JPH11246761A - ポリアリーレンスルフィドの硬化方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの硬化方法

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JPH11246761A
JPH11246761A JP10067677A JP6767798A JPH11246761A JP H11246761 A JPH11246761 A JP H11246761A JP 10067677 A JP10067677 A JP 10067677A JP 6767798 A JP6767798 A JP 6767798A JP H11246761 A JPH11246761 A JP H11246761A
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JP
Japan
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integer
aromatic compound
linear
group
aromatic
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Application number
JP10067677A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Inoue
井上  敏
Hidenori Yamanaka
秀徳 山中
Osamu Komiyama
治 小味山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 短時間の熱処理で効率良くポリアリーレンス
ルフィドを硬化する方法を提供する。 【構成】 (A)ポリアリーレンスルフィド及び(B)
少なくとも一つの芳香族環を持つ芳香族化合物を配合
し、気相酸化性雰囲気下で(A)の融点未満の温度に加
熱してポリアリーレンスルフィドを硬化する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィドの硬化方法に関し、更に詳しくはポリアリーレンス
ルフィドを気相酸化性雰囲気下で加熱処理してポリアリ
ーレンスルフィドを硬化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアリーレンスルフィド(以下
ではPASと略すことがある)の溶融粘度を高めるため
に、一般にはPASを気相酸化性雰囲気下でその融点以
下の温度に加熱することにより行われていた。しかし、
所定の溶融粘度を有するPASを得るためには、長時間
に亘って加熱しなければならないという問題があった。
加熱時間を短縮する方法として、硬化促進剤を添加する
方法が知られている。例えば、硬化促進剤として、R‐
SHを使用する方法(米国特許第3,386,950号
明細書)、硫黄、チウラムポリスルフィド及び有機過酸
化物の混合物を使用する方法(米国特許第3,699,
087号明細書)、硫酸、スルホン酸ハロゲン化物又は
その他の含硫黄系化合物を使用する方法(米国特許第
3,839,301号明細書及び同第4,421,91
0号明細書)、過酸化水素、次亜塩素酸アルカリ金属塩
を使用する方法(米国特許第3,931,419号明細
書)、ヘキサメトキシメチルメラミンを使用する方法
(米国特許第3,998,767号明細書)がある。し
かし、これらの方法では、加熱時間の短縮は未だ不十分
であった。
【0003】また、硬化促進剤として、アセチルアセト
ンの金属キレートを使用する方法(特開昭61‐213
262号公報)、特定の金属ハロゲン化物(特開昭61
‐213263号公報)を使用する方法が提案されてい
る。これらの方法では、短時間で効率良く硬化し得る
が、得られたPAS中に金属が混入するために、その用
途が制限されるという欠点があった。
【0004】更に加熱時間を短縮する方法として、オゾ
ンの存在下に熱処理する方法(特開昭59‐1535号
公報)、又は遠赤外線により200〜270℃に加熱し
て熱処理する方法(特開平6‐65376号公報)が開
示されている。しかし、オゾン供給設備あるいは遠赤外
線照射装置等の特殊な設備が必要であり、既存の熱処理
設備により実施できないため設備投資等の面から工業的
に不利であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
がなく、短時間の熱処理で効率良くポリアリーレンスル
フィドを硬化する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく種々の検討を行った。その結果、下記所定
の芳香族化合物を使用して熱処理すれば、意外にも、著
しく短い熱処理時間でPASを硬化させ得ることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(1)(A)ポリアリー
レンスルフィド及び(B)少なくとも一つの芳香族環を
持つ芳香族化合物を配合し、気相酸化性雰囲気下で
(A)の融点未満の温度に加熱してポリアリーレンスル
フィドを硬化する方法である。
【0008】成分(B)芳香族化合物が酸素雰囲気下で
加熱されると、酸化による熱分解が生じ、そのラジカル
が発生する。(B)はいずれかの芳香族環に少なくとも
一つの置換基を有する芳香族化合物であることが好まし
い。該化合物を使用すれば、より低温で容易に、芳香族
環の側鎖あるいは芳香族環の間の結合が切断されて、そ
のラジカルが発生する。これら芳香族化合物のラジカル
がPASに作用して、PASの熱酸化重合を著しく促進
するものと推定される。従って、(B)は少なくとも一
つの芳香族環を有することが必須であるが、芳香族環の
置換基の形態、即ち、芳香族環の持つ側鎖の形態又は芳
香族環の間の結合の形態には特に制限はない。
【0009】好ましい態様として、(2)(B)が1〜
5個の芳香族環を有する芳香族化合物である上記(1)
記載の方法、(3)(B)が1〜3個の芳香族環を有す
る芳香族化合物である上記(1)記載の方法、(4)
(B)がいずれかの芳香族環に少なくとも一つの置換基
を有する芳香族化合物である上記(1)〜(3)のいず
れか一つに記載の方法、(5)(B)が沸点200〜4
50℃の芳香族化合物である上記(1)〜(4)のいず
れか一つに記載の方法、(6)(B)が下記式(I)〜
(VI)で表される化合物である上記(1)記載の方法
【0010】
【化2】 (ここで、R1 は夫々独立して、炭素数10〜13個
の、直鎖又は分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を
示し、aは1〜6の整数を示し;R2 及びR3 は夫々独
立して、炭素数16〜18個の、直鎖若しくは分岐のア
ルキル基又はシクロアルキル基を示し、bは1〜4の整
数を示し、cは1〜4の整数を示し;R4 及びR5 は夫
々独立して、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分岐のアル
キル基を示し、dは0〜5の整数を示し、eは0〜5の
整数を示し;R6 及びR7 は夫々独立して、炭素数1〜
3個の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示し、fは0〜
5の整数を示し、gは0〜5の整数を示し;R8 及びR
9 は夫々独立して、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分岐
のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ハロゲン、
イソシアナト基、又はニトロ基を示し、Aは、炭素数1
〜3個の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、‐S‐、‐
SO2 ‐、‐C(O)‐、又は‐O‐を示し、hは0〜
5の整数を示し、iは0〜5の整数を示し;R10及びR
11は夫々独立して、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分岐
のアルキル基を示し、jは0〜5の整数を示し、kは0
〜5の整数を示す。)、(7)(B)が下記式(i)〜
(v)で表される化合物である上記(1)記載の方法
【0011】
【化3】 (ここで、Rは、炭素数12個の直鎖又は分岐のアルキ
ル基を示す)、(8)(A)100重量部及び(B)
0.05〜10重量部を配合する上記(1)〜(7)の
いずれか一つに記載の方法、(9)(A)100重量部
及び(B)0.5〜2.0重量部を配合する上記(1)
〜(7)のいずれか一つに記載の方法、(10)気相酸
化性雰囲気下で200〜270℃の温度に加熱する上記
(1)〜(9)のいずれか一つに記載の方法を挙げるこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において使用する(B)芳
香族化合物は少なくとも一つの芳香族環を有する。これ
によりPASの熱酸化重合を著しく促進することができ
る。(B)の芳香族環数の上限は好ましくは5個、特に
好ましくは3個である。上記上限を超えては、コスト等
の観点から好ましくない。(B)芳香族化合物の沸点
は、下限が好ましくは200℃、特に好ましくは250
℃であり、上限が好ましくは450℃、特に好ましくは
400℃である。上記下限未満では、熱処理中の該化合
物の蒸発を防ぐために加圧下での実施が必要となり、上
記上限を超えては、本発明の熱処理温度においてラジカ
ルを良好に生ずる化合物の範囲が限定され実用性の面か
ら好ましくない。該芳香族化合物は、いずれかの芳香族
環に少なくとも一つの置換基を有するものが好ましい。
該置換基は、脂肪族基、芳香族基、脂環族基又はこれら
の組合せのいずれでもよく、また、いわゆる官能基、例
えばヒドロキシル基、アミノ基、イソシアナト基、ニト
ロ基、ハロゲン等であってもよい。また、脂肪族基、芳
香族基、脂環族基又はこれらの組合せは、例えば‐S
‐、‐SO2 ‐、‐C(O)‐、‐O‐等の結合を介し
て芳香族環に連結されていてもよく、あるいはこれらの
結合を脂肪族基、芳香族基、脂環族基又はこれらの組合
せの中に有していてもよい。
【0013】上記の芳香族化合物(B)としては、好ま
しくは上記式(I)〜(VI)、及び下記式で示される化
合物が用いられる。
【0014】
【化4】 特に好ましくは、上記式(i)〜(v)で示される化合
物が使用される。芳香族化合物(B)はこれらを単独で
使用しても2種類以上混合して使用しても良い。
【0015】また、芳香族化合物(B)として、有機熱
媒体油又は芳香族炭化水素系合成油を用いることができ
る。例えば、新日鐵化学株式会社製サームエスシリーズ
(サームエス200S、サームエス300、サームエス
600、サームエス700、サームエス800、サーム
エス900)、綜研化学株式会社製KSK‐OILシリ
ーズ(KSK‐OIL260、KSK‐OIL28
0)、Neo SK‐OILシリーズ(Neo SK‐
OIL330、Neo SK‐OIL240、Neo
SK‐OIL1300、Neo SK‐OIL140
0)、松村石油株式会社製バーレルサームシリーズ(バ
ーレルサーム1H、バーレルサーム2H、バーレルサー
ム200、バーレルサーム300、バーレルサーム33
0、バーレルサーム350、バーレルサーム400)、
同バーレルプロセス油シリーズ(バーレルプロセス油B
‐03、バーレルプロセス油B‐04AB、バーレルプ
ロセス油B‐22、バーレルプロセス油B‐34、バー
レルプロセス油B‐28AN、バーレルプロセス油B‐
18、バーレルプロセス油B‐27、バーレルプロセス
油B‐05、バーレルプロセス油B‐DB)等が挙げら
れる。
【0016】本発明において使用する(A)PASに特
に制限はないが、好ましくは実質的に非架橋構造のPA
Sが使用される。PASは粉末状であることが好まし
い。該PASは、フローテスターを用い、温度300
℃、荷重20kgf/cm2 及びL/D=10の条件にて6分
間保持した際の溶融粘度V6 が、好ましくは50〜5,
000ポイズであり、より好ましくは100〜2,00
0ポイズである。
【0017】このようなPASは、従来公知の方法によ
り製造することができる。例えば、ジハロ芳香族化合物
とアルカリ金属硫化物とを有機アミド溶媒中で反応させ
る方法(特公昭45‐3368号公報)、アルカリ金属
カルボン酸塩を使用する方法(特公昭52‐12240
号公報)、ハロゲン化リチウム等の重合助剤を使用する
方法(米国特許第4038263号明細書)、ポリハロ
芳香族化合物等の架橋剤を使用する方法(特公昭54‐
8719号公報)、又は異なる水の存在量下、多段階反
応を使用する方法(特公昭63‐33775号公報)、
あるいは反応缶の気相部分を冷却して、気相の一部を液
相に還流せしめる方法(特開平5‐222196号公
報)等により製造し得る。
【0018】上記方法のうち、特開平5‐222196
号公報記載の方法により製造したPASが特に好まし
い。該方法は、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化
物とジハロ芳香族化合物とを反応させPASを製造する
方法において、反応缶の気相部分を冷却することにより
反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せ
しめることを特徴とする、PASの製造法である。
【0019】この重合方法において、還流される液体
は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに
比較して水含有率が高い。この水含有率の高い還流液
は、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する。その
結果、残存のアルカリ金属硫化物(例えばNa2 S)、
ハロゲン化アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマ
ー等が、その層に多く含有されるようになる。従来法に
おいては230℃以上の高温下で、生成したPASとN
2 S等の原料及び副生成物とが均一に混じりあった状
態では、高分子量のPASが得られないばかりでなく、
せっかく生成したPASの解重合も生じ、チオフェノー
ルの副生成が認められる。しかし、本発明では、反応缶
の気相部分を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多
量に液相上部に戻してやることによって上記の不都合な
現象が回避でき、反応を阻害するような因子を真に効率
良く除外でき、高分子量PASを得ることができるもの
と思われる。但し、本発明は上記現象による効果のみに
より限定されるものではなく、気相部分を冷却すること
によって生じる種々の影響によって、高分子量のPAS
が得られるのである。
【0020】この重合方法においては、従来法のように
反応の途中で水を添加することを要しない。しかし、水
を添加することを全く排除するものではない。但し、水
を添加する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失
われる。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量
は反応の間中一定である。
【0021】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0022】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0023】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1
モル当り0.5〜2.5モル、特に0.8〜1.2モル
とする。2.5モルを超えては、反応速度が小さくな
り、しかも反応終了後の濾液中にフェノール等の副生成
物量が増大し、重合度も上がらない。0.5モル未満で
は、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ること
ができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ず
る。
【0024】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0025】ここで使用する有機アミド系溶媒は、PA
S重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロ
リドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、
N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプロラク
タム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好ま
しい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0026】アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえ
ば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物であ
る。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、こ
れらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞ
れに対応する水酸化物で中和して用いることができる。
安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0027】ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭4
5‐3368号公報記載のものから選ぶことができる
が、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量
(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニル
スルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ
物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例
えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼン、
p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジ
クロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェ
ニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホ
ン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´
‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビ
フェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐
ジクロロビフェニルである。
【0028】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物を、パラ及びメ
タジハロ芳香族化合物の合計量に対して好ましくは5モ
ル%以下の濃度で使用することもできる。
【0029】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0030】本発明において、(A)100重量部に対
して、好ましくは(B)0.05〜10重量部、特に好
ましくは(B)0.5〜2.0重量部を配合する。成分
(B)が上記下限未満では、酸化による硬化速度の向上
が不十分であり熱処理時間の短縮が不十分であり、上記
上限を超えては、硬化速度が高すぎて溶融粘度の制御が
困難となったり、PASのゲル化を生ずることがある。
【0031】芳香族化合物(B)は、PAS(A)を酸
化架橋反応させる際に存在していればよい。例えばPA
Sに芳香族化合物(B)を予め添加しておいても、PA
Sを酸化架橋装置に添加する際に同時に芳香族化合物
(B)を添加しても、あるいはPASを装置に添加して
おいて、芳香族化合物(B)を添加しつつ酸化架橋を行
ってもよい。芳香族化合物(B)を予めPASに添加す
る方法としては、次のような方法が使用できる。例えば
芳香族化合物(B)が粉体である場合、ヘンシェルミキ
サー等を用いてドライブレンドする方法がある。また芳
香族化合物(B)が常温で液体である場合には、芳香族
化合物(B)をPASに噴霧して分散させる方法があ
る。これ以外の方法として、芳香族化合物(B)が粉体
である場合、これを溶解する適当な揮発性溶媒(例えば
メタノール、エタノール、アセトン、エーテル類、クロ
ロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、テトラヒドロ
フラン等)に溶解させた後に、添加する方法が挙げられ
る。また芳香族化合物(B)が液体でありこれを溶解す
る適当な揮発性溶媒がある場合には、適当な濃度に希釈
してPASに添加する方法などが挙げられる。
【0032】本発明の加熱処理は、気相酸化性雰囲気下
でPASの融点未満の温度で加熱することにより実施す
る。加熱処理を行う温度は、好ましくは180〜270
℃、特に好ましくは200〜270℃である。該温度が
上記下限未満では、硬化速度が不十分で加熱処理に要す
る時間が増加し、上記上限を越えては、硬化速度が高く
なり過ぎて溶融粘度の制御ができず、またPASのゲル
化を生ずる。また、加熱処理に要する時間は、上記の加
熱温度等により異なるが、好ましくは0.5〜300時
間、特に好ましくは1〜96時間である。該時間が、上
記下限未満では,熱処理の効果が十分に得られず、上記
上限を越えては、PAS粒子同志が融着しやすくなり、
二次粒子が著しく大きくなったり、容器壁への付着が生
じ好ましくない。
【0033】該加熱処理は、好ましくは空気、純酸素等
又はこれらと任意の適当な不活性ガスとの混合物のよう
な酸素含有ガスの気相酸化性雰囲気下で実施される。不
活性ガスとしては、例えば水蒸気、窒素、二酸化炭素等
又はそれらの混合物が挙げられる。上記の酸素含有ガス
中の酸素の濃度は、好ましくは0.5〜50体積%,特
に好ましくは10〜25体積%である。該酸素濃度が、
上記上限を越えてはラジカル発生量が増大し溶融時の増
粘が著しくなり、また色相が暗色化して好ましくなく、
上記下限未満では、熱酸化速度が遅くなり好ましくな
い。
【0034】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0035】
【実施例】溶融粘度V6 は島津製作所製フローテスター
CFT‐500Cを用いて測定した値である。
【0036】(A)PASとして、下記のようにして合
成した二種類のPPSを使用した。合成例1 4m3 のオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(6
0.7重量%Na2 S)515.4kgとN‐メチル‐
2‐ピロリドン(以下ではNMPと略すことがある)1
200kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら204
℃まで昇温して、水125.4kgを留出させた。その
後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、p
‐ジクロロベンゼン(以下ではp‐DCBと略すことが
ある)610.7kg及びNMP400kgを仕込ん
だ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cm2
まで加圧して昇温を開始した。液温が215℃になった
時点からオートクレーブ上部の外側に取り付けた散水装
置により水を散水し、オートクレーブ上部を冷却した。
その後、昇温を継続して液温を260℃とし、次いで、
該温度で2時間攪拌し反応を進めた。次に、降温させる
と共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。オートクレ
ーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に保持
した。
【0037】得られた重合スラリーを濾過して溶媒を除
去し、次に含溶媒濾過ケーキを窒素気流中、220℃で
約6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS
粉末に常法により水洗浄、濾過を繰り返した後、120
℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥して白色粉末状の
PPSを得た。得られたPPS(P‐1)のV6 は23
0ポイズであった。
【0038】合成例2 p‐DCB613.8kgを使用した以外は、合成例1
と同様にして白色粉末状のPPSを得た。得られたPP
S(P‐2)のV6 は170ポイズであった。(B)芳
香族化合物として、下記の化合物を使用した。 ・単環芳香族化合物:上記式(i)で示されたジドデシ
ルベンゼン ・二環芳香族化合物:上記式(ii)で示されたビフェニル 上記式(iv)で示されたビスフェノールA 上記式(v) で示された4,4´‐ジアミノジフェニルス
ルホン ・三環芳香族化合物:上記式(iii) で示されたテルフェ
ニル
【0039】
【実施例1〜8及び比較例1】表1に示す量の各(A)
PPS及び(B)芳香族化合物を、5m3 の熱酸化処理
装置に仕込み、室温で30分間攪拌混合した。次いで、
槽内温度を220℃として攪拌し、24時間、48時
間、96時間及び192時間経過した時点で、夫々10
0gPPSをサンプリングした。各試料について溶融粘
度V6 を測定して熱処理の進行状況を評価した。
【0040】以上の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 *1:カッコ内はPPS100重量部に対する(B)の
重量部 実施例1及び2は、(B)として単環芳香族化合物を使
用し、かつその配合量を変えたものである。(B)の配
合量を増加すれば、PPSの溶融粘度の増加速度をより
高くできることが分かった。実施例3は、PPSの種類
を変えたものである。実施例1と同様に著しく迅速に溶
融粘度を高めることができた。実施例4〜6は、二環芳
香族化合物を使用したものである。同様に迅速に溶融粘
度を高めることができた。ビフェニルを用いたもので
は、多少溶融粘度の増加が遅いが本発明の効果を損なう
ものではなかった。実施例7及び8は、三環芳香族化合
物を用いたものである。いずれも溶融粘度の増加は多少
遅かったが本発明の効果を損なうものではなかった。ま
た、(B)の配合量を増加すれば、溶融粘度の増加速度
をより高くできることは上記と同様であった。
【0042】比較例1は、(B)を配合しなかったもの
である。PPSの溶融粘度の増加速度は著しく低いもの
であった。
【0043】
【発明の効果】本発明は、短時間の熱処理で効率良くポ
リアリーレンスルフィドを硬化する方法を提供する。ま
た、金属化合物を硬化促進剤として使用しないため、得
られたPASの用途が制限されることがない。更に、既
存の熱処理設備により実施し得ることから工業的にも有
利である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアリーレンスルフィド及び
    (B)少なくとも一つの芳香族環を持つ芳香族化合物を
    配合し、気相酸化性雰囲気下で(A)の融点未満の温度
    に加熱してポリアリーレンスルフィドを硬化する方法。
  2. 【請求項2】 (B)が1〜5個の芳香族環を有する芳
    香族化合物である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 (B)が1〜3個の芳香族環を有する芳
    香族化合物である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 (B)がいずれかの芳香族環に少なくと
    も一つの置換基を有する芳香族化合物である請求項1〜
    3のいずれか一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 (B)が沸点200〜450℃の芳香族
    化合物である請求項1〜4のいずれか一つに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 (B)が下記式(I)〜(VI)で表され
    る化合物から選ばれる芳香族化合物である請求項1記載
    の方法 【化1】 (ここで、R1 は夫々独立して、炭素数10〜13個
    の、直鎖又は分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を
    示し、aは1〜6の整数を示し;R2 及びR3 は夫々独
    立して、炭素数16〜18個の、直鎖若しくは分岐のア
    ルキル基又はシクロアルキル基を示し、bは1〜4の整
    数を示し、cは1〜4の整数を示し;R4 及びR5 は夫
    々独立して、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分岐のアル
    キル基を示し、dは0〜5の整数を示し、eは0〜5の
    整数を示し;R6 及びR7 は夫々独立して、炭素数1〜
    3個の直鎖若しくは分岐のアルキル基を示し、fは0〜
    5の整数を示し、gは0〜5の整数を示し;R8 及びR
    9 は夫々独立して、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分岐
    のアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ハロゲン、
    イソシアナト基、又はニトロ基を示し、Aは、炭素数1
    〜3個の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、‐S‐、‐
    SO2 ‐、‐C(O)‐、又は‐O‐を示し、hは0〜
    5の整数を示し、iは0〜5の整数を示し;R10及びR
    11は夫々独立して、炭素数1〜3個の直鎖若しくは分岐
    のアルキル基を示し、jは0〜5の整数を示し、kは0
    〜5の整数を示す。)。
  7. 【請求項7】 (A)100重量部及び(B)0.05
    〜10重量部を配合する請求項1〜6のいずれか一つに
    記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007308612A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Toray Ind Inc ポリフェニレンスルフィド樹脂、その製造方法およびそれからなる成形品

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