JPH09166881A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真装置

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JPH09166881A
JPH09166881A JP32865195A JP32865195A JPH09166881A JP H09166881 A JPH09166881 A JP H09166881A JP 32865195 A JP32865195 A JP 32865195A JP 32865195 A JP32865195 A JP 32865195A JP H09166881 A JPH09166881 A JP H09166881A
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charge transport
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photosensitive member
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JP32865195A
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English (en)
Inventor
Taketoshi Hoshizaki
武敏 星崎
Yasuhiro Yamaguchi
康浩 山口
Yasuo Sakaguchi
泰生 坂口
Ryosaku Igarashi
良作 五十嵐
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 干渉縞の発生を防止した2層以上の電荷輸送
層を有する電子写真感光体及びその感光体を用いたデジ
タル電子写真装置を提供する。 【解決手段】 導電性基体上に、電荷発生層と第1及び
第2の電荷輸送層とを設けた電子写真感光体において、
第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層との界面における
光の正反射を抑制する第1の電荷輸送層と第2の電荷輸
送層との界面を有することを特徴とする。その第1の電
荷発生層の表面粗さRa1は、0.03〜1.0μmの範
囲であることが好ましい。また、その第1の電荷輸送層
の屈折率r1と第2の電荷輸送層の屈折率r2との比
は、0.4〜0.85又は1.2〜2.5であることが
好ましい。電子写真装置は、上記電子写真感光体とデジ
タル処理された画像信号に基づいてコヒーレント光によ
り露光を行う露光手段とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性基体、電荷発生
層及び電荷輸送層を含む電子写真感光体に関し、特に、
2層以上の電荷輸送層を有する干渉縞の発生しないデジ
タル電子写真法に好適な電子写真感光体に関する。本発
明はまた、これらの電子写真感光体を用いたデジタル式
電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真技術は、高速で高印字品
質のものが得られる等の利点を有するために、複写機、
プリンター、ファクシミリ等の分野において、中心的役
割を果たしている。電子写真技術に用いられる電子写真
感光体としては、従来より、セレン、セレン−テルル合
金、セレン−ヒ素合金等の無機光導電性材料を用いたも
のが広く知られている。一方、これらの無機系光導電性
材料に比べて、コスト、製造性および廃棄性等の点で優
れた利点を有する有機光導電性材料を用いた電子写真感
光体の研究が活発化し、現在では、有機系感光体が無機
系感光体を凌駕するに至っている。特に、光電導の素過
程である光電荷発生と電荷輸送とを、それぞれ別々の層
に担わせる機能分離型積層構成の感光層からなる感光体
が開発されたことにより、材料選択の自由度が増大し
て、著しい性能の向上を遂げることができるようにな
り、現在では、この機能分離積層型の有機感光体が電子
写真感光体の主流となっている。
【0003】このような機能分離積層型有機感光体用の
電荷発生層としては、キノン系顔料、ぺリレン系顔料、
アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料及びセレン等の電荷
発生能を有する顔料等を蒸着等により直接成膜したも
の、またはこれらを高濃度で結着樹脂中に分散したもの
が実用されている。一方、その電荷輸送層としては、ヒ
ドラゾン系化合物、ベンジジン系化合物、アミン系化合
物及びスチルベン系化合物等の電荷輸送能を有する低分
子化合物を絶縁性樹脂中に分子分散したものが用いられ
ている。
【0004】これら機能分離積層型の有機感光体の電荷
輸送層を2層以上の構成とし、電荷輸送性と耐磨耗性お
よび耐刷性等とを両立させる方法が提案されている(例
えば、特開平1−267552号公報、特開平1−28
5950号公報、特開平2−228673号公報、特開
平2−257142号公報、特開平6−148911号
公報等)。
【0005】ところで、従来、原稿を感光体上に光学的
に結像させて露光するアナログ方式の電子写真式複写機
に用いる感光体としては、濃度階調による中間調の再現
性を良好にするために、図1に示すように、光誘起電位
減衰特性を持つ感光体、すなわち、露光量に対し比例的
に電位減衰を起こす感光体(以下、「J字型感光体」と
いう。)が要求される。上記した無機系感光体及び機能
分離型の積層型有機感光体は、すべてこの範疇に入る光
誘起電位減衰特性を示すものである。
【0006】しかしながら、近年の高画質化、高付加価
値化およびネットワーク化等の要請に伴い、研究開発が
盛んに行われているデジタル方式の電子写真装置におい
ては、一般に、ドット等の面積率で階調を出す面積階調
方式を採用するため、むしろ図2に示すように、ある露
光量に達するまでは電位減衰しないが、その露光量を越
えると急峻な電位減衰が起こる、いわゆる、S字型の光
誘起電位減衰特性を有する感光体(以下、「S字型感光
体」という。)を使用することが、画素の鮮鋭度が高め
られる等の点から望ましい。
【0007】このS字型感光体は、J字型感光体と同様
に機能分離が進められてきており、設計の自由度を大巾
に拡大する手段として、導電性基体上に電荷発生層と電
荷輸送層とを有する電子写真感光体において、その電荷
輸送層が、電気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ド
メインが分散されてなる不均一電荷輸送層と電荷輸送性
マトリックスからなる均一電荷輸送層とより構成するこ
とが提案されている。以下、電気的不活性マトリックス
中に、電荷輸送性ドメインが分散されてなる不均一電荷
輸送層を、単に「不均一電荷輸送層」と略記し、また、
電荷輸送性マトリックスよりなる均一電荷輸送層を、単
に「均一電荷輸送層」と略記する。
【0008】上記構成の電子写真感光体においては、電
荷発生は電荷発生層に担わせ、光誘記電位減衰曲線のS
字化は電気的不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメイ
ンが分散されてなる不均一電荷輸送層に担わせ、また、
主たる電荷輸送機能は、電荷輸送性マトリックスよりな
る均一電荷輸送層に担わせることにより機能分離を達成
し、感光体設計の自由度を大幅に向上させた。この種の
電子写真感光体の構成例としては、図3および図4に示
すように、導電性基体上に、電荷発生層、不均一電荷輸
送層及び均一電荷輸送層とを順次積層して形成される電
子写真感光体があり、この構成を有する電子写真感光体
は多くの優れた特性を有している。このように、電子写
真感光体の機能を向上させるために、電荷輸送層を2層
以上の構成にすることが試行されているが、デジタル方
式の電子写真装置においては、露光にレーザー等のコヒ
ーレント光を使用するため、干渉縞と呼ばれる画質欠陥
の発生が問題となってくる。
【0009】干渉縞の発生は、図5に示すように、導電
性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して形
成される機能分離型積層構造の電子写真感光体において
問題となり、その発生メカニズムの究明がなされた。図
6は、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とが順次
積層された電子写真感光体における干渉縞の発生メカニ
ズムを説明する図である。図6においては、入射光の一
部は、導電性基体表面で反射し、さらに電荷輸送層表面
で再度反射し(反射光A)、入射光と干渉する。同様
に、他の入射光の一部は、電荷輸送層と電荷発生層の界
面で反射し、さらに電荷輸送層表面で再度反射し(反射
光B)、入射光と干渉する。また、下引き層が存在する
場合には、電荷発生層と下引き層の界面での反射光も入
射光と干渉する。感光体面内の僅かな電荷輸送層の膜厚
の違いにより、反射光と入射光の光路差が変化し、電荷
発生層に入射する光を強めたり、弱めたりする。このよ
うに、電荷発生層に入射する光にムラが生じると、感光
体に形成される潜像にムラができ、その結果、形成され
る画像には、縞状の濃淡の模様が発生することになる。
この濃淡の模様が、干渉縞またはモアレと呼ばれている
画像欠陥である。この干渉縞は、中間調の画像を形成す
る際に顕著に現れることになる。
【0010】この干渉縞の発生を防止または軽減する方
法として、これまでに幾つかの提案がなされている。例
えば、特開昭57−165844号公報等には、基体表
面に乱反射層を設けたり、基体表面を粗面化することに
より、基体表面からの正反射光を抑える方法、特開昭5
7−165845号公報等には、基体表面に光吸収層を
設ける方法、及び、特開昭58−82249号公報等に
は、電荷発生層の透過率を低くすることによって基体表
面からの正反射光を抑える方法等により、図6に示す反
射光Aによる干渉を抑えることが開示されている。ま
た、特開昭61−13250号公報等には、電荷発生層
の表面を粗面化処理して電荷発生層と電荷輸送層との界
面における正反射光を抑える方法等により、図6に示す
反射光Bによる干渉を抑制できることが開示されてい
る。しかしながら、上記した従来の方法では、電荷輸送
層が2層以上よりなる電子写真感光体において、干渉縞
の発生を十分に防止することはできなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような実情に鑑みてなされたものであ
る。すなわち、本発明の目的は、導電性基体上に、少な
くとも電荷発生層、第1の電荷輸送層及び第2の電荷輸
送層を順次積層してなる電子写真感光体において、干渉
縞の発生を防止することのできる電子写真感光体を提供
することにある。また、上記の電子写真感光体を用いる
ことにより、干渉縞の発生しないデジタル電子写真装置
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電子写真感光体
は、導電性基体上に、電荷発生層、第1の電荷輸送層及
び第2の電荷輸送層を順次積層してなる電子写真感光体
において、第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層との界
面における光の正反射を抑制する第1の電荷輸送層と第
2の電荷輸送層との界面を有することを特徴とする。ま
た、第1の電荷輸送層の表面粗さ(Ra1)が、0.03
〜1.0μmの範囲であることを特徴とする。その第1
の電荷輸送層の屈折率(r1)と第2の電荷輸送層の屈
折率(r2)との(r2/r1)比が、0.4〜0.8
5の範囲であるか、または、1.2〜2.5の範囲であ
ることが好ましい。
【0013】また、その他の電子写真感光体は、導電性
基体上に、電荷発生層、第1の電荷輸送層及び第2の電
荷輸送層を順次積層してなる電子写真感光体において、
第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と第2の電荷輸送層
の屈折率(r2)との(r2/r1)比が、0.93〜
1.07の範囲であることを特徴とする。さらに、第1
の電荷輸送層の屈折率(r1)と電荷発生層の屈折率
(rg)との(rg/r1)比が、0.93〜1.07
の範囲であることが好ましい。
【0014】電荷発生層の表面粗さ(Ra2)は、0.0
3〜0.5μmの範囲であることが好ましい。また、導
電性基体の表面粗さ(Ra3)は、0.03〜0.5μm
の範囲であることが好ましい。
【0015】本発明の電子写真装置は、上記した電子写
真感光体とデジタル処理された画像信号に基づきコヒー
レント光により露光を行う露光手段とを有することを特
徴とする。なお、本発明において特定する表面粗さの範
囲は、JISの表面粗さ(B0601−1994)の規
定に基づいて算術平均粗さ(Ra1)により設定される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について詳細
に説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性基体上
に、電荷発生層、第1の電荷輸送層および第2の電荷輸
送層を含有してなるものであり、従来の積層型感光体よ
りも第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層との界面が存
在するものである。
【0017】図7は、導電性基体上に、電荷発生層、第
1の電荷輸送層および第2の電荷輸送層とを順次積層さ
れた電子写真感光体において、干渉縞の発生メカニズム
を説明するためのものである。図7においては、入射光
は、従来の積層型感光体と同様に、反射光Aおよび反射
光Bとの干渉があり、また、従来からの積層型感光体よ
りも第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層との界面が多
く存在していることから、同界面で入射光の一部が反射
し、さらに、第2の電荷輸送層表面で再度反射し(反射
光C)、入射光と干渉する。
【0018】そこで、本発明においては、導電性基体上
に電荷発生層と第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層を
順次積層してなる電子写真感光体において、新たな反射
光Cを抑える手段を講じる必要が生じた。干渉縞の発生
を抑制する方法としては、界面からの正反射光を極力少
なくする方法が有効であり、界面の正反射率を0.1%
以下、好ましくは0.05%以下に抑えるとその界面か
らの反射光による干渉縞の発生はほぼ完全に抑制でき
る。上記反射光Cを抑える手段としては、第1の電荷輸
送層と第2の電荷輸送層の界面を粗面化し、つまり、第
1の電荷輸送層表面を粗面化処理して、その界面からの
反射光を散乱し正反射光を少なくする方法がある。ま
た、その他の方法としては、第1の電荷輸送層に対する
第2の電荷輸送層の屈折率の比を1に近くする方法があ
る。
【0019】垂直入射する際の界面の反射率(R)は、
目的とする波長における屈折率の比(nγ)とは下記式
の関係にある。 R=(1−nγ2 /(1+nγ2 この場合、界面の反射率を0.1%以下にするために
は、屈折率の比が1.07以下であり、かつ、0.93
以上とし、また、0.05%以下にするためには、屈折
率の比が1.05以下であり、かつ、0.95以上とす
ればよい。
【0020】上記した手段を、第1と第2の電荷輸送層
の界面に施すことにより、その界面からの正反射光によ
る干渉縞の発生は抑えることができたとしても、電荷発
生層と第1の電荷輸送層の界面、および導電性基体から
の正反射光による干渉縞の発生については抑えられると
は限らない。そこで更に、電荷発生層と第1の電荷輸送
層との界面および導電性基体からの正反射光を抑えるた
めの手段を付加する必要がある。
【0021】電荷発生層と第1の電荷輸送層との界面か
らの正反射光を抑えるためには、その界面を粗面化する
方法、または、その両者の屈折率の比を0.93ないし
1.07の範囲とする、好ましくは0.95ないし1.
05の範囲とすることにより実現可能である。また、導
電性基体からの正反射光を抑える方法は、電荷発生層に
光を吸収し減衰させることにより、正反射率を0.05
%以下とすることができる。そのためには、導電性基体
の反射率が1に近い場合は、電荷発生層の透過率は3%
以下であることが必要である。電荷発生層の透過率が3
%以上である場合でも、導電性基体の粗面化処理や導電
性基体の着色を行うことにより、導電性基体からの正反
射光を少なくして、干渉縞の発生を抑えることができ
る。
【0022】また、第1の電荷輸送層に対する第2の電
荷輸送層の屈折率の比が1.2以上、または、0.85
以下であり、かつ、第1の電荷輸送層の表面粗さ(Ra
1)が0.03〜0.5μmである場合は、その界面に
よる透過光の屈折が起こり、電荷発生層と第1の電荷輸
送層との界面、および導電性基体からの正反射光による
干渉縞の発生を抑えることができる。
【0023】以下、本発明の電子写真感光体を構成する
各層について詳細に説明する。図8および図9は、本発
明の電子写真感光体の積層構成を示す模式的断面図であ
る。図8は、導電性基体3上に光電荷発生を担う電荷発
生層1が設けられ、その上に、第1の電荷輸送層5およ
び第2の電荷輸送層6がそれぞれ順次設けられている感
光体であり、この第1および第2の電荷輸送層によって
電荷輸送層2が形成されている。図9は、図8に示され
る感光体に、さらに導電性基体3と電荷発生層1の間に
下引き層4が設けられているものである。これらの電子
写真感光体には、さらに所望により保護層等を設けるこ
とができる。
【0024】本発明に用いられる導電性基体としては、
不透明なものまたは実質的に透明なものであることがで
き、具体的には、アルミニウム、ニッケル、クロム、ス
テンレス銅等の金属類、およびアルミニウム、チタン、
ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸
化錫、酸化インジウム、ITO等の膜厚を設けたプラス
チックフィルム、ガラス等、あるいは導電性付与剤を塗
布または含浸させた紙、プラルチックフィルムおよびガ
ラス等があげられる。これらの導電性基体は、ドラム
状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして
使用されるが、これらに限定されるものではない。さら
に必要に応じて導電性基体の表面には、画質に影響のな
い範囲で各種の処理を行うことができ、例えば、表面の
酸化処理や薬品処理および着色処理等または砂目立て等
の乱反射処理等を行うことができる。特に、干渉縞の防
止策としては、導電性基体の乱反射処理は有効な手段の
一つであり、導電性基体からの正反射光量を下げること
により、干渉縞を抑制することができる。
【0025】導電性基体の表面の粗面化処理は、電荷発
生層、第1の電荷輸送層を粗面化する手段としても用い
られる。導電性基体を粗面化する場合には、導電性基体
の表面粗さ(Ra3)が、0.03〜0.5μmの範囲で
あることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.4
μmの範囲であり、さらに好ましくは0.1〜0.3μ
mの範囲である。Ra3は、上記範囲より小さいと第1の
電荷輸送層の表面粗さが小さくなり、干渉縞の防止効果
が不十分であり、また、上記範囲より大きいと黒点、白
点の発生等の障害が発生する。
【0026】また、光の乱反射処理の方法としては、公
知の陽極酸化法、ブラシ研磨法、サンドブラスト法、湿
式ホーニング法、切削法等のあらゆる方法を用いること
ができ、具体的には、特公昭47−5125号公報、特
開昭57−165844号公報、特開昭57−1658
44号公報、特公平6−41108号公報、特開平5−
224437号公報等に開示されている方法等がある。
その乱反射処理と同時に陽極酸化法等による着色処理を
併用することも可能である。
【0027】また、導電性基体と光導電層の間には、1
層または複数層の下引き層を設けてもよい。この下引き
層は、感光層の帯電時において導電性基体から感光層へ
の電荷の注入を阻止すると共に、感光層を導電性基体に
対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用、
または場合によっては導電性基体からの光の反射防止作
用等を示す。
【0028】上記下引き層としては、公知のものを用い
ることができ、例えば、ポリエチレン樹脂、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、水溶
性ポリエステル樹脂、アルコール可溶性ナイロン樹脂、
ニトロセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミ
ン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ポリア
クリル酸、ポリアクリルアミド等の樹脂およびこれらの
共重合体、または、ジルコニウムアルコキシド化合物、
チタンアルコキシド化合物、シランカップリング剤等の
硬化性有機金属化合物を、単独または2種以上を混合し
て用いることができる。また、帯電極性と同極性の電荷
のみを輸送し得る材料も使用可能である。下引き層の膜
厚は、0.01〜10μmが適当であり、好ましくは
0.05〜5μmの範囲である。塗布方法としては、ブ
レードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、
スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビード
コーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテ
ンコーティング法等の通常の方法を用いることができ
る。
【0029】導電性基体からの正反射光を少なくするた
めに、着色処理、または、屈折率の異なる粒子の添加等
の公知の方法を採用することができる。また、電荷発生
層表面または第1の電荷輸送層表面を粗面化処理するに
は、粒子の添加、ブラッシング等の表面を粗面化する公
知の方法を採用することができる。
【0030】本発明の電子写真感光体の電荷発生層の電
荷発生材料としては、従来のJ字型積層感光体の電荷発
生層に用いられている公知のものを使用することができ
る。例えば、非晶質セレン、セレン−テルル合金、セレ
ン−ヒ素合金、その他セレン化合物およびセレン合金、
酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−SiC等の無機
系光導電性材料、フタロシアニン系、スクアリリウム
系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アント
ラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム
塩等の有機顔料や染料が使用できるが、これらに限定さ
れるものではない。また、これらの有機顔料および染料
は、単独または2種以上混合して用いることができる。
【0031】上記した電荷発生材料の中で、フタロシア
ニン系化合物は、現在デジタル式電子写真装置の光源と
して使用されているLEDおよびレーザーダイオードの
発信波長の600〜850nmの範囲において優れた光
感度を有するものであるから、本発明の電荷発生材料と
して特に好ましい。詳しくは、無金属フタロシアニンお
よび金属フタロシアニンであり、その金属フタロシアニ
ンの中心金属としては、Cu、Ni、Zn、Co、F
e、V、Si、Al、Sn、Ge、Ti、In、Ga、
Mg、Pb等があげられ、また、これらの中心金属の酸
化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルキル化物、アルコ
キシ化物等も使用することができる。具体的には、無金
属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロガ
リウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシア
ニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタ
ロシアニン、ジクロロ錫フタロシアニン等をあげること
ができる。また、これらのフタロシアニン環に任意の置
換基を有するものも使用することができる。さらにま
た、これらのフタロシアニン環中の任意の炭素原子が、
窒素原子で置換されたものも有効である。これらフタロ
シアニン系化合物の形態としては、アモルファスのも
の、または全ての結晶多形のものが使用可能である。こ
れらのフタロシアニン系化合物の中で、チタニルフタロ
シアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシ
ガリウムフタロシアニンおよびジクロロ錫フタロシアニ
ンは、特に優れた光感度を有するものであるから、電荷
発生材料として使用することが特に好ましい。
【0032】上記したフタロシアニン系化合物は、その
大部分のものが正孔を主たる輸送電荷とするp型半導体
の性質を有しているのに対し、ジクロロ錫フタロシアニ
ンは、電子を主たる輸送電荷とするn型半導体としての
性質を有している。そのため、電荷発生材料としてジク
ロロ錫フタロシアニンを含有し、導電性基体上に電荷発
生層と電荷輸送層を順次積層することにより形成されて
いるS字型感光体は、それを負帯電で使用した場合、高
感度であり、かつ、導電性基材からの正電荷の注入が抑
えられ、暗減衰が小さく帯電性が高い良好な電子写真特
性を示すことになる。
【0033】また、六方晶セレンは、電荷発生効率に優
れているため、電荷発生材料として好ましく使用でき
る。レーザー光のビーム径は、発信波長が短くなるにつ
れて小径化できるため、より一層の高画質化を目指し
て、露光用レーザーの短波長化が検討されているが、六
方晶セレンの感光域は約680nm以下の短波長域にあ
るため、六方晶セレンは、この範囲の短波長レーザー用
の電荷発生材料として用いることが特に好ましい。
【0034】本発明の電荷発生層は、上記した電荷発生
材料を真空蒸着法により、または、電荷発生材料を結着
樹脂中に分散または溶解することにより作製することが
できる。電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ポリビ
ニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分
変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、シリコーン樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が
あげられるが、これらに限定されない。これらの結着樹
脂は、ブロック共重合体、ランダム共重合体または交互
共重合体であってもよく、単独でまたは2種以上混合し
て用いることができる。
【0035】電荷発生材料と結着樹脂との配合比(体積
比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。より好
ましくは、3:1〜1:1の範囲に設定される。電荷発
生材料の結着樹脂に対する配合比が、上記範囲より多い
と、暗減衰を増大し機械的特性を悪化させ、また、上記
範囲より少ないと、光感度の低下、残留電位の増大等の
障害が起きる。また、本発明で用いる電荷発生層の膜厚
は、一般的には、0.05〜5μmの範囲が適当であ
り、好ましくは0.1〜2.0μmの範囲に設定され
る。その塗布方法としては、ブレードコーティング法、
ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング
法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エア
ーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の
通常の方法を用いることができる。
【0036】導電性基体の露光波長における正反射率が
大きい場合は、電荷発生層の露光波長における透過率の
小さい方が、導電性基体における正反射光強度を小さく
するために干渉縞を防止するには有利である。電荷発生
層の露光波長における透過率としては、50%以下が好
ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ま
しくは10%以下である。導電性基体が鏡面であり、か
つ着色処理が行われていない場合には3%以下であるこ
とが好ましい。
【0037】また、干渉縞を防止するために、電荷発生
層と電荷輸送層の界面における正反射光を少なくする目
的で、電荷発生層の表面を粗面化することが望ましい。
電荷発生層の表面の粗面化は必ずしも必要ではないが、
粗面化する場合の電荷発生層の表面粗さ(Ra2)は、
0.03〜0.5μmの範囲であることが好ましく、よ
り好ましくは0.05〜0.4μmの範囲であり、さら
に好ましくは0.1〜0.3μmの範囲である。その表
面粗さ(Ra2)は、上記範囲より小さいと電荷発生層表
面からの正反射光の抑制が不十分となり、干渉縞が発生
する。また、上記範囲より大きいと黒点、白点の発生等
の障害が発生する。
【0038】電荷発生層を粗面化する方法としては、導
電性基体の表面を粗面化する方法、下引き層の表面を粗
面化する方法、電荷発生層中に特定粒子径以上の粒子を
含有する方法、塗布時にブラッシング等を起こさせるこ
とにより粗面化する方法等の公知のあらゆる方法が使用
可能である。
【0039】本発明の第1の電荷輸送層および第2の電
荷輸送層としては、共に従来の積層感光体において電荷
輸送層として用いられている公知のものを使用すること
ができる。例えば、ベンジジン系化合物、アミン系化合
物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、カルバ
ゾール系化合物等のホール輸送性低分子化合物またはフ
ルオレノン系化合物、マロンニトリル系化合物、ジフェ
ノキシキノン系化合物等の電子輸送性低分子化合物を、
単独でまたは2種以上を混合して、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリメ
チルメタクリレート等の絶縁性樹脂中に均一分子分散し
た固溶膜、または、それ自体が電荷輸送能を有する高分
子化合物等を用いることができる。また、セレン、アモ
ルファスシリコン、アモルファスシリコンカーバイト等
の電荷輸送能を有する無機物質を用いることもできる。
電荷輸送性高分子化合物としては、ポリビニルカルバゾ
ール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に持つ高分子化合
物、特開平5−232727号公報等に開示されている
ような電荷輸送能を有する基を主鎖とする高分子化合物
およびポリシラン等を用いることができる。
【0040】また、電荷輸送材料を含んでいてもよい適
当な結着樹脂中には、電荷輸送性微粒子を分散させた分
散体を使用することもできる。この電荷輸送性微粒子を
構成する材料としては、六方晶セレン、セレン化カドミ
ウム、その他のセレン化合物およびセレン合金、硫化カ
ドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−Si
C等の無機系材料、フタロシアニン系、スクエアリウム
系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アント
ラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、チアピリリウ
ム塩系等の有機顔料、並びに、ベンジジン系化合物、ア
ミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合
物、カルバゾール系化合物等のホール輸送性低分子化合
物またはフルオレノン系化合物、マロンニトリル系化合
物、ジフェノキシキノン系化合物等の電子輸送性低分子
化合物等があげられるが、これらに限定されるものでは
ない。また、これらの電荷輸送材料は、単独または2種
以上混合して用いることができる。
【0041】六方晶セレン結晶は、現在デジタル式の電
子写真装置に光源として使用されているレーザーダイオ
ードの発信波長である700nm以上の光を実質的に吸
収せず、また優れた電荷輸送性能を有するために、電荷
輸送層用の電荷輸送性微粒子として特に好ましい。ま
た、六方晶セレン結晶は屈折率が有機化合物に比べて大
きいため、第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層の屈折
率差を大きくするためにも有効なものである。
【0042】本発明の第1の電荷輸送層には、絶縁性微
粒子を含有していてもよい。この絶縁性微粒子として用
いるものとしては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポ
リフッ化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、テ
フロン樹脂等の絶縁性樹脂粉末またはビーズ、及びアル
ミナ、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸
鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機微粒子また
は白色系顔料、およびカドミウム赤、カドミウム黄、酸
化鉄、朱、ベンガラ、赤色系または黄色系顔料等があげ
られるが、これらに限定されるものではない。また、こ
れらの電荷輸送材料は、単独または2種以上を混合して
用いることができる。白色系、赤色系または黄色系顔料
は、上記したレーザーダイオードの発信波長である70
0nm以上の光を実質的に吸収しないために好ましい。
第1の電荷輸送層を粗面化するために、上記電荷輸送性
微粒子および絶縁性微粒子を用いる場合には、0.5μ
m以上の粒子径の電荷輸送性微粒子および絶縁性微粒子
を1体積%以上含有させることが好ましい。
【0043】第1の電荷輸送層と第2の電荷輸送層との
屈折率比を大きくするためには、添加剤として、屈折率
の大きな無機微粒子、白色系、赤色系または黄色系顔料
等の絶縁性粒子、または、電荷輸送性粒子を分散させて
含有させることによりその層の屈折率を大きくすること
ができる。有機電荷輸送材料および樹脂等からなる電荷
輸送層は、その屈折率が通常1.4〜1.7程度のもの
であることが多いため、使用する屈折率の大きな無機微
粒子としては、屈折率2以上のものが好ましく、より好
ましくは2.3以上のものである。また、その無機微粒
子粉体の平均粒子径は、0.001〜2μmの範囲のも
のが好ましく、より好ましくは1μm以下、さらに好ま
しくは0.5μm以下である。上記範囲より大きいもの
を用いると均一性が低下するため画像がざらついてく
る。一方、粒子径は小さくても層の屈折率を大きくする
ことができること、および粒子による散乱効果は無視で
きることから、より均一性の高い画像を得ることができ
る。屈折率の大きな無機微粒子としては、例えば、チタ
ン亜鉛(屈折率2.7)、酸化チタン(屈折率2.5〜
2.9)、酸化ジルコニウム(屈折率2.4)、酸化鉄
(屈折率2.0)、ベンガラ(屈折率2.9)、セレン
(屈折率2.5)および硫化カドミウム(屈折率2.4
〜2.7)等が用いられるが、これらに限られるもので
はない。
【0044】本発明において、第1の電荷輸送層は干渉
縞を防止するために、第1の電荷輸送層と第2の電荷輸
送層の界面における正反射光を少なくする目的で、電荷
発生層の表面を粗面化することができる。第1の電荷輸
送層を粗面化する方法としては、導電性基体の表面を粗
面化する方法、下引き層の表面を粗面化する方法、電荷
発生層の表面を粗面化する方法、第1の電荷輸送層中
に、特定粒子径以上の粒子を添加する方法、塗布時にブ
ラッシング等を起こさせて粗面化する方法、非相溶性ポ
リマーの相分離により粗面化する方法等の公知の方法が
使用可能である。第1の電荷輸送層の表面は、必ずしも
粗面化する必要はないが、粗面化する場合の第1の電荷
輸送層の表面粗さ(Ra1)は、0.03〜1.0μmの
範囲であることが必要であり、好ましくは0.05〜
0.8μmの範囲であり、より好ましくは0.1〜0.
5μmの範囲である。上記範囲より小さいと干渉縞の防
止効果が不十分であり、また、その範囲より大きいと黒
点、白点の発生の発生等の障害を発生する。
【0045】また、本発明において、第1の電荷輸送層
に対する第2の電荷輸送層の屈折率比が、1.2〜2.
5の範囲、または0.4〜0.85の範囲であり、か
つ、第1電荷輸送層の表面粗さ(Ra1)が0.03〜
1.0μmの範囲である場合には、その両層の界面によ
る透過光は屈折し、電荷発生層と第1の電荷輸送層の界
面、および導電性基体からの正反射光による干渉縞の発
生を抑えることができる。さらに、Ra1は0.2〜1.
0μmの範囲にある場合、透過光の屈折が十分に起こる
ことから特に好ましい。この場合には、導電性基体の粗
面化や電荷発生層の粗面化の必要がなく、黒点および白
点の発生を抑える上で非常に有利となる。
【0046】第1の電荷輸送層は、膜厚を厚くすること
ができる上に、膜厚のムラによる画質低下が少ないた
め、第1の電荷輸送層は粗面化に有利である。第1の電
荷輸送層に対する第2の電荷輸送層の屈折率の比が1.
2以上、または、0.85以下とする方法としては、屈
折率の大きな微粒子を第1の電荷輸送層または第2の電
荷輸送層中のどちらか一方のみに分散し形成する方法、
または第1の電荷輸送層または第2の電荷輸送層のいず
れかを電荷輸送性の無機物質を蒸着することにより形成
し、その他方を有機物質よりなる電荷輸送層とする方法
等がある。また、第1の電荷輸送層に対する第2の電荷
輸送層の屈折率の比を、0.93〜1.07の範囲とす
る、好ましくは、0.95〜1.05の範囲とすること
によっても、第1と第2の電荷輸送層の界面からの反射
光を抑えることができる。第1の電荷輸送層に対する第
2の電荷輸送層の屈折率の比が、0.9〜1.1の範囲
である場合は、第1の電荷輸送層の表面粗さを小さく抑
えても正反射光が少なくてすむために、黒点や白点の発
生を抑えるのに有利である。
【0047】上記のように、機能分離積層型の有機感光
体において、電荷輸送層を2層以上の構成とし、電荷輸
送と耐摩耗性及び耐刷性等とを両立させる方法として
は、第1の電荷輸送層を電荷輸送性及び電荷注入性に優
れた材料および組成を用い、第2の電荷輸送層を耐摩耗
性及び耐オゾン性耐NOx性に優れた材料および組成を
用いることにより達成することができる。その例として
は、特開平1−267552号公報、特開平1−285
950号公報、特開平2−228673号公報、特開平
2−257142号公報および特開平6−148911
号公報等に開示されている方法等がある。
【0048】本発明においては、第1の電荷輸送層は、
電気不活性マトリックス中に電荷輸送性ドメインが分散
されてなる不均一構造を有する不均一電荷輸送層とし、
第2の電荷輸送層は、電荷輸送性マトリックスよりなる
均一電荷輸送層とするものである。このようなS字型感
光体とすることにより、デジタル電子写真法に好適な電
子写真感光体を得ることができる。
【0049】この不均一電荷輸送層は、電気的不活性マ
トリックス中に電荷輸送性ドメインが分散された不均一
構造を有する電荷輸送路を形成する層であって、その作
製には、任意の適当な方法を採用することができる。例
えば、適当な溶剤中に絶縁性結着樹脂を溶解させた溶液
に、電荷輸送性微粒子を分散させ、これを浸漬コーティ
ング法等により塗布した後、乾燥させることにより得る
ことができる。また、予め電荷輸送性微粒子に熱硬化性
樹脂またはシランカップリング剤等の絶縁性材料を被覆
させて不溶化させたものを、適当な溶剤中に絶縁性の結
着樹脂を溶解させた溶液に分散させ、これを浸漬コーテ
ィング法等により塗布した後、乾燥させることによって
得ることもできる。また、絶縁性の結着樹脂中に電荷輸
送性物質を均一に分散させたものに加熱処理および溶剤
処理等を行うことにより電荷輸送材料の微結晶を析出さ
せて得ることもできる。さらにまた、絶縁性ブロックと
電荷輸送性ブロックからなるブロック共重合体またはグ
ラフト共重合体において、絶縁性ブロックと電荷輸送性
ブロックとが、ミクロ相分離により電荷輸送性ドメイン
が島となる海島構造を有している系も使用可能である。
なお、ここでいう電気的不活性とは、その輸送エネルギ
ーレベルが、主たる輸送電荷の輸送エネルギーレベルか
ら大きくかけ離れており、通常の電界強度では、実質的
に輸送電荷が注入されることがなく、主たる電荷にとっ
て事実上の電気的絶縁状態にあることを意味する。
【0050】上記した不均一電荷輸送層の形成方法にお
いて、回旋状電荷輸送経路の形成は、電荷輸送性ドメイ
ン同士の確率的な接触に依存する。その接触の確率が多
すぎると、電荷輸送経路は回旋状とならず、またその接
触の確率が少なすぎると電荷輸送経路が形成できなくな
る。電荷輸送性ドメイン相互の接触は、必ずしも直接接
触している必要はなく、電荷輸送性ドメイン間の非常に
薄い絶縁層は、電荷がそのギャップを飛び越えることが
でき、かつ、そこでの捕獲が無視できるならば、その存
在は許容される。ここでいう回旋状電荷輸送路とは、電
荷の移動が膜厚方向に対して1回以上逆行するように形
成されている電荷輸送路のことである。
【0051】より具体的には、不均一電荷輸送層は、適
当な結着樹脂中に電荷輸送性微粒子を分散させた分散体
から形成することができる。電荷輸送性微粒子として使
用される材料としては、六方晶セレン、セレン化カドミ
ウム、その他のセレン化合物およびセレン合金、硫化カ
ドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、a−Si、a−Si
C等の無機系材料、フタロシアニン系、スクエアリウム
系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アント
ラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩系、チアピリリウ
ム塩系等の有機顔料、並びに、ベンジジン系化合物、ア
ミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合
物、カルバゾール系化合物等のホール輸送性低分子化合
物またはフルオレノン系化合物、マロンニトリル系化合
物、ジフェノキシキノン系化合物等の電子輸送性低分子
化合物等があげられるが、これらに限定されるものでは
ない。また、これらの電荷輸送材料は、単独または2種
以上を混合して用いることができる。
【0052】電気的不活性マトリックスとして用いる結
着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニ
ルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
ビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等があげられる
が、これらに限定されるものではない。これらの結着樹
脂は、ブロック共重合体、ランダム共重合体または交互
共重合体であることができ、また、単独または2種以上
混合して用いることができる。また、これらの結着樹脂
の体積抵抗率は、1013Ω・cm以上のものが好まし
く、より好ましくは1014Ω・cm以上のものである。
体積抵抗率がこの値より低いと、電気的不活性マトリッ
クスの電気的絶縁性が損なわれ、S字性が失われる傾向
にある。
【0053】電荷輸送性ドメインと電気的不活性マトリ
ックスの体積比は、3/1〜1/20の範囲で任意に設
定されるが、7/3〜1/10の範囲が好ましい。電荷
輸送性ドメインが絶縁被覆処理を施されておらず、かつ
不定形または球に近い形状の場合、電荷輸送性ドメイン
と電気的不活性マトリックスの体積比は、より好ましく
は4/6〜2/8の範囲である。電荷輸送性ドメインの
体積比が、上記範囲より多いと、電荷輸送性ドメインが
密に接触してしまって実質的に均一な構造の電荷輸送路
を形成し、上記のS字型光誘起電位減衰特性の発現に不
可欠な電荷輸送路の不均一構造が消失してS字性が失わ
れる傾向にあり、また、暗減衰の増加、機械的強度の低
下等の障害を招く傾向にある。他方、電荷輸送性ドメイ
ンの体積比が上記範囲より少ないと、充分な電荷輸送能
が得られず、残留電位の増大、光感度の低下、応答速度
の低下等の障害を招く傾向にある。
【0054】ただし、その前者の問題については、電荷
輸送性ドメインを形成する粒子を予め電気的不活性物質
で不完全な被覆をしておくこと等により、電荷輸送性ド
メインと電気的不活性マトリックスの体積比が7/3〜
2/8の範囲で好ましく使用できるように改善すること
ができる。これは、絶縁性の被覆が、電荷輸送性ドメイ
ン同士の電気的接触の確率を下げることができると共
に、絶縁被覆の不完全部分により回旋状電荷輸送経路を
形成することができるからである。また、その後者の問
題については、電荷輸送性ドメインとして、針状、柱状
または板状のものを用いること等により、電荷輸送性ド
メインと電気的不活性マトリックスの体積比が4/6〜
1/10の範囲で好ましく使用できるように改善するこ
とができる。これは、電荷輸送性ドメインとして、針
状、柱状または板状のものを用いることにより、より電
荷輸送性ドメインの体積比が低くても電荷輸送性ドメイ
ン同士の接触する確率を有効に保つことができるからで
ある。
【0055】不均一電荷輸送層が、絶縁性の結着樹脂に
電荷輸送性微粒子を分散、塗布して形成される場合、塗
布には電荷輸送性微粒子を溶解しない溶剤を使用するこ
とが望ましい。電荷輸送性微粒子を溶解する溶剤を使用
すると、電荷輸送性微粒子を構成する物質が絶縁性の結
着樹脂中に分子分散状態で混入し、電気的不活性マトリ
ックスの絶縁性を損なって、S字性が悪化する傾向にあ
るためである。また、不均一電荷輸送層を形成する他の
方法としては、絶縁性結着樹脂との固溶体中で電荷輸送
性染料または分子を結晶化させることにより微結晶とし
て析出させ、相分離させる方法、および、電気的に不活
性な絶縁性ブロックと電荷輸送性ブロックよりなるブロ
ック共重合体またはグラフト共重合体において、絶縁性
ブロックと電荷輸送性ブロックがミクロ相分離により電
荷輸送性ドメインが島となる海島構造を有する系から製
造する方法がある。これに使用可能なブロック共重合体
またはグラフト共重合体としては、例えば、米国特許第
3,994,994号に記載されているビニルカルバゾ
ールとドデシルメタクリレートの共重合により製造され
たマルチブロック共重合体があげられる。その他、米国
特許第4,618,551号明細書、同第4,806,
443号、同第4,818,650号、同第4,93
5,487号及び同第4,956,440号明細書等に
記載されているもの、低分子量のポリシロキサン、脂肪
族及び芳香族ポリエステル、ポリウレタン単位を含み縮
合により製造されるブロック共重合体も使用できる。こ
れらのブロック共重合体の絶縁性ブロックのみからなる
単独樹脂の体積抵抗率は、1013Ω・cm以上のものが
好ましく、より好ましくは1014Ω・cm以上のもので
ある。上記体積抵抗率がこの範囲より低い絶縁性ブロッ
クを用いた場合、そのブロックによって形成される電気
的不活性マトリックスの電気的絶縁性が損なわれて、S
字性が失われる傾向にある。
【0056】本発明に用いる不均一電荷輸送層の膜厚
は、0.1〜50μmのものが適当であり、好ましくは
0.2〜15μm、さらに好ましくは0.5〜5μmの
範囲に設定される。上記範囲より薄いとS字性が失われ
る傾向にある。膜厚の上限に関しては、用いる不均一電
荷輸送層の電荷輸送能により制限され、応答速度、残留
電位等が許容される範囲内で設定される。
【0057】電荷輸送性ドメインの平均粒子径として
は、0.001〜1μmが好ましく、より好ましくは
0.005〜0.5μm、特に好ましくは0.01〜
0.2μmの範囲である。電荷輸送性ドメインの平均粒
子径が上記範囲より大きいと、好ましい膜厚の範囲内で
のS字化に必要な電荷輸送路の不均一構造の形成が確率
的に低くなり、S字性が失われることになる。他方、電
荷輸送性ドメインの平均粒子径が上記範囲より小さい場
合には、電荷輸送路が均一な構造に近づき、またS字性
が失われることになる。なお、不均一電荷輸送中の電荷
輸送性ドメインが、電荷輸送性微粒子の凝集体よりなる
場合、電荷輸送性ドメインの粒子径とは、その凝集2次
粒子径を指す。ただし、電荷輸送性微粒子が絶縁被覆さ
れている場合には、電荷輸送性ドメインの粒子径とは、
たとえ絶縁被覆化した電荷輸送性微粒子が凝集体を形成
したとしても、電荷輸送性微粒子自体の粒子径を指す。
また、電荷輸送性ドメインは、その粒子径を大きくする
ことにより、不均一電荷輸送層の表面を粗面化すること
も可能である。この場合には、電荷輸送性ドメインが粒
子径0.2μm以上の粒子を1%以上含有していること
が好ましい。
【0058】また、不均一電荷輸送層中に、主たる輸送
電荷と逆極性の電荷のみを輸送し得る化合物を添加する
ことにより、残留電位の低下、繰り返し安定性の向上等
の効果を得ることもできる。その塗布方法としては、ブ
レードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、
スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビード
コーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテ
ンコーティング法等の通常の方法を用いることができ
る。
【0059】本発明における均一電荷輸送層、すなわ
ち、電荷輸送性マトリックスよりなる層としては、従来
のJ字型積層感光体に電荷輸送層として用いられている
公知のものがいずれも使用できる。例えば、ベンジジン
系化合物、アミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチ
ルベン系化合物、カルバゾール系化合物等のホール輸送
性低分子化合物またはフルオレノン系化合物、マロンニ
トリル系化合物、ジフェノキシキノン系化合物等の電子
輸送性低分子化合物を、単独でまたは2種以上を混合し
て、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等の絶縁
性樹脂中に均一分子分散した固溶膜、あるいは、それ自
体電荷輸送能を有する高分子化合物等を用いることがで
きる。また、セレン、アモルファスシリコン、アモルフ
ァスシリコンカーバイト等の電荷輸送能を有する無機物
質を用いることもできる。電荷輸送性高分子化合物とし
ては、ポリビニルカルバゾール等の電荷輸送能を有する
基を側鎖に持つ高分子化合物、特開平5−232727
号公報等に開示されているような電荷輸送能を有する基
を主鎖とする高分子化合物およびポリシラン等をあげる
ことができる。
【0060】均一電荷輸送層は、特に製造上から電荷輸
送性高分子化合物を用いることが好ましい。すなわち、
不均一電荷輸送層と均一電荷輸送層を積層製膜する場
合、均一電荷輸送層に電荷輸送性低分子化合物を用いる
と、電荷輸送性低分子化合物がS字化電荷輸送層に混入
してしまい、不均一電荷輸送層の電気的不活性マトリッ
クスの主たる電荷に対する絶縁性が低下することにより
S字性が損なわれたり、あるいは、混入分子が電荷トラ
ップとなり残留電位の増大、輸送能の低下及び光感度の
低下等の障害が発生する。この問題は特に、湿式塗布法
により、各層を成膜する場合に顕著に現れることにな
る。もちろん、これらの問題は、上層の塗布溶剤として
下層を溶解および膨潤し難いものを選択するか、また
は、電気的不活性マトリックスとして電荷輸送性低分子
化合物と相溶性の無いものを選択する等により、回避す
ることが可能である。
【0061】ところで、高分子化合物同士は、一般に相
溶することなく相分離を起こすものであることが知られ
ていることからも理解できるように、電荷輸送性高分子
化合物は均一電荷輸送層として用いた場合には、不均一
電荷輸送層の電気的不活性マトリックス樹脂と相溶する
ことなく相分離するため、上記のような混入の問題は殆
ど発生せず、材料および製造法の選択に当たっての制約
が解消されるという利点を有している。また、上記理由
により、電荷輸送性高分子よりなる均一電荷輸送層の場
合には、層中に分子量1,000以下の電荷輸送性化合
物が5%以上含まれないことが望ましい。
【0062】さらに、電荷輸送性高分子化合物として、
下記一般式(1)で表される構造の少なくとも1種以上
を繰り返し単位として含有する電荷輸送性樹脂の場合
は、高い電荷輸送能を有し、機械的特性にも優れている
ので特に好ましい。
【0063】
【化1】 (R1 〜R6 は、それぞれ独立に水素原子、アルキル
基、アルコキシ基、置換アミノ基、ハロゲン原子または
置換もしくは未置換アリール基を示し、Xは置換もしく
は未置換の芳香族環を含む2価の炭化水素基またはヘテ
ロ原子含有炭化水素基を示し、Tは炭素数1〜20の枝
分れもしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基ま
たはヘテロ原子含有炭化水素基を示し、kおよびlは、
それぞれ0または1の整数を意味する。)
【0064】この均一電荷輸送層中には、電荷輸送性マ
トリックスに囲まれるような電気的不活性な領域が存在
してもよい。例えば、表面摩擦の低減、磨耗の低減また
は表面付着物の低減等を目的として、絶縁性粒子等を含
有させることができる。また、均一電荷輸送層は、電荷
輸送能を向上させる等のため、電荷輸送性微粒子等を含
むことができる。本発明に用いる均一電荷輸送層の膜厚
は、1〜50μm、好ましくは5〜30μmに設定され
る。その塗布方法としては、ブレードコーティング法、
ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング
法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エア
ーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の
通常の方法を用いることができる。また、気相成膜可能
なものは、真空蒸着法等により直接成膜することもでき
る。
【0065】本発明において、電荷輸送層全体の層厚
は、通常、5〜50μmが適当であり、好ましくは10
〜40μmの範囲に設定される。電荷輸送層は、露光波
長の光に対し事実上透明であることが望ましく、電荷輸
送層における露光に用いる光の透過率は50%以上であ
ることが好ましく、より好ましくは70%以上であり、
さらに好ましくは90%以上である。しかしながら、低
感度において使用することが望まれる場合には、露光波
長を事実上吸収する電荷輸送層を用いて、実効的な光感
度を調整することもできる。ただし、不均一電荷輸送層
が光吸収を行い、かつ、不均一電荷輸送層が電荷発生能
を有する場合には、S字性が損なわれる傾向にあるた
め、不均一電荷輸送層は、露光波長の光に対し事実上透
明であることが望ましい。不均一電荷輸送層における露
光に用いる光の吸収率は30%以下であることが好まし
く、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましく
は10%以下である。なお、ここでいう光の吸収率は、
反射および散乱を除く膜本来の吸収率を意味する。
【0066】本発明において、電荷発生層および電荷輸
送層よりなる光導電層の上には、さらに必要に応じて保
護層を設けてもよい。この保護層は、帯電部材から発生
するオゾンや酸化性ガス等および紫外光等の化学的スト
レス、または、現像剤、紙、クリーニング部材等との接
触に起因する機械的ストレスから光導電層を保護し、光
導電層の実質の寿命を改善するために有効である。特
に、薄層の電荷発生層を上層に用いる層構成において、
その効果が顕著である。
【0067】保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中
に含有させて形成される。その導電性材料としては、ジ
メチルフェロセン等のメタロセン化合物、酸化アンチモ
ン、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、ITO等
の金属酸化物等の材料を用いることができるが、これら
に限定されるものではない。結着樹脂としては、ポリア
ミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコーン樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の
公知の樹脂を用いることができる。また、アモルファス
カーボン等の導電性無機膜も保護層として用いることが
できる。
【0068】保護層の電気抵抗としては、109 〜10
14Ω・cmの範囲のものが好ましい。電気抵抗がこの範
囲以上になると残留電位が増加し、他方、この範囲以下
になると沿面方向における電荷漏洩が無視できなくな
り、解像力の低下が生じることになる。また、保護層の
膜厚としては、0.5〜20μmが適当であり、好まし
くは1〜10μmの範囲に設定される。保護層を設けた
場合、必要に応じて、感光層と保護層との間に、保護層
から感光層への電荷の漏洩を阻止するブロッキング層を
設けることができる。このブロッキング層としては、保
護層の場合と同様に公知のものを用いることができる。
【0069】本発明の電子写真感光体においては、電子
写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、または、
光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、各層また
は最上層中に酸化防止剤、光安定剤および熱安定剤等を
添加することができる。その酸化防止剤としては、公知
のものを用いることができ、例えば、ヒンダードフェノ
ール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、ハ
イドロキノン、スピロクマロン、スピロインダノンおよ
びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が
用いられる。また、光安定剤としては、公知のものを用
いることができ、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリ
アゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジ
ン等の誘導体、および光励起状態をエネルギー移動ある
いは電荷移動により失活し得る電子吸引性化合物または
電子供与性化合物等があげられる。さらに、表面磨耗の
低減、転写性の向上およびクリーニング性の向上等を目
的として、最表面層にフッ素樹脂等の絶縁性粒子を分散
させてもよい。また、本発明に用いる不均一電荷輸送層
が電荷発生能を有するものである場合には、電荷発生層
を省いてもS字特性は発現されることから、この形態の
電子写真感光体も本発明の一実施態様として、本発明に
包含される。
【0070】本発明において、光誘起電位減衰曲線のS
字型の尺度としては、例えば、帯電電位を50%減衰さ
せるのに要する露光量E50% と10%減衰させるのに要
する露光量E10% との比で表わされるE50% /E10% 値
を用いる。理想的なJ字型感光体であり、電位減衰が露
光量に比例している場合には、E50% /E10% 値は5と
なる。ところが、一般的なJ字型感光体では、電界強度
の低下に伴い、電荷発生効率および/または電荷輸送能
が低下し、E50% /E10% は5を越える値を示す。一
方、S字型の究極であり、ある露光量までは全く電位減
衰せず、その露光量において一気に残留電位レベルまで
電位減衰する段階状の光誘起電位減衰曲線では、E50%
/E10% 値は1となる。したがって、S字型感光体と
は、E50% /E10% 値が1〜5の範囲内にあるものと規
定されるが、好ましいデジタル特性を発揮するには、E
50% /E10% 値は、5未満の値であることが好ましく、
3未満の値であることがより好ましい。
【0071】本発明の電子写真感光体を搭載する電子写
真装置としては、電子写真法を用いるものであれば如何
なるものでも使用できるが、特にデジタル処理された画
像信号に基づいて露光を行う電子写真装置が好ましい。
このデジタル処理された画像信号に基づいて露光を行う
電子写真装置とは、レーザーまたはLED等の光源を用
い、2値化またはパルス幅変調や強度変調を行って、多
値化された光により露光する電子写真装置であり、例と
してLEDプリンター、レーザープリンター、レーザー
露光式デジタル複写機などを挙げることができる。ま
た、現像後の感光体の初期化または電子写真特性の安定
化等を目的として、画像形成用の露光光源とは別に、露
光用の光源を併用することができ、その光源の発光域と
しては、S字化電荷輸送層に吸収されるものであっても
吸収されないものであってもよいが、少なくとも電荷発
生層まで光が届く方が好ましい。
【0072】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。しかしながら、本発明は、以下の実施例に限定さ
れるものではなく、当業者は電子写真技術の公知の知見
から、以下の実施例に変更を加えることが可能である。 実施例1 1mm厚×40mmφ×310mmのアルミニウムパイ
プ(基体)を用意し、これにダイアモンドバイトを用い
た鏡面旋盤により切削加工を行い、導電性基体の表面を
0.02μmの平滑なものに仕上げた。このアルミニウ
ムパイプを液体ホーニング装置により粗面化処理を行っ
た。すなわち、平均粒子径30μmの球形酸化アルミナ
の研磨材を純水に懸濁させ、高速回転するアルミニウム
パイプに圧縮空気を吹き付けた後、純水で洗浄して研磨
材を洗い流した。このようにして得たアルミニウムパイ
プの表面粗さRa3は0.20μmであった。
【0073】このアルミニウムパイプ上に、ジルコニウ
ムアルコキシド化合物(商品名:オルガチックスZC5
40、マツモト製薬社製)20重量部、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン(商品名:A1100、日本ユ
ニカー社製)2重量部、ポリビニルブチラール樹脂(エ
スレック BM−S、積水化学社製)1.5重量部およ
びn−ブタノール70重量部からなる溶液を浸漬コーテ
ィング法により塗布し、170℃において10分間加熱
乾燥し、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。次に、
クロロガリウムフタロシアニン微結晶4重量部を、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:UCARソリュ
ーションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社
製)2重量部、キシレン67重量部および酢酸ブチル3
3重量部と混合し、1mmφガラスビーズとともにサン
ドグラインダーで2時間処理して分散させた後、得られ
た塗布液を浸漬コーティング法により上記下引き層上に
塗布し、100℃において10分間加熱乾燥させて、膜
厚0.2μmの電荷発生層を形成した。この電荷発生層
の表面粗さRa2は0.10μmであった。
【0074】次に、六方晶セレン微結晶15重量部、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:UCARソリ
ューションビニル樹脂VMCH、ユニオンカーバイド社
製)10重量部および酢酸イソブチル90重量部を、3
mmφのステンレス鋼ビーズを用いてアトライターによ
り8日間分散処理した。得られた分散液100重量部に
対し酢酸イソブチル50重量部を用いて希釈した液を、
上記電荷発生層上に浸漬コーティング法により塗布した
後、135℃で10分間加熱乾燥させて、膜厚1μmの
第1の電荷輸送層(不均一電荷輸送層)を形成した。こ
こで、第1の電荷輸送層中の六方晶セレンの体積比率
は、およそ30%であった。また、六方晶セレンの平均
粒子径は0.05μmであり、第1の電荷輸送層の表面
粗さRa1は0.08μmであった。
【0075】次に、高分子電荷輸送材料として、下記一
般式(2)で示される繰り返し単位よりなる高分子化合
物(分子量12万)15重量部をモノクロロベンゼン8
5重量部に溶解した塗布液を、上記第1の電荷輸送層上
に浸漬コーティング法により塗布し、135℃において
1時間加熱乾燥させて、膜厚20μmの第2の電荷輸送
層(均一電荷輸送層)を形成することにより、図4に示
す層構成の電子写真感光体を作製した。得られた感光体
の第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と上記電荷発生率
(rg)との(rg/r1)比は、0.79であった。
また、第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と第2の電荷
輸送層の屈折率(r2)の(r2/r1)比は、0.7
5であった。
【0076】
【化2】
【0077】このようにして得られた電子写真感光体
を、レーザープリンター(LaserPress 41
05 富士ゼロックス社製)に搭載して、印字試験を行
った。この際、最適な露光量を得るために、レーザー光
の光路にNDフィルターを挿入した。露光パターンは、
干渉縞が一番目立つ千鳥状に1ドットおきに露光するパ
ターンおよび字と細線のあるパターンである。このレー
ザープリンターの概略の構成図を、図10に示す。図1
0には、感光体ドラム7の周りに前露光用光源(赤色L
ED)8、帯電用スコロトロン9、露光用レーザー光学
系(レーザー光)10、現像器11、転写用スコロトロ
ン12およびクリーニングブレード13が、画像形成プ
ロセスの順に配置されている。露光用レーザー光学系1
0は、発信波長780nmの露光用レーザーダイオード
を備えており、デジタル処理された画像信号に基づいて
発光するものである。発光したレーザー光は、ポリゴン
ミラーと複数のレンズ、ミラーによりスキャンされなが
ら感光体上を露光するように構成されている。なお、1
4は用紙である。
【0078】得られた電子写真感光体の評価結果を表1
に示す。また、得られた電子写真感光体を、図11に示
す感光体評価装置により、NDフィルターを変更しなが
ら露光量に対する表面電位により、電位減衰カーブを測
定したところ、図12に示すようなS字型の光誘起電位
減衰を示した。この光誘起電位減衰曲線から、E50%値
は4.3mJ/m2 であり、また、E50% 値は1.6で
あると算出された。なお、図11において、15はハロ
ゲンランプ、16はバンドパスフイルター、17はND
フィルター、18は電位計である。
【0079】実施例2〜3 実施例2〜3は、実施例1において、表1に示すよう
に、ホーニング条件の変更によるアルミニウムパイプの
表面粗さ及び第1の電荷輸送層の表面粗さを代えたこと
以外は、実施例1と同様に、電子写真感光体を作製し
た。それぞれ得られた電子写真感光体の電子写真特性に
ついて、実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
【0080】比較例1 アルミニウムパイプをホーニングしない以外は、実施例
1と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電子写
真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に評価した
結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】実施例4 第1の電荷輸送層における六方晶セレンの分散時間を1
2時間とした以外は、実施例1と同様に電子写真感光体
を作製した。六方晶セレンの平均粒子径は0.5μmで
あり、第1の電荷輸送層の表面粗さRa1は0.10μm
であった。得られた電子写真感光体の電子写真特性を、
実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。また、E
50% 値は3.5mJ/m2 であり、また、E50% /E10
%値は2.5であった。
【0083】実施例5 アルミニウムパイプをホーニングしないこと以外は、実
施例4と同様に電子写真感光体を作製した。得られた電
子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に評価
した結果を表2に示す。
【0084】実施例6 アルミニウムパイプをホーニングしないこと及び表2に
示すように、第1の電荷輸送層の膜厚を代えたこと以外
は、実施例4と同様に電子写真感光体を作製した。得ら
れた電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様
に評価した結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】比較例2 第1の電荷輸送層を塗布しない以外は、実施例1と同様
に電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様に評価したところ、
黒点、白点および干渉縞の発生はなかった。また、光誘
起電位減衰曲線は、図1に示すような形となりS字型に
はならなかった。そのE50% /E10% 値は、5.5と算
出された。この感光体を実施例1の感光体とを、印字品
質について比較したところ、比較例2の方が細線の再現
性等の点で、印字品質が劣っていた。
【0087】実施例7 第1の電荷輸送層の希釈溶剤を酢酸エチルに代えたこと
以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し
た。第1の電荷輸送層は塗布時にブラッシングを起こし
た。この第1の電荷輸送層の表面粗さRa1は0.15μ
mであった。得られた電子写真感光体の電子写真特性
を、実施例1と同様に評価したところ、黒点、白点およ
び干渉縞の発生はなかった。
【0088】実施例8 第1の電荷輸送層の塗布液に、粒子径0.8μmの球形
BaSO4 をSe粒子100重量部に対し5重量部分散
させたこと以外は、実施例1と同様にして電子写真感光
体を作製した。この第1の電荷輸送層の表面粗さRa1は
0.15μmであった。得られた電子写真感光体の電子
写真特性を、実施例1と同様にして評価したところ、黒
点、白点および干渉縞の発生はなかった。
【0089】実施例9 アルミニウムパイプをホーニングしないこと以外は、実
施例7と同様にして電子写真感光体を作製した。得られ
た電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に
評価したところ、黒点、白点および干渉縞の発生はなか
った。
【0090】実施例10 第1の電荷輸送層を次のようにして形成したこと以外
は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
第1の電荷輸送層は、N,N′−ジフェニル−N,N′
−ビス(3−メチルフェニル)ベンジジン6重量部とポ
リカーボネート樹脂(PC−Z、三菱瓦斯化学社製)8
重量部とをモノクロロベンゼン100重量部に溶解およ
び分散した塗布液を、浸漬コーティング法により塗布
し、120℃において30分間加熱乾燥することによ
り、膜厚10μmの第1の電荷輸送層を形成した。この
表面粗さRa1は0.02μmであった。また、第1の電
荷輸送層の屈折率の(r1)と前記電荷発生層の屈折率
(rg)との(rg/r1)比は1.1であり、第1の
電荷輸送層に対する第2の電荷輸送層の屈折率の(r2
/r1)比は1.02であった。このようにして得られ
た電子写真感光体の電子写真特性を、実施例1と同様に
評価したところ、黒点、白点、および干渉縞の発生はな
かった。また、光誘起電位減衰曲線は、図1のような形
となりS字型とはならなかった。E50% /E10%値は
5.7と算出された。
【0091】比較例3 第1の電荷輸送層の希釈を行うことなく塗布し膜厚を1
0μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感
光体を作製した。第1の電荷輸送層の表面粗さRa1は
0.02μmであった。得られた電子写真感光体の電子
写真特性を、実施例1と同様にして評価したところ、黒
点および白点の発生はなかったものの、干渉縞が発生し
た。
【0092】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、2層以上の
電荷輸送層を有するにもかかわらず、干渉縞の発生を抑
えることができ、また、導電性基体および電荷発生層を
粗面化しなくても干渉縞の発生を抑えることができるも
のである。また、本発明の電子写真感光体を使用した電
子写真装置は、デジタル処理された画像信号に基づいて
露光を行うことにより、印字品質および画質の優れた印
字画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 J字型電子写真感光体における露光量と表面
電位の関係を示すグラフである。
【図2】 S字型電子写真感光体における露光量と表面
電位の関係を示すグラフである。
【図3】 S字型電子写真感光体の一例を示す模式的断
面図である。
【図4】 S字型電子写真感光体の他の一例を示す模式
的断面図である。
【図5】 通常の機能分離型積層構造の電子写真感光体
を示す模式的断面図である。
【図6】 通常の機能分離型積層構造の電子写真感光体
において、干渉縞の発生メカニズムを説明する模式的断
面図である。
【図7】 電荷輸送層が2層よりなる機能分離型積層構
造の電子写真感光体において、干渉縞の発生メカニズム
を説明する模式的断面図である。
【図8】 本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的
断面図である。
【図9】 本発明の電子写真感光体の他の一例を示す模
式的断面図である。
【図10】 デジタル処理された画像信号に基づいて露
光を行う本発明の電子写真装置の概略の構成図である。
【図11】 実施例に用いた感光体評価装置の概略の構
成図である。
【図12】 実施例1の光誘起電位減衰特性を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1…電荷発生層、2…電荷輸送層、3…導電性基体、4
…下引き層、5…第1の電荷輸送層(不均一電荷輸送
層)、6…第2の電荷輸送層(均一電荷輸送層)、7…
感光体ドラム、8…前露光用光源、9…帯電用スコロト
ロン、10…露光用レーザー光学系(レーザー光)、1
1…現像器、12…転写用コロトロン、13…クリーニ
ングブレード、14…用紙、15…ハロゲンランプ、1
6…バンドパスフィルター、17…NDフィルター、1
8…電位計。
フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 良作 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、電荷発生層、第1の電
    荷輸送層及び第2の電荷輸送層を順次積層してなる電子
    写真感光体において、第1の電荷輸送層と第2の電荷輸
    送層との界面における光の正反射を抑制する第1の電荷
    輸送層と第2の電荷輸送層との界面を有することを特徴
    とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 第1の電荷輸送層の表面粗さ(Ra1)
    が、0.03〜1.0μmの範囲であることを特徴とす
    る請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と第
    2の電荷輸送層の屈折率(r2)との(r2/r1)比
    が、0.4〜0.85の範囲であるか、または、1.2
    〜2.5の範囲であることを特徴とする請求項2記載の
    電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 第1の電荷輸送層が、六方晶セレン粒子
    を含有することを特徴とする請求項2〜3のいずれか1
    項に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と電
    荷発生層の屈折率(rg)との(rg/r1)比が、
    0.93〜1.07の範囲であることを特徴とする請求
    項2〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 電荷発生層の表面粗さ(Ra2)が、0.
    03〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請求項
    2〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性基体の表面粗さ(Ra3)が、0.
    03〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請求項
    2〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 第1の電荷輸送層が電気的不活性マトリ
    ックス中に電荷輸送性ドメインが分散されてなり、か
    つ、第2の電荷輸送層が電荷輸送性マトリックスからな
    るものであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか
    1項に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 50%電位減衰に要する露光量が、10
    %電位減衰に要する露光量の5倍未満であることを特徴
    とする請求項8記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と
    第2の電荷輸送層の屈折率(r2)との(r2/r1)
    比が、0.93〜1.07の範囲であることを特徴とす
    る請求項1記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 第1の電荷輸送層の屈折率(r1)と
    電荷発生層の屈折率(rg)との(rg/r1)比が、
    0.93〜1.07の範囲であることを特徴とする請求
    項10記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 電荷発生層の表面粗さ(Ra2)が、
    0.03〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請
    求項10記載の電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 導電性基体の表面粗さ(Ra3)が、
    0.03〜0.5μmの範囲であることを特徴とする請
    求項10〜12のいずれか1項に記載の電子写真感光
    体。
  14. 【請求項14】 第1の電荷輸送層が電気的不活性マト
    リックス中に電荷輸送性ドメインが分散されてなり、か
    つ、第2の電荷輸送層が電荷輸送性マトリックスからな
    るものであることを特徴とする請求項10〜13のいず
    れか1項に記載の電子写真感光体。
  15. 【請求項15】 50%電位減衰に要する露光量が、1
    0%電位減衰に要する露光量の5倍未満であることを特
    徴とする請求項14記載の電子写真感光体。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    の電子写真感光体と、デジタル処理された画像信号に基
    づきコヒーレント光により露光を行う露光手段とを有す
    ることを特徴とする電子写真装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020022385A1 (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 京セラ株式会社 電子写真感光体および画像形成装置

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WO2020022385A1 (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 京セラ株式会社 電子写真感光体および画像形成装置

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