JP2000026120A - In2O3−SnO2前駆体塗布液の製造方法およびIn2O3−SnO2薄膜の製造方法 - Google Patents
In2O3−SnO2前駆体塗布液の製造方法およびIn2O3−SnO2薄膜の製造方法Info
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Abstract
や膜特性に悪影響を与える元素を含む基板の表面にも良
好な微細組織と優れた特性を有するIn2O3−SnO
2薄膜をより低温で形成できる方法を提供する。 【手段】 硝酸塩を出発原料としエチレングリコール、
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレン
グリコールおよびプロピレングリコールモノアルキルエ
ーテルからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の
溶剤を用いてIn 2O3−SnO2塗布液を調製し、そ
の塗布液を基体の表面に塗布して塗布膜を形成し、塗布
膜に対し波長が280nm以下である紫外光を照射し
て、塗布膜中に金属インジウムおよび/または金属錫を
析出させた後、塗布膜に対し波長が600nm以下であ
るレーザ光を照射してIn2O3−SnO2を結晶化さ
せる。
Description
ックス、プラスチックスなどの基体の表面に、低温での
結晶化が可能である導電性の酸化インジウム−酸化錫
(In2O3−SnO2;ITO)薄膜を形成させるた
めに用いられるIn2O3−SnO2前駆体塗布液を製
造する方法、ならびに、その塗布液を用いて加熱処理す
ることなく結晶化が可能である導電性のITO薄膜を製
造する方法に関し、特に、硝酸インジウムを出発原料と
してIn2O3−SnO2前駆体塗布液を製造する方法
およびITO薄膜を製造する方法に関する。
グ法、CVD法などの乾式プロセスや、金属アルコキシ
ドを出発原料としてゾル−ゲル法により基板の表面に形
成された塗布膜を適当な温度で加熱処理する方法、金属
塩を出発原料とした噴霧分解法などの乾式プロセスによ
り製造されている。
は、透明導電性のITO薄膜の形成に最も広く用いられ
ている方法であるが、処理が真空プロセスで行われるた
め、ITO薄膜を形成しようとする基板の形状や大きさ
が制約される、といった問題点がある。また、CVD法
では、出発原料としての揮発性のインジウムおよび錫の
確保が必要であり、また、それぞれの原料物質の組成比
の制御が難しい、といった問題点がある。
O薄膜を形成する方法は、所望の化学量論比の膜を容易
に得ることが可能である。
製造する方法では、一般に、シリコンアルコキシドを除
く金属アルコキシドの加水分解速度が非常に速いため、
成膜可能な均質なゾルを調製することが困難である。そ
こで、金属アルコキシドの加水分解速度を抑制するため
の幾つかの方法が検討されている。
る方法としては、例えば、金属アルコキシドの濃度を極
端に低くすることにより、塗布液の均質な成膜を可能に
する方法がある。しかしながら、この方法は、1回の成
膜工程で得られる膜厚が非常に薄くなるため、工業的な
見地からは有効な方法ではない。
て、金属アルコキシドを安定化させる方法が幾つか提案
されている。例えば、マテリアルズ・リサーチ・ソサイ
アティ・シンポジウム・プロシーディングズ(Mate
rials Research Society Sy
mposium Proceedings) 346,
p469(1994)やマテリアルズ・リサーチ・ソサ
イアティ・シンポジウム・プロシーディング 271,
p401(1992)には、インジウムアルコキシドを
出発原料とし、アルカノールアミンを併用して、ITO
薄膜を製造する方法が開示されている。
2)には、硝酸インジウムと硝酸錫をアセチルアセトン
に溶解させた後、成膜、熱分解させることにより、IT
O薄膜を作成する方法が開示されている。さらに、日本
セラミックス協会学術論文誌102,200(199
4)には、複合酸化物としてのIn2O3−SnO2ゾ
ルの調製のために、金属アルコキシドに代えて硝酸イン
ジウムと塩化錫を使用して、コロイド粒子を合成する方
法が開示されている。
では、金属酸化物を結晶化させるために、400℃〜7
00℃程度の温度での加熱処理が必要である。たとえ
ば、マテリアルズ・リサーチ・ソサイアティ・シンポジ
ウム・プロシーディング 271,p401(199
2)、窯業協会誌 90,p9(1982)および日本
セラミックス協会学術論文誌 102,200(199
4)に記載されている各方法では、それぞれ400℃、
450℃および550℃以上の温度での加熱処理が必要
であった。このため、プラスチックスなどのような耐熱
性の低い基体上にITO薄膜を形成することができなか
った。また、Na等の元素を多く含む基板では、数百℃
の加熱処理による膜中への数百ppm〜数%のNa成分
の拡散により、高導電率のITO薄膜を形成することが
非常に難しかった。
たゾル−ゲル法では、高純度のIn 2O3−SnO2塗
布液を合成することが困難であり、このため、高品位の
ITO薄膜を形成することが難しい、といった問題点が
ある。
り金属アルコキシドの加水分解速度を抑制する方法によ
れば、均質な塗布液を容易に調製することができるが、
得られた塗布膜中に多くの有機物が残留することにな
る。この結果、その残留物の除去のために塗布膜を50
0℃程度の高温で加熱処理することが必要になる。ま
た、塗布膜中に多くの有機物が残存するため、塗布膜を
加熱処理すると膜の重量減少が大きくなる。言い換える
と、塗布膜からの有機物の除去によって膜中に多くの気
孔が生成し、欠陥となり易い。そして、膜の微細組織を
改善するためには、余分なエネルギーが必要となる。
は、基本的には熱分解法であり、加熱処理後の膜質に多
くの問題を生じることになる。
されたものであり、硝酸塩を出発原料とするゾル−ゲル
法を用いて基体の表面にITO薄膜を形成する場合にお
いて、安定性に優れた高純度のIn2O3−SnO2前
駆体塗布液を得ることができ、高品位のITO薄膜を得
ることを可能にするIn2O3−SnO2前駆体塗布液
の製造方法を提供すること、ならびに、塗布膜中からの
残留物除去のために高温で塗布膜の加熱処理を行う必要
が無くて、耐熱性の低い基体上やNaなどのように膜特
性に悪影響を与える元素を多く含む基板の表面にも、良
好な微細組織と優れた特性を有するITO薄膜をより低
温で形成することができるITO薄膜の製造方法を提供
することを目的とする。
硝酸インジウムを出発原料としてIn2O3−SnO 2
前駆体塗布液を製造する方法において、エチレングリコ
ール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロ
ピレングリコールおよびプロピレングリコールモノアル
キルエーテルからなる群より選ばれた1種もしくは2種
以上の溶剤を用いることを特徴とする。
造方法において、出発原料である硝酸インジウムとし
て、予め脱水処理された硝酸インジウムを用いることを
特徴とする。
出発原料としてIn2O3−SnO 2塗布液を調製し、
その塗布液を被塗布物の表面に塗布して塗布膜を形成
し、その塗布膜を形成するIn2O3−SnO2を結晶
化させてITO薄膜を得るITO薄膜の製造方法におい
て、前記In2O3−SnO2塗布液を調製する際に、
エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキル
エーテル、プロピレングリコールおよびプロピレングリ
コールモノアルキルエーテルからなる群より選ばれた1
種もしくは2種以上の溶剤を用い、前記塗布膜に対して
波長が280nm以下であるレーザ光を照射してIn2
O3−SnO2を結晶化させることを特徴とする。
出発原料としてIn2O3−SnO 2塗布液を調製し、
その塗布液を被塗布物の表面に塗布して塗布膜を形成
し、その塗布膜を形成するIn2O3−SnO2を結晶
化させてITO薄膜を得るITO薄膜の製造方法におい
て、前記In2O3−SnO2塗布液を調製する際に、
エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキル
エーテル、プロピレングリコールおよびプロピレングリ
コールモノアルキルエーテルからなる群より選ばれた1
種もしくは2種以上の溶剤を用い、前記塗布膜に対して
波長が280nm以下である紫外光を照射し、塗布膜中
に金属インジウムおよび/または金属錫を析出させた
後、金属インジウムおよび/または金属錫が析出した塗
布膜に対して波長が600nm以下であるレーザ光を照
射してIn2O3−SnO2を結晶化させることを特徴
とする。
求項4記載の製造方法において、出発原料である硝酸イ
ンジウムとして、予め脱水処理された硝酸インジウムを
用いることを特徴とする。
安定性に優れた高純度のIn2O3−SnO2前駆体塗
布液が得られることになる。請求項1に係る発明は、硝
酸インジウムを出発原料としてIn2O3−SnO2前
駆体塗布液を製造する場合に、エチレングリコール、エ
チレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレング
リコールおよびプロピレングリコールモノアルキルエー
テルからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の溶
剤を用いることが有効であることを新たに見出してなさ
れたものである。
予め脱水処理された硝酸インジウムを出発原料に用いる
ことにより、得られたIn2O3−SnO2前駆体塗布
液の成膜性などが向上することになる。
高純度のIn2O3−SnO2前駆体塗布液が得られ、
その塗布液を用いてITO薄膜が形成されるので、高品
位のITO薄膜を得ることが可能になる。そして、塗布
液を被塗布物の表面に塗布して形成された塗布膜に対し
て波長が280nm以下であるレーザ光が照射され、こ
れによってIn2O3−SnO2が結晶化させられるの
で、加熱処理を行わなくても、結晶性の透明導電性IT
O薄膜が得られることとなる。
高純度のIn2O3−SnO2前駆体塗布液が得られ、
その塗布液を用いてITO薄膜が形成されるので、高品
位のITO薄膜を得ることが可能になる。そして、塗布
液を被塗布物の表面に塗布して形成された塗布膜に対し
て波長が280nm以下である紫外光が照射されること
により、塗布膜中に金属インジウムおよび/または金属
錫が析出する。この理由は、明確には分からないが、2
80nm以下の紫外光を塗布膜が吸収することにより、
化学結合の切断と再結合が進行するからであると考えら
れる。この金属インジウムおよび/または金属錫が析出
した塗布膜が、波長が600nm以下であるレーザ光を
吸収することにより、塗布膜中のインジウムおよび/ま
たは錫が再酸化され、塗布膜を形成するIn2O3−S
nO2が結晶化する。ここで、通常のゲル膜は、600
nm〜280nmの長波長域ではレーザ光の吸収が起こ
らないが、ゲル膜中に金属インジウムや金属錫が生成し
ていることにより、600nm〜280nmの長波長域
でもレーザ光が塗布膜に吸収され、そのエネルギーによ
ってIn2O3−SnO2相の結晶化が進行することに
なる。このように、請求項4に係る発明の方法を実施す
ることにより、加熱処理を行わなくても、結晶性の透明
導電性In2O3−SnO2薄膜が得られることとな
る。
予め脱水処理された硝酸インジウムを出発原料に用いる
ことにより、得られたIn2O3−SnO2前駆体塗布
液の成膜性などが向上し、このような塗布液を用いてI
TO薄膜が形成されるので、より高品位のITO薄膜を
得ることが可能になる。
について説明する。
は、硝酸インジウムと錫アルコキシドまたは錫塩とを出
発原料として、In2O3−SnO2前駆体塗布液を調
製し、その塗布液を被塗布物の表面に塗布して塗布膜を
形成し、その塗布膜を形成するIn2O3−SnO2を
結晶化させて導電性のITO薄膜を得る。
して用いられる硝酸インジウムは、後述する溶剤に容易
に溶解し、その分解温度も低い。硝酸インジウム中のN
a不純物量は、10ppm以下であることが好ましく、
5ppm以下であることがより好ましい。なお、硝酸塩
以外のインジウム塩は、後述する殆どの溶剤に対して不
溶であり、均質な塗布液を得ることができない。
ンジウムは、予め脱水処理しておくことが好ましい。硝
酸インジウムを脱水処理することで、得られる塗布液
の、各種基板に対する塗れ性が向上し、より膜質の優れ
たITO薄膜が最終的に得られることになる。
塩、塩化物などの金属塩が用いられる。錫アルコキシド
または錫塩は、均質な塗布液を調製することが可能であ
れば、その種類は特に限定されないが、例えば、錫アル
コキシドとしては、含有酸化物濃度、入手の容易さなど
から、アルコキシル基の炭素数が1〜4であるものが好
ましい。例えば、錫アルコキシドとしては、錫メトキシ
ド、錫エトキシド、錫プロポキシド、錫ブトキシドなど
が使用される。錫アルコキシドは、1種類のものを使用
するようにしてもよいし、2種以上のものを組み合わせ
て使用するようにしてもよい。また、金属アルコキシド
と金属塩とを組み合わせて使用することも可能である。
錫原料中のNa不純物量は、10ppm以下であること
が好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。
塩との含有割合は特に限定されないが、より低抵抗のI
TO薄膜を得るためには、In2O3−SnO2のうち
にSnO2が1重量%〜20重量%だけ含まれるような
割合とすることが好ましい。
び、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノー
ル、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノー
ルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル、プ
ロピレングリコール、ならびに、1−メトキシ−2−プ
ロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのプ
ロピレングリコールモノアルキルエーテルからなる群よ
り選ばれた1種のもの、あるいは2種以上のものを組み
合わせて使用する。
が、代表的な調製方法を説明すると、まず、硝酸インジ
ウムを溶剤に添加し、硝酸インジウムを溶剤と反応させ
て、硝酸基を部分的にアルコキシル基に置換させ、In
(NO3)3−X(OR)X(Rはアルキル基、x=2
〜3)とする。錫原料は、この反応が終了した後に添加
してもよいし、予め溶剤に添加していてもよいが、塗布
液中に錫原料が共存することで、In(NO3)3−X
(OR)X溶液が安定化するため、予め混合させておく
ことが好ましい。また、得られた反応溶液を加熱処理す
ることも可能である。さらに、得られた反応生成物In
(NO3)3−X(OR)Xの重合を促進させるため
に、水の添加による部分加水分解を行わせるようにして
もよい。この際の水の添加量は、インジウムと錫との混
合比率などによって異なるため、特定することはできな
い。また、触媒として酸または塩基が適宜併用される。
使用する触媒は特に限定されないが、高純度材料を得る
ためには、金属成分を含まない化合物が好ましい。例え
ば、酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの鉱酸、
炭酸、ほう酸、蟻酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸が用
いられる。また、塩基としては、アンモニア、アミン類
などが用いられる。
O3−SnO2前駆体塗布液は、成膜したい基体上に塗
布することにより、基体の表面に塗布膜を形成する。塗
布の方法として、ディップコート、スピンコート、フロ
ーコート、バーコートなど、一般に実施されている方法
を利用することができる。
ど、目的に応じた処理が施されることにより、In2O
3−SnO2相が結晶化されて、導電性のITO薄膜が
形成される。
晶化する場合は、例えば、塗布膜に対して波長が280
nm以下であるレーザ光を照射する。あるいは、塗布膜
に対して波長が280nm以下である紫外光を照射し、
塗布膜中に金属インジウムおよび/または金属錫を析出
させた後、金属インジウムおよび/または金属錫が析出
した塗布膜に対して波長が600nm以下であるレーザ
光を照射する。
しては、波長が280nm以下であるレーザ光を照射可
能なものであれば特に限定されないが、例えば、ArF
エキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、シンクロトロ
ン放射光、YAGレーザ4倍波などが使用される。ま
た、これらの光源のうちの2つもしくはそれ以上のもの
を組み合わせて使用することも可能である。
金属錫を析出させるための紫外光の光源としては、28
0nm以下の波長の光を含む光源が用いられる。波長が
280nmより長い光のみでは、目的とする金属インジ
ウムおよび/または金属錫が分散した塗布膜を得ること
ができない。このため、低圧水銀ランプ、280nm以
下の波長の紫外光を放出可能であるエキシマランプやエ
キシマレーザなどが使用される。光照射強度や照射時間
は、塗布液の種類、In/Sn比、塗布膜の厚みなどに
より適宜決定されるが、ITO薄膜を得るためには、照
射後における塗布膜の透過率が20%以上となることが
好ましい。また、照射後における塗布膜の透過率が20
%未満となると、次の工程で塗布膜へレーザ光を照射し
た後に金属が残存し、ITO薄膜の透過率が低下するこ
とになるため、照射後における塗布膜の透過率は30%
〜60%であることがより好ましい。
出した塗布膜に対してレーザ光を照射する光源として
は、波長が600nm以下である光を照射することがで
きるものであれば、特に限定されない。波長が600n
mより長い光を基板上の塗布膜に照射すると、基板が加
熱されることになるため、プラスチックスなどの耐熱性
に劣る基板の表面にITO薄膜を形成することができな
くなる。光源としては、ArFエキシマレーザ、KrC
lエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、XeClエ
キシマレーザ、XeFエキシマレーザ、Arレーザ、K
rレーザなどの気体レーザ、YAGレーザの2倍波、3
倍波および4倍波などの高調波、ルビーレーザの2倍
波、3倍波および4倍波などの高調波などの固体レーザ
などが使用される。また、これらの光源のうちの2つも
しくはそれ以上のものを組み合わせて使用することも可
能である。レーザ光の照射出力や照射時間(ショット
数)は、塗布膜やレーザの種類により適宜選定される。
そして、金属インジウムおよび/または金属錫が析出し
た塗布膜に対してレーザ光が照射されることにより、塗
布膜中のインジウムおよび/または錫が再酸化され、塗
布膜を形成するIn2O3−SnO2が結晶化して、基
板の表面に透明導電性のITO薄膜が形成される。
て説明する。
−t−ブトキシ錫とを、固形分濃度が5重量%となるよ
うに各種の溶剤に添加し、その溶液を室温で攪拌するこ
とにより、In2O3−SnO2塗布液を調製した。原
料の配合割合や合成条件を表1にまとめて示す。なお、
硝酸インジウム中のNa不純物量は、3ppmであっ
た。
水和物を105℃の温度で5時間、油圧ポンプを用いた
真空乾燥器により脱水処理した後、得られた硝酸インジ
ウムを用いて、上記した実施例1〜10と同様の操作に
より、In2O3−SnO2塗布液を調製した。原料の
配合割合や合成条件を表2にまとめて示す。
年以上放置しても、その特性に大きな変化は認められな
かった。
溶剤として2−ブタノールを用いて塗布液を調製した。
しかしながら、均質なIn2O3−SnO2塗布液は得
られなかった。
ムとテトラ−t−ブトキシ錫(In/Sn=9/1モル
比)とを2−ブタノールに添加し、さらにその溶液にイ
ンジウムと等モルのアセチルアセトンを添加して、アル
コキシド混合溶液を調製した。また、アルコキシド混合
溶液に添加したときにIn2O3の固形分濃度が5重量
%となるように、0.1N塩酸−2−ブタノール混合液
(H2O/Inのモル比は0.8)を調製し、その混合
液を室温でアルコキシド混合溶液に添加し、加水分解に
よりIn2O3−SnO2塗布液を得た。ここで用いた
トリ−t−ブトキシインジウムには、0.1%のNaが
不純物として混入していた。
記した実施例13、14および比較例2でそれぞれ得ら
れたIn2O3−SnO2塗布液を、スピンコータを使
用して1,000rpmの回転数でシリカ基板の表面に
塗布し、基板上に成膜した。これにより、いずれの場合
にも、外観上均質な塗布膜が得られた。それぞれ得られ
た塗布膜を各種の温度で1時間、大気中で加熱処理した
後、得られた薄膜の膜厚および抵抗値について評価し
た。膜厚は、段差計を使用して測定した。比抵抗値は、
4端子法によりシート抵抗を求め、膜厚の値を用いて換
算した(三菱化学製、ロレスタ・MP、MCP−T35
0を使用)。得られた薄膜の特性を表3にまとめて示
す。
例13、14でそれぞれ得られたIn2O3−SnO2
塗布液を用いて成膜した塗布膜では、450℃の温度で
の焼成により、既に最低の比抵抗値が得られている。こ
れまでの報告では、最低の比抵抗値を得るためには、塗
布膜を600℃〜800℃の温度での焼成が必要であ
り、実際に、比較例2で得られたIn2O3−SnO2
塗布液を用いて成膜した塗布膜では、600℃の温度で
の焼成において比抵抗値が最低になった。
カ基板の表面に1回塗布して成膜したときのものである
が、実施例14で得られたIn2O3−SnO2塗布液
をシリカ基板の表面に5回塗布して成膜した後、焼成す
ると、膜厚が220nmで比抵抗値が2.1×10−3
ΩcmであるITO薄膜が得られた。
−SnO2塗布液を成膜してシリカ基板上に形成された
塗布膜に対し、各種の光源からそれぞれレーザ光を照射
した。これにより、結晶性のITO薄膜が得られた。レ
ーザ光の照射条件や得られた薄膜の特性を表4にまとめ
て示す。
n2O3−SnO2塗布液を成膜してシリカ基板上に形
成された塗布膜に対し、波長が280nmより長いレー
ザ光を各種の条件で照射した。この結果、In2O3−
SnO2の結晶化は認められず、導電性も発現しなかっ
た。レーザ光の照射条件や得られた薄膜の特性を表4に
まとめて示す。
例19〜21におけるように、波長が280nm以下で
あるレーザ光を塗布膜へ照射すると、光源の種類に拘わ
らず、加熱処理することなくIn2O3−SnO2相の
結晶化が認められ、約9×10−3Ωcmの比抵抗値を
有する透明導電性のITO薄膜が得られた。これに対
し、比較例3、4におけるように、波長が280nmよ
り長いレーザ光を塗布膜へ照射しても、塗布膜に変化は
認められなかった。
たIn2O3−SnO2塗布液を成膜してシリカ基板上
に形成された塗布膜に、低圧水銀ランプ(10mW/c
m2)を用いて、紫外光を30分間照射した。紫外光の
照射により、シリカ基板上の塗布膜中に金属インジウム
が生成し、膜は黒化した。得られた塗布膜のX線回折パ
ターンを図1に示す。さらに、金属インジウムが生成さ
れた塗布膜に対し、各種のレーザ光を照射した。これに
より、結晶性のITO薄膜が得られた。レーザ光の照射
条件および得られたITO薄膜の特性を表5にまとめて
示す。
塗布膜に対し280nm以下の波長の紫外光を照射し
て、塗布膜中に金属インジウムを析出させることによ
り、実施例25で示した通りより長波長のレーザ光の照
射によっても、In2O3−SnO2の結晶化が可能に
なる。また、表4に示した結果と比較すれば明らかなよ
うに、予め塗布膜に対し280nm以下の波長の紫外光
を照射して塗布膜中に金属インジウムを析出させた後に
レーザ光を照射すると、透過率が良くなる。言い換えれ
ば、予め塗布膜へ紫外光を照射した後にレーザ光を照射
することにより、レーザ光の照射による塗布膜のダメー
ジを低減させることができ、より高品質のITO薄膜を
得ることができる。
る方法によれば、安定性に優れた高純度のIn2O3−
SnO2前駆体塗布液を調製することができる。そし
て、In2O3−SnO2塗布膜に対して波長が280
nm以下であるレーザ光を照射することにより、加熱処
理を行うことなく結晶性のITO薄膜を製造することが
可能である。また、予めIn2O3−SnO2塗布膜に
対して波長が280nm以下である紫外光を照射するこ
とにより、波長が600nm以下であるレーザ光の照射
によってもIn2O3−SnO2の結晶化が可能にな
る。このように、この発明に係る方法によると、耐熱性
の劣るプラスチックス基板上などにも、結晶性の導電性
ITO薄膜を形成することが可能である。
と、安定性に優れた高純度のIn2O3−SnO2前駆
体塗布液を得ることができ、高品位のITO薄膜を得る
ことが可能となる。
性などがより向上したIn2O3−SnO2前駆体塗布
液を得ることができ、より高品位のITO薄膜を得るこ
とが可能となる。
造方法によるとそれぞれ、耐熱性の低い基体上やNaな
どのように膜特性に悪影響を与える元素を多く含む基板
の表面にも、良好な微細組織と優れた特性を有するIT
O薄膜をより低温で形成することができる。
高品位のITO薄膜を得ることができる。
属インジウムが析出した塗布膜のX線回折パターンを示
す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 硝酸インジウムを出発原料としてIn2
O3−SnO2前駆体塗布液を製造する方法において、 エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキル
エーテル、プロピレングリコールおよびプロピレングリ
コールモノアルキルエーテルからなる群より選ばれた1
種もしくは2種以上の溶剤を用いることを特徴とするI
n2O3−SnO2前駆体塗布液の製造方法。 - 【請求項2】 硝酸インジウムが、予め脱水処理された
硝酸インジウムである請求項1記載のIn2O3−Sn
O2前駆体塗布液の製造方法。 - 【請求項3】 硝酸インジウムを出発原料としてIn2
O3−SnO2塗布液を調製し、その塗布液を被塗布物
の表面に塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を形成す
るIn2O3−SnO2を結晶化させてIn2O3−S
nO2薄膜を得るIn2O3−SnO2薄膜の製造方法
において、 前記In2O3−SnO2塗布液を調製する際に、エチ
レングリコール、エチレングリコールモノアルキルエー
テル、プロピレングリコールおよびプロピレングリコー
ルモノアルキルエーテルからなる群より選ばれた1種も
しくは2種以上の溶剤を用い、前記塗布膜に対して波長
が280nm以下であるレーザ光を照射してIn2O3
−SnO2を結晶化させることを特徴とするIn2O3
−SnO 2薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 硝酸インジウムを出発原料としてIn2
O3−SnO2塗布液を調製し、その塗布液を被塗布物
の表面に塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を形成す
るIn2O3−SnO2を結晶化させてIn2O3−S
nO2薄膜を得るIn2O3−SnO2薄膜の製造方法
において、 前記In2O3−SnO2塗布液を調製する際に、エチ
レングリコール、エチレングリコールモノアルキルエー
テル、プロピレングリコールおよびプロピレングリコー
ルモノアルキルエーテルからなる群より選ばれた1種も
しくは2種以上の溶剤を用い、前記塗布膜に対して波長
が280nm以下である紫外光を照射し、塗布膜中に金
属インジウムおよび/または金属錫を析出させた後、金
属インジウムおよび/または金属錫が析出した塗布膜に
対して波長が600nm以下であるレーザ光を照射して
In2O3−SnO2を結晶化させることを特徴とする
In2O3−SnO2薄膜の製造方法。 - 【請求項5】 硝酸インジウムが、予め脱水処理された
硝酸インジウムである請求項3または請求項4記載のI
n2O3−SnO2薄膜の製造方法。
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