JP2007192866A - 光拡散性樹脂組成物及び光拡散部材、並びにそれを用いたバックライト装置及び液晶ディスプレイ - Google Patents

光拡散性樹脂組成物及び光拡散部材、並びにそれを用いたバックライト装置及び液晶ディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた光拡散性を有するとともに、耐光性、特に耐紫外線性に優れ、バックライト装置や液晶ディスプレイ等の用途に適した光拡散性組成物を提供する。
【解決手段】 平均粒子径が1μm以上、30μm以下であり、比表面積が100m2/g以上、400m2/g以下であり、且つ、細孔径が3nm以下である多孔性シリカ微粒子を、透光性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上、20質量部以下の割合で分散してなるとともに、JIS K 7350−2−1995に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後のJIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE1)が2以下である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光拡散性樹脂組成物及び光拡散部材、並びにそれを用いたバックライト装置及び液晶ディスプレイに関する。より詳しくは、優れた光拡散性を有するとともに、耐久性にも優れ、照明カバーや照明看板、液晶ディスプレイ等の各種ディスプレイなどの用途に好適に用いられる光拡散性樹脂組成物及び光拡散部材、並びにそれを用いたバックライト装置及び液晶ディスプレイに関する。
近年、照明分野や透過型ディスプレイの分野では、高輝度化・薄型かつ輝度均一性が求められている。そこで、複数の光源と、背面に設けられた反射板と、発光面をなす拡散板を組み合わせた構成である直下型バックライト装置が提案されている。該装置は、光源から放射される光束の有効利用効率(ランプから放射される光束のうち発光面から放射される割合)が高く、且つ使用光源数を増やすことができるため発光面の高輝度化が容易である。一方、光源の真上で輝度が高くなるため、発光面の輝度均一性が悪いという課題がある。特に、拡散板と光源の距離が近い、つまりバックライト装置を薄型化した時にこの課題が顕著になる。
従来、光の透過性が高く、且つ光の光拡散性能に優れるという、相反する性能を兼ね備える光拡散板を得る方法として、無機微粒子や架橋有機微粒子を光拡散剤として、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等を基材樹脂として配合する方法(例えば特許文献1参照)が検討されている。
しかしながら、光拡散剤として汎用の無機微粒子を使用した場合には、光線透過率が低下しやすい、均一に光が拡散しないなどの課題が発生する場合があった。また、有機微粒子としてポリメタクリル酸メチル架橋微粒子を用い、これを基材樹脂である(メタ)アクリル樹脂に添加した場合には、光透過率は向上するものの、両者の屈折率差が小さくなり満足できる光拡散性が得られないという課題点があった。一方、有機微粒子としてポリスチレン架橋微粒子を用いた場合には、該微粒子と基材樹脂としての(メタ)アクリル樹脂との屈折率差が大きいので光拡散性は高くなるものの、ポリスチレン架橋微粒子のアッベ数が小さいので、該架橋微粒子と(メタ)アクリル樹脂とのアッベ数の差が大きくなり、拡散光は見る角度によって色の差が生じてしまうといった課題点があった。
また、透明性樹脂に、特定のパラメーターを満足する多孔性シリカ微粒子を分散させることにより、光の透過性が高く、且つ、優れた光拡散性を持つ光拡散性樹脂が得られること(例えば特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載の多孔性シリカ微粒子は、光拡散性樹脂組成物を得るべく、特許文献2に記載の多孔性シリカ微粒子と透光性樹脂とを汎用な手法である溶融混練により光拡散性樹脂組成物を調製した時、前記多孔性シリカ微粒子の空孔部に前記透光性樹脂が埋没しやすく、結果、光拡散性は必ずしも満足できるものではなかった。
蛍光管のうち、液晶ディスプレイ用バックライトに主に用いられる冷陰極管の発光原理は、(1)電極に印加された高電界により陰極から電子が放出され、(2)その電子が高電界により加速されて水銀原子と衝突することにより水銀原子を励起し、(3)励起状態の水銀原子は不安定であるため速やかに安定状態に戻り、その余剰エネルギーを紫外線(主に253.7nm)の形で放出し、(4)蛍光体がこの紫外線を吸収し励起する事によって、紫外線を可視光にエネルギー交換して発光する、というものである。この時使用される蛍光体の影響で、本来必要としない波長365、313、298nm付近の紫外線が一部放出することが知られている(例えば非特許文献1参照)。上述の通り大画面化、高輝度化要求から蛍光管の本数の増加、1本当たりの輝度上昇に伴い、放出される紫外線の量も益々増加傾向にある。それに加えて薄型化の要求から、拡散板と光源との距離が短くなり、管の直上で拡散板に照射される紫外線エネルギー量は更に増加する傾向にあり、これらの光源の下に使用される光拡散板に対しては、紫外線による変色抑制が以前にも増して求められている。
特開昭54−155244号公報 特開平5−179054号公報 Flat-Panel Display 2004 戦略編、日経BP社刊、116頁
本発明は上述の背景に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた光拡散性を有するとともに、耐光性、特に耐紫外線性に優れ、バックライト装置や液晶ディスプレイ等の用途に適した光拡散樹脂組成物及び光拡散部材、並びにそれを用いたバックライト装置及び液晶ディスプレイを提供することである。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有する多孔性シリカ微粒子を透光性樹脂に一定の割合で分散させた樹脂組成物を用いることにより、上記目的に合致した優れた光拡散部材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、平均粒子径が1μm以上、30μm以下であり、比表面積が100m2/g以上、400m2/g以下であり、且つ、細孔径が3nm以下である多孔性シリカ微粒子を、透光性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上、20質量部以下の割合で分散してなるとともに、JIS K 7350−2−1995に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後のJIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE1)が2以下であることを特徴とする、光拡散性樹脂組成物に存する(請求項1)。
ここで、60℃、80%Rhの条件下で360時間吸水後の全光線透過率の変化(ΔTt)が2%以下であり、且つ、JIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE2)が2以下であることが好ましい(請求項2)。
また、多孔性シリカ微粒子が有機処理されていることが好ましい(請求項3)。
また、透光性樹脂として、(メタ)アクリル系樹脂及び(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂の少なくとも何れかを含有することが好ましい(請求項4)。
また、本発明の別の要旨は、上述の光拡散性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする、光拡散部材に存する(請求項5)。
また、本発明の別の要旨は、紫外線を一部放射する光源と、前記光源の背面に設けられ、前記光源からの光を反射する反射部材と、前記光源からの直射光及び前記反射部材からの反射光を拡散透過する光拡散部材とを少なくとも備えたバックライト装置であって、該光拡散部材が、上述の光拡散部材であることを特徴とする、バックライト装置に存する(請求項6)。
また、本発明の別の要旨は、液晶部と、バックライト装置とを少なくとも備えた液晶ディスプレイであって、該バックライト装置が、紫外線を一部放射する光源と、前記光源の背面に設けられ、前記光源からの光を反射する反射部材と、前記光源からの直射光及び前記反射部材からの反射光を拡散透過する光拡散部材とを少なくとも備えてなり、該バックライト装置の該光拡散部材が、請求項5記載の光拡散部材であることを特徴とする、液晶ディスプレイに存する(請求項7)。
本発明の光拡散性樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材は、優れた光拡散性を有するとともに、耐光性、特に耐紫外線性に優れており、バックライト装置や液晶ディスプレイ等の用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々に変更して実施することができる。
[I.光拡散性樹脂組成物]
本発明の光拡散性樹脂組成物は、特定の物性を有する多孔性シリカ微粒子(以下適宜「本発明の多孔性シリカ微粒子」と略称する。)を、基材樹脂である透光性樹脂に対し所定の割合で分散させたものである。
[I−1.多孔性シリカ微粒子]
(平均粒子径)
本発明の多孔性シリカ微粒子は、その平均粒子径が、通常1μm以上、好ましくは2μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下の範囲である。多孔性シリカ微粒子の平均粒子径が小さ過ぎると、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。一方、多孔性シリカ微粒子の平均粒子径が大き過ぎると、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、光拡散性が低下したり、光が樹脂を透過したときにシリカ粒子が異物として目視されやすくなったりする場合があり好ましくない。
なお、本明細書でいう平均粒子径とは、原則として、実施例の欄で後述するように、レーザー回折式粒度分布計を用いた実測によって得られる平均粒子径を意味する。但し、電子顕微鏡観察により得られた写真を用いた実測によって求めてもよい。
本発明の多孔性シリカ微粒子は、光拡散性と光透過性とのバランスに優れ、光拡散性部材の成形体とした場合に成形体の部位により光源の像が透けて見えないように、粒子径がある範囲内で揃っていることが好ましく、例えば、粒子径分布の指標として後述する変動係数(CV値)が、通常50%以下、中でも30%以下であることが好ましい。
(比表面積)
また、本発明の多孔性シリカ微粒子の比表面積は、通常100m2/g以上、好ましくは200m2/g以上、また、通常400m2/g以下、好ましくは300m2/g以下の範囲である。シリカ微粒子の比表面積が小さ過ぎると、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、光拡散性が低くなる傾向にあり好ましくない。一方、多孔性シリカ微粒子の比表面積が大き過ぎると、該多孔性シリカ微粒子の強度が不十分となり、これを基材樹脂中に分散させる際、圧潰等によって該多孔性シリカ微粒子が破壊され易くなり、このため得られる樹脂組成物の光拡散性が低くなる傾向があり好ましくない。
なお、本明細書でいう比表面積とは、実施例の欄で後述するように、BET法(N2)により得られる比表面積を意味する。
(細孔径)
更に、本発明の多孔性シリカ微粒子は、その細孔径が通常3.0nm以下、好ましくは2.5nm以下、より好ましくは2.0nm以下の範囲であることを特徴とする。該シリカ微粒子の細孔径が大き過ぎると、これを基材樹脂中に分散させて得られる樹脂組成物は、前記多孔性シリカ微粒子の空孔部に基材樹脂が埋没しやすく、結果、光拡散性が低下するため好ましくない。特に、細孔径が50nmより大きい場合には、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。
なお、本明細書でいう細孔径とは、後述するように窒素ガス吸着法を用いた実測によって得られる平均細孔径を意味する。
(不純物元素)
本発明の多孔性シリカ微粒子は、シリカ中に存在することでその物性に影響を与えることが知られている、アルカリ金属,アルカリ土類金属,周期表の3A族,4A族及び5A族並びに遷移金属からなる群に属する金属元素(不純物元素)の合計の含有率が非常に低く、極めて高純度であることが好ましい。具体的には、上述の不純物元素の含有率が、通常500ppm以下、中でも100ppm以下、更には50ppm以下、特に30ppm以下であることが好ましい。中でも、多孔性シリカ微粒子の物性に与える影響が特に大きい、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群に属する元素の総含有率が、通常100ppm以下、中でも50ppm以下、更には30ppm以上、特に10ppm以下であることが好ましい。このように不純物の影響が少ないことが、本発明の多孔性シリカ微粒子が光拡散部材の拡散剤として用いられた場合に、光拡散部材としての高い光拡散性能や耐久性を発現できる大きな要因の一つである。なお、多孔性シリカ微粒子の金属不純物含有量は、実施例に記載の手順等により誘導結合高周波プラズマ(ICP)分光分析を行なうことにより、測定することができる。また、ナトリウム及びカリウムの含有量は、フレーム発光分光法で分析することができる。
(屈折率)
本発明の多孔性シリカ微粒子は、多孔性シリカ微粒子を構成しているマトリクス部分の屈折率が、基材樹脂の屈折率と同じか或いはそれよりも低い屈折率を有するものであることが、見る角度によって色の差が発生することを防止する観点から好ましい。例えば、多孔性シリカ微粒子を構成しているマトリクス部分の屈折率が基材樹脂の屈折率よりも大きい場合には、光拡散性は高くなるものの、基材樹脂と多孔性樹脂微粒子とのアッベ数の差が大きくなり、拡散光が見る角度によって色の差が生じやすくなることがある。なお、多孔性シリカ微粒子の屈折率は、アッベ式屈折率計で測定することができる。
(有機処理、疎水化)
本発明の多孔性シリカ微粒子は、吸水を抑制し、耐光性を向上する目的で、有機処理剤により表面改質されたものであってもよい。有機処理剤による表面改質(これを適宜「有機処理」という。)とは、具体的には、有機処理剤を用いて、以下のYで表わされる群(有用有機基群)の中から選択した1種の有機基、又は任意の組み合わせの2種以上の有機基を、本発明の多孔性シリカ微粒子に対して目的有機基として含有させる処理をいう。
Y:C1からC1000(好ましくはC1〜C500、更に好ましくはC1〜C100、特に好ましくはC1〜C50)の脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、脂肪芳香族化合物より誘導される1価以上の有機基であり、Yの水素の少なくとも一部が下記に示す原子及び/又は有機官能基で置換されていてもよい。炭素数が大きすぎると細孔容積が小さくなり、拡散性能が低下するので好ましくない。また、Yの有する複数の水素が、下記に示す原子及び/又は有機官能基で置換されていてもよく、この場合は、下記に示す原子及び/又は有機官能基の中から選択した1種又は2種以上の組み合わせにより置換されていてもよい。更に、上記全ての場合において、下記に示す有機官能基の水素の少なくとも一部がF、Cl、Br、Iで置換されていてもよい。また、Yはその中に連結基としてO、N、又はS等の各種の原子または原子団を有するものであっても良い。なお、下記に示す有機官能基は導入しやすいものの一例であり、使用目的に応じてこの他各種の化学的反応性、物理化学的機能性を持つ有機官能基を導入しても良い。
<Yの水素と置換可能な元素及び有機官能基の例>
F、Cl、Br、I、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、アンモニウム基、アリル基。
これらの有機基Yは、本発明の多孔性シリカ微粒子中において、有機基Yの価数に応じた数のケイ素原子と共有結合により直接結合することになる。これらのケイ素原子はシリカゲル骨格を形成するものの一部であり、有機基Yは実質的にシリカゲル骨格に直接導入された状態となっている。本発明の多孔性シリカ微粒子に対しこのような状態で有機基Yを導入するためには、有機処理剤として、有機基Yにシロキサン結合を形成し得る反応性末端が導入された試薬を用いればよい。このような試薬として最も入手が容易であり代表的なものは、下記に示すシランカップリング剤である。この他にも、シラノールと反応し、シロキサン結合を形成する一般合成試薬(以下適宜「有機基導入試薬」という。)が数種あるが、工業的な入手が容易ではなく、また、反応条件に制限のあることが多い。
本発明において「シランカップリング剤」とは、ケイ素原子に前述のような有機基Yが直結しているものの総称であり、具体的には、以下の式(I)〜(IV)に示される化合物である。
(I) X3SiY
X:ケイ素原子に直接結合することにより、水溶液中、空気中の水分、または無機質表面に吸着された水分などにより加水分解されて、反応性に富むシラノール基を生成する加水分解性シリルを与えることが出来る官能基であり、従来公知のものを使用することができる。例えば、C1〜C4の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等が挙げられる。これらの加水分解性基は、何れか1種を単独で、又は2種以上を任意に組み合わせた状態で、含有することができる。
Y:式(I)においては、上記有機基Yのうち、1価の有機基を表わす。
式(I)で表されるシランカップリング剤(以下、式の番号を付して「シランカップリング剤(I)」と呼ぶ。以下の式(II)〜(IV)についても同様である。)は最も汎用であり、具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
(II) X2SiY12
X:式(I)のXと同様の加水分解性シリルを与えることが出来る官能基である。
1、Y2:各々、式(I)のYと同様の1価の有機基を表わす。Y1、Y2は同じ基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。
シランカップリング剤(II)の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン等を挙げることが出来る。
(III) XSiY123
X:式(I)のXと同様の加水分解性シリルを与えることが出来る官能基である。
1、Y2、Y3:各々、式(I)のYと同様の1価の有機基を表わす。Y1、Y2、Y3は全て同じであっても良く、任意の二つが同じで残りの一つが異なる基であっても良く、三つ全てが互いに異なる基であっても良い。
シランカップリング剤(III)の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン等を挙げることが出来る。
(IV) (X3Si)n
X:式(I)のXと同様の加水分解性シリルを与えることが出来る官能基である。
Y:式(IV)においては、上記官能基Yのうち、n価の有機基を表わす。ここでnは、通常1以上、10以下の整数を表わす。
シランカップリング剤(IV)の具体例としては、各種有機ポリマーやオリゴマーに側鎖として加水分解性シリル基が複数結合しているものが挙げられる。
これら式(I)〜(IV)で具体的に例示したシランカップリング剤は、あくまでも入手容易な市販のシランカップリング剤の一部であり、更に詳しくは、科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表により示すことが出来る。また、当然のことながら、本発明に使用できるシランカップリング剤は、これらの例示により制限されるものではない。
本発明の多孔性シリカ微粒子に対する有機処理の手順としては、まず、多孔性シリカ微粒子の細孔中に目的有機基を含むシランカップリング剤や有機基導入試薬等の有機処理剤を導入する。その方法としては、例えば、無機粉体のシランカップリング剤処理法としてよく知られている湿式処理法(水溶媒系、非水溶媒系)、乾式処理法、スラリー法、スプレー法、ドライコンセントレート法等の公知の方法の何れを用いてもよい。
有機処理剤の種類及び量は、有機処理剤に含まれる有機基が、目的の機能を発現する範囲内である限り特に限定されず、上述の目的有機基を有するシランカップリング剤や有機基導入試薬であれば、どのような種類のものでも用いることができる。
なお、高性能な樹脂組成物を得るためには高純度な多孔性シリカ微粒子が有利なことから、目的有機基を含むシランカップリング剤又は有機基導入試薬も高純度なものを用いることが好ましい。目的有機基を後担持させる場合には、担体となる高純度シリカゲルに対して前処理を行なってもよい。例えば、担体となるシリカゲルの原料であるシリコンアルコキシド等に由来する炭素分が含まれている場合には、必要に応じて、通常400〜600℃で焼成除去してもよい。さらに、表面状態をコントロールするために、最高900℃の温度で焼成したり、無機酸により煮沸処理したりしてもよい。
なお、本発明において導入対象となる目的有機基のうち特に有用なものは、上述のように、C1〜C50の有機基Y、及びYの水素がF、C1、Br、I等のハロゲン原子に置換されたものの他、フェニル基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、アンモニウム基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、アリル基等で置換されたものである。本発明の多孔性シリカ微粒子にこれらの有機官能基を導入すると、上記有機官能基の各々の特性に基づいた機能が発現するわけであるが、どのような有機官能基を選択するかは、有機官能基を導入した多孔性シリカ微粒子を用いる樹脂組成物の用途に負うところが大きい。
中でも、有機処理剤としては、本発明の多孔性シリカ微粒子表面を疎水化できる有機基Yを有するものが好ましい。このような有機基Yとして具体的には、C1〜50の直鎖アルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基が好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、特に好ましくはメチル基である。なお、本明細書では、このような有機処理剤を用いた表面改質処理を、「疎水化処理」或いは単に「疎水化」という場合がある。
多孔性シリカ微粒子に対するこれらの有機官能基の導入量としては、目的の疎水性を実現できるレベルであれば制限はないが、通常官能基の重量比で、多孔性シリカ微粒子に対し、通常1%以上、好ましくは3%以上、また、通常50%以下、好ましくは30%以下の割合で使用する。
特に好ましい有機処理剤は、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシランをあげることができ、中でもヘキサメチルジシラザンが疎水化の効果が高いので好ましい。
多孔性シリカ微粒子に対するこれらの有機処理剤の使用量は、目的とする有機処理の効果を得ることができるレベル(例えば、目的とする疎水性を実現できるレベル)であれば制限はないが、通常、多孔性シリカ微粒子100質量部に対して、通常3質量部以上、好ましくは5質量部以上、また、通常200質量部以下、好ましくは100質量部以下の割合で使用する。
また、上述の有機処理剤による疎水化の程度は特に制限されないが、一般的には、疎水化処理後の多孔性シリカ微粒子の吸湿率が、通常20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下の範囲となるようにする。なお、多孔性シリカ微粒子の吸湿率は、疎水化した多孔性シリカ微粒子を150℃で真空乾燥して恒量させた状態から、25℃、70%の環境雰囲気に投入して恒量させた状態までの質量増加量に基づいて求めることができる。
なお、これらの疎水化を目的とした有機処理剤の他に、多孔性シリカ微粒子の樹脂中への分散を改善するために、樹脂との親和性が高い有機処理剤を用いることも好ましい。
[I−2.多孔性シリカ微粒子の製造方法]
本発明の多孔性シリカ微粒子を製造する方法としては、上述の各要件を満足する多孔性シリカ微粒子が得られる方法である限り、特に制限されないが、例えば、下記(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)珪酸ナトリウムを主原料とする方法(多孔質体の性質とその応用技術、竹内雍監修、フジテクノシステム発行、1999、p70等参照)。
(2)除去可能な鋳型を用いて細孔を形成する方法(特開平4−238810号公報等参照)。
(3)アルコキシシランを主原料とする方法(R. Iler, "The Colloid Chemistry of Silica and Silicate", Cornell Univ. Press, 1955, p.72 等参照)。
これらの方法のうち、最後に記載した方法、いわゆるゾルゲル法により製造する方法が、所望の多孔性シリカ微粒子を得ることができ、該多孔性シリカ微粒子を基材に配合することにより光拡散性に優れかつ光源イメージの透過を防ぐことができるなどの観点から好ましく採用される。
上記方法により得られるシリカ微粒子の内部に多孔が形成されるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、例えば、上記(3)の方法においては、アルコキシシランの加水分解によって生成した珪酸が凝集・縮合することによって粒子状に成長し、その粒子が結合して生じた粒子間の空隙が細孔となるものと考えられる。その結果、比表面積及び細孔径が狭い範囲に揃えられた多孔性シリカ微粒子を得ることができると考えられる。
本発明の多孔性シリカ微粒子の原料として使用されるアルコキシシラン類としては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリ又はテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられるが、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーである。以上のアルコキシシラン類は蒸留により容易に精製し得るので、高純度のシリカゲルの原料として好適である。アルコキシシラン中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属に属する不純物元素(金属不純物)の総含有量は、通常100ppm以下、中でも50ppm以下、更には30ppm以下、特に10ppm以下の範囲が好ましい。これらのいわば金属不純物の含有率は、一般的なシリカゲル中の不純物含有率の測定法と同じ方法で測定できる。
アルコキシシラン類の加水分解は、アルコキシシラン1モルに対して、通常2モル以上、好ましくは3モル以上、更に好ましくは4モル以上、また、通常20モル以下、好ましくは10モル以下、更に好ましくは8モル以下の水を用いて行なう。アルコキシシランの加水分解により、シリカのヒドロゲルとアルコールとが生成する。この加水分解反応は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することで、より高い温度で行なうことも可能である。また、加水分解時には必要に応じて、水と相溶性のあるアルコール類等の溶媒を添加してもよい。具体的には、炭素数1〜3の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロルブ、エチルセロルブ、メチルエチルケトン、その他の水と任意に混合できる有機溶媒を任意に用いることができるが、中でも強い酸性や塩基性を示さないものが、均一なシリカヒドロゲルを生成できる理由から好ましい。
反応時間は、反応液組成(アルコキシシランの種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されない。なお、反応系に触媒として、酸、アルカリ、塩類などを添加することも可能であるが、不純物がシリカゲル中に残存し、光拡散部材の拡散剤として用いられた場合の、光拡散部材としての光拡散性能や耐久性に影響するため好ましくない。
上記のアルコキシシラン類の加水分解反応では、アルコキシシランが加水分解してシリケートが生成するが、引き続いて該シリケートの縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲル化してシリカヒドロゲルとなる。
シリカヒドロゲルにはアルコキシシランの加水分解で生じたアルコール類、未反応のアルコキシシラン、及び/又は、水が含まれる。光拡散剤として有用な多孔性シリカ微粒子とするためには、これらを除く必要があり、乾燥を行なう。シリカヒドロゲルは、通常40℃以上、好ましくは60℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは120℃以下で乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよく、且つ、常圧でも減圧下でも乾燥することができる。
乾燥後、原料のアルコキシシランに由来する炭素分が含まれている場合には、必要に応じ、通常400〜600℃で焼成除去することができる。また、表面状態をコントロールするため、最高900℃の温度で焼成することもある。
更に、本発明の多孔性シリカ微粒子は、光拡散部材として優れた機能を発揮するように、粉砕して微粒子化される。粉砕の手法は特に限定されないが、好ましくはビーズミルやジェットミルを用いることができる。光拡散部材の性能に影響する1μm以下の微粒子をできるだけ発生させない観点から、ジェットミルが好ましい。また、同様の視点から、粉砕生成物を気力分級などの方法で分級することも、最終的に目的とする粒子径の多孔性シリカ微粒子を得られるため好ましい。
[I−3.透光性樹脂(基材樹脂)]
本発明の光拡散性樹脂組成物に用いられる基材樹脂としては、いわゆる透明性を有する樹脂(これを適宜「透光性樹脂」という。)であれば特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れでもよい。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂、塩化ビニル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」との表記は、「アクリル又はメタクリル」を意味するものとする。
本発明においては、上記の透光性樹脂の中でも、JIS K7136に準拠して測定した光線透過率が80%以上の透明性を有している熱可塑性樹脂が好ましい。これらの具体例としては、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系共重合樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂等が挙げられる。更に、耐光性、低吸水性の観点から(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系共重合樹脂を用いることが好ましく、特に、(メタ)アクリル系樹脂、及び/又は、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体を包含する(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂を用いることがより好ましい。
本発明に好適に用いられる(メタ)アクリル系樹脂、及び、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。該単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの四級化物などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。これらのうち、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル或いはこれらの混合物がより好ましく、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、或いはこれらの混合物が更に好ましく用いられる。
また、本発明に好適に用いられる(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂を構成するスチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩、又はベンゼン核の一部がアルキル基で置換されたスチレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、或いはこれらの混合物が、特に好ましく用いられる。
そして、他の共重合性単量体としては(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体であれば、特に限定されず、例えば、他のエチレン性不飽和単量体を挙げることができ、より具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のラジカル重合性多塩基酸及びその無水物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩等のアミド系単量体;アクリル酸、メタクリル酸或いはN−ビニルピロリドン等を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。上記他の単量体は、本発明に好適に用いられる(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂において必須の成分ではないが、用いる単量体の総量に対して、通常0質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下の範囲である。
本発明において基材樹脂(透光性樹脂)として好適に用いられる(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂を製造する方法としては、特に制限されないが、具体的には、重合発熱の除去が容易で、高転化率領域まで重合が可能なため、未反応単量体やスチレン2量体、スチレン3量体を効果的に抑制することができる懸濁重合や、溶液重合、特公昭62−13968号公報記載の塊状重合法により重合させた後、得られた部分重合体をキャスト重合法や懸濁重合法により重合させる方法や、連続的塊状重合法により重合させた後、未反応単量体を回収除去する方法などがある。好ましくは懸濁重合や塊状重合が用いられる。また重合に際して、必要に応じて水溶性高分子、界面活性剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を重合阻害しない範囲で添加してもよい。
[I−4.光拡散性樹脂組成物の調製]
本発明においては、粒子径、比表面積、細孔径が上記特定範囲内にある多孔性シリカ微粒子(本発明の多孔性シリカ微粒子)を上述の基材樹脂(透光性樹脂)に配合・分散することによって、光透過性、光拡散性等をバランスさせた光拡散部材(本発明の光拡散部材)を得ることができる。
(組成)
基材樹脂に対する多孔性シリカ微粒子の使用割合は特に限定されないが、強度面を考慮すれば、本発明の効果が奏される限り少量であることが好ましい。具体的には、多孔性シリカ微粒子の割合が、基材樹脂100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、また、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下の範囲である。
(分散の手法)
本発明の多孔性シリカ微粒子を基材樹脂へ分散させる方法は特に限定されないが、例えば、基材樹脂ペレットに予め多孔性シリカ微粒子を混合し、これを押出成形又は射出成形して、ペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;基材樹脂を押出成形又は射出成形する際に多孔性シリカ微粒子を添加し成形して、ペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;基材樹脂と多孔性シリカ微粒子とを一度マスターバッチ化した後に、再度所望の配合量とするべく基材樹脂とマスターバッチ品とを混合した上、押出成形又は射出成形して、ペレット等の形態で光拡散性樹脂組成物とする方法等を採用することができる。更には、基材樹脂の原料となるモノマーと本発明の多孔性シリカ微粒子とを混合し、得られた混合物を公知の手法で重合・成形することにより、本発明の光拡散性樹脂組成物を成形体の状態で(即ち、後述する本発明の光拡散部材の状態で)得ることも可能である。
(耐光性)
本発明の光拡散性樹脂組成物は、耐光性に優れていることが要求されることから、上述の各特徴に加え、JIS K 7350−2−1995に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露する試験(これを適宜「人工光曝露試験」という。)の前後における、JIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE1)が2以下であることを特徴とする。中でも、この色差(ΔE1)の値は1.5以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。上記色差(ΔE1)が大き過ぎると、耐光性に劣り、長時間の安定した使用が困難となり好ましくない。なお、色差(ΔE1)の下限は特に制限されないが、通常は0.1以上である。
なお、上記人工光曝露試験において推薦される人工光とは、以下の通りである。まず、光源としてキセノンアーク光源を用い、この放射エネルギーがCIE No.85:1989で規定される地表上の日光の分光分布に近似した分光特性となるようにフィルタをかける。そして、波長340nmにおける分光放射照度が0.50W/(m2・nm)となるように設定する。このとき、290〜800nmの波長域における全放射照度は、約550W/m2となる。この条件で放射される光が、上記人工光である。
(吸水安定性)
また、本発明の光拡散性樹脂組成物は、吸水量に依存せず安定な光学特性を有することが要求されるため、該光拡散部材を60℃、80%Rhの条件下で360時間吸水させる試験(これを適宜「吸水試験」という。)の前後において、以下の特性を満たすことが好ましい。
即ち、本発明の光拡散性樹脂組成物は、上記吸水試験の前後における全光線透過率の変化(ΔTt)が、通常5%以下、中でも2%以下、更には1%以下であることが好ましい。この全光線透過率の変化(ΔTt)が大き過ぎると、光拡散性や色調の変化が大きくなってしまい、長時間の安定した使用が困難となり好ましくない。
また、本発明の光拡散性樹脂組成物は、上記吸水試験の前後における、JIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE2)が、通常2以下、中でも1.5以下、更には1.3以下であることが好ましい。この色差(ΔE2)が大き過ぎると、光拡散性や色調の変化が大きくなってしまい、長時間の安定した使用が困難となり好ましくない。
(用途)
本発明の光拡散性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂に適用される各種の成形方法によって、任意の形状・寸法に成形し、光拡散部材として使用される(本発明の光拡散性樹脂組成物を成形したものを適宜「本発明の光拡散部材」という。)。成形の手法は特に制限されず、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、溶融紡糸などの各種の成形法が採用可能である。
なお、得られる成形体(本発明の光拡散部材)の製品としての商品価値を高めるために、本発明の目的を達成する範囲内で、本発明の光拡散性樹脂組成物に対して他の添加剤、例えば無機顔料や光安定剤等を少量添加することができる。更には、得られる成形体(本発明の光拡散部材)の輝度調整等を目的として、成形と同時に又は別個に成形体の表面をマット、プリズム、光学パターン等の形状にすることも可能である。
[II.光拡散部材]
本発明の光拡散部材は、上述した本発明の光拡散性樹脂組成物が成形されてなるものである。本発明の光拡散性樹脂組成物を成形したものでもよく、本発明の光拡散性樹脂組成物の調製と同時にこれを成形したものでもよい。具体的な成形の手法は[I.光拡散性樹脂組成物]の欄で説明した通りである。成形の形状は特に限定されず、光拡散部材の用途に応じて、板状、シート状、フィルム状等の任意の形状とすることが可能である。
中でも、本発明の光拡散部材は、上述の様に、優れた光拡散性を有するとともに、耐光性(特に耐紫外線性)にも優れるという利点を有するため、バックライト装置の光拡散部材に使用されることが好ましい。この場合、バックライト装置としては、紫外線を一部放射する(即ち、放射光として少なくとも紫外線を発する)光源と、前記光源の背面に設けられ、前記光源からの光を反射する反射部材と、前記光源からの直射光及び前記反射部材からの反射光を拡散透過する光拡散部材とを少なくとも備えてなる構成のものが、本発明の光拡散部材を適用した場合における上述の効果が顕著に得られるので好ましい。
また、本発明の光拡散部材は、上述の利点を有するため、液晶ディスプレイの光拡散部材として使用されることも好ましい。液晶ディスプレイは通常、液晶部と、バックライト装置とを少なくとも備えてなるが、本発明の光拡散部材は、このバックライト装置の光拡散部材として用いられることが好ましい。中でも、本発明の光拡散部材が適用されるバックライト装置の構成としては、上述した構成のもの、即ち、紫外線を一部放射する光源と、前記光源の背面に設けられ、前記光源からの光を反射する反射部材と、前記光源からの直射光及び前記反射部材からの反射光を拡散透過する光拡散部材とを少なくとも備えてなる構成のものが特に好ましい。
本発明の光拡散部材が液晶ディスプレイ等のバックライト装置などの用途に使用される場合、通常は板状に成形され、光拡散板として用いられる。光拡散板の厚みは用途に応じて適宜選択されるが、通常0.8mm以上、中でも1mm以上、また、通常10mm以下、中でも5mm以下の範囲が好ましい。
以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。なお、下記の記載中、特に断りのない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を表わすものとする。
[I.諸物性の測定方法及び評価方法]
後述の各実施例中における諸物性の測定方法及び評価方法を以下に示す。
(1)平均粒子径及び変動係数(CV値):
実施例及び比較例によって得られた多孔性シリカ微粒子を、(株)セイシン企業製のレーザー粒度分布計LMS−24で実測することにより、平均粒子径、平均粒子径に対する標準偏差を算出した。
また、粒子径分布の指標として、百分率(%)で示される変動係数(CV値)を次式により求めた。
CV = {(平均粒子径に対する標準偏差)/(平均粒子径)}×100
(2)細孔径:
実施例及び比較例によって得られた多孔性シリカ微粒子の細孔径は、以下の方法により算出した。
半径r、長さlの円筒状の細孔を仮定すると、V(全細孔容積)=πr2l、S(BET比表面積)=2πrlとなる。V/S=(πr2l)/(2πrl)=r/2であるから、r=2V/Sとなり、d(平均細孔直径)=2r=4V/Sである。ここで、S(BET比表面積)は次項の比表面積の測定法により実測した値を使用した。また、V(全細孔容積)は、対象となる多孔性シリカ微粒子を90℃で通風乾燥し、カンタクローム社製AS−6にて窒素ガスの吸着等温線を測定し、P/Po=0.98の時の吸着容量から細孔容積を求めた。
(3)比表面積:
実施例及び比較例によって得られた多孔性シリカ微粒子の比表面積は、対象となる多孔質シリカ微粒子のサンプルについて、カンタクローム社製AS−6にてBET窒素吸着等温線を測定し、P/Po=0.1、0.2、0.3の3点の窒素吸着量からBET多点法を用いて算出した。
(4)一般光学特性(全光線透過率及びヘイズ値):
実施例及び比較例において得られた光拡散部材の一般光学特性(全光線透過率及びヘイズ値)は、ヘイズメータ(DIGITAL HAZE COMPUTER HGM−2DP;スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
(5)光源イメージの消失状況:
実施例及び比較例において得られた光拡散部材の正面輝度を、下記の光源を用い下記方法で測定した。
照明光源:冷陰極管(表面輝度:11430cd/cm2)を4本用いた。
測定配置及び測定方法:冷陰極管4本をそれぞれ25mm間隔で平行に配置し、前記冷陰極管表面から15mm離して幅50mmの成形試験片を設置し、目視にて光源イメージの消失状況を観察し、下記のように記号○、△、×で評価した。
〇 : 光源イメージが消失したもの
△ : 光源イメージがぼやけたもの
× : 光源形状が、はっきり認識できるもの
(6)耐光性の評価:
実施例及び比較例において得られた光拡散部材を縦50mm、横50mmに切断し、厚さ2mmの試験片を得た。耐光性評価試験として、該試験片をキセノンウェザオメーター(CI−65型、アトラス社製)を用いて500時間暴露させた。暴露前後の試験片をカラーコンピューター(SM−4−2、スガ試験機(株)製)を用いて測定し、色差(ΔE1)を測定した。また、測定により得られた色差から、下記基準で耐光性の評価とした。
○ : ΔE1 ≦ 2.0であるもの : 実用上問題のない耐光性。
× : ΔE1 > 2.0であるもの : 耐光性は不良。
(7)飽和吸水率の測定:
実施例及び比較例において得られた光拡散部材を縦50mm、横125mmに切断し試験片を得た。50℃、5mmHg条件下において3日間試験片を真空乾燥させ、絶乾時の試験片の質量を測定した。その後、絶乾した試験片を60℃、湿度80%の条件下で360時間調湿した後、試験片の質量を測定して、60℃、湿度80%の条件下における吸水した試験片の質量とした。これらの値から、次式により百分率(%)で示される飽和吸水率(%)を求めた。
飽和吸水率 = {(吸水した試験片の質量)−(絶乾時の試験片の質量)}/(絶乾時の試験片の質量)×100
(8)吸水による全光線透過率の変化の測定:
実施例及び比較例において得られた光拡散部材を縦50mm、横125mmに切断し試験片を得た。50℃、5mmHg下において3日間成形試験片を真空乾燥させ、絶乾時の試験片の全光線透過率を測定した。その後、絶乾した試験片を60℃、湿度80%条件下で360時間調湿した後、試験片の全光線透過率を測定して、60℃、湿度80%条件下における吸水した試験片の全光線透過率とした。以下、次式により全光線透過率の変化(ΔTt)を求めた。
全光線透過率の変化(ΔTt) = (吸水した試験片の全光線透過率)−(絶乾時の試験片の全光線透過率)
(9)吸水による色調変化の測定:
実施例及び比較例において得られた光拡散部材を縦50mm、横125mmに切断し試験片を得た。50℃、5mmHg下において3日間成形試験片を真空乾燥させ、絶乾時の試験片とした。その後、絶乾した試験片を60℃、湿度80%下で360時間調湿した。調湿前後の試験片をカラーコンピューター(SM−4−2、スガ試験機(株)製)を用いて測定し、色差(ΔE2)を測定した。
(10)吸水による光学特性の安定性の評価:
上述の測定により得られた全光線透過率の変化(ΔTt)及び色差(ΔE2)から、下記基準で吸水による光学特性の安定性の評価とした。
○: ΔTt ≦ 2.0、且つ、ΔE2 ≦ 2.0であるもの:
実用上課題のない安定な光学特性。
×: ΔTt > 2.0、或いは、ΔE2 > 2.0であるもの:
光学特性の安定性は不良。
(11)疎水性の評価(吸湿率の測定):
多孔性シリカ微粒子の疎水性の評価は、吸湿率及びトリメチルシリル基の導入量を測定することにより行なった。
多孔性シリカ微粒子の吸湿率は、多孔性シリカ微粒子を150℃で真空乾燥して恒量させた状態での質量と、25℃、70%の環境雰囲気に投入して恒量させた状態での質量とを測定し、前者の質量に対する後者の質量の増加分として求めた。
トリメチルシリル基の導入量は、1400℃で加熱したときに発生する二酸化炭素及び一酸化炭素を定量することで得られる総カーボン量の測定値から計算した。
(12)金属不純物含有量:
実施例及び比較例によって得られた多孔性シリカ微粒子の金属不純物含有量は、以下の手法で測定した。まず、対象となる多孔質シリカ微粒子のサンプル2.5gにフッ酸を加えて加熱し、乾固させた後、水を加えて50mlとした。この水溶液を用いて誘導結合高周波プラズマ(ICP)分光分析を行なうことにより測定した。
(13)その他:
なお、各実施例及び各比較例における光拡散部材の作製に使用した押出機の構成は、以下の通りである。
・押出機:スクリュー径65mm(L/D=28)、単軸、ベント付き(SE65CVA;東芝機械(株))。
・フィードブロック
・ダイ:Tダイ、リップ幅1000mm、リップ間隔5mm。
・ロール:ポリシングロール3本、縦型。
[II.実施例及び比較例]
(実施例1)
ガラス性で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。80rpmで攪拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6/1である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き攪拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、攪拌を停止した。引き続き0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。その後、ゲルを取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のシリカヒドロゲルを得た。このヒドロゲルをガラス製のバットに広げ、真空乾燥機を使って120℃で恒量となるまで減圧乾燥した。
得られたシリカを、(株)セイシン企業製のSTJ−200型ジェットミル粉砕機を使用し、平均粒子径(セイシン企業製レーザー粒度分布計LMS−24で分析)が5.8μmとなるように粉砕した後、(株)マツボー製エルボージェット分級機LABO型を利用し、D90/D10が2.58になるように分級した。なお、D90はセイシン企業製レーザー粒度分布計LMS−24で測定される粒度分布において体積分率が90%になるときの粒子径を示し、D10は同様に体積分率が10%になるときの粒子径を示している。
得られた多孔性シリカ微粒子50gを、1リットルの丸底フラスコに入れ、500mlのトルエンに分散した。これを沸点に加熱し、蒸留によって50mlの初留を排出することによって、多孔性シリカ微粒子及びトルエン中の水分を共沸現象を利用して除去した。50℃まで冷却の後、ヘキサメチルジシラザン50gを滴下ロートを用いて15分間かけて加え、還流条件で15時間かけて疎水化処理を行なった。冷却後、固形分を濾過により回収し、トルエンとアセトンを用いて洗浄し、真空乾燥することにより、疎水化した多孔質シリカ微粒子(これを以下適宜「(P−1)」で表わす。)を得た。
得られた疎水化多孔質シリカ微粒子の物性を上述の手法により測定したところ、その平均粒子径は5.2μm、変動係数(CV値)は26.5%、細孔径は2.0nm、比表面積は284m2/gであることが確認された。また、吸湿率は2.9%、トリメチルシリル基の含有量は16%であった。
次に、上述の合成法により得られた多孔性シリカ微粒子(P−1)2.0質量%と、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)とをヘンシェルミキサーで混合後、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み2.00mmの光拡散部材を作製した。
(実施例2)
実施例1において得られた多孔性シリカ微粒子(P−1)1.0質量%と、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)とをヘンシェルミキサーで混合後、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み1.98mmの光拡散部材を作製した。
(比較例1)
ガラス性で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。80rpmで攪拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6/1である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き攪拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、攪拌を停止した。引き続き0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。その後、ゲルを取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のシリカヒドロゲルを得た。このヒドロゲルをガラス製のバットに広げ、真空乾燥機を使って120℃で恒量となるまで減圧乾燥した。
得られたシリカを、(株)セイシン企業製のSTJ−200型ジェットミル粉砕機を使用し、平均粒子径(セイシン企業製レーザー粒度分布計LMS−24で分析)が5.8μmとなるように粉砕した後、(株)マツボー製エルボージェット分級機LABO型を利用し、D90/D10が2.58になるように分級した。なお、D90はセイシン企業製レーザー粒度分布計LMS−24で測定される粒度分布において体積分率が90%になるときの粒子径を示し、D10は同様に体積分率が10%になるときの粒子径を示している。
得られたシリカを600℃で2時間加熱処理を行い、多孔性シリカ微粒子(これを以下適宜「(P−2)」で表わす。)を得た。得られた多孔性シリカ微粒子(P−2)の物性を上述の手法により測定したところ、その平均粒子径は5.3μm、変動係数(CV値)は26.5%、細孔径は2.3nm、比表面積は704m2/gであることが確認された。また、吸湿率は25%であった。
次に、上述の合成法により得られた多孔性シリカ微粒子(P−2)1.0質量%と、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)とをヘンシェルミキサーで混合後、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み2.01mmの光拡散部材を作製した。
(比較例2)
比較例1において得られた多孔性シリカ微粒子(P−2)0.5質量%と、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)とをヘンシェルミキサーで混合後、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み2.00mmの光拡散部材を作製した。
(比較例3)
ガラス製で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。80rpmで攪拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6/1である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き攪拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、攪拌を停止した。引き続き0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。その後、ゲルを取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のシリカヒドロゲルを得た。このヒドロゲルをガラス製のバットに広げ、真空乾燥機を使って120℃で恒量となるまで減圧乾燥した。
得られたシリカを、(株)セイシン企業製のSTJ−200型ジェットミル粉砕機を使用し、平均粒子径(セイシン企業製レーザー粒度分布計LMS−24で分析)が5.8μmとなるように粉砕した後、多孔性シリカ微粒子(これを以下適宜「(P−3)」で表わす。)を得た。得られた多孔性シリカ微粒子(P−3)の物性を上述の手法により測定したところ、その平均粒子径は5.8μm、変動係数(CV値)は27.3%、細孔径は2.4nm、比表面積は771m2/gであることが確認された。
次に、上述の合成法により得られた多孔性シリカ微粒子(P−3)2.0質量%と、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)とをヘンシェルミキサーで混合後、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み1.91mmの光拡散部材を作製した。
(比較例4)
市販の真球状ガラス微粒子(EMB−20;平均粒子径は9.3μm、変動係数(CV値)は44.5%、細孔なし、比表面積:2.8m2/g;東芝ポッターズ・バロティーニ(株)製)2.0質量%と、(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)とをヘンシェルミキサーで混合後、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み2.01mmの光拡散部材を作製した。
(比較例5)
(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂(TX−400−300:電気化学工業(株)社製)を、上述の押出機を用いて、樹脂温度235℃で押出成形することにより、幅1000mm、厚み2.00mmの光拡散部材を作製した。
[III.結果及び評価]
上述の各実施例及び各比較例において得られた光拡散部材について、上述の手順に従って各種特性の測定を行なった。得られた評価結果のうち、一般光学特性に関する評価結果(全光線透過率、ヘイズ値)及び耐光性に関する評価結果(色差ΔE1)を表1に、吸水性に関する評価結果(飽和給水率、全光線透過率の変化ΔTt、色差ΔE2)を表2に、総合的な評価結果(光源イメージの消失、耐光性、吸水による光学特性の安定性)を表3にそれぞれ示す。
Figure 2007192866
Figure 2007192866
Figure 2007192866
表1〜表3に記載した実施例1、2と比較例1〜3との結果の比較から、多孔性シリカ微粒子を有機処理することにより、吸水による全光線透過率の変化及び色度の変化が小さく、且つ、耐光性に優れる良好となることが分かる。
また、表1〜表3に記載した比較例1〜3と比較例4、5との結果の比較から、吸水による全光線透過率の変化及び色度差や紫外線による色度差は、多孔性シリカ微粒子を光拡散剤として配合したことより生じていることが分かる。
本発明の光拡散性樹脂組成物及びそれを用いた光拡散部材は、優れた光拡散性を有するとともに、耐光性(特に耐紫外線性)等の耐久性に優れている。よって、照明カバー、照明看板、グレージング、各種のディスプレイ或いは透過型スクリーン等の各種の用途に利用することが可能であるが、特にバックライト装置や液晶ディスプレイ等の用途に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 平均粒子径が1μm以上、30μm以下であり、比表面積が100m2/g以上、400m2/g以下であり、且つ、細孔径が3nm以下である多孔性シリカ微粒子を、透光性樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上、20質量部以下の割合で分散してなるとともに、
    JIS K 7350−2−1995に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後のJIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE1)が2以下である
    ことを特徴とする、光拡散性樹脂組成物。
  2. 60℃、80%Rhの条件下で360時間吸水後の全光線透過率の変化(ΔTt)が2%以下であり、且つ、
    JIS K 7105−1981に規定された色差(ΔE2)が2以下である
    ことを特徴とする、請求項1記載の光拡散性樹脂組成物。
  3. 該多孔性シリカ微粒子が有機処理されている
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光拡散性樹脂組成物。
  4. 該透光性樹脂として、(メタ)アクリル系樹脂及び(メタ)アクリル−スチレン系共重合樹脂の少なくとも何れかを含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の光拡散性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の光拡散性樹脂組成物が成形されてなる
    ことを特徴とする、光拡散部材。
  6. 紫外線を一部放射する光源と、
    前記光源の背面に設けられ、前記光源からの光を反射する反射部材と、
    前記光源からの直射光及び前記反射部材からの反射光を拡散透過する光拡散部材とを少なくとも備えたバックライト装置であって、
    該光拡散部材が、請求項5記載の光拡散部材である
    ことを特徴とする、バックライト装置。
  7. 液晶部と、バックライト装置とを少なくとも備えた液晶ディスプレイであって、
    該バックライト装置が、紫外線を一部放射する光源と、前記光源の背面に設けられ、前記光源からの光を反射する反射部材と、前記光源からの直射光及び前記反射部材からの反射光を拡散透過する光拡散部材とを少なくとも備えてなり、
    該バックライト装置の該光拡散部材が、請求項5記載の光拡散部材である
    ことを特徴とする、液晶ディスプレイ。
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