JPH11229266A - スプレー式糊剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アイロン底面と布との接着がなく、組成物の
長期安定性に優れた、スプレー式糊剤組成物を提供す
る。 【解決手段】 （ａ）少なくとも１種の水溶性高分子糊
剤、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその
塩からなる群から選ばれる、アニオン性界面活性剤、及
び（ｃ）水溶性シリコーンを含有する、スプレー式糊剤
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スプレー式糊剤組
成物に関する。特に、本発明は、トリガースプレー等の
手動式スプレー容器に充填して使用するスプレー式糊剤
組成物であって、アイロン底面と布との接着がなく、長
期安定性に優れたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、高分子を主成分とする糊剤
が、衣料用仕上げ剤として広く家庭で使用されている。
この糊剤としては、粉末、液状、ゲル状及びスプレー式
等のタイプがあり、各々の特徴を活かした商品が多数市
販されている。これらの商品のうち、スプレー式の糊剤
は、部分的にかつ手軽に使えるので、特に便利である。
スプレー式の糊剤として、従来、ＬＰＧやＤＭＥ等の噴
射剤を充填したエアゾール式が主流であった。エアゾー
ル式のものとして、例えば、特開昭６０−４５６８４号
公報には、水溶性高分子糊料水溶液と乳化又は可溶化さ
れた粘度５００cps 以下のシリコーン油との緊密な混合
物から構成される繊維用糊剤が開示されている。また、
特開昭６０−１１０９７５号公報には、粒子径を０．１
μｍ以下にした（メタ）アクリレート系高分子エマルジ
ョン、化工澱粉、シリコーンオイルエマルジョン及びそ
の他の添加剤を配合した洗濯糊用糊剤が開示されてい
る。しかしながら、これらのエアゾール型糊剤の組成
は、一般にハリ性能を付与するポリマー糊料と滑り剤の
シリコーンとの不均一水溶液であり、分離しやすく、糊
剤が残っているうちに噴射ガスが欠乏する、容器が使い
捨てになるため、資源の有効活用が図れない等の欠点が
あった。

【０００３】このような欠点を解消するために、手動式
スプレーを用いる糊剤の開発が行われている。例えば、
特開昭５８−１８４７６号公報には、オルガノポリシロ
キサンにポリオキシエチレンを共重合するか、又はアニ
オン化あるいはカチオン化して得られる水溶性シリコー
ン及び水を含有してなる衣料用アイロン仕上げ剤が開示
されている。また、特開平５−２３９７７４号公報に
は、粒子径が特定の範囲内にある水不溶性シリコーンを
含有する衣料用仕上げ剤が開示されている。更に、特開
平８−２６０３５６には、水溶性合成高分子、水溶性シ
リコーン、水を含有するスプレー型糊剤組成物が開示さ
れている。しかしながら、特にアイロンをかけ始めたと
きのアイロンと布の接着の抑制、及び組成物の長期安定
性の双方を、十分に満足する糊剤は得られていないのが
現状であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、ア
イロン底面と布との接着がなく、組成物の長期安定性に
優れた、スプレー式糊剤組成物を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究をすすめた結果、少なくとも１種
の水溶性高分子糊剤を特定のアニオン性界面活性剤及び
水溶性シリコーンと組み合わせて使用することにより、
上記課題を達成することができることを見出し、本発明
を完成するに至った。即ち、本発明は、（ａ）少なくと
も１種の水溶性高分子糊剤、（ｂ）ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル酢酸及びその塩からなる群から選ばれる、アニ
オン性界面活性剤、及び（ｃ）水溶性シリコーンを含有
することを特徴とする、スプレー式糊剤組成物を提供す
る。

【０００６】

【発明の実施の形態】成分（ａ）の水溶性高分子糊剤と
しては、任意の公知の水溶性高分子糊剤を使用すること
ができる。水溶性高分子糊剤の例としては、化工澱粉、
セルロース誘導体、特定の重合体もしくは共重合体等が
挙げられる。化工澱粉の例としては、ヒドロキシエチル
化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉等のヒドロキシアル
キル化澱粉、カルボキシメチル化澱粉等のカルボキシア
ルキル化澱粉、及びこれらを過酸化水素、次亜塩素酸ナ
トリウム等の酸化剤又は酵素により低粘度化したもの等
が挙げられる。成分（ａ）の水溶性高分子糊剤として化
工澱粉を用いる場合、その置換度は、長期間保存した場
合の化工澱粉の変性による沈澱物の生成に起因する色物
の衣類に使用した時の白化現象の防止、及び張り強度の
維持の観点から、０．０８〜０．３、特に０．１〜０．
２であるものを用いることが好ましい。化工澱粉の水溶
液の粘度は、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムなどの
酸化剤または酵素で化工澱粉を分解することにより低下
可能であり、スプレー性を良好なものとして白化現象を
防止するため、例えば５重量％水溶液では２０℃で４０
センチポアズ（以下ｃｐとする）以下の粘度とするのが
好ましい。

【０００７】セルロース誘導体の例としては、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙
げられる。成分（ａ）の水溶性高分子糊剤としてカルボ
キシメチルセルロースを用いる場合、そのエーテル化度
は、０．６〜１．５、特に０．８〜１．０の範囲のもの
が好ましく、その１重量％水溶液の粘度が１００ｃｐ以
下、特に５０ｃｐ以下のものが好ましい。

【０００８】重合体もしくは共重合体の例としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸
等の重合体もしくは共重合体、又はこれらの塩、スチレ
ンスルホン酸重合体もしくは共重合体、又はこれらの
塩、ポリビニルアルコール等が挙げられる。成分（ａ）
の水溶性高分子糊剤としてアクリル酸等又はスチレンス
ルホン酸等の重合体又は共重合体を用いる場合、その分
子量は５千〜１２０万、特に１万〜６０万の範囲のもの
が好ましい。上記の水溶性高分子糊剤のうち、本発明で
使用する成分（ａ）としては、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の重合体もしくは共
重合体、又はこれらの塩、又はスチレンスルホン酸重合
体もしくは共重合体、又はこれらの塩が特に好ましい。
本発明で使用する成分（ａ）として、上記水溶性高分子
糊剤の１種を単独で使用してもよく、又は２種以上を併
用してもよい。本発明の組成物中の成分（ａ）の配合量
は、スプレー容器のトリガー噴射口付近に目詰まりを生
ずることなく繊維に好ましいハリを与えるという観点か
ら、組成物全体の重量を基準として０．１〜１０重量％
とするのが好ましく、特に０．５〜８重量％とするのが
好ましい。

【０００９】成分（ｂ）は、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル酢酸及びその塩からなる群から選ばれる、アニオン性
界面活性剤である。この場合、アルキル基の炭素数は、
好ましくは１０〜２０、特に好ましくは１２〜１５であ
り、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましく
は１〜８、特に好ましくは２〜５である。塩の対イオン
としてはナトリウム、カリウム、アルカノールアミンな
どを使用するのが好ましい。本発明の組成物中の成分
（ａ）の配合量は、アイロン底面への接着抑制効果、長
期安定性及びべたつき等の使用性の観点から、組成物全
体の重量を基準として０．０１〜１重量％とするのが好
ましく、特に０．０５〜０．５重量％とするのが好まし
い。

【００１０】成分（ｃ）の水溶性シリコーンとしては、
任意の公知の水溶性シリコーンを使用することができ
る。水溶性シリコーンの例としては、オルガノポリシロ
キサン分子中へポリエーテル基等の非イオン基、又は極
性基（カチオン基もしくはアニオン基）を導入して、水
溶性にしたもの等が挙げられる。具体的には、市販され
ている水溶性シリコーンとして、日本ユニカ（株）のL-
7001、東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）のSH-3
746 、信越シリコーン（株）のKF-351、東芝シリコーン
（株）のTSF4440 等がある。本発明の組成物中の成分
（ｃ）の配合量は、アイロン底面と布との十分な接着抑
制効果及び十分なハリ性能を得るという観点から、組成
物全体の重量を基準として０．０１〜２重量％とするの
が好ましく、特に０．０５〜１重量％とするのが好まし
い。

【００１１】本発明のスプレー式糊剤組成物は、上記
（ａ）〜（ｃ）成分を必須成分とするものであるが、必
要に応じて任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲
で配合することもできる。このような任意成分として
は、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、
エタノールやイソプロパノールなどの溶剤、香料、硫
酸、水酸化ナトリウム、アルカノールアミンなどのｐＨ
調整剤等が挙げられる。本発明のスプレー式糊剤組成物
の製造方法は、特に限定されないが、成分（ａ）の水溶
性高分子糊剤、成分（ｂ）のアニオン性界面活性剤、成
分（ｃ）の水溶性シリコーン、及び必要に応じてその他
の任意成分にバランス量の水を加え、ｐＨ調整剤により
ｐＨを調整して調製することができる。本発明のスプレ
ー式糊剤組成物は、任意の公知のスプレー容器に充填し
て使用することが可能であるが、手動式スプレー容器に
充填して使用するのが好ましい。手動式スプレー容器と
しては、トリガー式、ポンプ式等の任意の公知のものを
使用することができる。

【００１２】

【本発明の効果】本発明のスプレー式糊剤組成物は、ア
イロン底面と布との接着がなく、長期安定性に優れたも
のである。

【００１３】

【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。スプレー式糊剤組成物の調製 表１（実施例１〜１２）及び表２（比較例１〜４）に示
すような配合により、水溶性高分子糊剤、アニオン性界
面活性剤及び水溶性シリコーンに、任意成分として香料
０．０５重量％、防腐剤としてのブロモニトロプロパン
ジオール０．０３重量％、及びエタノール５重量％を添
加し、バランス量の水を加え、ｐＨ調整剤として水酸化
ナトリウム又は硫酸を使用してｐＨを５に調整して、実
施例１〜１２及び比較例１〜４のスプレー式糊剤組成物
を調製した。これらの実施例及び比較例で使用した表中
の成分（ａ）の水溶性高分子糊剤（ａ−１）〜（ａ−
４）、成分（ｂ）のアニオン性界面活性剤（ｂ−１）〜
（ｂ−２）及び成分（ｃ）の水溶性シリコーン（ｃ−
１）〜（ｃ−２）は、以下の通りである。成分（ａ） （ａ−１）：ポリアクリル酸ナトリウム（平均分子量 4
0,000 ） （ａ−２）：アクリル酸／メタクリル酸共重合体（アク
リル酸／メタクリル酸のモル比＝70／30、重量平均分子
量 100,000） （ａ−３）：アクリル酸／メタクリル酸共重合体（アク
リル酸／メタクリル酸のモル比＝60／40、重量平均分子
量 50,000 ） （ａ−４）：マレイン酸／アクリル酸共重合体（マレイ
ン酸／アクリル酸のモル比＝50／50、重量平均分子量 5
0,000 ） （ａ−５）：ポリスチレンスルホン酸ナトリウム（重量
平均分子量 150,000）成分（ｂ） （ｂ−１）：ポリオキシエチレン（平均付加モル数３）
アルキル（炭素数１２〜１５）エーテル硫酸ナトリウム
（サンデッドＥＮＤ、三洋化成） （ｂ−２）：ポリオキシエチレン（平均付加モル数３）
ラウリルエーテル酢酸ナトリウム（ビューライトＬＣＡ
−３０Ｄ、三洋化成）成分（ｃ） （ｃ−１）：ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキ
サン共重合体（Ｌ７００１、日本ユニカー） （ｃ−２）：ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキ
サン共重合体（ＳＨ３７４６、東レ・ダウコーニング・
シリコーン）

【００１４】スプレー式糊剤組成物の評価 スプレー式糊剤組成物のアイロン底面と布の接着性、及
び保存安定性を、下記の試験法に従って評価した。 （１）アイロン底面と布との接着性 スプレー式糊剤組成物を手動式のスプレーに充填し、約
２５cm×３０cmのテト綿に組成物を５ｇスプレーし、ア
イロンを布の繊維に適した温度（約１４０℃）に設定し
て布上に５秒静置した後、アイロン底面と布との接着性
を下記の評価判定基準による目視判定で評価を行った。 ○：接着が全く認められない △：接着がやや認められる ×：接着が明らかに認められる （２）保存安定性 各糊剤組成物を透明容器に入れ、５０℃、４０℃、５℃
の恒温槽に１カ月、また−１５℃の恒温槽に４０時間保
存後、２５℃恒温槽に８時間保存する操作を３回繰り返
し、液の分離、凝集物の存在を確認した。液の分離、凝
集物のいずれも認められなかった場合を○とし、それ以
外は×とした。実施例１〜１２及び比較例１〜４のスプ
レー式糊剤組成物のアイロン底面と布の接着性、及び保
存安定性についての評価結果を、表１及び表２に示す。

【００１５】

【表１】 表１ 実施例 １ ２ ３ ４ ５ ６ 成分（重量％） 成分（ａ） （ａ−１） ５ （ａ−２） ５ ５ （ａ−３） ５ （ａ−４） ５ （ａ−５） ５ 成分（ｂ） （ｂ−１） 0.４ 0.４ 0.４ 0.４ 0.４ 0.４ （ｂ−２） 成分（ｃ） （ｃ−１） 0.５ 0.５ 0.５ 0.５ 0.５ （ｃ−２） 0.５評価結果 接着性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 保存安定性 ○ ○ ○ ○ ○ ○

【００１６】

【表２】 表１（続き） 実施例 ７ ８ ９ １０ １１ １２ 成分（重量％） 成分（ａ） （ａ−１） ２ （ａ−２） ５ ２ ２ ２ ２ （ａ−３） ２ （ａ−４） ２ （ａ−５） ２ ２ 成分（ｂ） （ｂ−１） 0.１ 0.３ 0.３ （ｂ−２） 0.４ 0.３ 0.３ 成分（ｃ） （ｃ−１） 0.５ 0.３ 0.４ 0.４ 0.３ （ｃ−２） 0.４評価結果 接着性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 保存安定性 ○ ○ ○ ○ ○ ○

【００１７】

【表３】 表２ 比較例 １ ２ ３ ４ 成分（重量％） 成分（ａ） （ａ−１） （ａ−２） ５ ５ ５ （ａ−３） （ａ−４） （ａ−５） 成分（ｂ） （ｂ−１） 0.４ （ｂ−２） 成分（ｃ） （ｃ−１） 0.５ 0.５ （ｃ−２）評価結果 接着性 △ × × ○ 保存安定性 × ○ ○ ×

【００１８】表１及び表２から、本発明のスプレー式糊
剤組成物（実施例１〜１２）はアイロン底面と布との接
着がなく、保存安定性に優れるが、本発明によるもので
ない場合（比較例１〜４）は、アイロン底面と布とが接
着するかまたは保存安定性が劣ることが明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｄ０６Ｍ 15/643 Ｄ０６Ｍ 15/643

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）少なくとも１種の水溶性高分子糊
   剤、（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
   塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその
   塩からなる群から選ばれる、アニオン性界面活性剤、及
   び（ｃ）水溶性シリコーンを含有することを特徴とす
   る、スプレー式糊剤組成物。