JPH11243904A - 野菜のフライフレーバー及びその製造方法並びにそれを含有した香味増強組成物 - Google Patents

野菜のフライフレーバー及びその製造方法並びにそれを含有した香味増強組成物

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JPH11243904A
JPH11243904A JP10055465A JP5546598A JPH11243904A JP H11243904 A JPH11243904 A JP H11243904A JP 10055465 A JP10055465 A JP 10055465A JP 5546598 A JP5546598 A JP 5546598A JP H11243904 A JPH11243904 A JP H11243904A
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Mitsuo Harasawa
光男 原沢
Katsuyuki Matsumoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種飲食物、調味料等の香味増強剤として有
用な、フライしたガーリック、オニオン、キャベツ等の
野菜の香ばしいフライ感及び/又はロースト感を有し、
しかも力価の高いフライフレーバーを提供する。 【解決手段】 システインスルホキシド化合物及び/又
はS置換システイン誘導体を糖の存在下、溶剤中、水分
含量が該溶剤に対して15%(W/W)以下で反応させ
ることを特徴とする、野菜のフライフレーバーの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種飲食物、調味
料等の香味増強剤として有用な、フライしたガーリッ
ク、オニオン、キャベツ等の野菜の香ばしいフライ感及
び/又はロースト感を有する、フライフレーバーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、野菜のフライフレーバーを得る
方法として、植物性油脂に細断又は摩砕した野菜を添加
して加熱抽出する方法(特開昭56-58450号公報等)、植
物材料をアルカリ、酸、或いは酵素処理し、pH5〜7
で加熱反応させる方法(特開昭52-47962号公報、特開昭
52-47963号公報等)や、広範囲の温度で油脂と農産物を
常圧加熱し、水分を調整して加圧加熱し、香味付与物を
抽出する方法(特開昭62-6651号公報等)が知られてい
る。しかしながら、これらの方法では、該フレーバーの
フライ感は弱く、力価の点で満足のいくものではなかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題に鑑みなされたものであり、各種飲食物、調味料等
の香味増強剤として有用な、フライしたガーリック、オ
ニオン、キャベツ等の野菜の香ばしいフライ感及び/又
はロースト感を有し、しかも力価の高いフライフレーバ
ーを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、野菜のフ
ライ感及び/又はロースト感を強く発現させることにつ
いて鋭意研究を重ねた結果、システインスルホキシド化
合物及び/又はS置換システイン誘導体を糖の存在下、
油溶性物質及び必要であれば親水性物質を含む溶剤中、
反応前の水分含量を該溶剤に対して15%(W/W)以
下で加熱反応させることにより、上記目的のフライフレ
ーバーが得られることを見い出し、本発明を完成するに
至ったのである。
【0005】即ち、本発明の製造方法は、システインス
ルホキシド化合物及び/又はS置換システイン誘導体を
糖の存在下、溶剤中、水分含量が該溶剤に対して15%
(W/W)以下で加熱反応させることを特徴とする。
【0006】本発明は、システインスルホキシド化合物
及び/又はS置換システイン誘導体を糖の存在下、溶剤
中、水分含量が該溶剤に対して15%(W/W)以下で
加熱反応させることにより得られる、野菜のフライフレ
ーバー、である。
【0007】本発明の香味増強組成物は、上記記載の野
菜のフライフレーバーを含有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明の製造方法は、システインスルホキ
シド化合物及び/又はS置換システイン誘導体を糖の存
在下、溶剤中、水分含量が該溶剤に対して15%(W/
W)以下で加熱反応させることを特徴とする。
【0009】本発明は、システインスルホキシド化合物
及び/又はS置換システイン誘導体を糖の存在下、溶剤
中、水分含量が該溶剤に対して15%(W/W)以下で
加熱反応させることにより得られる、野菜のフライフレ
ーバー、である。
【0010】本発明の香味増強組成物は、上記記載の野
菜のフライフレーバーを含有することを特徴とする。
【0011】本発明で用いられるシステインスルホキシ
ド化合物としては、例えばアルキル基、アルケニル基等
で置換したS置換システインスルホキシド化合物が挙げ
られ、また、該化合物はモノ体でも或いはジペプチド、
トリペプチド等でも良く、具体的にはアルキルシステイ
ンスルホキシド及び/又はアルケニルシステインスルホ
キシド等が挙げられる。これらは光学的に純品でも或い
は純品でなくても良い。
【0012】アルキル基としては、直鎖状でも分枝状で
も良く、例えば炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、
具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ
プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル
基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル
基、2-メチルブチル基等が挙げられる。アルケニル基と
しては、直鎖状でも分枝状でも良く、例えば炭素数2〜
5のアルケニル基が挙げられ、具体的にはエテニル基、
プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられ
る。
【0013】アルキルシステインスルホキシドとして
は、例えばS−メチルシステインスルホキシド、S−エ
チルシステインスルホキシド、S−プロピルシステイン
スルホキシド、S−ブチルシステインスルホキシド、S
−ペンチルシステインスルホキシド、γ−グルタミル−
S−メチルシステインスルホキシド等が挙げられ、夫々
単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いても良
い。
【0014】アルケニルシステインスルホキシドとして
は、例えばS−プロペニルシステインスルホキシド、γ
−グルタミル−S−(1-プロペニル)システインスルホキ
シド、γ−グルタミル−S−(2-プロペニル)システイン
スルホキシド、γ−グルタミル−S−(1-プロペニル)シ
ステイニル−S−(1-プロペニル)システインスルホキシ
ド等が挙げられ、夫々単独で用いても二種以上適宜組み
合わせて用いても良い。
【0015】S置換システイン誘導体としては、例えば
アルキル基、アルケニル基、カルボキシアルキル基等で
置換したS置換システイン誘導体が挙げられ、また、該
誘導体はモノ体でも或いはジペプチド、トリペプチド等
でも良く、具体的にはS−アルキルシステイン、S−ア
ルケニルシステイン、及び/又はS−カルボキシアルキ
ルシステイン等が挙げられ、光学的に純品でも或いは純
品でなくても良い。
【0016】アルキル基としては、直鎖状でも分枝状で
も良く、例えば炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、
具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ
プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル
基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル
基、2-メチルブチル基等が挙げられる。アルケニル基と
しては、直鎖状でも分枝状でも良く、例えば炭素数2〜
5のアルケニル基が挙げられ、具体的にはエテニル基、
プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられ
る。カルボキシアルキル基としては、直鎖状でも分枝状
でも良く、上記アルキル基の水素原子がカルボキシル基
で置換された例えば炭素数2〜5のカルボキシアルキル
基が挙げられ、具体的にはカルボキシメチル基、カルボ
キシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチ
ル基等が挙げられる。
【0017】S−アルキルシステインとしては、例えば
S−メチルシステイン、S−エチルシステイン、S−プ
ロピルシステイン等が挙げられ、夫々単独で用いても二
種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0018】S−アルケニルシステインとしては、例え
ばS−プロペニルシステイン等が挙げられ、夫々単独で
用いても二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0019】S−カルボキシアルキルシステインとして
は、例えばS−(カルボキシメチル)システイン、S−(2
-カルボキシエチル)システイン等が挙げられ、夫々単独
で用いても二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0020】これらシステインスルホキシド化合物及び
/又はS置換システイン誘導体は、市販品を用いても、
或いは例えばIberl,B.らの方法〔Planta Med.,56, 320-
326(1990).〕等によって製造したものを用いても良い。
また、前記システインスルホキシド化合物及び/又はS
置換システイン誘導体は、必ずしも純粋である必要はな
い。更に、前記システインスルホキシド化合物及び/又
はS置換システイン誘導体の代わりに、これらを含有す
る各種野菜のエキスを用いても、或いは該エキスと併用
しても良い。尚、該エキスを用いた場合には、水分含量
を15%(W/W)以下に調製するためには、濃縮エキ
スが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】本発明で用いられる糖としては、アミノカ
ルボニル反応をするものであれば特に限定されないが、
例えばグリセルアルデヒド、エリスロース、トレオー
ス、アラビノース、キシロース、リボース、グルコー
ス、マンノース、ガラクトース等のアルドース類、例え
ばジヒドロキシアセトン、キシルロース、リブロース、
フルクトース、ソルボース等のケトース類、例えば2-デ
オキシリボース、ラムノース、フコース等のデオキシ
糖、例えばマルトース、セロビオース、イソマルトー
ス、ラクトース、シュクロース等の少糖類等が挙げられ
る。これらは夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わ
せて用いても良い。
【0022】糖の使用量は特に限定されないが、経済的
見地から、システインスルホキシド化合物及び/又はS
置換システイン誘導体1重量部に対して、通常10〜200
重量部、好ましくは20〜100重量部の範囲から適宜選択
される。
【0023】本発明で用いられる溶剤としては、油溶性
物質及び必要であれば親水性物質等を含むものが挙げら
れる。油溶性物質としては、例えば植物の種子並びに動
物脂より得られる食用油脂、及びその加工品等が挙げら
れ、具体的にはコーン油、綿実油、コメ油、サフラワー
油、ひまわり油、パーム油、牛脂、豚脂、鶏油等、ゴマ
油、菜種油、及びそれらの分離精製油、硬化油、MCT
(中鎖脂肪酸エステル類)等が挙げられる。これら油溶
性物質は、夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせ
て用いても良い。
【0024】必要に応じて用いられる親水性物質として
は、少なくとも水酸基を1個有する可食性水溶性物質で
あればよく、例えばエタノール等のアルコール類、例え
ばプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコー
ル類、水等が挙げられる。これら親水性物質は、夫々単
独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0025】溶剤の使用量は特に限定されないが、経済
的見地から、システインスルホキシド化合物及び/又は
S置換システイン誘導体1重量部に対して、通常200〜3
000重量部、好ましくは300〜1500重量部の範囲から適宜
選択される。
【0026】また、溶剤中の油溶性物質と親水性物質と
の混合比は、重要ではなく任意に設定できるが、敢えて
これを示せば、前者と後者が通常70:30〜100:0、好
ましくは80:20〜100:0の範囲から適宜選択される。
また、得られる野菜のフライフレーバーが油溶性である
場合には、溶剤中の油溶性物質の含量が80%(W/W)
以上が適当である。親水性物質の割合が30よりも高くな
ると、香味が弱くなる。
【0027】本発明の製造方法における水分含量として
は、上記溶剤に対して15%(W/W)以下であればよ
く、水分を含有している場合には、好ましくは0.1〜1
0%(W/W)、より好ましくは1〜6%(W/W)の
範囲から適宜選択される。15%(W/W)を越えると
得られるフライフレーバーは、好ましいフライ感及び/
又はロースト感が得られず、酸臭の強い風味になる。
【0028】水を含有している場合のpHとしては、通
常3.5〜10、好ましくは4〜6.5の範囲から適宜選択され
る。pHが3.5未満では、甘さを中心にしたフレーバー
が極度に弱くなり、また、10をこえると目的のものとは
全く異なる風味となる。また、水のpHの調整は、pH
調整剤、即ち、例えば有機酸、鉱酸等の酸、例えば無機
アルカリ性化合物等の塩基性物質等を用いて行えば良
い。
【0029】有機酸としては、例えば乳酸、コハク酸、
酢酸、L−酒石酸、DL−酒石酸、クエン酸等が挙げら
れ、これらは夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わ
せて用いても良い。鉱酸としては、例えばリン酸等が挙
げられる。
【0030】無機アルカリ性化合物としては、例えば炭
酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素ナト
リウム、リン酸一水素カリウム、水酸化カリウム、水酸
化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二
カリウム等が挙げられる。
【0031】本発明の野菜のフライフレーバーを得るに
は、例えば下記のようにして行えばよい。即ち、システ
インスルホキシド化合物及び/又はS置換システイン誘
導体、糖、油溶性物質及び必要であれば親水性物質を含
む溶剤、及び必要に応じて水〔水分含量を該溶剤に対し
て15%(W/W)以下となるような量〕を混合し、こ
れを溶解或いは分散した後、得られた混合物を必要に応
じて密閉してから加熱反応を行えば良い。反応後は、こ
の分野において通常行われる方法で後処理を行ったもの
を、或いは、後処理を行わずにそのままの状態のものを
野菜のフライフレーバーとして用いれば良い。
【0032】反応温度は特に限定されないが、加熱反応
であることが望ましく、通常105〜175℃、好ましくは加
圧下で130〜160℃の範囲から適宜選択される。105℃未
満では好ましいフライ感及び/又はロースト感は得られ
ず、175℃を越えた場合には焦げ臭やナッツ様の油臭や
グリーン臭の強いものとなり不適当である。
【0033】反応時間も特に限定されないが、通常5分
〜60分、好ましくは15分〜40分の範囲から適宜選択され
る。反応時間が5分より短いと、反応が不十分でフライ
感が得られず、60分より長いとこげ臭や油臭が強くな
る。
【0034】本発明の野菜のフライフレーバーには、シ
ステインスルホキシド化合物及び/又はS置換システイ
ン誘導体、糖、油溶性物質及び必要であれば親水性物質
を含む溶剤、及び必要に応じて用いられる水並びにpH
調整剤の他に、必要に応じてその効果を損なわない範囲
で他の成分を添加しても良い。添加可能な成分として
は、可食性のものであれば特に限定されないが、例えば
アミノ酸類、香料、塩類、調味料、強化剤、苦味料、酸
味料、増粘安定剤、酸化防止剤等が挙げられる。尚、こ
れら添加可能な成分の該野菜のフライフレーバーへの添
加は、該野菜のフライフレーバーを製造する際に行われ
る溶解或いは分散させる操作の前でも後でも良いが、溶
解或いは分散させる前が好ましい。
【0035】アミノ酸類としては、例えばアラニン、グ
リシン、リジン、ヒドロキシリジン、バリン、アルギニ
ン、グルタミン酸、アスパラギン酸、シスチン、システ
イン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒスチ
ジン、メチオニン、トリプトファン、スレオニン、チロ
シン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、ア
ミノ酪酸(これらアミノ酸類は、例えばナトリウム,カ
リウム等のアルカリ金属塩や塩酸塩等、塩の形になって
いるものでも良い。)等が挙げられ、夫々単独で用いて
も二種以上適宜組み合わせて用いても良い。尚、これら
アミノ酸類は、L体でもD体でも或いはそれらの混合物
でも良い。
【0036】香料としては、例えばヘキサナール、オク
テナール、デカジエナール等のアルデヒド類、メルカプ
タン類、アルキルスルフィド類、マルトール、フラネオ
ール等が挙げられ、夫々単独で用いても二種以上適宜組
み合わせて用いても良い。
【0037】塩類としては、例えば5’−イノシン酸ナ
トリウム、5’−グアニル酸ナトリウム、5’−ウリジ
ル酸ナトリウム、5’−シチジル酸ナトリウム、5’−
リボヌクレオチドカルシウム、5’−リボヌクレオチド
2ナトリウム等の核酸の塩類、例えばグルタミン酸ナト
リウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸カリウ
ム、グルタミン酸マグネシウム、DL−リンゴ酸ナトリ
ウム、コハク酸2ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸
ナトリウム、酢酸ナトリウム等の有機酸の塩、例えば塩
化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素2ナトリウ
ム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸3ナトリウム等の
無機塩等が挙げられる。これらは夫々単独で用いても二
種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0038】このようにして得られた本発明の野菜のフ
ライフレーバーは、システインスルホキシド化合物及び
/又はS置換システイン誘導体を糖の存在下、油溶性物
質及び必要であれば親水性物質を含む溶剤中、水分含量
を該溶剤に対して15%(W/W)以下で加熱反応させ
ることにより、フライしたガーリック、オニオン、キャ
ベツ等の野菜の香ばしいフライ感及び/又はロースト感
を有し、しかも力価の高いフライフレーバーが得られ
る、という点に顕著な効果を奏するものである。また、
反応させる際に、例えばアミノ酸類、香料等を添加して
前記反応を行えば、前記効果が更に増大する、という点
にも顕著な効果を奏するものである。
【0039】かくして得られた上記本発明の野菜のフラ
イフレーバーを例えば香味増強組成物として用いれば、
上記したような性質、即ち、フライしたガーリック、オ
ニオン、キャベツ等の野菜の香ばしいフライ感及び/又
はロースト感を有するものが得られる。それにより、該
組成物を粉末、固体、油状、液状(例えば水溶液等)或
いはエマルションの形態で、例えば種々の食品に添加す
れば、前記性質を付与した食品が得られ、また、フライ
パンで野菜を炒めたときの香ばしい調理感を表現するこ
とができる、という点に顕著な効果を奏するものであ
る。
【0040】本発明の香味増強組成物には、上記野菜の
フライフレーバーの他に、必要に応じてその効果を損な
わない範囲で他の成分を添加しても良い。添加可能な成
分としては、可食性のものであれば特に限定されない
が、例えばアミノ酸類、香料、塩類、調味料、強化剤、
苦味料、酸味料、増粘安定剤、酸化防止剤等が挙げられ
る。尚、アミノ酸類、香料、塩類の具体例は先に述べた
通りである。
【0041】
【実施例】以下に実施例、比較例及び試験例等を挙げて
本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例によっ
て何ら限定されるものではない。尚、香料は下記の割合
で調製した組成物を用いた(下記数値は重量%を示
す)。 アリルチオール 7 ジアセチル 4 アリルメチルスルフィド 20 ペンタナール 6 ジアリルスルフィド 23 ジアリルジスルフィド 302,4−デカジエナール 10 計 100
【0042】また、アミノ酸類も下記の割合で調製した
組成物を用いた(下記数値は重量%を示す)。 アスパラギン酸 10 グルタミン酸 30 セリン 10 ロイシン 5 プロリン 30アルギニン 15 計 100
【0043】実施例1. 野菜のフライフレーバーの製
造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、グ
ルコース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及びプロ
ピレングリコール 7.5gを大豆油 135gに分散させた。
得られた混合物を密閉容器中、130℃で30分間加熱反応
させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過してガーリ
ックを炒めた時に感じられる甘いフライ感のあるオイル
のガーリックフレーバー 108gを得た。
【0044】実施例2. 野菜のフライフレーバーの製
造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、グ
ルコース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及びプロ
ピレングリコール 7.5gを大豆油 135gに分散させた。
得られた混合物を密閉容器中、150℃で30分間加熱反応
させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過してロース
トおよびフライ感の強化されたオイルのガーリックフレ
ーバー 108gを得た。
【0045】比較例1. フレーバーの製造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、グ
ルコース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及びプロ
ピレングリコール 7.5gを大豆油 135gに分散させた。
得られた混合物を密閉容器中、180℃で15分間加熱反応
させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過してナッツ
様で焼けたにおいのフレーバー 108gを得た。得られた
フレーバーは、殆どフライ感を有していなかった。
【0046】比較例2. フレーバーの製造 ガーリック 28gを薄くスライスし、大豆油 135gに分
散させた。得られた混合物を密閉容器中、150℃で30分
間加熱反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過
してロースト感の弱いオイルのガーリックフレーバー 1
08gを得た。
【0047】試験例1.実施例1及び2並びに比較例1
及び2で得られたフレーバーについて、その風味を熟練
者5名のパネルにより下記3段階で評価した。結果を表
1に示す。 ・3段階評価基準 A:野菜のフライフレーバーとしての風味に優れてい
る。 B:野菜のフライフレーバーとしての風味を幾分表現す
る。 C:野菜のフライフレーバーとしての風味に欠ける。
【0048】
【表1】
【0049】(表1の考察)表1の結果からも明らかな
ように、実施例1及び2で得られた得られたフレーバー
は、目的のフライ感のあるものであった。これに対し、
比較例1で得られたフレーバーは、反応温度が180℃と
高温であったため、目的のフライ感のあるものは得られ
なかった。また、比較例2で得られたフレーバーも、単
にガーリックをスライスしたものを原料として用いたた
め、目的のフライ感のあるものは得られなかった。この
ことからも、本発明の製造方法が明らかに優れているこ
とが判る。また、実施例1及び2で得られた本発明のフ
レーバーは、比較例2で得られた従来のフレーバーの4
倍以上の力価のフレーバーが得られた。
【0050】実施例3. 野菜のフライフレーバーの製
造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、キ
シロース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及びリン
酸でpH6.5に調製した水 3.25gを大豆油 135gに分散
させた。得られた混合物を密閉容器中、140℃で30分間
加熱反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過し
てクリスピーなロースト感が強化されたオイルのガーリ
ックフレーバー 108gを得た。
【0051】実施例4. 野菜のフライフレーバーの製
造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、キ
シロース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及びリン
酸でpH6.5に調製した水 7.5gを大豆油 135gに分散
させた。得られた混合物を密閉容器中、140℃で30分間
加熱反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過し
てロースト感の強化されたオイルのガーリックフレーバ
ー 108gを得た。
【0052】実施例5. 野菜のフライフレーバーの製
造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、キ
シロース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及びリン
酸でpH6.5に調製した水 15gを大豆油 135gに分散さ
せた。得られた混合物を密閉容器中、140℃で30分間加
熱反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾過して
ロースト感の強化されたオイルのガーリックフレーバー
108gを得た。
【0053】比較例3. フレーバーの製造 S-2-プロペニルシステインスルホキシド 0.132g、グ
ルコース 6g、アミノ酸類 6g、香料 0.2g及び水 5
4gを大豆油 135gに分散させた。得られた混合物を密
閉容器中、140℃で30分間加熱反応させた。反応終了
後、反応液を冷却し、ロースト感が弱く酸臭が強いフレ
ーバー 108gを得た。
【0054】試験例2.実施例3〜5及び比較例3で得
られたフレーバーについて、その風味を熟練した5名の
パネルにより下記3段階で評価した。結果を表2に示
す。 ・3段階評価基準 A:野菜のフライフレーバーとしての風味に優れてい
る。 B:野菜のフライフレーバーとしての風味を幾分表現す
る。 C:野菜のフライフレーバーとしての風味に欠ける。
【0055】
【表2】
【0056】(表2の考察)表2の結果からも明らかな
ように、比較例3で得られたフレーバーは、水分含量が
溶剤に対して15%(W/W)以上有していたため、フ
ライ感又はロースト感を殆ど有していなかった。これに
対し、実施例3〜5の本発明の製造方法によって得られ
たフレーバーは、目的のロースト感のあるものであっ
た。このことからも、本発明の製造方法が明らかに優れ
ていることが判る。また、実施例3〜5で得られた本発
明のフレーバーは、フライ感が比較例2で得られた従来
のフレーバーの4倍以上の力価で得られた。
【0057】実施例6. 野菜のフライフレーバーの製
造 ガーリック抽出物 15g(水分5.2%)、グルコース 6
g、アミノ酸類 5g及び香料 0.1gを大豆油 135gに
分散させた。得られた混合物を密閉容器中、140℃で30
分間加熱反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、濾
過してフライ感及びロースト感の強いオイルのガーリッ
クフレーバー 108gを得た。
【0058】
【発明の効果】本発明の野菜のフライフレーバーは、シ
ステインスルホキシド化合物及び/又はS置換システイ
ン誘導体を糖の存在下、油溶性物質及び必要であれば親
水性物質を含む溶剤中、水分含量を該溶剤に対して15
%(W/W)以下で反応させることにより、フライした
ガーリック、オニオン、キャベツ等の野菜の香ばしいフ
ライ感及び/又はロースト感を有し、しかも力価の高い
フライフレーバーが得られる、という点に顕著な効果を
奏するものである。それにより、該野菜のフライフレー
バーは、各種飲食物、調味料等の香味増強剤等として有
用であり、斯業に貢献するところ大なる発明である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 システインスルホキシド化合物及び/又
    はS置換システイン誘導体を糖の存在下、溶剤中、水分
    含量が該溶剤に対して15%(W/W)以下で加熱反応
    させることを特徴とする、野菜のフライフレーバーの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 糖及び溶剤の使用量が、システインスル
    ホキシド化合物及び/又はS置換システイン誘導体1重
    量部に対して、糖10〜200重量部、溶剤200〜3
    000重量部である請求項1に記載の野菜のフライフレ
    ーバーの製造方法。
  3. 【請求項3】 システインスルホキシド化合物及び/又
    はS置換システイン誘導体を糖の存在下、溶剤中、水分
    含量が該溶剤に対して15%(W/W)以下で加熱反応
    させることにより得られる、野菜のフライフレーバー。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の野菜のフライフレーバ
    ーを含有することを特徴とする香味増強組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020096037A1 (ja) * 2018-11-09 2020-05-14 味の素株式会社 香気付与方法

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