JP2012170447A - 節風味原料及び節含有製品の製造方法 - Google Patents

節風味原料及び節含有製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原料節又は原料節加工品の製造において原料本来の風味をバランスよく強化し、かつ製造後の風味の劣化を抑制する方法を提供し、さらには節風味を伴うあらゆる食品の風味を強化し、かつ風味の変化を抑制することによって好ましい風味の製品を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)シスチンと、フラクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種の還元性の糖とを含む水溶液をアルカリ性の条件下で加熱する工程と、(b)工程(a)により調製された溶液と、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種のヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類を含有する素材とを混合し、再度加熱する工程とを含む、節風味原料の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、節風味原料の製造方法に関し、さらに詳しくは、各種食品に利用される、鰹、宗田鰹、鯖、鰺、鰯、鮪等を原料とした魚節の削り節や節粉末又はこれらの節を節風味原料として含有する節含有製品に添加することによって、当該製品の好ましい節風味を強化し、かつ製造後の風味の劣化を抑制する節風味原料の製造方法、及び当該方法により製造された節風味原料を用いる節含有製品の製造方法に関する。
公知の常法により、生切り、煮熟、焙乾を行って製造された荒節、及び荒節にさらにカビ付けを行なって製造された枯節の風味は、節の状態では比較的長期間保持される。しかし、節含有製品の製造工程において節を切削又は粉砕すると、その直後の肉質的な好ましい風味は急速に消失してしまうため、好ましい節風味を節含有製品において安定的に保持することは容易ではない。従来はこのような風味の劣化を抑制するために、切削又は粉砕した節を含有する製品を窒素置換包装或いは脱酸素剤封入によって低酸素雰囲気下に置くなどの処置が施されていた。このような処置によって、節風味の変化をある程度抑制することは可能である。しかしながら、魚節を利用したあらゆる節含有製品にこのような処置を適用することは、設備上或いはコスト面から不可能であった。また、たとえこのような処置を行っても、節風味の弱化を完全に防ぐことはできなかった。
一方、これらの節を含有する製品の風味を強化する方法として、原料節の焙乾時に表面積を増やすことによって焙乾を強化する方法(特許文献1)、及び切削後の節に燻液を添加することによってスモークフレーバーを付与する方法(特許文献2)等が知られている。しかしながら、これらの方法はいずれも主として燻煙臭を強化するための方法であり、本来の節にある肉質的な風味は強化されていない。そのため、節含有製品の風味全体の力価は強化されるものの、風味の質が本来の節由来の風味とは異なったものとなってしまい、使用目的によっては好ましくない場合がある。
また、魚節の肉質香を強化する方法としてはシステイン、シスチン、メチオニン、タウリン、グルタミルシステイン、グルタチオン、チアミン等の含硫化合物を魚節又は節含有製品の製造工程において添加する方法(特許文献3、4)等が知られている。当該方法によって魚節及び節含有製品の風味を強化することはできるが、対象製品によっては食品原料上の制約から使用が難しく、また添加量に対して十分な効果が得られないといった、工業上の問題があった。
また、食品の風味を増強するために、還元糖とアミノ酸との反応からアマドリ化合物を合成し、これをシステインと反応させて得られる香気成分前駆体とその製造方法が開示されている(特許文献5)。しかし、これが利用されるのは節含有製品とは別の分野の食品であり、風味変化の抑制効果までは示されていない。また、当該前駆体を用いる製造方法においては、あらかじめ特定の化合物を合成して対象物に添加しなければならないため、食品の工業的生産に利用するには実現性の観点から容易ではない。システインを用いる風味改善方法としては、酵母エキスと混合してpH条件を変えて調味料を製造する方法も開示されているが(特許文献6)、当該調味料はローストミート様の風味を有するものであって、本質的には酵母由来の不快臭を低減するために行われている。
特開昭54−113466号公報 特開昭53−142559号公報 特許第3246064号公報 特許第3246065号公報 特開2005−298633号公報 国際公開第2008/069173号パンフレット
本発明の目的は、原料節又は原料節加工品(以下、節含有製品と総称する)の製造において原料本来の風味をバランスよく強化し、かつ製造後の風味の劣化を抑制する方法を提供することであり、さらには節風味を伴うあらゆる食品の風味を強化し、かつ風味の変化を抑制することによって好ましい風味の製品を提供することである。
発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する所定の糖類を含有する素材に、シスチンと所定の還元糖とをアルカリ性溶液中で加熱した生成物を混合し、これを再度加熱することによって、節含有製品の風味を飛躍的に向上させる節風味原料が製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕(a)シスチンと、フラクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種の還元性の糖とを含む水溶液をアルカリ性の条件下で加熱する工程;そして、
(b)工程(a)により調製された溶液と、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種のヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類を含有する素材とを混合し、再度加熱する工程;
を含む、節風味原料の製造方法。
〔2〕工程(b)において、再度加熱する前に、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含有する素材を混合することを特徴とする、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕工程(a)におけるアルカリ性の条件がpH7より大きいpHである、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕アルカリ性の条件がpH8から12である、〔3〕に記載の製造方法。
〔5〕工程(b)の加熱が、酸性の条件下での加熱工程を含むことを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の製造方法。
〔6〕工程(b)の加熱を、加熱開始時においてはアルカリ性又は中性の条件下で行い、その後、酸性の条件下で行うことを特徴とする、〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕酸性の条件がpH1から6である、〔5〕又は〔6〕に記載の製造方法。
〔8〕酸性の条件がpH3から5である、〔7〕に記載の製造方法。
〔9〕アルカリ性又は中性の条件がpH6から12である、〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
〔10〕節含有製品を製造する工程において、製品に〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法により製造された節風味原料を添加することを特徴とする、節含有製品の製造方法。
〔11〕原料節、又は原料節加工品に、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法により製造された節風味原料を添加した後に焙乾することを特徴とする、節含有製品の製造方法。
本発明によれば、節含有製品を製造する工程において、本発明により得られた節風味原料を添加することにより、原料本来の風味が強化された良好な風味を有する節含有製品を製造することができる。また、本発明により得られた節風味原料を節含有製品に添加した後で焙乾することにより、さらに良好な風味を有する節含有製品を製造することも可能である。かかる節風味原料は、節含有製品の風味を強化させるだけでなく、風味の劣化又は変化を抑制することも可能である。
本発明は、以下の工程(a)及び(b)を含む、節風味原料の製造方法を提供する。
(a)シスチンと、フラクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種の還元性の糖とを含む水溶液をアルカリ性の条件下で加熱する工程、
(b)工程(a)により調製された溶液と、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種のヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類を含有する素材とを混合し、再度加熱する工程。
工程(a)で使用されるシスチンは、アミノ酸の一種であり、含硫アミノ酸であるシステイン2分子がジスルフィド結合を介して連結された構造を有する化合物である。シスチンの構造に含まれる不斉炭素原子に基づき、シスチンはD体、L体又はDL体のいずれであってもよいが、本発明では、天然に多く存在するL体のシスチンを用いることが好ましい。
工程(a)で使用されるシスチンには、その塩も含まれる。その塩としては、特に限定されるものでないが、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;アンモニウム塩等の無機塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩等の金属塩;ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、エチレンジアミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等のアミン塩;グリシン塩、リジン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩等を挙げることができる。
上記のシスチンは、本発明により得られる節風味原料、及び当該節風味原料を用いて製造される節含有製品の風味力価を向上させるという観点から、それ自体の単一化合物であることが好ましい。シスチンは、特に限定されないが、一般に市販されているものを使用することができる。
工程(a)で使用される還元性の糖は、一般に、塩基性溶液中でアルデヒド基又はケトン基を形成する糖のことをいい、適当な酸化剤によって酸化されてアルドン酸又はアルダル酸を与える。本発明における還元性の糖としては、分子内にアルデヒド基を有するもの、転移反応などによりアルデヒド基を生成する構造を有するもの、又はアルカリ性下における反応によりアルデヒド基などの還元性を有する構造を容易に生成するものが含まれ、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類等が存在する中で、具体的にはフラクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、マルトース、セロビオース及びラクトースが使用される。また、これらの糖類は単一化合物である必要はなく、数種類の糖類の混合物や他の化合物を含む混合物、さらにはエキスや多糖類の酵素分解物等に規定の化合物が含まれている素材を用いることも可能である。これらの糖類及びこれらを含有する素材は、特に限定されないが、一般に市販されているものを使用することができる。
シスチン及び還元性の糖の量や濃度は、特に限定されるものではないが、反応効率の観点から、用いるシスチンの量に対して還元性の糖を等モル程度用いることが好ましく、シスチンと還元性の糖とのモル比としては、通常1:0.01から1:100、好ましくは1:0.1から1:10、より好ましくは1:0.5から1:5、さらに好ましくは1:1から1:2である。また、シスチン濃度としては、通常0.1重量%から50重量%、好ましくは1重量%から40重量%、より好ましくは3重量%から30重量%、さらに好ましくは10重量%から30重量%が用いられる。
工程(a)では、シスチンと還元性の糖とを含む水溶液を調製した後、当該水溶液をアルカリ性の条件下で加熱することを特徴とする。加熱開始時のpHとしては、pH7より大きい場合にはいずれのpHにおいても効果は得られるが、好ましくはpH8から12、より好ましくはpH9から11、最も好ましくはpH10である。pHが低すぎるとシスチンの溶解度が低いために十分な濃度での反応が行えず、得られた製品の風味力価が弱いものとなってしまう。また、pHが高すぎるとコゲ臭が強く発生してしまい、製品の風味バランスが崩れてしまう。pHの調整は、特に限定されないが、アルカリ性水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて行うことが好ましく、シスチンと還元性の糖とを含む水溶液に徐々に加えながらpHを調整することが好ましい。
工程(a)での加熱の温度及び時間は、特に限定されるものではないが、工業上の実用的な範囲として、通常60℃から130℃、好ましくは70℃から120℃、より好ましくは80℃から110℃、さらに好ましくは90℃から100℃で、通常10分間から10時間、好ましくは30分間から5時間、より好ましくは45分間から3時間、さらに好ましくは1時間から2時間の条件が選択可能である。加熱は、水溶液のpHを調整した後で行ってもよく、pHを調整しながら行ってもよいが、本発明ではpHを調整した後に行うことが好ましい。
上記のように工程(a)により調製された水溶液は、工程(b)で、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する所定の糖類を含有する素材と混合される。ヘキソースは、一般に、6個の炭素原子を有する単糖であり、本発明では、その4位の水酸基に水素原子以外の置換基がグリコシド結合によって結合した構造を有する糖類として、マルトース、セロビオース及びラクトースが用いられる。工程(b)では、これらの糖類の1種又は2種以上を含有する素材が用いられる。当該素材は、天然素材であっても加工素材であってもよく、具体的にはエキス類や蛋白加水分解物等を用いることができる。エキス類としては鰹、鯖、鰺、鰯、鮪などの各種魚介類エキス;鰹節、宗田鰹節、鯖節、鮪節、煮干などの魚介乾物類エキス;鶏、豚、牛、羊などの各種部位を用いた畜産物エキス;昆布、白菜、キャベツ、トマト、玉葱、大蒜、葱、もやし、筍、椎茸、麦芽、ホップ、パセリ、生姜、バジル、ペッパー、ナツメグ、山椒などの各種;海藻エキス;野菜エキス;きのこエキス;ハーブ・スパイスエキス;酵母菌や麹菌などの微生物エキス等が挙げられ、蛋白加水分解物としては小麦タンパクや大豆タンパクなどの植物性原料または鶏、豚、牛のゼラチンなどの動物性原料を酸、酵素または微生物の作用によって分解したものや、さらには酵母菌体の自己消化などによって得られるもの等が挙げられる。なお、本発明では、これらの素材のみならず、同様な効果が得られることからマルトース、セロビオース及びラクトースそのものの単一化合物又はこれら2種以上の混合物を用いることもできる。また、工程(b)において混合される所定の糖類が工程(a)で用いられる還元性の糖と一致する場合は、工程(b)において所定の糖類を加えずに再度加熱を行ってもよい。上記の素材及びこれに含有される所定の糖類は、特に限定されないが、一般に市販されているものを使用することができる。
工程(b)において、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類と、工程(a)により調製されたシスチン及び還元性の糖を含む水溶液の量や濃度は、特に限定されないが、反応効率の観点からは、用いたシスチンの量に対して前記糖類を等モル前後用いることが好ましく、シスチンと前記糖類とのモル比としては、通常1:0.001から1:100、好ましくは1:0.01から1:10、より好ましくは1:0.1から1:1、さらに好ましくは1:0.2から1:0.7である。また、工程(b)におけるシスチン濃度としては、工程(a)で用いたシスチン量から換算して、通常0.01重量%から50重量%、好ましくは0.1重量%から40重量%、より好ましくは1重量%から20重量%、さらに好ましくは3重量%から10重量%が用いられる。
上記により得られた混合物は工程(b)で再度加熱されるが、本発明では、再度加熱を行う際に、当該混合物に所定の塩基性アミノ酸を共存させることが好ましい。塩基性アミノ酸は、一般に、2以上のアミノ基を有するアミノ酸又はその塩をいい、本発明では、具体的にはヒスチジン、リジン及びアルギニン又はそれらの塩が用いられる。工程(b)では、これらの塩基性アミノ酸そのものの単一化合物若しくはこれら2種以上の混合物、又はこれらの塩基性アミノ酸の1種又は2種以上を含有する素材が用いられる。当該素材は、天然素材であっても加工素材であってもよく、具体的にはエキス類等を用いることができる。エキス類としては鰹、鯖、鰺、鰯、鮪などの各種魚介類エキス;鰹節、宗田鰹節、鯖節、鮪節、煮干などの魚介乾物類エキス;玉葱、大蒜などの野菜エキス;酵母菌や麹菌などの微生物エキス等が挙げられる。上記の塩基性アミノ酸及びこれを含有する素材は、特に限定されないが、一般に市販されているものを使用することができる。
上記塩基性アミノ酸の塩としては、特に限定されるものでないが、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;アンモニウム塩等の無機塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩等の金属塩;ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、エチレンジアミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等のアミン塩;グリシン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩等を挙げることができる。
塩基性アミノ酸を含有する素材を用いる場合、工程(b)における塩基性アミノ酸の量や濃度は、特に限定されないが、反応効率の観点からは、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類に対して、塩基性アミノ酸を等モル前後用いることが好ましく、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類に対する塩基性アミノ酸のモル比として、通常1:0.01から1:100、好ましくは1:0.1から1:50、より好ましくは1:1から1:10、さらに好ましくは1:2から1:7となるように加えることができる。
塩基性アミノ酸を含有する素材は、特に限定されないが、工程(b)において再度加熱を行う前に混合されることが好ましい。また当該素材の混合は、その順序は特に制限されないが、当該素材とヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類とを混合させた上で、得られた混合物を、工程(a)により調製されたシスチン及び還元性の糖を含有する水溶液に混合させるように行うことが好ましい。節風味原料の製造工程において塩基性アミノ酸を含有する素材を混合させることにより、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類が活性化され、工程(a)により調製されたシスチン及び還元性の糖を含有する水溶液と、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類との反応が促進されるものと考えられる。これにより、最終的に得られる節風味原料の風味の質及び力価が向上することになる。
工程(b)での加熱の温度及び時間は、工程(a)での加熱と同様に特に限定されるものではないが、工業上の実用的な範囲として、通常60℃から130℃、好ましくは70℃から120℃、より好ましくは80℃から110℃、さらに好ましくは90℃から100℃で、通常10分間から10時間、好ましくは30分間から5時間、より好ましくは45分間から3時間、さらに好ましくは1時間から2時間の条件が選択可能である。
工程(b)の加熱は、特に限定されないが、酸性の条件下での加熱工程を含むことが好ましい。具体的には、工程(a)により調製された水溶液と、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する上記糖類との混合物、又は当該混合物と上記塩基性アミノ酸を含有する素材との混合物のpHを、工程(b)での加熱途中において酸性条件に調整することができる。酸性条件のpHとしては、pH7未満のいずれのpHにおいても効果は得られるが、好ましくはpH1から6、より好ましくはpH3から5、最も好ましくはpH4である。酸性条件へのpHの調整は、特に限定されないが、酸性水溶液として塩酸水溶液を用いて行うことが好ましく、工程(b)において調製された混合物に徐々に加えながらpHを調整することが好ましい。
上記の通り、工程(b)の加熱において途中からpH調整を行う場合、工程(a)により調製された水溶液と、ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する上記糖類との混合物、又は当該混合物と上記塩基性アミノ酸を含有する素材との混合物の加熱開始時のpHは、アルカリ性又は中性の条件下であることが好ましい。アルカリ性又は中性の条件のpHとしては、通常pH6から12であり、好ましくはpH6.5から10.5、より好ましくはpH7から9.5、さらに好ましくはpH7から8.5である。
本発明では、pHを酸性条件に調整した後、さらに加熱を行うことが好ましい。加熱の温度及び時間は、工程(a)での加熱と同様に特に限定されるものではないが、工業上の実用的な範囲として、通常60℃から130℃、好ましくは70℃から120℃、より好ましくは80℃から110℃、さらに好ましくは90℃から100℃で、通常5分間から10時間、好ましくは10分間から5時間、より好ましくは15分間から2時間、さらに好ましくは20分間から1時間の条件が選択可能である。
以上の操作を行うことにより、節含有製品の風味を飛躍的に向上させることが可能な節風味原料を製造することができる。当該節風味原料を、節含有製品の製造工程において製品に添加することにより良好な風味を有する節含有製品を製造することが可能となる。従って本発明は、節含有製品を製造する工程において、上記の通り製造された節風味原料を添加することを特徴とする、節含有製品の製造方法を提供する。
節含有製品の製造工程において節風味原料を添加する時期は特に限定されるものではないが、例えば焙乾後の原料節又は原料節を粉砕又は切削したものに添加するか、あるいは原料節加工製品の製造時に他の原料とともに添加及び混合することができる。また、節風味原料を添加した後に必要に応じて原料節及びその加工製品に乾燥、焙乾などの操作を加えることもできる。
節風味原料の添加方法は特に限定されるものではないが、より高い効果を得るという観点から、節風味原料又はこれを含有する溶液を原料節又はその加工製品に添加後よく混合し、節風味原料ができるだけ均一に節に行き渡るように添加することが好ましい。また、節含有製品が削り節又は節粉末等である場合には、節風味原料の溶液を噴霧する、あるいはこれらを当該溶液に浸漬する等の方法を用いることもできる。また、原料節を節風味原料の溶液に浸漬した後にそのまま加工する方法を用いることもできる。さらに、これらの方法を適宜複数組み合わせることもできる。
節風味原料の節含有製品への添加量は、対象となる節含有製品の種類や使用目的に応じて適宜設定されるが、添加対象となる節含有製品中の節の乾燥重量に対し、シスチン由来の硫黄元素の重量として、通常0.0001重量%〜5.0重量%、好ましくは0.001重量%〜1.0重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.5重量%、さらに好ましくは0.01重量%〜0.2重量%とすることができる。節風味原料の添加量が0.0001重量%未満であると風味について充分な効果が得られないことがあり、添加量が5.0重量%を超えると異風味が強くなりすぎて節本来の風味を損ねる可能性がある。なお、節の乾燥重量は、特に限定されないが、例えば農林水産省告示第246号(平成11年2月10日)「削りぶしの日本農林規格」に示された水分の測定方法により求められた水分量を節の重量から除いた重量として算出することができる。
本発明ではまた、上記によって製造された節風味原料を、魚節又は魚節加工品の製造工程において魚節又は魚節加工品に添加し、さらに焙乾操作を施すことにより、風味の質及び強度に優れた魚節及び魚節加工品を製造することが可能となり、このようにして製造された原料節を用いることによっても好ましい風味を有する節含有製品を製造することができる。従って本発明は、原料節又は原料節加工品に、上記の通り製造された節風味原料を添加した後に焙乾することを特徴とする、節含有製品の製造方法を提供する。原料節又は原料節加工品への節風味原料の添加量は、特に限定されないが、上記に示した節含有製品への添加と同様にすることができる。
本発明により得られる節風味原料が利用される節含有製品の種類としては、特に限定されないが、鰹、宗田鰹、鯖、鰺、鰯、鮪等を原料とした魚節の削り節や節粉末等又はこれらの節を含有する節風味調味料等が挙げられ、これらのような風味付与材料として利用される魚節に対していずれも好ましい効果を与えることができる。
以下、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の実施範囲はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
シスチン10gとフラクトース10gに水40gを加え、攪拌しながら27%水酸化ナトリウム水溶液12gを徐々に加えて均一な溶液とした。溶解後の溶液のpHは10.3であった。この溶液を95℃で1時間加熱した後、マルトース10g及びヒスチジン10gを加え、再度95℃で1時間加熱した。加熱後の溶液(pH6.5程度)に35%塩酸水溶液を加えて溶液のpHを4.0に調整した後、さらに95℃で0.5時間加熱を行い、節風味原料溶液を調製した。
実施例2
還元糖として、フラクトースの代わりにグルコースを用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例3
還元糖として、フラクトースの代わりにマルトースを用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例4〜8
還元糖として、フラクトースを5g(実施例4)、7.5g(実施例5)、10g(実施例6)、20g(実施例7)、又は40g(実施例8)使用し、それぞれ実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例9
ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類として、マルトースの代わりにラクトースを用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例10
ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類として、マルトースの代わりにセロビオースを用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例11
ヒスチジンを用いない以外は、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例12
塩基性アミノ酸として、ヒスチジンの代わりにリジンを用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例13
塩基性アミノ酸として、ヒスチジンの代わりにアルギニンを用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
実施例14
最終加熱工程においてpH調整を行わない以外は、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。具体的には、シスチン10gとフラクトース10gに水40gを加え、攪拌しながら27%水酸化ナトリウム水溶液12gを徐々に加えて均一な溶液とした。この溶液を95℃で1時間加熱した後、マルトース10g及びヒスチジン10gを加え、再度95℃で1.5時間加熱し、節風味原料溶液を調製した。
比較例1
還元糖であるフラクトースの代わりに、非還元糖であるスクロースを用いた以外は、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
比較例2
ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有さない糖類であるトレハロースを、マルトースの代わりに用いて、実施例1と同様の方法により節風味原料溶液を調製した。
比較例3
システインを固形分あたり4.5重量%含有する酵母エキス粉末6.7g(味の素(株)製)にグルコース0.2gとキシロース1.0gを混合し、水11.7gに溶解した。その後、水酸化ナトリウム溶液にてpHを4.6に調整し、95℃で5時間加熱した。加熱後、pHを6.6に調整し、再度95℃で2時間加熱し、節風味原料溶液を調製した。
試験例1
沸騰水に1重量%となるように市販の鰹節削り節を加え、1分間放置後、瀘布で残渣を濾過し、だし汁を得た。得られただし汁に、実施例1の節風味原料溶液を0.005重量%添加して、節風味原料入りだし汁(本発明品1)を調製した。訓練されたパネル5名によって、節風味原料を入れる前のだし汁(比較品1)とともに本発明品1の風味を評価した。その評価基準を下記に示し、また結果を表1に示す。本発明品1は、比較品1に対して鰹節にとって好ましい肉質風味が大きく強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制され、だしとして好まれた。
評価基準: −;感じられない(好ましくない)
±;僅かに感じられる(僅かに好ましい)
+;やや感じられる(やや好ましい)
++;明確に感じられる(好ましい)
+++;強く感じられる(とても好ましい)
++++;非常に強く感じられる(非常に好ましい)
Figure 2012170447
試験例2
鰹荒本節20重量部、食塩30重量部、乳糖30重量部及びグルタミン酸ナトリウム20重量部の各種原料をそれぞれ粉砕し、それらを混合したものに、実施例1の節風味原料溶液1重量部を加え、加湿、混練、押出し造粒、熱風乾燥の各工程を経て、鰹節風味調味料顆粒(本発明品2)を得た。また、鰹荒本節20重量部、食塩30重量部、乳糖30重量部及びグルタミン酸ナトリウム20重量部の各種原料をそれぞれ粉砕し、それら混合したものを加湿し、混練、押出し造粒、熱風乾燥の各工程を経て、鰹節風味調味料顆粒(比較品2)を得た。本発明品2及び比較品2を、1重量%となるようにそれぞれ熱水に加えてよく攪拌した後、訓練されたパネル5名によって両サンプルの風味を下記の評価基準に従って評価した。
評価基準: −;感じられない(好ましくない)
±;僅かに感じられる(僅かに好ましい)
+;やや感じられる(やや好ましい)
++;明確に感じられる(好ましい)
+++;強く感じられる(とても好ましい)
++++;非常に強く感じられる(非常に好ましい)
その結果、表2に示されたように、本発明品2は、比較品2に対して鰹節にとって好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制され、だし風味が好まれることがわかった。
Figure 2012170447
試験例3
試験例1と同様にだし汁を調製し、これに実施例2、実施例3、又は比較例1の節風味原料溶液を0.005重量%添加し、得られただし汁について風味を評価した。フラクトースを用いた場合(本発明品1)と比較した結果、還元糖であるグルコース(本発明品3)、又はマルトース(本発明品4)を用いた場合はいずれにおいても、本発明品1と同様にだし汁において鰹節の好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制された。一方、非還元糖であるスクロースを用いた場合(比較品3)は、本発明品1に比べて肉質風味が弱く感じられた。
試験例4
実施例4〜8の節風味原料溶液を、試験例1と同様にだし汁に0.005重量%ずつ添加して、得られただし汁(本発明品5〜9)の風味を評価した。その結果、表3に示されたようにフラクトース量を5gとした場合にわずかに風味の強度が弱く感じられたものの、いずれの場合においてもだし汁において鰹節の好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制されるという効果が認められた。
Figure 2012170447
試験例5
実施例9、実施例10、又は比較例2の節風味原料溶液を、試験例1と同様にだし汁に0.005重量%ずつ添加して、得られただし汁の風味を評価した。ヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類であるマルトースを用いた場合(本発明品1)と比較した結果、ラクトース(本発明品10)、又はセロビオース(本発明品11)を用いた場合はいずれにおいても、本発明品1と同様にだし汁において鰹節の好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制された。一方、トレハロースを用いた場合(比較品4)は、本発明品1に比べて鰹節の肉質風味が弱く感じられた。
試験例6
実施例11〜13の節風味原料溶液を、実施例1と同様にだし汁に0.005重量%ずつ添加して、得られただし汁の風味を評価した。ヒスチジンを用いた場合(本発明品1)と比較した結果、塩基性アミノ酸としてリジン又はアルギニンを用いた場合(本発明品13又は14)はいずれにおいても、本発明品1と同様にだし汁において鰹節の好ましい肉質風味が強化され、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制された。また、ヒスチジンを用いなかった場合(本発明品12)は、本発明品1に比べてやや風味の強度が弱く感じられたものの、だし汁において鰹節の好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制されるという効果が認められた。
試験例7
実施例1の節風味原料溶液、又は実施例14の節風味原料溶液を、試験例1と同様にして、それぞれ0.005重量%ずつだし汁に添加して、得られただし汁の風味を評価した。その結果、pH調整を行わずに調製した節風味原料溶液(本発明品15)では、pH調整を行った場合(本発明品1)に比べてやや風味の強度が弱く感じられたものの、だし汁において鰹節の好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制されるという効果が認められた。
試験例8
常法により生切り、煮熟、骨抜きした鰹なまり節の表面に実施例1の節風味原料溶液を塗布した後、通常通り焙乾を施して水分18重量%の鰹荒本節を得た。この操作により節に添加された節風味原料の量は、原料シスチン由来の硫黄元素の節乾燥重量に対する重量比に換算して0.02重量%であった。得られた鰹節、及び節風味原料溶液を塗布せずに得た通常の鰹節を、市販の鰹節削り器を用いて切削して、削り節とした。調製した削り節についてその香りを比較した結果、節風味原料溶液を塗布して得た鰹節の方が通常の鰹節に比べて明らかに鰹節の香りが強かった。次に、節風味原料溶液を塗布して得た鰹節、及び通常の鰹節それぞれを1重量%となるように沸騰水に加え、1分間放置した後、瀘布で残渣を濾過して各種だし汁を調製した。得られただし汁の風味を評価した結果、節風味原料溶液を塗布して得た鰹節から抽出しただし汁は、通常の鰹節から抽出しただし汁に比べて鰹節の好ましい肉質風味が強化されており、風味力価が向上すると共に劣化臭が抑制されていた。
試験例9
実施例1の節風味原料溶液、又は比較例3の節風味原料溶液を、試験例1と同様にして、それぞれ0.005重量%ずつだし汁に添加して、実施例1の節風味原料溶液を添加しただし汁(本発明品1)と比較例3の節風味原料溶液を添加しただし汁(比較品5)の風味を、訓練されたパネル5名によって評価した。その評価基準を下記に示し、また結果を表4に示す。その結果、シスチンを出発原料として得られた節風味原料を含有する本発明品1は、酵母エキスを出発原料として得られた節風味原料を含有する比較品5に対してコゲ風味が少なく、鰹節にとって好ましい肉質風味が大きく強化されており、風味力価が向上し、だしとして好まれた。
評価基準: −;感じられない(好ましくない)
±;僅かに感じられる(僅かに好ましい)
+;やや感じられる(やや好ましい)
++;明確に感じられる(好ましい)
+++;強く感じられる(とても好ましい)
++++;非常に強く感じられる(非常に好ましい)
Figure 2012170447
本発明により得られる節風味原料を、各種食品に利用される、鰹、宗田鰹、鯖、鰺、鰯、鮪等を原料とした魚節の削り節や節粉末又はこれらの節を節風味原料として含有する節含有製品に添加することにより、原料本来の風味が強化され、かつ製造後の風味の劣化が抑制された節含有製品を製造することができる。

Claims (11)

  1. (a)シスチンと、フラクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシロース、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種の還元性の糖とを含む水溶液をアルカリ性の条件下で加熱する工程;そして、
    (b)工程(a)により調製された溶液と、マルトース、セロビオース及びラクトースからなる群より選択される少なくとも1種のヘキソースの4位の水酸基にグリコシド結合によって水素原子以外の置換基が結合した構造を有する糖類を含有する素材とを混合し、再度加熱する工程;
    を含む、節風味原料の製造方法。
  2. 工程(b)において、再度加熱する前に、ヒスチジン、リジン及びアルギニンからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性アミノ酸を含有する素材を混合することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程(a)におけるアルカリ性の条件がpH7より大きいpHである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. アルカリ性の条件がpH8から12である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 工程(b)の加熱が、酸性の条件下での加熱工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 工程(b)の加熱を、加熱開始時においてはアルカリ性又は中性の条件下で行い、その後、酸性の条件下で行うことを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 酸性の条件がpH1から6である、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 酸性の条件がpH3から5である、請求項7に記載の製造方法。
  9. アルカリ性又は中性の条件がpH6から12である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 節含有製品を製造する工程において、製品に請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により製造された節風味原料を添加することを特徴とする、節含有製品の製造方法。
  11. 原料節、又は原料節加工品に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により製造された節風味原料を添加した後に焙乾することを特徴とする、節含有製品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014124142A (ja) * 2012-12-26 2014-07-07 Asahi Soft Drinks Co Ltd シスチン含有飲料の製造方法
JP2015232170A (ja) * 2014-05-12 2015-12-24 Jx日鉱日石金属株式会社 銀の製錬方法
WO2018003914A1 (ja) * 2016-06-30 2018-01-04 味の素株式会社 耐吸湿固結性が改善された固形状調味料
WO2020218401A1 (ja) * 2019-04-24 2020-10-29 味の素株式会社 固形状調味料

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