JPH11246654A - 液晶性ポリエステルの製造方法およびその成形品 - Google Patents

液晶性ポリエステルの製造方法およびその成形品

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JPH11246654A
JPH11246654A JP5218398A JP5218398A JPH11246654A JP H11246654 A JPH11246654 A JP H11246654A JP 5218398 A JP5218398 A JP 5218398A JP 5218398 A JP5218398 A JP 5218398A JP H11246654 A JPH11246654 A JP H11246654A
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JP
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liquid crystalline
crystalline polyester
aromatic
prepolymer
polymerization
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JP5218398A
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English (en)
Inventor
Yasuyuki Fukute
恭之 福手
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Polyplastics Co Ltd
Original Assignee
Polyplastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品を高温の空気中及び液体中に長時間放
置してもブリスターが発生しない液晶性ポリエステルの
製造方法を提供する。 【解決手段】 フェノール性水酸基を有する芳香族化合
物を脂肪酸無水物でアシル化して芳香族カルボン酸とエ
ステル交換する方法による、全芳香環骨格からなる溶融
滞留時に異方性を示す液晶性ポリエステルの製造方法で
あって、脂肪酸無水物をフェノール性水酸基を有する芳
香族化合物の水酸基当量の1.06〜1.08倍の量で使用する
液晶性ポリエステルのプレポリマー重合工程と、該工程
から得られるプレポリマーの重合度を上げるための固相
重合工程とを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的特性および
耐熱性に優れた全芳香環骨格からなる溶融時に異方性を
示す液晶ポリエステルの塊状重縮合法に関する。さらに
詳しくは、半田溶着・IRリフローなど高温の熱処理を行
っても表面にブリスターを発生し難い液晶性ポリエステ
ル成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】全芳香族ポリエステルはその構造に基づ
き優れた性質を有するが、特に耐熱性の点ではあらゆる
樹脂の中でも最も優れている。中でもテレフタル酸やイ
ソフタル酸と、パラヒドロキシ安息香酸もしくはその誘
導体と、4,4'−ジヒドロキシジフェニルもしくはその誘
導体などから得られる芳香族ポリエステルは、射出成形
可能でかつ各種物性、機械的性質、電気的性質等に優れ
ている上、高い耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐放射線
性、寸法安定性などプラスチックの使用分野における要
求性能のほとんどすべてを兼ね備えている樹脂であるこ
とが知られている。全芳香環骨格から成るポリエステル
は、芳香族ヒドロキシジカルボン酸あるいは芳香族ジオ
ールと芳香族ジカルボン酸との縮合重合(重縮合)など
によって製造され、場合によってはアミノ基を有する芳
香族成分に基づくアミノ基を骨格内に含有するものもあ
る。ポリエステル中の芳香環の結合は芳香族のカルボキ
シル基とフェノール性水酸基とのエステル結合である
が、これを両基の直接脱水縮合によって形成させること
は通常困難である。そこで、水酸基を予め脂肪酸無水物
でアシル化した芳香族化合物、例えばパラアセトキシ安
息香酸を原料とし、これを芳香族カルボン酸とエステル
交換して副生する脂肪酸を留出除去しながらポリエステ
ルを製造する手法が用いられる(特開昭64−33123 号公
報、特開昭63−284221号公報)。一方、特開昭62−2673
23号公報、特開平1−230629号公報、特開平7−10975
号公報に開示されているように、脂肪族ポリエステルを
含む液晶ポリエステルを合成する際には、水酸基当量に
相当する量の0.01〜0.5 倍量の脂肪酸無水物(無水酢
酸)をさらに添加して芳香族カルボン酸と反応させる方
法がある。また、特開昭62−285916号公報および特開平
2−235923号公報に開示されているように、芳香族ヒド
ロキシジカルボン酸等を脂肪酸無水物で直接アシル化し
た後そのままエステル交換して液晶ポリエステルを合成
する方法がある。さらに、特開昭58−179223号公報に開
示されているように、特殊な触媒を用いて直接脱水縮合
する方法がある。しかしながら、水酸基を予めアシル化
した芳香族化合物を原料として用いる方法では、一般に
原料が高価であるという問題がある。特開昭58−179223
号公報の方法では、触媒がポリエステル中に残存するた
め、樹脂特性、特に長期耐熱性等を損なうことがある。
特開昭62−285916号公報の方法では使用する脂肪酸無水
物の量が水酸基当量の1.05〜1.50倍であるが、全芳香環
ポリエステルを合成した場合着色が著しく、特性値は必
ずしも良好ではない。特開平2−235923号公報の方法で
は使用する脂肪酸無水物の量を水酸基当量の0.85〜1.0
倍にすることを開示しているが、アシル化の平衡反応が
非アシル化物側にずれるために原料の反応性が低くなっ
て原料が昇華し反応器閉塞の原因となる。
【0003】一方、液晶性ポリエステルは、高温熱安定
性が良いため、高温での熱処理を要する材料に使用され
る場合が多い。しかし、成形品を高温の空気中及び液体
中に長時間放置すると、表面にブリスターと呼ばれる細
かい膨れが生じるという問題が起こる。この現象は、液
晶性ポリエステルが溶融状態にある時に発生する分解ガ
スなどが成形品内部に持ち込まれ、その後、高温の熱処
理を行う際にそのガスが膨張し、加熱で軟化した成形品
表面を押し上げ、ブリスターとして現れる。これは、材
料の溶融押出し時にベント孔から充分脱気することや成
形する際に成形機内に長く滞留させないことなどによっ
てブリスターの発生を少なくすることも出来るが、非常
に条件範囲が狭く、ブリスターの発生を抑えた成形品を
得るには充分ではなかった。たとえば、特開昭59−4622
号公報によると、全芳香族ポリエステルの製造において
重合の完了前に亜リン酸塩化合物を加えることにより低
い着色度および優れた熱安定性を有する重合体を得るこ
とが提案されている。すなわち該公報の実施例2では、
亜リン酸エステルを溶融重合工程の終了前5分前に添加
し、その後に反応槽外に溶融重合体を放出し、冷却、粉
砕した後、固相重合することにより重合体を得ている。
しかしながら当該公報記載の方法によっても、必ずしも
成形性改良効果やブリスター発生抑制効果は達成されな
い。なお、熱安定性あるいは熱変形温度とブリスター発
生の抑制とは直接の相関関係が低いことも本発明者らは
確認している。このブリスターを抑制する為には、液晶
ポリエステルそのものの品質を向上させなければ根本的
な解決には繋がらず、特開昭62−267323号公報、特開平
1−230629号公報、特開平7−10975 号公報などの方法
ではブリスターを解決するに不充分であった。また、特
開平6−32880 号公報などの方法では燐系化合物を添加
する事により、樹脂の融点が下がる問題があり、やはり
液晶ポリエステルそのものの品質を向上させなければ根
本的な解決には繋がらないことが分かっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
現状に対し鋭意検討した結果、全芳香族ポリエステルの
プレポリマー重合工程と、それに続く固相重合工程を行
う事で、耐熱性を低下させることなく成形温度を低下で
き、さらにブリスター性も向上できることを見出し本発
明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
に鑑み、高温熱処理してもブリスターが発生しない成形
品を得るべく鋭意探索、検討を行ったところ、特定の重
合方法により製造された液晶性ポリエステル組成物の成
形品が、その成形条件の広い範囲にわたってブリスター
が発生しないことを見出し、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、フェノール性水酸基を有する芳香
族化合物を脂肪酸無水物でアシル化して芳香族カルボン
酸とエステル交換する方法による、全芳香環骨格からな
る溶融滞留時に異方性を示す液晶性ポリエステルの製造
方法であって、脂肪酸無水物をフェノール性水酸基を有
する芳香族化合物の水酸基当量の1.06〜1.08倍の量
で使用する液晶性ポリエステルのプレポリマー重合工程
と、該工程から得られるプレポリマーの重合度を上げる
ための固相重合工程とを行うことを特徴とする液晶性ポ
リエステルの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に用いられる液晶性ポリエステルとは、溶
融加工性ポリエステルで、溶融状態でポリマー分子鎖が
規則的な平行配列をとる性質を有している。分子がこの
ように配列した状態をしばしば液晶状態または液晶性物
質のネマチック相という。このようなポリマー分子は、
一般に細長く、偏平で、分子の長軸に沿ってかなり剛性
が高く、普通は同軸または平行のいずれかの関係にある
複数の連鎖伸長結合を有しているようなポリマーからな
る。異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用
の偏光検査法により確認することができる。より具体的
には、異方性溶融相の確認は、Leitz 偏光顕微鏡
を使用し、Leitz ホットステージにのせた溶融試料を窒
素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施でき
る。本発明のポリマーは直交偏光子の間で検査したとき
にたとえ溶融静止状態であっても偏光は透過し、光学的
に異方性を示す。本発明に使用するのに適した液晶性ポ
リマーは、一般溶剤には実質的に不溶である傾向を示
し、したがって溶液加工には不向きである。しかし、既
に述べたように、これらのポリマーは普通の溶融加工法
により容易に加工することができる。本発明に使用する
のに適した液晶性ポリエステルは、芳香族ポリエステル
又は芳香族ポリエステルアミドが好ましく、芳香族ポリ
エステル又は芳香族ポリエステルアミドを同一分子鎖中
に部分的に含むポリエステルも好ましい例である。特に
好ましくは、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒド
ロキシアミン、芳香族ジアミンの群から選ばれた少なく
とも1種以上の化合物を構成成分として有する液晶性芳
香族ポリエステル、液晶性芳香族ポリエステルアミドで
ある。より具体的には、 1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体
の1種又は2種以上からなるポリエステル 2)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又
は2種以上と b)芳香族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以
上と c)芳香族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種又は
2種以上とから成るポリエステル 3)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又
は2種以上と b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘
導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以
上とからなるポリエステルアミド 4)主として a)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体の1種又
は2種以上と b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘
導体の1種又は2種以上と c)芳香族ジカルボン酸及びその誘導体の1種又は2種以
上と d)芳香族ジオール及びその誘導体の少なくとも1種又は
2種以上とからなるポリエステルアミドが挙げられる。 更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用し
ても良い。本発明の液晶性ポリエステルを構成する具体
的化合物の好ましい例は、2,6 −ナフタレンジカルボン
酸、2,6 −ジヒドロキシナフタレン、1,4 −ジヒドロキ
シナフタレン及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の
ナフタレン化合物、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,
4'−ジヒドロキシビフェニル等のビフェニル化合物、下
記一般式(I) 、(II)又は(III) で表わされる化合物:
【0007】
【化1】
【0008】〔但し、 X :アルキレン(C1〜C4)、アルキリデン、-O- 、-SO
-、-SO2- 、-S- 、-CO-より選ばれる基 Y :-(CH2)n-(n =1〜4)、-O(CH2)nO-(n =1〜
4)より選ばれる基〕 p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、ハイドロキノ
ン、p−アミノフェノール及びp−フェニレンジアミン
等のパラ位置換のベンゼン化合物及びそれらの核置換ベ
ンゼン化合物(置換基は塩素、臭素、メチル、フェニ
ル、1−フェニルエチルより選ばれる)、イソフタル
酸、レゾルシン等のメタ位置換のベンゼン化合物であ
る。上述の構成成分の内、ナフタレン化合物、ビフェニ
ル化合物、パラ位置換ベンゼン化合物より選ばれる1種
若しくは2種以上の化合物を必須の構成成分として含む
ものが更に好ましい例である。又、p−位置換ベンゼン
化合物の内、p−ヒドロキシ安息香酸、メチルハイドロ
キノン及び1−フェニルエチルハイドロキノンは特に好
ましい例である。構成成分となるエステル形成性の官能
基を有する化合物の具体例及び本発明で用いられるのに
好ましい異方性溶融相を形成するポリエステルの具体例
については特公昭63−36633 号公報に記載されている。
本発明で用いるのに好適な液晶性ポリエステルは一般に
重量平均分子量が約2,000 〜200,000 、好ましくは約1
0,000〜50,000、特に好ましくは約20,000〜25,000であ
る。一方、好適な芳香族ポリエステルアミドは一般に重
量平均分子量が約5,000 〜50,000、好ましくは約10,000
〜30,000、例えば15,000〜17,000である。かかる分子量
の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイーな
らびにその他のポリマーの溶液形成を伴わない標準的測
定法、例えば圧縮成形フィルムについて赤外分光法によ
り末端基を定量することにより実施できる。また、ペン
タフルオロフェノール溶液にして光散乱法を用いて分子
量を測定することもできる。
【0009】本発明のポリエステルの製造方法は、芳香
族化合物のフェノール性水酸基を脂肪酸無水物でアシル
化し、昇温しながら芳香族カルボン酸とエステル交換す
る方法で全芳香環骨格からなる溶融滞留時に異方性を示
す液晶性ポリエステルを製造する際に、副生する脂肪酸
を蒸留しない反応系において、水酸基当量の1.06〜1.08
倍の脂肪酸無水物を使用する液晶性ポリエステルのプレ
ポリマー重合工程と、該工程から得られるプレポリマー
の重合度を上げるための固相重合工程とを行うことを特
徴とするものである。プレポリマー重合工程は約 150℃
から 400℃、好ましくは約 250℃から 370℃で、常圧な
いしは減圧系において、不活性気体雰囲気中で行うのが
望ましい。重合温度は適宜に昇温させながら行うことが
でき、その昇温速度は使用するモノマーの性質に応じて
調整すると良い。本発明で使用する脂肪酸無水物として
は無水酢酸、無水プロピオン酸等の炭素数が10以下の低
級脂肪酸無水物があげられるが、コストおよび取扱面か
ら無水酢酸が一般的である。本発明において、フェノー
ル性水酸基をアシル化するための脂肪酸無水物が水酸基
当量の1.06倍未満の場合には、アシル化時の平衡が脂肪
酸無水物側にずれてポリエステルへの重合時に原料が昇
華し、反応系が閉塞しやすいし、また、水酸基当量の1.
08倍を越える場合には、ポリエステルの着色が著しくな
り、また樹脂特性が低下するためである。
【0010】本発明方法では、プレポリマー重合工程お
よびこれに続く後述の固相重合工程はいずれも触媒の不
存在下でも進行する。触媒不存在下で反応させる場合に
は、触媒残渣が生じないので、得られた重合体の後処理
が不要となり好ましい。しかしながら、ルイス酸などの
ガス状非金属系触媒、たとえばハロゲン化水素、好まし
くは塩化水素を用いる場合には固相重合時に反応系から
これを容易に除去することができるので使用することが
できる。なお、本発明方法を効果的に達成するには、従
来提案されているところのポリエステル製造のために適
当とされる金属系触媒を使用しないほうが好ましい。す
なわち金属系触媒の存在しないほうが、本発明の目的の
うち、特にブリスター性の向上の点で望ましいのであ
る。従って、好ましい本発明方法は、実質的に金属系触
媒の不存在下に行う方法であり、具体的には金属系触媒
が200ppm以下、好ましくは0〜100ppmで、プレポリマー
を重合するのが好ましい。一般的な金属触媒としては、
例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ
金属;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ主類金
属;アルミニウム、アンチモン、ゲルマニウム、チタ
ン、錫などの金属もしくは、これらの酸化物、水酸化
物、塩化物、有機酸塩などの金属化合物などの金属系触
媒が挙げられる。具体的には、たとえば酢酸マグネシウ
ム水和物、硫酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸リチウ
ム、チタン酸テトラブチルなどが例示される。
【0011】ここで、全芳香族ポリエステルを溶融重合
により製造する場合、重合体の重合度が上昇するにつれ
て溶融液の粘度が上昇し、これをさらに重合を続けると
急激に粘度が上昇し最終的には通常の攪拌では攪拌不能
な状態に至る。粘度上昇は急激であるために、通常は重
合温度の昇温が追い付かず、結果として重合が完結して
いないにもかかわらず反応内容物は固相となる。あるい
は、全芳香族ポリエステルのモノマーは、一般的に昇華
性物質である為に、高温での溶融重合中に重合槽の壁や
減圧系の配管にモノマーが付着し、生成した全芳香族ポ
リエステルの組成が所望の組成比に制御することは困難
である。それゆえ溶融重合工程のみにより希望する重合
度の重合体とするのが困難であるので、溶融重合工程か
ら得られた重合体(プレポリマー)を固相で重合させる
ことによりさらに重合を進行させ希望する重合度にする
ことが必要となる。なお、高重合体の溶融温度以上に重
合温度を上昇させることによりこれを溶融させ、重合完
結まで溶融状態で重合させる方法は、全芳香族ポリエス
テルの場合、所望の重合度の重合体の溶融温度が極めて
高く、該重合体の分解温度に近接しているため、かかる
方法を採用することは困難である。
【0012】より具体的な本発明方法を下記する。 (プレポリマー重合工程)本発明においては、例えば、
トルク計付攪拌装置、温度調節指示計、アルゴンガス導
入管、コンデンサー付の重合反応器に各モノマーを充填
し、系内をアルゴンガスで置換した後にアセチル化(ア
シル化)させ、全芳香族ポリエステルプレポリマーを製
造する。第1段階では、反応器中で、極限粘度〔η〕が
0.2〜3.0dl/g (ペンタフルオロフェノール0.1 重量%
濃度、60℃で測定)、好ましくは 0.3〜2.0 dl/gである
ようなプレポリマーを、合成最終段階の合成温度が該プ
レポリマーの融点以上となるような温度で合成する。こ
の反応では、酸無水物は、モノマーのOH基をアセチル化
させる働きを有し、この反応の際に酢酸等の酸が副生し
てくる。この副生する酸は通常、系外に除去させた後、
内容物を排出してプレポリマーを得る。プレポリマー
は、Tm1 (DSC により測定した昇温1度目の吸熱ピー
ク)が200〜450 ℃、好ましくは 250〜400 ℃の範囲内
にあることが好ましい。このようなプレポリマーは、例
えば、反応容器から容易に取り出して次のポリマー製造
工程に移すことができるため好ましい。なお、このよう
にプレポリマーを合成する際には、1段合成法または2
段以上の工程からなる多段階の合成法を採用することが
できるが、本発明においては、合成最終段階(すなわち
1段階の場合にはその段、また多段の場合には合成最終
段階)におけるプレポリマーの合成温度が、該プレポリ
マーの融点以上となるような温度で(プレポリマーを)
合成することが必要であり、さらに好ましくは250 〜45
0 ℃、特に好ましくは 300〜400 ℃の温度で合成するこ
とが望ましい。
【0013】このような温度でプレポリマー合成を行う
と、1段目の反応器から、上記のようにして得られたプ
レポリマーを容易に抜き出して、2段目の固相重合工程
に移送することができる。なお、例えば 400℃を超える
ような高温でプレポリマー合成を行うと、得られる全芳
香族ポリエステルの物性が低下する傾向がみられる。こ
のようなプレポリマー合成反応は、通常、 0.3〜8.0 時
間、好ましくは0.5〜4時間程度行われる。なお、上記
反応を行う際には、脂肪族無水物量は相当するフェノー
ル性水酸基量の1.06〜1.08倍の量で用いることが望まし
い。前述したように、フェノール性水酸基をアシル化す
るための脂肪酸無水物が水酸基当量の1.06倍以下の場合
には、アシル化時の平衡が脂肪酸無水物側にずれてポリ
エステルへの重合時に原料が昇華し、反応系が閉塞しや
すいし、また、水酸基当量の1.08倍以上の場合には、ポ
リエステルの着色が著しくなり、また樹脂特性が低下す
るためである。
【0014】(固相重合工程)第2段階では、第1段階
で得られたプレポリマーを第1反応器から取り出して、
第2反応器に導入し、この第2反応器中で、該プレポリ
マーを該プレポリマーの融点以下の温度、好ましくは該
プレポリマーの融点より40〜70℃低い温度で固相重合さ
せて、極限粘度〔η〕が 2.0〜6.0 dl/g[ペンタフルオ
ロフェノール0.1 重量%濃度、60℃で測定]、好ましく
は 2.5〜5.0 dl/gであるようなポリエステルを製造す
る。第1段階で得られたペレット状、粉末状またはフレ
ーク状の重合体を、機械的に粉砕しまたは粉砕すること
なくそのまま、第2反応器(固相重合槽)で、互いに固
体が融着しない温度でさらに固相重合させる。機械粉砕
のほか、押出機を直結してペレット化してこれを固相重
合に供することもできる。重合槽としては、多段式オー
ブン、回転加熱用ドラム、たとえばロータリーオーブン
などを使用することができる。上記の固相重合は、場合
によって減圧下で行いうる。より容易に重合を進行させ
るには窒素流通下で行うとよい。また乾燥空気を流すこ
とにより架橋され高重合度の重合体を得ることもでき
る。この場合固相重合をできるだけ均一に行うためには
ペレットの直径を2cm以下、長さを2cm以下にすること
が好ましい。重合温度は、 200〜400 ℃、好ましくは 2
50〜380 ℃である。このような温度で該プレポリマーを
ポリマー化させると、曲げ弾性率、引張強度、などの機
械的性質に優れ、しかも耐熱性に優れ、溶融成形可能な
全芳香族ポリエステルが得られる傾向がある。また、こ
のような極限粘度を有するポリエステルは耐熱性および
曲げ剛性、引張強度などの機械強度に優れ、更に溶融成
形性に優れているので、耐熱性の成形体および繊維とな
る傾向がある。また本発明においては、該プレポリマー
の固相重合は、反応条件等により異なり一概に決定され
ないが、通常、1〜40時間程度行われる。上述したよう
な方法で全芳香族ポリエステルの製造を行うと、2段階
で該ポリエステルを製造することができる。このような
全芳香族ポリエステルは、その極限粘度〔η〕(溶媒;
ペンタフロロフェノール0.1 重量%濃度、60℃で測定)
が 7.0dl/g以下、好ましくは 2.0〜6.0 dl/g、さらに好
ましくは 2.5〜5.0 dl/gであり、溶融粘度Tm1 (昇温1
度目の吸熱ピーク)が 200〜450 ℃、好ましくは 250〜
400 ℃であり、溶融温度下Tm2 (昇温2度目の吸熱ピー
ク)が 200〜450 ℃、好ましくは 250〜400 ℃であるこ
とが好ましい。
【0015】本発明の上記全芳香族ポリエステルは、実
質的に線状であることが好ましい。なお、このポリエス
テルの分子末端には、モノマーから誘導される単位のい
ずれが位置していてもよい。また、常法により、ポリエ
ステル分子のカルボキシル基末端は、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロパノールのような一価の低級
アルコールあるいはフェノール、クレゾールのような一
価の芳香族ヒドロキシ化合物にてエステル化されていて
もよく、またポリエステル分子のヒドロキシル末端は、
例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸のような1価のカ
ルボン酸にてエステル化されていてもよい。
【0016】さらに本発明の効果を阻害または低下させ
ない不活性なものであれば安定剤、着色剤、充填剤など
を添加して重合することも可能である。このような充填
剤としては例えばシリカ、粉末石英、もしくは砂、ヒュ
ームドシリカ、炭化珪素、酸化アルミニウム、ガラス繊
維などがあげられる。
【0017】本発明により得られる全芳香族ポリエステ
ルは、耐熱性および曲げ剛性率、引張強度、耐衝撃強度
等の機械的強度に優れ、耐高温加水分解性に優れ、さら
に溶融成形性に優れており、かかる特性を利用して各種
成形体および繊維を製造することができる。
【0018】本発明の方法により機械的特性および耐熱
性に優れて、且つ、高温熱処理してもブリスターのな
い、溶融時に異方性を示す液晶性ポリエステルを容易に
得ることができる。
【0019】また、本発明の液晶性ポリエステルは、そ
の使用目的に応じて各種の繊維状、粉粒状、板状の無機
充填材が配合された組成物でもよい。繊維状充填材とし
ては、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリ
カ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒
化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウ
ム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、
真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げ
られる。一方、粉粒状充填材としては、カーボンブラッ
ク、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガ
ラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、珪酸カル
シウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレ
ー、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、
酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの
如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
の如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの
如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化珪素、窒化
珪素、窒化硼素、各種金属粉末等が挙げられる。また、
板状充填材としては、マイカ、ガラスフレーク、各種の
金属箔等が挙げられる。これらの無機充填材は一種又は
二種以上併用することが出来る。またこれらの無機充填
材は、所望される物性によっては公知の表面処理剤を併
用することが可能である。例を示せば、エポキシ系化合
物、イソシアネート系化合物、チタネート系化合物、シ
ラン系化合物等の官能性化合物である。好ましくは、エ
ポキシ化合物又はポリアミド化合物などアミノ系化合物
以外の化合物で処理したものがよい。無機充填材の添加
量は、前記した液晶性ポリエステル樹脂 100重量部に対
して1〜300 重量部である。これらの充填材はあらかじ
め表面処理を施して用いるか、又は材料の調製の際同時
に添加しても良い。
【0020】更に本発明の成形品に用いられる液晶性ポ
リエステル樹脂組成物は、本発明の範囲でその企図する
目的を損なわない程度に他の熱可塑性樹脂を補助的に添
加したものであってもよい。この場合に使用する熱可塑
性樹脂は特に限定されないが、例を示すと、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等の
芳香族ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン、ポリアセタール(ホモ又はコポリマ
ー)、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ス
チレン−ブタジエン−アクリル酸(又はそのエステル)
共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ
塩化ビニル、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾール、
ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーン樹脂、フッ素
樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系
熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド
系熱可塑性エラストマー、ポリエーテル系熱可塑性エラ
ストマー、ポリアクリレートを主とするコアシェル型の
多層グラフト共重合体等或いはこれらの変性体を挙げる
ことができる。またこれらの熱可塑性樹脂は2種以上混
合して使用することができる。
【0021】更に、本発明の成形品を構成する組成物に
は、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される
公知の物質、即ち、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定
剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑
剤等も要求性能に応じ適宜添加することができる。
【0022】本発明に用いられる樹脂組成物は、一般に
合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調
製することができる。即ち、必要な成分を混合し、一軸
又は二軸の押出機を使用して混練し、押出して成形用ペ
レットとすることができ、必要成分の一部をマスターバ
ッチとして混合、成形する方法、又、各成分の分散混合
をよくするため液晶性ポリエステル樹脂の一部又は全部
を粉砕し、混合して溶融押出すること等、何れも可能で
ある。また、溶融押出工程で、繊維等を、樹脂組成分が
溶融した途中で添加する方法は繊維充填材の破損が少な
くて、本発明の効果が充分に発揮される方法である。こ
のようにして得た材料ペレットを用いて成形品を得る方
法としては、射出成形、押出成形、真空成形、圧縮成形
等、一般に公知の熱可塑性樹脂の成形法を用いて成形す
ることができるが、最も好ましいのは、射出成形であ
る。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、評価方法などは以下の通りである。 (ブリスター温度測定)型締力75トンのインライン射出
成形機(J75SA 、日本製鋼所製)を用いて、シリンダー
温度 Tm1+20℃で成形した 0.5mm厚の箱型成形品30ケを
所定温度のシリコーンオイルに浸漬して、溶剤で洗浄
後、自然乾燥し、目視にて表面にブリスターが発生して
いるかどうかを調べた。ブリスター温度は、成形品30ケ
中、ブリスターの発生個数がゼロとなる最低温度とし
た。 (樹脂の着色)ブリスター評価に用いた箱型成形品の着
色状況を目視で観察し評価した。 (荷重たわみ温度:HDT )型締力80トンのインライン射
出成形機(IS80EPN 、東芝製)を用いて、シリンダー温
度 350℃で試験用サンプル(幅12.7mm、厚さ 6.4mm、長
さ 128mmの直方体)を成形し、ASTM D648 方法に準拠
し、 1.81MPaの荷重条件で測定した。 (Tm1 、Tm2 )パーキンエルマー社製示差走査熱量計
(DSCII 型)を用いて、芳香族ポリエステルの試料10mg
を、50℃から 450℃まで20℃/分の速度で昇温し、次い
で50℃まで20℃/分で降温し、再び 450℃まで20℃/分
で昇温し、吸熱サーモグラムを測定した。溶融(℃)Tm
は昇温1度目と2度目の吸熱ピーク値から求めた。
【0024】実施例1 トルク計付攪拌装置、温度調節指示計、アルゴンガス導
入管、コンデンサー付の内容積6リットルの反応器に、
パラヒドロキシ安息香酸1379g、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸 188g、テレフタル酸 470g、4,4'−ジヒド
ロキシビフェニル 372g、p−アセチルアミノフェノー
ル 126gと、無水酢酸1711g(水酸基当量の1.06倍)お
よび触媒として酢酸カリウム0.33g(生成樹脂に対し、
K +基準で60ppm )を仕込んだ。系内をアルゴンガスで
置換した後 140℃に昇温し1時間アセチル化した。その
後約毎分2℃昇温させて、副生する酢酸を留出除去しな
がら 300℃まで昇温させ1時間その状態に保った。攪拌
トルクの上昇が認められ、所定トルクに達した後、内容
物を取り出しプレポリマーを得た。得られた該プレポリ
マーの極限粘度〔η〕は1.10dl/g[ペンタフロロフェノ
ール0.1 重量%濃度、60℃で測定した値]であり、DSC
による昇温1度目のTm1 は 320℃であった。該ペレット
状プレポリマーを常圧固相重合用オーブンに入れて、毎
分12リットルの窒素気流中で2時間を要して室温から 2
80℃へ昇温し、 280℃で20時間固相重合反応を行った。
得られた該ポリエステルはラクガン状を呈していたが固
く融着することなく簡単に固相重合前の粒状にほぐすこ
とができた。このポリエステルの極限粘度〔η〕は3.39
dl/gであり、DSC 測定によるTm1 は 345℃、Tm2 は 341
℃であり、ガラス転移温度(Tg)は検出されなかった。
この内容物をヒートステージ付偏光顕微鏡で観察したと
ころ溶融時に異方性を示すものであった。この液晶性ポ
リエステル70重量部とガラスファイバー30重量部とを池
貝製作所製2軸押出機(商品名PCM 、φ30mm)を用いて
樹脂組成物を得た後、前記評価を行った。
【0025】実施例2 無水酢酸の使用量を表1に示すように変えた以外は実施
例1と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸
押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行っ
た。
【0026】比較例1〜2 無水酢酸の使用量を表2に示すように変えた以外は実施
例1と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸
押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行っ
た。
【0027】比較例3 トルク計付攪拌装置、温度調節指示計、アルゴンガス導
入管、コンデンサー付の内容積6リットルの反応器に、
パラヒドロキシ安息香酸1379g、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸 188g、テレフタル酸 470g、4,4'−ジヒド
ロキシビフェニル 372g、p−アセチルアミノフェノー
ル 126gと、無水酢酸1711g(水酸基当量の1.06倍)お
よび触媒として酢酸カリウム0.33g (生成樹脂に対し、
K +基準で60ppm )を仕込んだ。系内をアルゴンガスで
置換した後 140℃に昇温し1時間アセチル化した。その
後約毎分2℃昇温させて、副生する酢酸を留出除去しな
がら350 ℃まで昇温させ系内を徐々に減圧した。減圧と
ともに攪拌トルクの上昇が認められたので、所定トルク
に達した後減圧を解除し内容物を取り出した。この内容
物をヒートステージ付偏光顕微鏡で観察したところ溶融
時に異方性を示すものであった。この液晶性ポリエステ
ル70重量部とガラスファイバー30重量部とを池貝製作所
製2軸押出機(商品名PCM、φ30mm)を用いて樹脂組
成物を得た後、前記評価を行った。このポリエステルの
極限粘度〔η〕は3.12dl/gであり、DSC 測定によるTm1
は342 ℃、Tm2 は341 ℃であった。
【0028】実施例3 パラヒドロキシ安息香酸1843g、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸 636g、テレフタル酸28gと、無水酢酸1810
g(水酸基当量の1.06倍)および触媒として酢酸カリウ
ム0.33g(生成樹脂に対し、K +基準で60ppm )を仕込
んで行った以外は実施例1と同様に操作して液晶性ポリ
エステルを得て、2軸押出機を用いて樹脂組成物を得た
後、前記評価を行った。尚、プレポリマーの極限粘度
〔η〕は1.6dl/g であり、DSC 測定による昇温1度目の
Tm1 は311 ℃であった。また、固相重合後の極限粘度
〔η〕は3.12dl/gであり、DSC 測定によるTm1 は330
℃、Tm2は326 ℃であった。
【0029】実施例4 無水酢酸の使用量を表1に示すように変えた以外は実施
例3と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸
押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行っ
た。
【0030】比較例4〜5 無水酢酸の使用量を表2に示すように変えた以外は実施
例3と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸
押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行っ
た。
【0031】比較例6 パラヒドロキシ安息香酸1843g、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸 636g、テレフタル酸28gと、無水酢酸1810
g(水酸基当量の1.06倍)および触媒として酢酸カリウ
ム0.33g(生成樹脂に対し、K +基準で60ppm )を仕込
み、減圧重合時の温度を340 ℃で行った以外は比較例3
と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸押出
機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行った。こ
のポリエステルの極限粘度〔η〕は3.07dl/gであり、DS
C 測定によるTm1 は325 ℃、Tm2は325 ℃であった。
【0032】実施例5 パラヒドロキシ安息香酸1340g、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸 183g、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 512
g、テレフタル酸 457gと、無水酢酸1750g(水酸基当
量の1.06倍)および触媒として酢酸カリウム0.33g(生
成樹脂に対し、K +基準で60ppm )を仕込んで行った以
外は実施例1と同様に操作して液晶性ポリエステルを得
て、2軸押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価
を行った。尚、プレポリマーの極限粘度〔η〕は1.22dl
/gであり、DSC 測定による昇温1度目のTm1 は326 ℃で
あった。また、固相重合後の極限粘度〔η〕は4.21dl/g
であり、DSC 測定によるTm1 は359 ℃、Tm2 は355 ℃で
あった。
【0033】実施例6 無水酢酸の使用量を表1に示すように変えた以外は実施
例5と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸
押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行っ
た。
【0034】比較例7〜8 無水酢酸の使用量を表2に示すように変えた以外は比較
例3と同様に操作して液晶性ポリエステルを得て、2軸
押出機を用いて樹脂組成物を得た後、前記評価を行っ
た。
【0035】比較例9 パラヒドロキシ安息香酸1340g、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸 183g、4,4'−ジヒドロキシビフェニル 512
g、テレフタル酸 457gと、無水酢酸1750g(水酸基当
量の1.06倍)および触媒として酢酸カリウム0.33g(生
成樹脂に対し、K +基準で60ppm )を仕込み、減圧重合
時の温度を360 ℃で行った以外は比較例3と同様に操作
して液晶性ポリエステルを得て、2軸押出機を用いて樹
脂組成物を得た後、前記評価を行った。このポリエステ
ルの極限粘度〔η〕は4.02dl/gであり、DSC 測定による
Tm1 は353 ℃、Tm2 は353 ℃であった。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、液晶性ポリエステル樹
脂の成形において、広い成形条件範囲で、高温熱処理時
にブリスターが発生しない樹脂、およびその樹脂組成物
の成形品を得ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール性水酸基を有する芳香族化合
    物を脂肪酸無水物でアシル化して芳香族カルボン酸とエ
    ステル交換する方法による、全芳香環骨格からなる溶融
    滞留時に異方性を示す液晶性ポリエステルの製造方法で
    あって、脂肪酸無水物をフェノール性水酸基を有する芳
    香族化合物の水酸基当量の1.06〜1.08倍の量で使用する
    液晶性ポリエステルのプレポリマー重合工程と、該工程
    から得られるプレポリマーの重合度を上げるための固相
    重合工程とを行うことを特徴とする液晶性ポリエステル
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 芳香族カルボン酸が、芳香族ジカルボン
    酸および/または芳香族ジヒドロキシカルボン酸であ
    り、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物が芳香族
    ジオールおよび/または芳香族ヒドロキシカルボン酸お
    よび/または芳香族ヒドロキシアミンであり、脂肪酸無
    水物が無水酢酸である請求項1記載の液晶性ポリエステ
    ルの製造方法。
  3. 【請求項3】 金属系触媒を200ppm以下にしてプレポリ
    マー重合工程を行う請求項1又は2記載の液晶性ポリエ
    ステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 プレポリマーの極限粘度〔η〕が 0.2〜
    3.0dl/g である請求項1〜3の何れか1項記載の液晶性
    ポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 200 〜400 ℃で固相重合を行う請求項1
    〜4の何れか1項記載の液晶性ポリエステルの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の方法で
    得られた液晶性ポリエステル樹脂を用いて溶融加工され
    た、高温熱処理に対してもブリスターが発生しないこと
    を特徴とする液晶性ポリエステル成形品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何れか1項記載の方法で
    得られた液晶性ポリエステル樹脂 100重量部に対して無
    機充填材1〜300 重量部を配合した組成物を用いて溶融
    加工された、高温熱処理に対してもブリスターが発生し
    ないことを特徴とする液晶性ポリエステル成形品。
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