JPH11236555A - 帯電防止剤 - Google Patents

帯電防止剤

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JPH11236555A
JPH11236555A JP3892598A JP3892598A JPH11236555A JP H11236555 A JPH11236555 A JP H11236555A JP 3892598 A JP3892598 A JP 3892598A JP 3892598 A JP3892598 A JP 3892598A JP H11236555 A JPH11236555 A JP H11236555A
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JP
Japan
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sulfonic acid
antistatic
polymer
antistatic agent
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JP3892598A
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Inventor
Shigeo Kiuchi
茂夫 木内
Takaaki Kano
孝明 狩野
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックに練り込んで使用することがで
き、少量の添加量で優れた帯電防止性を発現し、かつ低
湿度下でも性能に優れた帯電防止剤を提供することを目
的とする。 【解決手段】 下記の(A)成分及び(B)成分を
(A)成分100重量部に対して(B)成分22〜50
重量部の割合で含有する帯電防止剤を製造する。 (A)スルホン酸基を含有する特定の繰返し単位1及び
繰り返し単位2を必須構成単位として含有し、繰返し単
位1と繰返し単位2のモル比が、繰返し単位1/繰返し
単位2=98/2〜80/20の範囲であるポリマーで
あって、かつ、その重量平均分子量が1,000〜1,000,000
の範囲である芳香族系ポリマー (B)一般式H2SO4・2N(式中、Nは、有機アミン
類である)で表される硫酸アミン塩

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止剤に関す
るものであり、詳しくは、プラスチックに練り込んで使
用することができ、低湿度下でも性能に優れた帯電防止
剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は、その優れた特性に
よって広い分野で使用されているが、電気絶縁性であり
静電気により帯電しやすいという性質がある。このた
め、プラスチック成型品に埃が付着してその外観を損ね
たり、また電気・電子機器等のケースや部品に使用した
場合は、静電気の放電により機器の誤動作やICなどの
電子部品の故障の原因となる場合がある。このため、プ
ラスチックの帯電防止について従来から様々な技術が開
発されている。
【0003】例えば、界面活性剤型の帯電防止剤をプラ
スチックに添加することが一般的に行われている。しか
し、この方法では、短期的な帯電防止性には優れるもの
の長期的に帯電防止性を維持できず、また水洗後には急
激に帯電防止性が低下するという耐水洗性の問題があ
る。
【0004】また、持続的な帯電防止性を付与するため
に、プラスチックにカーボン繊維やカーボンブラック等
の導電性無機物質を練り込む方法があるが、この方法で
は、前記カーボン繊維等の黒色によりプラスチックが着
色するため、使用できるプラスチックの色調が黒色に限
定されるという問題がある。
【0005】一方、最近では、導電性ポリマーを用い、
これとプラスチックとをポリマーアロイとして持続性の
ある帯電防止性をプラスチックに付与する技術が提案さ
れている。例えば、特開昭61−185557号公報、
特開昭62−25164号公報および特開昭64−17
48号公報等に、エピクロロヒドリンゴムのようなエピ
ハロヒドリン系ポリマーを添加して帯電防止性を付与す
る技術が、また特開昭58−118836号公報に、ポ
リエーテルエステルアミドを添加して帯電防止性を付与
する技術が、それぞれ開示されている。しかし、これら
の技術では、導電性ポリマーを大量に添加しなければ充
分な帯電防止性を付与することができず、また大量に添
加すると、プラスチックの機械的物性を低下させるとい
う問題がある。
【0006】この他に、ポリスチレンスルホン酸の第3
級アミン塩をプラスチックに添加する方法があり(特開
昭48−65237号公報)、この方法では、添加量を
比較的少なくして帯電防止性を付与することができる
が、水洗後の帯電防止性がある程度維持されるものの未
だ不充分であり、また、帯電防止性発現までにある程度
時間がかかるという問題がある。
【0007】さらには、特開平8−104787号公報
には、ポリスチレンスルホン酸の第3級アミン塩と硫酸
アミン塩を併用することが開示されているが、帯電防止
能が未だ充分とは言えない。また、特公昭45−292
40号公報には、耐水洗性の向上を目的として、スルホ
ン化ポリスチレンと固着剤とを併用する方法が開示され
ている。しかし、この方法は、練り込む方法ではなく、
プラスチック表面に塗工する方法であり、しかも塗工後
熱処理を必要とするため、その実施が煩雑であり、効率
的な方法ではない。そして、特開昭59−36159号
公報には、スルホン酸基の導入率が40〜100モル%
のポリスチレンスルホン酸ナトリウムを練り込みタイプ
の帯電防止剤として使用することが開示されているが、
この帯電防止剤は、水洗後の帯電防止性が未だ充分でな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
課題を解決するためになされたもので、着色の問題がな
く、少量の添加量で優れた帯電防止性を短時間で発現
し、しかも周囲の湿度が低いところでも性能の低下がな
く、長期間維持することが可能な耐水洗性に優れた練り
込みタイプの帯電防止剤の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、導電性ポリマーを中心に一連の研究
を重ねた結果、(A)重量平均分子量の範囲並びにスル
ホン酸基の導入率及び導入位置を特定したスルホン酸基
含有芳香族系ポリマーと(B)硫酸アミン塩とを、特定
の配合割合で用いることにより、プラスチックに練り込
んで使用することができ、少量の添加量で優れた帯電防
止性を長期間維持すること、さらには、従来のスルホン
酸基含有芳香族ポリマーだけよりも低湿度下で帯電防止
性能に優れること、さらには、着色の問題もなく、しか
も水洗後においても優れた帯電防止性を維持することを
見出し本発明に到達した。
【0010】前記目的を達成するために、本発明の帯電
防止剤は、下記の(A)成分及び(B)成分を(A)成
分100重量部に対して(B)成分22〜50重量部の
割合で含有する帯電防止剤。
【0011】(A)下記の一般式(1)で表される繰返
し単位1及び下記の一般式(2)で表される繰り返し単
位2を必須構成単位として含有し、繰返し単位1と繰返
し単位2のモル比が、繰返し単位1/繰返し単位2=9
8/2〜80/20の範囲であるポリマーであって、か
つ、その重量平均分子量が1,000〜1,000,0
00の範囲であるスルホン酸基含有芳香族系ポリマー
【0012】
【化3】 (式中、Xは水素又はメチル基であり、Mは有機アミン
類又は有機リン類であり、SO3M 基はベンゼン環の3
〜5位のいずれかにある)
【0013】
【化4】 (式中、Xは水素又はメチル基であり、Mは有機アミン
類及び有機リン類の少なくとも一方の塩基性有機基であ
り、nは0又は1の数であり、少なくとも一つのSO3
M 基はベンゼン環のオルト(o)位にある)
【0014】(B)一般式H2SO4・2N(式中、Nは
有機アミン類である)で表される硫酸アミン塩
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の帯電防止剤に配合される
(A)成分において、繰返し単位2の態様としては、n
が0の場合、SO3M 基は、ベンゼン環の2位又は6位
のいずれかにあり、nが1の場合、(1)1つのSO3
M 基がベンゼン環の2位にあり、もう1つのSO3
基が6位にある場合と、(2)1つのSO3M 基がベン
ゼン環の2位又は6位のいずれかにあり、もう1つのS
3M 基がベンゼン環の3〜5位のいずれかにある場合
とがある。
【0016】(A)成分を構成するスルホン酸基を含有
するモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸ま
たはその塩、α−メチルスチレンスルホン酸またはその
塩、ビニルトルエンスルホン酸またはその塩等が挙げら
れ、これらは単独でまたは2種類以上併用することがで
きる。このうちの2〜20モル%、好ましくは5〜15
モル%がオルト位にスルホン酸基を有する繰返し単位2
であり、残りが繰返し単位1である。繰返し単位2の割
合が、2モル%未満では帯電防止能が不充分であり、一
方、20モル%を超える場合にも同様に性能が満足され
ない場合がある。
【0017】(A)成分において、スルホン酸基を構成
する塩は、有機アミン類及び有機リン類の少なくとも一
方の物質である。
【0018】スルホン酸基を構成する有機アミン類とし
ては、例えば、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチ
ルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシ
ルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、
モノエタノールアミン、ヤシ油アルキルアミン、牛脂ア
ルキルアミン、水添牛脂アルキルアミン等の第1級アミ
ン、およびこれら第1級アミンのエチレンオキシド付加
体(エチレンオキシド平均付加モル数2〜100);ジ
ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、
ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルア
ミン、ジヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、
ジエタノールアミン、モルホリン等の第2級アミン;ト
リブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルア
ミン、トリ−デシルアミン、トリドデシルアミン、トリ
テトラデシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリオ
クタデシルアミン等の第3級アミン;およびこれらの2
種以上の混合物が挙げられる。これらのうち帯電防止性
の観点から、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘ
キサデシルアミン、オクタデシルアミン等の第1級アミ
ン、およびドデシルジエタノールアミン、テトラデシル
ジエタノールアミン、ヘキサデシルジエタノールアミ
ン、オクタデシルジエタノールアミン等の第1級アミン
のエチレンオキシド付加体が好ましい。
【0019】また、スルホン酸基を構成する有機リン類
としては、例えば、テトラエチルホスホニウム、テトラ
ブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、テ
トラオクチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウ
ム、メチルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフ
ェニルホスホニウム、メチルトリ−(m−トリル)ホス
ホニウム等が挙げられる。これらのうち帯電防止性およ
び耐熱性の観点から好ましいのは、テトラフェニルホス
ホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウムである。
【0020】尚、本発明において、スルホン酸基の合計
の導入率は、芳香族系ポリマーの芳香環に対する導入率
をいい、スルホン酸基の導入位置は、芳香族系ポリマー
の芳香環に対する導入位置をいう。その測定は、例え
ば、後述の方法により行うことができる。
【0021】本発明の(A)成分は、繰返し単位1及び
2のみから構成することができるが、所望により他の繰
返し単位を共重合させることもできる。このような他の
繰返し単位としては、次のモノマーが挙げられる。例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
ビニルナフタレン等の芳香族炭化水素モノマー、ビニル
トルエンスルホン酸またはその塩、ビニルナフタレンス
ルホン酸またはその塩等の芳香族スルホン酸モノマー、
ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、シクロペンタ
ジエン等の共役ジエン類、ブタジエン、イソプレン、ペ
ンタジエン、シクロペンタジエン等の共役ジエンのスル
ホン化物またはその塩、エチレン、プロピレン、ブテ
ン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタ
コン酸、シトラコン酸またはこれらの酸の有機アミン
塩、およびこれらの酸とアルコール、ポリエチレングリ
コール、イセチオン酸等の水酸基含有化合物とのエステ
ル類が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独ある
いは2種以上を併用することができる。このなかで、帯
電防止性および樹脂との相溶性の観点から、ブタジエ
ン、イソプレン、アクリル酸とポリエチレングリコール
とのエステル、メタクリル酸とポリエチレングリコール
とのエステルが好ましい。また、これら他のモノマーを
導入する場合、繰返し単位1及び2の含有量は、50重
量%以上、好ましくは70〜98重量%とするのがよ
い。50重量%未満では帯電防止能が不充分な場合があ
る。
【0022】本発明における芳香族系ポリマー(A)
は、繰返し単位1と繰返し単位2を誘導できるモノマ
ー、及び必要に応じて他のモノマーを公知の方法(ラジ
カル重合、アニオン重合、カチオン重合など)により重
合して得られ、その重量平均分子量は1,000〜1,0
00,000、好ましくは2,000〜500,000の
範囲である。この重量平均分子量の範囲を外れると、帯
電防止能が不充分となるからである。尚、重量平均分子
量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー法により測
定できる。
【0023】芳香族系ポリマー(A)は、例えば、以下
に示す方法により製造できる。 (1)スルホン酸基を有さない繰返し単位1に対応する
モノマーを重合した後、スルホン化する方法 (2)スルホン酸基を有さない繰返し単位1に対応する
モノマーと他のモノマーとを共重合した後、スルホン化
する方法 (3)繰返し単位1及び2のスルホン酸基を含んだモノ
マーを共重合する方法 (4)繰返し単位1及び2のスルホン酸基を含んだモノ
マーと他のモノマーとを共重合する方法 等である。
【0024】いずれの方法であってもよいが、これらの
方法の中でも、工業的には(1)及び(2)の方法で行
うのが経済的である。
【0025】また、(1)及び(2)の方法により製造
する場合には、スルホン化の際に使用する反応試剤、例
えば無水硫酸などを過剰に用いることにより、未反応の
硫酸が残存する。従って、スルホン酸基を有機アミンで
中和する際に同時に、(A)芳香族系ポリマーと(B)
硫酸アミン塩との混合物をワンポットで製造でき、かつ
(B)硫酸アミン塩を製造するにあたって硫酸を添加す
る必要がないので非常に効率的である。
【0026】本発明において、得られるポリマー中の繰
返し単位1及び繰返し単位2の量(モル比)を特定の範
囲とするには、例えば、p−スチレンスルホン酸アミン
塩及び/又はm−スチレンスルホン酸アミン塩とo−ス
チレンスルホン酸アミン塩とを共重合する方法やポリス
チレンを無水硫酸によりスルホン化する方法等の方法を
採用するのが好ましい。
【0027】本発明で用いるポリマー中の繰返し単位1
及び繰返し単位2の含有量は、例えば次のようにして求
めることができる。先ず、ポリマー中の全スルホン酸基
含有量を元素分析計測定による炭素原子と硫黄原子の比
より算出し、さらに、パラ位に結合したスルホン酸基の
量は、NMRスペクトル測定による芳香族環のプロトン
比から算出し、全スルホン酸基含有量からパラ位に結合
したスルホン酸基の量を差し引いて、オルト位に結合し
たスルホン酸基の量として、繰返し単位2を求める。
【0028】本発明の帯電防止剤に配合される(B)成
分である硫酸アミン塩を構成する有機アミン類として
は、例えば、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチル
アミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシル
アミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、モ
ノエタノールアミン、ヤシ油アルキルアミン、牛脂アル
キルアミン、水添牛脂アルキルアミン等の第1級アミ
ン、およびこれら第1級アミンのエチレンオキシド付加
体(エチレンオキシド平均付加モル数2〜100);ジ
ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、
ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルア
ミン、ジヘキサデシルアミン、ジオクタデシルアミン、
ジエタノールアミン、モルホリン等の第2級アミン;ト
リブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルア
ミン、トリ−デシルアミン、トリドデシルアミン、トリ
テトラデシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリオ
クタデシルアミン等の第3級アミン;およびこれらの2
種以上の混合物が挙げられる。これらのうち帯電防止性
の観点から、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘ
キサデシルアミン、オクタデシルアミン等の第1級アミ
ン、およびドデシルジエタノールアミン、テトラデシル
ジエタノールアミン、ヘキサデシルジエタノールアミ
ン、オクタデシルジエタノールアミン等の第1級アミン
のエチレンオキシド付加体が好ましい。
【0029】また、(A)スルホン酸基含有芳香族系ポ
リマーのスルホン酸塩を構成する有機アミンと、(B)
硫酸アミン塩を構成する有機アミンとは、同一でもよ
く、また異なっていてもよい。
【0030】(B)硫酸アミン塩は、通常の方法で製造
できる。例えば、(1)アミンまたは必要により有機溶
剤に希釈させたアミン分散(溶解)液に、硫酸を添加し
中和する方法、(2)所定量の硫酸を溶剤に希釈後、ア
ミンを添加し中和する方法、(3)未反応の硫酸を含む
スルホン化反応混合物に、アミンを添加し中和する方法
(例えば、前記したような(A)スルホン酸基含有芳香
族系ポリマーを製造する際に過剰の無水硫酸を添加後、
アミンで中和し、(A)芳香族系ポリマーと(B)硫酸
アミン塩とを同時に生成する方法)等が挙げられるが、
特に限定されない。
【0031】本発明の帯電防止剤は、(A)スルホン酸
基含有芳香族ポリマーと(B)硫酸アミン塩とを含有
し、(B)の(A)に対する配合量は、(A)100重
量部に対し、(B)が22〜50重量部、好ましくは2
2〜40重量部である。(B)の量が22重量部未満で
は帯電防止効果が充分発現せず、50重量部を超えると
プラスチックス本来の物性を低下させる。
【0032】つぎに、本発明の帯電防止剤が適用できる
プラスチックスの種類としては、例えば、ポリスチレン
樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹
脂)、メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂(M
S樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共
重合樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂があげられ
る。これらのプラスチックスの中でも、特に、ゴム成分
を有する耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)およびAB
S樹脂が好ましい。
【0033】本発明の帯電防止剤の配合割合は、プラス
チックス100重量部に対し、通常、1〜20重量部、
好ましくは1〜15重量部、より好ましくは2〜10重
量部である。帯電防止剤の配合割合が1重量部未満では
充分な帯電防止性が得られず、20重量部を超えるとプ
ラスチックス本来の物性を低下させるおそれがあるから
である。
【0034】本発明の帯電防止剤を各種プラスチックス
に添加する際には、必要に応じて高級アルコール、脂肪
酸アマイド、脂肪酸金属石鹸等の滑剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、シリコン誘導体、ブロッキング防止剤、着
色剤、充填剤、可塑剤、他の公知の帯電防止剤、その他
の添加剤等を併用することができる。これらの添加剤の
配合割合はプラスチックス100重量部に対して0.0
5〜30重量部添加するのが適当である。
【0035】本発明の帯電防止剤の形態は特に制限する
ものではなく、例えば、粉末状、ワックス状、ペースト
状のいずれであってもよい。
【0036】そして、本発明の帯電防止剤を用いたプラ
スチックの成形加工は、まず、ペレットもしくは粉末状
のプラスチックスと共にヘンシェルミキサーなどで均一
に混合するか、または、押出機などで帯電防止剤が添加
されたコンパウンドを調製した後、これら混合物もしく
はコンパウンドを各種成型器に供給して成型することに
より行うことができる。また、本発明の帯電防止剤を高
濃度に添加したマスターバッチを調製し、これを希釈し
て使用することも可能である。
【0037】本発明の帯電防止剤を添加したプラスチッ
クスは、プレス成型、射出成型、押出成型、ブロー成
型、カレンダー成型等の一般的なプラスチックの成形法
によりシートフィルムをはじめ種々の形状の成型品に加
工することができる。
【0038】また、本発明の帯電防止剤は、インキ、塗
料等に使用しても、優れた帯電防止効果を発現する。
【0039】
【実施例】つぎに、実施例について比較例と併せて説明
する。まず、下記の合成例1、2により本発明の帯電防
止剤に配合するポリマー(A〜L)をそれぞれ合成し
た。尚、ポリマー(A〜L)の重量平均分子量、及び繰
返し単位1と繰返し単位2の比率の測定は次の方法で行
った。
【0040】(1)ポリマーの重量平均分子量 標準物質として標準ポリスチレンを用い、分離カラムと
してTSK−G4000HXLとG2500HXL
(7.8mmID×30cm、東ソー社製)を使用し、
紫外線検出器(測定波長266nm)を用いてゲル浸透
クロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
【0041】(2)ポリマー中の繰返し単位1と繰返し
単位2の比率の測定 ポリマーが芳香族炭化水素モノマーのホモポリマーのス
ルホン化物の場合は、元素分析計(カルロエルバ社製E
A−1108型)により測定した炭素原子と硫黄原子の
比から芳香環1ユニット当たりのスルホン酸基導入率を
計算した(該水溶性ポリマー中に硫酸塩を含む場合は、
イオンクロマトグラフィーでその量を定量し、その硫黄
原子量を元素分析計で得た硫黄原子量より差し引い
た)。また、芳香環のパラ位のスルホン酸基導入率は、
1H−NMRスペクトル(日本電子(株)製JNM−E
X270型)を測定し、7.6ppm付近のピーク強度
(a)と8.1ppm付近のピーク強度(b)から、
(b/2)/(a/3+b/2)×100の式により求
めた。芳香環のオルト位のスルホン酸基の導入率は、元
素分析計で求めたスルホン酸基の導入率からパラ位の導
入率を差し引いた値をその導入率とした。
【0042】ポリマーが芳香族炭化水素モノマーと共役
ジエンとの共重合体のスルホン化物の場合は、共役ジエ
ンモノマーユニットのスルホン酸基導入率を100%と
し、芳香族炭化水素モノマーユニットのスルホン酸基導
入率を元素分析計により測定した炭素原子と硫黄原子の
比から計算した(該水溶性ポリマー中に硫酸塩を含む場
合は、イオンクロマトグラフィーでその量を定量し、そ
の硫黄原子量を元素分析計で得た硫黄原子量より差し引
いた)。また、芳香環のパラ位のスルホン酸基導入率
は、 1H−NMRスペクトルを測定し、7.6ppm付
近のピーク強度(a)と8.1ppm付近のピーク強度
(b)から、(b/2)/(a/3+b/2)×100
の式により求めた。芳香環のオルト位のスルホン酸基の
導入率は、元素分析計で求めたスルホン酸基の導入率か
らパラ位の導入率を差し引いた値をその導入率とした。
【0043】合成例1 重量平均分子量7,000のポリスチレン100重量部
を1,2−ジクロロエタン400重量部に溶解し、更に
アセトフェノン1.0重量部を添加して原料溶液を調製
した。この原料溶液をタービン型撹拌機付きのスルホン
化反応器にスルホン化剤であるSO3 とともに連続的に
供給して、45℃でスルホン化反応を行った。この場
合、供給速度は、原料溶液24g/分、SO3 4.36
g/分、ポリスチレン中のスチレン単位に対するSO3
のモル比は1.18、また、反応器はジャケット付きで
容量400mlのものを使用した。得られたスルホン化
物をドデシルジエタノールアミンで中和後、濃縮、乾燥
し、ポリスチレンスルホン酸ドデシルジエタノールアミ
ン塩と硫酸ドデシルジエタノールアミン塩との混合物を
得た。得られたポリスチレンドデシルジエタノールアミ
ン塩(ポリマーA)の重量平均分子量は28,000で
あった。また、得られたポリスチレンスルホン酸を分析
した結果、スチレン単位に対する全スルホン酸基導入率
は102モル%、パラ位へのスルホン酸基導入率は90
モル%、オルト位へのスルホン酸基導入率は12モル%
であった。また、硫酸ドデシルジエタノールアミン塩の
含有量は30重量%であった。
【0044】他方、ポリマーK及びLの合成は、表1に
示すように、原料ポリマー及び中和する塩基が異なる以
外はポリマーAの合成と全く同様にして、そのスルホン
化物を得た。
【0045】合成例2 重量平均分子量20,000のスチレン−イソプレン共
重合体100重量部を1,2−ジクロロエタン900重
量部に溶解し、更にジエチルエーテル1.0重量部を添
加して原料溶液を調製した。この原料溶液を共重合体中
のスチレン単位に対するSO3 のモル比を0.95にし
て、合成例1と同様にしてスルホン化反応を行なった。
得られたスルホン化物から溶媒を留去後、さらに乾燥し
て粉末状の該重合体のスルホン酸を得た。これをエタノ
ールに溶解し、オクタデシルジエタノールアミンで中和
後、濃縮、乾燥し、該重合体スルホン酸のオクタデシル
ジエタノールアミン塩を固形物として得た。得られたも
の(ポリマーC)の重量平均分子量は80,000であ
った。また、得られた該重合体のスルホン酸を分析した
結果、スチレン単位に対する全スルホン酸基導入率は8
6モル%、パラ位へのスルホン酸基導入率は78モル
%、オルト位へのスルホン酸基導入率は8モル%であっ
た。
【0046】他方、ポリマーD、H、I及びJの合成
は、表1に示すように、原料ポリマー及び中和する塩基
が異なる以外はポリマーAの合成と全く同様にして、そ
のスルホン化物を得た。
【0047】尚、表1において、スルホン酸を中和して
いる有機アミン、有機リンとしてはポリマーAはドデシ
ルジエタノールアミン、Cはオクタデシルジエタノール
アミン、Dはテトラブチルホスホニウム、Hはテトラデ
シルアミン、Iはトリテトラデシルアミン、Jはジオク
タデシルアミン、Kはドデシルアミン/オクタデシルジ
エタノールアミン=8/2(重量比)の混合物、Lは牛
脂アミンである。
【0048】合成例3 スチレン10重量部、p−スチレンスルホン酸のテトラ
デシルアミンとの中和塩80重量部、o−スチレンスル
ホン酸のテトラデシルアミンとの中和塩10重量部を、
トルエン400重量部に溶解させた。これを窒素置換し
た後、過酸化ベンゾイル1.5重量部を加え、90℃で
6時間重合させた。得られたポリスチレンスルホン酸テ
トラデシルアミン塩(ポリマーB)の重量平均分子量は
200,000であった。
【0049】他方、ポリマーE、F、Gの合成は、表1
に示すように、それぞれ対応するモノマーをポリマーB
と同様にして、その重合物を得た。
【0050】比較合成例1 1,2−ジクロロエタンに溶解した重量平均分子量7,
000のポリスチレンを、リン酸トリエチルの存在下、
無水硫酸でスルホン化した後、濾過、洗浄、乾燥して、
粉末状のポリスチレンスルホン酸を得た。このポリスチ
レンスルホン酸粉末50重量部を、トルエン250重量
部、エチルアルコール40重量部及びトリドデシルアミ
ン146重量部を混合した溶液に加えた。さらに、硫酸
1重量部を加えて均一にした後、減圧下、溶媒を留去し
て、ポリスチレンスルホン酸トリドデシルアミン塩18
5重量部及びトリドデシルアミン硫酸塩12重量部を含
む固形物を得た。得られたもの(ポリマーM)の重量平
均分子量は45,000であった。また、得られたポリ
スチレンスルホン酸を分析した結果、スチレン単位に対
する全スルホン酸基導入率は100モル%、パラ位への
スルホン酸基導入率は100モル%、オルト位へのスル
ホン酸基導入率は0モル%であった。
【0051】
【表1】ポリマー モノマー組成(モル%) Mw×103 Mw/Mn A スチレン(100) 7 2.5 B スチレン(10) 200 3.5 p-スチレンスルホン酸テトラデシルアミン塩(80) o-スチレンスルホン酸テトラデシルアミン塩(10) C スチレン(70) 20 2.1 イソプレン(30) D α−メチルスチレン(90) 15 2.0 メタクリル酸のPEG200エステル(10) E p-スチレンスルホン酸ドデシルアミン塩(75) 70 3.0 o-スチレンスルホン酸ドデシルアミン塩(5) イソプレンのスルホン化物ドデシルアミン塩(20) F p-スチレンスルホン酸ジデシルアミン塩(92) 160 3.5 o-スチレンスルホン酸ジデシルアミン塩(3) アクリル酸ジエタノールアミン塩(5) G p-スチレンスルホン酸テトラフェニル 400 3.0 ホスホニウム塩(97) o-スチレンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩(3) H α−メチルスチレン(50) 30 2.5 イソプレン(40) メタクリル酸のPEG400エステル(10) I スチレン(60) 50 2.8 ブタジエン(20) メタクリル酸(20) J スチレン(90) 40 2.2 無水マレイン酸(10) K スチレン(100) 10 2.7 L スチレン(100) 20 3.0
【0052】このようにして得られたポリマーA〜L、
及びポリマーMについて、芳香環へのスルホン酸基の導
入率、繰返し単位1と繰返し単位2とのモル比(単位1
/単位2)、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比(Mw/Mn)を表2に示す。
【0053】
【表2】 ポリマー 芳香環へのスルホン酸基 単位1/単位2 Mw×103 Mw/Mn 導入率(モル%) 総導入率 単位1 単位2 (モル比) A 102 90 12 88/12 28 4.5 B − − − 89/11 − − C 86 78 8 91/9 80 2.5 D 90 75 15 83/17 64 2.4 E − − − 94/6 − − F − − − 97/3 − − G − − − 97/3 − − H 80 76 4 95/5 100 3.5 I 88 74 14 84/16 170 4.0 J 90 72 18 80/20 160 3.5 K 100 98 2 98/2 40 4.8 L 100 80 20 80/20 80 5.0 M 100 100 0 100/0 45 4.0 *ポリマーB、E〜Gについては、モノマーとしてスチレンスルホン酸塩を使用 したため、芳香環へのスルホン酸基の導入率は省略した。また、同ポリマーにお いて、Mw及びMw/Mnについては、表1の記載と重複するため、その記載を 省略した。
【0054】つぎに、上記ポリマーA〜Mを配合して表
3に示すように、本発明の帯電防止剤及び比較品を調製
した。本発明の帯電防止剤及び比較品について、下記の
3種類の樹脂に使用した場合の性能を評価した。
【0055】
【表3】 帯電防止剤 ポリマー 硫酸アミン塩 (重量部) (重量部) I A(100) 硫酸ドデシルジエタノールアミン塩(30) II B(100) 硫酸テトラデシルアミン塩(50) III C(100) 硫酸オクタデシルジエタノールアミン塩(22) IV D(100) 硫酸トリ−デシルアミン塩(23) V E(100) 硫酸ドデシルアミン塩(48) VI F(100) 硫酸ジデシルアミン塩(45) VII G(100) 硫酸オクタデシルジエタノールアミン塩(30) VIII H(100) 硫酸テトラデシルアミン塩(35) IX I(100) 硫酸トリ−デシルアミン塩(22) X J(100) 硫酸ジオクタデシルアミン塩(50) XI K(100) ドデシルアミン/オクタデシルジエタノールアミン =8/2混合物の硫酸塩(33) XII L(100) 硫酸の牛脂アミン塩(40) XIII A(100) 硫酸ドデシルジエタノールアミン塩(30) +硫酸ドデシルジエタノールアミン塩(25)添加 IXV B(100) 硫酸ドデシルアミン塩(20) XV E(100) 硫酸トリ−デシルアミン塩(20) XVI M(100) 硫酸トリドデシルアミン塩(12) XVII M(100) 硫酸ドデシルジエタノールアミン塩(30)
【0056】(耐衝撃性ポリスチレン樹脂)耐衝撃性ポ
リスチレン100重量部に対し、下記の表4に示す帯電
防止剤をそれぞれ加え、200℃で5分間ロール練りし
た後、プレス成型して、6つの耐衝撃性ポリスチレン板
を得た。これらの耐衝撃性ポリスチレン板を、それぞれ
25℃・60%RH(相対湿度)の雰囲気下で24時間
調湿した後、ハイレスター型抵抗測定装置(三菱油化社
製)を用いて、印加電圧500Vで電圧印加1分後の表
面固有抵抗値を測定した。次に、この耐衝撃性ポリスチ
レン板を、25℃・20%RH(相対湿度)の雰囲気下
で24時間調湿した後、ハイレスター型抵抗測定装置
(三菱油化社製)を用いて、印加電圧500Vで電圧印
加1分後の表面固有抵抗値を測定した。さらに、この耐
衝撃性ポリスチレン板を30分間超音波洗浄した後、表
面の水分を拭き取り、25℃・20%RHの雰囲気下で
24時間調湿した後、前述と同様にして表面固有抵抗値
を測定した。さらに、静電電圧減衰測定器(タイプ40
6D、Electro−Tech System In
c.製、米国、以下同じ)を用い、電圧5KV荷電後、
静電電圧の90%減衰期(秒)を測定した。その結果も
下記の表4に示す。表4において、表面固有抵抗値の小
さいほど帯電防止効果が高いことを示し、低湿度下でも
表面固有抵抗値の小さい方がより帯電防止効果が高いこ
とを示す。また、静電電圧減衰期の値が小さい方が帯電
防止効果が高いことを示す。このことは、以下の表5お
よび表6も同様である。また、対照として、帯電防止剤
無添加の耐衝撃性ポリスチレン板を前述と同様に作製
し、前述と同様の評価を行った。
【0057】
【表4】 帯電防止剤 表面固有抵抗値(Ω) 静電電圧減衰期(秒) 25℃,20%RH 25℃,20%RH 種類 添加量* (洗浄後) 25℃,20%RH 無添加品 − 1016< 1016< 60< I 6 3×1011 3×1011 4 IV 5.2 5×1011 5×1011 6 VI 4.5 6×1011 6×1011 5 XI 5 4×1011 4×1011 4.4 XIII 6 3×1011 3×1012 15 XVI 6 5×1014 7×1014 30 ポリマーA 6 3×1013 3×1013 20 *樹脂に対する重量%
【0058】表4の結果から、実施例の帯電防止剤
(I,IV,VI,XI)を用いた耐衝撃性ポリスチレン板で
は、少量の添加量で優れた帯電防止性が得られ、さらに
低湿度下でも、この効果を維持したことがわかる。しか
しながら、比較例の帯電防止剤(ポリマーA単独)を用
いた耐衝撃性ポリスチレン板では、実施例の帯電防止剤
を用いた耐衝撃性ポリスチレン板より低湿度下での帯電
防止能に劣っていた。また、比較例の帯電防止剤XIII
(ポリマーAと硫酸ドデシルジエタノールアミン塩との
100重量部/55重量部配合物)を用いた耐衝撃性ポ
リスチレン樹脂板では、水洗後の帯電防止性が劣ってい
た。さらに、比較例の帯電防止剤XVI (ポリマーMと硫
酸トリドデシルアミン塩との100重量部/12重量部
配合物)を用いた耐衝撃性ポリスチレン樹脂板も実施例
の帯電防止剤を用いた耐衝撃性ポリスチレン樹脂板に比
べて劣るものであった。
【0059】(ABS樹脂)ABS樹脂100重量部に
対し、下記の表5に示す帯電防止剤をそれぞれ加え、2
20℃で5分間ロール練りした後、プレス成型して、6
つのABS樹脂板を得た。これらのABS樹脂板を、そ
れぞれ25℃・60%RH(相対湿度)の雰囲気下で2
4時間調湿した後、ハイレスター型抵抗測定装置(三菱
油化社製)を用いて、印加電圧500Vで電圧印加1分
後の表面固有抵抗値を測定した。次に、このABS樹脂
板を25℃・20%RH(相対湿度)の雰囲気下で24
時間調湿した後、ハイレスター型抵抗測定装置(三菱油
化社製)を用いて、印加電圧500Vで電圧印加1分後
の表面固有抵抗値を測定した。さらに、このABS樹脂
板を30分間超音波洗浄した後、表面の水分を拭き取
り、25℃・20%RHの雰囲気下で24時間調湿した
後、前述と同様にして表面固有抵抗値を測定した。さら
に、静電電圧減衰特性測定器を用い、電圧5KV荷電
後、静電電圧の90%減衰期(秒)を測定した。その結
果も下記の表5に示す。また、対照として、帯電防止剤
無添加のABS樹脂板を前述と同様に作製し、前述と同
様の評価を行った。
【0060】
【表5】 帯電防止剤 表面固有抵抗値(Ω) 静電電圧減衰期(秒) 25℃,20%RH 25℃,20%RH 種類 添加量* (洗浄後) 25℃,20%RH 無添加品 − 1016< 1016< 60< II 6 5×1011 5×1011 8 III 6.3 4×1011 4×1011 4.8 VII 8.8 6×1011 6×1011 6.5 IX 6.5 7×1011 7×1011 5 IXV 6 3×1011 4×1012 18 XVII 6 2×1014 3×1014 26 ポリマーB 6 3×1013 4×1013 25 *樹脂に対する重量%
【0061】表5の結果から、実施例の帯電防止剤(I
I,III,VII,IX)を用いたABS樹脂板では、前記ポ
リスチレン板と同様に、少量の添加量で優れた帯電防止
性が得られ、水洗後においても、この効果を維持したこ
とがわかる。しかしながら、比較例の帯電防止剤(ポリ
マーB単独)を用いたABS樹脂板では、実施例の帯電
防止剤を用いたABS樹脂板より低湿度下での帯電防止
能に劣っていた。また、比較例の帯電防止剤IXV(ポリマ
ーBと硫酸ドデシルアミン塩との100重量部/20重
量部配合物)を用いたABS樹脂板では、水洗後の帯電
防止性が劣っていた。さらに、比較例の帯電防止剤XVII
(ポリマーMと硫酸ドデシルジエタノールアミン塩との
100重量部/30重量部配合物)も実施例の帯電防止
剤を用いたABS樹脂板に比べて劣るものであった。
【0062】(GPグレードポリスチレン樹脂)GPグ
レードのポリスチレン樹脂100重量部に対し、下記の
表6に示す帯電防止剤をそれぞれ加え、200℃で5分
間ロール練りした後、プレス成型して、6つのポリスチ
レン樹脂板を得た。これらのポリスチレン樹脂板を、そ
れぞれ25℃・60%RHの雰囲気下で24時間調湿し
た後、ハイレスター型抵抗測定装置(三菱油化社製)を
用いて、印加電圧500Vで電圧印加1分後の表面固有
抵抗値を測定した。次に、このポリスチレン樹脂板を2
5℃・20%RH(相対湿度)の雰囲気下で24時間調
湿した後、ハイレスター型抵抗測定装置(三菱油化社
製)を用いて、印加電圧500Vで電圧印加1分後の表
面固有抵抗値を測定した。さらに、このポリスチレン樹
脂板を30分間超音波洗浄した後、表面の水分を拭き取
り、25℃・20%RHの雰囲気下で24時間調湿した
後、前述と同様にして表面固有抵抗値を測定した。さら
に、静電電圧減衰特性測定器を用い、電圧5KV荷電
後、静電電圧の90%減衰期(秒)を測定した。その結
果も下記の表6に示す。また、対照として、帯電防止剤
無添加のポリスチレン樹脂板を前述と同様に作製し、前
述と同様の評価を行った。
【0063】
【表6】 帯電防止剤 表面固有抵抗値(Ω) 静電電圧減衰期(秒) 25℃,20%RH 25℃,20%RH 種類 添加量* (洗浄後) 25℃,20%RH 無添加品 − 1016< 1016< 60< V 4 5×1011 5×1011 5.2 VIII 4 3×1011 3×1011 3.8 X 10.2 6×1011 6×1011 7.3 XII 7.2 6×1011 6×1011 6.8 XV 5 4×1011 4×1012 14 ポリマーE 4 3×1013 3×1013 22 *樹脂に対する重量%
【0064】表6の結果から、実施例の帯電防止剤
(V,VIII,X,XII)を用いたポリスチレン樹脂板で
は、前記耐衝撃性ポリスチレン板およびABS樹脂板と
同様に、少量の添加量で優れた帯電防止性が得られ、水
洗後においても、この効果を維持したことがわかる。し
かしながら、比較例の帯電防止剤(ポリマーE)を用い
たポリスチレン樹脂板では、実施例の帯電防止剤を用い
たポリスチレン樹脂板より、低湿度下での帯電防止能に
劣っていた。また、比較例の帯電防止剤XV(ポリマーE
と硫酸トリ−デシルアミン塩との100重量部/20重
量部配合物)を用いたポリスチレン樹脂板では、水洗後
の帯電防止性が劣っていた。
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明の帯電防止剤は、
プラスチックに練り込んで使用することができ、着色の
問題がなく、少量の添加量で速やかに優れた帯電防止性
を発現し、かつ低湿度下でも性能に優れ、しかもこの効
果を長期間維持し、耐水洗性にも優れる。このため、本
発明の帯電防止剤の使用により、様々な用途のプラスチ
ック成型品等に対し、低コストで簡単に優れた帯電防止
性を長期間付与することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08L 101/00 C08L 101/00 (C08L 101/00 25:18)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)成分及び(B)成分を
    (A)成分100重量部に対して(B)成分22〜50
    重量部の割合で含有する帯電防止剤。 (A)下記の一般式(1)で表される繰返し単位1及び
    下記の一般式(2)で表される繰り返し単位2を必須構
    成単位として含有し、繰返し単位1と繰返し単位2のモ
    ル比が、繰返し単位1/繰返し単位2=98/2〜80
    /20の範囲であるポリマーであって、かつ、その重量
    平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲で
    あるスルホン酸基含有芳香族系ポリマー 【化1】 (式中、Xは水素又はメチル基であり、Mは有機アミン
    類又は有機リン類であり、SO3M 基はベンゼン環の3
    〜5位のいずれかにある) 【化2】 (式中、Xは水素又はメチル基であり、Mは有機アミン
    類及び有機リン類の少なくとも一方の塩基性有機基であ
    り、nは0又は1の数であり、少なくとも一つのSO3
    M 基はベンゼン環のオルト(o)位にある) (B)一般式H2SO4・2N(式中、Nは有機アミン類
    である)で表される硫酸アミン塩
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7910673B2 (en) 2008-08-12 2011-03-22 Sony Corporation Antistatic agent for thermoplastic resin and antistatic resin composition

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