JPH11157006A - ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板

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JPH11157006A
JPH11157006A JP32552797A JP32552797A JPH11157006A JP H11157006 A JPH11157006 A JP H11157006A JP 32552797 A JP32552797 A JP 32552797A JP 32552797 A JP32552797 A JP 32552797A JP H11157006 A JPH11157006 A JP H11157006A
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polyolefin resin
resin film
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film
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Koji Mori
浩治 森
Keiichi Watanabe
啓一 渡辺
Kenichi Okubo
謙一 大久保
Kenji Koshiishi
謙二 輿石
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着強度が高く、耐水性,耐湿性に優れたポ
リオレフィン樹脂フィルムラミネート鋼板を提供する。 【構成】 接着剤層を介してポリオレフィン樹脂フィル
ムが金属板表面に積層されたラミネート金属板であり、
接着剤層に接するポリオレフィン樹脂フィルムの表面が
コロナ放電処理によりJIS K6768の濡れ指数3
8dyne/cm以上の表面張力に調整されており、接
着剤層がポリオール樹脂の−OH基に対するイソシアネ
ートの−NCO基の比率が3〜15に、ガラス転移温度
が−5〜35℃の範囲に調整されたポリオール樹脂とイ
ソシアネートからなる接着剤で形成されている。金属板
の表面にポリエステル樹脂系,高分子ポリエステル樹脂
系,エポキシ樹脂系等のプライマー層を設け、このプラ
イマー層の上に接着剤層を形成してもよい。また、接着
剤層に接しないポリオレフィン樹脂フィルムの表層に
は、エンボス加工等によって種々の模様をつけることも
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家電製品等の外装部
材,内装建材,器物等に塩ビ鋼板の代替材料として使用
され、耐水性,耐湿性に優れたポリオレフィン樹脂フィ
ルムラミネート金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】塩ビ鋼板の表層を形成する塩化ビニル樹
脂は、可塑剤,安定剤等の処方で優れた物性が付与さ
れ、任意の顔料を配合することにより色調を自由に変え
ることができ、エンボス加工等によって意匠を発現で
き、更に厚膜効果によって重量感が付与される。塩化ビ
ニル樹脂のこのような特徴を活用し、家電製品の外板を
始め各種分野で塩ビ鋼板が従来から使用されている。し
かし、塩化ビニル樹脂に含まれる塩素が環境に悪影響を
及ぼすことが指摘される昨今では、塩ビ鋼板の使用が商
品イメージ,ひいては企業イメージを低下させることに
もなる。そこで、塩ビ鋼板と同様の特性をもつ塗装鋼板
への切換えが進められている。この種の代替材料とし
て、代表的なものにポリオレフィン樹脂フィルムラミネ
ート鋼板がある。
【0003】ポリオレフィン樹脂は、フッ素樹脂と同様
に難接着性プラスチックであるため、接着には熱融着等
の接着法が採用されている。また、鋼板に対する接着性
を付与するため、無水マレイン酸等で変性したポリオレ
フィン樹脂を接着剤として使用し、ポリオレフィン樹脂
フィルムと鋼板との間に接着剤を介在させることが検討
されている。たとえば特公昭58−2825号公報で
は、プライマー層を介してオレフィン樹脂を金属に接着
する際、極性基及び結晶化度が調整されたエチレン系不
飽和単量体変性オレフィン樹脂と塗膜形成ベース樹脂か
らなるプライマー塗料を使用することが紹介されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリオレフィン樹脂
は、無水マレイン酸等で変性することによって鋼板に対
する接着性が改善される。しかし、無水マレイン酸等の
極性基を含有させると、ポリオレフィン樹脂フィルムの
耐水性や耐湿性が劣化する。たとえば、無水マレイン酸
変性ポリプロピレン樹脂を接着剤として使用したポリオ
レフィン樹脂フィルムラミネート鋼板を沸騰水に24時
間浸漬すると、極性基部が吸水・膨潤して凝集力が低下
するため、接着剤層の凝集破壊や鋼板/接着剤層の界面
剥離が発生する。接着剤層中で鋼板面に配向していた無
水マレイン酸等の極性基と鋼板との界面に水が浸透し、
極性基が鋼板から解離することも、凝集破壊や界面剥離
の原因である。
【0005】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、ポリオレフィン樹脂フィルムの表
面張力をコロナ放電処理で調整すると共に、ガラス転移
温度及び−NCO/−OH比が特定されたポリオール樹
脂/イソシアネート系の接着剤を使用することにより、
高い接着強度をもち、耐水性や耐湿性が改善されたポリ
オレフィン樹脂フィルムラミネート金属板を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のポリオレフィン
樹脂フィルムラミネート鋼板は、その目的を達成するた
め、接着剤層を介してポリオレフィン樹脂フィルムが金
属板表面に積層されたラミネート金属板であって、接着
剤層に接するポリオレフィン樹脂フィルムの表面がコロ
ナ放電処理によりJIS K6768の濡れ指数38d
yne/cm以上の表面張力に調整されており、接着剤
層がポリオール樹脂の−OH基に対するイソシアネート
の−NCO基の比率が3〜15に調整され、ガラス転移
温度が−5〜35℃の範囲にあるポリオール樹脂とイソ
シアネートからなる接着剤で形成されていることを特徴
とする。金属板の表面にポリエステル樹脂系,高分子ポ
リエステル樹脂系,エポキシ樹脂系等のプライマー層を
設け、このプライマー層の上に接着剤層を形成してもよ
い。また、接着剤層に接しないポリオレフィン樹脂フィ
ルムの表層には、エンボス加工等によって種々の模様を
つけることも可能である。
【0007】
【作用】本発明者等は、難接着性のフッ素樹脂フィルム
で使用されているポリエステル樹脂系接着剤(硬化剤:
イソシアネート)を用い、フッ素樹脂フィルムの易接着
化処理と同様なコロナ放電処理したポリオレフィン樹脂
フィルムについて鋼板との接着を試みた。しかし、十分
な接着強度が得られず、樹脂フィルム/接着剤層間での
界面剥離が発生した。コロナ放電処理フッ素樹脂フィル
ム用接着剤として、イソシアネート(硬化剤)とポリウ
レタン樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂等の種々のポ
リオール樹脂についても検討した。しかし、結果は同様
であり、ポリオレフィン樹脂フィルムを強固に接着する
には至らなかった。
【0008】ところで、コロナ放電処理した樹脂表面
は、赤外分光分析(IR),X線光電子分光分析(XP
S)等の分析技術を駆使しても明確には解明されていな
いが、コロナ放電処理によって高分子の幹となる炭素原
子にラジカルが発生し、このラジカルに空気中の酸素が
反応してパーオキシラジカルとなり、更に空気中の水と
反応してヒドロペルオキシ基になることが報告されてい
る。ヒドロペルオキシ基は、種々の反応によってカルボ
ニル基,カルボキシル基等の極性基となり、表面張力が
高い表面を形成するものと考えられている。このコロナ
放電処理による樹脂表面の変質を前提とし、コロナ放電
処理したフッ素樹脂フィルムが接着剤で強固に接着され
るが、JIS K6768の濡れ指数でフッ素樹脂フィ
ルムと同等の40〜50dyne/cm程度の表面張力
をもつコロナ放電処理ポリオレフィン樹脂フィルムが接
着できない違いを種々調査・研究した。
【0009】ポリオレフィン樹脂は、フッ素樹脂に比較
して耐酸性が劣る。そこで、コロナ放電処理を施したポ
リオレフィン樹脂フィルムでは、フッ素樹脂フィルムに
比較してヒドロペルオキシ基濃度が非常に低いことや、
生成したヒドロペルオキシ基が直ちにカルボニル基等に
変化する酸化反応がフッ素樹脂との比較で接着性に大き
な相違をもたらしている原因であると推察した。この
点、コロナ放電処理後にヒドロペルオキシ基濃度が高い
フッ素樹脂フィルムでは、フィルム/接着剤層間の界面
剥離がヒドロペルオキシ基とイソシアネートとの反応に
よって抑制されているものと考えられる。そこで、ヒド
ロペルオキシ基とイソシアネートとを積極的に反応させ
るため、通常では用いられていない過剰量のイソシアネ
ートを配合した接着構成について検討した。その結果、
ある程度の接着性を得ることができた。しかし、コロナ
放電処理したポリオレフィン樹脂フィルムと接着剤層と
の界面接着力は、一般的な塩ビフィルムラミネート鋼板
に比較すると低く、塩ビ鋼板の代替品として使用するに
は不十分であった。
【0010】更に研究を進めた結果、ポリオール樹脂の
ガラス転移温度を室温付近以下に調整するとき、コロナ
放電処理したポリオレフィン樹脂フィルム/接着剤層の
界面接着力が時間経過に応じて上昇することを見い出し
た。具体的には、界面接着力は、積層直後に比較して2
4時間経過した時点で大幅に高くなり、剥離試験では鋼
板からフィルムが剥離できず、フィルム破断に至った。
界面接着力が時間経過に応じて上昇する原因について、
本発明者等は次のように推察した。ポリオレフィン樹脂
のガラス転移温度がポリエチレンで−80〜−30℃,
ポリプロピレンで−18℃であることから、熱力学的に
は不安定であるものの、室温付近の温度域ではポリオレ
フィン樹脂の主鎖回転によってコロナ放電処理面からフ
ィルム内層にヒドロペルオキシ基が潜り込んでいるもの
と考えられる。ヒドロペルオキシ基の潜り込みにより、
コロナ放電処理したポリオレフィン樹脂フィルム表面に
あるヒドロペルオキシ基とイソシアネートとの反応速度
が非常に低くなる。
【0011】ヒドロペルオキシ基の潜り込みによる悪影
響を前提とするとき、ガラス転移温度が室温付近以下に
あるポリオール樹脂を使用すると、マトリックス樹脂内
をイソシアネートがコロナ放電処理面に配向し、主鎖回
転に伴ってフィルム表面に配向したヒドロペルオキシ基
とイソシアネートとが緩やかながらも反応し、界面接着
力が改善されることが予想される。これに対し、ポリオ
ール樹脂のガラス転移温度を室温付近よりも高くする
と、マトリックス樹脂内でイソシアネートが配向せずに
封じ込められ、外部から拡散してきた水分と反応して失
活するため、界面接着力の上昇が見込めない。
【0012】
【実施の形態】ポリオレフィン樹脂フィルム ポリオレフィン樹脂フィルムは、エチレン,プロピレ
ン,α−オレフィン等の単量体のホモ重合体,共重合体
又はこれらの混合物にエチレンプロピレンゴム,エチレ
ンプロピレンターポリマー等のポリオレフィンゴムを配
合したポリオレフィン樹脂を押出し法,カレンダリング
法等でフィルム化することにより用意される。ポリオレ
フィン樹脂には、必要に応じて種々の顔料や添加剤を配
合しても良い。使用されるポリオレフィン樹脂フィルム
の厚みは、特に制約されるものではないが、製造性,取
扱い性等の諸性能を考慮すると、50〜300μmの厚
みが好ましい。また、予めエンボス加工等による模様を
ポリオレフィン樹脂フィルムにつけても良い。エンボス
外観は、本発明に従ったポリオレフィン樹脂フィルムラ
ミネート鋼板を塩ビ鋼板の代替材料として位置付ける上
では重要である。また、熱融着によらない接着法である
ため、接着されたポリオレフィン樹脂フィルムの表面に
あるエンボス外観が接着によって損なわれることもな
い。
【0013】ポリオレフィン樹脂フィルムは、接着剤層
に接する面にコロナ放電処理が施される。コロナ放電処
理では、たとえば絶縁された電極と接地された対極誘電
ロールとの間にポリオレフィン樹脂フィルムを通し、こ
の間に高周波,高電圧を印加することによってフィルム
表面の表面張力を高める。コロナ放電処理装置として
は、スパークギャップ方式,真空管方式,ソリッドステ
ート方式等があるが、何れの方式の装置でも使用可能で
ある。コロナ放電処理の処理条件は、設備方式等によっ
て調整されるものであり、特に制約を受けるものではな
い。具体的には、金属板への積層に際しコロナ放電処理
されたポリオレフィン樹脂フィルムの表面張力がJIS
K6768の濡れ指数で38dyne/cm以上を示
すように、周波数1〜600kHz,印加電圧5〜30
kV,処理電力5〜30W/m2 /分の範囲で処理条件
が設定される。表面張力が38dyne/cmに満たな
い場合、一部内層を含めてフィルム表面に存在するヒド
ロペルオキシ基が低濃度であると推察され、コロナ放電
処理したポリオレフィン樹脂フィルムと接着剤層との間
で十分な界面接着力が得られない。コロナ放電処理した
フィルムは、コロナ放電処理後の経過時間に応じて表面
張力が低下することから、38dyne/cm以上の表
面張力が維持されている段階で金属板に積層することが
重要である。
【0014】下地金属板 コロナ放電処理したポリオレフィン樹脂フィルムが積層
される金属板としては、亜鉛めっき鋼板,Zn−Alめ
っき鋼板,Alめっき鋼板等の各種めっき鋼板やアルミ
板,ステンレス鋼板等がある。
【0015】接着剤層の形成 必要に応じてリン酸塩処理,塗布型クロメート処理等の
前処理を金属板に施し、ロールコート法,カーテンコー
ト法等によって接着剤を塗布し、焼付け乾燥することに
より金属板表面に接着剤層を形成する。接着剤層は、乾
燥塗膜厚さで2〜20μmに調整されることが好まし
い。ポリオレフィン樹脂フィルムは、コロナ放電処理で
生成したヒドロペルオキシ基と接着剤層中のイソシアネ
ートとの脱水縮合反応によって金属板に積層接着され
る。すなわち、極性基含有エチレン系不飽和単量体変性
オレフィン樹脂を接着剤として用いた熱融着と異なり、
ポリオレフィン樹脂フィルムを溶融することがないの
で、エンボス模様を施したポリオレフィン樹脂フィルム
の積層やエンボス外観の維持が極めて容易になる。接着
剤層の下層として、接着剤層と同様な方法でプライマー
層を必要に応じて設けることもできる。プライマー塗料
としては、ポリエステル樹脂系,高分子ポリエステル樹
脂系,エポキシ樹脂系等が使用され、必要に応じて種々
の顔料や添加剤が配合される。プライマー層は、2〜1
0μmの厚みをもつことが好ましい。
【0016】使用する接着剤 ポリオール樹脂及びイソシアネートを含み、ポリオール
樹脂の−OH基に対するイソシアネートの−NCO基の
比率(以下、−NCO/−OH比という)が3〜15の
範囲に調整されたガラス転移温度−5〜35℃の接着剤
が使用される。必要に応じて、着色顔料,防錆顔料,体
質顔料等を接着剤に配合しても良い。ポリオール樹脂
は、樹脂種に制約を受けるものではなく、ポリエステル
樹脂,ポリウレタン樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂
等がある。イソシアネートとしては、特に制約されるも
のではないが、2,4−トリレンジイソシアネート,
2,6−トリレンジイソシアネート,4.4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート,トリデンジイソシアネー
ト,メタキシリレンジイソシアネート,イソホロンジイ
ソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネートやこれ
らの3量体,アダクト体等が使用される。
【0017】−NCO/−OH比は、OH基濃度が知ら
れているポリオール樹脂(主剤)に対する−NCO基濃
度が知られているイソシアネート(硬化剤)の配合量で
調整される。−NCO/−OH比が3未満では、コロナ
放電処理したポリオレフィン樹脂フィルム表面(一部フ
ィルム内層も含む)に存在するヒドロペルオキシ基と反
応し得るイソシアネート基が量的に不足し、樹脂フィル
ム/接着剤層の界面接着力が弱くなる。逆に、15を超
える−NCO/−OH比では、マトリックス中における
イソシアネート基の濃度が高くなりすぎ、外部から拡散
してきた水分との反応により生成する尿素結合の濃度が
高くなり、接着剤層の柔軟性が損なわれる。その結果、
ポリオレフィン樹脂フィルムをラミネートした金属板を
成形加工した際に、接着剤層が脆性破壊し、金属板の表
面からポリオレフィン樹脂フィルムが剥離する。
【0018】この点、従来のプレコート鋼板では、塗膜
の脆性破壊を考慮して−NCO/−OH比を1未満とし
ている。フィルムラミネート鋼板でも、過剰な尿素結合
の生成による接着剤層の脆性破壊を抑制するため、−N
CO/−OH比を1〜2程度の範囲に調整している。他
方、本発明における−NCO/−OH比は、従来の比率
と大きく異なり、コロナ放電処理したポリオレフィン樹
脂フィルムの表面(一部フィルム内層も含む)に存在す
るヒドロペルオキシ基とイソシアネートとの反応を促進
させることから定められている。そして、過剰量の尿素
結合に起因する接着剤層の脆性破壊は、柔軟性に優れた
ポリオレフィン樹脂フィルムとの組合せによって抑制し
ている。
【0019】接着剤の主成分には、ガラス転移温度が−
5〜35℃に調整されたポリオール樹脂が使用される。
ガラス転移温度は、ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹
脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等のポリオール樹脂を
構成するモノマーの構造に依存する。芳香族骨格をもつ
モノマーを使用するとガラス転移温度が上昇し、長鎖脂
肪族骨格をもつモノマーを使用するとガラス転移温度が
下降する傾向にある。そこで、高いガラス転移温度が必
要な場合には芳香族骨格をもつモノマーの配合比率を多
くし、低いガラス転移温度が必要な場合には長鎖脂肪族
骨格をもつモノマーの配合比率を多くすることにより、
ポリオール樹脂のガラス転移温度を調整する。また、モ
ノマーの一部に多官能基モノマーを使用することによっ
ても、マトリックスのネットワークが緻密になり、ガラ
ス転移温度が上昇する。
【0020】ガラス転移温度が−5〜35℃に調整され
たポリオール樹脂を使用すると、前述したようにヒドロ
ペルオキシ基とイソシアネートとの反応が促進され、界
面接着力が改善される。なお、ポリオール樹脂はガラス
転移温度を下回る温度で分子運動が急激に低減するもの
ではなく、分子運動の低減傾向は緩やかである。このよ
うなことから、ポリオール樹脂のガラス転移温度が−5
〜35℃の範囲に設定される。これに対し、ガラス転移
温度が−5℃未満のポリオール樹脂では、接着剤の凝集
力が小さく、得られたポリオレフィン樹脂フィルムラミ
ネート鋼板のフィルム剥離試験では接着剤の凝集破壊に
起因してポリオレフィン樹脂フィルムが下地金属板から
剥離し易くなる。逆に35℃を超えるガラス転移温度で
は、20℃前後の室温雰囲気で接着剤のマトリックス内
をイソシアネートがポリオレフィン樹脂フィルムのコロ
ナ放電処理面に配向することなくマトリックス内に封じ
込められ、外部から拡散してきた水分との反応により失
活するため、界面接着力が上昇しない。コンバータ業界
で一般的な40℃前後のエージングルームでポリオレフ
ィン樹脂フィルムラミネート金属板を養生すると、35
℃を超えるガラス転移温度をもつポリオール樹脂でも使
用できる。しかし、このような設備を用いた養生は、ラ
ミネート鋼板の外観を劣化させるプレッシャーマークを
発生させる原因ともなり、実用的でない。
【0021】
【実施例】ポリオレフィン樹脂フィルムとしては、20
重量%の酸化チタンを含むポリオレフィン樹脂を押出し
成形法で膜厚150μmにフィルム化し、エンボスロー
ルによって微細な砂目エンボス模様を刻印したものを使
用した。板厚0.5mm,片面当りの亜鉛目付け量45
g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板に塗布型クロメート処理
を施し、表1に示す各種接着剤を乾燥膜厚で5μmとな
るようにバーコータで塗布し、最高到達鋼板温度が13
0℃となるように1分間焼き付けた。接着剤層が形成さ
れた鋼板表面にポリオレフィン樹脂フィルムをラミネー
タで積層し、直ちに水冷することによりポリオレフィン
樹脂フィルムラミネート鋼板を得た。なお、試験番号3
〜5ではポリエステル樹脂系プライマーを、試験番号6
ではエポキシ樹脂系プライマーをバーコータで乾燥膜厚
が5μmとなるように塗布した後、接着剤を塗布した。
【0022】
【0023】得られた各フィルムラミネート鋼板の各種
性質を次のように調査した。 ポリオレフィン樹脂フィルムの表面張力:JIS K6
768に準拠して濡れ指数を測定した。 下地鋼板に対するポリオレフィン樹脂フィルムの接着強
度:積層後20℃に24時間静置したポリオレフィン樹
脂フィルムラミネート鋼板について、180度剥離試験
によりフィルムの剥離強度を測定した。なお、フィルム
ラミネート鋼板では、好ましくはフィルム自体の材料破
断又は30N/10mm以上の接着強度が要求される。 フィルム表面のエンボス模様変化:ポリオレフィン樹脂
フィルム単体は、エンボス面の60度反射光沢が8であ
った。この値を基準とした光沢度変化によって、ポリオ
レフィン樹脂フィルムラミネート鋼板のエンボス模様保
持性を評価した。 耐沸騰水性:積層後20℃に24時間静置したポリオレ
フィン樹脂フィルムラミネート鋼板に絞り比2の円筒絞
り加工を施し、更に沸騰水に24時間浸漬した後で、加
工後のフィルム性状を調査することにより絞り加工後の
耐沸騰水性を評価した。
【0024】表2の調査結果にみられるように、本発明
に従ったポリオレフィン樹脂フィルムラミネート鋼板で
は、何れもフィルム破断が生じており、良好な接着強度
でポリオレフィン樹脂フィルムが鋼板に接着されている
ことが判る。また、絞り加工後の耐沸騰水性にも優れて
いた。これに対し、比較例のポリオレフィン樹脂フィル
ムラミネート鋼板では、接着強度が不十分であったり、
絞り加工時にフィルム剥離が発生した。
【0025】
【0026】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のポリオ
レフィン樹脂フィルムラミネート金属板は、下地金属板
に対するポリオレフィン樹脂フィルムの接着強度が高
く、耐水性,耐湿性にも優れ、深絞り等の加工後におい
ても十分な耐剥離性を示す。そのため、塩素含有による
問題が指摘されている塩ビ鋼板に代わる外装材,内装
材,各種機械器具の構造材等として広範な分野で使用さ
れる。しかも、熱融着と異なり、ヒドロペルオキシ基と
イソシアネートとの脱水縮合反応でポリオレフィン樹脂
フィルムを金属板に積層することから、ポリオレフィン
樹脂フィルムに施したエンボス模様等が接着後にも維持
され、意匠性の高いラミネート鋼板となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿石 謙二 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着剤層を介してポリオレフィン樹脂フ
    ィルムが金属板表面に積層されたラミネート金属板であ
    って、接着剤層に接するポリオレフィン樹脂フィルムの
    表面がコロナ放電処理によりJIS K6768の濡れ
    指数38dyne/cm以上の表面張力に調整されてお
    り、接着剤層がポリオール樹脂の−OH基に対するイソ
    シアネートの−NCO基の比率が3〜15に調整され、
    ガラス転移温度が−5〜35℃の範囲にあるポリオール
    樹脂とイソシアネートからなる接着剤で形成されている
    ことを特徴とする接着強度の高いポリオレフィン樹脂フ
    ィルムラミネート金属板。
  2. 【請求項2】 金属板表面と接着剤層との間にプライマ
    ー層が設けられている請求項1記載のポリオレフィン樹
    脂フィルムラミネート鋼板。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂フィルムの表層にエ
    ンボス模様が施されている請求項1又は2記載のポリオ
    レフィン樹脂フィルムラミネート鋼板。
JP32552797A 1997-11-27 1997-11-27 ポリオレフィン樹脂フィルムラミネート金属板 Withdrawn JPH11157006A (ja)

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