に浸漬
することで形成させた黒色の腐食生成物、番号11はP
bメッキ後にリン酸塩電解処理により得た黒色皮膜、番
号12はステンレス鋼を900℃で2時間大気酸化する
ことで得た黒色酸化スケールを暗色部として用いたもの
である。これらはいずれも表面処理層を形成した後に、
ショットブラスト処理により部分的に黒色皮膜を剥離
し、Lが60以上でaおよびbが−10以上10
以下であるステンレス鋼の素地を露出させたものであ
る。さらに、番号13は明色部としてステンレス鋼の代
わりにチタンを用いた例である。
【0031】これらに対して、比較例a6とa7はステ
ンレス鋼とエポキシ塗料を用いて明色部暗色部共に無彩
色にした例であるが、比較例a6は明色部の平均面積
が、比較例a7は表面粗さが本発明の範囲外であり、意
匠性は極めて悪い。明色暗色共に無彩色としても、明色
部の平均面積や表面粗さを本発明の範囲に限定すること
が高い意匠性を得るために必要であることが分かる。
【0032】以上より、明色と暗色の色質指数a、b
を共に、−10以上10以下に制御することにより優
れた意匠性を付与できることが分かる。また、表面処理
した金属を出発材料とし、硬質粒子を投射することによ
り、意匠性に優れる金属材料を製造できることが分か
る。
【0033】次に、番号14は、ステンレス鋼に黒色ク
ロメートを施し、ショットブラスト法により黒色クロメ
ート皮膜を部分的に剥離した後に、材料全面にSiO2
を干渉色が現れる程度に薄くイオンプレーティングした
ものである。黒色クロメートが残存する部分は黒色のま
まであり、ステンレス素地の部分には明るい青色を干渉
色で発色させたものである。同じく、番号15はイオン
プレーティングに変えて通常のクロメート処理により黄
色の干渉色を発色させたものである。干渉色を用いるこ
とで高い意匠性を得ることができることが分かる。
【0034】比較例a8は、番号14と同じ方法で作製
した干渉色を発色させたものであるが、明色部の面積が
本発明の範囲外の例である。また、比較例a9は、番号
15と同じ方法で作製した干渉色を利用したものである
が、表面粗さが本発明の範囲外である例である。いずれ
も官能検査の結果はEランクであり、干渉色を用いたと
しても粗さや明色部の面積を本発明の範囲に制御するこ
とが高い意匠性を得るための条件であることが分かる。
【0035】次いで、番号16〜20は純チタンを陽極
酸化して干渉色を有する酸化皮膜を形成した後に、アル
ミナブラスト処理を施し、皮膜を部分的に剥離して、下
地チタンの物質色を明色として出現させたものである。
チタン酸化物は可視域の光を吸収しないため、暗色であ
るものの澄んだ色彩を得ることができ、金属チタンの明
色と組み合わせると軽快な他に類例を見ない外観と優れ
た意匠性を得ることができる。番号21および22は、
アルミニウムの陽極酸化皮膜での本発明の例である。
【0036】番号23〜25は、チタンを用いて、発色
とブラスト処理を行い、その後に再度陽極酸化を行うこ
とで、ブラスト処理により陽極酸化皮膜が剥離した部分
にも再度干渉色を発色させたものである。このように、
明色、暗色ともにチタンの干渉色とすることにより、極
めて意匠性に優れた金属材料を得ることができることが
分かる。
【0037】比較例a10およびa11は、番号23と
同じ方法で作製した明色部暗色部共に干渉色を有する例
であるが、a10は明色部の平均面積が、a11は表面
粗さがそれぞれ本発明の範囲外のものである。官能検査
での評点はEランクであり、意匠性は低い。明色暗色共
に、干渉色を用いたとしても粗さや明色部の面積を本発
明の範囲に制御することが高い意匠性を得るための条件
であることが分かる。
【0038】
【発明の効果】本発明を用いることにより、屋根や壁な
どの建築物の内外装材、フェンスやドアノブなどの建材
建材金物、輸送用機器の内外板などに用いられる意匠性
に優れた金属材料を安価に得ることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面の色調が、明度指数Lが50以下
    の暗色を地の色として、その中に平均面積5mm2 以下で
    明度指数Lが60以上の明色である部分を有し、か
    つ、表面粗さRaが0.5μm以上である表面を有する
    ことを特徴とする意匠性に優れた金属材料。
  2. 【請求項2】 前記暗色および明色の一方もしくは両方
    において、色質指数aが−10以上10以下、かつ、
    色質指数bが−10以上10以下であることを特徴と
    する請求項1に記載の意匠性に優れた金属材料。
  3. 【請求項3】 前記暗色および明色が、金属表面の物質
    色、金属表面に形成した表面処理層の物質色、金属表面
    に形成した表面処理層による干渉色のいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の意匠性に優れ
    た金属材料。
  4. 【請求項4】 前記明色が、金属表面の物質色または金
    属表面上に形成された表面処理層による干渉色であっ
    て、前記暗色が金属表面上に形成された表面処理層の物
    質色または表面処理層による干渉色であることを特徴と
    する請求項3に記載の意匠性に優れた金属材料。
  5. 【請求項5】 前記明色が、Ti、Zr、Hf、V、N
    b、Ta、Alおよびこれらのいずれかを主成分とする
    合金の金属表面の物質色であって、前記暗色が、前記明
    色を有する金属上に形成した陽極酸化皮膜による干渉色
    であることを特徴とする請求項4に記載の意匠性に優れ
    た金属材料。
  6. 【請求項6】 前記明色が、ステンレス鋼の金属表面の
    物質色であって、前記暗色が、前記明色を有するステン
    レス鋼上に形成した酸化スケールもしくは黒色クロメー
    ト皮膜の物質色であることを特徴とする請求項4に記載
    の意匠性に優れた金属材料。
  7. 【請求項7】 金属表面上に、表面処理層を形成した後
    に、硬質粒子の投射や研磨によって、該表面処理層を部
    分的に剥離もしくは薄膜化すると共に、表面粗さを調整
    することを特徴とする請求項4に記載の意匠性に優れた
    金属材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属表面上に、表面処理層を形成した後
    に、硬質粒子の投射や研磨によって、該表面処理層を部
    分的に剥離して、下地金属を露出させると共に、表面粗
    さを調整した後に、再度表面処理を行うことを特徴とす
    る請求項4に記載の意匠性に優れた金属材料の製造方
    法。
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