JPH11235783A - ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法

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JPH11235783A
JPH11235783A JP3863898A JP3863898A JPH11235783A JP H11235783 A JPH11235783 A JP H11235783A JP 3863898 A JP3863898 A JP 3863898A JP 3863898 A JP3863898 A JP 3863898A JP H11235783 A JPH11235783 A JP H11235783A
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polyolefin resin
resin film
metal plate
film
corona discharge
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JP3863898A
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Koji Mori
浩治 森
Keiichi Watanabe
啓一 渡辺
Kenichi Okubo
謙一 大久保
Kenji Koshiishi
謙二 輿石
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着強度の優れたポリオレフィン樹脂フィル
ムラミネート金属板を提供する。 【構成】 オレフィン系ゴム等のゴム成分が配合された
ポリオレフィン樹脂のフィルムを巻き出した後、接着剤
層に接するフィルム面をコロナ放電処理し、コロナ放電
処理面がJIS K6768の濡れ指数で表面張力38
dyne/cm以上の表面張力を維持している状態のポ
リオレフィン樹脂フィルムを接着剤層が表面に形成され
た金属板に積層する。金属板には、接着剤の塗布に先立
ってプライマー層を形成しても良い。 【効果】 コロナ放電処理で改質された高表面張力の表
面状態を維持してポリオレフィン樹脂がラミネートされ
るため、凝集破壊,界面剥離等のないフィルムラミネー
ト金属板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩ビ鋼板の代替材料と
して家電製品の外装材,内装建材,各種器物等に使用さ
れるポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩ビ鋼板等の塩化ビニル樹脂で被覆した
金属板は、表面を形成している塩化ビニル樹脂が可塑
剤,安定剤等の処方によって優れた物性を発揮し、また
任意の顔料を配合することによって種々の色調が付与さ
れる。エンボス加工により意匠性も付与され、厚膜効果
によって重量感を付けた素材ともなる。塩ビ鋼板は、こ
れらの特性を活用し、家電製品の外装材,内装建材,各
種器物等の広範な分野で使用されている。しかし、表面
層を形成する塩化ビニル樹脂にClが含まれていること
から環境対対策上で問題とされ、塩ビ鋼板の使用が商品
イメージ、ひいては企業イメージに悪影響を及ぼす虞れ
がある。このようなことから、塩ビ鋼板と同等の特性を
もつ塗装鋼板やラミネート鋼板への切替えが進められて
おり、代表的なものにポリオレフィン樹脂フィルムラミ
ネート鋼板がある。
【0003】ポリオレフィン樹脂は、フッ素樹脂と同様
に難接着性のプラスチックである。そのため、ポリオレ
フィン樹脂の接着には、熱融着による接着法を採用せざ
るを得ない。鋼板に対する接着性を付与するための処理
も必要となる。たとえば、無水マレイン酸等で接着変性
したポリオレフィン樹脂(接着剤)を鋼板とポリオレフ
ィン樹脂フィルムとの間に介在させ、鋼板に対する接着
性を改善している。また、特開昭54−71180号公
報では、極性基含有エチレン形不飽和単量体変性オレフ
ィン樹脂の極性基,結晶化度,塗膜形成性ベース樹脂の
配合成分,配合割合等の調整によって、ポリオレフィン
樹脂/金属基体間に十分な接着力が得られることが報告
されている。
【0004】しかし、無水マレイン酸等の極性基含有ポ
リオレフィン樹脂は、鋼板に対する接着性を付与するも
のの耐水性,耐湿性に劣る。たとえば、無水マレイン酸
変性ポリプロピレン樹脂を接着剤として使用したポリオ
レフィン樹脂フィルムラミネート鋼板を沸騰水に24時
間浸漬すると、接着剤層が凝集破壊し、鋼板/接着剤層
間が界面剥離する。凝集破壊や界面剥離は、無水マレイ
ン酸等の極性基部が吸水して膨潤し、凝集力が低下する
ことに原因がある。また、接着剤層中で鋼板表面に配向
していた無水マレイン酸等の極性基と鋼板との界面に水
分が浸透し、極性基が鋼板表面から解離することも一因
である。しかも、極性基の導入によりポリオレフィン樹
脂の耐水性,耐湿性が低下する。
【0005】そこで、本発明者等は、極性基を導入する
ことなく、ポリオレフィン樹脂フィルムの接着性を改善
する方法を調査・研究した。その結果、コロナ放電処理
がポリオレフィン樹脂フィルムの接着性改善に有効であ
ることを見出し、特願平9−325527号で提案し
た。すなわち、接着剤層に接する面をコロナ放電処理に
よりJIS濡れ指数で表面張力38dyne/cm以上
に改質し、ガラス転移温度−5〜25℃でポリオール樹
脂/イソシアネート系の接着剤を使用すると、十分な接
着力が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】コロナ放電処理は、通
常、フィルムメーカでポリオレフィン樹脂フィルムを製
造する際のインライン処理である。そのため、鋼板メー
カでポリオレフィン樹脂フィルムを鋼板に積層するまで
には、コロナ放電処理から相当の期間が経過している。
ポリオレフィン樹脂単体からなる樹脂フィルムでは、コ
ロナ放電処理面が大きく経時変化することはない。しか
し、ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板を塩
ビ鋼板の代替材料にする場合、塩化ビニル樹脂の感触や
風合いに近付けるためゴム成分が配合されている。ゴム
成分が配合された系においては、コロナ放電処理面が経
時変化することが本発明者等による調査・研究から判明
した。特にゴム成分の配合量が高い場合、ポリオレフィ
ン樹脂フィルムのコロナ放電処理面が経時変化し、JI
S濡れ指数で定義される表面張力が大幅に低減する。
【0007】具体的には、エチレンプロピレンゴムを2
0重量%配合したポリプロピレン樹脂フィルムにコロナ
放電処理すると、処理直後の表面張力が51dyne/
cmであったものが、20℃の環境で1か月経過した時
点では31dyne/cmまで低下した。そして、1か
月経過した樹脂フィルムをポリオール樹脂/イソシアネ
ート系の接着剤で接着して得た樹脂フィルムラミネート
鋼板では、積層後20℃で24時間静置したものでも1
80度剥離強度が4N/10mmに過ぎず、明らかに接
着強度が不足していた。本発明は、ゴム成分配合ポリオ
レフィン樹脂フィルムのコロナ放電処理面の経時変化に
よる表面張力低下を防止すべく案出されたものであり、
金属板にポリオレフィン樹脂フィルムをラミネートする
直前にコロナ放電処理を施すことにより、ポリオレフィ
ン樹脂の組成に拘らず、安定して高い接着強度をもつポ
リオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、ゴム成分が配合されたポリオレ
フィン樹脂のフィルムを巻き出した後、接着剤層に接す
るフィルム面をコロナ放電処理し、コロナ放電処理面が
JIS K6768の濡れ指数で表面張力38dyne
/cm以上の表面張力を維持している状態のポリオレフ
ィン樹脂フィルムを接着剤層が表面に形成された金属板
に積層することを特徴とする。ポリオレフィン樹脂に配
合されるゴム成分としては、オレフィン系ゴムが使用さ
れる。フィルムラミネートされる金属板には、接着剤の
塗布に先立ってプライマー層を形成しても良い。
【0009】
【作用】本発明者等は、オレフィン系ゴム成分を高い配
合割合で配合したポリオレフィン樹脂フィルムのコロナ
放電処理面について表面性状を種々調査・研究した。そ
の結果、コロナ放電処理面のJIS濡れ指数による表面
張力は、室温下で1か月、場合によっては1週間足らず
で未処理面と同程度まで激減することを見出した。表面
張力の低下は、コロナ放電処理面,すなわち高い表面張
力を活用してポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金
属板を製造する際、フィルムの納入管理等に煩雑な制約
を加えることになる。しかし、塩ビ鋼板の代替材料とし
てポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板を使用
するためには、塩化ビニル樹脂の感触,風合いに近付け
るためにゴム成分の配合が必要であり、用途によっては
ゴム成分の配合量を制限することもできない。そこで、
通常のコロナ放電処理量に比較して過剰量の処理を施
し、同様な経時変化を調査したが、結果については大き
な差異が得られなかった。
【0010】コロナ放電処理では、生成した極性基がフ
ィルム表面,すなわち自由面に存在する。フィルム表面
に極性基が存在することは熱力学的には不安定な状態に
あるといえるが、ポリオレフィン樹脂フィルムにおいて
は数カ月或いはそれ以上の期間を経過してもコロナ放電
処理面が維持されている。長期間にわたる極性基の存在
は、極性基が生成した分子鎖の運動がポリオレフィン樹
脂の結晶によって拘束されることが原因であると推察さ
れる。他方、多量のゴム成分を配合したポリオレフィン
樹脂では、次の理由によって表面張力が低下するものと
推察される。ポリオレフィン樹脂の結晶化度は、ポリオ
レフィン樹脂に対するゴム成分の相溶により低下し、極
性基が生成した分子鎖に対する拘束力が弱くなる。その
結果、極性基が生成した分子鎖は熱力学的に安定な形
態、換言すると極性基をフィルム内部に潜り込ませる形
態をとるように分子鎖を回転させる。
【0011】ゴム成分の配合による表面張力の経時的な
低下がポリオレフィン樹脂フィルムの接着性に悪影響を
及ぼすことを防止するため、本発明では、金属板にラミ
ネートする直前のポリオレフィン樹脂フィルムにコロナ
放電処理を施している。そして、極性基がフィルム表面
に存在している間に、コロナ放電処理された面を接着剤
層側としてポリオレフィン樹脂フィルムを金属板に積層
する。コロナ放電処理から積層までの時間は、10分以
内に設定することが好ましい。積層までに60分を超え
る時間が経過すると、表面張力が低下する傾向がみられ
る。この方法によるとき、ゴム成分やその配合割合に影
響されず、安定して高い接着力をもつポリオレフィン樹
脂フィルムラミネート金属板が得られる。たとえば、5
0重量%もの高配合割合でゴム成分を配合したポリオレ
フィン樹脂フィルムであっても、コロナ放電処理で高め
られた表面張力は少なくとも数十分間にわたって高レベ
ルに維持される。また、コロナ放電処理効果が極めて得
られにくいとされている可塑化ポリ塩化ビニル樹脂フィ
ルムであっても、コロナ放電処理面を水が完全に濡らす
状態がコロナ放電処理後数十分間にわたって維持され
る。
【0012】
【実施の形態】ポリオレフィン樹脂としては、エチレ
ン,プロピレン,α−オレフィンから選ばれた単量体の
ホモ重合体,共重合体,これらの混合物等がある。ポリ
オレフィン樹脂に配合されるゴム成分としては、エチレ
ンプロピレンゴム,エチレンプロピレンジエンターポリ
マー等のポリオレフィンゴムが使用される。また、必要
に応じて顔料や種々の添加材を配合しても良い。ポリオ
レフィン樹脂のフィルム成形には、押出し成形,カレン
ダリング法等が採用される。使用可能なフィルムの厚み
は、特に制約されるものではないが、製造性,取扱い性
等の諸性能を考慮すると50〜300μmの範囲が好ま
しい。また、エンボス加工によって意匠性を付与したポ
リオレフィン樹脂フィルムも使用できる。エンボス外観
は、本発明に従ったポリオレフィン樹脂フィルムラミネ
ート鋼板を塩ビ鋼板の代替材料として位置付ける上では
重要である。また、熱融着によらない接着法であるた
め、接着されたポリオレフィン樹脂フィルムの表面にあ
るエンボス外観が接着によって損なわれることもない。
【0013】ポリオレフィン樹脂フィルムは、一般的な
連続式塗装・ラミネート鋼板製造設備においてインライ
ン方式で接着剤層に接する面がコロナ放電処理される。
コロナ放電処理では、たとえば絶縁された電極と接地さ
れた対極誘電ロールとの間にポリオレフィン樹脂フィル
ムを通し、この間に高周波,高電圧を印加することによ
ってフィルム表面の表面張力を高める。コロナ放電処理
装置としては、スパークギャップ方式,真空管方式,ソ
リッドステート方式等があるが、何れの方式の装置でも
使用可能である。コロナ放電処理の処理条件は、設備方
式等によって調整されるものであり、特に制約を受ける
ものではない。具体的には、金属板への積層に際しコロ
ナ放電処理されたポリオレフィン樹脂フィルムの表面張
力がJIS K6768の濡れ指数で38dyne/c
m以上を示すように、周波数1〜600kHz,印加電
圧5〜30kV,処理電力5〜30W/m2 /分の範囲
で処理条件が設定される。
【0014】表面張力が38dyne/cmに満たない
場合、一部内層を含めてフィルム表面に存在するヒドロ
ペルオキシ基が低濃度であると推察され、コロナ放電処
理したポリオレフィン樹脂フィルムと接着剤層との間で
十分な界面接着力が得られない。コロナ放電処理したフ
ィルムは、コロナ放電処理後の経過時間に応じて表面張
力が低下することから、38dyne/cm以上の表面
張力が維持されている段階で金属板に積層することが重
要である。この点、インライン方式でコロナ放電処理す
ると、熱力学的に不安定な極性基がフィルム表面に存在
した状態でポリオレフィン樹脂フィルムが鋼板に積層さ
れる。具体的には、ポリオレフィン樹脂フィルムを連続
的に金属板に積層する際、ロール状の樹脂フィルムを巻
き出しながら金属板に積層する工程でポリオレフィン樹
脂フィルムがコロナ放電処理される。
【0015】コロナ放電処理したポリオレフィン樹脂フ
ィルムが積層される金属板としては、亜鉛めっき鋼板,
Zn−Alめっき鋼板,Alめっき鋼板等の各種めっき
鋼板やアルミ板,ステンレス鋼板等がある。金属板に
は、必要に応じてリン酸塩処理,塗布型クロメート処理
等の前処理が施される。また、ロールコート法,カーテ
ンコート法等によって金属板の表面にプライマー層を設
けてもよい。ロールコート法,カーテンコート法等で接
着剤を金属板に塗布し、焼付け乾燥することにより金属
板表面に接着剤層を形成する。接着剤層は、乾燥塗膜厚
さで2〜20μmに調整されることが好ましい。接着剤
には、ポリオール樹脂(主剤)及びイソシアネート(硬
化剤)を含み、必要に応じて着色顔料,防錆顔料,体質
顔料等を接着剤に配合した接着剤が使用される。ポリオ
レフィン樹脂フィルムは、コロナ放電処理で生成したヒ
ドロペルオキシ基と接着剤層中のイソシアネートとの脱
水縮合反応によって金属板に積層接着される。すなわ
ち、極性基含有エチレン系不飽和単量体変性オレフィン
樹脂を接着剤として用いた熱融着と異なり、ポリオレフ
ィン樹脂フィルムを溶融することがないので、エンボス
模様を施したポリオレフィン樹脂フィルムの積層やエン
ボス外観の維持が極めて容易になる。
【0016】接着剤の一成分であるポリオール樹脂は、
樹脂種に制約を受けるものではなく、ポリエステル樹
脂,ポリウレタン樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等
がある。イソシアネートとしては、特に制約されるもの
ではないが、2,4−トリレンジイソシアネート,2,
6−トリレンジイソシアネート,4.4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート,トリデンジイソシアネート,
メタキシリレンジイソシアネート,イソホロンジイソシ
アネート,ヘキサメチレンジイソシアネートやこれらの
3量体,アダクト体等が使用される。
【0017】接着剤の−NCO/−OH比は、好ましく
は3〜15の範囲に調整される。−NCO/−OH比が
3未満では、コロナ放電処理したポリオレフィン樹脂フ
ィルム表面(一部フィルム内層も含む)に存在するヒド
ロペルオキシ基と反応し得るイソシアネート基が量的に
不足し、樹脂フィルム/接着剤層の界面接着力が弱くな
る。逆に、15を超える−NCO/−OH比では、マト
リックス中におけるイソシアネート基の濃度が高くなり
すぎ、外部から拡散してきた水分との反応により生成す
る尿素結合の濃度が高くなり、接着剤層の柔軟性が損な
われ易い。その結果、ポリオレフィン樹脂フィルムをラ
ミネートした金属板を成形加工した際に、接着剤層が脆
性破壊し、金属板の表面からポリオレフィン樹脂フィル
ムが剥離する。
【0018】接着剤の主成分には、ガラス転移温度が好
ましくは−5〜35℃に調整されたポリオール樹脂が使
用される。ガラス転移温度は、ポリエステル樹脂,ポリ
ウレタン樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等のポリオ
ール樹脂を構成するモノマーの構造に依存する。芳香族
骨格をもつモノマーを使用するとガラス転移温度が上昇
し、長鎖脂肪族骨格をもつモノマーを使用するとガラス
転移温度が下降する傾向にある。そこで、高いガラス転
移温度が必要な場合には芳香族骨格をもつモノマーの配
合比率を多くし、低いガラス転移温度が必要な場合には
長鎖脂肪族骨格をもつモノマーの配合比率を多くするこ
とにより、ポリオール樹脂のガラス転移温度を調整す
る。また、モノマーの一部に多官能基モノマーを使用す
ることによっても、マトリックスのネットワークが緻密
になり、ガラス転移温度が上昇する。
【0019】ガラス転移温度が−5〜35℃に調整され
たポリオール樹脂を使用すると、コロナ放電処理したフ
ィルム表面にあるヒドロペルオキシ基とイソシアネート
との反応が促進され、界面接着力が改善される。なお、
ポリオール樹脂はガラス転移温度を下回る温度で分子運
動が急激に低減するものではなく、分子運動の低減傾向
は緩やかである。このようなことから、ポリオール樹脂
のガラス転移温度は、好ましくは−5〜35℃の範囲に
設定される。これに対し、ガラス転移温度が−5℃未満
のポリオール樹脂では、接着剤の凝集力が小さく、得ら
れたポリオレフィン樹脂フィルムラミネート鋼板のフィ
ルム剥離試験では接着剤の凝集破壊に起因してポリオレ
フィン樹脂フィルムが下地金属板から剥離し易くなる。
逆に35℃を超えるガラス転移温度では、20℃前後の
室温雰囲気で接着剤のマトリックス内をイソシアネート
がポリオレフィン樹脂フィルムのコロナ放電処理面に配
向することなくマトリックス内に封じ込められ、外部か
ら拡散してきた水分との反応により失活するため、界面
接着力が上昇しない。
【0020】
【実施例】連続式塗装・ラミネート鋼板製造設備を用い
て板厚0.5mm,片面当りZn目付け量45g/m2
の溶融Znめっき鋼板に塗布型クロメート処理を施した
後、二液型ポリエステル樹脂系接着剤(ガラス転移温
度:7℃,イソシアネート:2,4−トリレンジイソシ
アネート,−NCO・−OH比:10)を乾燥膜厚で5
μmとなるようにリバース方式のロールコータで塗布
し、カテナリー式焼付けオーブンで最高到達鋼板温度が
140℃となるように60秒間焼き付けた。ポリオレフ
ィン樹脂フィルムとしては、表1に示す樹脂組成に20
重量%の酸化チタンを配合した膜厚150μmのフィル
ムを用い、梨地状エンボスロールによって微細なエンボ
ス模様を刻印した。ポリオレフィン樹脂フィルムをフィ
ルム巻出し機にセットし、ラミネータに至るまでのフィ
ルム搬送過程でコロナ放電処理した。コロナ放電処理に
は、ソリッドステート方式で電圧10kV,周波数50
kHzの空気中コロナ放電処理機を用いた。
【0021】コロナ放電処理されたポリオレフィン樹脂
フィルムをカテナリー式焼付けオーブンの直後に配置さ
れたフィルムラミネータに送り、コロナ放電処理面が接
着剤層に接触するように、接着剤層を焼き付けた直後の
鋼板に積層した。積層後、直ちに水冷し、ポリオレフィ
ン樹脂フィルムラミネート金属板を得た。なお、試験番
号3では、接着剤の塗布・乾燥前にエポキシ樹脂系プラ
イマーを乾燥膜厚が5μmになるように塗布し、カテナ
リー式焼付けオーブンで最高到達鋼板温度が210℃に
なるように40秒間焼き付けた。また、試験番号6(比
較例)では、フィルムメーカでコロナ放電処理した後約
1か月経過したポリオレフィン樹脂フィルムを使用し
た。
【0022】得られた各フィルムラミネート鋼板の各種
性質を次のように調査した。 ポリオレフィン樹脂フィルムの表面張力:JIS K6
768に準拠して濡れ指数を測定した。 下地鋼板に対するポリオレフィン樹脂フィルムの接着強
度:積層後20℃に24時間静置したポリオレフィン樹
脂フィルムラミネート鋼板について、180度剥離試験
によりフィルムの剥離強度を測定した。なお、フィルム
ラミネート鋼板では、好ましくはフィルム自体の材料破
断又は30N/10mm以上の接着強度が要求される。 フィルム表面のエンボス模様変化:ポリオレフィン樹脂
フィルム単体は、エンボス面の60度反射光沢が10で
あった。この値を基準とした光沢度変化によって、ポリ
オレフィン樹脂フィルムラミネート鋼板のエンボス模様
保持性を評価した。
【0023】表1の調査結果にみられるように、本発明
に従ったポリオレフィン樹脂フィルムラミネート鋼板で
は、何れもフィルム破断が生じており、良好な接着強度
でポリオレフィン樹脂フィルムが鋼板に接着されている
ことが判る。これに対し、比較例のポリオレフィン樹脂
フィルムラミネート鋼板では、接着強度が不十分であっ
た。
【0024】
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、金属板に積層する直前でポリオレフィン樹脂フィル
ムをコロナ放電処理することにより、コロナ放電処理面
が高い表面張力を維持した状態で金属板に積層してい
る。そのため、ポリオレフィン樹脂の性質に影響を及ぼ
すゴム成分を配合したものであっても、安定して高い接
着強度をもつポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金
属板が製造される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿石 謙二 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム成分が配合されたポリオレフィン樹
    脂のフィルムを巻き出した後、接着剤層に接するフィル
    ム面をコロナ放電処理し、コロナ放電処理面がJIS
    K6768の濡れ指数で表面張力38dyne/cm以
    上の表面張力を維持している状態のポリオレフィン樹脂
    フィルムを接着剤層が表面に形成された金属板に積層す
    ることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムラミネ
    ート金属板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のゴム成分がオレフィン系
    ゴムであるポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 接着剤層の下にプライマー層が形成され
    ている金属板を使用する請求項1又は2記載のポリオレ
    フィン樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法。
JP3863898A 1998-02-20 1998-02-20 ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板の製造方法 Withdrawn JPH11235783A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2348849A (en) * 1999-04-14 2000-10-18 Kansai Paint Co Ltd Plastic-coated metal plate for car body

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