JPH11250733A - 金属分散ゲル膜およびその製造方法ならびにIn2O3−SnO2薄膜の製造方法 - Google Patents
金属分散ゲル膜およびその製造方法ならびにIn2O3−SnO2薄膜の製造方法Info
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- JPH11250733A JPH11250733A JP18720898A JP18720898A JPH11250733A JP H11250733 A JPH11250733 A JP H11250733A JP 18720898 A JP18720898 A JP 18720898A JP 18720898 A JP18720898 A JP 18720898A JP H11250733 A JPH11250733 A JP H11250733A
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Abstract
も、導電性を有するIn 2O3−SnO2薄膜を形成で
きる方法を提供する。 【手段】 インジウムアルコキシドまたはインジウム金
属塩および錫アルコキシドまたは錫金属塩を出発原料と
して得られたIn2O3−SnO2前駆体ゲル膜に対し
波長が280nm以下である紫外光を照射して、金属イ
ンジウムおよび/または金属錫の微粒子が分散した金属
分散ゲル膜を形成し、その金属分散ゲル膜に対し波長が
600nm以下であるレーザ光を照射する。
Description
ックス、さらには耐熱性に劣るプラスチックスなどの基
体の表面に酸化インジウム(In2O3)−酸化錫(S
nO2)(ITO)の透明導電性薄膜を形成するための
In2O3−SnO2薄膜の製造方法、ならびに、その
In2O3−SnO2薄膜を形成するために使用される
金属分散ゲル膜およびその製造方法に関する。
上に形成するには、例えばジャーナル・オブ・ザ・セラ
ミック・ソサイアティ・オブ・ジャパン(Journa
l of the Ceramic Society
of Japan)102〔2〕、200−205(1
994)に記載されているように、硝酸インジウムと塩
化錫のような金属塩を原料としてIn2O3−SnO2
ゾルを調製し、そのゾルを基板上に塗布して、基板表面
にゲル膜を形成した後、そのゲル膜を550℃の温度で
熱処理することにより、In2O3−SnO2ゲルを結
晶化させるようにしていた。また、In2O3−SnO
2薄膜は、インジウムアルコキシド(Inアルコキシ
ド)および錫アルコキシド(Snアルコキシド)を出発
原料としたゾル−ゲル法によっても形成することがで
き、その場合にも、基板表面にIn2O 3−SnO2ゲ
ル膜を形成した後に、そのゲル膜を500℃以上の温度
で加熱処理して結晶化させるようにしていた。このよう
に、従来、ゾル−ゲル法により形成されたIn2O3−
SnO2ゲル膜を結晶化させるには、高温での加熱処理
が必要であった。
ゲル法によってIn2O3−SnO2薄膜を形成する、
といった方法では、In2O3−SnO2を結晶化させ
て薄膜に導電性を付与するためには、従来、ゲル膜を5
00℃以上の高温で加熱処理して焼成することが必須で
あった。このため、従来の方法によっては、プラスチッ
クスなどのような耐熱性の低い基板上に、導電性を有す
るIn2O3−SnO2薄膜を形成することができなか
った。
されたものであり、プラスチックスなどの耐熱性の低い
基体上にも、導電性を有するIn2O3−SnO2薄膜
を形成することができるIn2O3−SnO2薄膜の製
造方法を提供すること、ならびに、プラスチックスなど
の耐熱性の低い基体上にも、導電性を有するIn2O 3
−SnO2薄膜を形成するために使用される金属分散ゲ
ル膜を提供すること、および、そのような金属分散ゲル
膜を製造することができる金属分散ゲル膜の製造方法を
提供することを目的とする。
InアルコキシドまたはIn金属塩およびSnアルコキ
シドまたはSn金属塩を出発原料として得られ、基体の
表面に薄膜状に形成されて、粒径が100nm以下であ
る金属Inおよび/または金属Snの微粒子が分散し
て、金属分散ゲル膜を構成したことを特徴とする。
金属分散ゲル膜を製造する方法において、Inアルコキ
シドまたはIn金属塩およびSnアルコキシドまたはS
n金属塩を含む溶液から得られるゾルを基体の表面に塗
布して、基体表面にIn2O 3−SnO2前駆体ゲル膜
を形成し、その前駆体ゲル膜に対して波長が280nm
以下である紫外光を照射して、金属Inおよび/または
金属Snの微粒子が分散したゲル膜を得ることを特徴と
する。
ル膜は、普通に考えられる方法、例えば、金属Inおよ
び/または金属Snの微粒子を予め分散させた塗布液を
基体の表面に塗布する、といった方法では得ることがで
きない。すなわち、InやSnは非常に軟らかいため、
それらの金属の微粒子を作製することが困難であり、従
って、Inおよび/またはSnの微粒子を予め分散させ
た塗布液自体を調製することができないからである。こ
れに対し、請求項2に係る発明の製造方法によると、I
nアルコキシドまたはIn金属塩およびSnアルコキシ
ドまたはSn金属塩を含む溶液から得られるゾルを基体
の表面に塗布して形成されたIn2O3−SnO2前駆
体ゲル膜に対し、波長が280nm以下である紫外光を
照射することにより、請求項1に係る発明の金属分散ゲ
ル膜を得ることができる。金属Inや金属Snの微粒子
の形成機構については、明確には分からないが、波長が
280nm以下である紫外光がIn2O3−SnO2前
駆体ゲル膜へ照射されることにより、金属酸化物におけ
るM−O(金属−酸素)結合の開裂が進んで還元反応が
進行するためであると考えられる。そして、同時に、前
駆体ゲル膜中に残存する有機物のO−C(酸素−炭素)
結合も切断される。この結果として、残留有機物量が少
なく金属Inおよび/または金属Snの微粒子が分散し
たゲル膜が得られることとなる。
キシドまたはインジウム金属塩および錫アルコキシドま
たは錫金属塩を含む溶液から得られるゾルを基体の表面
に塗布して、基体表面にIn2O3−SnO2前駆体ゲ
ル膜を形成し、その前駆体ゲル膜に対して波長が280
nm以下である紫外光を照射して、金属インジウムおよ
び/または金属錫の微粒子が分散したゲル膜を得た後、
その金属分散ゲル膜に対して波長が600nm以下であ
るレーザ光を照射して、In2O3−SnO2薄膜を得
ることを特徴とする。
金属Inおよび/または金属Snの微粒子が分散したゲ
ル膜が、波長が600nm以下であるレーザ光を吸収す
ることにより、ゲル膜中のInおよび/またはSnが再
酸化され、ゲル膜が結晶化する。ここで、通常のゲル膜
は、600nm〜280nmの長波長域ではレーザ光の
吸収が起こらないが、ゲル膜中に金属Inや金属Snが
生成していることにより、600nm〜280nmの長
波長域でもレーザ光がゲル膜に吸収され、そのエネルギ
ーによってIn2O3−SnO2相の結晶化が進行する
ことになる。また、この場合、ゲル膜中に分散した金属
Inや金属Snの微粒子の粒径が100nmより大きい
と、ゲル膜へのレーザ光の照射後に、薄膜中に金属が残
存して、In2O3−SnO2薄膜の透過率が低下する
ことになる。したがって、透明性の高いIn2O3−S
nO2薄膜を得るためには、請求項1に係る発明の金属
分散ゲル膜のように、ゲル膜中に分散した金属Inや金
属Snの微粒子の粒径は100nm以下であることが好
ましい。このように、請求項3に係る発明の方法を実施
することにより、加熱処理を行わなくても、結晶性の透
明導電性In2O3−SnO2薄膜が得られることとな
る。
について説明する。
の製造方法では、まず、粒径が100nm以下である金
属Inおよび/または金属Snの微粒子が分散したゲル
膜(以下、「In/Sn分散ゲル膜」という)を基体の
表面に薄膜状に形成する。In/Sn分散ゲル膜は、I
nアルコキシドまたはIn金属塩およびSnアルコキシ
ドまたはSn金属塩を主原料として得られるIn2O3
−SnO2前駆体ゲル膜に、波長が280nm以下であ
る紫外光を照射することにより得られる。In 2O3−
SnO2前駆体ゲル膜は、InアルコキシドまたはIn
金属塩およびSnアルコキシドまたはSn金属塩を含む
溶液から得られるゾルを基体の表面に塗布することによ
り、基体表面に形成される。そして、In/Sn分散ゲ
ル膜に対し、波長が600nm以下であるレーザ光を照
射することにより、加熱処理することなく結晶性の透明
導電性In2O3−SnO2薄膜が得られる。
よびSnの混合比率は、特に限定されないが、より低抵
抗の導電性In2O3−SnO2膜を得るためには、I
n/Sn分散ゲル膜に対しInおよびSnがIn2O3
換算で1重量%〜20重量%含まれることが好ましい。
また、ゲル膜中に分散したInおよび/またはSnの粒
径は、100nm以下であることが好ましい。InやS
nの粒径が100nmより大きいと、In2O3−Sn
O2の前駆体としてIn/Sn分散ゲル膜を使用した場
合に、ゲル膜へのレーザ光の照射後において薄膜中に金
属が残存し、In2O3−SnO2薄膜の透過率が低下
することになる。
布液(ゾル)の調製方法は、特に限定されないが、以下
に、代表的な調製方法を説明する。
ドまたはIn金属塩およびSnアルコキシドまたはSn
金属塩は、均質な塗布液(In2O3−SnO2ゾル)
を調製することが可能であれば、その種類は特に限定さ
れないが、例えば、In原料としては、Inアルコキシ
ドのほか、硝酸インジウム、酢酸インジウム、塩化イン
ジウムなどの金属塩や水酸化インジウムが使用される。
Sn原料としては、Snアルコキシドのほか、硝酸錫や
塩化錫などが使用される。なお、Naなどの不純物の量
が少ない原料を用いることが、高い導電性のIn2O3
−SnO2薄膜を得るためには好ましい。
ドおよびSnアルコキシドとしては、含有酸化物濃度、
入手の容易さなどから、それぞれアルコキシル基の炭素
数が1〜4であるものが好ましい。例えば、Inアルコ
キシドとしては、Inメトキシド、Inエトキシド、I
nプロポキシドおよびInブトキシドが使用される。ま
た、Snアルコキシドとしては、Snメトキシド、Sn
エトキシド、SnプロポキシドおよびSnブトキシドが
使用される。InアルコキシドおよびSnアルコキシド
はそれぞれ、1種類のものを使用するようにしてもよい
し、2種以上のものを組み合わせて使用するようにして
もよい。アルコキシドのうちのInアルコキシドとSn
アルコキシドとの含有割合は、得ようとするIn2O3
−SnO 2のうちの酸化インジウムと酸化錫との割合に
合わせ、Inアルコキシド/Snアルコキシドの混合モ
ル比を、例えば97/3〜80/20の範囲とする。ま
た、In金属塩としては、酢酸インジウムなどの有機塩
や、塩化物、硝酸塩などの無機塩が使用されるが、酢酸
塩が特に好ましい。また、Sn金属塩についても同様で
ある。そして、アルコキシドと金属塩とを組み合わせて
使用することも可能である。
剤としては、出発原料および加水分解に用いる水が可溶
であれば、単一溶剤でも混合溶剤でもよく、特に限定さ
れず、例えば極性溶剤と非極性溶剤との組合せでも使用
可能である。水を添加する温度域での粘度や除去の容易
さから、アルコールやアミド類などが用いられる。ま
た、トルエンや炭化水素などの非極性溶剤の併用も可能
である。例えば、アルコールとしては、炭素数が1〜5
であるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ールなどの1級アルコール、エチレングリコールやプロ
ピレンアルコールなどの2級アルコール、2−メトキシ
エタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエ
タノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどのアル
コキシアルコキシドが用いられる。また、酸アミド類と
しては、ホルムアミドやN,N−ジメチルホルムアミド
(DMF)などが用いられる。そのほか、トルエンなど
の芳香族、ヘキサンやシクロヘキサンなどの炭化水素、
酢酸メチルや酢酸エチルなどのエステル類、アセトニト
リルなどが用いられる。
るために、アルコキシドまたは金属塩を含む溶液にモノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノー
ルアミンなどのアルカノールアミン、アセチルアセト
ン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどのβ−ジ
ケトン類などを添加するようにしてもよい。また、アル
コキシドを含む溶液の加水分解には、例えばアルコキシ
ドの0.05モル倍〜2モル倍の水が用いられ、より好
ましくは0.5モル倍〜1.5モル倍の水が用いられ
る。この加水分解には、酸触媒および/または塩基触媒
を用いるようにしてもよく、好ましくは、塩酸などの鉱
酸や酢酸などの有機酸が用いられる。なお、金属塩を使
用する場合には、加水分解しなくてもよい。
製されると、その塗布液を基板の表面に塗布し、それを
乾燥させて基板表面にIn2O3−SnO2前駆体ゲル
膜を形成する。塗布液の塗布方法は、特に限定されず、
通常行われるディップコート法、スピンコート法、フロ
ーコート法、スプレイコート法などが用いられる。
照射には、280nm以下の波長の光を含む光源が用い
られる。波長が280nmより長い光のみでは、目的と
するIn/Sn分散ゲル膜を得ることができない。この
ため、低圧水銀ランプ、280nm以下の波長の紫外光
を放出可能であるエキシマランプやエキシマレーザなど
が使用される。光照射強度や照射時間は、塗布液の種
類、In/Sn比、前駆体ゲル膜の厚みなどにより適宜
決定されるが、In2O3−SnO2薄膜を得るために
は、照射後におけるゲル膜の透過率が20%以上となる
ことが好ましい。また、照射後におけるゲル膜の透過率
が20%未満となると、次の工程でIn/Sn分散ゲル
膜へレーザ光を照射した後に金属が残存し、In2O3
−SnO2薄膜の透過率が低下することになるため、照
射後におけるIn/Sn分散ゲル膜の透過率は30%〜
60%であることがより好ましい。
れると、そのゲル膜に対してレーザ光を照射する。この
場合の光源としては、波長が600nm以下である光を
照射するものが使用される。波長が600nmより長い
光を基板上のIn/Sn分散ゲル膜に照射すると、基板
が加熱されることになるため、プラスチックスなどの耐
熱性に劣る基板の表面にIn2O3−SnO2薄膜を形
成することができなくなる。光源としては、ArFエキ
シマレーザ、KrClエキシマレーザ、KrFエキシマ
レーザ、XeClエキシマレーザ、XeFエキシマレー
ザ、Arレーザ(488nm、515nmなど)、Kr
レーザなどの気体レーザ、YAGレーザの2倍波(53
0nm)、3倍波(353nm)および4倍波(266
nm)などの高調波、ルビーレーザの2倍波、3倍波お
よび4倍波などの高調波などの固体レーザなどが使用さ
れる。また、これらの光源のうちの2つもしくはそれ以
上のものを組み合わせて使用することも可能である。レ
ーザ光の照射出力や照射時間(ショット数)は、ゲル膜
やレーザの種類により適宜選定される。そして、In/
Sn分散ゲル膜に対してレーザ光が照射されることによ
り、ゲル膜中のInおよび/またはSnが再酸化され、
ゲル膜が結晶化して、基板の表面に結晶性の透明導電性
In2O3−SnO2薄膜が形成される。
ついて説明する。
成〕トリ-t-ブトキシインジウムとテトラ-s-ブトキシ
錫とを、その混合モル比が9:1となるように2−ブタ
ノール−DMF(1:1)混合溶剤に溶解させた後、そ
の溶液に添加したときにIn2O3およびSnO2の固
形分濃度が5重量%となるように0.1N塩酸−2−ブ
タノール混合液(H2O/(In+Sn)=0.7(モ
ル比))を調製し、その塩酸−2−ブタノール混合液を
アルコキシドの溶液に添加した。これにより、均質で透
明な塗布液(In2O3−SnO2ゾル)を得た。この
得られた塗布液をスピンコータ(500rpm×10秒
→2,000rpm×30秒)によりシリカガラス上に
塗布した後、100℃の温度で1時間乾燥させ、得られ
たIn2O3−SnO2前駆体ゲル膜に、110Wの低
圧水銀ランプを用いて光源から3cm離れた位置で紫外
光を3時間照射した。
膜は黒化し、550nmの波長の光に対するゲル膜の透
過率は32%であった。得られたゲル膜には、図1に示
すように、薄膜X線回折により金属Inおよび金属Sn
の生成が確認された。なお、図1には、低圧水銀ランプ
による紫外光の照射時間を3時間としたものの他、照射
時間を0時間したもの(In2O3−SnO2前駆体ゲ
ル膜)、1時間としたもの、6時間としたものおよび1
2時間としたものも併せて示した。図1中、下から順番
に、照射時間を0時間、1時間、3時間、6時間および
12時間としたそれぞれのゲル膜の薄膜X線回折パター
ンである。また、透過型電子顕微鏡(TEM)による観
察の結果、インジウムの粒径は10nm〜20nmであ
った。
O2薄膜の形成〕上記した実施例1で得られたIn/S
n分散ゲル膜に、各種のレーザ光を照射した。これによ
り、結晶性のIn2O3−SnO2薄膜が得られた。レ
ーザ光の照射条件と得られた結果とを表1にまとめて示
す。表1中、「比抵抗」の値は、4探針法により測定し
た(三菱化学製、ロレスタ・MP、MCP−T350を
使用)シート抵抗値と膜厚とから算出し、「透過率」
は、石英基板をレファレンスとして550nmの波長の
光で測定した。
nO2薄膜の膜厚を段差計により測定したところ、いず
れの膜厚も約100nmであった。さらに、いずれの薄
膜においても、薄膜X線回折によりIn2O3−SnO
2相の結晶化が確認され、導電性が発現した。実施例2
により得られたIn2O3−SnO2薄膜の薄膜X線回
折パターンを図2に示す。
製された塗布液(In2O3−SnO2ゾル)を用い、
実施例1と同じ条件でPET上にIn/Sn分散ゲル膜
を形成した。そして、得られたIn/Sn分散ゲル膜に
ArFエキシマレーザ光を照射した。これにより、結晶
性のIn2O3−SnO2薄膜が得られ、その薄膜の比
抵抗値は、6×10−2Ωcmであった。
製された塗布液(In2O3−SnO2ゾル)を用いて
シリカガラス上に形成された塗布膜を加熱処理により結
晶化させたところ、その結晶化には、280℃の温度で
1時間の焼成が必要であった。また、その条件での焼成
により得られたIn2O3−SnO2薄膜の比抵抗値
は、5×10 −1Ωcmであった。また、上記した各実
施例による場合と同レベルの比抵抗値を有するIn2O
3−SnO2薄膜を得るためには、600℃の温度での
焼成が必要であった。
成〕トリ-t-ブトキシインジウムとテトラ-s-ブトキシ
錫とを、その混合モル比が9:1となるように2−ブタ
ノール−DMF(1:1)混合溶剤に溶解させ、さらに
インジウムと等モルのアセチルアセトンを添加した後、
その溶液に添加したときにIn2O3およびSnO2の
固形分濃度が5重量%となるように1N塩酸−2−ブタ
ノール混合液(H2O/In=0.6(モル比))を調
製し、その塩酸−2−ブタノール混合液をアルコキシド
の溶液に添加した。これにより、均質で透明な塗布液
(In2O3−SnO2ゾル)を得た。この得られた塗
布液をスピンコータ(500rpm×5秒→2,000
rpm×15秒)によりシリカガラス上に塗布した後、
110℃の温度で30分間乾燥させ、これにより、割れ
の無いIn2O3−SnO2前駆体ゲル膜が得られた。
得られたゲル膜に、低圧水銀ランプ(10mW/c
m2)を用いて紫外光を5時間照射した。紫外光の照射
によりシリカガラス上のゲル膜は黒化した。得られたゲ
ル膜のX線回折パターンを図3に示す。
nO2薄膜の形成〕上記した実施例7で得られたIn/
Sn分散ゲル膜に、各種のレーザ光を照射した。これに
より、結晶性のIn2O3−SnO2薄膜が得られた。
レーザ光の照射条件と得られた結果とを表2にまとめて
示す。表2中、「比抵抗値」は、4探針法により測定し
た(三菱化学製、ロレスタ・MP、MCP−T350を
使用)シート抵抗値と膜厚とから算出し、「透過率」
は、石英基板をレファレンスとして550nmの波長の
光で測定した。
製された塗布液(In2O3−SnO2ゾル)を用いて
シリカガラス上に形成された塗布膜を加熱処理により結
晶化させたところ、その結晶化には、350℃以上の温
度で1時間の焼成が必要であった。また、600℃の温
度で塗布膜を焼成したときに最も低い比抵抗値の3.8
×10− 2Ωcmとなった。
成〕水酸化インジウムを酢酸と無水酢酸との混合溶液中
に添加し、その溶液を24時間還流させた後、溶液を濾
過して、酢酸インジウムを得た。得られた酢酸インジウ
ムを1−プロパノール中に分散させ、その溶液にインジ
ウムと等モルのジエタノールアミンとテトラ-t-ブトキ
シ錫とを添加し、さらに、最終的な酸化物濃度が5重量
%となるように溶液を調製した後、その溶液を1時間還
流させて、透明な塗布液(In2O3−SnO2ゾル)
を得た。この得られた塗布液をスピンコータ(500r
pm×5秒→2,000rpm×15秒)によりシリカ
ガラス上に塗布した後、110℃の温度で30分間乾燥
させ、これにより、割れの無い塗布膜が得られた。続い
て、得られた塗布膜に低圧水銀ランプ(10mW/cm
2)を用いて、紫外光を5時間照射した。低圧水銀ラン
プからの紫外光の照射により、上記した実施例7におけ
る場合と同様に、塗布膜中に金属インジウムが生成し、
膜は黒化した。
SnO2薄膜の形成〕上記した実施例15で得られたI
n/Sn分散ゲル膜に、各種のレーザ光を照射した。こ
れにより、結晶性のIn2O3−SnO2薄膜が得られ
た。レーザ光の照射条件と得られた結果とを表2にまと
めて示す。
調製された塗布液(In2O3−SnO2ゾル)を用い
てシリカガラス上に形成された塗布膜を加熱処理により
結晶化させたところ、その結晶化には、300℃以上の
温度で1時間の焼成が必要であった。また、600℃の
温度で塗布膜を焼成したときに最も低い比抵抗値の8.
8×10 −3Ωcmとなった。
成〕硝酸インジウム無水物とテトラ-t-ブトキシ錫とを
2−エトキシエタノール中に添加し、その混合溶液を室
温で20時間撹拌することにより、透明な溶液が得られ
た。得られた溶液を濾過した後、その溶液(塗布液)を
スピンコータ(500rpm×5秒→2,000rpm
×15秒)によりシリカガラス上に塗布した後、110
℃の温度で30分間乾燥させ、これにより、割れの無い
塗布膜が得られた。続いて、得られた塗布膜に低圧水銀
ランプ(10mW/cm2)を用いて、紫外光を20分
間照射した。低圧水銀ランプからの紫外光の照射によ
り、上記した実施例7における場合と同様に、塗布膜中
に金属インジウムが生成し、膜は黒化した。そして、本
実施例の方法では、上記した実施例1、7、15におけ
る場合に比べて短時間の紫外光照射により、In/Sn
の生成による膜の黒化が達成された。
SnO2薄膜の形成〕上記した実施例18で得られたI
n/Sn分散ゲル膜に、各種のレーザ光を照射した。こ
れにより、結晶性のIn2O3−SnO2薄膜が得られ
た。レーザ光の照射条件と得られた結果とを表2にまと
めて示す。
調製された塗布液(In2O3−SnO2ゾル)を用い
てシリカガラス上に形成された塗布膜を加熱処理により
結晶化させたところ、その結晶化には、300℃以上の
温度で1時間の焼成が必要であった。また、450℃〜
600℃の温度での焼成により得られたIn2O3−S
nO2薄膜の比抵抗値は、約8×10−3Ωcmであっ
た。
得られたIn2O3−SnO2薄膜は、金属分散ゲル膜
に対して照射されたレーザ光の波長に関係なく、全ての
場合において明確なIn2O3−SnO2相の結晶化が
認められ、導電性が発現した。そして、薄膜の比抵抗値
は、レーザ光の波長よりも出発原料に依存し、実施例8
〜14においてアルコキシドを出発原料として得られた
In2O3−SnO2薄膜では、比抵抗値が5〜8×1
0−3Ωcmとなったのに対し、実施例16および実施
例17において水酸化インジウムを出発原料として得ら
れたIn2O3−SnO2薄膜、ならびに、実施例19
および実施例20において硝酸インジウムを出発原料と
して得られたIn2O3−SnO2薄膜では、比抵抗値
が2〜4×10−3Ωcmとなった。また、得られたI
n2O3−SnO2薄膜の透過率は、何れも90%前後
であった。
ば、加熱処理を行わなくても結晶性のIn2O3−Sn
O2薄膜を製造することが可能であり、耐熱性に劣るプ
ラスチックス基板上にも、結晶性の導電性In2O3−
SnO2薄膜を形成することが可能になる。
従い、図4の(a)に部分拡大縦断面図を示すように、
シリカガラス1上にIn2O3−SnO2前駆体ゲル膜
2を形成した後、図4の(b)に示すように、前駆体ゲ
ル膜2に紫外光3を照射し、図4の(c)に示すよう
に、得られたIn/Sn分散ゲル膜4に、パターニング
用フォトマスク5を通してArFエキシマレーザ光6を
照射した。これにより、図4の(d)に示すように、レ
ーザ光6が照射された部分7だけが透明となり導電性I
n2O3−SnO2がパターニングされた薄膜8が得ら
れた。さらに、薄膜8を180℃の温度で24時間加熱
処理することにより、図4の(e)に示すように、薄膜
8の、レーザ光が照射されていない部分9も透明となっ
た薄膜10が得られた。但し、薄膜10の、レーザ光が
照射されていない部分9では、導電性は発現しなかっ
た。
の形成方法では、図5に部分拡大縦断面図を示すよう
に、シリカガラス1上に段差の有るIn2O3−SnO
211のパターニングしかできなかったが、この発明に
係る方法を応用すると、図4の(e)に示したように、
段差の無いIn2O3−SnO2のパターニングが可能
になる。また、この発明に係る方法において得られるI
n/Sn分散ゲル膜は、ブラックマスク等としての利用
も可能である。
使用すると、そのゲル膜に対して波長が600nm以下
であるレーザ光を照射することにより、加熱処理を行わ
なくても、結晶性の透明導電性In2O3−SnO2薄
膜を得ることができ、プラスチックスなどの耐熱性の低
い基体上にも、導電性を有するIn2O3−SnO2薄
膜を形成することができる。また、請求項1に係る発明
は、段差の無いIn2O 3−SnO2のパターニングへ
の応用も可能である。さらに、請求項1に係る発明の金
属分散ゲル膜は、ブラックマスク等としての利用も可能
である。
普通に考えられる方法では得ることができない、請求項
1に係る発明の金属分散ゲル膜を得ることができる。
加熱処理を行わなくても、結晶性の透明導電性In2O
3−SnO2薄膜を得ることができ、プラスチックスな
どの耐熱性の低い基体上にも、導電性を有するIn2O
3−SnO2薄膜を形成することができる。また、請求
項3に係る発明は、段差の無いIn2O3−SnO2の
パターニングへの応用も可能である。
/Sn分散ゲル膜の薄膜X線回折パターンの変化を示す
図である。
2O3−SnO2薄膜の薄膜X線回折パターンを示す図
である。
分散In2O3−SnO2前駆体ゲル膜のX線回折パタ
ーンを示す図である。
分拡大縦断面図である。
ニングの状態を示す部分拡大縦断面図である。
薄膜 9 レーザ光の非照射部分 10 パターニングされたIn2O3−SnO2薄膜
Claims (3)
- 【請求項1】 インジウムアルコキシドまたはインジウ
ム金属塩および錫アルコキシドまたは錫金属塩を出発原
料として得られ、基体の表面に薄膜状に形成されて、粒
径が100nm以下である金属インジウムおよび/また
は金属錫の微粒子が分散してなることを特徴とする金属
分散ゲル膜。 - 【請求項2】 インジウムアルコキシドまたはインジウ
ム金属塩および錫アルコキシドまたは錫金属塩を含む溶
液から得られるゾルを基体の表面に塗布して、基体表面
にIn2O3−SnO2前駆体ゲル膜を形成し、その前
駆体ゲル膜に対して波長が280nm以下である紫外光
を照射して、金属インジウムおよび/または金属錫の微
粒子が分散したゲル膜を得ることを特徴とする、金属分
散ゲル膜の製造方法。 - 【請求項3】 インジウムアルコキシドまたはインジウ
ム金属塩および錫アルコキシドまたは錫金属塩を含む溶
液から得られるゾルを基体の表面に塗布して、基体表面
にIn2O3−SnO2前駆体ゲル膜を形成し、その前
駆体ゲル膜に対して波長が280nm以下である紫外光
を照射して、金属インジウムおよび/または金属錫の微
粒子が分散したゲル膜を得た後、その金属分散ゲル膜に
対して波長が600nm以下であるレーザ光を照射する
ことを特徴とする、In2O3−SnO2薄膜の製造方
法。
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---|---|---|---|
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JP36804097 | 1997-12-29 | ||
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100374894B1 (ko) * | 2000-06-22 | 2003-03-06 | 이영춘 | 이온빔 보조 전자빔 진공증착기를 이용하여 수지계기판에투명 아이티오 도전박막을 형성하는 방법 |
JP2010097728A (ja) * | 2008-10-14 | 2010-04-30 | Osaka Univ | 透明導電膜の形成方法 |
JP2022507747A (ja) * | 2018-12-28 | 2022-01-18 | セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド | 見込み生産のパターン化された透明導電層 |
WO2023136363A1 (ja) * | 2022-01-17 | 2023-07-20 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | 導電性部材及び該導電性部材の製造方法 |
-
1998
- 1998-07-02 JP JP18720898A patent/JP4080065B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US11460748B2 (en) | 2018-12-28 | 2022-10-04 | Sage Electrochromics, Inc. | Made-to-stock patterned transparent conductive layer |
US12013622B2 (en) | 2018-12-28 | 2024-06-18 | Sage Electrochromics, Inc. | Made-to-stock patterned transparent conductive layer |
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JP4080065B2 (ja) | 2008-04-23 |
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