JPH1124291A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真装置

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JPH1124291A
JPH1124291A JP18014597A JP18014597A JPH1124291A JP H1124291 A JPH1124291 A JP H1124291A JP 18014597 A JP18014597 A JP 18014597A JP 18014597 A JP18014597 A JP 18014597A JP H1124291 A JPH1124291 A JP H1124291A
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JP
Japan
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electrophotographic
transport layer
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Application number
JP18014597A
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English (en)
Inventor
Taketoshi Hoshizaki
武敏 星崎
Taketoshi Azuma
武敏 東
Yasuhiro Yamaguchi
康浩 山口
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光感度が高く、残留電位の低く電子写真特
性に優れた、高性能のS字型又はJS字型電子写真感光
体及びそれを利用した電子写真装置を提供する。 【解決手段】 導電性基体1上に少なくとも電荷発生層
2と電荷輸送層とを設けてなり、電荷輸送層は、電気的
不活性マトリックス中に電荷輸送性粒子が分散されてな
る粒子分散型不均一電荷輸送層や電気的不活性部分と電
荷輸送性部分とからなり、該電気的不活性部分と電荷輸
送性部分とが相分離状態にある相分離型不均一電荷輸送
層に代表される不均一電荷輸送層4と、電荷輸送性マト
リックスよりなる均一電荷輸送層3とを含み、且つ、均
一電荷輸送層3が電荷発生層2と接していることを特徴
とする。この均一電荷輸送層3は電荷輸送性高分子化合
物を含有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性基体、電荷
発生層、及び電荷輸送層を含む電子写真感光体に関し、
特にデジタル電子写真法及びアナログ電子写真法に好適
な電子写真感光体に関する。また、これら電子写真感光
体を用いたデジタル電子写真装置及びアナログ電子写真
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真技術は、高速、高印字品
質が得られる等の利点を有するために、複写機、プリン
ター、ファクシミリ等の分野において、中心的役割を果
たしている。
【0003】電子写真技術において用いられる電子写真
感光体としては、従来からセレン、セレン−テルル合
金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料を用いたも
のが広く知られている。一方、これらの無機系感光体に
比べ、コスト、製造性、廃棄性等の点で優れた利点を有
する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の研究も
活発化し、現在では無機系感光体を凌駕するに至ってい
る。
【0004】特に、光電導の素過程である光電荷発生と
電荷輸送をそれぞれ別々の層に担わせる機能分離型積層
構成のものが開発されたことにより、材料選択の自由度
が増し、著しい性能の向上を遂げ、現在ではこの機能分
離積層型の有機感光体が電子写真感光体の主流となって
いる。機能分離積層型有機感光体用の電荷発生層として
は、キノン系顔料、ぺリレン系顔料、アゾ系顔料、フタ
ロシアニン系顔料、セレン等の電荷発生能を有する顔料
を蒸着等により直接成膜したもの、あるいは高濃度で結
着樹脂中に分散したものが実用されている。一方、電荷
輸送層としては、ヒドラゾン系化合物、ベンジジン系化
合物、アミン系化合物、スチルベン系化合物等の電荷輸
送能を有する低分子化合物を絶縁性樹脂中に分子分散し
たものが用いられている。
【0005】ところで、従来、光学的に原稿を感光体上
に結像させて露光するアナログ方式の電子写真式複写機
に用いる感光体としては、濃度階調による中間調の再現
性を良好にするために、図1に示すような光誘起電位減
衰特性を持つ感光体、すなわち、露光量に対し比例的に
電位減衰を起こす感光体(以下、「J字型感光体」とい
う。)が要求される。上記の無機系感光体、機能分離型
の積層型有機感光体は全てこの範疇に入る光誘起電位減
衰特性を示す。しかしながら、近年の高画質化、高付加
価値化、ネットワーク化等の要請に伴い盛んに研究開発
が行われているデジタル方式の電子写真装置では、一般
にドット等の面積率で階調を出す面積階調方式を採用す
るため、むしろ図2に示すような、ある露光量に達する
までは電位減衰せず、その露光量を越えると急峻な電位
減衰が起こる、いわゆるS字型の光誘起電位減衰特性を
有する感光体(以下、「S字型感光体」という。)を使
用することが、画素の鮮鋭度が高められる等の点から望
ましい。
【0006】S字型光誘起電位減衰特性は、ZnO等の
無機顔料あるいはフタロシアニン等の有機顔料を樹脂中
に粒子分散した単層型感光体において公知の現象である
[例えば、R.M.Schaffert:「Elect
rophotography」,Focal Pres
s,p.344(1975)、J.W.Weigl,
J.Mammino,G.L.Whittaker,
R.W.Radler,J.F.Byrne:「Cur
rent Problems in Electrop
hotography」,Walter de Gru
yter,p.287(1972)]。特に、現在多用
されている半導体レーザーの発信波長である近赤外域に
光感度を有するフタロシアニン系顔料を樹脂中に分散し
たレーザ露光用単層感光体が多数提案されている[例え
ば、グエン・チャン・ケー,相沢;日本化学会誌,p.
393(1986)、特開平1−169454号公報、
同2−207258、同3−31847、同5−313
387]。しかしながら、これらの単層型感光体では単
一材料で電荷発生と電荷輸送の両機能を担う必要がある
ものの、両機能共に優れた性能を有する材料は稀有であ
り、実用に耐え得るものは未だ得られていない。特に顔
料粒子は、一般的に多くのトラップレベルを有するた
め、電荷輸送能が低かったり、電荷が残留する等の欠点
があり、電荷輸送を担わせるには不適当である。唯一の
例外的な実用例はZnO樹脂分散単層感光体であり、Z
nOの親水性を活かし、疎水性トナー付着の有無による
面積階調方式で版を形成するオフセット印刷用マスター
版として、活用されている[例えば、河村「電子写真技
術の基礎と応用」,電子写真学会編,コロナ社,p.4
24(1988)]。しかしながら、これも高速性、耐
刷性に対する要求の低いマスター版として用いた故の成
功例であり、本発明の利用分野である複写機、プリンタ
ー等に用いる感光体としては実用に耐えるレベルにはな
い。これらの観点から、S字型感光体においても、材料
選択の自由度を上げるため、ひいては総合的な感光体特
性を向上させるために、機能分離型の層構成の導入が望
まれる。
【0007】この問題に対し、D.M.Pai等は、電
荷発生層と電荷輸送層からなる積層型感光体において、
電荷輸送層として少なくとも2つの電荷輸送領域および
1つの電気的不活性領域を含み、該電荷輸送領域が互い
に接触して回旋状電荷輸送路を形成してなる不均一電荷
輸送層を用いることにより、任意の電荷発生層との組合
せでS字型光誘起電位減衰特性が実現できることを報告
している[特開平6−83077号公報(米国特許第5
306586号明細書)]。この発明により、電荷発生
を分離し機能設計することが可能になった。さらに、本
発明者らは、電荷輸送層を電気的不活性マトリックス中
に電荷輸送性ドメインが分散された不均一電荷輸送層
と、電荷輸送性マトリックスよりなる均一性電荷輸送層
より形成することによっても、S字型光誘起電位減衰特
性が実現できることを報告している(特開平9−969
14号)。この発明により、電荷発生、S字化、電荷輸
送のそれぞれを分離して設計できることになった。
【0008】ところで、中間調の高画質化の要求の高い
デジタル式のフルカラープリンターやフルカラーコピー
機においては、強度変調やパルス幅変調により一画素に
対し露光量を変調し、感光体上に潜像を形成している。
この場合、二値の電位しかとることのない完全なるS字
型感光体よりも、J字型感光体の緩やかな電位減衰特性
とS字型感光体の特徴を合わせもつ感光体の方がより安
定的に中間調を再現できる可能性が示唆されている。特
に、露光量の少ない時にJ字型感光体の減衰特性を有
し、露光量の多いときに急激な減衰を示す図3のような
光誘起電位減衰曲線を有する感光体(広い意味でS字型
感光体に含まれる)はこれまでになかった(以下、この
ような特性を有するものをJS字型感光体と称する)。
【0009】また、これらとは別に、電荷輸送層の耐摩
耗性の向上などのために絶縁性結着樹脂中に電荷輸送性
粒子を分散した粒子分散型不均一電荷輸送層、および、
電気的不活性部分と電荷輸送性部分が相分離状態にある
相分離型不均一電荷輸送層などの不均一電荷輸送層のみ
からなる電荷輸送層と電荷発生層が密着した構造を有す
る電子写真感光体において、電荷発生層から電荷輸送層
への電荷注入が電気的不活性領域に阻まれ、光感度の低
下、残留電位の上昇などの問題が発生した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような事情に鑑みなされたものであっ
て、上記のような問題点を克服し得る新規な電子写真感
光体を提供することを目的とするものである。
【0011】すなわち、本発明の目的は、また、本発明
の他の目的は、J字型感光体の緩やかな電位減衰特性と
S字型感光体の特徴を合わせもつ新たなS字型及びJS
字型感光体を提供することにある。少なくとも導電性基
体、電荷発生層、及び不均一電荷輸送層を含む電子写真
用感光体において、電荷発生層から電荷輸送層への電荷
の注入を容易にすることで、光感度が高く、残留電位の
低い電子写真特性に優れた感光体を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、高性能のS字型及びJ
S字型感光体を提供することにある。また、本発明のも
う一つの目的は、高性能のS字型及びJS字型感光体を
利用した電子写真装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】電荷発生層と不均一電荷
輸送層が直に接している電子写真用感光体は、電荷発生
層と均一な電荷輸送マトリッククスよりなる電荷輸送層
が直に接している電子写真用感光体よりも、光感度が低
く、且つ、残留電位が高いことが殆どである。本発明者
等は、この原因に関して鋭意検討を重ねた結果、以下の
ような原因仮説を得るに至った。
【0013】均一な電荷輸送性マトリックスよりなる電
荷輸送層においては、電荷発生層の表面は必ず電荷輸送
部分に接しているため、電荷注入は容易である。しか
し、不均一電荷輸送層を用いた場合、電荷発生層との界
面において、絶縁性部分と電荷輸送性部分がある確立で
存在しているため、この界面の絶縁性部分では電荷注入
は困難となる。また、結着樹脂中に電荷発生粒子を分散
してなる電荷発生層の場合は、電荷発生材料と不均一電
荷輸送層の電荷輸送部分との接触確立はさらに低下する
ため、電荷注入効率の低下は顕著なものとなる。電荷注
入効率が低下すると、当然のことながら光感度の低下、
残留電位の上昇をもたらす。電荷輸送材料と電荷発生材
料との接触により増感するような電荷発生機構の場合も
同様の事が言える。
【0014】本発明者等は上記の原因仮説に基づき鋭意
検討を重ねた結果、電荷発生層と電荷輸送層の間に、電
荷輸送性マトリックスよりなる均一電荷輸送層を設ける
ことにより、前記問題を解決できることを見いだした。
【0015】さらに、この過程で前記構成をとる感光体
の光誘起電位減衰曲線が通常のS字型と異なり、減衰初
期にはJ字型的であり減衰後期にはS字型的となる特異
的な光誘起電位減衰曲線を示すことを発見し本発明を完
成するに至った。
【0016】即ち、本発明の電子写真感光体は、導電性
基体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを設けた
電子写真感光体において、該電荷輸送層が電気的に不活
性な部分と電荷輸送性の部分とを含む不均一電荷輸送層
と電荷輸送性マトリックスよりなる均一電荷輸送層を含
み、且つ、該均一電荷輸送層が電荷発生層と接している
ことを特徴とする。
【0017】なお、本明細書中では、以下、適宜、電気
的不活性マトリックス中に電荷輸送性粒子が分散されて
なる不均一電荷輸送層を「粒子分散型不均一電荷輸送
層」、電気的不活性部分と電荷輸送性部分が相分離状態
にある不均一電荷輸送層を「相分離型不均一電荷輸送
層」と略記する。また、「粒子分散型不均一電荷輸送
層」と「相分離型不均一電荷輸送層」の両方を含み、電
気的に不活性な部分と電荷輸送性の部分とを含む電荷輸
送層を単に「不均一電荷輸送層」と称する。また、電荷
輸送性物質よりなり、いずれの部分においても均一な電
荷輸送性能を示す電荷輸送層を「均一電荷輸送層」と略
記する。
【0018】なお、ここでいう電気的不活性とは、その
材料の主たる輸送電荷の被輸送エネルギーレベルが、電
荷輸送性ドメインの主たる輸送電荷の被輸送エネルギー
レベルから大きくかけ離れており、通常の電界強度で
は、実質的に主たる輸送電荷が注入されることがなく、
主たる輸送電荷にとって事実上の電気的絶縁状態にある
ことを意味する。また、主たる輸送電荷とは、電荷発生
層が電荷輸送層より表面側にある場合、正帯電にて使用
する際は正電荷、負帯電にて使用する際は負電荷であ
る。電荷輸送層が電荷発生層より表面側にある場合、正
帯電にて使用する際は負電荷、負帯電にて使用する際は
正電荷である。
【0019】本発明の構成による前記光感度の低下、残
留電位の上昇の問題を解決する機構は、以下のようなも
のであると考えられる。電荷発生層と均一電荷輸送層と
の接触は、電荷発生層と均一なマトリックスよりなる電
荷輸送層との接触と同様に電荷輸送性部分のみによる接
触であるため、電荷発生層から均一電荷輸送層への電荷
注入は容易である。該均一電荷輸送層と不均一電荷輸送
層との接触は絶縁性部分もあるが、均一電荷輸送層中に
注入された電荷は均一電荷輸送層中を移動することは容
易であり、電荷輸送性部分との接触点より注入される。
本発明の構成を有する電子写真感光体は、このような機
構で、電荷注入効率が改善され、結果として、光感度の
向上と残留電位の低下をもたらすものと考えられる。
【0020】また、本発明の構成による特異的な光誘起
電気減衰曲線の発現理由は以下のように考えられる。電
荷発生層中で発生した電荷は均一電荷輸送層へ注入さ
れ、均一電荷輸送層中を不均一電荷輸送層中の電気的不
活性領域にぶつかるまで移動する。この間の電荷の移動
で、露光量にほぼ比例して、感光体全体の誘電膜厚に対
する均一電荷輸送層の誘電膜厚分の電位減衰が起こるた
め光誘起電位減衰曲線初期のJ字型的な露光にほぼ比例
した電位減衰が起こるを考えられる。不均一電荷輸送層
中に注入された以降は通常のS字型感光体の原理で電位
減衰するため、光誘起電位減衰曲線の後期でS字型の急
峻な電位減衰を起こすものと考えられる。
【0021】光誘起電位減衰曲線のS字型の尺度には、
例えば、光誘起電位減衰曲線の最大の傾きを与える光量
における接線の光量0における電位の値(VT )と、光
誘起電位減衰曲線の光量0における電位(VO )の比
(VO /VT )を用いることができる。(図2中に
O ,VT を例示する。)一般的なJ字型感光体では、
電界強度の低下に伴い、電荷発生効率および/または電
荷輸送能が低下するため、最大の傾きは光量0と一致し
O /VT 値は1となる。理想的なJ字型感光体で電位
減衰が露光量に比例している場合も同様にVO /VT
は1となる。一方、S字型の究極である、ある露光量ま
では全く電位減衰せず、その露光量で一気に残留電位レ
ベルまで電位減衰する階段状の光誘起電位減衰曲線で
は、VO /VT 値は0となる。したがって、S字型とは
O /VT 値が0以上1未満の範囲内にあるものとして
規定される。
【0022】さらにJS字型の尺度には、光誘起電位減
衰曲線の光量0における電位(VO)と、光誘起電位減
衰曲線の最大の傾きを与える光量における接線と光誘起
電位減衰曲線の光量0における接線との交点における電
位(VT )の比(VT /VO)を用いることができる。
(図3中にVO 、VT を例示する。)J字型感光体で
は、VO とVT は一致するためVT /VO 値は1とな
る。また、S字型の究極である、ある露光量までは全く
電位減衰せず、その露光量で一気に残留電位レベルまで
電位減衰する階段状の光誘起電位減衰曲線では、VT
O 値はやはり1となる。JS字型では初期の電位減衰
によりVT はVO より小さくなるためVT /VO 値は1
未満の値をとり、負の値もとりうる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子写真感光体を
構成する各層についてさらに詳しく説明する。
【0024】図4と図5は、本発明の電子写真用感光体
の断面を示す模式図である。図4においては、導電性支
持体1上に光電荷発生を担う電荷発生層2が設けられ、
その上に均一電荷輸送層3が設けられ、さらに、その上
に不均一電荷輸送層4が設けられている。図5において
は、さらに、導電性支持体1と電荷発生層2の間に下引
き層5が設けられている。
【0025】図6と図7は、本発明の他の形態の電子写
真用感光体の断面を示す模式図である。図6において
は、導電性支持体1上に不均一電荷輸送層4が設けら
れ、その上に均一電荷輸送層3が設けられ、さらにその
上に電荷発生層2が設けられている。図7においては、
さらに、導電性支持体1と不均一電荷輸送層4の間に下
引き層5が設けられている。
【0026】これらの電子写真感光体は、さらに所望に
より保護層および/または乱反射層等を含むことができ
る。
【0027】導電性支持体としては、不透明または実質
的に透明であることができ、アルミニウム、ニッケル、
クロム、ステンレス鋼等の金属類、及び、アルミニウ
ム、チタン、ニッケル、クロム、ステンレス、金、バナ
ジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設
けたプラスチックフィルム、ガラス等、あるいは導電性
付与剤を塗布または含浸させた紙、プラスチックフィル
ムおよびガラス等があげられる。これらの導電性支持体
は、ドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状の
ものとして使用されるが、これらに限定されるものでは
ない。さらに必要に応じて導電性支持体の表面には、画
質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。
例えば、表面の酸化処理や薬品処理、および、着色処理
等、または、砂目立てなどの乱反射処理等を行うことが
できる。
【0028】また、導電性支持体と光導電層の間に、一
層または複数層の下引き層を設けてもよい。この下引き
層は、感光層の帯電時において導電性支持体から感光層
への電荷の注入を阻止すると共に、感光層を導電性支持
体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作
用、あるいは場合によっては導電性支持体からの光の反
射防止作用等を示す。
【0029】上記下引き層としては、公知のものを用い
ることができ、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶
性ポリエステル樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、
ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミ
ン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリア
クリル酸、ポリアクリルアミド等の樹脂およびこれらの
共重合体、または、ジルコニウムアルコキシド化合物、
チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の
硬化性金属有機化合物を、単独または2種以上を混合し
て用いることができる。また、帯電極性と同極性の電荷
のみを輸送し得る材料も使用可能である。
【0030】また、下引き層の膜厚は、0.01〜10
μmが適当であり、好ましくは0.05〜5μmの範囲
である。塗布方法としては、ブレードコーティング法、
ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、
浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナ
イフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常
の方法を用いることができる。
【0031】本発明の電子写真用感光体での電荷発生層
における電荷発生材料としては、従来のJ字型積層感光
体に電荷発生層として用いられている公知のものを使用
することができる。例えば、非晶質セレン、セレン−テ
ルル合金、セレン−ヒ素合金、その他セレン化合物およ
びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン、α−Si、α−
SiC等の無機系光導電性材料、フタロシアニン系、ス
クアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ
系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チア
ピリリウム塩等の有機顔料および染料が使用できるが、
これらに限定されるものではない。また、これらの有機
顔料および染料は、単独あるいは2種以上混合して用い
ることができる。
【0032】フタロシアニン系化合物は、デジタル式の
電子写真装置に光源として現在好まれて使用されている
LEDおよびレーザーダイオードの発信波長である60
0〜850nmに優れた光感度を有するため、本発明の
電荷発生材料として特に好ましい。詳しくは、無金属フ
タロシアニン、金属フタロシアニン、および、それらの
ダイマ−であり、金属フタロシアニンの中心金属として
は、Cu、Ni、Zn、Co、Fe、V、Si、Al、
Sn、Ge、Ti、In、Ga、Mg、Pb等があげら
れ、またこれら中心金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン
化物、アルキル化物、アルコキシ化物等も使用できる。
具体的には、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシ
アニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガ
リウムフタロシアニン、1,2−ジ(オキソガリウムフ
タロシアニニル)エタン、バナジルフタロシアニン、ク
ロロインジウムフタロシアニン、ジクロロ錫フタロシア
ニン、銅フタロシアニンなどをあげることができる。ま
た、これらのフタロシアニン環に任意の置換基を含むも
のも使用することができる。さらにまた、これらのフタ
ロシアニン環中の任意の炭素原子が窒素原子で置換され
たものも有効である。これらフタロシアニン系化合物の
形態としては、アルモルファスまたは公知の全ての結晶
多形のものが使用可能である。これらフタロシアニン系
化合物は、単独でも2種以上の混合としても使用するこ
とも可能である。
【0033】これらフタロシアニン系化合物の中でも、
チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニ
ン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、1,2−ジ
(オキソガリウムフタロシアニニル)エタン、無金属フ
タロシアニン、バナジルフタロシアニン、およびジクロ
ロ錫フタロシアニンは、特に優れた光感度を有してお
り、電荷発生材料として特に好ましい。これ等のうち特
に好ましい結晶系は、無金属フタロシアニンにおいては
X型が、バナジルフタロシアニンにおいてはα型であ
る。チタニルフタロシアニン結晶においては、CuKα
を線源とするX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ
±0.2°)が、少なくとも9.2°、13.1°、2
0.7°、26.2°、および27.1°に強い回折ピ
ークを有するもの、少なくとも7.6°、12.3°、
16.3°、25.3°および28.7°に強い回折ピ
ークを有するもの、および、少なくとも9.5°、1
1.7°、15.0°、23.5°、27.3°に強い
回折ピークを有する水和物のものをあげることができ
る。クロロガリウムフタロシアニン結晶においては、C
uKαを線源とするX線回折スペクトルのブラッグ角度
(2θ±0.2°)が、少なくとも13.4°、および
27.0°に強い回折ピークを有するもの、および、少
なくとも7.4°、16.6°、25.5°および2
8.3°に強い回折ピークを有するものをあげることが
できる。ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶におい
ては、CuKαを線源とするX線回折スペクトルのブラ
ッグ角度(2θ±0.2°)が、少なくとも7.5°、
9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、2
5.1°および28.3°に強い回折ピークを有するも
のをあげることができる。1,2−ジ(オキソガリウム
フタロシアニニル)エタン結晶においては、CuKαを
線源とするX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±
0.2°)が、少なくとも6.9°、13.0°、1
5.9°、25.6°および26.1°に強い回折ピー
クを有するものをあげることができる。ジクロロ錫フタ
ロシアニン結晶においては、CuKαを線源とするX線
回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が、
少なくとも8.3°、13.7°および28.3°に強
い回折ピークを有するもの、少なくとも8.5°、1
1.2°、14.5°および27.2°に強い回折ピー
クを有するもの、および、少なくとも9.2°、12.
2°、13.4°、14.6°、17.0°および2
5.3°に強い回折ピークを有するものをあげることが
できる。
【0034】また、殆どのフタロシアニン系化合物が正
孔を主たる輸送電荷とするp型半導体の性質を有してい
るのに対し、ジクロロ錫フタロシアニンは電子を主たる
輸送電荷とするn型半導体である性質を有している。そ
のため、電荷発生材料としてジクロロ錫フタロシアニン
を含み、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層を順次
積層してなるS字型及びJS字型感光体は、それを負帯
電で使用した場合、高感度で且つ導電性基材からの正電
荷の注入が抑えられ、暗減衰が小さく帯電性が高い良好
な電子写真特性を示す。
【0035】また、六方晶セレンも電荷発生効率に優れ
るため、電荷発生材料として好ましく使用できる。レー
ザー光のビーム径は発信波長が短くなるほど小径化でき
るため、更なる高画質化を目指し、露光用レーザーの短
波長化の検討がなされているが、六方晶セレンの感光域
は約680nm以下の短波長域を覆っているため、六方
晶セレンはこの範囲の短波長レーザー用の電荷発生材料
として特に好ましく用いることができる。
【0036】電荷発生層は、前記電荷発生材料を導電性
支持体上に真空蒸着法により層形成するか、または、前
記電荷発生材料を結着樹脂中に分散または溶解して導電
性支持体上に塗布、乾燥することににより作製できる。
【0037】ここで、電荷発生層に用いる結着樹脂とし
ては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマー
ル樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ
塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテ
ート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコン
樹脂、フェノール樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール
樹脂等があげられるがこれらに限定されるものではな
い。これらの結着樹脂はブロック、ランダムまたは交互
共重合体であることができる。また、これらの結着樹脂
は、単独あるいは2種以上混合して用いることができ
る。
【0038】電荷発生材料と結着樹脂との配合比(体積
比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。より好
ましくは、3:1〜1:3の範囲に設定される。電荷発
生材料の結着樹脂に対する配合比が前記範囲より多い
と、暗減衰を増大し機械的特性を悪化させる。また、前
記範囲より少ないと光感度の低下、残留電位の増大等の
障害が起きる。また、本発明で用いる電荷発生層の膜厚
は一般的には、0.05〜5μmが適当であり、好まし
くは0.1〜2.0μmの範囲に設定される。塗布方法
としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコー
ティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティング
法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング
法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いるこ
とができる。
【0039】電荷発生層と不均一電荷輸送層との間の均
一電荷輸送層は、電荷輸送性マトリックスより構成され
る。この均一電荷輸送層は、先に述べたように電荷発生
層で発生した電荷を不均一電荷輸送層中に効率よく注入
する機能と、不均一電荷輸送層までの電荷輸送の機能を
有するものであり、均一電荷輸送層を構成する材料とし
ては、従来のJ字型積層感光体に電荷輸送層として用い
られている公知のもの、電子輸送性低分子化合物を絶縁
性樹脂中に均一分子分散した固溶膜やそれ自身電荷輸送
能を有する高分子化合物等を使用することができる。具
体的には、例えば、ベンジジン系化合物、アミン系化合
物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、カルバ
ゾール系化合物等のホール輸送性低分子化合物またはフ
ルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合物、ジフェ
ノキノン系化合物等の電子輸送性低分子化合物を、単独
でまたは2種以上を混合して、ポリカーボネート、ポリ
アリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメチル
メタクリレート等の絶縁性樹脂中に均一分子分散した固
溶膜、あるいは、それ自身電荷輸送能を有する高分子化
合物等を用いることができる。また、セレン、アモルフ
ァスシリコン、アモルファスシリコンカーバイト等の電
荷輸送能を有する無機物質を用いることもできる。電荷
輸送性高分子化合物としては、ポリビニカルバゾール等
の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化合物、特
開平5−232727号公報等に開示されているような
電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合物、およ
びポリシラン等をあげることができる。
【0040】本発明における均一電荷輸送層としては、
特に製造上、電荷輸送性高分子化合物を用いることが好
ましい。すなわち、均一電荷輸送層と不均一電荷輸送層
を積層成膜する場合、均一電荷輸送層に電荷輸送性低分
子化合物を用いると、電荷輸送性低分子化合物が不均一
電荷輸送層に混入してしまい、不均一電荷輸送層の電気
的不活性マトリックスの主たる電荷に対する絶縁性が低
下することにより、混入分子が電荷トラップとなり残留
電位の増大、輸送能の低下及び光感度の低下等の障害が
発生する。この問題は特に、湿式塗布法により、各層を
成膜する場合に顕著になる。もちろん、これらの問題
は、上層の塗布溶剤として下層を溶解および膨潤し難い
ものを選択するか、または、電気的不活性マトリックス
として電荷輸送性低分子化合物と相溶性の無いものを選
択する等により、回避することが可能である。しかしな
がら、高分子同士は相溶することなく相分離を起こすこ
とが一般的であることが知られており、中間層として、
電荷輸送性高分子化合物を用いた場合、不均一電荷輸送
層の電気的不活性マトリックス樹脂と相溶することなく
相分離するため、上記のような混入の問題は殆ど発生せ
ず、材料および製造法の選択に当たっての制約が解消さ
れるという利点を有する。
【0041】また、上記の理由により、電荷輸送性高分
子よりなる均一電荷輸送層の場合には、層中における分
子量1000以下の電荷輸送性化合物が5%以上含まれ
ないことが望ましい。
【0042】さらに、電荷輸送性高分子化合物として、
下記一般式(1)及び(2)で表される構造の少なくと
も1種以上を繰り返し単位として含有する電荷輸送性樹
脂の場合は、高い電荷輸送能を有し、成膜性にも優れて
いるので特に好ましい。
【0043】
【化3】
【0044】(式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立
に置換もしくは未置換のアリール基を示し、X1 は方向
族環構造を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含
有炭化水素基を示し、X2 及びX3 はそれぞれ独立に置
換もしくは未置換のアリーレン基を示し、L1 は枝分れ
もしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基または
ヘテロ原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞ
れ0または1から選ばれる整数を意味する。)
【0045】
【化4】
【0046】(式中、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立
に置換もしくは未置換のアリール基を示し、L2 は芳香
族環構造を有する3価の炭化水素基またはヘテロ原子含
有炭化水素基を示す。) 上記一般式(1)中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立
に置換もしくは未置換のアリール基から選ばれ、該アリ
ール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、
ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また、置換基
としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、ハロゲン
原子等が挙げられる。
【0047】X1 は芳香族環構造を有する2価の炭化水
素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる。具
体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフ
ェニレン基、ナフチレン基、メチレンジフェニル基、シ
クロヘキシレンデンジフェニル基、オキシジフェニル
基、チオジフェニル基等、およびこれらのメチル置換
体、エチル置換体、メトキシ置換体、またはハロゲン置
換体等が挙げられ、この中でも特に置換もしくは未置換
のビフェニレン基が電荷輸送性の点で、特に好ましい。
【0048】X2 及びX3 はそれぞれ独立に置換もしく
は未置換のアリーレン基から選ばれ、具体的には、フェ
ニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチ
レン基等、およびこれらのメチル置換体、エチル置換
体、メトキシ置換体、またはハロゲン置換体等が挙げら
れる。
【0049】L1 は枝分もしくは環構造を含んでもよい
2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から
選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮す
るかぎり任意であるが、エーテル結合、エステル結合、
カーボネート結合、シロキサン結合等から選ばれる結合
基を含み、且つ炭素数が20以下であるものが好まし
い。その具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0050】
【化5】
【0051】上記一般式(2)中、Ar3 及びAr4
それぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基から選
ばれ、該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビ
フェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。
また、置換基としては、炭素数1〜12個のアルキル基
またはアルコキシ基、ジフェニルアミノ基、ハロゲン原
子等が挙げられる。
【0052】L2 は芳香族環構造を有する3価の炭化水
素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記
の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意
であるが、炭素数が20以下のものが好ましい。その具
体例てしては、以下のものが挙げられる。
【0053】
【化6】
【0054】上記一般式(1)で表される構造式の具体
例を下記表1〜2に示し、上記一般式(2)で表される
構造式の具体例を下記表3に示すが、本発明はこれらに
限られるものではない。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】本発明の感光体に形成される均一電荷輸送
層は、不均一電荷輸送層の不均一性を阻害することな
く、電荷発生層から不均一電荷輸送層への電荷の注入性
を向上させる特性を有することが重要であり、従って、
この均一電荷輸送層中に電荷輸送性マトリックスに囲ま
れるような電気的不活性な領域が存在してもよい。
【0059】また、上記特性を得るための均一電荷輸送
層の膜厚としては、0.05〜50μmが好適であり、
好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.2
〜10μmに設定される。上記範囲より膜厚が薄いと均
一電荷輸送層としての注入を助ける効果が不十分であ
る。電荷輸送層の総膜厚に対し均一電荷輸送層の膜厚の
割合は90%以下である。好ましくは70%以下であ
り、より好ましくは50%以下である。電荷輸送層の総
膜厚に対し均一電荷輸送層の膜厚の割合が多くなるとS
字性、及びJS字性が悪くなり、事実上のJ字型とな
る。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイ
ヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬
コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフ
コーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方
法を用いることができる。また、気相成膜可能なもの
は、真空蒸着法等により直接成膜して中間層を形成する
こともできる。
【0060】不均一電荷輸送層は電気的不活性マトリッ
クス中に電荷輸送性粒子が分散されてなる粒子分散型不
均一電荷輸送層、または、電気的不活性部分と電荷輸送
性部分が相分離状態にある相分離型不均一電荷輸送層の
みよりなる電荷輸送層である。
【0061】粒子分散型不均一電荷輸送層は、電気的不
活性マトリックス中に電荷輸送性ドメインが分散されて
なる不均一構造を特徴とする電荷輸送路を形成する層で
あって、その作製のためには、任意の適当な方法を採用
することができる。例えば、適当な溶剤中に絶縁性結着
樹脂を溶解させた溶液に、電荷輸送材料の微粒子(以
下、電荷輸送性微粒子という。)を分散させ、浸漬コー
ティング法等により塗布した後、乾燥させることにより
得ることができる。また、予め電荷輸送性微粒子を熱硬
化性樹脂あるいはシランカップリング剤等の絶縁性材料
により被覆不溶化したものを、適当な溶剤中に絶縁性の
結着樹脂を溶解させた溶液に分散させ、浸漬コーティン
グ法等により塗布した後、乾燥させることによって得る
こともできる。また、絶縁性の結着樹脂中に電荷輸送性
物質を均一に分散させたものに加熱処理、溶剤処理等を
施すことにより電荷輸送材料の微結晶を析出させること
によっても得ることができる。
【0062】より具体的には、粒子分散型不均一電荷輸
送層は、適当な結着樹脂中に電荷輸送性微粒子を分散さ
せた分散体から形成することができる。電荷輸送性微粒
子を構成する材料としては、六方晶セレン、セレン化カ
ドミウム、その他セレン化合物およびセレン合金、硫化
カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−S
iC等の無機系材料、フタロシアニン系、スクアリウム
系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アント
ラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、チアピリリウ
ム塩系等の有機顔料、並びに、ベンジジン系化合物、ア
ミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合
物、カルバゾール系化合物等のホール輸送性低分子化合
物またはフルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合
物、ジフェノキノン系化合物等の電子輸送性低分子化合
物、さらに、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を有
する基を側鎖に含む高分子化合物、特開平5−2327
27号公報等に開示されているような電荷輸送能を有す
る基を主鎖に含む高分子化合物、およびポリシラン等の
電荷輸送性高分子の硬化または未硬化の粒子等があげら
れるが、これらに限定されるものではない。また、これ
らの電荷輸送材料は、単独あるいは2種以上混合して用
いることができる。
【0063】電気的不活性マトリックスとしての結着樹
脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホ
ルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニ
ルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
シリコン樹脂、フェノール樹脂等があげられるが、これ
らに限定されるものではない。これらの結着樹脂はブロ
ック、ランダムまたは交互共重合体であることができ
る。また、これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上
混合して用いることができる。
【0064】S字型及びJS字型感光体とする場合、こ
れらの電気的不活性マトリックスとなる結着樹脂の体積
抵抗率は、1013Ω・cm以上が好ましく、より好まし
くは1014Ω・cm以上である。体積抵抗率がこの値よ
り低いと、電気的不活性マトリックスの電気的絶縁性が
損なわれ、S字性が失われる傾向にある。
【0065】また、不均一電荷輸送層が、絶縁性の結着
樹脂に電荷輸送性微粒子を分散、塗布して形成される場
合、塗布には電荷輸送性微粒子を溶解しない溶剤を使用
することが望ましい。電荷輸送性微粒子を溶解する溶剤
を使用すると、電荷輸送性微粒子を構成する物質が絶縁
性の結着樹脂中に分子分散状態で混入し、電気的不活性
マトリックスの絶縁性を損ない、S字性が悪化する傾向
にあるためである。
【0066】また、不均一電荷輸送層の他の一つの形成
方法は、絶縁性結着樹脂との固溶体中で電荷輸送性染料
または分子を結晶化させることにより微結晶として析出
させ、相分離させることによるものである。
【0067】相分離型不均一電荷輸送層の一つの形成法
は、絶縁性高分子化合物と電荷輸送性高分子化合物が共
に溶解している溶液を塗布することにより、絶縁性高分
子化合物と電荷輸送性高分子化合物の相分離状態にある
混合物よりなる不均一構造を有する電荷輸送路を形成す
る相分離型不均一電荷輸送層を得る方法がある。
【0068】電荷輸送性高分子化合物としては、ポリビ
ニカルバゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む
高分子化合物、特開平5−232727号公報等に開示
されているような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高
分子化合物、およびポリシラン等をあげることができ
る。
【0069】さらに電荷輸送性高分子化合物として、前
記一般式(1)で表される構造の少なくとも1種以上を
繰り返し単位として含有する電荷輸送性樹脂の場合は、
高い電荷輸送能を有し、機械的特性にも優れているので
特に好ましい。
【0070】絶縁性高分子化合物としては、ポリビニル
ブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性
ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、フェノール
樹脂等があげられるが、これらに限定されるものではな
い。これらの結着樹脂はブロック、ランダムまたは交互
共重合体であることができる。また、これらの結着樹脂
は、単独あるいは2種以上混合して用いることができ
る。また、S字型及びJS字型感光体においては、これ
らの絶縁性高分子化合物となる結着樹脂の体積抵抗率
は、1013Ω・cm以上が好ましく、より好ましくは1
14Ω・cm以上である。体積抵抗率がこの値より低い
と、絶縁性高分子化合物の電気的絶縁性が損なわれ、S
字性が失われる傾向にある。
【0071】相分離型不均一電荷輸送層のもう一つの形
成方法は、絶縁性ブロックと電荷輸送性ブロックからな
るブロック共重合体またはグラフト共重合体を塗布し、
絶縁性ブロックと電荷輸送性ブロックのミクロ相分離状
態を形成させる方法がある。絶縁性高分子化合物と電荷
輸送性高分子化合物の相分離状態にある混合物は、多く
の場合は相のサイズが大きく膜が白化してしまうため、
画質の荒れなどが生じやすい。ブロック共重合体または
グラフト共重合体では、ブロックの分子量により相のサ
イズが束縛され小さな相分離状態を形成するため、画質
の荒れなどを生じることはない。
【0072】使用可能なブロックまたはグラフト共重合
体としては、例えば、米国特許第3,994,994号
に記載されているビニルカルバゾールとドデシルメタク
リレートの共重合により製造されたマルチブロック共重
合体があげられる。その他、米国特許第4,618,5
51号、第4,806,443号、第4,818,65
0号、第4,935,487号、及び第4,956,4
40号に記載されているもの、低分子量のポリシロキサ
ン、脂肪族及び芳香族ポリエステル、ポリウレタン単位
を含み縮合により製造されるブロック共重合体も使用で
きる。S字型及びJS字型感光体においては、これらブ
ロック共重合体の絶縁性ブロックのみからなる単独樹脂
の体積抵抗率は1013Ω・cm以上が好ましく、より好
ましくは1014Ω・cm以上である。上記体積抵抗率が
この範囲より低い絶縁性ブロックを用いた場合、そのブ
ロックによって形成される電気的不活性マトリックスの
電気的絶縁性が損なわれS字性が失われる傾向にある。
【0073】また、本発明で用いる不均一電荷輸送層の
膜厚は1〜100μmが適当であり、好ましくは5〜7
0μm、さらに好ましくは10〜40μmの範囲に設定
される。
【0074】電荷輸送性ドメインと電気的不活性マトリ
ックスの体積比、または、電荷輸送部分と電気的不活性
部分の体積比は5/1〜1/20の範囲で任意に設定さ
れるが、3/1〜1/10の範囲が好ましい。電荷輸送
性ドメインまたは電荷輸送部分の体積比率が上記範囲よ
り少ないと、充分な電荷輸送能が得られず、残留電位の
増大、光感度の低下、応答速度の低下等の障害を招く傾
向にある。電荷輸送性ドメインまたは電荷輸送部分の体
積比率が上記範囲より多いと、暗減衰の増加、機械的強
度の低下等の障害を招く傾向にある。S字型及びJS字
型感光体においては、電荷輸送性ドメインと電気的不活
性マトリックスの体積比、または、電荷輸送部分と電気
的不活性部分の体積比は7/3〜1/10の範囲が好ま
しい。電荷輸送性ドメインまたは電荷輸送部分の体積比
率が上記範囲より多いと、電荷輸送性ドメインまたは電
荷輸送部分が密に接触してしまい、実質的に均一な構造
の電荷輸送路を形成し、上記のS字型光誘起電位減衰特
性発現に不可欠な電荷輸送路の不均一構造が消失し、S
字性が失われる傾向にある。
【0075】電荷輸送性ドメインの平均粒子径、または
電荷輸送部分の相のサイズは0.005〜3μmが好ま
しく、より好ましくは0.01〜1μm、特に好ましく
は0.02〜0.5μmの範囲である。電荷輸送性ドメ
インの平均粒子径、または電荷輸送部分の相のサイズが
上記範囲より大きいと、画像の荒れが生じ、S字型及び
JS字型感光体においては、好ましい膜厚の範囲内での
S字化に必要な電荷輸送路の不均一構造の形成が確率的
に低くなり、S字性が失われることになる。他方、電荷
輸送性ドメインの平均粒子径が上記範囲より小さい場合
には、電荷輸送路が均一な構造に近付き、S字性が失わ
れることになる。不均一電荷輸送中の電荷輸送性ドメイ
ンが電荷輸送性微粒子の凝集体よりなる場合、電荷輸送
性ドメインの粒子径とは、その凝集2次粒子径を指す。
但し、電荷輸送性微粒子が絶縁被覆されている場合の電
荷輸送性ドメインの粒子径とは、凝集2次粒子径ではな
く電荷輸送性微粒子自身の粒子径を指す。なお、ここで
言う平均粒子径とは体積平均粒子径であり、相のサイズ
とは、相分離構造が海島構造の場合は島の面積平均の直
径であり、棒状の場合は面積平均の棒の直径、層状の場
合は面積平均の層の厚さとする。
【0076】また、不均一電荷輸送層中に、主たる輸送
電荷と逆極性の電荷のみを輸送し得る化合物を添加する
ことにより、残留電位の低下、繰り返し安定性の向上等
の効果を得ることもできる。
【0077】塗布方法としては、ブレードコーティング
法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング
法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エア
ーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の
通常の方法を用いることができる。
【0078】電荷発生層と電荷輸送層よりなる光導電層
の上には、さらに必要に応じて保護層を設けてもよい。
この保護層は、帯電部材から発生するオゾンや酸化性ガ
ス等、および紫外光等の化学的ストレス、あるいは、現
像剤、紙、クリーニング部材等との接触に起因する機械
的ストレスから光導電層を保護し、光導電層の実質の寿
命を改善するために有効である。特に、薄層の電荷発生
層を上層に用いる層構成において、効果が顕著である。
【0079】保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中
に含有させて形成される。導電性材料としては、ジメチ
ルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化アンチモン、
酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、ITO等の金
属酸化物等の材料を用いることができるが、これらに限
定されるものではない。結着樹脂としては、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコーン樹脂、
メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の公知
の樹脂を用いることができる。また、アモルファスカー
ボン等の導電性無機膜も保護層として用いることができ
る。
【0080】保護層の電気抵抗は109 〜1014Ω・c
mの範囲が好ましい。電気抵抗がこの範囲以上になると
残留電位が増加し、他方、この範囲以下になると沿面方
向での電荷漏洩が無視できなくなり、解像力の低下が生
じてしまう。
【0081】保護層の膜厚は0.5〜20μmが適当で
あり、好ましくは1〜10μmの範囲に設定される。
【0082】また、保護層を設けた場合、必要に応じ
て、感光層と保護層との間に、保護層から感光層への電
荷の漏洩を阻止するブロッキング層を設けることができ
る。このブロッキング層としては、保護層の場合と同様
に公知のものを用いることができる。
【0083】本発明の電子写真感光体においては、電子
写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは、
光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、各層また
は最上層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加
することができる。
【0084】酸化防止剤としては、公知のものを用いる
ことができ、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダー
ドアミン、パラフェニレンジアミン、ハイドロキノン、
スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導
体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。
【0085】光安定剤としては、公知のものを用いるこ
とができ、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾー
ル、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の
誘導体、および、光励起状態をエネルギー移動あるいは
電荷移動により失活し得る電子吸引性化合物または電子
供与性化合物等があげられる。
【0086】さらに、表面磨耗の低減、転写性の向上、
クリーニング性の向上等を目的として、最表面層にフッ
素樹脂等の絶縁性粒子を分散させてもよい。
【0087】本発明の電子写真感光体を搭載する電子写
真装置としては、電子写真法を用いるものであれば如何
なるものでも構わないが、S字型及びJS字型感光体に
おいては、特にデジタル処理された画像信号に基づき露
光を行う電子写真装置が好ましい。デジタル処理された
画像信号に基づき露光を行う電子写真装置とは、レーザ
ーまたはLED等の光源を用い、2値化またはパルス幅
変調や強度変調を行い多値化された光により露光する電
子写真装置であり、例としてLEDプリンター、レーザ
ープリンター、レーザー露光式デジタル複写機などを挙
げることができる。また、電子写真感光体とともに、ク
リーニング手段、帯電手段、現像手段などの一つ以上の
手段と組み合わせてユニットとしてもよい。本発明にお
ける電子写真装置は、このようなユニット自体をも包含
するものである。
【0088】また、JS字型感光体においては、複写対
象物の反射像または透過像を感光体上に結像し露光を行
う露光手段を有するアナログ方式の電子写真複写機にお
いても好ましく使用できる。光誘起電位減衰曲線の初期
のJ字型的な領域で中間調の再現を行うことができると
ともに、光誘起電位減衰曲線の後期のS字型及びJS字
型的な領域で白地の現像コントラストをあげることによ
りカブリのない白地を容易に実現でき、中間調の再現性
とカブリのない白地の両立が容易となる。
【0089】S字型感光体として好ましく使用できるの
は、VO /VT 値が0以上1未満である。0.9以下の
値であることが良く0.7以下が好ましい。より好まし
くは0.5以下の値である。
【0090】S字型感光体としては、VT /VO 値が1
未満の値であれば良いが、0.9から0.1の値である
ことが好ましい。より好ましくは0.7から0.3の値
である。また、JS字型感光体においても、S字型とし
ての特性が必要であり、VO/VT 値は0以上1未満で
ある。0.9以下の値であることが良く0.7以下が好
ましい。より好ましくは0.5以下の値である。
【0091】上記VO /VT 値、またはVT /VO
は、測定条件により値が変化する。特に、電界強度(ま
たは帯電電位)、露光からの時間、感光体の温度に依存
する。そのため、電界強度は2〜200V/μm(また
は帯電電位±100〜±2000V)、露光からの時間
は0.01〜10秒、感光体の温度は0〜150℃の範
囲内のいずれかの条件での値とする。特に電子写真装置
に電子写真感光体が搭載された場合はその装置内での帯
電電位、露光から現像までの時間、装置内での感光体の
温度などの使用条件の範囲内のいずれかの値である。
【0092】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定され
るものではなく、当業者は電子写真技術の公知の知見か
ら、以下の実施例に変更を加えることが可能である。 (調製例1)反応性重合開始剤 4,4’−アゾビス(4−シアノ吉
草酸クロリド)の合成 塩化チオニル140mlを氷冷し、4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)48gを徐々に加えた。30°C
で6時間加熱し、過剰の塩化チオニルを減圧下で留去し
た。残留物をクロロホルムより再結晶して22gの4,
4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸クロリド)結晶を得
た。 (調製例2)両末端にヒドロキシ基を有する電荷輸送性重合体の合成 3,3’−ジメチル−N,N’−ビス(p,m−ジメチ
ルフェニル)−N,N’−ビス[4−(2−メトキシカ
ルボニルエチル)フェニル]−[1,1’−ビフェニ
ル]−4,4’−ジアミン 100g、エチレングリコ
ール 200gおよびテトラブトキシチタン 5gを、
窒素気流下で3時間加熱還流した。3,3’−ジメチル
−N,N’−ビス(p,m−ジメチルフェニル)−N,
N’−ビス[4−(2−メトキシカルボニルエチル)フ
ェニル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジア
ミンが消費されたことを確認したのち、0.5mmHg
に減圧しエチレングリコールを留去しながら230°C
に加熱し、さらに3時間反応を続けた。その後、室温ま
で冷却し、塩化メチレンを加え不溶分を溶解させ、アセ
トンから再沈殿することにより、下記の構造式(1)で
表される両末端にヒドロキシ基を有する電荷輸送性重合
体90gを得た。得られた重合体の重量平均分子量は
2.4×104 であった。
【0093】
【化7】
【0094】(調製例3)下記構造式(2)で表されるブロック共重合体の合成 上記調製例2で得られた両末端にヒドロキシ基を有する
電荷輸送性重合体43gとトリエチルアミン0.5gを
ジクロロメタン120mlに溶解し、0°Cに冷却し
た。ここに、上記調製例1で得られた4,4’−アゾビ
ス(4−シアノ吉草酸クロリド)5.6gをジクロロメ
タン20mlに溶解した溶液を滴下した。室温で1時間
反応させた後に30°Cに加温し、さらに4時間反応さ
せた。ここから溶媒を留去し、テトラヒドロフランを加
えて溶解させ、メタノールに滴下し、1時間撹拌した後
に濾別した。この再沈殿操作をさらに2回繰り返した。
残さを乾燥して両末端にアゾ型重合開始剤を有する電荷
輸送性重合体41gを得た。
【0095】この末端にアゾ型重合開始剤を有する電荷
輸送性重合体6gとtert−ブチルメタクリレート9
gをトルエン120mlに溶解し、窒素置換した後に6
0°Cで65時間加熱した。ここから溶媒を除去し、テ
トラヒドロフランを加えて、この溶液をメタノールに滴
下し、1時間撹拌した後に濾別した。得られた固体は、
目的とするブロック共重合体とポリ(tert−ブチル
メタクリレート)単独重合体の混合物であり、溶解度差
を利用した以下の精製法により、ポリ(tert−ブチ
ルメタクリレート)単独重合体を除去し、目的のブロッ
ク共重合体を得た。すなわち、調製例2の電荷輸送性重
合体は不溶であり、且つポリ(tert−ブチルメタク
リレート)が易容である溶剤n−ヘキサンにより、上記
混合物を十分に洗浄することで、目的とするブロック共
重合体6gを得た。得られたブロック共重合体の1H−
NMRスペクトルの両ブロック固有のプロトンに対応す
るピークの積分比から、電荷輸送性ブロックとポリ(t
ert−ブチルメタクリレート)からなる絶縁性ブロッ
クの体積組成比はおよそ6:4と計算される。
【0096】
【化8】
【0097】構造式(2) (調製例4)電荷輸送性微粒子の作製 電荷輸送性高分子化合物として構造式(1)で示される
電荷輸送性高分子化合物20gをトルエン150gに溶
解し、トリメチロールプロパンキシリデンジイソシアネ
ート3モル付加物(商品名:タケネートD110N,武
田薬品工業製)3.0gを加え、油性層混合液を作製す
る。 得られた油性層混合液を、水性媒体としてポリビ
ニルアルコール1.0%水溶液1.0Kgを用いて80
00rpmの回転数にて乳化分散を行った後、60°C
の高温槽にて3時間常圧にてトルエンを除去し,蒸留水
で洗浄後凍結乾燥を行い、平均粒径0.2μmの架橋さ
れた電荷輸送性ポリマー粒子を20g得た。 実施例1 アルミニウム基板上に、ジルコニウムアルコキシド化合
物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬
社製)10重量部およびシラン化合物(商品名:A11
10、日本ユニカー社製)1重量部とイソプロパノール
40重量部およびブタノール20重量部からなる溶液を
浸漬コーティング法で塗布し、150℃において10分
間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引き層を形成した。
次にCuKαを線源とするX線回折スペクトルのブラッ
グ角度(2θ±0.2°)が、少なくとも7.4°、1
6.6°、25.5°、および28.3°に強い回折ピ
ークを有するクロロガリウムフタロシアニン微結晶4重
量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:U
CARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカ
ーバイド社製)2重量部、キシレン67重量部、および
酢酸ブチル33重量部と混合し、ガラスビーズとともに
ペイントシェーク法で2時間処理して分散した後、得ら
れた塗布液を浸漬コーティング法で上記下引き層上に塗
布し、100℃において10分間加熱乾燥し、膜厚0.
5μmの電荷発生層を形成した。
【0098】次に、高分子電荷輸送材料である分子量7
万の下記構造式(3)で示される繰り返し単位よりなる
化合物15重量部をトルエン85重量部に溶解した塗布
液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布
し、115℃において10分間加熱乾燥させて、膜厚1
0μmの電荷輸送マトリックスよりなる均一電荷輸送層
を形成した。
【0099】次に、調製例3で示した電荷輸送部分と絶
縁性部分を有するブロック共重合体20重量部をトルエ
ン80重量部に溶解した塗布液を、上記均一電荷輸送層
上にアプリケータ法で塗布し、115℃において30分
間加熱乾燥させて、膜厚15μmの相分離型不均一電荷
輸送層を形成し、図5に示す層構成の電子写真用感光体
を作製した。
【0100】このようにして得られた電子写真用感光体
に対し、一部改造を加えた静電複写紙試験装置(エレク
トロスタティックアナライザーEPA−8100、川口
電機製作所社製)を用いて、常温常湿(20℃、40%
RH)の環境下、電子写真特性の評価を行った。コロナ
放電電圧を調整し、感光体表面を−750Vに帯電させ
た後、干渉フィルターを通し750nmに単色化したハ
ロゲンランプ光を感光体表面上で1mW/m2 の光強度
になるように調整し、7秒間照射したところ、図8に示
すJS字型の光誘起電位減衰を示した。また、光照射後
の電位を残量電位とした。この光誘起電位減衰曲線から
50% 値が2.2mJ/m2 、VO /V T 値は0.4
9、VT /VO 値は0.70と算出された。また、残留
電位は−30Vであった。
【0101】この感光体の不均一電荷輸送層の断面をル
テニューム酸で染色し、透過型電子顕微鏡により観察し
たところ、濃い部分と薄い部分とからなる相分離構造が
見られた。これは、高分子電荷輸送性の相と、電気的不
活性の相が相分離しており、片方の相がルテニューム酸
で染色されたものと推定される。相のサイズはおおよそ
0.05μmであった。
【0102】
【化9】
【0103】実施例2〜4、比較例1、2 均一電荷輸送層と不均一電荷輸送層の膜厚を表1に示す
以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製し
た。
【0104】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価した結
果を表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】実施例5 均一電荷輸送層の化合物を分子量12万の下記構造式
(4)で示される繰り返し単位よりなる化合物とした以
外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0107】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したと
ころ、E50% 値が2.5mJ/m2 、光誘起電位減衰曲
線はJS字型でありVO /VT 値は0.55、VT /V
O 値は0.62と算出された。また、残留電位は−40
Vであった。
【0108】
【化10】
【0109】実施例6 均一電荷輸送層の化合物をポリビニルカルバゾール、溶
剤をトルエンからモノクロルベンゼン、膜厚を0.2μ
mとした以外は、実施例4と同様に電子写真感光体を作
製した。
【0110】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したと
ころ、E50% 値が2.8mJ/m2 、光誘起電位減衰曲
線はS字型でありVO /VT 値は0.45、VT /VO
値は1.0と算出された。また、残留電位は−45Vで
あった。
【0111】実施例7 実施例4と同様に均一電荷輸送層まで形成した。次に、
特開平6−83077号公報(米国特許第530658
6号明細書)に記載の実施例1に従い製造された、64
モル%のN−ビニルカルバゾール単量体単位を含むN−
ビニルカルバゾールおよびメタクリル酸n−ドデシルの
マルチブロック共重合体15重量部を、塩化メチレン5
0重量部およびモノクロロベンゼン35重量部に溶解
し、上記均一電荷輸送層上にアプリケ−タ法にて塗布し
た後、115℃で30分間加熱乾燥させて膜厚15μm
の均一電荷輸送層を形成し、相分離型不均一電荷輸送層
を有する電子写真感光体を作製した。このようにして得
られた電子写真用感光体の電子写真特性を、実施例1と
同様の方法で評価したところ、E50% 値が2.5mJ/
2 、光誘起電位減衰曲線はS字型でありVO /VT
は0.32、VT /VO 値は1.0と算出された。ま
た、残留電位は−45Vであった。 比較例3 均一電荷輸送層を塗布しない以外は、実施例7と同様に
電子写真用感光体を作製した。
【0112】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したと
ころ、E50% 値が3.5mJ/m2 、光誘起電位減衰曲
線はS字型でありVO /VT 値は0.45、VT /VO
値は1.0と算出された。また、残留電位は−70Vで
あった。 実施例8 実施例4と同様に均一電荷輸送層まで形成した。
【0113】次に、絶縁性高分子化合物である体積抵抗
率1014Ωcm、分子量5万のビスフェーノールZ型ポ
リカーボネート20重量部をモノクロロベンゼン80重
量部に溶解した後、調整例4の電荷輸送性ポリマー粒子
を10重量部加え撹拌して分散させ塗布液を調整した。
こと塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法
で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥させて、膜
厚20μmの電荷輸送層を形成し、粒子分散型不均一電
荷輸送層を有する電子写真用感光体を作製した。感光層
中の電荷輸送性ポリマー粒子の含有量は約33体積%で
ある。
【0114】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したと
ころ、E50% 値が3.2mJ/m2 、VO /VT 値は
0.65、VT /VO 値は1.0と算出された。また、
残留電位は−30Vであった。 比較例4 均一電荷輸送層を塗布しない以外は、実施例8と同様に
電子写真用感光体を作製した。
【0115】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したと
ころ、E50% 値が3.5mJ/m2 、光誘起電位減衰曲
線はS字型でありVO /VT 値は0.72、VT /VO
値は1.0と算出された。また、残留電位は−50Vで
あった。 実施例9 六方晶セレン12重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂(商品名:UCARソリューションビニル樹脂
VMCH、ユニオンカーバイド社製)1.8重量部およ
び酢酸イソブチル100重量部と混合し、ステンレス鋼
ビーズとともにペイントシェーカーで5時間処理して分
散した後、得られた塗布液を浸漬コーティング法でアル
ミニウム基板上に塗布し、100℃において10分間加
熱乾燥し、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
この電荷発生層の六方晶セレン含有量は約65容量%で
ある。
【0116】次に、膜厚を1.0μmとした以外は、実
施例4と同様に均一電荷輸送層を形成した。
【0117】次に、クロロガリウムフタロシアニン微結
晶3重量部を、ポリカーボネート樹脂(PC−Z、三菱
瓦斯化学社製、電気抵抗率1016Ωcm)7重量部およ
びモノクロロベンゼン90重量部と混合し、ガラスビー
ズと共にペイントシェーク法で2時間処理して分散した
後、得られた塗布液を浸漬コーティング法で上記均一電
荷輸送層上に塗布し、100℃において30分間加熱乾
燥し、膜厚10μmの不均一電荷輸送層を形成した。平
均粒子径は、0.02μmであった。
【0118】このようにして得られた電子写真用感光体
を、露光波長を500nmに変更した以外は、実施例1
と同様に評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE
50%値が2.5mJ/m2 であり、VO /VT 値は0.
45、VT /VO 値は1.0のS字型であった。また、
残留電位は−40Vであった。 比較例5 均一電荷輸送層を塗布しない以外は、実施例6と同様に
電子写真用感光体を作製した。
【0119】このようにして得られた電子写真用感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様の方法で評価したと
ころ、光誘起電位減衰曲線はS字型であり、E50% 値が
2.8mJ/m2 、VO /VT 値は0.51、VT /V
O 値は1.0と算出された。また、残留電位は−80V
であった。 実施例10 クロロガリウムフタロシアニン微結晶の代わりにCuK
αを線源とするX線回折スペクトルのブラッグ角度(2
θ±0.2°)が、少なくとも7.5°、9.9°、1
2.5°、16.3°、18.6°、25.1°および
28.3°に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン微結晶を使用し、分散時の溶剤として
キシレンおよび酢酸ブチルの代わりにモノクロロベンゼ
ンを使用した以外は、実施例2と同様に電子写真用感光
体を作製した。
【0120】このようにして得られた電子写真用感光体
を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起
電位減衰特性はE50% 値が1.2mJ/m2 、VO /V
T 値は0.48、VT /VO 値は0.72のJS字型で
あった。 実施例11 クロロガリウムフタロシアニン微結晶の代わりにCuK
αを線源とするX線回折スペクトルのブラッグ角度(2
θ±0.2°)が、少なくとも6.9°、13.0°、
15.9°、25.6°および26.1°に強い回折ピ
ークを有する1,2−ジ(オキソガリウムフタロシアニ
ニル)エタン微結晶を使用し、分散時の溶剤としてキシ
レンおよび酢酸ブチルの代わりにモノクロロベンゼンを
使用した以外は、実施例4と同様に電子写真用感光体を
作製した。
【0121】このようにして得られた電子写真用感光体
を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起
電位減衰特性はE50% 値が2.4mJ/m2 、VO /V
T 値は0.43、VT /VO 値は1.0のS字型であっ
た。 実施例12 クロロガリウムフタロシアニン微結晶の代わりにα型バ
ナジルフタロシアニン微結晶を使用し、分散時の溶剤と
してキシレンおよび酢酸ブチルの代わりにモノクロロベ
ンゼンを使用した以外は、実施例4と同様に電子写真用
感光体を作製した。
【0122】このようにして得られた電子写真用感光体
を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起
電位減衰特性はE50% 値が11mJ/m2 、VO /VT
値は0.45、VT /VO 値は1.0のS字型であっ
た。 実施例13 クロロガリウムフタロシアニン微結晶の代わりにX型無
金属フタロシアニン微結晶を使用し、分散時の溶剤とし
てキシレンおよび酢酸ブチルの代わりに酢酸ブチルを使
用した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作
製した。
【0123】このようにして得られた電子写真用感光体
を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起
電位減衰特性はE50% 値が6.2mJ/m2 、VO /V
T 値は0.53、VT /VO 値は0.63のJS字型で
あった。 実施例14 クロロガリウムフタロシアニン微結晶の代わりにCuK
αを線源とするX線回折スペクトルのブラッグ角度(2
θ±0.2°)が、少なくとも9.5°、11.7°、
15.0°、23.5°、27.3°に強い回折ピーク
を有する水和物のチタニルフタロシアニン微結、晶を使
用した以外は、実施例4と同様に電子写真用感光体を作
製した。
【0124】このようにして得られた電子写真用感光体
を、実施例1と同様にして評価したところ、その光誘起
電位減衰特性はE50% 値が1.3mJ/m2 、VO /V
T 値は0.45、VT /VO 値は0.81のJS字型で
あった。 実施例15 アルミニウム基板の代わりにアルミニウムドラムを使用
し、不均一電荷輸送層をアプリケート法の代わりにリン
グ塗布法を用いて形成した以外は、実施例1と同様に電
子写真用感光体を作製し、レーザープリンター(Las
er Press 4105、富士ゼロックス社製)に
搭載し、印字試験を行った。この際、最適な露光量を得
るため、レーザー光の光路にNDフィルターを入れた。
このレーザプリンターの概略の構成図を図9に示す。
【0125】感光体ドラム6の周りに前露光用光源(赤
色LED)7、帯電用スコロトロン8、露光用光学系
9、現像器10、転写用コロトロン11およびクリーニ
ングブレード12がプロセスの順序に順次配置されてい
る。露光用光学系9は露光用レーザー光学系であり、発
信波長780nmの露光用レーザーダイオードを備えて
おり、デジタル処理された画像信号に基づき発光する。
発光したレーザー光9aはポリゴンミラーと複数のレン
ズ、ミラーによりスキャンされながら感光体上を露光す
るように構成されている。なお、13は用紙を示す。 比較例6 調製例3で示した電荷輸送部分と絶縁性部分を有するブ
ロック共重合体の代わりに高分子電荷輸送材料である分
子量7万の前記構造式(3)で示される繰り返し単位よ
りなる化合物を使用し、電荷輸送層を均一電荷輸送層と
した以外は、実施例11と同様に電子写真用感光体を作
製し、J字型の電子写真感光体を得た。この電子写真感
光体で実施例12と同様に印字試験を行った。
【0126】実施例11と比較例5で得られた印字の品
質を比べたところ、実施例11の方が細線の再現性等の
点で、印字品質が優れていた。 実施例16 電荷発生層を以下の方法で形成した以外は実施例3と同
様にして電子写真感光体を作製した。六方晶セレン12
重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(商品
名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニ
オンカーバイド社製)1.8重量部および酢酸イソブチ
ル100重量部と混合し、ステンレス鋼ビーズとともに
ペイントシェーカーで5時間処理して分散して浸漬塗布
法で膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。この電
荷発生層の六方晶セレン含有量は約65容量%である。
【0127】このようにして得られた電子写真用感光体
は、露光波長を500nmに変更した以外は、実施例1
と同様に評価したところ、その光誘起電位減衰特性はE
50%値が2.5mJ/m2 であり、JS字型の光誘起電
位減衰を示しVO /VT 値は0.52、VT /VO 値は
0.59であった。また、残留電位は−25Vであっ
た。 比較例7 均一電荷輸送層の膜厚を25μmとし、不均一電荷輸送
層を塗布しなかった以外は、実施例16と同様に電子写
真感光体を作製した。
【0128】このようにして得られた電子写真用感光体
を、実施例16と同様に評価したところ、その光誘起電
位減衰特性はE50% 値が1.8mJ/m2 であり、J字
型の光誘起電位減衰を示しVO /VT 値は1.0、VT
/VO 値は1.0であった。また、残留電位は−15V
であった。 実施例17 アルミニウム基板の代わりにアルミニウムドラムを使用
し、不均一電荷輸送層をアプリケート法の代わりにリン
グ塗布法を用いて形成した以外は、実施例16と同様に
電子写真感光体を作製し、アナログ電子写真複写機(V
ivace 500、富士ゼロックス社製)に搭載し、
露光量を順次変化させて印字試験を行った。このアナロ
グ電子写真複写機の概略の構成図を図9に示す。
【0129】感光体ドラム6の周りに前露光用光源(赤
色LED)7、帯電用スコロトロン8、露光用光学系
9、現像器10、転写用コロトロン11およびクリーニ
ングブレード12がプロセスの順序に順次配置されてい
る。露光用光学系9はアナログ式露光用光学系であり、
複写対象物を置く透明な板ガラスと複写対象物を照らす
ランプ、複写対象物の反射像を感光体上に結像させるた
めの複数のミラーとレンズ、および複写対象物をスキャ
ンするための駆動系を備えており、感光体の周動ととも
に原稿をスキャンし、感光体上に順次潜像を形成してい
く。 比較例8 アルミニウム基板の代わりにアルミニウムドラムを使用
した以外は、比較例7と同様に電子写真感光体を作製し
た。この電子写真感光体で実施例17と同様に印字試験
を行った。
【0130】実施例17と比較例8の中間調の再現性の
同程度に良いところで白地のカブリを評価したところ、
実施例17の方がカブリが少なく優れていた。
【0131】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、電荷発生層
から電荷輸送層への電荷の注入を容易にすることで、光
感度が高く、残留電位の低い等の電子写真特性に優れた
ものとなるという卓越した効果を奏する。さらに、光誘
起電位減衰曲線が通常のS字型から減衰初期にはJ字型
的であり減衰後期にはS字型的となる特異的な光誘起電
位減衰曲線を示す。
【0132】また、本発明のS字型及びJS字型電子写
真用感光体を使用した電子写真装置は、デジタル処理さ
れた画像信号に基づき露光を行うことにより、印字品
質、および画質の優れた印字画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 J字型電子写真感光体における露光量と表面
電位との関係を示すグラフである。
【図2】 S字型電子写真感光体における露光量と表面
電位との関係を示すグラフである。
【図3】 JS字型電子写真感光体における露光量と表
面電位との関係を示すグラフである。
【図4】 導電性支持体上に電荷発生層、均一電荷輸送
層、不均一電荷輸送層を順次設けた本発明の電子写真感
光体の一例を示す模式的断面図である。
【図5】 導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層、
均一電荷輸送層、不均一電荷輸送層を順次設けた本発明
の電子写真用感光体の他の一例を示す模式的断面図であ
る。
【図6】 導電性支持体上に不均一電荷輸送層、電荷発
生層、均一電荷輸送層を順次設けた本発明の電子写真用
感光体を示す模式的断面図である。
【図7】 導電性支持体上に、下引き層、不均一電荷輸
送層、電荷発生層、均一電荷輸送層を順次設けた本発明
の電子写真用感光体を示す模式的断面図である。
【図8】 実施例1の光誘起電位減衰特性を示すグラフ
である。
【図9】 実施例に用いたデジタル処理された画像信号
に基づき露光を行う本発明の電子写真装置の概略構成図
である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生層 3 均一電荷輸送層 4 不均一電荷輸送層 5 下引き層 6 感光体ドラム 7 前露光用光源 8 帯電用スコロトロン 9 露光用光学系 10 現像器 11 転写用コロトロン 12 クリーニングブレード 13 用紙

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に少なくとも電荷発生層と
    電荷輸送層とを設けた電子写真感光体において、 該電荷輸送層が不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層を含
    み、且つ、該均一電荷輸送層が電荷発生層と接している
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記不均一電荷輸送層が、電気的不活性
    マトリックス中に電荷輸送性粒子が分散されてなる粒子
    分散型不均一電荷輸送層であることを特徴とする請求項
    1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記粒子分散型不均一電荷輸送層が、電
    気抵抗率1013Ωcm以上の結着樹脂と、該結着樹脂中
    に分散された平均粒径0.5μm以下の電荷輸送性微粒
    子とを含有することを特徴とする請求項2記載の電子写
    真感光体。
  4. 【請求項4】 前記不均一電荷輸送層が、電気的不活性
    部分と電荷輸送性部分とを有する高分子化合物からな
    り、該電気的不活性部分と電荷輸送性部分とが相分離状
    態にある相分離型不均一電荷輸送層であることを特徴と
    する請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記相分離型不均一電荷輸送層が、電荷
    輸送性ブロックと絶縁性ブロックよりなるブロック共重
    合体またはグラフト共重合体からなることを特徴とする
    請求項4記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記均一電荷輸送層が、電荷輸送性高分
    子化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 前記均一電荷輸送層に含まれる電荷輸送
    性高分子化合物が、下記一般式(1)又は(2)で示さ
    れる構造の少なくとも1種を繰り返し単位として有する
    ことを特徴とする請求項6記載の電子写真感光体。 【化1】 (式中、Ar1 及びAr2 はそれぞれ独立に置換もしく
    は未置換のアリール基を示し、X1 は芳香族環構造を有
    する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基
    を示し、X2 及びX3 はそれぞれ独立に置換もしくは未
    置換のアリーレン基を示し、Lは枝分れもしくは環構造
    を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有
    炭化水素基を示し、mは0または1から選ばれる整数を
    意味する。) 【化2】 (式中、Ar3 及びAr4 はそれぞれ独立に置換もしく
    は未置換のアリール基を示し、Yは芳香族環構造を有す
    る3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を
    示す。)
  8. 【請求項8】 前記均一電荷輸送層における分子量10
    00以下の電荷輸送性化合物の含有量が5%未満である
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真感
    光体。
  9. 【請求項9】 前記電荷発生層が電荷発生粒子としてフ
    タロシアニン系化合物を含むことを特徴とする請求項1
    乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 前記電子写真感光体の光誘起電位減衰
    曲線の最大の傾きを与える光量における接線の光量0に
    おける電位の値(VT )と、光誘起電位減衰曲線の光量
    0における電位の値(V0 )の比(V0 /VT )が1未
    満であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに
    記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 前記電子写真感光体の光誘起電位減衰
    曲線の光量0における電位の値(V0 )と、光誘起電位
    減衰曲線の最大の傾きを与える光量における接線との交
    点における電位の値(VI )との比(VI /V0 )が1
    未満であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか
    に記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載の
    電子写真感光体と、デジタル処理された画像信号にもと
    づき露光を行う露光手段と、を有することを特徴とする
    電子写真装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至11のいずれかに記載の
    電子写真感光体と、複写対象物の反対像又は透過像を感
    光体上に結像し、露光を行う露光手段と、を有すること
    を特徴とする電子写真装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016090593A (ja) * 2014-10-29 2016-05-23 キヤノン株式会社 電子写真感光体、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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