JPH11240104A - 透明被覆成形品の製造方法 - Google Patents

透明被覆成形品の製造方法

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JPH11240104A
JPH11240104A JP10229848A JP22984898A JPH11240104A JP H11240104 A JPH11240104 A JP H11240104A JP 10229848 A JP10229848 A JP 10229848A JP 22984898 A JP22984898 A JP 22984898A JP H11240104 A JPH11240104 A JP H11240104A
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Mika Yokoyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明合成樹脂基材上に高い耐摩耗性の表面層を
形成してなる透明被覆成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】透明合成樹脂基材上に、紫外線硬化性被覆
組成物から形成された硬化物からなる内層とその内層に
接したポリシラザンに由来するシリカからなる最外層と
を形成する、透明被覆成形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明合成樹脂基材
上に少なくとも2層の硬化物の層が形成された、耐磨耗
性、透明性、耐候性などに優れた透明硬化物層を有する
透明被覆成形品の製造方法に関する。2層の硬化物の層
のうち、内部の層は活性エネルギー線(特に紫外線)硬
化性被覆組成物に由来する硬化物の層であり、その硬化
物の層上の最外層は、ポリシラザンまたはポリシラザン
を含む硬化性組成物からなる被覆剤に由来するシリカの
層からなる。
【0002】
【従来の技術】近年、ガラスに代わる透明材料として透
明合成樹脂材料が使用されてきている。とりわけ芳香族
ポリカーボネート系樹脂は耐破砕性、透明性、軽量性、
易加工性などに優れ、その特徴を生かして、外壁、アー
ケード等の大面積の透明部材として各方面で使用されて
いる。また、自動車等の車両用にも一部ガラス(無機ガ
ラスをいう、以下同様)のかわりにこうした透明合成樹
脂材料が使われる例がみられる。しかし、ガラスの代替
として使用するには表面の硬度が充分ではなく、傷つき
やすく磨耗しやすいことから透明性が損なわれやすい欠
点がある。
【0003】従来、芳香族ポリカーボネート系樹脂の耐
擦傷性や耐磨耗性を改良するために多くの試みがなされ
てきた。最も一般的な方法の一つに分子中にアクリロイ
ル基等の重合性官能基を2個以上有する重合硬化性化合
物を基材に塗布し、熱または紫外線等の活性エネルギー
線により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明硬化物層を有
する成形品を得る方法がある。この方法は、被覆用の組
成物も比較的安定で、特に紫外線硬化が可能であるため
生産性に優れ、成形品に曲げ加工を施した場合でも硬化
被膜にクラックが発生することがなく表面の耐擦傷性や
耐磨耗性を改善できる。しかし、硬化被膜が有機物のみ
からなることから表面の耐擦傷性の発現レベルには限界
がある。
【0004】一方、より高い表面硬度を基材に付与させ
るための方法として、金属アルコキシド化合物を基材に
塗布し熱により硬化させる方法がある。金属アルコキシ
ド化合物としてはケイ素系の化合物が広く用いられてお
り、耐磨耗性にきわめて優れた硬化被膜を形成できる。
しかし、硬化被膜と基材との密着性に乏しいため、硬化
被膜の剥離やクラックを生じやすい等の欠点があった。
【0005】これらの技術の欠点を改良する方法とし
て、アクリロイル基を有する化合物とコロイド状シリカ
の混合物を基材に塗布し、紫外線等の活性エネルギー線
により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明硬化物層を形成
する方法がある(特開昭61−181809)。コロイ
ド状シリカを重合硬化性化合物と併用することにより、
かなり高い表面硬度と生産性を両立させうる。しかし、
まだその表面耐擦傷性の発現レベルにおいて先の金属ア
ルコキシド化合物を基材に塗布し熱により硬化させる方
法には劣っていた。
【0006】また、前記ケイ素系金属アルコキシド化合
物のかわりにポリシラザンを用いる、すなわち、ポリシ
ラザンを基材に塗布し熱等により硬化させる方法も知ら
れている(特開平8−143689)。ポリシラザンは
酸素の存在下で縮合反応や酸化反応が起こり、窒素原子
を含むこともあるシリカ(二酸化ケイ素)に変化すると
考えられており、最終的には実質的に窒素原子を含まな
いシリカの被膜が形成される。ポリシラザンに由来する
シリカの被膜は高い表面硬度を有する。しかし、この被
膜は金属アルコキシド化合物の場合と同様に被膜と基材
との密着性に乏しいため、被膜の剥離やクラックを生じ
やすい等の欠点がある。
【0007】さらに、プラスチックフィルム上に保護被
膜を形成し、その表面にポリシラザン溶液を塗工してシ
リカの表面層を形成する方法も知られている(特開平9
−39161)。保護被膜はプラスチックフィルムがポ
リシラザン溶液の溶媒に侵されることを防ぐために設け
られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ポリシラザンから形成
されるシリカの層の表面は耐磨耗性を有することが知ら
れている。しかし、本発明者はこのシリカ層の表面の耐
磨耗性や耐擦傷性などの表面特性はその下の内部層(以
下内層という)の材質やその内層の形成方法により変化
することを見いだした。この原因はシリカ層とそれが接
する内層との密着性やその内層のシリカ層に接する表面
の耐磨耗性に影響されることにあると考えられる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者はより高い表面
特性のシリカ層表面を与える内層の材質やその形成方法
について検討した結果、特定の材質からなる内層とその
形成方法(ひいては透明合成樹脂成形品の製造方法)を
見いだした。この形成方法により得られる特定の材料か
らなる内層はシリカ層と高い密着性を有し、基材とも充
分な密着性を有する。すなわち、最外層は無機物の被膜
であるにもかかわらず、内層に対して、および結果的に
基材に対して、充分密着し、ガラスと同等ないしそれに
近い表面耐磨耗性を有した透明硬化物層を有する透明合
成樹脂成形品が得られることを見いだした。本発明はこ
の成形品の製造方法にかかわる下記発明である。
【0010】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
物層を含む透明被覆成形品を製造する方法において、2
層以上の透明硬化物層のうち最外層に接する内層が活性
エネルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多
官能性化合物(a)を含む活性エネルギー線硬化性被覆
組成物(A)の硬化物の層であり、最外層がポリシラザ
ンまたはポリシラザンを含む硬化性組成物からなる被覆
剤(B)の硬化物であるシリカ層であり、被覆組成物
(A)の硬化物の層を形成した後その硬化物の層の表面
に被覆剤(B)の未硬化物層を形成してその硬化を行う
ことを特徴とする透明被覆成形品の製造方法。
【0011】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
物層を含む透明被覆成形品を製造する方法において、2
層以上の透明硬化物層のうち最外層に接する内層が活性
エネルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多
官能性化合物(a)を含む活性エネルギー線硬化性被覆
組成物(A)の硬化物の層であり、最外層がポリシラザ
ンまたはポリシラザンを含む硬化性組成物からなる被覆
剤(B)の硬化物であるシリカ層であり、被覆組成物
(A)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後そ
の未硬化物ないし部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)
の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成し、その後被覆
組成物(A)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化および
被覆剤(B)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化を行う
ことを特徴とする透明被覆成形品の製造方法。
【0012】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
物層を含む透明被覆成形品を製造する方法において、2
層以上の透明硬化物層のうち最外層に接する内層が活性
エネルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多
官能性化合物(a)を含む活性エネルギー線硬化性被覆
組成物(A)の硬化物の層であり、最外層がポリシラザ
ンまたはポリシラザンを含む硬化性組成物からなる被覆
剤(B)の硬化物であるシリカ層であり、被覆組成物
(A)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後そ
の未硬化物ないし部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)
の硬化物の層を形成し、その後被覆組成物(A)の未硬
化物ないし部分硬化物の硬化を行うことを特徴とする透
明被覆成形品の製造方法。
【0013】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
物層を含みかつ曲げ加工された透明被覆成形品を製造す
る方法において、2層以上の透明硬化物層のうち最外層
に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官能基
を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む活性エネ
ルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物の層であり、
最外層がポリシラザンまたはポリシラザンを含む硬化性
組成物からなる被覆剤(B)の硬化物であるシリカ層で
あり、被覆組成物(A)の未硬化物、部分硬化物ないし
硬化物の層およびその層の表面に被覆剤(B)の未硬化
物ないし部分硬化物の層を形成した後これらの層を有す
る基材を曲げ加工し、次いで被覆剤(B)の未硬化物な
いし部分硬化物を、および被覆組成物(A)の未硬化物
や部分硬化物が存在する場合はさらにそれを、硬化させ
ることを特徴とする曲げ加工された透明被覆成形品の製
造方法。
【0014】本発明における透明硬化物層は2層以上の
構成からなり、シリカの被膜である最外層が相対的に柔
らかい透明合成樹脂基材に直接積層されているのではな
く、特定の透明硬化物内層上に積層されている。このた
め最外層との密着性が高く、耐候性試験において最外層
が剥れ落ちることが少ないことより、耐候性の高い透明
被覆成形品が得られる。さらに、透明合成樹脂基材表面
に内層を形成する硬化性組成物(A)の層を形成しそれ
が未硬化ないし部分硬化の状態でその上に被覆剤(B)
の層を形成し、その後に硬化性組成物(A)と被覆剤
(B)とを硬化させる(両者の硬化はどちらが先であっ
てもよく同時であってもよい)場合は、両層が未硬化状
態で接した後硬化することより両層の密着力がさらに向
上する。また、空気中の酸素は硬化性組成物(A)の硬
化阻害要因となりやすいが、硬化性組成物(A)の層上
に被覆剤(B)の層が存在するとこの被覆剤(B)の層
が酸素のバリア層として作用し、硬化性組成物(A)に
対するこの酸素による悪影響を低減させうる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における透明硬化物層は、
最外層に直接接する内層と最外層との2層以上の構成か
らなる。透明合成樹脂基材(以下、単に基材という)と
透明硬化物層との間には他の合成樹脂からなる第3の層
が存在していてもよい。たとえば、熱可塑性アクリル樹
脂などの熱可塑性樹脂の層や接着剤層が存在していても
よい。通常は透明硬化物は内層と最外層の2層からな
る。なお、透明硬化物層の内層は種類の異なる2層以上
の透明硬化物からなっていてもよい。
【0016】透明硬化物層のうち最外層に接する内層で
ある活性エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物
の層は最外層と高い密着性を有する。また、基材とも高
い密着性を有する。この内層と基材との間に第3の層が
存在する場合、その層は両者に対し充分な密着性を有す
ることが好ましい。この内層はさらに充分な耐摩耗性を
有することが好ましい。
【0017】この内層はJIS R3212における耐
摩耗性試験による試験回数100回後の曇価(摩耗試験
後の曇価と摩耗試験前の曇価との差)が15%以下の耐
摩耗性を有することが好ましい。耐摩耗性試験は、基材
(必ずしも基材であることを要しない)に被覆組成物
(A)の硬化物の層を形成した試験片を用いて行いう
る。本発明透明被覆成形品自体はこの硬化物の層の上に
最外層が形成されているので、この透明被覆成形品自体
を内層の耐摩耗性試験に供することは困難である。内層
のより好ましい耐摩耗性は試験回数100回後の曇価が
10%以下、特に5%以下、のものである。
【0018】密着性と耐摩耗性の高い内層を得るため
に、活性エネルギー線硬化性の被覆組成物(A)として
多官能性化合物(a)を用いる。さらに高い耐摩耗性の
硬化物得るために特定の多官能性化合物(a)を用いる
ことが好ましい。好ましい特定の多官能性化合物(a)
については好ましい多官能性化合物(a)として後述す
る。また、同様に高い耐摩耗性の硬化物を形成するため
に、被覆組成物(A)に平均粒径200nm以下のコロ
イド状シリカを配合してコロイド状シリカを含む硬化物
を形成することも好ましい。なお、多官能性化合物
(a)を活性エネルギー線(特に紫外線)で効率よく硬
化させるために、通常被覆組成物(A)は光重合開始剤
を含む。また、多官能性とは活性エネルギー線硬化性の
重合性官能基を2個以上有することを意味する。さら
に、後述のように他の添加剤も目的に応じて配合しう
る。このように被覆組成物(A)は通常多官能性化合物
(a)を含む硬化性の組成物である。
【0019】被覆組成物(A)における活性エネルギー
線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合
物(a)は、1種類の多官能性化合物であってもよく、
また複数の種類の化合物を用いてもよい。複数の場合、
同一範疇の異なる化合物であってもよく、範疇の異なる
化合物であってもよい。たとえば、それぞれが後述アク
リルウレタンである異なる化合物の組み合わせであって
もよく、一方がアクリルウレタン、他方がウレタン結合
を有しないアクリル酸エステル化合物である組み合わせ
であってもよい。
【0020】活性エネルギー線硬化性の重合性官能基を
2個以上有する多官能性化合物における活性エネルギー
線硬化性の重合性官能基としては、(メタ)アクリロイ
ル基、ビニル基、アリル基などの付加重合性の不飽和基
やそれを有する基であり、(メタ)アクリロイル基であ
ることが好ましい。すなわち、多官能性化合物として
は、(メタ)アクリロイル基から選ばれる1種以上の重
合性官能基を2個以上有する化合物が好ましい。さらに
そのうちでも紫外線によってより重合しやすいアクリロ
イル基が好ましい。
【0021】なお、この多官能性化合物は1分子中に2
種以上の重合性官能基を合計2個以上有する化合物であ
ってもよく、また同じ重合性官能基を合計2個以上有す
る化合物であってもよい。多官能性化合物1分子中にお
ける重合性官能基の数は2個以上であり、その上限は特
に限定されない。通常は2〜50個が適当であり、特に
3〜30個が好ましい。
【0022】本明細書では、アクリロイル基およびメタ
クリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基とい
う。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリレート等の表現も同様とする。な
お、上記のようにこれらの基や化合物のうちでより好ま
しいものはアクリロイル基を有するもの、たとえばアク
リロイルオキシ基、アクリル酸、アクリレート等であ
る。
【0023】多官能性化合物(a)として好ましい化合
物は(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物で
ある。そのうちでも(メタ)アクリロイルオキシ基を2
個以上有するエステル化合物、すなわち多価アルコール
などの2個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アク
リル酸とのポリエステル、が好ましい。
【0024】被覆組成物(A)において、多官能性化合
物(a)として2種以上の多官能性化合物が含まれてい
てもよい。また、多官能性化合物とともに、活性エネル
ギー線によって重合しうる重合性官能基を1個有する単
官能性化合物が含まれていてもよい。なお、単官能性と
は活性エネルギー線硬化性の重合性官能基を1個有する
ことを意味し、重合性官能基以外の官能基を有していて
もよい。この単官能性化合物としては(メタ)アクリロ
イル基を有する化合物が好ましく、特にアクリロイル基
を有する化合物が好ましい。
【0025】被覆組成物(A)においてこの単官能性化
合物を使用する場合、多官能性化合物(a)とこの単官
能性化合物との合計に対するこの単官能性化合物の割合
は、特に限定されないが0〜60重量%が適当である。
単官能性化合物の割合が多すぎると硬化塗膜の硬さが低
下し耐磨耗性が不充分となるおそれがある。多官能性化
合物(a)とこの単官能性化合物との合計に対する単官
能性化合物のより好ましい割合は0〜30重量%であ
る。
【0026】多官能性化合物(a)としては、重合性官
能基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であって
もよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン
原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チ
オエーテル結合、アミド結合、ジオルガノシロキサン結
合などを有していてもよい。特に、ウレタン結合を有す
る(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリ
ルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリ
ル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2種の多官
能性化合物について説明する。
【0027】ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイ
ル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、た
とえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有
する化合物(X1)と2個以上のイソシアネート基を有
する化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応
生成物、(2)化合物(X1)と2個以上の水酸基を有
する化合物(X2)とポリイソシアネートとの反応生成
物、(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基
とを有する化合物(X3)と化合物(X2)との反応生
成物、などがある。これらの反応生成物においては、イ
ソシアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、
水酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生
成物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル
数はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより
多いことが好ましい。
【0028】(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有す
る化合物(X1)としては、(メタ)アクリロイル基と
水酸基とをそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよ
く、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個とを
有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2
個以上とを有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水
酸基とをそれぞれ2個以上有する化合物であってもよ
い。具体例として、上記順に、たとえば、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモ
ノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メ
タ)アクリレートなどがある。これらは2個以上の水酸
基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステ
ルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルであ
る。
【0029】さらに化合物(X1)としては、エポキシ
基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開
環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)ア
クリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル
結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロ
イル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基
を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸
基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに
変換することもできる。
【0030】エポキシ基を1個以上有する化合物として
は、エポキシ基を1個有するモノエポキシドやいわゆる
エポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好まし
い。ポリエポキシドとしては、たとえば多価フェノール
類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビスフェノール
A−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を2個
以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が好ましい。
さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水
酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生成物も
化合物(X1)として使用できる。エポキシ基を有する
(メタ)アクリレートとしては、たとえばグリシジル
(メタ)アクリレートがある。
【0031】ポリエポキシドとしては、たとえば、グリ
シジルエーテル型ポリエポキシド、脂環型ポリエポキシ
ドなどのエポキシ樹脂として市販されているものを使用
できる。具体的にはたとえば以下のようなポリエポキシ
ドがある。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、
ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラブロ
モビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリセリ
ントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシジル
エーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロ
ペンタジエンジオキシド。
【0032】化合物(X1)の上記以外の具体例として
は、たとえば以下の化合物がある。2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール
モノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモ
ノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオー
ルモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペン
タ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシ
ジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
【0033】ポリイソシアネートとしては、通常の単量
体状のポリイソシアネートでもよく、ポリイソシアネー
トの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタ
ンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であって
もよい。ポリイソシアネートの多量体としては3量体
(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド
変性体などがあり、ポリイソシアネートの変性体として
はトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性し
て得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハ
ネート変性体、ウレア変性体などがある。プレポリマー
状のものの例としては、後述ポリエーテルポリオールや
ポリエステルポリオールなどのポリオールとポリイソシ
アネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有
ウレタンプレポリマーなどがある。これらポリイソシア
ネートは2種以上併用して使用できる。
【0034】具体的な単量体状のポリイソシアネートと
しては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある
([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス
(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−
ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トラ
ンスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添
MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレ
ンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,
6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジ
イソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、
1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシ
クロヘプタントリイソシアネート。
【0035】ポリイソシアネートとしては特に無黄変性
ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネ
ート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具
体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族
ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど
の脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のよ
うにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好
ましい。
【0036】2個以上の水酸基を有する化合物(X2)
としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して
高分子量のポリオールなどがある。多価アルコールとし
ては、2〜20個の水酸基を有する多価アルコールが好
ましく、特に2〜15個の水酸基を有する多価アルコー
ルが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコー
ルであってもよく、脂環族多価アルコールや芳香核を有
する多価アルコールであってもよい。
【0037】芳香核を有する多価アルコールとしてはた
とえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や
多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香
核を有するポリエポキシドの開環物などがある。高分子
量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリ
エステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオールなどがある。また、ポ
リオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用でき
る。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用
できる。
【0038】多価アルコールの具体例としてはたとえば
以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオー
ル、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキ
サン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエ
リスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシ
アヌレート、トリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシ
アヌレート、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカ
ン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル
エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジ
ルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシド
の開環物。
【0039】ポリオールの具体例としてはたとえば以下
のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオ
キシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリ
エーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポ
リブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−
カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、
フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グル
タル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得
られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオ
ールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオ
ール。
【0040】水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえ
ばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの
水酸基不含単量体との共重合体がある。(メタ)アクリ
ロイル基とイソシアネート基とを有する化合物(X3)
としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレ
ート、メタクリロイルイソシアネートなどがある。
【0041】次に、ウレタン結合を有しない(メタ)ア
クリル酸エステル化合物について説明する。多官能性化
合物(a)として好ましいウレタン結合を有しない(メ
タ)アクリル酸エステル化合物としては、前記化合物
(X2)と同様の2個以上の水酸基を有する化合物と
(メタ)アクリル酸とのポリエステルが好ましい。2個
以上の水酸基を有する化合物としては前記多価アルコー
ルやポリオールが好ましい。さらに、2個以上のエポキ
シ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成
物である(メタ)アクリル酸エステル化合物も好まし
い。2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、前
記したポリエポキシドを使用しうる。
【0042】ウレタン結合を含まない多官能性化合物の
具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。以
下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14
〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレー
ト、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールト
リ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アク
リレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジ
トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペ
ンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物
からなるトリオールのジ(メタ)アクリレート。
【0043】以下の芳香核またはトリアジン環を有する
多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレー
ト。トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)
イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル)ビスフェノールA、ビス(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ビ
ス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェ
ノールF、ビスフェノールAジメタクリレート。
【0044】以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキ
シド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物
−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリ
オキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。
ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオ
キシドを表し、[ ]内はポリオキシアルキレンポリオ
ールの分子量を表す。トリメチロールプロパン−EO付
加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パン−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アク
リレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[2
00〜1000]ジ(メタ)アクリレート、トリス(2
−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクト
ン付加物のトリ(メタ)アクリレート。
【0045】下記(メタ)アクリロイル基を有するカル
ボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイル
オキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチル
グリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メ
タ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0046】下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸
付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あた
り1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およ
びグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールも
しくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価ア
ルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレ
ート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジ
グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニ
ルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加
物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリ
ル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレ
ングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリ
レートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジ
ル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応
生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘ
キサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アク
リレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メ
タ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成
物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応
生成物。
【0047】上記のような(メタ)アクリレート類でか
つ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテ
ル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル
化物など(以下、変性物ともいう)で、下記のような化
合物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシク
ロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のア
リルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−
(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステ
アリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ート。
【0048】多官能性化合物(a)としては、被覆組成
物(A)の硬化物が充分な耐摩耗性を発揮しうるため
に、少なくともその一部(好ましくは30重量%以上)
が3官能以上の多官能性化合物からなることが好まし
い。好ましくはその50重量%以上が3官能以上の多官
能性化合物からなる。また、具体的な好ましい多官能性
化合物(a)は下記のアクリルウレタンとウレタン結合
を有しない多官能性化合物である。
【0049】アクリルウレタンの場合、ペンタエリスリ
トールやその多量体であるポリペンタエリスリトールと
ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート)の反応生成物であるアクリルウレタン、また
はペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの
水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネ
ートとの反応生成物であるアクリルウレタンであって3
官能以上(好ましくは4〜20官能)の化合物が好まし
い。
【0050】ウレタン結合を有しない多官能性化合物と
しては、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレ
ートとイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが
好ましい。ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリ
レートとは、ペンタエリスリトールやポリペンタエリス
リトールと(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ま
しくは4〜20官能のもの)をいう。イソシアヌレート
系ポリ(メタ)アクリレートとは、トリス(ヒドロキシ
アルキル)イソシアヌレートまたはその1モルに1〜6
モルのカプロラクトンやアルキレンオキシドを付加して
得られる付加物と(メタ)アクリル酸とのポリエステル
(2〜3官能のもの)をいう。これら好ましい多官能性
化合物と他の2官能以上の多官能性化合物(特に多価ア
ルコールのポリ(メタ)アクリレート)とを併用するこ
とも好ましい。これら好ましい多官能性化合物は全多官
能性化合物(a)に対して30重量%以上、特に50重
量%以上が好ましい。
【0051】多官能性化合物(a)とともに使用できる
単官能性化合物としては、たとえば分子中に1個の(メ
タ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。そのよ
うな単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能
基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メ
タ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレー
トである。
【0052】具体的な単官能性化合物としてはたとえば
以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル
グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。
【0053】最外層に直接接する透明硬化物層の耐摩耗
性や硬度をより高める意味で被覆組成物(A)は有効量
の平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含みう
る。コロイド状シリカの平均粒径は1〜100nmであ
ることが好ましく、特に1〜50nmが好ましい。コロ
イド状シリカは下記表面修飾されたコロイド状シリカ
(以下単に修飾コロイド状シリカという)であること
が、コロイド状シリカの分散安定性およびコロイド状シ
リカと多官能性化合物との密着性向上の面で好ましい。
【0054】コロイド状シリカを使用する場合、その使
用する効果を充分発揮するためにはコロイド状シリカの
量は、透明硬化物層の硬化性成分(多官能性化合物と単
官能性化合物の合計)100重量部に対して5重量部以
上が適当であり、10重量部以上が好ましい。この量が
少なすぎるとコロイド状シリカを配合する目的である充
分な耐摩耗性が得られにくい。この量が多すぎると被膜
に曇り(ヘーズ)が発生しやすくなり、また得られた透
明被覆成形品を熱曲げ加工などの2次加工を行う場合に
はクラックが生じやすくなる。したがって、透明硬化物
層におけるコロイド状シリカ量の上限は硬化性成分10
0重量部に対して300重量部であることが好ましい。
より好ましいコロイド状シリカの量は硬化性成分100
重量部に対して50〜250重量部である。
【0055】コロイド状シリカとしては表面未修飾のコ
ロイド状シリカを使用できるが、好ましくは修飾コロイ
ド状シリカを使用する。修飾コロイド状シリカの使用は
組成物中のコロイド状シリカの分散安定性を向上させ
る。修飾によってコロイド状シリカ微粒子の平均粒径は
実質的に変化しないか多少大きくなると考えられるが、
得られる修飾コロイド状シリカの平均粒径は上記範囲の
ものであると考えられる。以下修飾コロイド状シリカに
ついて説明する。
【0056】修飾コロイド状シリカの原料となる未修飾
のコロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で
入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コ
ロイド状シリカを使用する場合は透明硬化物層の硬化組
成物がゲル化しないように、またシリカがコロイド分散
系から沈殿しないように、有機酸添加のような手段によ
って分散体を酸性にすることが好ましい。
【0057】コロイド状シリカの分散媒としては種々の
分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒
は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を
行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもで
きる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま基材に
直接接する透明硬化物層の硬化組成物の媒体(溶媒)と
することが好ましい。基材に直接接する透明硬化物層の
硬化組成物の媒体としては、乾燥性などの面から比較的
低沸点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であること
が好ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロ
イド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒
および透明硬化物層の硬化組成物の媒体はすべて同一の
媒体(溶媒)であることが好ましい。このような媒体と
しては、塗料用溶媒として広く使用されているような有
機媒体が好ましい。
【0058】分散媒としては、たとえば以下のような分
散媒を使用できる。水。メタノール、エタノール、2−
プロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノー
ル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エ
チレングリコールのような低級アルコール類。メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセ
ロソルブ類。ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレ
ン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンな
ど。
【0059】前記のように特に分散媒としては有機分散
媒が好ましく、上記有機分散媒のうちではさらにアルコ
ール類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド
状シリカとそれを分散させている分散媒との一体物をコ
ロイド状シリカ分散液という。
【0060】コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ
素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物
(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ま
しい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノー
ル基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表
面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合
し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えら
れる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。後述のよう
に互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあ
らかじめ反応させて得られる反応生成物も修飾剤として
使用できる。
【0061】修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基や
シラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ
素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール
基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好まし
くは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤
として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が
生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した
有機基を有し、その有機基の1個以上は反応性官能基を
有する有機基であることが好ましい。
【0062】好ましい修飾剤は下記式1で表される化合
物である。このような化合物は通常シランカップリング
剤と呼ばれている。 Y3-n −SiR1 n2 ・・・式1 ただし、Yは加水分解性基、R1 は反応性官能基を有し
ない1価の有機基、R2 は反応性官能基を有する1価の
有機基、nは0、1または2を表す。
【0063】加水分解性基Yとしては、たとえば、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、カルバモイル
基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基などが
あり、特にアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基とし
ては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、特にメ
トキシ基とエトキシ基が好ましい。nは0または1であ
ることが好ましい。また、式1と同様に表されかつその
Yが水酸基である化合物は上記シラノール基を有する化
合物の例である。
【0064】反応性官能基を有しない1価の有機基R1
としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基など
の炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この炭化水
素基としては、炭素数8以下の炭化水素基、特に炭素数
4以下のアルキル基が好ましい。R1 としては特にメチ
ル基とエチル基が好ましい。なお、ここにおける1価の
有機基とは炭素原子によってケイ素原子に結合する有機
基をいう(R2 においても同じ)。
【0065】反応性官能基を有する1価の有機基R2
しては、反応性官能基を有するアルキル基、アリール
基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が
好ましい。この有機基には2以上の反応性官能基を有し
ていてもよい。反応性官能基としては、アミノ基、メル
カプト基、エポキシ基、イソシアネート基、重合性不飽
和基などがある。
【0066】重合性不飽和基としてはR2 そのものであ
ってもよく(たとえばビニル基)、(メタ)アクリロイ
ルオキシ基やビニルオキシ基などの有機基と結合してR
2 となる重合性不飽和基であってもよい。またアミノ基
としては1級、2級のいずれのアミノ基であってもよ
く、2級アミノ基の場合その窒素原子に結合した有機基
はアルキル基、アミノアルキル基、アリール基など(特
に炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアミノア
ルキル基およびフェニル基)が好ましい。
【0067】好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカ
プト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ
基である。反応性官能基が結合する有機基としては、反
応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェ
ニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基
(とりわけポリメチレン基)が好ましい。具体的な修飾
剤としては反応性官能基の種類によって分けると、たと
えば以下のような化合物がある。
【0068】(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン
類;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルメチルジメトキシシランなど。
【0069】アミノ基含有シラン類;3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−
ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリ
メトキシシランなど。
【0070】メルカプト基含有シラン類;3−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチル
ジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエ
トキシシランなど。
【0071】エポキシ基含有シラン類;3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシランなど。
【0072】イソシアネート基含有シラン類;3−イソ
シアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシア
ネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネー
トプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネー
トプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0073】互いに反応性の反応性官能基を有する修飾
剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物とし
ては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含
有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生
成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラ
ン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類どうし
2分子の反応生成物などがある。
【0074】コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解
性基を有する修飾剤をコロイド状シリカに接触させて加
水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリ
カ分散液に修飾剤を添加し、コロイド状シリカ分散液中
で修飾剤を加水分解することによって修飾できる。
【0075】この場合、修飾剤の加水分解物はコロイド
状シリカの微粒子表面に化学的にまたは物理的に結合
し、その表面を修飾すると考えられる。特にコロイド状
シリカ表面には通常シラノール基が存在するため、この
シラノール基が修飾剤の加水分解で生成するシラノール
基と縮合して修飾剤の加水分解残基が結合した表面が生
成すると考えられる。また、加水分解物自身の縮合反応
が進んだものが同様に表面に結合する場合もあると考え
られる。本発明においては修飾剤をある程度加水分解し
た後にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うこ
ともできる。
【0076】コロイド状シリカの表面を加水分解性基を
有する修飾剤で修飾する場合、修飾剤をコロイド状シリ
カ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える
水により加水分解することにより、この加水分解物で表
面が修飾された修飾コロイド状シリカが得られる。修飾
剤の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラ
ノール基と修飾剤またはその部分加水分解縮合物との反
応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好
ましい。シラノール基を有する修飾剤で修飾する場合も
シラノール基どうしの反応を促進するために触媒を存在
させることが好ましい。
【0077】この触媒としては、酸やアルカリがある。
好ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用す
る。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭
化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等
を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ
酸、(メタ)アクリル酸等を使用できる。
【0078】加水分解反応を均一に進行せしめるために
通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロ
イド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散
媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒との混合溶媒であ
ってもよい。この溶媒の条件としては、修飾剤を溶解
し、水および触媒との相溶性があり、加えてコロイド状
シリカの凝集を起こしにくいものであることが好まし
い。
【0079】具体的には、水;メタノール、エタノー
ル、2−プロパノール、n−ブタノールのような低級ア
ルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチ
ルエチルケトンのようなケトン類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ類;ジメチルアセトアミド等を挙げうる。
【0080】これらの溶媒は前述のコロイド状シリカの
分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒に置
換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外の溶
媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。反応温度とし
ては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好ましく、反
応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲が好ま
しい。
【0081】コロイド状シリカの修飾において、修飾剤
の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分
散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜10
0重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では
表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超
では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持され
ていない修飾剤の加水分解物ないし縮合物が多量に生
じ、透明被覆層の硬化組成物の硬化の際それらが連鎖移
動剤として働いたり、硬化後の被膜の可塑剤として働
き、硬化被膜の硬度を低下させるおそれが生じる。
【0082】前記のように多官能性化合物(a)を硬化
させるために通常被覆組成物(A)は光重合開始剤を含
む。光重合開始剤としては、公知または周知のものを使
用できる。特に入手容易な市販のものが好ましい。透明
硬化物層において複数の光重合開始剤を使用してもよ
い。
【0083】光重合開始剤としては、アリールケトン系
光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフ
ェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル
類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジ
メチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−ア
シロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤
(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類など)、
アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、アシルホス
フィネート系光重合開始剤、アシルホスホネート系光重
合開始剤、その他の光重合開始剤がある。特に好ましい
光重合開始剤はアシルホスフィンオキシド系光重合開始
剤である。なお、光重合開始剤はアミン類などの光増感
剤と組み合わせても使用できる。具体的な光重合開始剤
としては、たとえば以下のような化合物がある。
【0084】4−フェノキシジクロロアセトフェノン、
4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブ
チル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフ
ェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1
−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1
−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2
−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−
モルホリノプロパン−1−オン。
【0085】ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル
安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベ
ンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化
ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベ
ンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−
ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,1
0−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベン
ゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−
ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステ
ル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0086】4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニル
スルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジ
クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。
【0087】2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニル
ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾ
イル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオ
キシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フ
ェニルホスフィンオキシド。
【0088】エチル 2,4,6−トリメチルベンゾイ
ルフェニルホスフィネート、メチル2,4,6−トリメ
チルベンゾイルフェニルホスフィネート、イソプロピル
2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネ
ート、ジメチル 2,4,6−トリメチルベンゾイルホ
スホネート、ジエチル 2,4,6−トリメチルベンゾ
イルホスホネート。
【0089】被覆組成物(A)における光重合開始剤の
量は硬化性成分(多官能性化合物(a)と単官能性化合
物の合計)100重量部に対して0. 01〜20重量
部、特に0. 1〜10重量部が好ましい。
【0090】被覆組成物(A)は上記基本的成分以外に
種々の配合剤を含むことができる。また、被覆組成物
(A)の層を形成するための塗工液としては溶剤は通常
必須の成分であり、多官能性化合物が特に低粘度の液体
でないかぎり塗工液には溶剤が使用される。溶剤として
は、多官能性化合物(a)を硬化成分とする被覆剤に通
常使用される溶剤を使用できる。また原料コロイド状シ
リカの分散媒をそのまま溶剤としても使用できる。さら
に基材の種類により適切な溶剤を選択して用いることが
好ましい。
【0091】溶剤の量は必要とする塗工液の粘度、目的
とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変
更できる。通常は塗工液中の硬化性成分に対して100
倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。塗
工液を塗工後加熱等により溶剤を除去する(通常乾燥と
呼ばれる)ことにより被覆組成物(A)の層が基材表面
上に形成される。
【0092】溶剤としてはたとえば前記コロイド状シリ
カを修飾するための加水分解に用いる溶媒として挙げ
た、低級アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソ
ルブ類などの溶剤がある。そのほか、酢酸n−ブチル、
ジエチレングリコールモノアセテートなどのエステル
類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などがある。耐
溶剤性の低い芳香族ポリカーボネート樹脂の被覆には低
級アルコール類、セロソルブ類、エステル類、それらの
混合物などが適当である。
【0093】被覆組成物(A)には、必要に応じて適宜
種々の添加剤を配合できる。添加剤としてはたとえば、
紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤な
どの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止
剤、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、
酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒、赤
外線吸収剤、染料、顔料、充填剤等がある。これらの内
充填剤などの被覆組成物(A)や溶剤に溶解し難い添加
剤は、硬化物層の透明性を阻害しないために微細な粒子
であることが好ましい。
【0094】被覆組成物(A)は、特に紫外線吸収剤や
光安定剤を含有することが好ましい。これらは紫外線等
の光による基材自体の着色や劣化を抑制する役割を果た
すうえ、光による被覆組成物中のポリマー鎖の切断を防
ぐために重要な役割も果たす。紫外線吸収剤としては合
成樹脂用紫外線吸収剤賭して通常使用されているような
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤などが好まし
い。光安定剤としては同様に合成樹脂用光安定剤として
通常使用されているようなヒンダードアミン系光安定剤
(2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン誘導体な
ど)が好ましい。
【0095】被覆組成物(A)が紫外線吸収剤や光安定
剤を含む場合、その量は、被覆組成物(A)中の硬化成
分(多官能性化合物(a)と単官能性化合物の合計)1
00重量部に対し0.01〜30重量部であることが好
ましい。より好ましい量は硬化成分100重量部に対し
0.1〜20重量部である。
【0096】紫外線吸収剤の具体例としては以下のよう
な化合物がある。2,4−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール、2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−
t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジー
t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、オクチル 3−{3−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル}プロピオネート、フェニルサリシレート、p−
t−ブチルフェニルサリシレート。
【0097】光安定剤の具体例としては以下のような化
合物がある。2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジニルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セ
バケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、テト
ラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニ
ル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−
ブチル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)マロネート。
【0098】このような被覆組成物(A)を硬化させる
活性エネルギー線としては特に紫外線が好ましい。しか
し、紫外線に限定されず、電子線やその他の活性エネル
ギー線を使用できる。紫外線源としてはキセノンラン
プ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、
超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク
灯、タングステンランプ等が使用できる。
【0099】被覆組成物(A)を用いて形成される硬化
物の層の厚さは1〜50μmであることが好ましい。こ
の層厚が50μm超では、活性エネルギー線による硬化
が不充分になり基材との密着性が損なわれやすく好まし
くない。この層厚が1μm未満では、この層の耐摩耗性
が不充分となるおそれがあり、またこの層の上の最外層
の耐摩耗性や耐擦傷性が充分発現できないおそれがあ
る。より好ましい層厚は2〜30μmである。
【0100】最外層を形成するための硬化性の被覆剤
(B)は、ポリシラザンのみからなるかまたはポリシラ
ザンを含む硬化性の組成物からなる。被覆剤(B)を塗
工するための塗工液は通常溶剤を含む。この塗工液を塗
工後溶剤を除去することにより被覆剤(B)の層が形成
される。被覆剤(B)はポリシラザン以外に触媒やその
他の添加剤を含む硬化性の組成物であってもよい。
【0101】ポリシラザンは、(−Si−N−)の単位
を2以上有する重合体であり、この化学式においてケイ
素原子(4価)の残りの2つの結合手、窒素原子(3
価)の残りの1つの結合手には、それぞれ水素原子や有
機基(アルキル基など)が結合している。また、上記繰
り返し単位のみからなる線状構造の重合体ばかりでな
く、上記ケイ素原子の残りの2つの結合手の一方または
両方と上記窒素原子の結合手とが結合して環状構造が形
成されていてもよい。重合体は環状構造のみの繰り返し
からなっていてもよく、一部に環状構造を有する線状の
重合体であってもよい。
【0102】これらポリシラザンについてはたとえば特
開平9−31333やそこで引用されている文献に記載
されているようなポリシラザンがあり、そのようなポリ
シラザンを本発明におけるポリシラザンとして使用でき
る。また、特開平9−31333やそこで引用されてい
る文献に記載されているような変性ポリシラザンもまた
本発明におけるポリシラザンとして使用できる。
【0103】ポリシラザンは酸素存在下で分解し窒素原
子が酸素原子に置換してシリカが形成される。ポリシラ
ザンから形成されるシリカは加水分解性シラン化合物か
ら形成されるシリカに比較してより緻密なシリカが形成
される。たとえば、ペルヒドロポリシラザンから形成さ
れたシリカは、4官能性の加水分解性シラン化合物(た
とえばテトラアルコキシシラン)から形成されたシリカ
に比較してより緻密であり耐摩耗性等の表面特性が優れ
ている。
【0104】ポリシラザンとしては実質的に有機基を含
まないポリシラザン(ペルヒドロポリシラザン)、アル
コキシ基などの加水分解性基がケイ素原子に結合したポ
リシラザン、ケイ素原子や窒素原子にアルキル基などの
有機基が結合しているポリシラザンなどがある。このよ
うなポリシラザンはケイ素原子に加水分解性基を有して
いる場合は硬化の際の加水分解反応により実質的に有機
基を含まないシリカが形成される。特にペルヒドロポリ
シラザンはその焼成温度の低さおよび焼成後の硬化被膜
の緻密さの点で好ましい。
【0105】なお、ペルヒドロポリシラザンが充分に硬
化した硬化物は窒素原子をほとんど含まないシリカとな
る。また、ケイ素原子の一部または全部にアルキル基な
どの有機基が結合しているポリシラザンの場合は、それ
から形成される有機基を含むシリカがペルヒドロポリシ
ラザンから形成されるシリカに比較して耐摩耗性等の表
面特性が劣ることはあっても、より強靭な硬化被膜が得
られまた厚膜化が可能であるので、目的によってはペル
ヒドロポリシラザンよりも好ましいことがある。
【0106】ケイ素原子に結合した有機基を有するポリ
シラザンの場合、その有機基としては炭化水素基やハロ
ゲン化炭化水素基が好ましく、特にアルキル基などの炭
化水素基が好ましい。これら有機基の炭素数は、特に限
定されずたとえば20以下のものであればよいが、少な
いことが好ましく、4以下が特に好ましい。また、有機
基が長鎖ポリフルオロアルキル基であるポリシラザンも
好ましい。長鎖ポリフルオロアルキル基含有ポリシラザ
ンの硬化物はその表面に長鎖ポリフルオロアルキル基が
存在することにより、表面に撥水性、非付着性等の特性
を有する。長鎖ポリフルオロアルキル基としては、炭素
数4〜16の直鎖状ペルフルオロアルキル基を有する炭
素数2〜4のポリメチレン基が好ましい。
【0107】ポリシラザンとしては、鎖状、環状もしく
は架橋構造を有する重合体、または分子内にこれらの複
数の構造の混合物からなる。ポリシラザンの分子量とし
ては数平均分子量で200〜50000であるものが好
ましい。数平均分子量が200未満では焼成しても均一
な硬化被膜が得られにくい。また、数平均分子量が50
000超では溶剤に溶解しがたくなり、また被覆剤
(B)が粘稠になるおそれがあることより、好ましくな
い。
【0108】塗工液に使用されるポリシラザンを溶解す
る溶剤としては脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香
族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶
媒、脂肪族エーテル、脂環族エーテル等のエーテル類が
使用できる。
【0109】具体的には、ペンタン、ヘキサン、イソヘ
キサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オ
クタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロ
ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化
水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブ
ロモホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロ
ロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等の
ハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、イソプロピル
エーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、ジ
オキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、
テトラヒドロピラン等のエーテル類などがある。
【0110】これらの溶剤を使用する場合、ポリシラザ
ンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するために複数の種
類の溶剤を混合してもよい。溶剤の使用量は採用される
塗工方法およびポリシラザンの構造や平均分子量などに
よって異なるが、塗工液の固形分濃度が0. 5〜80重
量%となる範囲で調製することが好ましい。
【0111】ポリシラザンを硬化させてシリカとするた
めには通常焼成と呼ばれる加熱が必要である。しかし、
本発明においては基材が合成樹脂であることよりその焼
成温度は制限される。すなわち、基材の耐熱温度以上に
加熱して硬化させることは困難である。一般的に被覆組
成物(A)の硬化物の耐熱性は基材のそれよりも高い。
しかし場合によってはこの硬化物の耐熱性が基材の耐熱
性よりも低い場合があり、その場合はこの硬化物の耐熱
温度よりも低い温度でポリシラザンを硬化させる必要が
生じることもある。したがって、本発明においてポリシ
ラザンの焼成温度は芳香族ポリカーボネート樹脂などの
通常の合成樹脂を基材とする場合は180℃以下とする
ことが好ましい。
【0112】ポリシラザンの焼成温度を低下させるため
に通常は触媒が使用される。触媒の種類や量により低温
で焼成でき、場合によっては室温でも硬化ができる。ま
た、焼成を行う雰囲気としては空気中などの酸素の存在
する雰囲気であることが好ましい。ポリシラザンの焼成
によりその窒素原子が酸素原子に置換しシリカが生成す
る。充分な酸素の存在する雰囲気中で焼成することによ
り緻密なシリカの層が形成される。また、水や水蒸気に
よる処理も低温での硬化に有用である(特開平7−22
3867参照)。
【0113】触媒としては、より低温でポリシラザンを
硬化させうる触媒を用いることが好ましい。そのような
触媒としては、たとえば、金、銀、パラジウム、白金、
ニッケルなどの金属の微粒子からなる金属触媒(特開平
7−196986参照)、アミン類や酸類(特開平9−
31333参照)がある。アミン類としては、たとえ
ば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアル
キルアミン、モノアリールアミン、ジアリールアミン、
環状アミンなどがある。酸類としては、たとえば酢酸な
どの有機酸や塩酸などの無機酸がある。
【0114】金属触媒の微粒子の粒径は0. 1μmより
小さいことが好ましく、さらに硬化物の透明性を確保す
るためには0. 05μmよりも小さいことが好ましい。
加えて、粒径が小さくなるに従い比表面積が増大し触媒
能が増大することより触媒性能向上の面でもより小さい
粒系の触媒を使用することが好ましい。アミン類や酸類
はポリシラザン溶液に配合でき、またアミン類や酸類の
溶液(水溶液を含む)やそれらの蒸気(水溶液からの蒸
気を含む)をポリシラザンに接触させることで硬化を促
進できる。
【0115】ポリシラザンに触媒を配合して使用する場
合、触媒の配合量としてはポリシラザン100重量部に
対して0. 01〜10重量部、より好ましくは0. 05
〜5重量部である。配合量が0. 01重量部未満では充
分な触媒効果が期待できず、10重量部超では触媒どう
しの凝集が起こりやすくなり、透明性を損なうおそれが
あるために好ましくない。
【0116】また、この被覆剤(B)には、必要に応じ
て適宜種々の添加剤を配合できる。添加剤としてはたと
えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの安定
剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、分散
剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、赤外線吸
収剤、染料、顔料、充填剤等がある。
【0117】被覆剤(B)を用いて形成される硬化物の
層の厚さは0.05〜10μmであることが好ましい。
この最外層の層厚が10μm超では、耐擦傷性などの表
面特性のそれ以上の向上が期待できないうえ、層が脆く
なり被覆成形品のわずかな変形によってもこの層にクラ
ックなどが生じやすくなる。また、0.05μm未満で
は、この最外層の耐摩耗性や耐擦傷性が充分発現できな
いおそれがある。より好ましい層厚は0.1〜3μmで
ある。
【0118】上記透明被覆成形品は下記の方法で製造さ
れることが好ましい。たとえば、基材上にまず被覆組成
物(A)の塗工液を塗工して乾燥し、形成された被覆組
成物(A)の層を硬化させ、次にその硬化物の表面に被
覆剤(B)の塗工液を塗工して乾燥し、形成された被覆
剤(B)の層を硬化させることにより目的とする透明被
覆成形品が得られる。
【0119】これら被覆組成物を塗工する手段としては
特に制限されず、公知または周知の方法を採用できる。
たとえば、ディップ法、フローコート法、スプレー法、
バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブ
レードコート法、エアーナイフコート法、スピンコート
法、スリットコート法、マイクログラビアコート法等の
方法を採用できる。塗工後被覆組成物が溶剤を含んでい
る場合は乾燥して溶剤を除き、次いで、被覆組成物
(A)を用いた層の場合は紫外線等を照射して硬化さ
せ、被覆剤(B)を用いた層の場合は加熱してまたは室
温に放置して硬化させる。アミン類や酸類の水溶液や蒸
気に接触させて硬化を促進することもできる。
【0120】被覆組成物(A)の硬化と被覆剤(B)の
塗工〜硬化の組み合わせ(タイミング)としては以下の
4つ方法が挙げられる。 1)被覆組成物(A)の層を形成した後に充分な量の活
性エネルギー線を照射して充分に硬化を終了させた後、
被覆剤(B)の層をその上に形成する方法(前記した方
法)。
【0121】2)被覆組成物(A)の未硬化物の層を形
成した後、その未硬化物層の上に被覆剤(B)の未硬化
物の層を形成し、その後に充分な量の活性エネルギー線
を照射して被覆組成物(A)の未硬化物の硬化を終了さ
せる方法。この場合被覆剤(B)の未硬化物は被覆組成
物(A)の未硬化物とほぼ同時に硬化するか、被覆組成
物(A)の未硬化物の硬化後加熱等により硬化される。
【0122】3)被覆組成物(A)の層を形成した後に
指触乾燥状態になりかつ完全硬化に至らないまでの量の
活性エネルギー線(通常約300mJ/cm2 までの照
射量)を照射して被覆組成物(A)の部分硬化物の層を
形成した後、その部分硬化物層の上に被覆剤(B)の未
硬化物の層を形成し、その後に完全硬化させるに充分な
量の活性エネルギー線を照射して被覆組成物(A)の未
硬化物の硬化を終了させる方法。被覆剤(B)の未硬化
物の硬化は上記2)の場合と同様である。
【0123】4)上記2)または3)のように被覆組成
物(A)の未硬化物または部分硬化物の層と被覆剤
(B)の未硬化物の層とを形成した後、被覆剤(B)の
未硬化物を先に部分硬化ないし完全硬化させてその後に
被覆組成物(A)の未硬化物または部分硬化物を完全硬
化させる。この場合、被覆剤(B)の未硬化物を硬化さ
せる時点では被覆組成物(A)は未硬化物よりも部分硬
化物であることが好ましい。また、被覆組成物(A)の
完全硬化させる時点では被覆剤(B)は部分硬化した状
態にあることが好ましい。
【0124】本発明は、まず上記1)の方法に関する前
記した発明である。すなわち、被覆組成物(A)の硬化
物の層を形成した後その硬化物の層の表面に被覆剤
(B)の未硬化物層を形成してその硬化を行うことを特
徴とする透明被覆成形品の製造方法、の発明である。
【0125】2つの硬化物層の層間密着力を上げるため
には、上記2)または3)の方法がより好ましい。ただ
し、2)の方法の場合は、被覆剤(B)を塗工する方法
としてディップ法を用いると被覆組成物(A)の未硬化
物の成分が被覆剤(B)のディップ液を汚染するおそれ
があるため、このようなディップ法による塗工は適当で
はない場合がある。また、2)〜4)の方法は、被覆組
成物(A)を完全に硬化させる際に硬化阻害要因となり
やすい酸素の浸透に対して被覆剤(B)の未硬化物、部
分硬化物または完全硬化物の層がバリア層として作用
し、被覆組成物(A)の硬化物が硬化不充分となるおそ
れを低減する。
【0126】本発明は、また上記2)〜3)の方法に関
する前記した発明である。すなわち、被覆組成物(A)
の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後その未硬
化物ないし部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)の未硬
化物ないし部分硬化物の層を形成し、その後被覆組成物
(A)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化および被覆剤
(B)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化を行うことを
特徴とする透明被覆成形品の製造方法、の発明である。
この発明においては、特に、被覆組成物(A)の未硬化
物の層を形成した後完全硬化に至らないまでの量の活性
エネルギー線(通常約300mJ/cm2 までの照射
量)を照射して部分硬化物の層を形成し、その後部分硬
化物の層の表面に被覆剤(B)の未硬化物ないし部分硬
化物の層を形成し、その後被覆組成物(A)の部分硬化
物の硬化および被覆剤(B)の未硬化物ないし部分硬化
物の硬化を行うこと、が好ましい。この場合、被覆組成
物(A)の部分硬化物の硬化は部分硬化物の層に完全硬
化に至る量の活性エネルギー線を照射することによって
行われ、その照射は被覆剤(B)が完全硬化に至る前の
段階で行われることが好ましい。
【0127】本発明は、また上記4)の方法に関する前
記した発明である。すなわち、被覆組成物(A)の未硬
化物ないし部分硬化物の層を形成した後その未硬化物な
いし部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)の硬化物の層
を形成し、その後被覆組成物(A)の未硬化物ないし部
分硬化物の硬化を行うことを特徴とする透明被覆成形品
の製造方法、である。この場合、前記のように被覆剤
(B)の硬化には通常比較的長時間を有することおよび
被覆剤(B)の硬化は室温でも進むことより、被覆組成
物(A)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化は被覆剤
(B)が完全には硬化していない状態で行うことができ
る。
【0128】さらに、本発明の透明被覆成形品の特徴と
してその耐摩耗性や耐擦傷性などの表面特性がガラスと
ほぼ同等のレベルを有することから、従来ガラスが用い
られていた各種用途に使用できる。この用途のうちには
車両用窓材としての用途などがある。ただし、このよう
な用途では曲げ加工した成形品が必要となる場合が多
い。こうした曲げ加工された本発明の透明被覆成形品を
製造する場合、曲げ加工された基材を用いて本発明の透
明被覆成形品となしうる。しかし、曲げ加工された基材
を用いる場合は塗工〜硬化による各層の形成が困難とな
ることが少なくない。一方、本発明者らの従来からの検
討によれば、被覆組成物(A)の硬化物の層が形成され
た基材は熱曲げ加工等により曲げ加工ができる。しか
し、被覆剤(B)の硬化物の層が形成された場合はその
硬化物が硬いことより曲げ加工は困難である。
【0129】本発明者は、被覆剤(B)の未硬化物や部
分硬化物の層であれば、そのような層を有する基材(被
覆組成物(A)の硬化物の層を有する)を曲げ加工でき
ることを見いだした。また、前記2)〜4)の方法のよ
うに被覆組成物(A)の未硬化物や部分硬化物の層の上
に被覆剤(B)の未硬化物や部分硬化物の層を形成した
状態で曲げ加工することもできる。曲げ加工した後ない
し曲げ加工とほぼ同時に被覆剤(B)の未硬化物や部分
硬化物を硬化させることにより、目的とする曲げ加工さ
れた被覆成形品が得られる。曲げ加工は通常加熱状態で
加工を行う。したがって、曲げ加工のための加熱によっ
て被覆剤(B)の未硬化物や部分硬化物が硬化するが、
通常は曲げ加工に要する時間に比較して被覆剤(B)の
未硬化物や部分硬化物の硬化に要する時間が長いことよ
り、被覆剤(B)の硬化によって曲げ加工が困難になる
おそれは少ない。また、曲げ加工後の被覆剤(B)の硬
化は4)の方法の採用に有利な条件となる。
【0130】本発明は、また上記曲げ加工された透明被
覆成形品の製造方法に関する前記した発明である。すな
わち、被覆組成物(A)の未硬化物、部分硬化物ないし
硬化物の層およびその層の表面に被覆剤(B)の未硬化
物ないし部分硬化物の層を形成した後これらの層を有す
る基材を曲げ加工し、次いで被覆剤(B)の未硬化物な
いし部分硬化物を、および被覆組成物(A)の未硬化物
や部分硬化物が存在する場合はさらにそれを、硬化させ
ることを特徴とする曲げ加工された透明被覆成形品の製
造方法、の発明である。この場合、特に、曲げ加工を行
う段階では被覆組成物(A)の層の状態は部分硬化物な
いし硬化物であることが好ましい。
【0131】具体的には、たとえば、被覆組成物(A)
の部分硬化物ないし硬化物の層の上に被覆剤(B)の未
硬化物や部分硬化物の層を形成した後、基材の熱軟化温
度に5分間程度加熱し、続いて曲げ加工を施す。その後
基材の熱軟化温度よりも低くかつ被覆剤(B)の未硬化
物や部分硬化物が硬化しうる温度に保持して硬化を行う
ことにより、本発明の曲げ加工された被覆成形品が得ら
れる。被覆組成物(A)の最終的な硬化は、被覆剤
(B)の充分な硬化の前に行ってもよく、後に行っても
よい。このような方法により、被覆剤(B)が充分に硬
化する前に基材が変形し、その後硬いシリカの層が形成
されるためにこのシリカ層にクラック等の不具合が生じ
ることがない。
【0132】本発明における基材の材料としては各種透
明合成樹脂を使用しうる。たとえば、芳香族ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂(アク
リル系樹脂)、ポリスチレン系樹脂、ポリアリレート系
樹脂などの透明合成樹脂を基材の材料として使用しう
る。特に芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる基材が
好ましい。
【0133】この基材は成形されたものであり、たとえ
ば平板や波板などのシート状基材、フィルム状基材、各
種形状に成形された基材、少なくとも表面層が各種透明
合成樹脂からなる積層体等がある。特に(曲げ加工され
ていない)平板状の基材が好ましい。本発明において、
基材としては特に芳香族ポリカーボネート系樹脂からな
る平板状のシートが好ましい。このシートの厚さは1〜
100mmであることが窓材などの用途に好ましい。こ
のシートの両面または片面に前記した2層以上の透明硬
化物層が形成される。
【0134】
【実施例】以下、本発明を合成例(例1〜5)、実施例
(例6〜20)、比較例(例21〜25)に基づき説明
するが、本発明はこれらに限定されない。例についての
各種物性の測定および評価は以下に示す方法で行った。
例6〜25の結果を表1にに示した。なお、表1には通
常の建築用ガラスシートの物性の測定および評価の結果
も示す。
【0135】[初期曇価、耐磨耗性]JIS R321
2における耐磨耗試験法により、2つのCS−10F磨
耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ500回転
または1000回転させたときの曇価をヘーズメータに
て測定した。曇価(ヘーズ)の測定は磨耗サイクル軌道
の4カ所で行い、平均値を算出した。初期曇価は耐磨耗
試験前の曇価の値(%)を、耐磨耗性は(磨耗試験後曇
価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)を示す。また、最
外層を形成する前の内層の耐磨耗試験は、基材に硬化性
の被覆剤(A)を塗工し充分硬化させたサンプルを用い
て、上記と同じ方法で耐磨耗試験前曇価と100回転さ
せた後の曇価を測定して耐磨耗性を評価した。
【0136】[密着性]サンプルを剃刀の刃で1mm間
隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁
盤目を作り、市販のセロハンテープをよく密着させた
後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜が剥離
せずに残存した碁盤目の数(m)をm/100で表す。
【0137】[耐候性]サンシャインウェザーメータを
用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥
48分のサイクルで3000時間暴露後、外観の評価を
行った。
【0138】また、例に用いた原材料、製造条件は特に
言及しないかぎり、以下の原材料、製造条件を用いた。
【0139】樹脂板:厚さ3mmの透明な芳香族ポリカ
ーボネート樹脂板(150mm×300mm)。
【0140】被覆剤(A)の塗工液の乾燥条件:80℃
の熱風循環オーブン中で5分間保持。
【0141】被覆剤(B)の塗工液の乾燥条件:80℃
の熱風循環オーブン中で10分間保持。
【0142】被覆剤(A)、(B)の塗工液の塗工法:
バーコータを使用。
【0143】紫外線照射条件:高圧水銀灯を用い空気雰
囲気中で照射。
【0144】[例1]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)
100重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、10
0℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成す
ることにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を得た。
【0145】[例2]3−メルカプトプロピルトリメト
キシシランのかわりに3−アクリロイルオキシプロピル
トリメトキシシラン5重量部を用いた他は例1と同じに
して、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得
た。
【0146】[例3]3−メルカプトプロピルトリメト
キシシランのかわりにN−フェニル−3−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン5重量部を用いた他は例1と同じ
にして、アミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得
た。
【0147】[例4]3−メルカプトプロピルトリメト
キシシランのかわりに3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン5重量部を用いた他は例1と同じにして、
エポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0148】[例5]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカのかわりに2−プロパノール分散型コロイド状
シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)1
00重量部を用い、反応温度を83℃にした他は例1と
同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分
散液を得た。
【0149】[例6]撹拌機および冷却管を装着した1
00mLの4つ口フラスコに、2−プロパノール15
g、酢酸ブチル15g、エチルセロソルブ7. 5g、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシド150mg、2−(3,5−ジ−t−ペンチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール1
g、およびビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート200
mgを加え溶解させ、続いて水酸基を有するジペンタエ
リスリトールポリアクリレートと部分ヌレート化ヘキサ
メチレンジイソシアネートとの反応生成物であるウレタ
ンアクリレート(1分子あたり平均15個のアクリロイ
ル基を含有)10. 0gを加え常温で1時間撹拌して被
覆用組成物(以下、塗工液(A−1)という)を得た。
【0150】樹脂板に塗工液(A−1)を塗工(ウェッ
ト厚み22μm)して、乾燥した。これに3000mJ
/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エ
ネルギー量、以下も同様)の紫外線を照射し、膜厚5μ
mの透明硬化物層を形成した。
【0151】次に、この上にさらに低温硬化性の金属触
媒を含有するペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液
(固形20重量%、ペルヒドロポリシラザンの数平均分
子量1000、東燃株式会社製、商品名「L110」)
(以下、塗工液(B−1)という)を塗工(ウェット厚
み6μm)して乾燥し、続いて100℃の熱風循環オー
ブン中で120分間保持することで最外層を充分に硬化
させた。そして、IR分析により最外層が完全なシリカ
被膜になっていることを確認した(以下の例において
も、IR分析により被覆剤(B)の完全な硬化の確認を
行った)。こうして樹脂板上に総膜厚6. 2μmの透明
硬化物層を形成した。このサンプルを用いて各種物性の
測定および評価を行った。
【0152】一方、塗工液(A−1)を樹脂板に上記と
同様に塗工して乾燥し、紫外線を照射して充分に硬化さ
せ、上記と同じ厚さの透明硬化物層を形成した。このサ
ンプルについて、その透明硬化物層表面の耐磨耗性を評
価した。100回転後の耐磨耗性は2.8%であった。
以下の内層の耐磨耗性も同様にして測定した。
【0153】[例7]例6におけるサンプル調製方法を
以下のように変更した。塗工液(A−1)を塗工し乾燥
した後、これに150mJ/cm2 の紫外線を照射し、
膜厚5μmの部分硬化物層を形成した。その上に塗工液
(B−1)を塗工(ウェット厚み6μm)して乾燥した
後、これに3000mJ/cm2 の紫外線を照射した。
最後に本サンプルを100℃の熱風循環オーブン中で1
20分間保持した後に各種物性の測定および評価を行っ
た。
【0154】[例8]例7におけるサンプル調製方法を
以下のように変更した。最後に100℃の熱風循環オー
ブン中で120分間保持するかわりに、23℃、相対湿
度55%の空気雰囲気中で1日養生し、各種物性の測定
を行った。
【0155】[例9]例7におけるサンプル調製方法を
以下のように変更した。塗工液(B−1)のかわりに触
媒を含まないペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液
(固形分20重量%、ペルヒドロポリシラザンの数平均
分子量700、東燃株式会社製、商品名「V110」)
を用いて塗工(ウェット厚み6μm)して乾燥した。続
いて3重量%トリエチルアミン水溶液の浴の上に塗工面
を3分間保持してペルヒドロポリシラザンを硬化させ
た。
【0156】[例10]例6におけるサンプル調製方法
を以下のように変更した。塗工液(A−1)を塗工して
乾燥後、この上に塗工液(B−1)を塗工(ウェット厚
み6μm)して乾燥した。これに3000mJ/cm2
の紫外線を照射した。最後に本サンプルを100℃の熱
風循環オーブン中で120分間保持した後に各種物性の
測定および評価を行った。
【0157】[例11]撹拌機および冷却管を装着した
100mLの4つ口フラスコに、2−プロパノール15
g、酢酸ブチル15g、2,4,6−トリメチルベンゾ
イルジフェニルホスフィンオキシド150mg、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール1g、およびビス(1−オクチ
ルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジニル)セバケート200mgを加えて溶解させ、続い
てトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌ
レート10. 0gを加え常温で1時間撹拌した。続い
て、例1で合成したメルカプトシラン修飾コロイド状シ
リカ分散液を30. 3g加えさらに室温で15分撹拌し
て被覆用組成物(以下、塗工液(A−2)という)を得
た。
【0158】次に、樹脂板に塗工液(A−2)を塗工
(ウェット厚み16μm)して乾燥し、これに150m
J/cm2 の紫外線を照射し、膜厚5μmの部分硬化物
層を形成した。その上に塗工液(B−1)を塗工(ウェ
ット厚み6μm)して乾燥した後、これに3000mJ
/cm2 の紫外線を照射した。最後に本サンプルを10
0℃の熱風循環オーブン中で120分間保持した後に各
種物性の測定および評価を行った。
【0159】一方、塗工液(A−2)を用いて充分に硬
化させた透明硬化物層を形成した樹脂板のサンプルにつ
いて、その透明硬化物層表面の耐磨耗性を評価した。1
00回転後の耐磨耗性は0.9%であった。
【0160】[例12]例11におけるサンプル調製方
法を以下のように変更した。最後に100℃の熱風循環
オーブン中で120分間保持するかわりに、23℃、相
対湿度55%の空気雰囲気中で1日養生し、各種物性の
測定を行った。
【0161】[例13]例11において用いた修飾コロ
イド状シリカ分散液を同量の例2で合成したアクリルシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液に変えた他はすべて同
じ条件でサンプルを製造し、このサンプルを用いて各種
物性の測定および評価を行った。なお、このアクリルシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液を用いた塗工液を用い
て充分に硬化させた透明硬化物層の100回転後の耐磨
耗性は1.1%であった。
【0162】[例14]例11において用いた修飾コロ
イド状シリカ分散液を同量の例3で合成したアミノシラ
ン修飾コロイド状シリカ分散液に変えた他はすべて同じ
条件でサンプルを製造し、このサンプルを用いて各種物
性の測定および評価を行った。なお、このアミノシラン
修飾コロイド状シリカ分散液を用いた塗工液を用いて充
分に硬化させた透明硬化物層の100回転後の耐磨耗性
は1.3%であった。
【0163】[例15]例11において用いた修飾コロ
イド状シリカ分散液を同量の例4で合成したエポキシシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液に変えた他はすべて同
じ条件でサンプルを製造し、このサンプルを用いて各種
物性の測定および評価を行った。なお、このエポキシシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液を用いた塗工液を用い
て充分に硬化させた透明硬化物層の100回転後の耐磨
耗性は1.2%であった。
【0164】[例16]例11において用いた修飾コロ
イド状シリカ分散液を同量の例5で合成した2−プロパ
ノール分散のメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分
散液に変えた他はすべて同じ条件でサンプルを製造し、
このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行っ
た。なお、このメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を用いた塗工液を用いて充分に硬化させた透明硬
化物層の100回転後の耐磨耗性は1.4%であった。
【0165】[例17]例11におけるサンプル調製方
法を以下のように変更した。塗工液(A−2)を樹脂板
に塗工(ウェット厚み16μm)して乾燥した。これに
150mJ/cm2 の紫外線を照射し、膜厚5μmの部
分硬化物層を形成した。その上に塗工液(B−1)を塗
工(ウェット厚み6μm)して乾燥した後、これに30
00mJ/cm2 の紫外線を照射し、引き続いて170
℃の熱風循環オーブン中で5分間保持し、取り出し直後
に透明硬化物層塗工面が凸側になるように、64mmR
の曲率を持つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。そし
て、室温下で1日養生した物の外観を観察した結果、ク
ラックやしわがない良好な硬化物層を有していた。
【0166】一方、例11で最終的に得られた充分硬化
した2層の硬化物層を有するサンプルを170℃の熱風
循環オーブン中で5分間保持し、取り出し直後に透明硬
化物層塗工面が凸側になるように、64mmRの曲率を
持つ型に押しつけ、曲げ加工を施した。得られたサンプ
ルの外観を観察した結果、硬化物層にクラックとしわが
発生していた。
【0167】[例18]例6におけるサンプル調製方法
を以下のように変更した。塗工液(B−1)を塗工して
乾燥した後、さらに100℃の熱風循環オーブン中で1
0分間保持してペルヒドロポリシラザンを部分硬化させ
た(IR分析により、未硬化のペルヒドロポリシラザン
に比較してSi−Hの吸収強度が3/4程度となったこ
とを確認)。次に、これに3000mJ/cm2 の紫外
線を照射し、その後に120℃の熱風循環オーブン中で
120分間保持してペルヒドロポリシラザンを充分硬化
させた。得られたサンプルについて各種物性の測定およ
び評価を行った。
【0168】[例19]例18におけるサンプル調製方
法を以下のように変更した。最後の120℃の熱風循環
オーブン中で120分間保持するペルヒドロポリシラザ
ンの硬化のかわりに23℃、相対湿度55%の空気雰囲
気中で1日養生してペルヒドロポリシラザンを硬化さ
せ、各種物性の測定を行った。
【0169】[例20]例11におけるサンプル調製方
法を以下のように変更した。塗工液(B−1)を塗工し
て乾燥した後、さらに100℃の熱風循環オーブン中で
10分間保持してペルヒドロポリシラザンを部分硬化さ
せた(IR分析により、未硬化のペルヒドロポリシラザ
ンに比較してSi−Hの吸収強度が3/4程度となった
ことを確認)。次に、これに3000mJ/cm2 の紫
外線を照射し、その後に120℃の熱風循環オーブン中
で120分間保持してペルヒドロポリシラザンを充分硬
化させた。得られたサンプルについて各種物性の測定お
よび評価を行った。
【0170】[例21]塗工液(A−1)を樹脂板に塗
工(ウェット厚み20μm)して乾燥した。これに30
00mJ/cm2 の紫外線を照射し、膜厚6μmの透明
硬化物層を硬化させ、このサンプルを用いて各種物性の
測定および評価を行った。
【0171】[例22]塗工液(B−1)を樹脂板に塗
工(ウェット厚み10μm)して乾燥した。続いて10
0℃の熱風循環オーブン中で120分間保持し、膜厚2
μmの透明硬化物層を硬化させ、このサンプルを用いて
各種物性の測定および評価を行った。
【0172】[例23]塗工液(A−2)を樹脂板にバ
ーコータを用いて塗工(ウェット厚み20μm)して、
80℃の熱風循環オーブン中で5分間保持した。これに
3000mJ/cm2 の紫外線を照射し、膜厚6μmの
透明硬化物層を硬化させ、このサンプルを用いて各種物
性の測定および評価を行った。
【0173】[例24]例6における塗工液(B−1)
のかわりに、トリメトキシメチルシランの部分加水分解
縮合物(分子量2000)100g、コロイド状シリカ
(平均粒径11nm)30g、エチルセロソルブ150
g、および酢酸ブチル150gからなる塗工液(以下、
塗工液(X)という)を用いた。
【0174】樹脂板に塗工液(A−1)を塗工(ウェッ
ト厚み30μm)して乾燥し、これに150mJ/cm
2 の紫外線を照射し、膜厚7μmの透明硬化物層を形成
した。次に、この硬化物層表面に塗工液(X)を塗工
(ウェット厚み8μm)して、80℃の熱風循環オーブ
ン中で10分間保持して乾燥した。これに3000mJ
/cm2 の紫外線を照射し、さらに120℃で2時間保
持して総厚さ10μmの2層の透明硬化物層を形成し
た。
【0175】[例25]例24における塗工液(A−
1)のかわりに塗工液(A−2)を用い、例24と同じ
材料と条件を用いてサンプルを製造した。
【0176】
【表1】
【0177】
【発明の効果】本発明の透明被覆成形品の製造方法は、
ほぼ無機ガラスに匹敵する高い耐摩耗性の表面を有する
表面特性に優れた透明被覆成形品の製造方法であり、そ
の層構成に特徴を有する。それとともに、特に、被覆組
成物(A)の未硬化物ないし部分硬化物の層の表面に被
覆剤(B)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成し、
その後に被覆組成物(A)の硬化と被覆剤(B)の硬化
を行うことにより、両硬化物層間の密着力が向上しまた
被覆組成物(A)の硬化阻害のおそれが低減し、ひいて
は被覆剤(B)の硬化物層表面の耐摩耗性がさらに向上
する。また、特に、被覆組成物(A)の部分硬化物ない
し硬化物の層の表面に被覆剤(B)の未硬化物ないし部
分硬化物の層を形成し、次に熱曲げ加工を行い、その後
に被覆剤(B)の硬化を行うことにより、曲げ加工され
た透明被覆成形品を製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 横山 みか 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 山本 博嗣 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
    表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
    物層を含む透明被覆成形品を製造する方法において、2
    層以上の透明硬化物層のうち最外層に接する内層が活性
    エネルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多
    官能性化合物(a)を含む活性エネルギー線硬化性被覆
    組成物(A)の硬化物の層であり、最外層がポリシラザ
    ンまたはポリシラザンを含む硬化性組成物からなる被覆
    剤(B)の硬化物であるシリカ層であり、被覆組成物
    (A)の硬化物の層を形成した後その硬化物の層の表面
    に被覆剤(B)の未硬化物層を形成してその硬化を行う
    ことを特徴とする透明被覆成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
    表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
    物層を含む透明被覆成形品を製造する方法において、2
    層以上の透明硬化物層のうち最外層に接する内層が活性
    エネルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多
    官能性化合物(a)を含む活性エネルギー線硬化性被覆
    組成物(A)の硬化物の層であり、最外層がポリシラザ
    ンまたはポリシラザンを含む硬化性組成物からなる被覆
    剤(B)の硬化物であるシリカ層であり、被覆組成物
    (A)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後そ
    の未硬化物ないし部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)
    の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成し、その後被覆
    組成物(A)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化および
    被覆剤(B)の未硬化物ないし部分硬化物の硬化を行う
    ことを特徴とする透明被覆成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】被覆組成物(A)の未硬化物の層を形成し
    た後完全硬化には至らないまでの量の活性エネルギー線
    を照射して被覆組成物(A)の部分硬化物の層を形成
    し、その部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)の未硬化
    物ないし部分硬化物の層を形成し、その後被覆組成物
    (A)の部分硬化物の硬化および被覆剤(B)の未硬化
    物ないし部分硬化物の硬化を行う、請求項2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
    表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
    物層を含む透明被覆成形品を製造する方法において、2
    層以上の透明硬化物層のうち最外層に接する内層が活性
    エネルギー線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多
    官能性化合物(a)を含む活性エネルギー線硬化性被覆
    組成物(A)の硬化物の層であり、最外層がポリシラザ
    ンまたはポリシラザンを含む硬化性組成物からなる被覆
    剤(B)の硬化物であるシリカ層であり、被覆組成物
    (A)の未硬化物ないし部分硬化物の層を形成した後そ
    の未硬化物ないし部分硬化物の層の表面に被覆剤(B)
    の硬化物の層を形成し、その後被覆組成物(A)の未硬
    化物ないし部分硬化物の硬化を行うことを特徴とする透
    明被覆成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】透明合成樹脂基材および透明合成樹脂基材
    表面の少なくとも一部に設けられた2層以上の透明硬化
    物層を含みかつ曲げ加工された透明被覆成形品を製造す
    る方法において、2層以上の透明硬化物層のうち最外層
    に接する内層が活性エネルギー線硬化性の重合性官能基
    を2個以上有する多官能性化合物(a)を含む活性エネ
    ルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬化物の層であり、
    最外層がポリシラザンまたはポリシラザンを含む硬化性
    組成物からなる被覆剤(B)の硬化物であるシリカ層で
    あり、被覆組成物(A)の未硬化物、部分硬化物ないし
    硬化物の層およびその層の表面に被覆剤(B)の未硬化
    物ないし部分硬化物の層を形成した後これらの層を有す
    る基材を曲げ加工し、次いで被覆剤(B)の未硬化物な
    いし部分硬化物を、および被覆組成物(A)の未硬化物
    や部分硬化物が存在する場合はさらにそれを、硬化させ
    ることを特徴とする曲げ加工された透明被覆成形品の製
    造方法。
  6. 【請求項6】被覆組成物(A)が、さらに平均粒径20
    0nm以下のコロイド状シリカを含む、請求項1、2、
    3、4または5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】被覆組成物(A)の硬化物の層の厚さが1
    〜50μmである、請求項1、2、3、4、5または6
    記載の製造方法。
  8. 【請求項8】ポリシラザンがペルヒドロポリシラザンで
    ある、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の製
    造方法。
  9. 【請求項9】被覆剤(B)の硬化物の層の厚さが0.0
    5〜10μmである、請求項1、2、3、4、5、6、
    7または8記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001322207A (ja) * 2000-05-16 2001-11-20 Asahi Glass Co Ltd ガスバリア性プラスチック成形品およびその製造方法
KR101014582B1 (ko) * 2002-11-13 2011-02-16 아사히 가라스 가부시키가이샤 활성 에너지선 경화형 피복용 조성물 및 그 조성물의경화물로 이루어지는 피막을 갖는 성형품
KR101186812B1 (ko) 2004-11-23 2012-10-02 에이제트 일렉트로닉 머티어리얼스 (룩셈부르크) 에스.에이.알.엘. 폴리실라잔계 피복물, 및 필름, 특히 중합체 필름피복용으로서의 이의 용도

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