JPH09160263A - 電子写真感光体、その製造方法、およびそれを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、その製造方法、およびそれを用いた電子写真装置

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JPH09160263A
JPH09160263A JP32575895A JP32575895A JPH09160263A JP H09160263 A JPH09160263 A JP H09160263A JP 32575895 A JP32575895 A JP 32575895A JP 32575895 A JP32575895 A JP 32575895A JP H09160263 A JPH09160263 A JP H09160263A
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electrophotographic
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JP32575895A
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English (en)
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Yasuhiro Yamaguchi
康浩 山口
Yasuo Sakaguchi
泰生 坂口
Taketoshi Hoshizaki
武敏 星崎
Ryosaku Igarashi
良作 五十嵐
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層構造の機能分離電子写真用感光体におい
て、特定の不均一電荷輸送層を用いることにより設計自
由度が高く且つ高性能のS字型電子写真感光体、及び関
連する技術を提供する。 【解決手段】 その電子写真感光体は、代表的には、導
電性基体上に、電荷発生層と不均一電荷輸送層と均一電
荷輸送層とを有する電子写真感光体であって、該不均一
電荷輸送層は、有機電荷輸送材料を含む微粒子が結着樹
脂中に分散されて成る。しかも、その電荷輸送材料が、
600nm以上の波長域で電子吸収を示さない有機電荷
輸送性低分子化合物である。デジタル処理された画像信
号に基づく露光を行って、電子写真感光体上に潜像を形
成する過程を経て、画像を形成するデジタル式電子写真
装置に、上記電子写真感光体は好適に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性基体、電荷
発生層、及び電荷輸送層を含む電子写真用感光体技術に
関し、特にデジタル電子写真法に好適な電子写真用感光
体及びその製法に関する。本発明はまた、この電子写真
感光体を用いたデジタル式電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真技術は、高速、高印字品
質が得られる等の利点を有するために、複写機、プリン
ター、ファクシミリ等の分野において、中心的役割を果
たしている。
【0003】電子写真技術において用いられる電子写真
感光体としては、従来からセレン、セレン−テルル合
金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料を用いたも
のが広く知られている。一方、これらの無機系感光体に
比べ、コスト、製造性、廃棄性等の点で優れた利点を有
する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の研究も
活発化し、現在では無機系感光体を凌駕するに至ってい
る。特に、光電導の素過程である光電荷発生と電荷輸送
をそれぞれ別々の層に担わせる機能分離型積層構成のも
のが開発されたことにより、材料選択の自由度が増し、
著しい性能の向上を遂げ、現在ではこの機能分離積層型
の有機感光体が電子写真感光体の主流となっている。機
能分離積層型有機感光体用の電荷発生層としては、キノ
ン系顔料、ぺリレン系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニ
ン系顔料、セレン等の電荷発生能を有する顔料を蒸着等
により直接成膜したもの、あるいは高濃度で結着樹脂中
に分散したものが実用されている。一方、電荷輸送層と
しては、ヒドラゾン系化合物、ベンジジン系化合物、ア
ミン系化合物、スチルベン系化合物等の電荷輸送能を有
する低分子化合物を絶縁性樹脂中に分子分散したものが
広く用いられている。
【0004】ところで、従来の光学的に原稿を感光体上
に結像させて露光するアナログ方式の電子写真式複写機
に用いる感光体としては、濃度階調による中間調の再現
性を良好にするために、図7に示すような光誘起電位減
衰特性を持つ感光体、すなわち、露光量に対し比例的に
電位減衰を起こす感光体(以下、「J字型感光体」とい
う。)が要求される。上記の無機系感光体、機能分離型
の積層有機感光体は全てこの範疇に入る光誘起電位減衰
特性を示す。
【0005】しかしながら、近年の高画質化、高付加価
値化、ネットワーク化等の要請に伴い盛んに研究開発が
行われているデジタル方式の電子写真装置では、一般に
ドット等の面積率で階調を出す面積階調方式を採用する
ため、むしろ図8に示すような、ある露光量に達するま
では電位減衰せず、その露光量を越えると急峻な電位減
衰が起こる、いわゆるS字形の光誘起電位減衰特性を有
する感光体(以下、「S字型感光体」という。)を使用
する方が、画素の鮮鋭度が高められる等の点から望まし
い。
【0006】S字型光誘起電位減衰特性は、ZnO等の
無機顔料あるいはフタロシアニン等の有機顔料を樹脂中
に粒子分散した単層型の感光体において公知の現象であ
る{例えば、R.M.Schaffert:「Elec
trophotography」,Focal Pre
ss,p.344(1975)、J.W.Weigl,
J.Mammino,G.L.Whittaker,
R.W.Radler,J.F.Byrne:「Cur
rent Problems in Electrop
hotography」, Walter de Gr
uyter,p.287 (1972)}。特に、現在
多用されている半導体レーザーの発信波長である近赤外
域に光感度を有するフタロシアニン系顔料を樹脂中に分
散したレーザ−露光用単層感光体が多数提案されている
{例えば、グエン・チャン・ケー,相沢:日本化学会
誌,p.393(1986)、特開平1−169454
号公報、同2−207258号公報、同3−31847
号公報、同5−313387号公報}。しかしながら、
これらの単層型感光体では単一材料で電荷発生と電荷輸
送の両機能を担う必要があるものの、両機能共に優れた
性能を有する材料は稀有であり、実用に耐え得るものは
未だ得られていない。特に顔料粒子は、一般的に多くの
トラップレベルを有するため、電荷輸送能が低かった
り、電荷が残留する等の欠点があり、電荷輸送を担わせ
るには不適当である。唯一の例外的な実用例はZnO樹
脂分散単層感光体であり、オフセット印刷用マスター版
として、活用されている{例えば、河村:「電子写真技
術の基礎と応用」,電子写真学会編,コロナ社,p.4
24(1988)}。しかしながら、これも電子写真特
性における高速性、耐久性に対する要求の低いマスター
版として用いた故の成功例であり、本発明の利用分野で
ある複写機、プリンター等に用いる感光体としては実用
に耐えるレベルにはない。これらの観点から、S字型感
光体においても、材料選択の自由度を上げるため、ひい
ては総合的な感光体特性を向上させるために、機能分離
の導入が望まれる。
【0007】この問題に対し、D.M.Pai等は、電
荷発生層と電荷輸送層からなる積層型感光体において、
電荷輸送層として少なくとも2つの電荷輸送領域および
1つの電気的不活性領域を含み、該電荷輸送領域が互い
に接触して回旋状電荷輸送路を形成してなる不均一電荷
輸送層を用いることにより、任意の電荷発生層との組合
せでS字型光誘起電位減衰特性が実現できることを開示
している{特開平6−83077号公報(米国特許第5
306586号明細書)}。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、電荷発
生層、不均一電荷輸送層、及び均一電荷輸送層から成る
3層構成の感光体がS字型光誘起電位減衰特性を示すこ
とを発明し、上記D.M.Pai等の発明からさらに機
能分離度を高めることに成功した。その発明を平成7年
7月25日に提案した(特願平7−208552号)。
【0009】これらの発明において鍵となる光誘起電位
減衰特性をS字形にする機能(以下、「S字化」とい
う)を担う不均一電荷輸送層として、前記特開平6−8
3077号公報及び特願平7−208552号では、フ
タロシアニン顔料の樹脂分散膜、六方晶セレンの樹脂分
散膜、ビニルカルバゾール−ドデシルメタクリレート相
分離系ブロック共重合体が例示されている。
【0010】しかしながら、フタロシアニン顔料、六方
晶セレン等の電荷発生能を有する着色顔料を不均一電荷
輸送層用電荷輸送材料として用いると、機械的強度等の
観点から好ましいように電荷輸送層(即ち、不均一な当
該層、又は均一及び不均一な当該層)を表面側とした構
成を積層構造として採った場合、その層を介して電荷発
生層を露光するので、不均一電荷輸送層に吸収のない波
長域に光感度を有する材料を電荷発生層として用いなけ
ればならない。また、該波長域内のみの露光を行う露光
装置を用いなければならない等の制約があった。なぜな
らば、不均一電荷輸送層での光吸収および電荷発生は、
実効の光感度、およびS字化能力を低下させる傾向にあ
るからである。さらに、顔料粒子は、一般的に多くのト
ラップレベルを有するため、それを用いた不均一電荷輸
送層は、電荷輸送能が低い、電荷が残留してしまう等の
問題があった。
【0011】また、ポリビニルカルバゾール−ドデシル
メタクリレート相分離系ブロック共重合体のような共重
合体は、製造および精製が困難、機械的強度が低い、電
荷移動度が小さい等の問題があった。
【0012】本発明は、上記のような実情に鑑みなされ
たものであって、上記のような問題点を克服し得る新規
なS字化のための不均一電荷輸送層を有する電子写真感
光体、その製造方法及びそれを利用したデジタル式電子
写真装置を提供する。
【0013】すなわち、本発明の目的は、少なくとも導
電性基体、電荷発生層、及び不均一電荷輸送層を含む機
能分離電子写真用感光体において、特定の不均一電荷輸
送層を用いることにより設計自由度が高く且つ高性能の
S字型電子写真感光体及びその製造方法を提供すること
にある。
【0014】また、本発明の他の目的は、上記高性能S
字型感光体を利用した高画質のデジタル式電子写真装置
を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】S字型光誘起電位減衰特
性発現の機構に関しては、トラップ説{例えば、北村,
小門:電子写真学会誌,Vol.20,p.60(19
82)}、D.M.Paiらが上記の米国特許(又は公
開公報)で唱えている回旋状電導説等幾つかの提案はあ
るものの、未だ確立された説はない。しかしながら、こ
れまでにS字型感光体として報告されている上記の顔料
樹脂分散単層感光体や、D.M.Pai等が開示した、
電荷発生層および不均一電荷輸送層からなる積層感光
体、更には、本発明者等が提案した、電荷発生層、不均
一電荷輸送層および均一電荷輸送層からなる積層感光体
においては、少なくとも電荷発生直後の電荷輸送路が電
気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメインが分散
されてなる、不均一な構造を有するものであるという共
通点を認めることができる。
【0016】本発明者等は、機能分離が導入された、電
荷発生層、不均一電荷輸送層および均一電荷輸送層から
成る3層構成感光体、ならびに電荷発生層および不均一
電荷輸送層から成る2層構成感光体に関して鋭意検討を
重ねた結果、特定の電荷輸送性有機低分子化合物を結着
樹脂中に粒子状態にて分散させて成る層がS字化のため
の不均一電荷輸送層として有効に機能することを見い出
し本発明を完成するに至った。
【0017】すなわち、第1の本発明は、導電性基体上
に、電荷発生層と不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層と
を有する電子写真感光体であって、該不均一電荷輸送層
は、電荷輸送材料を含む微粒子が結着樹脂中に分散され
て成り、該電荷輸送材料が、600nm以上の波長域で
電子吸収を示さない有機電荷輸送性低分子化合物である
電子写真感光体に係わる。
【0018】本発明にいう「低分子化合物」とは、モノ
マーを重合して製造したものでない化合物をいう。
【0019】600nm以上の波長域で電子吸収を示さ
ない有機電荷輸送性低分子化合物(以下、単に「有機電
荷輸送性化合物」と称する)は、不均一電荷輸送層を有
する機能分離型積層構成感光体以外の分野で、ホール輸
送性低分子有機化合物及び電子輸送性低分子有機化合物
として知られている化合物から選択できる。
【0020】その化合物の例として、ベンジジン系化合
物、アミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン
系化合物、カルバゾール系化合物、チオフェン系化合
物、ブタジエン系化合物のような公知のホール輸送性低
分子化合物、またはフルオレノン系化合物、マロノニト
リル系化合物、ジフェノキノン系化合物のような公知の
電子輸送性低分子化合物が挙げられる。また、これらの
有機電荷輸送材料は、単独あるいは2種以上混合して用
いることもできる。
【0021】特に、次の一般式(1)で示されるトリア
リールアミン誘導体、(2)で示されるジアミン誘導体
が好ましく利用できる。
【0022】
【化4】
【0023】[式中、R1 〜R3 は、互いに独立に、置
換又は未置換アリール基から選ばれる。]
【0024】
【化5】
【0025】[式中、R4 〜R7 は、互いに独立に、置
換又は未置換アリール基から選ばれ、Xは芳香族環構造
を有する、2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水
素基を示す。] かかる化合物は、D.M.Pai等の前記米国特許が開
示した構成の電子写真感光体(即ち、導電性基体上に電
荷発生層と不均一電荷輸送層とを有し、該不均一電荷輸
送層では、有機電荷輸送材料を含む微粒子が結着樹脂中
に分散されている電子写真感光体)にも好適に利用でき
る。この電子写真感光体が第2の本発明である。
【0026】第1及び第2の本発明の電子写真感光体の
好ましい製造方法では、その不均一電荷輸送層を、結着
樹脂を溶解させた溶剤中に、電荷輸送材料を含む微粒子
を分散させた塗工液を用い湿式塗布法にて作製する。
【0027】また、本発明は、電子写真感光体に、デジ
タル処理された画像信号に基づき露光を行って潜像を形
成する過程を経て、画像を形成するデジタル式電子写真
装置において、該電子写真感光体が第1又は第2の本発
明の電子写真感光体であることを特徴とする装置にも係
わる。
【0028】本発明の電子写真感光体は、光誘起電位減
衰曲線のS字形をもたらす。そのS字形の尺度には、例
えば、帯電電位を50%減衰させるのに要する露光量E
50%と10%減衰させるのに要する露光量E10%と
の比E50%/E10%を用いることができる。理想的
なJ字型感光体で電位減衰が露光量に比例している場
合、E50%/E10%値は5となる。一般的なJ字型
感光体では、電界強度の低下に伴い、電荷発生効率およ
び/または電荷輸送能が低下し、E50%/E10%は
5を越える値を示す。一方、S字形の究極である、ある
露光量までは全く電位減衰せず、その露光量で一気に残
留電位レベルまで電位減衰する階段状の光誘起電位減衰
曲線では、E50%/E10%値は1となる。したがっ
て、S字形とはE50%/E10%値が1以上5未満の
値を示すものとして規定されるが、好ましいデジタル特
性を発揮するには、E50%/E10%値が3未満の値
であることが好ましい。より好ましくは2未満の値であ
る。本発明の電子写真感光体は、このような好ましい値
を取りうる。
【0029】本発明の電子写真感光体がなぜS字型光誘
起電位減衰特性を発揮するかは必ずしも明らかではない
が、S字型の電位減衰発現の鍵は、電荷輸送の途中、特
に電荷輸送の初期に存在する電荷輸送に関わる不均一構
造にあると考えられる。上記D.M.Paiらの特許に
よれば、S字型光誘起電位減衰が起こる過程は、以下の
ようなものであると推定されている。
【0030】まず、不均一電荷輸送層では、電気的不活
性マトリックス中に分散された電荷輸送性ドメインが互
いに接触し、回旋状の電荷輸送路を形成しているものと
考えられている。この場合、電子写真感光体が帯電され
感光層に高電界が印加されると、露光により電荷発生層
で発生した電荷は電界に沿って、電荷発生層から電荷輸
送層に注入され、電荷輸送性ドメイン中を電界方向に移
動する。しかし、電気的不活性マトリックスの障壁に出
会い、ここで電荷の移動は一旦停止する。この間の移動
距離が感光層の全膜厚に対して充分小さければ、この間
の電位減衰は無視できるものとなる。殆ど全ての表面電
荷に相当する電荷が注入された後は、該注入電荷近傍で
の表面に垂直な局部的電界は無視できるほど小さくな
り、一旦停止していた電荷は電界の束縛を逃れ表面に垂
直な方向以外の方向に拡散することが可能となり、回旋
状に連なる連結路を辿って最初に電荷が停止された所よ
りも深部に達する。この深部において、先程と同様に電
荷は再び十分な高電界に晒され、且つ電気的不活性マト
リックスの障壁に出会い、移動を停止する。しかし、前
の電荷の移動で電界強度は低下しているので、より多く
の電荷が回旋状電荷輸送路を通り次の絶縁性障壁にまで
達する。かくして、電荷の移動はカスケード的に起こ
り、S字型の光誘起電位減衰となる、というのがD.
M.Paiらによる説明である。
【0031】本発明の電子写真感光体がS字型の光誘起
電位減衰を呈するのも、このような現象が起きていると
推定されるが、本発明の最大範囲は、理論により拘束さ
れるべきではない。但し、上記理論が、本発明の理解と
解釈とを助けるであろう。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子写真感光体
を、実施の形態によってさらに詳しく説明する。
【0033】図1および図2は、本発明の電子写真用感
光体の断面を示す模式図である。図1においては、導電
性支持体1上に光電荷発生を担う電荷発生層2が設けら
れ、その上にS字化のための不均一電荷輸送層(S字化
電荷輸送層)3が設けられている。図2においては、さ
らに、不均一電荷輸送層3の上に均一電荷輸送層4が設
けられている。この形態を採ることが、本発明の本来的
意図であるが、図3および4に示す電子写真用感光体の
ような形態を採ってもよい。
【0034】図3においては、導電性支持体1上に不均
一電荷輸送層3が設けられ、その上に電荷発生層2が設
けられている。図4においては、導電性支持体1上に均
一電荷輸送層4が設けられ、その上に不均一電荷輸送層
3が設けられ、さらにその上に電荷発生層2が設けられ
ている。
【0035】これらの電子写真感光体は、さらに所望に
より下引き層、保護層および/または乱反射層等を含む
ことができる。
【0036】前記のように、電荷発生層で発生した電荷
が不均一電荷輸送層の電気的不活性マトリックスの障害
に出会い最初に一旦停止するまでの間の移動距離が感光
層の全膜厚に対して充分小さければ、その間の電位減衰
は無視できるものとなり、より理想的なS字型感光体と
なる。つまり、電荷発生層とS字化のための不均一電荷
輸送層は近接している方がより良いS字性を与える。た
だし、電荷の注入や電荷の発生を助ける等の目的のため
に電荷発生層と不均一電荷輸送層の間に中間層を設ける
こともできる。また、E50%/E10%値が3以上の
S字性を得ることを所望とする場合、電荷発生層と不均
一電荷輸送層の間に均一電荷輸送層を挿入することも可
能である。
【0037】本発明の電子写真感光体(即ち、導電性基
体上に電荷発生層と不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層
とを有する本発明の電子写真感光体、又は導電性基体上
に電荷発生層と不均一電荷輸送層とが設けられた本発明
の電子写真感光体)においては、S字化のための不均一
電荷輸送層が、それぞれ前記した有機電荷輸送性化合物
を含む微粒子(以下、有機電荷輸送性微粒子と略記す
る)を、電荷輸送性ドメインとして、電気的不活性マト
リクスとなる結着樹脂中に分散させたものであることを
特徴とする。
【0038】前記したように、不均一電荷輸送層側から
電荷発生層を露光する場合、不均一電荷輸送層が露光波
長域に吸収があると、電荷発生層に到達する露光量が減
少し実効の光感度の低下を招く。さらに、電荷発生層、
不均一電荷輸送層、均一電荷輸送層がこの順序で積層さ
れた構成において電荷輸送層側から露光を行う場合、不
均一電荷輸送層が露光波長域に電荷発生能を有すると、
発生電荷が通過する不均一電荷輸送路が短くなりS字性
が低下しE50%/E10%値が3を越えてしまう。こ
れらの問題は、不均一電荷輸送層用電荷輸送性微粒子と
してSe、フタロシアニン顔料等の高い電荷発生能を有
する着色顔料を用いる場合に顕在化し、用い得る電荷発
生層、および露光装置等に制約が生じるという不具合が
あった。
【0039】これに対し、本発明で不均一電荷輸送層に
用いる有機電荷輸送性化合物は600nm以上の波長域
で電子吸収を示さず、電荷発生材料として広く用いられ
るSe、フタロシアニン等の感光波長域の光に対しては
透明であり、上記のような問題は根本的に解消される。
【0040】本発明においては、有機電荷輸送化合物の
中でも、特に前記一般式(1)および一般式(2)に示
した化合物は、電荷輸送性、化学的安定性、可視光およ
び赤外光の透過性等の点で優れており、特に好ましい。
【0041】前記一般式(1)の中、R1 〜R3 は、互
いに独立に、置換又は未置換アリール基から選ばれる。
そのアリール基としては、具体的には、フェニル基、ビ
フェニリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ
る。
【0042】置換基は、それを有するトリアリールアミ
ン化合物が上記の好ましい性質の1以上を発揮するかぎ
り任意であるが、例えば、メチル基、エチル基、メトキ
シ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0043】前記一般式(2)の中、R4 〜R7 は、互
いに独立に、置換又は未置換アリール基から選ばれ、X
は芳香族環構造を有する、2価の炭化水素基又はヘテロ
原子含有炭化水素基を示す。
【0044】R4 〜R7 に関しては、上記R1 〜R3
同様なことがあてはまる。Xはフェニレン基、ビフェニ
レン基、ターフェニレン基、メチレンジフェニル基、シ
クロヘキシリデンジフェニル基、オキシジフェニル基、
チオジフェニル基等、及びこれらのメチル誘導体、エチ
ル置換体、メトキシ置換体、又はハロゲン置換体等が挙
げられる。
【0045】有機電荷輸送性微粒子を結着樹脂中に分散
させて成る膜は、適当ないかなる方法にて製造しても構
わない。但し、製造性、コスト等の点で、溶剤中に結着
樹脂を溶解させた溶液に、有機電荷輸送性微粒子を分散
させた塗工液を浸漬コーティング法等の湿式塗布法によ
り塗布した後、乾燥させる方法が好ましい。また、予め
有機電荷輸送性微粒子を熱硬化性樹脂あるいはシランカ
ップリング剤等の絶縁性材料により被覆不溶化したもの
を、適当な溶剤中に絶縁性の結着樹脂を溶解させた溶液
に分散させた塗工液を浸漬コーティング法等により塗布
した後、乾燥させることによって得ることもできる。ま
た、D.M.Pai等が前記特許において開示している
ように、絶縁性の結着樹脂中に有機電荷輸送性化合物を
均一に固溶させたものに加熱処理、溶剤処理等を施すこ
とにより有機電荷輸送性化合物の微結晶を析出させるこ
とによっても得ることができる。しかし、この場合、処
理条件によって、析出微結晶の粒径が大きく変動してし
まうという欠点があり、製造安定性上好ましくない。
【0046】上記のような有機電荷輸送性微粒子を分散
させた塗工液を得る方法としては適当な任意の分散方法
を用いることができるが、例えば、アトライター分散
法、サンドミル法、ダイノウミル法、サンドグラインダ
ーミル法、ボールミル法、ペイントシェーク法、超音波
分散法等を挙げることができる。
【0047】溶剤中に結着樹脂を溶解させた溶液に有機
電荷輸送性微粒子を分散させた塗工液を用い湿式塗布法
によって不均一電荷輸送層を製造する場合、該溶剤とし
ては、結着樹脂に対する溶解度が十分に高いことに加
え、有機電荷輸送性微粒子に対する溶解度が十分に低
く、実質的にそれら微粒子を溶解しない溶剤を選択する
ことが望ましい。これは、有機電荷輸送性微粒子を溶解
する溶剤を使用すると、それら微粒子を構成する物質が
絶縁性結着樹脂中に分子分散状態にて混入し、電気的不
活性マトリックスの絶縁性が損なわれ、S字性が悪化す
る傾向にあるためである。
【0048】何らかの理由で有機電荷輸送性微粒子を溶
解し得る溶剤を用いねばならぬ場合には、予め有機電荷
輸送性微粒子を硬化性樹脂、シランカップリング剤等に
より被覆不溶化する、あるいは結着樹脂として有機電荷
輸送材料と相溶性がなく成膜時に有機電荷輸送材料が相
分離微結晶化するようなものを用いる等の方策により、
所望の不均一電荷輸送層を製造することが可能である。
【0049】これらの不均一電荷輸送層形成方法におい
て、回旋状電荷輸送経路の形成は、電荷輸送性ドメイン
同士の確率的な接触に依存する。その接触の確率が多す
ぎると、電荷輸送経路は回旋状とならず、またその接触
の確率が少なすぎると連続した電荷輸送経路が形成でき
なくなる。尚、電荷輸送性ドメインの互いの接触は必ず
しも直接に接触している必要はなく、電荷輸送性ドメイ
ン間の非常に薄い絶縁層は、電荷がそのギャップを飛び
越えることができ、且つそこでの捕獲が無視できるなら
ば、その存在は許容される。ここで云う回旋状電荷輸送
路とは、電荷の移動が膜厚方向すなわち電界方向に対し
て少なくとも1回以上逆行するように形成されている電
荷輸送路のことである。
【0050】不均一電荷輸送層の結着樹脂としては、電
気的不活性なマトリックスとして機能するものならば、
任意の樹脂を利用できる。その例として、ポリビニルブ
チラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩
化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテー
ト樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド
樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹
脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、これらの結着
樹脂はブロック、ランダムまたは交互共重合体であるこ
とができる。さらに、これらの結着樹脂は、単独あるい
は2種以上混合して用いることもできる。
【0051】また、これらの電気的不活性マトリックス
となる結着樹脂の体積抵抗率は、1013Ωcm以上が好
ましく、より好ましくは1014Ωcm以上である。体積
抵抗率がこの値より低いと、電気的不活性マトリックス
の電気的絶縁性が損なわれ、S字性が失われる傾向にあ
る。
【0052】上記結着樹脂の中でも、日本ゼオン社製ゼ
オネックス樹脂に代表される非晶質脂肪族ポリオレフィ
ンは体積抵抗率が1017Ωcm以上と非常に絶縁性が高
く、特に好ましい。
【0053】電荷輸送性ドメインと電気的不活性マトリ
ックスの体積比は3/1〜1/20の範囲で任意に設定
されるが、3/2〜1/4の範囲が好ましい。電荷輸送
性ドメインの体積比率が上記範囲より多いと、電荷輸送
性ドメインが密に接触してしまい、実質的に均一な構造
の電荷輸送路を形成し、上記のS字型光誘起電位減衰特
性発現に不可欠な電荷輸送路の不均一構造が消失し、S
字性が失われる傾向にある。さらにまた、暗減衰の増
加、機械的強度の低下等の障害を招く傾向にもある。他
方、電荷輸送性ドメインの体積比率が上記範囲より少な
いと、充分な電荷輸送能が得られず、残留電位の増大、
光感度の低下、応答速度の低下等の障害を招く傾向にあ
る。ただし、前者の問題に関しては、電荷輸送性ドメイ
ンを形成する粒子を予め電気的不活性物質で不完全に被
覆しておくこと等により、また、後者の問題に関して
は、電荷輸送性ドメインとして針状、柱状または板状等
の異方性の高いのものを用いること等により、その傾向
を緩和することができる。
【0054】また、本発明で用いる不均一電荷輸送層の
膜厚は0.1〜50μmが適当であり、好ましくは0.
2〜30μm、さらに好ましくは0.5〜25μmの範
囲に設定される。上記範囲より薄いとS字性が失われる
傾向にある。膜厚の上限に関しては、用いるS字型電荷
輸送層の電荷輸送能により制限され、応答速度、残留電
位等が許容される範囲内で設定される。
【0055】電荷輸送性ドメインの平均粒子径は0.0
01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.005
〜5μm、特に好ましくは0.01〜1μmの範囲であ
る。電荷輸送性ドメインの平均粒子径が上記範囲より大
きいと、好ましい膜厚の範囲内でのS字化に必要な電荷
輸送路の不均一構造の形成が不可能となり、S字性が損
なわれることになる。他方、電荷輸送性ドメインの平均
粒子径が上記範囲より小さい場合には、電荷輸送路が均
一な構造に近付き、この場合もまたS字性が損なわれる
ことになる。不均一電荷輸送中の電荷輸送性ドメインが
電荷輸送性微粒子の凝集体よりなる場合、電荷輸送性ド
メインの粒子径とは、その凝集2次粒子径を指す。但
し、電荷輸送性微粒子が絶縁被覆されている場合には、
電荷輸送性ドメインの粒子径とは、たとえ絶縁被覆化し
た電荷輸送性微粒子が凝集体を形成していたとしても、
電荷輸送性微粒子自身の粒子径を指す。また、各電荷輸
送性微粒子は電荷輸送能が維持される範囲内であれば有
機電荷輸送材料の他に如何なるものを含有しても構わな
い。
【0056】また、S字化のための不均一電荷輸送層中
に、主たる輸送電荷と逆極性の電荷のみを輸送し得る化
合物を添加することにより、残留電位の低下、繰り返し
安定性の向上等の効果を得ることもできる。
【0057】不均一電荷輸送層を形成するための塗布方
法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコ
ーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーティン
グ法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティン
グ法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いる
ことができる。
【0058】本発明の電子写真感光体に用いる導電性支
持体は、当業界でそのような支持体として利用されうる
任意の種類から選択でき、不透明または実質的に透明で
あることができる。その例として、アルミニウム、ニッ
ケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及び、アルミ
ニウム、チタン、ジルコニウム、ニッケル、クロム、ス
テンレス鋼、金、白金、酸化錫、酸化インジウム、IT
O等の薄膜を設けたプラスチックフィルム、ガラスおよ
びセラミックス等、あるいは導電性付与剤を塗布または
含浸させた紙、プラスチックフィルム、ガラスおよびセ
ラミックス等が挙げられる。また、これらの導電性支持
体は、ドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状
のものとして使用することができる。さらに必要に応じ
て導電性支持体の表面には、各種の処理を行うことがで
きる。例えば、表面の酸化処理や薬品処理、および、着
色処理等、または、砂目立て、ホーニング等の機械的粗
面化処理等を行うことができる。支持体表面の酸化処理
や機械的粗面化処理は支持体表面を粗面化するのみなら
ず、その上に塗布される層の表面をも粗面化し、露光用
光源としてレーザー等の可干渉光源を用いた場合に問題
となる支持体表面および/または積層膜界面での正反射
による干渉縞の発生を防止すると云う効果を発揮し得
る。
【0059】また、導電性支持体と光導電層の間に、任
意的に設けられる一層または複数層の前記下引き層は、
感光層の帯電時において導電性支持体から感光層への電
荷の注入を阻止すると共に、感光層を導電性支持体に対
して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用、あ
るいは場合によっては干渉縞の原因となる光の内部正反
射を防止する作用等を示す。
【0060】下引き層としては、公知のものを用いるこ
とができ、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢
酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデ
ン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性ポ
リエステル樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、ニト
ロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン
酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリアク
リル酸、ポリアクリルアミド等の樹脂およびこれらの共
重合体、または、ジルコニウムアルコキシド化合物、チ
タンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の硬
化性金属有機化合物を、単独または2種以上を混合して
用いることができる。また、帯電極性と同極性の電荷の
みを輸送し得る材料も使用可能である。
【0061】また、下引き層の膜厚は、0.01〜10
μmが適当であり、好ましくは0.05〜5μmの範囲
である。塗布方法としては、ブレードコーティング法、
ワイヤーバーコーティング法、スプレーコティング法、
浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナ
イフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常
の方法を用いることができる。
【0062】本発明の電子写真感光体における電荷発生
層は、J字型、S字型を問わず、積層感光体に電荷発生
層として用いられ得る任意の種類から選択することがで
きる。例えば、非晶質セレン、六方晶セレン、セレン−
テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他セレン化合物お
よびセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a
−SiC等の無機系光導電性材料、フタロシアニン系、
スクアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、ア
ゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、
チアピリリウム塩系等の有機顔料および染料が挙げられ
る。また、これらの有機顔料および染料は、単独あるい
は2種以上混合して用いることもできる。
【0063】フタロシアニン系化合物は、デジタル式の
電子写真装置に光源として現在広く使用されているLE
Dおよびレーザーダイオードの発信波長である600〜
850nmに優れた光感度を有するため、本発明におけ
る電荷発生材料として特に好ましい。フタロシアニン系
化合物として、無金属フタロシアニン、金属フタロシア
ニン、それらの誘導体が利用できる。金属フタロシアニ
ンの中心金属としては、Cu、Ni、Zn、Co、F
e、V、Si、Al、Sn、Ge、Ti、In、Ga、
Mg、Pb等が挙げられる。またこれら中心金属の酸化
物、水酸化物、ハロゲン化物、アルキル化物、アルコキ
シ化物等も使用できる。具体的には、チタニルフタロシ
アニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガ
リウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロ
ロインジウムフタロシアニン、ジクロロ錫フタロシアニ
ン等を挙げることができる。また、上記化合物のフタロ
シアニン環に任意の置換基が導入された置換フタロシア
ニン類も使用することができる。さらにまた、上記化合
物のフタロシアニン環中の任意の炭素原子が窒素原子で
置換されたアザフタロシアニン類も有効である。これら
フタロシアニン系化合物の形態としては、アモルファス
または全ての結晶形のものが使用可能である。
【0064】これらフタロシアニン系化合物の中でも、
無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロ
ロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロ
シアニン、およびジクロロ錫フタロシアニンは、特に優
れた光感度を有しており、本発明に用いる電荷発生材料
として特に好ましい。
【0065】また、六方晶セレンも電荷発生効率に優れ
るため、電荷発生材料として好ましく使用できる。レー
ザー光のビーム径は発信波長が短くなるほど小径化でき
るため、更なる高画質化を目指し、露光用レーザーの短
波長化の検討がなされているが、六方晶セレンの感光域
は約650nm以下の短波長域を覆っているため、六方
晶セレンはこの範囲の短波長レーザー用の電荷発生材料
として特に好ましく用いることができる。
【0066】電荷発生層は、前記電荷発生材料を真空蒸
着法等により直接成膜する、または、前記電荷発生材料
を結着樹脂中に分散または溶解することにより作製でき
る。
【0067】電荷発生層に結着樹脂を用いる場合、その
結着樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分
変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が
用いられる。これらの結着樹脂はブロック、ランダムま
たは交互共重合体であることができる。また、これらの
結着樹脂は、単独あるいは2種以上を混合して用いても
よい。
【0068】電荷発生材料と結着樹脂との配合比(体積
比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。より好
ましくは、3:1〜1:1の範囲に設定される。電荷発
生材料の結着樹脂に対する配合比が前記範囲より多い
と、湿式塗布法では均質な膜を得ることが困難になる。
また、前記範囲より少ないと光感度の低下等の障害が起
きる。また、本発明で用いる電荷発生層の膜厚は一般的
には、0.05〜5μmが適当であり、好ましくは0.
1〜2.0μmの範囲に設定される。塗布方法として
は、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティン
グ法、スプレーコティング法、浸漬コーティング法、ビ
ードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カ
ーテンコーティング法等の通常の方法を用いることがで
きる。
【0069】均一電荷輸送層を併設する場合、その均一
電荷輸送層は、当業界でJ字型積層感光体に電荷輸送層
として用いられる任意のものから選択できる。例えば、
ベンジジン系化合物、アミン系化合物、ヒドラゾン系化
合物、スチルベン系化合物、カルバゾール系化合物等の
ホール輸送性低分子化合物、またはフルオレノン系化合
物、マロノニトリル系化合物、ジフェノキノン系化合物
等の電子輸送性低分子化合物を、単独でまたは2種以上
を混合して絶縁性樹脂(ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメチルメタク
リレート、ポリアミド、フェノール樹脂、シリコーン樹
脂等)中に均一に分子分散した固溶膜として用いること
ができる。あるいは、それ自身電荷輸送能を有する高分
子化合物等を用いることができる。また、セレン、アモ
ルファスシリコン、アモルファスシリコンカーバイト等
の電荷輸送能を有する無機物質を用いることもできる。
上記電荷輸送性高分子化合物としては、ポリビニカルバ
ゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化
合物、特開平5−232727号公報等に開示されてい
るような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合
物、およびポリシラン等を挙げることができる。
【0070】本発明における均一電荷輸送層としては、
特に製造上、電荷輸送性高分子化合物を用いることが好
ましい。すなわち、不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層
を積層製膜する場合、均一電荷輸送層に電荷輸送性低分
子化合物を用いると、電荷輸送性低分子化合物が不均一
電荷輸送層に混入してしまい、不均一電荷輸送層の電気
的不活性マトリックスの主たる輸送電荷に対する絶縁性
が低下することによりS字性が損なわれたり、あるいは
不均一電荷輸送層中に混入した電荷輸送性低分子が不均
一電荷輸送層において電荷トラップとなり残留電位の増
大、輸送能の低下及び光感度の低下等の障害が発生す
る。この問題は特に、湿式塗布法により、各層を成膜す
る場合に顕著になる(もちろん、これらの問題は、上層
の塗布溶剤として下層を溶解および膨潤し難いものを選
択する、または、不均一電荷輸送層の電気的不活性マト
リックスとして均一電荷輸送層の電荷輸送性低分子化合
物と相溶性のないものを選択する等により、回避するこ
とが可能である)。ところが、高分子同士は相溶するこ
となく相分離を起こすことが一般的であることが知られ
ており、均一電荷輸送層として、電荷輸送性高分子化合
物を用いた場合、不均一電荷輸送層の電気的不活性マト
リックス樹脂と相溶することなく相分離するため、上記
のような混入の問題は殆ど発生しない。従って、材料お
よび製造法の選択に当たっての制約が解消されるという
利点を有する。
【0071】さらに電荷輸送性高分子化合物としては、
一般式(3)で表される構造の少なくとも1種以上を繰
り返し単位として含有する電荷輸送性樹脂が、高い電荷
輸送能を有し、機械的特性にも優れているので特に好ま
しい。
【0072】
【化6】
【0073】[式中、R8 およびR9 は、互いに独立
に、置換又は未置換アリール基から選択され、Yは芳香
族環構造を有する2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有
炭化水素基を示し、AおよびBは、互いに独立に、置換
又は未置換フェニレン基から選択され、Lは枝分れもし
くは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテ
ロ原子含有炭化水素基を示し、mおよびnは、それぞれ
0または1から選ばれる整数を意味する。] R8 およびR9 に関しては、前記R1 〜R3 と同様なこ
とがあてはまる。Yに関しては、前記Xと同様なことが
あてはまる。
【0074】A及びBの例としては、フェニレン基、メ
チルフェニレン基、メトキシフェニレン基、ハロゲン置
換フェニレン基などが挙げられる。
【0075】Lは、機械的強度、可撓性等の点でエーテ
ル結合、エステル結合、カーボネート結合又はウレタン
結合を有し、且つ炭素数20以下の2価のヘテロ原子含
有炭化水素基であることが好ましい。
【0076】この均一電荷輸送層中には電荷輸送性マト
リックスに囲まれるような電気的不活性な領域が存在し
てもよい。例えば表面磨耗および摩擦の低減、または表
面への異物付着の低減等を目的に低表面エネルギーの絶
縁性粒子等を含有させることができる。また、均一電荷
輸送層は輸送能の向上等のために、電荷輸送性微粒子等
を含むこともできる。
【0077】本発明で用いる均一電荷輸送層の膜厚は5
0μm以下、好ましくは30μm以下に設定される。塗
布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバ
ーコーティング法、スプレーコティング法、浸漬コーテ
ィング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーテ
ィング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用
いることができる。また、Se等の気相成膜可能なもの
は、真空蒸着法等により直接成膜することもできる。
【0078】本発明において、感光層の上に必要に応じ
て設けてもよい前記保護層は、帯電部材から発生するオ
ゾンや酸化性ガス等、および紫外光等の化学的ストレ
ス、あるいは、現像剤、紙、クリーニング部材等との接
触に起因する機械的ストレスから感光層を保護し、感光
層の実質の寿命を改善するために有効である。特に、薄
層の電荷発生層を上層に用いる層構成において、効果が
顕著である。
【0079】保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中
に含有させて形成される。導電性材料としては、ジメチ
ルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化アンチモン、
酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、ITO等の金
属酸化物等の材料を用いることができるが、これらに限
定されるものではない。結着樹脂としては、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、
ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコーン樹脂、
メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の公知
の樹脂を用いることができる。また、アモルファスカー
ボン等の半導電性無機膜も保護層として用いることがで
きる。保護層の電気抵抗は109 〜1014Ωcmの範囲
が好ましい。電気抵抗がこの範囲以上になると残留電位
が増加し、他方、この範囲以下になると沿面方向での電
荷漏洩が無視できなくなり、解像力の低下が生じてしま
う。
【0080】保護層の膜厚は0.5〜20μmが適当で
あり、好ましくは1〜10μmの範囲に設定される。
【0081】また、保護層を設けた場合、必要に応じ
て、感光層と保護層との間に、保護層から感光層への電
荷の漏洩を阻止するブロッキング層を設けることができ
る。このブロッキング層としては、保護層の場合と同様
に公知のものを用いることができる。
【0082】本発明の電子写真感光体においては、電子
写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは、
光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、各層また
は最上層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等を添加
することもできる。
【0083】酸化防止剤としては、公知のものを用いる
ことができ、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダー
ドアミン、パラフェニレンジアミン、ハイドロキノン、
スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導
体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。
【0084】光安定剤としては、公知のものを用いるこ
とができ、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾー
ル、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の
誘導体、および、光励起状態をエネルギー移動あるいは
電荷移動により失活し得る電子吸引性化合物または電子
供与性化合物等が挙げられる。
【0085】さらに、表面磨耗の低減、転写性の向上、
クリーニング性の向上等を目的として、最表面層にフッ
素樹脂等の絶縁性粒子を分散させてもよい。
【0086】本発明の電子写真感光体を搭載する電子写
真装置としては、電子写真法を用いるものであれば如何
なるものでも構わないが、特にデジタル処理された画像
信号に基づき露光を行う電子写真装置が好ましい。デジ
タル処理された画像信号に基づき露光を行う電子写真装
置とは、レーザーまたはLED等の光源を用い、2値化
またはパルス幅変調や強度変調を行い多値化された光に
より露光を行う電子写真装置であり、例としてLEDプ
リンター、レーザープリンター、レーザー露光式デジタ
ル複写機などを挙げることができる。
【0087】また、現像後の感光体の初期化あるいは電
子写真特性の安定化等の目的で、画像形成用の露光光源
とは別に、光源を併用することができ、その光源の発光
域としては、不均一電荷輸送層に吸収されるものであっ
ても吸収されないものであっても構わないが、少なくと
も電荷発生層まで光が届く方が好ましい。
【0088】本発明の電子写真感光体を搭載する電子写
真装置の好ましい一例を図6に模式的に示す。この装置
は、レザープリンタであり、このプリンタでは、感光体
ドラム11の周りに前露光用光源(赤色LED)12、
帯電用スコロトロン13、露光用レーザー光学系14、
現像器15、転写用コロトロン16およびクリーニング
ブレード17がプロセスの順序に順次配置されている。
露光用レーザー光学系14は、発信波長780nmの露
光用レーザーダイオードを備えており、デジタル処理さ
れた画像信号に基づき発光する。発光したレーザー光1
4aはポリゴンミラーと複数のレンズおよびミラーによ
り走査されながら感光体上を露光するように構成されて
いる。なお、18は用紙を示す。
【0089】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定され
るものではなく、当業者は電子写真技術に関する任意の
知見から、以下の実施例に変更を加えることが可能であ
る。 実施例1 アルミニウム基板上に、ジルコニウムアルコキシド化合
物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬
社製)10重量部、シランカップリング剤(商品名:A
1100、日本ユニカー社製)1重量部、ポリビニルブ
チラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積水化
学社製)0.5重量部、及びブタノール25重量部から
なる溶液を浸漬コーティング法で塗布し、175℃にお
いて10分間加熱乾燥し、膜厚0.8μmの下引き層を
形成した。次にヒドロキシガリウムフタロシアニン微結
晶4重量部を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品
名:UCARソリューションビニル樹脂VMCH、ユニ
オンカーバイド社製)2重量部、クロロベンゼン100
重量部と混合し、ガラスビーズと共にペイントシェーク
法にて3時間分散処理して得られた分散液を浸漬コーテ
ィング法にて上記下引き層上に塗布し、100℃におい
て10分間加熱乾燥し、膜厚0.3μmの電荷発生層を
形成した。
【0090】次に、下記構造式(1)で示されるジアミ
ン系ホール輸送性化合物(吸収波長域500nm以上に
電子吸収を示さない)の微結晶5重量部、非晶質脂肪族
ポリオレフィン(商品名: ゼオネックス480、日本
ゼオン社製、電気抵抗率10 17Ωcm)10重量部、お
よびシクロヘキサン85重量部を、3mmφのステンレ
ス鋼ビーズを用いてボールミル法により24時間分散処
理した。得られた分散液を、上記電荷発生層上に浸漬コ
ーティング法にて塗布した後、115℃で10分間加熱
乾燥させて、膜厚5μmの不均一電荷輸送層を形成し
た。この不均一電荷輸送層中のジアミン系ホール輸送性
化合物微結晶の体積比率はおよそ33%であった。ま
た、ジアミン系ホール輸送性化合物微結晶の平均粒子径
は0.5μmであった。
【0091】
【化7】
【0092】次に、高分子電荷輸送材料である分子量8
万の下記構造式(2)で示される繰り返し単位よりなる
化合物15重量部をモノクロロベンゼン85重量部に溶
解した塗布液を、上記不均一電荷輸送上に浸漬コーティ
ング法で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥させ
て、膜厚15μmの均一電荷輸送層を形成し、図2に示
した層構成の電子写真感光体を作製した。
【0093】
【化8】
【0094】このようにして得られた電子写真用感光体
に対し、静電複写紙試験装置(エレクトロスタティック
アナライザーEPA−8100、川口電機製作所社製)
を用いて、常温常湿(20℃、40%RH)の環境下、
電子写真特性の評価を行った。−6.5kVのコロナ放
電により感光体表面を帯電させた後、干渉フィルターを
通し750nmに単色化したハロゲンランプ光を感光体
表面上で5mW/m2の光強度になるように調整し、1
0秒間照射したところ、図5に示すS字形の光誘起電位
減衰特性を示した。また、この光誘起電位減衰曲線から
E50%値が4.4mJ/m2 、E50%/E10%値
は1.6と算出された。 実施例2 不均一電荷輸送層の膜厚を20μmに変更し、均一電荷
輸送層を設けなかった以外は実施例1と同様にして図1
に示した層構成の電子写真感光体を作製した。
【0095】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が5.0mJ/m2 であり、E50%/E1
0%値が1.9のS字形であった。 実施例3 不均一電荷輸送層作製に用いる結着樹脂および溶剤をそ
れぞれポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック
スBM−S、積水化学社製、電気抵抗率1014Ωcm)
およびエタノールに変更した以外は実施例2と同様にし
て電子写真感光体を作製した。この不均一電荷輸送層中
のジアミン系ホール輸送性化合物微結晶の体積比率はお
よそ33%、また、ジアミン系ホール輸送性化合物微結
晶の平均粒子径は0.7μmであった。
【0096】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が6.5μJ/cm2 であり、E50%/E
10%値が2.2のS字形であった。 実施例4 不均一電荷輸送層作製用の有機電荷輸送材料および溶剤
をそれぞれ下記構造式(3)で示されるトリアリールア
ミン系ホール輸送性化合物(500nm以上に電子吸収
を示さない)およびメタノールに変更し、不均一電荷輸
送層の乾燥温度を65°Cに変更した以外は実施例2と
同様に電子写真感光体を作製した。この不均一電荷輸送
層中のトリアリールアミン系ホール輸送性化合物微結晶
の体積比率はおよそ33%、また、トリアリールアミン
系ホール輸送性化合物微結晶の平均粒子径は0.6μm
であった。
【0097】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が6.9μJ/cm2 であり、E50%/E
10%値が2.4のS字形であった。
【0098】
【化9】
【0099】実施例5 電荷発生層作製用の電荷発生材料および溶剤をそれぞれ
クロロガリウムフタロシアニン微結晶およびキシレン/
酢酸ブチル混合溶剤(混合比2:1)に変更した以外
は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製した。
【0100】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が4.8mJ/m2 、E50%/E10%値
が1.6のS字形であった。 実施例6 電荷発生層作製用の電荷発生材料および溶剤をそれぞれ
チタニルフタロシアニン微結晶および酢酸ブチルに変更
した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作製
した。
【0101】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が4.2mJ/m2 、E50%/E10%値
が1.6のS字形であった。 実施例7 電荷発生層作製用の電荷発生材料および溶剤をそれぞれ
ジクロロ錫フタロシアニン微結晶および酢酸ブチルに変
更した以外は、実施例1と同様に電子写真用感光体を作
製した。
【0102】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が20mJ/m2 、E50%/E10%値が
1.7のS字形であった。 実施例8 電荷発生層作製用の電荷発生材料、結着樹脂および溶剤
をそれぞれX型無金属フタロシアニン微結晶、ポリビニ
ルブチラール樹脂(商品名:エスレックスBM−S、積
水化学社製)およびシクロヘキサノンに変更した以外は
実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0103】得られた電子写真用感光体を、実施例1と
同様にして評価したところ、その光誘起電位減衰特性は
E50%値が15mJ/m2 、E50%/E10%値が
1.6のS字形であった。 実施例9 電荷発生層を、六方晶セレン12重量部を、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合樹脂(商品名:UCARソリューシ
ョンビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社製)
1.8重量部および酢酸イソブチル100重量部と混合
し、ステンレス鋼ビーズと共にアトライターにて5時間
分散処理して得られた分散液を浸漬コーティング法で塗
布し、135℃において10分間加熱乾燥し作製した以
外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0104】得られた電子写真用感光体を、露光波長を
500nmに変更した以外は実施例1と同様にして評価
したところ、その光誘起電位減衰特性はE50%値が
4.5mJ/m2 、E50%/E10%値が1.5のS
字形であった。 比較例1 不均一電荷輸送層を設けなかった以外は、実施例1と同
様にして電子写真感光体を作製した。
【0105】得られた電子写真感光体の電子写真特性
を、実施例1と同様の方法で評価したところ、光誘起電
位減衰曲線は図1のようなJ字形となりS字形とはなら
なかった。E50%/E10%値は5.1であった。 比較例2 電荷発生層を設けなかった以外は、実施例1と同様にし
て電子写真感光体を作製した。
【0106】得られた電子写真感光体の電子写真特性
を、実施例1と同様の方法で評価したところ、全く光感
度を示さなかった。 比較例3 不均一電荷輸送層作製用の電荷輸送材料をヒドロキシガ
リウムフタロシアニン(500〜900nmに電子吸収
を示す)に変更した以外は実施例3と同様に電子写真感
光体を作製した。この不均一電荷輸送層中のヒドロキシ
ガリウムフタロシアニン微結晶の体積比率はおよそ33
%、また、ヒドロキシガリウムフタロシアニン微結晶の
平均粒子径は0.1μmであった。
【0107】得られた電子写真用感光体の電子写真特性
を、実施例1と同様の方法で評価したところ、光誘起電
位減衰曲線は図7のようなE50%/E10%値が5.
2のJ字形となりS字形とはならなかった。尚、導電性
支持体として、半透明蒸着アルミ膜を設けた透明プラス
チックフィルムを用いた以外は、本比較例と同様に感光
体を作製し、得られた電子写真感光体の電子写真特性
を、支持体側から光照射を行った以外は実施例1と同様
の方法で評価したところ、S字形の光誘起電位減衰曲線
を示した。 実施例10 アルミニウム基板の代わりにホーニング処理を施したア
ルミニウムドラムを使用した以外は、実施例1と同様に
電子写真用感光体を作製し、図6に示した構成のレーザ
ープリンター(Laser Press 4105、富
士ゼロックス社製)に搭載し、印字試験を行った。この
際、最適な露光量を得るため、レーザー光の光路にND
フィルターを挿入し、露光光量を調整した。 比較例4 アルミニウム基板の代わりにアルミニムドラムを使用し
た以外は、比較例1と同様にして電子写真用感光体を作
製し、実施例10と同様にして印字試験を行った。
【0108】実施例10と比較例4で得られた印字の品
質を比べたところ、実施例10の方が細線の再現性等の
点で、印字品質が優れていた。
【0109】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、機能分離積
層構成のS字型感光体であって、上記した特定の有機電
荷輸送性微粒子を結着樹脂中に分散して成る不均一電荷
輸送層を用いることにより、電子写真感光体材料および
構成の選択ならびに電子写真装置の設計における自由度
が増し、優れたS字化特性、ひいては、優れた電子写真
特性を示すと云う卓越した効果を奏する。
【0110】また、本発明の電子写真感光体を使用した
電子写真装置は、デジタル処理された画像信号に基づき
露光を行うことにより、文字品質および画質に優れた印
字画像が得られると云う利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の一例を示す模式的
断面図である。
【図2】本発明の電子写真用感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図3】本発明の電子写真用感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図4】本発明の電子写真用感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図5】実施例1で得られた光誘起電位減衰特性を示す
グラフである。
【図6】実施例10および比較例4に用いたデジタル処
理された画像信号に基づき露光を行う本発明の電子写真
装置の概略を示す構成図である。
【図7】J字型電子写真感光体における露光量と表面電
位の関係を示すグラフである。
【図8】S字型電子写真感光体における露光量と表面電
位の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 導電性支持体、 2 電荷発生層、3
不均一電荷輸送層(S字化電荷輸送層)、 4 均一電
荷輸送層、11 感光体ドラム、 12 前露光
用光源、13 帯電用スコロトロン 14 露光用レ
ーザー光学系、15 現像器、16 転写用コロトロ
ン、 17 クリーニングブレード、18 用紙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 21/00 350 G03G 21/00 350 (72)発明者 五十嵐 良作 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、電荷発生層と不均一電
    荷輸送層と均一電荷輸送層とを有する電子写真感光体で
    あって、該不均一電荷輸送層は、電荷輸送材料を含む微
    粒子が結着樹脂中に分散されて成り、該電荷輸送材料
    が、600nm以上の波長域で電子吸収を示さない有機
    電荷輸送性低分子化合物である電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記有機電荷輸送性低分子化合物が、下
    記一般式(1)で示されるトリアリールアミン誘導体又
    は下記一般式(2)で示されるジアミン誘導体である請
    求項1に記載の電子写真感光体。 【化1】 [式中、R1 〜R3 は、互いに独立に、置換又は未置換
    アリール基から選ばれる。] 【化2】 [式中、R4 〜R7 は、互いに独立に、置換又は未置換
    アリール基から選ばれ、Xは芳香族環構造を有する、2
    価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示
    す。]
  3. 【請求項3】 前記不均一電荷輸送層の前記結着樹脂が
    非晶質脂肪族ポリオレフィンである請求項1又は請求項
    2に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記不均一電荷輸送層では、1013Ωc
    m以上の電気抵抗率を有する結着樹脂中に平均粒径0.
    005μm以上5μm以下の前記有機電荷輸送性低分子
    化合物を含む微粒子が体積率20〜60%で分散されて
    成る請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記不均一電荷輸送層中の前記有機電荷
    輸送性低分子化合物を含む微粒子が互いに接触して回旋
    状電荷輸送路を形成している請求項1又は請求項2に記
    載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 導電性基体上に、電荷発生層、不均一電
    荷輸送層および均一電荷輸送層がこの順序で積層されて
    いる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 前記均一電荷輸送層が平均分子量10,
    000以上の電荷輸送性高分子化合物よりなる請求項6
    に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 前記電荷輸送性高分子化合物が、下記一
    般式(3)で示される構造の少なくとも1種を繰り返し
    単位として含有する請求項7に記載の電子写真感光体。 【化3】 [式中、R8 およびR9 は、互いに独立に、置換又は未
    置換アリール基から選択され、Yは芳香族環構造を有す
    る2価の炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示
    し、AおよびBは、互いに独立に、置換又は未置換フェ
    ニレン基から選択され、Lは枝分れもしくは環構造を含
    んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化
    水素基を示し、mおよびnは、それぞれ0または1から
    選ばれる整数を意味する。]
  9. 【請求項9】 50%電位減衰に要する露光量が10%
    電位減衰に要する露光量の3倍未満である請求項1又は
    請求項2に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 導電性基体上に電荷発生層と不均一電
    荷輸送層とを有する電子写真感光体であって、該不均一
    電荷輸送層は、電荷輸送材料を含む微粒子が結着樹脂中
    に分散されてなり、該電荷輸送材料が、請求項2に記載
    の一般式(1)で示されるトリアリールアミン誘導体又
    は一般式(2)で示されるジアミン誘導体である電子写
    真感光体。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の電子写真感光体の製造方法であって、その不均一電荷
    輸送層を、結着樹脂を溶解させた溶剤中に、電荷輸送性
    材料を含む微粒子を分散させた塗工液を用い湿式塗布法
    にて作製することを特徴とする電子写真感光体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 電子写真感光体に、デジタル処理され
    た画像信号に基づき露光を行って潜像を形成する過程を
    経て、画像を形成するデジタル式電子写真装置におい
    て、該電子写真感光体が請求項1ないし10のいずれか
    に記載の電子写真感光体であることを特徴とするデジタ
    ル式電子写真装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000206715A (ja) * 1998-11-13 2000-07-28 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカ―トリッジ及び電子写真装置
WO2013183526A1 (en) * 2012-06-04 2013-12-12 Canon Kabushiki Kaisha Method of producing electrophotographic photosensitive member

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