JPH11229050A - パラジウムの回収方法およびパラジウムの回収装置 - Google Patents

パラジウムの回収方法およびパラジウムの回収装置

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JPH11229050A
JPH11229050A JP2944398A JP2944398A JPH11229050A JP H11229050 A JPH11229050 A JP H11229050A JP 2944398 A JP2944398 A JP 2944398A JP 2944398 A JP2944398 A JP 2944398A JP H11229050 A JPH11229050 A JP H11229050A
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JP
Japan
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palladium
aqueous solution
oxidation treatment
recovering
metal ion
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Application number
JP2944398A
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English (en)
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Suehide Hirata
末英 平田
Koji Kusabe
光司 草部
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Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
Original Assignee
Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パラジウムイオンに対して還元作用を有する
物質が共存しているパラジウム含有水溶液から、パラジ
ウムを効果的に回収する方法、および、その際使用され
る回収装置を提供すること。 【解決手段】 パラジウムイオンに対して還元作用を有
する物質が共存しているパラジウム含有水溶液からパラ
ジウムを効果的に回収する際に、まず、パラジウム含有
水溶液についてpH1以下で酸化処理を行い、ついで、
多孔質担体にアントラヒドロキノン化合物類を担持させ
た金属イオン処理剤に接触させることを特徴とし、回収
装置は酸化処理槽と、この後方に金属イオン処理剤を充
填したカラムを直列に接続し、酸化処理槽内の酸化処理
の進行状況を確認可能とした確認装置によって確認した
結果に基づいて、酸化処理槽からカラムに供給するパラ
ジウム含有水溶液の量を制御可能としたことを特徴とす
る。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パラジウム含有水
溶液からのパラジウムの回収方法、およびパラジウムの
回収装置に関する。さらに詳しくは、無電解メッキの下
地処理に使われるパラジウムとすずとの混合触媒液のよ
うな、パラジウムイオンに対して還元作用を有する物質
が共存しているパラジウム含有水溶液から、資源的に貴
重なパラジウム金属を工業的有利に回収する方法、およ
び、その際に使用されるパラジウムの回収装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ニッケルなどの無電解メッキ技術は、従
来の電解メッキに比べ、接点部分のロスが少ない、緻密
なメッキ被膜が得られる、非導電性の下地でもメッキが
できるなどの多くの利点があり、プラスチック材料、装
飾品、電子機器部品等をメッキする際に多用されてい
る。無電解メッキ技術で物品をメッキする際には、メッ
キ対象物品の下地表面に触媒作用を付加するため、パラ
ジウムとすずの混合触媒液を用いて、下地表面にパラジ
ウム核を付与する手法が行われており、この触媒作用の
付加工程から、この触媒液のみならず、希薄なパラジウ
ムを含有する洗浄水などの水性廃液が多量発生する。
【0003】このパラジウムを含有する水性廃液には、
通常、塩酸酸性下で塩化第一すずなどの強い還元作用を
有する物質が多量に共存しているので、パラジウムは原
子価が0に近いコロイド粒子として存在している。この
ようなパラジウムを含有する水性廃液からパラジウムを
回収する方法としては、(1)沈殿させて回収する方法、
(2)活性炭などの多孔質担体に吸着させて回収する方
法、(3)有機溶媒に溶解したキレート試薬で水溶液から
抽出する方法、(4)イオン交換樹脂によって回収する方
法、などが従来から知られている。
【0004】しかし、これら従来の回収方法には、それ
ぞれ以下のような欠点があり、工業的には実施されてい
ない。上記(1)の方法は、パラジウムとともに多量に共
存するすずが同伴され、すずを後工程で分離する必要が
あり、工程が繁雑である。上記(2)の方法は、多量に共
存するすずおよび塩酸の影響で、パラジウムの選択吸着
性が良くない。上記(3)の方法は、多量に共存するすず
がパラジウムコロイド粒子の保護基として作用するの
で、抽出効率が極めて低い。上記(4)の方法は、パラジ
ウムの選択回収率が低く、操作が繁雑である。
【0005】
【発明が解決しようする課題】パラジウムを含有する水
溶液中のパラジウムを高選択率で回収する他の方法とし
て、アントラヒドロキノン化合物等のヒドロキノン骨格
を有する化合物を代表とするレドックス反応試薬を、多
孔質担体に吸着固定させた担持物(以下、この担持物を
単に「金属イオン処理剤」という。)を、例えば、カラ
ム等に充填し、パラジウム含有水溶液をカラムに通して
処理し、パラジウムを金属イオン処理剤によって還元し
て0価の金属として捕捉する方法が提案されている(特
開平7−185568号公報参照)。この提案方法は、
従来のイオン交換樹脂よりも、バラジウムの選択回収率
が良好であり、操作法も容易であるという長所がある。
【0006】しかしながら、本発明者らが、上記刊行物
で提案されている金属イオン処理剤を充填したカラム
に、多量の塩化第一すずが共存するパラジウム含有水溶
液を通液してパラジウムの回収を試みたところ、この金
属イオン処理剤中にレドックス反応試薬がアントラヒド
ロキノン体の還元型で存在しているにも拘らず、パラジ
ウムを十分に還元捕捉することができず、パラジウムは
カラム出口から未捕捉のまま流出し、効果的に回収する
ことはできないことが分った。
【0007】その理由は、塩化第一すずのようなパラジ
ウムイオンに対して還元作用を有する物質が多量に共存
するパラジウム含有水溶液中では、パラジウムは0価に
近い状態で存在してはいるが、金属として析出すること
なく、周囲をすずイオンに守られた安定なコロイド状態
に保たれ、水に溶解しており、上記刊行物で提案されて
いる金属イオン処理剤は、金属イオンを還元し金属とし
て処理剤上に析出させて回収する処理剤であるので、す
でに0価に近い状態で安定に存在する金属は、効果的に
回収できないものと推測される。パラジウムを2価のイ
オンに酸化処理すれば回収できるが、塩化第一すずが共
存するパラジウム含水溶液中のパラジウムを酸化するた
めには、まず、2価のすずイオンを4価に酸化しなけれ
ばならない。しかし、通常の状態で酸化処理を行なう
と、4価のすずイオンが水酸化物となって沈殿し、この
際パラジウムも同伴されて沈殿するので、パラジウムを
選択的に回収することができないものと推測される。
【0008】本発明者らは、塩化第一すずのようなパラ
ジウムイオンに対して還元作用を有する物質が多量共存
するパラジウム含有水溶液を、金属イオン処理剤上でパ
ラジウムの還元反応を選択的に円滑に進行させ、パラジ
ウムを効率よく回収する方法について鋭意検討した結
果、まず、水溶液をpH1以下の酸性状態として酸化処
理を施し、水溶液中の2価のすずイオンと共に原子価が
0に近いコロイド粒子状のパラジウムをパラジウムイオ
ンに変え、この後に、この水溶液を金属イオン処理剤に
接触させると、沈殿を生ずることなパラジウムを回収で
きることを見出し、本発明を完成した。
【0009】本発明の目的は、次のとおりである。 1.塩化第一すずのようなパラジウムイオンに対して還
元作用を有する物質が多量共存するパラジウム含有水溶
液から、パラジウムを効率的に回収することができる工
業的に有利な方法を提供すること。 2.上記方法を実施するのに適した回収装置を提供する
こと。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、パラジウムイオンに対して還元作用を
有する物質が共存しているパラジウム含有水溶液から、
パラジウムを金属として回収するにあたり、まず、上記
パラジウムイオンに対して還元作用を有する物質が共存
しているパラジウム含有水溶液について、pH1以下で
酸化処理を行ない、ついで、多孔質担体にアントラヒド
ロキノン化合物類を担持させた金属イオン処理剤に接触
させることを特徴とする、パラジウムの回収方法を提供
するものである。
【0011】本発明ではさらに、パラジウム含有水溶液
を酸化処理する酸化処理槽、この酸化処理槽の後方に、
アントラヒドロキノン化合物類を多孔質担体に担持させ
た金属イオン処理剤を充填したカラムを直列に接続して
構成されてなるパラジウム含有水溶液からパラジウムを
回収する装置において、酸化処理槽に、パラジウム含有
水溶液の酸化処理の途中の特性の変化を確認するための
確認装置を装着し、この確認装置によって確認した結果
に基づいて前記酸化処理槽から前記カラムへ供給するパ
ラジウム含有水溶液の供給量を制御可能とした制御装置
を装備したことを特徴とする、パラジウムの回収装置を
提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において処理の対象とされる水溶液は、パラジウ
ムイオンに対して還元作用を有する物質が共存している
パラジウム含有水溶液である。具体的には、無電解メッ
キの前工程に用いられる塩化パラジウムと塩化第一すず
との混合触媒液、その廃液や、無電解メッキの前工程で
発生した洗浄排水等が挙げられる。
【0013】塩化パラジウムと塩化第一すず混合触媒液
では、下記(I)の化学式に示される反応により、対象
物品の下地表面にパラジウム金属核ができると考えられ
ており、このすずイオンの還元力で、混合触媒液中のパ
ラジウムは、原子価が0価近くまで還元され、コロイド
粒子として存在していると考えられている。
【0014】
【化1】
【0015】本発明方法において酸化処理とは、パラジ
ウム含有水溶液中の原子価が0に近いコロイド粒子状の
パラジウムを、パラジウムイオン(Pd2+)に変えるこ
とをいう。パラジウム含有水溶液につき酸化処理を行う
には、水溶液中のパラジウムをパラジウムイオン(Pd
2+)に酸化できる酸化力を付与できる方法によることが
できる。具体的には、(1)パラジウム含有水溶液に空気
や酸素などの気体を吹き込む方法、(2)パラジウム含有
水溶液に適当な酸化剤を添加する方法、または、(3)外
部電源を用いて電解する方法、または、(4)パラジウム
含有水溶液に酸化還元電位が0.6V(対NHE)より
高い電位を有する物質を添加する方法、または、これに
相当する電位を外部電源から与える方法、などが挙げら
れる。これらの方法は、単独でも、2つ以上の方法を組
合せることもできる。
【0016】パラジウム含有水溶液について酸化処理す
る際に使用できる酸化剤としては、例えば、空気、酸
素、過酸化水素などの酸素系酸化剤、過塩素酸塩や気体
塩素などの塩素系酸化剤、三価の鉄イオンのような金属
化合物などが挙げられる。これらは、単独でも複数の酸
化剤を併用することもできる。
【0017】これらの酸化剤は、その添加量が多いと、
酸化処理後に酸化剤がパラジウム含有水溶液中に残存
し、残存した酸化剤の酸化力により、金属イオン処理剤
によるパラジウムの回収能力が低下させられるので好ま
しくない。一方、酸化剤の添加量を当量近くまで減らす
と、酸化速度が遅くなる。また、通常は無電解メッキの
前工程で発生するパラジウム含有水溶液には、パラジウ
ムに比べすずが圧倒的に多く、かつ、すずが酸化されて
からパラジウムが酸化されるので、すずに対して酸化剤
を若干過剰に添加した場合でも、パラジウムに対しては
かなり過剰に添加したこととなり、残存する酸化剤のた
めに、金属イオン処理剤のパラジウム捕捉量を大きく低
下させることになる。逆に、酸化剤が若干少ないだけで
も、パラジウムイオンは酸化されずに、回収できない。
【0018】つまり、酸化剤の添加量は、かなり厳密な
当量関係とすることが必要である。また、このような当
量関係下の酸化処理では、終点近くでの酸化速度が遅く
なり、長時間を要することになり好ましくない。パラジ
ウム含有水溶液を酸化処理する際の好適な手法は、酸化
剤を過剰に用いて酸化処理し、処理後に過剰の酸化剤を
除去または失活させ、その後に金属イオン処理剤による
回収操作を行なう方法である。
【0019】酸化剤として空気などの酸素を含有する気
体を使用する場合には、酸素の水に対する溶解度が小さ
いので、酸化処理後に残存する酸素が、金属イオン処理
剤の能力を大きく低下することはないが、理想的には、
酸化が完了した後、残存する酸素を窒素などの不活性気
体で置換するのが好ましい。酸化剤として空気や酸素な
どの気体を用いる場合には、通常は、室温で、気体を微
細な状態でパラジウム含有水溶液に吹き込むことが望ま
しい。吹き込み速度および時間は、任意に設定できる
が、空気の場合は、通常、1リットルの水溶液に10〜
300ミリリットル/分の速度で約40時間吹き込むこ
とにより、パラジウムを酸化することができる。この
際、パラジウムの酸化の進行状態は、パラジウム含有水
溶液の着色状態から確認することができる。すなわち、
濁度の高い茶褐色の水溶液が、透明の橙色に変化すれ
ば、0価のパラジウムは2価のパラジウムイオン(Pd
2+)に酸化されたことを意味する。
【0020】酸化剤として酸化鉄、過酸化水素などを過
剰に用いて酸化処理する場合は、パラジウム含有水溶液
には未反応の酸化剤が残存するので、還元剤等で過剰の
酸化剤を失活または分解してから、金属イオン処理剤に
よる操作を行なう必要がある。過剰に用いた酸化剤を除
去する方法としては、酸化剤が塩化鉄の場合は、亜硫酸
ソーダ等の弱い還元剤を添加する方法、酸化剤が過酸化
水素の場合は、二酸化マンガンを添加して分解する方
法、などが挙げられる。また、これらの酸化剤を当量以
下用いて酸化した後に、残りのすずとバラジウムを、空
気や酸素を用いて酸化する方法を採用することもでき
る。後者の場合は、酸化剤を失活させる必要がない。
【0021】本発明方法によるときは、上記の方法で酸
化処理を行なったパラジウム含有水溶液を、多孔質担体
にアントラヒドロキノン化合物類を担持させた金属イオ
ン処理剤に接触させる。金属イオン処理剤のアントラヒ
ドロキノン化合物類の還元作用により、酸化処理によっ
て酸化されて2価のパラジウムイオン(Pd2+)とされ
たものを、金属パラジウムまで還元させるように機能す
る。
【0022】本発明において多孔質担体としては、二酸
化珪素等の無機質系多孔質担体、活性炭や活性炭素繊維
等の炭素系多孔質担体、その他、疎水性に調製した活性
炭等の炭素粒子、例えば、ポリテトラフルオロエチレン
の水性エマルジョン加工品(特開昭53−92981号
公報を参照)、有機質系の合成ポリマー粒子、例えば、
有機合成吸着剤として用いられるスチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体、または、これらの成形品などが挙げら
れる。中でも活性炭が安価で入手し易いので、特に好ま
しい。
【0023】この多孔質担体は、細孔径が5オングスト
ローム以上、好ましくは10オングストローム以上、比
表面積は、例えば炭素系多孔質担体では、1グラム当た
り1000平方メートルのものが標準となる。この多孔
質担体の形態は、粉体、ぺレット状、球状または破砕品
等のいずれであってもよい。粉体、ペレット状、球状、
破砕品等の粒径は、小さい程比表面積が大きくなり接触
効率はよいが、カラムなどに充填して連続的にパラジウ
ム含有水溶液を処理する場合には、通液抵抗が大きくな
るので、例えば、活性炭の場合は0.3〜2.5mmの範
囲で選ぶのが好ましい。
【0024】アントラヒドロキノン化合物類は、可逆的
な酸化還元能力がある化合物であり、吸着等によって多
孔質担体に安定に固定される化合物であればよい。アン
トラヒドロキノン化合物の具体例としては、例えば、ア
ントラヒドロキノン(9,10−ジヒドロキシアントラ
セン)、その水素化化合物、これらの置換体、および、
アントラヒドロキノン化合物類の水溶性塩、などが挙げ
られる。アントラヒドロキノン化合物類は、上記の多孔
質担体に担持させ水溶液中で使用されるので、一般に水
溶液に溶出しないような疎水性の置換基を有する還元性
化合物が好ましい。
【0025】アントラヒドロキノン化合物類の置換体に
おける置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニ
ル基、アルコキシル基、フェニル基、アルキルアミノ
基、ハロゲン基等の比較的疎水性の置換基が挙げられ
る。これら置換基は炭素数が1〜60の範囲のものの中
から選ばれ、中でも好ましいのは炭素数24以下のアル
キル基、アルケニル基、アルコキシル基などであり、ア
ルキル基は直鎖でも、分岐したものでもよい。また、ア
ントラヒドロキノン化合物類の置換体における置換基
は、スルホン酸基、スルホン酸アミド基、カルボキシル
基を含有する置換基であってもよい。
【0026】これらの置換基を有する化合物の具体例と
しては、2−メチルアントラヒドロキノン、2−エチル
アントラヒドロキノン、2−アミルアントラヒドロキノ
ン、2−t−ブチルアントラヒドロキノン、2−(4−
メチルペンチル)アントラヒドロキノン等のアルキル化
アントラヒドロキノン化合物類、2−(4−メチル−ペ
ンテニル)アントラヒドロキノン等のアルケニル化アン
トラヒドロキノン化合物類、1−メトキシアントラヒド
ロキノン、1,5−ジメトキシアントラヒドロキノン等
のアルコキシル化アントラヒドロキノン化合物類、2−
フェニルアントラヒドロキノン等のフェニル置換アント
ラヒドロキノン化合物類、2−N,N−ジメチルアミノ
アントラヒドロキノン等のアルキルアミノ化アントラヒ
ドロキノン化合物類、1−クロロアントラヒドロキノ
ン、2−クロロアントラヒドロキノン等のハロゲン化ア
ントラヒドロキノン化合物類などが挙げられる。
【0027】ヒドロキノン化合物の水素化化合物として
は、1,4−ジヒドロ−9,10ージヒドロキシアント
ラセン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9,10−ジ
ヒドロキシアントラセン等が挙げられる。これらの化合
物は単独でも、複数の化合物を併用することもできる。
【0028】このアントラヒドロキノン化合物類の水溶
性塩の水溶液としては、例えば、ナフトキノンと対応す
る1,3−ブタジエン化合物とのディールス・アルダー
反応によって得られる、1,4,4a,9a−テトラヒ
ドロアントラキノン化合物に当量(キノン化合物に対し
て2倍モル)以上の水酸化アルカリ金属の水溶液を作用
させることによって得られる、1,4−ジヒドロ−9,
10−ジヒドロキシアントラセン化合物のジナトリウム
塩水溶液が挙げられる。
【0029】前記の多孔質担体に、上記アントラヒドロ
キノン化合物類を担持させた金属イオン処理剤を調製す
るには、(1)アントラヒドロキノン化合物類を有機溶媒
に溶解した溶液に多孔質担体を浸漬して含浸させ、溶媒
を除去して多孔質担体にアントラヒドロキノン化合物類
を担持させた後、亜二チオン酸ナトリウム(ハイドロサ
ルファイトナトリウム)等の還元剤で処理する方法、
(2)アントラヒドロキノン化合物類の水溶性塩の水溶液
に多孔質担体を浸漬し、アントラヒドロキノン化合物の
水溶性塩を多孔質担体に吸着させたのち、酸洗浄して固
定化する方法、などが挙げられる。上記(2)の方法は、
上記(1)の方法で必須の還元処理が不要であるという利
点がある。
【0030】多孔質担体に担持させるアントラヒドロキ
ノン化合物類の量は、アントラヒドロキノン化合物類の
種類、パラジウム含有水溶液のパラジウムの濃度、固体
の多孔質担体の種類、粒径、比表面積などによっても異
なるが、例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒド
ロキシアントラセンのジナトリウム塩と粒状活性炭を使
用した場合、担体1リットル当たり0.3〜1.0モル
(M)の範囲で選ぶのが好ましい。担持量が少ないと、
多量の金属イオン処理剤を使用しなければならず、多す
ぎるとパラジウムに作用しない量が増加して無駄にな
り、いずれも好ましくない。
【0031】上記の方法で酸化処理を行ったパラジウム
含有水溶液からパラジウムの回収するには、上記のよう
に調製した金属イオン処理剤を、パラジウム含有水溶液
のパラジウムを還元するに必要な当量以上を添加して撹
拌処理した後、傾瀉または濾過等で担持物を濾別するよ
うな回分式の処理法を採用することができるが、一般的
には、前記の金属イオン処理剤をカラム(塔)に充填し
て、酸性処理を行ったパラジウム含有水溶液を通液する
方法が採用される。カラムへ通液する方法は、特に限定
されるものではなく、上向きまたは下向きなど通常の通
液方式によることができる。
【0032】本発明方法によってパラジウム含有水溶液
からパラジウムを回収する場合には、パラジウム含有水
溶液を酸化処理する酸化処理槽、この酸化処理槽の後方
に、アントラヒドロキノン化合物類を多孔質担体に担持
させた金属イオン処理剤を充填したカラムを直列に接続
して構成されてなるパラジウム回収装置を使用するのが
好ましい。このパラジウム回収装置の酸化処理槽には、
パラジウム含有水溶液の酸化処理の途中の特性の変化を
確認する確認装置を装着し、この確認装置によって確認
した結果に基づいて、前記酸化処理槽から前記カラムへ
供給するパラジウム含有水溶液の供給量を制御可能とし
た制御装置を装備する。
【0033】酸化処理槽では、パラジウム含有水溶液に
含まれる還元性物質である塩化第一すずを酸化し、パラ
ジウム(0価)のコロイド粒子をパラジウムイオンまで
酸化する。パラジウムコロイド溶液が酸化処理槽で酸化
され、パラジウムイオン(Pd2+)に変換すると、パラ
ジウム含有水溶液は濁度の高い茶褐色の状態から、橙色
の透明な水溶液に変化する。このためこのパラジウム含
有水溶液の濁度の変化、すなわち、パラジウム含有水溶
液の光線透過率の変化を確認する装置を装着し、酸化処
理槽から金属イオン処理剤を充填したカラムに供給する
パラジウム含有水溶液の供給量を制御可能とした制御装
置を使用すると、パラジウム含有水溶液を効率的に処理
することができる。
【0034】図1に、本発明方法を実施する際に使用さ
れる処理装置の一例のフローシートを示した。パラジウ
ム含有水溶液は、供給口1から配管を経由して酸化処理
槽2に供給される。酸化処理槽2には、空気吸入口3か
ら吸入した酸化剤としての空気を、コンプレッサー4で
加圧してパラジウム含有水溶液に吹き込み可能とされて
いる。酸化処理槽2には、酸化処理槽2を挟んで、また
は、酸化処理槽中の水溶液を循環させる細管などを挟ん
で、一方の側に光源5を、対向する側にパラジウム含有
水溶液を透過した光線を検出する検出器6を、それぞれ
配置される。光源5を点灯し酸化処理槽2に照射してお
くと、パラジウム含有水溶液が酸化処理されて濁度が高
く光線を透過しない状態から、橙色の透明な水溶液に変
化した状況を、検出器6側で検出し、制御装置7に電気
信号として送られる。
【0035】酸化処理槽2の後方(下流側)には、アン
トラヒドロキノン化合物類を多孔質担体に担持させた金
属イオン処理剤を充填したカラム8が直列に接続され、
パラジウムが回収された廃液は、排出口9から排出され
る。酸化処理槽2とカラム8との間には、ポンプ10を
配置し、酸化処理槽2からカラム8に供給するパラジウ
ムイオンを含む水溶液の供給量を調節する。酸化処理槽
2での酸化処理が不十分で、パラジウム含有水溶液の濁
度が高く光線が水溶液を透過しない間は、空気を吹き込
んで酸化処理を行い、酸化が進行し水溶液の透明度が高
くなり、光線を透過するようになった場合には、酸化処
理を止めて、パラジウムイオンを含む水溶液をポンプ1
0によってカラム8に供給可能とされている。
【0036】パラジウム含有水溶液を、上記の手順でカ
ラムに繰り返し通液することによって、前記金属イオン
処理剤の還元能力が失われる。これは、多孔質担体に担
持させたアントラヒドロキノン化合物類が還元力のない
アントラキノン化合物類に変化したからである。アント
ラキノン化合物類をアントラヒドロキノン化合物類に還
元すれば、還元能力を回復することができる。アントラ
キノン化合物類を還元するには、例えば、ハイドロサル
ファイトナトリウム水溶液等による還元、その他発生期
の水素(例えば、亜鉛と塩酸またはアルカリ水溶液)等
による還元が可能である。このように還元再生処理した
後、かなりの回数にわたって繰り返し使用することがで
きる。再生使用可能な回数は、アントラヒドロキノン化
合物類の種類によって若干の差がある。
【0037】複数回の繰り返し使用によって還元能力を
失い、再生能力も失った金属イオン処理剤は、例えば、
これを焼却することによって金属バラジウムとして容易
に回収することができる。この焼却方法は、特に限定さ
れるものではなく、ロータリーキルンのような回転焼却
炉、るつぼ型の焼却炉等、焼却残渣から金属パラジウム
が回収し易い方法であればよい。また、多孔質単体に捕
捉されたパラジウムは、王水等の酸化剤によってパラジ
ウムイオンとして溶解して回収することができる。
【0038】パラジウム含有水溶液を金属イオン処理剤
(アントラヒドロキノン化合物類を担持させた多孔質担
体)を接触させると、パラジウムはこの処理剤上で0価
の金属に還元されて、選択的に捕捉され、処理後の排水
中には殆ど検出されなくなる。このパラジウム含有水液
からパラジウムを捕捉した後の金属イオン処理剤を粉末
X線回折法により分析することにより、パラジウムが金
属パラシウムとして捕捉されていることを確認すること
ができる。
【0039】パラジウムイオンが金属イオン処理剤上に
金属パラジウムとして捕捉される機構については、まだ
明確に解明されていないが、現象面からすると、パラジ
ウムィオンが金属イオン処理剤に接触すると、この処理
剤に担持されたアントラヒドロキノン化合物で還元され
て金属パラジウムの核が形成され、この核を介して電子
の授受が行われ、金属パラジウムが積層し成長してこの
金属イオン処理剤上に金属パラジウム被膜が形成される
ものと推定される。
【0040】さらに、還元再生時にも、この金属イオン
処理剤上に積層した金属パラジウム被膜を介して電子の
授受が行われ、担持されているアントラキノン化合物を
還元してアントラヒドロキノン型の化合物とすることに
より、再びパラジウムイオンを還元しこの金属イオン処
理剤処理上に積層するものと推定される。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の
記載例に限定されるものではない。なお、実施例中にお
いて、「%」とは特に記載のない限り「重量%」を意味
する。
【0042】[実施例1] (1)1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアン
トラセン(以下、DDAという)を活性炭に担持した金
属イオン処理剤の調整 容量が3リットルのナス型フラスコに、粒状活性炭(三
菱化学社製の石炭系活性炭)1リットル(487g)を
採取し、減圧下、窒素置換処理を繰り返し、活性炭細孔
内の酸素を窒素で置換した。窒素置換のあと、窒素雰囲
気下で濃度16%のDDAのジナトリウム塩(以下、D
DAのジナトリウム塩をDDANという。また、このD
DANの濃度はアントラキノンに換算した濃度として表
す。)の水溶液1950gを加え、減圧下で2.5時間
吸着させた。この混合物を窒素雰囲気下で吸引濾過し、
得られた濾過ケーキを10%硫酸溶液1リットルで処理
した後、窒素置換した脱イオン水1リットルで洗浄し
た。得られたDDAを活性炭に担持した金属イオン処理
剤を、脱イオン水中で保存した。
【0043】(2)金属イオン処理剤のDDA担持量の
測定 上記で得られた金属イオン処理剤の10ミリリットルを
採取し、ソックスレー抽出器を使用して、まず、アセト
ン・メタノール(重量比、1:1)の混合溶媒で抽出
し、次に、トルエン溶媒によって活性炭に担持されたD
DAを抽出した。得られた溶媒混合物を蒸発・乾固させ
て、残留したDDAの重量の測定結果から、担持量を算
出したところ、活性炭1リットル当たり0.73モルで
あった。
【0044】(3)パラジウム含有触媒回収模擬液の酸
化処理−1 主たる成分が塩化第一すずと塩化パラジウムからなるパ
ラジウム含有触媒回収模擬液{Pd20ppm、Sn2
200ppm(0.0185M)、塩酸酸性でpHは
1.0である。}1リットルに対し、30%の過酸化水
素水をlミリリットル添加した。さらにこの液に、30
0ミリリットル/分の速度で空気を吹き込み、約3時間
空気による酸化処理を行った。このときのパラジウム含
有触媒回収模擬液は、茶褐色の濁度の高いコロイド液か
ら、橙色の透明な水溶液に変化した。
【0045】過酸化水素水の添加量は、過酸化水素とし
て0.009Mであった。これは、過酸化水素が次式(I
I)に従い、パラジウム含有水溶液中のSn2+イオンを酸
化すると仮定して、理論量の約1/2に相当する。
【0046】
【化2】
【0047】(4)パラジウム含有触媒回収模擬液から
のパラジウム回収 上記(1)で調整した金属イオン処理剤を10ミリリッ
トル採取し、直径11mm、長さ150mmのガラスカラム
に充填し、このカラムに、上記(3)に記載したパラジ
ウム含有触媒回収模擬液を、下向流でSV(Space Veloc
ity)5の条件で通液処理した。カラムからの流出液中の
金属イオン濃度を、ICP原子発光分光法(以下、IP
C−AESという。)で測定し、その測定結果を、カラ
ムに通液したパラジウム含有液の量(リットル)と、カ
ラムからの流出液の金属イオン濃度との関係として、表
−1に示した。
【0048】パラジウム含有触媒回収模擬液を20リッ
トル処理したが、カラムからの流出液中のパラジウムイ
オン濃度は、lppm以下であった。また、すずイオン
は全く捕促されるされることなく、金属イオン処理剤を
通過した。パラジウム金属の回収量は、金属イオン処理
剤1リットル当たり62gで、理論捕捉量の40%であ
った。なお、「理論捕捉量」とは、金属イオン処理剤に
担持されているDDAが、総て4価の電子還元剤として
金属イオンの還元、捕捉に寄与すると仮定した場合の金
属の捕捉量をいう。
【0049】[実施例2] (5)パラジウム含有触媒回収模擬液の酸化処理−2 主たる成分が塩化第一すずと塩化パラジウムからなるパ
ラジウム含有触媒回収模擬液{Pd20ppm、Sn2
200ppm(0.0185M)、塩酸酸性でpHは
1.0であった。}1リットルに対し、塩化鉄(III)無
水物を1.8gを添加した。さらにこの液に、300ミ
リリットル/分の速度で空気を約5時間吹き込んだとこ
ろ、模擬液は濁度の高い茶褐色のコロイド液から、透明
な橙色な水溶液と変化した。
【0050】塩化鉄(III)の添加量は、Fe3+として
0.011Mであった。これはFe3+が次式(III)に従
い、パラジウム含有触媒回収模擬液中のSn2+イオンを
酸化すると仮定すると、理論量の約1/2に相当する。
【0051】
【化3】
【0052】(6)パラジウム含有触媒回収模擬液から
のパラジウム回収処理 上記(5)で調整したパラジウム含有触媒回収模擬液
を、上記(4)におけると同様の手法で、パラジウム含
有触媒回収模擬液をSV5でカラムに通液処理した。
カラムからの流出液中の金属イオン濃度を、ICP−A
ESで測定し、上記(4)におけると同様にその結果
を、表−1に示した。
【0053】[実施例3] (7)パラジウム含有触媒回収模擬液の酸化処理−3 主たる成分が塩化第−すずと塩化パラジウムからなる触
媒回収模擬液{Pd20ppm、Sn2200ppm
(0.019M)、塩酸酸性でpHは1.0であっ
た。}1リットルに対し、300ミリリットル/分の速
度で空気を約40時間を吹き込んだ。模擬液は濁度の高
い茶褐色のコロイド液から、透明な橙色な水溶液と変化
した。
【0054】(8)バラジウム含有触媒回収模擬液から
のパラジウム回収処理 上記(7)で調整したパラジウム含有触媒回収模擬液
を、前記(4)におけると同様の手法で、パラジウム含
有触媒回収模擬液を、SV5でカラムに通液処理した。
カラムからの流出液中の金属イオン濃度を、ICP−A
ESで測定し、上記(4)におけると同様にその結果
を、表−1に示した。
【0055】[実施例−4] (9)パラジウム含有触媒回収模擬液の酸化処理−4 主たる成分が塩化第−すずと塩化パラジウムからなる触
媒回収模擬液{Pd20ppm、Sn2200ppm
(0.0185M)、塩酸酸性でpHは1.0であっ
た。}1リットルに対し、30%過酸化水素水溶を4ミ
リリットル添加した。このときのパラジウム含有触媒回
収模擬液は、濁度の高い茶褐色のコロイド液から、透明
な橙色な水溶液と変化した。過剰な、過酸化水素を除去
するために、この水溶液に約3gの二酸化マンガンを添
加した。このとき、この水溶液は激しく発泡した。な
お、水溶液に添加した二酸化マンガンは、一部水溶液に
溶解した。
【0056】過酸化水素水添加量は、0.36M(モ
ル)であった。これは過酸化水素が次式(IV)に従い、水
溶液中のSn2+イオンを酸化すると仮定して、理論量の
約2倍の過剰に相当する。
【0057】
【化4】
【0058】(10)パラジウム含有触媒回収模擬液から
のパラジウム回収処理 上記(9)で調整したパラジウム含有触媒回収模擬液
を、前記(4)におけると同様の手法で、パラジウム含
有触媒回収模擬液を、SV5でカラムに通液処理した。
カラムからの流出液中の金属イオン濃度を、ICP−A
ESで測定し、上記(4)におけると同様にその結果
を、表−1に示した。
【0059】[比較例] (11)主たる成分が塩化第一すずと塩化パラジウムから
なる触媒回収模擬液{Pd20ppm、Sn2200p
pm(0.0185M)、塩酸酸性でpHは1.0であ
った。}1リットルに対し、パラジウム含有触媒回収模
擬液を、なんら酸化処理を行うことなく、前記(4)に
おけると同様の手法で、パラジウム含有触媒回収模擬液
を、SV5でカラムに通液処理した。カラムからの流出
液中の金属イオン濃度を、ICP−AESで測定し、上
記(4)におけると同様にその結果を、表−1に示し
た。
【0060】
【表1】
【0061】表−1より、次のことが明らかである。 (i)パラジウム含有水溶液を金属イオン処理剤を充填し
たカラムに通液する前に酸化処理を行った実施例のもの
は、カラムからの流出液中にパラジウムイオンを検出す
ることができず、パラジウムが効率的に回収されている
ことが分る(実施例1〜実施例4参照)。 (ii)これに対して、パラジウム含有水溶液に酸化処理を
行なわなかった比較例のものは、カラムからの流出液中
のパラジウムイオンの濃度が高く、パラジウムがほとん
ど回収されていないことが分る(比較例参照)。
【0062】[実施例5] (12)バラジウム含有触媒液回収装置 図1に記載した透明ガラス製で容量が5リットルに酸化
処理槽2に、槽内の水溶液の光透過量を検出できるよう
に、槽を挟んだ最大径部分に対向させて光源5と光検出
器6を装着した。槽内の水溶液の光透過量が設定値以下
の間は、酸化処理槽2に空気を吹き込み、その設定値を
超えた場合に、酸化処理槽内の水溶液をポンプ10で抜
き出し、金属イオン処理剤を充填したカラム8に送るよ
うに設定した。
【0063】(13)パラジウム回収装置による回収試験 主たる成分が塩化第一すずと塩化パラジウムからなる触
媒回収液{Pd27ppm、Sn2400ppm(0.
020M)、塩酸酸性でpHは0.9であった。}5リ
ットルを、酸化処理槽2に入れた。酸化処理槽内の水溶
液に300ミリリットル/分の速度で、空気の吹き込み
を継続し、12時間経過した時点で、酸化処理槽内の水
溶液は透明な溶液となった。水溶液が透明となった時点
で、制御装置7が作動してポンプのスイッチをオンと
し、酸化処理後の水溶液を金属イオン処理剤が充填され
たカラムに、4.1ミリリットル/分の速度で供給を開
始し、約20時間で金属イオン処理剤によるパラジウム
の回収を終了した。カラムからの流出液中のパラジウム
イオン濃度をICP−AESで測定したところ、パラジ
ウムイオンは全く検出されなかった。
【0064】(14)上記(13)に記載のパラジウム回収
試験を連続的に30回繰り返したところ、金属イオン処
理剤の処理能力は飽和し、パラジウムの補捉能力が低下
した。このときの金属イオン処理剤のパラジウム補捉量
は、金属イオン処理剤1リットル当たり50.6gであ
った。
【0065】(15)パラジウム回収装置による回収試験
−2 主たる成分が塩化第一すず、塩化ナトリウムおよび塩化
パラジウムからなる触媒回収液{Pd20ppm、Sn
2300ppm(0.0193M)、塩酸酸性でpHは
1.2であった。}5リットルを、上記(13)に記載の
酸化処理槽2に入れた。この際、すずの水酸化物と推定
される沈殿物が観察された。そこで、酸化処理槽に塩酸
を加え、触媒回収液のpHを0.7に調整したあと、酸
化処理槽を稼働させた。酸化処理槽内の水溶液に300
ミリリットル/分の速度で、空気の吹き込みを継続し、
12時間経過した時点で、酸化処理槽内の水溶液は透明
な溶液となった。水溶液が透明となった時点で、制御装
置7が作動してポンプのスイッチをオンとし、酸化処理
後の水溶液を金属イオン処理剤が充填されたカラムに、
4.1ミリリットル/分の速度で供給を開始し、約20
時間で金属イオン処理剤によるパラジウムの回収を終了
した。カラムからの流出液中のパラジウムイオン濃度を
ICP−AESで測定したところ、パラジウムイオンは
全く検出されなかった。
【0066】(16)上記(15)に記載のパラジウム回収
試験を連続的に35回繰り返したところ、金属イオン処
理剤の処理能力は飽和し、パラジウムの補捉能力が低下
した。このときの金属イオン処理剤のパラジウム補足量
は、金属イオン処理剤1リットル当たり43.8gであ
った。
【0067】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明した通りであ
り、次の様な特別に優れた効果を奏し、その産業上の利
用価値は極めて大である。 1.本発明に係る方法によるときは、パラジウムイオン
に対して還元作用を有する物質が共存するパラジウム含
有水溶液に、酸化処理を施すことにより、パラジウムイ
オンに対して還元作用を有する物質の影響を受けること
なく、かつ、沈殿の生成を伴うことなく、パラジウムを
金属として、効率よく捕捉・回収することができる。 2.本発明に係る方法によるときは、パラジウムイオン
に対して還元作用を有するすずが多量に共存するにも拘
らず、貴金属であるパラジウムを高い選択率で完全に分
離回収することができ、貴重な資源を再利用することが
できる。 3.本発明に係る処理装置によるときは、酸化処理槽の
稼働、酸化処理後の水溶液のカラムへの供給ポンプの稼
働を、酸化処理槽内のパラジウム含有水溶液の光線透過
率の変化に応じて、開始させることができるので、パラ
ジウム含有水溶液の処理を省力化して遂行することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を実施する際に使用される処理装
置の一例のフローシート示している。
【符号の説明】
1:パラジウム含有水溶液の供給口 2:酸化処理槽 3:空気吹き込み口 4:コンプレッサー 5:光源 6:透過光検出器 7:制御装置 8:金属イオン処理剤を充填したカラム 9:排水出口 10:ポンプ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウムイオンに対して還元作用を有
    する物質が共存しているパラジウム含有水溶液から、パ
    ラジウムを金属として回収するにあたり、まず、上記パ
    ラジウムイオンに対して還元作用を有する物質が共存し
    ているパラジウム含有水溶液について、pH1以下で酸
    化処理を行ない、ついで、多孔質担体にアントラヒドロ
    キノン化合物類を担持させた金属イオン処理剤に接触さ
    せることを特徴とする、パラジウムの回収方法。
  2. 【請求項2】 パラジウム含有水溶液が、パラジウムと
    すずとの混合触媒液の廃液である、請求項1記載のパラ
    ジウムの回収方法。
  3. 【請求項3】 還元作用を有する物質が、塩化第一すず
    である、請求項1記載の回収方法。
  4. 【請求項4】 アントラヒドロキノン化合物類が、9,
    10−ジヒドロキシアントラセン、1,4−ジヒドロ−
    9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,2,3,4
    −テトラヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセ
    ン、または、これらの置換体から選ばれた少なくとも1
    種以上の化合物である、請求項1ないし請求項3のいず
    れか1項に記載のパラジウムの回収方法。
  5. 【請求項5】 多孔質担体が炭素系多孔質担体である、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の回収方
    法。
  6. 【請求項6】 炭素系多孔質担体が、活性炭または活性
    炭素繊維である、請求項5記載のパラジウムの回収方
    法。
  7. 【請求項7】 パラジウム含有水溶液を酸化処理する酸
    化処理槽、この酸化処理槽の後方に、アントラヒドロキ
    ノン化合物類を多孔質担体に担持させた金属イオン処理
    剤を充填したカラムを直列に接続して構成されてなるパ
    ラジウム含有水溶液からパラジウムを回収する装置にお
    いて、酸化処理槽に、パラジウム含有水溶液の酸化処理
    の途中の特性の変化を確認するための確認装置を装着
    し、この確認装置によって確認した結果に基づいて、前
    記酸化処理槽から前記カラムへ供給するパラジウム含有
    水溶液の供給量を制御可能とした制御装置を装備したこ
    とを特徴とする、パラジウムの回収装置。
  8. 【請求項8】 パラジウム含有水溶液の特性の変化を確
    認するための確認装置が、酸化処理の途中にパラジウム
    含有水溶液の光線透過率の変化を確認するものである、
    請求項7に記載のパラジウムの回収装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002061156A1 (fr) * 2001-02-01 2002-08-08 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Procede pour separer, enrichir et recuperer du palladium
WO2022215587A1 (ja) * 2021-04-05 2022-10-13 株式会社ディーピーエス パラジウムの回収方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002061156A1 (fr) * 2001-02-01 2002-08-08 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Procede pour separer, enrichir et recuperer du palladium
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