JPH11256039A - 有機−無機コンポジットの製造方法 - Google Patents

有機−無機コンポジットの製造方法

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JPH11256039A
JPH11256039A JP10339153A JP33915398A JPH11256039A JP H11256039 A JPH11256039 A JP H11256039A JP 10339153 A JP10339153 A JP 10339153A JP 33915398 A JP33915398 A JP 33915398A JP H11256039 A JPH11256039 A JP H11256039A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 互いに化学反応をしない有機物と無機物を混
合することで、純粋な有機物と無機物とが有するそれぞ
れの長所をすべて有する有機−無機コンポジットを製造
する。 【解決手段】 前記目的を達成するために本発明は、1
つ以上の金属とアルコールを反応させて金属アルコキシ
ドをつくり、シリコン含有化合物を混合した後、触媒と
ともに反応させてアルコール溶液が含浸した単一または
複合金属酸化物のアルコゲルを生成する過程と;遠心分
離法を用いて前記アルコゲル内の無機格子構造を満たし
ているアルコールを分離してゲルを形成する過程と;前
記ゲル内に有機高分子を形成するための有機単量体を添
加する過程と;前記有機単量体を重合する過程を含む有
機−無機コンポジットの製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機−無機コンポジ
ットの製造方法に関し、より詳しくは、互いに化学反応
をしない有機物と無機物とを混合して純粋な有機物と無
機物とが有するそれぞれの長所をすべて有する有機−無
機コンポジットを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】単一金属酸化物又は複合金属酸化物を含
む無機化合物を合成する非古典的な方法としてゾル−ゲ
ル合成法が広く知られている。前記ゾル−ゲル合成法
は、溶液状で各構成成分が均一に分布するという長所を
利用するもので、主に、アルコール溶媒に、反応物であ
る金属アルコキシド化合物を溶かした後、水を添加して
水和及び凝縮反応を起こすことで粒子が均一に分散した
ゾル状物を得て、このゾル状物を放置することによりゲ
ル状の目的化合物を得る方法である。この際、反応条件
をうまく調節すると数十から数百ナノメートル大の極め
て小さい直径を有する目的化合物が製造でき、このよう
にして得られたゲルは無機成分の粒子が互いに密接して
連結されている三次元格子構造を有する。
【0003】前記ゾル−ゲル合成法は、無機重合反応を
通して単一体、レンズ、薄膜、粒子、繊維などのいろい
ろな形態の最終生成物をつくることができる長所を有し
ているが、同時に、致命的な短所を有しているため実質
的には実用化し難い。例えば、ゾル−ゲル合成過程で生
ずる目的化合物の収縮、亀裂、捩れなどによって望む形
態の生成物を得るのが極めて難しく、また、最終生成物
の機械的強度が弱いので壊れやすく、溶媒に対する耐性
が弱いので極めて簡単に変性してしまうなど機械的特性
が極めて悪く、何よりも研磨、切削、鋳造などの機械的
加工をすることができない。このような短所のため、大
部分の場合、ゾル−ゲル合成法は、熱処理を経て最終的
に結晶性粉末を得るための前駆体をつくる場合にのみ適
用されるのが一般的で、光学特性を目的とする非結晶性
生産品を得るための合成法としては適当でない。特に、
このような短所は、シリカ(SiO2)以外の2種類以上
の組成を有する物質でさらに著しく現れるため、ゾル−
ゲル合成法を通して実質的に使用可能な光学用レンズを
つくることはほとんど不可能である。したがって、レン
ズなどの単一体を合成するためには、前記無機高分子物
質をゾル−ゲル合成法によって合成するよりは、有機高
分子物質を重合反応を通して合成するほうが機械的特性
上よりみて有利であると考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記有機重合反応の中
の代表的なものは、単量体であるMMA(Methylmethac-
rylate)に開始剤として過酸化物を加えて、前記単量体
が有している二重結合の間に重合反応を引き起こして、
鎖形態の有機高分子であるPMMA(Polymethylme-thac
rylate)を合成する方法である。この際、単量体として
使用されるMMAは常温常圧で液状であるので、重合反
応のための単量体としてだけではなく溶媒としても使用
できる。しかし、このような有機高分子は共重合体とし
て合成しない限り、その構成成分が1つの物質のみで固
定されるので、機能性ゲスト物質(guest ma-terial)を
混入したり機械的特性を調節するのが難しいという短所
がある。特に、光学特性を有するイオンや巨大分子を混
入する場合には、その混入ゲスト物質の周辺に形成され
る局部構造が極めて制限的に変化するだけで、周囲の有
機高分子の構造を任意に変形することができなかった。
【0005】したがって、純粋な無機物や有機物が有す
る長所を合わせることにより新たな新物質を合成するた
めに、前記ゾル−ゲル反応の生成物である無機高分子と
有機高分子の複合物質である有機−無機コンポジットを
合成する方法に関する研究が盛んに進められている。こ
のような有機高分子と無機高分子の複合成分を有する有
機−無機コンポジットを特にORMOCER又はCER
AMERと呼ぶ。このような有機−無機コンポジット
は、一般に、無機成分の改質を通じて無機部分と有機部
分とが互いに化学結合を起こすようにすることにより製
造される。このために、無機重合反応の反応物である金
属アルコキシドのアルコキシド作用基の一部を有機単量
体に置換した後、置換された作用基を通じて無機部分と
有機部分とが互いに結合するようにした。一部の研究で
は、このような化学的操作をせずにゾル−ゲル合成法に
よって合成したアルコゲルを長時間にわたって乾燥して
乾燥ゲルを得て、前記乾燥ゲルの無機格子構造内に有機
単量体を浸透させ、乾燥ゲルの無機格子構造内で有機重
合反応が起こるようにしようと試みたが、ゾル−ゲル合
成法と乾燥過程を通して使用可能な乾燥ゲルを得るのに
数ヶ月もの長い期間がかかり、その収率も極めて低いと
いう短所がある。このような問題点を回避し乾燥過程を
避けるために、ゾル−ゲル合成法とともに臨界乾燥法(c
ritical d-rying)を通じて短時間内に有機−無機コンポ
ジットを合成してみたが、無機格子体との化学的結合力
を有しないPMMAのような高分子に対しては、このよ
うな方法が適用され得ないということが明らかになっ
た。また、高分子状態である有機高分子を無機格子構造
に複合させようとする試みもあったが、高分子鎖の長さ
が長いため有機−無機コンポジットの合成が容易でなか
った。
【0006】前記のような問題点を解決するために、本
発明の目的は、有機−無機コンポジットの合成におい
て、乾燥過程を行わなくてもよく、かつ合成収率を高め
ることができる有機−無機コンポジットの製造方法を提
供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、反応物を改質せず
に、即ち、無機物と有機物とが化学的に結合しなくても
簡単な工程を通して合成することができる有機−無機コ
ンポジットの製造方法を提供することにあり、特に、P
MMAのように無機物と化学的結合をしない有機高分子
を使用して有機−無機コンポジットを合成する方法を提
供する。
【0008】さらに、本発明は、無機格子の大きさを数
十ナノメートル程度に調節して無機粒子による光の散乱
を防止し、ゲスト物質として機能性イオンや巨大分子を
混入することによって光学特性を容易に調節することが
できる有機−無機コンポジットの製造方法を提供する。
【0009】本発明のその他の目的は有機物と無機物と
の長所をすべて有し、光学透光度が良好且つ透明で、レ
ンズなどの材料として使用され得る有機−無機コンポジ
ットの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記のような本発明の目
的を達成するために、本発明は、1つ以上の金属とアル
コールを反応させて金属アルコキシドをつくり、シリコ
ン含有化合物を混合した後、触媒とともに反応させて、
アルコール溶液が含浸された単一又は複合金属酸化物の
アルコゲルを生成する過程と;遠心分離法を用いて前記
アルコゲル内の無機格子構造を満たしているアルコール
を分離してゲルを形成する過程と;前記ゲル内に有機高
分子を形成するための有機単量体を添加する過程と;前
記有機単量体を重合する過程を含む有機−無機コンポジ
ット製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明すると
次の通りである。
【0012】本発明は、格子が数十ナノメートルの大き
さを有することにより光学透過性が最大化された有機−
無機コンポジット製造方法を提供する。前記有機−無機
コンポジットを合成するために、まず、過酸化水素水
(30%H22)、マグネシウムの過酸化物、ナトリウム
の過酸化物及びリチウムの過酸化物からなる群から選択
される化合物を触媒にしてゾル−ゲル合成法を遂行する
ことにより、複合金属酸化物からなるゲル前駆体を合成
する。前記ゲル前駆体を合成するために、まず、非活性
気体雰囲気下で、一定量のマグネシウム、ナトリウム及
びリチウムなどの金属とメタノールなどのアルコールと
を反応させて金属アルコキシドをつくる。これにシリコ
ンを含むテトラエチルオルトシリケート(tetraethylort
hosilicate、TEOS)及びテトラメチルオルトシリケ
ート(tetramethylorthosilicate、TMOS)などのシリ
コンアルコキシドの中から選択される化合物を混合した
後、触媒として過酸化水素水などの過酸化物と蒸留水を
徐々に加えると、前記混合溶液内でゾル−ゲル反応が起
こり、金属酸化物のゲル前駆体が生成される。前記金属
の中で最も好ましいものはMgであり、前記金属として
Mgが使用される際に生成されるゲル前駆体としてはフ
ォーステライト(Mg2SiO4)やエンステナイト(Mg
SiO3)などがある。前記方法によって合成されたゲル
前駆体の内部にはアルコール溶液が含浸されており、こ
のようにアルコール溶液が含浸されたゲルを通常、“ア
ルコゲル”と呼ぶ。前記反応は水和反応に極めて敏感な
Mg、Na及びLiなどの金属成分を使用することによ
り、既存のゾル−ゲル合成法で使用する酸や塩基触媒か
らは不安定なゲルを得るが、前記過酸化水素水などの過
酸化物を触媒として使用すれば、大きさが数十ナノメー
トル以下である極めて安定したアルコゲルを得ることが
できる。前記アルコゲルの大きさは可視光線領域におけ
るアルコゲルの透光度を測定してみるとわかる。即ち、
可視光線領域で前記アルコゲルの透光度が空気の透光度
と類似していれば、形成されたアルコゲルの粒子の大き
さが数十ナノメートル以下であることを示す。
【0013】このように過酸化物を触媒にして合成した
アルコゲルからアルコール溶媒を除去するために溶媒を
乾燥させると、乾燥過程でアルコゲルの収縮、亀裂、捩
れなどの問題が発生するだけではなく、ナノメートル領
域の大きさを有する粒子が互いに縺れてその大きさが数
マイクロメートルから数ミリメートルと大きくなること
により、光学透過性を喪失するようになる。このような
問題を避けるために本発明では遠心分離法を適用してア
ルコゲル内の無機格子構造を満たしている液体成分であ
るアルコールを分離してゲルを形成した。このように形
成されたゲルに有機高分子を形成するための有機単量体
を添加した。前記有機単量体としては、MMA(methylm
ethacrylate)、MA(methacrylate)などの重合可能な二
重結合を有している単量体の中から1つ以上を選択して
使用することができ、最も好ましい有機単量体はMMA
である。この際、前記ゲルに流入する単量体の量を増加
させるために前記ゲルを前記単量体で洗滌する過程を数
回繰り返すことが好ましい。このようにして、ゲルの無
機格子構造を満たしている液体成分を有機単量体に置換
した。その後、ベンジルパーオキシドなどの開始剤を添
加することにより前記単量体を重合させて、乾燥過程を
経ずに有機−無機コンポジットを製造した。
【0014】このように、溶媒が単量体に置換されたゲ
ル状で有機重合反応を同時に遂行することにより、無機
物と有機物とが化学結合しなくても良好なコンポジット
単一体を合成することができ、化学的結合力を有さない
PMMAのような有機高分子と無機高分子とのナノコン
ポジットを合成することができる。前記溶媒置換過程及
び重合反応は、ゲルを移す過程で引き起こされる気泡生
成と無機格子構造の瓦解現象を防止するために、遠心分
離容器内でそのまま遂行するのが好ましい。
【0015】このような工程を通して製造された有機−
無機コンポジットは、有機高分子鎖と無機格子構造が極
めて緊密に絡み合った構造をなすことにより、無機格子
のナノ大の性質をそのまま維持し、極めて良好な光学透
光度を有する単一体になる。このように合成された単一
体はナノコンポジットであるため、その構成成分の大部
分が有機成分であって、無機成分が占める重量比は極め
て小さい値を有する。通常、コンポジット全体に対する
無機格子構造の重量比は約4〜8%程度であり、前記コ
ンポジットを一定の大きさに切削して製造したレンズを
燃焼させると、形態が維持された無機成分だけからなっ
た単一体が残るようになる。従って、前記無機格子構造
が試料の全般にわたって均一に分布することがわかる。
このような有機成分に均一に分布した格子構造の無機成
分は、コンポジットの光学透光度を大幅に減少させずに
混入された光学機能性ゲスト物質の光学特性を大きく変
化させることができる。前記機能性ゲスト物質は、前記
ゲル前駆体(アルコゲル)を合成するための混合溶液に前
記機能性ゲスト物質を含む化合物を添加することによ
り、有機−無機コンポジットに混入され得る。例えば、
蛍光物質であるEu3+はEu(NO3)35H2Oの形態で
前記金属アルコキシドに混合され、この混合された金属
アルコキシドを用いて有機−無機コンポジットを合成す
ると、蛍光物質であるEu3+が前記コンポジット内に均
一に分布するようになる。前記蛍光物質Eu3+は有機−
無機ナノコンポジットに光学特性を付与するためのゲス
ト物質である。このような過程を通して、前記有機−無
機コンポジットに混入されたEu3+イオンによって現れ
る放出スペクトルは、有機高分子の環境ではない無機格
子構造の環境によって変化した光学特性を有するように
なる。このような機能性ゲスト物質は前記蛍光物質にの
み限定されるものではなく、有機−無機コンポジットに
均一に混合されて前記コンポジットの特性を改質するこ
とができるすべての物質を含む。
【0016】また、重量比にすると極めて小さい値とな
るが、試料の全般にわたって分布した無機格子構造によ
って、合成された単一体は有機及び無機成分の複合的な
機械的特性を有するようになる。即ち、合成された単一
体はゾル−ゲル合成法によって合成された無機単一体に
比べて段違いに優れた機械的特性を有しており、鋳造、
研磨、切削などの機械的加工が極めて容易であり、溶媒
に対する耐性が極めて強い。熱的性質も有機成分のみか
らなった単一体に比べてある程度改善された。
【0017】以下、本発明の好ましい実施例を記載す
る。しかし、下記の実施例は本発明の構成及び効果を表
わす本発明の一実施例にすぎず、本発明が下記の実施例
に限られるのではない。
【0018】(第1実施例)TEOS(Tetraethylortho
silicate)のシリコンに対してモル比で2倍に相応する
マグネシウムを乾燥したメタノールと反応させてMg
(OMe)2をつくり、これを前記TEOSと混合して混
合溶液をつくる。次に、過酸化水素水と二次蒸留水をT
EOSのSiに対してモル比4倍にそれぞれ測定してメ
タノールで希釈した後、この各々の希釈した溶液を前記
で準備されたTEOSとMg(OMe)2との混合溶液に
徐々に加えてMg成分とSi成分との間にゾル−ゲル反
応が起こるようにして、無機化合物であるフォーステラ
イト(Mg2SiO4)のアルコゲルを合成した。このよう
に合成されたアルコゲルは可視光線領域で透光度がその
まま維持されることから、粒子の大きさが数十ナノメー
トル程度であることがわかる。
【0019】このように合成されたアルコゲルを一定期
間常温に放置してアルコゲル内の無機格子構造を堅固に
する。最初の合成及び前記放置過程はすべて非活性気体
雰囲気で遂行される。このように、一定期間放置したア
ルコゲルを空気中に露出させ、一定量の塩基と同じ体積
のトルエンを加えてよく撹拌するとともに、再度一定期
間放置して無機格子構造を堅固にする。次に、図1に示
されているような遠心分離器の反応容器10の中に前記
アルコゲル20を移した後、2000rpmの速度で2
時間遠心分離して無機格子体からアルコールを分離す
る。図1の遠心分離機における図面符号30、40及び
50はそれぞれ通常の遠心分離器に使用されるアダプタ
ー、回転子及びハウジングを示す。分離されたアルコー
ルを反応容器10から注いで取り出す。また、有機高分
子単量体であるMMAを反応容器10に加えて、アルコ
ールとMMAが無機格子体に流入するようにし、このよ
うな洗滌過程を数回にわたって遂行して、MMAの濃度
を高めてアルコールをMMAに置換する。最後の洗滌時
にMMAに対する重合反応開始剤であるベンジルパーオ
キシドを一定量加える。このように得られたMMAに溶
媒置換されたゲルを反応容器に入れたままで45℃に加
熱したオーブン内で熱処理すると、無機格子構造内に捕
集された有機単量体であるMMAの重合反応が起こって
無機格子構造内でPMMA有機高分子鎖が形成される。
【0020】前記重合反応の反応容器は溶媒置換時に使
用した反応容器10をそのまま使用することにより、ゲ
ル自体を移す過程を回避することができる。このように
溶媒置換されたゲルを移す過程を回避することにより、
無機格子構造が瓦解することとゲル内に気泡が生成され
ることを避け得る。前記重合反応は一日から数日にわた
って進行し、重合反応が完了すると、固くて透明な有機
−無機コンポジットが得られる。
【0021】このように、無機格子構造内でそのまま(i
n-situ)有機高分子を重合させることにより得られたフ
ォーステライトとPMMAの有機−無機ナノコンポジッ
トを切断するか研磨して一定の形態を有する製品に製作
した。図2は、合成されたフォーステライト−PMMA
の有機−無機ナノコンポジットを切削、研磨して製作し
たレンズ形態の単一体の透光度を測定したUV−VIS
スペクトルを示す。図2に示されているように、本実施
例のコンポジット(曲線B)は空気の透光度(100%)と
対比して約88%の透光度を有し、純粋なPMMAとは
ほとんど同一な透光度を有することがわかる。即ち、同
一の大きさの純粋なPMMA単一体のスペクトル(曲線
A)と比べてみると、本実施例のコンポジットは純粋な
PMMAに対して約98%の透光度を有することがわか
る。従って、無機格子構造がPMMAの透光度にほとん
ど影響を及ぼさないことがわかる。本実施例のフォース
テライト−PMMAコンポジット、フォーステライトだ
けからなった乾燥ゲル及び純粋なPMMAだけからなっ
た有機高分子の機械的特性(表面強度及び破砕強度)と
熱的特性(Tg及びTm)を測定して下記の表1に記載
した。
【0022】
【表1】 上記表からわかるように、コンポジットの表面強度につ
いては有機高分子であるPMMAと類似した特性を有し
ており、破砕強度については乾燥ゲルよりは段違いに優
れた特性を有するとともに、高い弾性を有するPMMA
に比べて破砕性が多少ある複合的な性質を有しているこ
とがわかる。さらに、無機部分が複合されて、Tg(Gla
ss tran-sition temperature)が純粋なPMMAに比べ
て20℃程度高くなり、Tm(Mel-ting temperature)は
純粋なPMMAに比べて50℃程度高くなった。
【0023】(第2実施例)TEOS(tetraethylortho
silicate)のシリコンに対してモル比で2倍に相応する
マグネシウムを、乾燥したメタノールと反応させてMg
(OMe)2をつくり、これを前記TEOSと混合して混
合溶液をつくった後、シリコンに対するモル比で0.0
5倍程度のEu(NO3)35H2Oを加える。前記Eu(N
3)35H2Oは有機−無機ナノコンポジットに光学特性
を付与するためのゲスト物質である。次に、過酸化水素
水と二次蒸留水を前記TEOSのSiに対してモル比4
倍にそれぞれ測定してそれぞれメタノールで希釈した
後、このそれぞれの希釈した溶液を前記で準備されたT
EOSとMg(OMe)2との混合溶液に徐々に加えてM
g成分とSi成分との間にゾル−ゲル反応が起こるよう
にして、Eu3+イオンが混入されたフォーステライト
(Mg2SiO4)のアルコゲルを合成した。
【0024】このように合成されたEu3+イオンが混入
されたアルコゲルを一定期間常温に放置してアルコゲル
内の無機格子構造を堅固にする。最初の合成及び前記放
置過程はいずれも非活性気体雰囲気で遂行される。この
ように一定期間放置したアルコゲルを空気中に露出させ
一定量の塩基と同体積のトルエンを加えてよく撹拌し
て、再度一定期間放置して無機格子構造を堅固にする。
次に、図1に示されているような遠心分離機の反応容器
10の中に前記アルコゲル20を移した後、2000r
pmの速度で2時間遠心分離を行って無機格子体からア
ルコールを分離する。分離されたアルコールを反応容器
10から注いで取り出す。また、有機高分子単量体であ
るMMAを反応容器10に加えて、アルコールとMMA
が無機格子体に流入するようにし、このような洗滌過程
を数回にわたって行って、無機格子体内のMMAの濃度
を高めてアルコールをMMAに置換する。最終洗滌時に
MMAに対する重合反応開始剤であるベンジルパーオキ
シドを一定量加える。このように得られたMMAに溶媒
置換されたゲルを反応容器に入れたままで45℃に加熱
したオーブン内で熱処理すると、無機格子構造内に捕集
された有機単量体であるMMAの重合反応が起こって無
機格子構造内でPMMA有機高分子鎖が形成される。こ
のように乾燥過程を避けて無機格子構造内でそのまま(I
n-situ)有機高分子を重合させることにより得られたE
3+イオンが混入されたフォーステライトとPMMAの
有機−無機ナノコンポジットを切断するか研磨して一定
形状を有する製品をつくった。図3は、Eu3+イオンが
混入されたフォーステライト−PMMAの有機−無機ナ
ノコンポジットを切削、研磨して製作した板状の単一体
から放出されたEu3+イオンの蛍光放出スペクトルを示
し、図4は、Eu3+イオンが混入された純粋なPMMA
を切削、研磨して製作した板状の単一体から放出された
Eu3+イオンの蛍光放出スペクトルを示す。図3及び図
4に示されているように、本実施例のコンポジットと同
じ大きさの純粋なPMMA単一体に混入されたEu3+
オンの蛍光スペクトルを比べてみると、PMMAに4−
8%の無機格子構造が複合されることにより、Eu3+
オンの周辺局部構造が改質されて、純粋なPMMAに混
入する際とは全く異なるEu3+イオンのスペクトルを現
わすことがわかる。これは、有機−無機ナノコンポジッ
トに光学特性を有するゲスト物質を混入すれば、ゲスト
物質の周囲環境を任意に調節することができることを示
す。
【0025】
【発明の効果】無機格子内に浸透させた単量体をそのま
ま(In-situ)重合することにより、有機物と無機物が化
学結合せずに、簡単な工程によって無機格子の性質を変
更しないで有機−無機ナノコンポジットを形成すること
ができる。このような工程を通して無機物と反応しない
有機高分子と無機物とのコンポジットを容易に合成する
ことができ、通常のゾル−ゲル合成法を通した有機−無
機コンポジットの製造工程中に頻繁に発生するアルコゲ
ルの収縮、亀裂及び捩れなどの問題も解決することがで
きる。また、有機−無機コンポジットのうちの無機成分
は1つ以上の複合金属を含む場合にもその構造が安定し
ている。このように製造された有機−無機コンポジット
は有機物と無機物との間の相分離が観察されず、良好な
光学的透光性を有する。有機−無機コンポジットの中の
無機物の重量比は4〜8%と低いほうであるが、混入さ
れた光学性質を有するゲスト物質の光学特性に及ぼす無
機格子の影響は極めて大きく、無機格子自体の化学的成
分を調節することにより有機−無機ナノコンポジットを
ホスト物質(host material)にして混入されたゲスト物
質が現わす光学性質を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機−無機コンポジットを製造するた
めの遠心分離器の概略図。
【図2】本発明の一実施例による有機−無機コンポジッ
トと純粋なPMMAの透光度を測定したUV−VISス
ペクトル。
【図3】本発明の一実施例によるフォーステライト−P
MMAの有機−無機ナノコンポジットに混入されたEu
3+イオンの蛍光放出スペクトル。
【図4】純粋なPMMA高分子に混入されたEu3+イオ
ンの蛍光放出スペクトル。
【符号の説明】
10 反応容器 20 アルコゲル 30 アダプタ 40 回転子 50 ハウジング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朴 東 坤 大韓民国ソウル特別市龍山区青坡洞2街淑 明女子大学校内 (72)発明者 姜 珍 大韓民国ソウル特別市銅雀区黒石2洞264 −5番地 (72)発明者 權 惠 映 大韓民国ソウル特別市金川区始興1洞漢陽 アパート5棟907号

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つ以上の金属とアルコールを反応させ
    て金属アルコキシドをつくり、シリコン含有化合物を混
    合した後、触媒とともに反応させてアルコール溶液が含
    浸された単一又は複合金属酸化物のアルコゲルを生成す
    る過程と;遠心分離法を用いて前記アルコゲル内の無機
    格子構造を満たしているアルコールを分離してゲルを形
    成する過程と;前記ゲル内に有機高分子を形成するため
    の有機単量体を添加する過程と;前記有機単量体を重合
    する過程を含む有機−無機コンポジット製造方法。
  2. 【請求項2】前記触媒は、過酸化水素水、マグネシウム
    の過酸化物、ナトリウムの過酸化物及びリチウムの過酸
    化物からなる群の中から選択される化合物である請求項
    1に記載の有機−無機コンポジット製造方法。
  3. 【請求項3】前記アルコゲルを合成するための混合溶液
    に機能性ゲスト物質を含む化合物を添加する過程をさら
    に含む請求項1に記載の有機−無機コンポジット製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記機能性ゲスト物質は、光学特性を有す
    るものである請求項3に記載の有機−無機コンポジット
    製造方法。
  5. 【請求項5】前記機能性ゲスト物質はEu3+である請求
    項4に記載の有機−無機コンポジット製造方法。
  6. 【請求項6】前記金属は、マグネシウム、ナトリウム及
    びリチウムからなる群の中から選択される1つ以上の金
    属である請求項1に記載の有機−無機コンポジット製造
    方法。
  7. 【請求項7】前記シリコン含有化合物は、テトラエチル
    オルトシリケート(tetraethylorthosilicate、TEO
    S)及びテトラメチルオルトシリケート(tetramethylort
    hosilicate、TMOS)からなるシリコンアルコキシド
    の中から選択される化合物である請求項1に記載の有機
    −無機コンポジット製造方法。
  8. 【請求項8】前記有機単量体は、MMA(methylmethacr
    ylate)及びMA(methacrylate)からなる重合化すること
    ができる二重結合を有する有機単量体の中から選択され
    る1つ以上の化合物である請求項1に記載の有機−無機
    コンポジット製造方法。
  9. 【請求項9】前記遠心分離法及び前記有機単量体を重合
    する過程は、同一反応容器内で遂行される請求項1に記
    載の有機−無機コンポジット製造方法。
  10. 【請求項10】前記有機単量体を重合する過程は、前記
    アルコゲルの無機格子構造内で(In-Situ)遂行される請
    求項1に記載の有機−無機コンポジット製造方法。
  11. 【請求項11】前記有機高分子と前記無機格子は実質的
    に互いに均一に分布する請求項1に記載の有機−無機コ
    ンポジット製造方法。
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