JP4269442B2 - パラジウムの分離、回収方法 - Google Patents

パラジウムの分離、回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラジウム含有水溶液からのパラジウムの分離、濃縮及び回収方法に関する。さらに詳しくは、パラジウムメッキ液や無電解メッキのパラジウム核付与処理に使われるパラジウムとスズとの混合触媒液等の廃液から、資源的に貴重なパラジウム金属を工業的有利に分離、濃縮及び回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パラジウムは、耐食性、対変色性、低い接触抵抗性、はんだ付け性に優れ、電子工業界でもよく使われるメッキの一つである。また、プラスチック材料、装飾品、電子機器部品等をメッキする際には、メッキ対象物品の下地表面に触媒作用を付加するため、パラジウムとスズの混合触媒液を用いて下地表面にパラジウム核を付与する手法が行われている。これらのメッキ処理やパラジウム核付与の工程からは各種のパラジウム含有廃液が排出されており、工程によっては、各種金属イオンが混入した廃液が排出されるため、廃水処理を一層困難なものにしている。例えば、プリント基板のスルーホールメッキのパラジウム核付与工程からは、プリント基板から溶けだした多量の銅イオンが混入したパラジウム含有廃液が排出されている。
【0003】
このようなパラジウムを含有する水性廃液からパラジウムを回収する方法としては、(1)活性炭などの多孔質担体に吸着させて回収する方法、(2)有機溶媒に溶解したキレート試薬で水溶液から抽出する方法、(3)イオン交換樹脂によって回収する方法、(4)沈殿させて回収する方法、などが従来から知られている。しかしながら、上記の触媒液のようにパラジウムと共にスズが大量に含まれる廃液や、各種金属イオンが混入した廃液の場合、上記いずれの方法もパラジウムのみを効率よく回収するのは困難で、実用的に満足できる方法ではなかった。
【0004】
一方、アントラヒドロキノン化合物を多孔質担体に担持した担持物(以下、「金属イオン処理剤」という)を用いて選択的に金属イオンを回収する技術が公開されているが、上記触媒液の場合は、共存するスズイオンの影響を除くため、酸化処理が必要とされている。(特開平11−229050)
【0005】
この金属イオン処理剤を用いる方法であっても、プリント基板のスルーホールメッキのパラジウム核付与工程から排出されるような銅イオンが多量に共存する廃液では、酸化処理を行うことにより共存する銅イオンまで2価イオンに酸化してしまい、この2価の銅イオンは、金属イオン処理剤により還元されるので、換言すれば、金属イオン処理剤の還元能力を低下させてしまうので、パラジウムの捕捉効率を低下させてしまう。銅イオン以外の金属イオンであっても、鉄の3価イオンのような、高酸化状態の金属イオンが共存する廃液、換言すると、金属イオン処理剤の還元能力を低下させるような金属イオンが共存する廃液では、パラジウムの捕捉効率が低下してしまう。
【0006】
【発明が解決しようする課題】
本発明の目的は、上記触媒液のようなパラジウム含有液中のパラジウムを効率的に回収する方法を提供する事にあり、例えば、銅イオンのような金属イオンが共存する廃触媒液からのパラジウムを選択的に回収する方法を提供する事にある。更には、上記触媒液以外のパラジウム含有液からもパラジウムを回収する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解するための手段】
本発明者らは、塩化スズとパラジウムイオンの共存系の種々のpHにおける挙動を調べたところ、第一スズ(2価)、第二スズ(4価)のいずれもpH値がおよそ1以上で水酸化物を形成して沈殿するが、第一スズのみ特異的にパラジウムを沈殿中に取り込み、溶液中にはパラジウムイオンが殆ど残らないこと、第二スズはパラジウムを取り込まないこと、さらに銅イオンや鉄イオンが共存しても、これら銅イオンや鉄イオンは沈殿中に取り込まれないことを見いだし本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は(1)スズの2価イオンにより安定化されたパラジウムイオンを含有する塩酸酸性溶液のpHを高めることによりスズの水酸化物と共にパラジウムを沈殿させて該塩酸酸性溶液から分離することを特徴とするパラジウムの分離方法(2)該塩酸酸性溶液から分離した沈殿を塩酸酸性溶液に溶解することを特徴とするパラジウムの濃縮方法(3)該塩酸酸性溶液から分離した沈殿を塩酸酸性溶液に溶解、酸化処理した液を、アントラヒドロキノン化合物を多孔質担体に担持した金属イオン処理剤と接触させてパラジウムを回収する方法(4)該塩酸酸性溶液から分離した沈殿を、塩酸酸性溶液に溶解することを特徴とするパラジウムの回収のための前処理方法にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において処理の対象とされるパラジウム含有水溶液は、希薄なパラジウム含有排水や種々の不純物を含むパラジウム含有水溶液である。具体的には、無電解メッキのパラジウム核付与工程に用いられる塩化パラジウムと塩化第一スズとの混合触媒液(以下、「パラジウム−スズ触媒液」ともいう)のような、塩酸酸性水溶液中でスズの2価イオンで安定化されたパラジウムイオンを含有する水溶液である。
【0010】
ここで、スズの2価イオンで安定化されたパラジウムイオンとは、スズの2価イオンが周囲に配位したパラジウムの錯イオン、或いはスズの2価イオンに囲まれたパラジウムのコロイド粒子のような形態で水溶液中に安定に存在している状態を意味している。
【0011】
本発明においては、このようなパラジウム−スズ触媒液の廃液やめっき工程から排出される洗浄液を対象とするが、さらに好適には各種金属イオンが不純物として混入した水溶液である。例えば、プリント基板のスルーホールメッキのパラジウム核付与工程から排出された、銅イオンが混入したパラジウム−スズ触媒液が挙げられる。
【0012】
さらには、パラジウム−スズ触媒液のようにスズの2価イオンによって安定化されていないパラジウムイオン含有水溶液であっても、塩酸酸性条件への調整及び/又はスズの2価イオンの添加により同様に処理の対象とする事ができる。
【0013】
スズの2価イオンで安定化されたパラジウムイオンは、塩酸酸性水溶液中で安定に存在するが、強酸性条件が必要であり、通常pH値で1以下、好ましくは0.2程度の強酸性条件であるが、液組成によっては、より高いpHで安定な場合もある。パラジウムイオンに対するスズの存在量は、通常数モル倍程度であり、5〜10モル倍程度で安定に存在するものと思われる。
【0014】
本発明においては、このようなスズ2価イオンによって安定化されたパラジウムイオン含有水のpHを高めることによってスズの水酸化物と共にパラジウムを沈殿させて該水溶液から分離することによって、パラジウムを分離する。
通常、このpH操作はアルカリにより行うが、該水溶液へのアルカリ添加、アルカリ水溶液との混合或いはアルカリ水溶液にパラジウム含有水を添加してもよい。また、単に希釈によりpHを高めてもよい。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物や炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0015】
通常pH値を1より大きくすることにより、スズの2価イオンは水酸化物として沈殿するが、液の組成によっては2以上必要な場合もある。この沈殿生成時にパラジウムのみを選択的に取り込んで沈殿するので、生成した沈殿を水溶液から分離することにより、パラジウムを回収することができる。沈殿の分離方法としては、濾過、遠心分離、自然沈降等通常の方法を採用できる。なお、pH値の上限は、主として共存イオンが沈殿を生成するpH値又はスズーパラジウムの沈殿が再溶解を起こすpH値のいずれか低い方が上限となる。例えば銅イオンが共存する場合、pH値の上限としては4以下となる。この条件で操作することにより、水溶液中のパラジウムやスズイオン以外の共存イオンとの分離ができる。
【0016】
分離した沈殿は、スズとパラジウム以外の不純物をほとんど含まないので、容易にパラジウムやスズを回収できる。この沈殿を塩酸酸性溶液に溶解すれば、パラジウムの濃縮液を得ることができ、必要なら組成の調整をした後、パラジウム−スズ触媒液として再利用できる。
スズとパラジウムの分離、回収方法としては、塩酸酸性溶液に再度溶解した後、酸化処理を行い、スズイオンを4価に酸化した後、アントラヒドロキノン化合物を多孔質担体に担持してなる金属イオン処理剤でパラジウムのみを還元補足する方法が挙げられる。この方法は、パラジウムのみを選択的かつ容易に回収できるので好ましい。
【0017】
この金属イオン処理剤は、アントラヒドロキノン化合物類を多孔質担体に担持したものであり、アントラヒドロキノン化合物類の還元作用により、金属パラジウムとして金属イオン処理剤上に還元捕捉する。
この多孔質担体としては、二酸化珪素等の無機質系多孔質担体、活性炭や活性炭素繊維等の炭素系多孔質担体、その他、疎水性に調製した活性炭等の炭素粒子、例えば、ポリテトラフルオロエチレンの水性エマルジョン加工品(特開昭53−92981号公報を参照)、有機質系の合成ポリマー粒子、例えば、有機合成吸着剤として用いられるスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、または、これらの成形品などが挙げられる。中でも活性炭が安価で入手し易いので、特に好ましい。
【0018】
アントラヒドロキノン化合物類は、可逆的な酸化還元能力がある化合物であり、吸着等によって多孔質担体に安定に固定される化合物であればよい。アントラヒドロキノン化合物の具体例としては、例えば、アントラヒドロキノン(9,10−ジヒドロキシアントラセン)、その水素化化合物、これらの置換体、および、アントラヒドロキノン化合物類の水溶性塩、などが挙げられる。
【0019】
このアントラヒドロキノン化合物類の水溶性塩の水溶液としては、例えば、ナフトキノンと対応する1,3−ブタジエン化合物とのディールス・アルダー反応によって得られる、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン化合物に当量(キノン化合物に対して2倍モル)以上の水酸化アルカリ金属の水溶液を作用させることによって得られる、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物のジナトリウム塩水溶液が挙げられる。
【0020】
前記の多孔質担体に、上記アントラヒドロキノン化合物類を担持させた金属イオン処理剤を調製するには、(1)アントラキノン化合物類を有機溶媒に溶解した溶液に多孔質担体を浸漬して含浸させて吸着後、亜二チオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)等の還元剤で処理する方法、(2)アントラヒドロキノン化合物類の水溶性塩の水溶液に多孔質担体を浸漬し、アントラヒドロキノン化合物の水溶性塩を多孔質担体に吸着させたのち、酸洗浄して固定化する方法、などが挙げられる。上記(2)の方法は、上記(1)の方法で必須の還元処理が不要という利点がある。
【0021】
多孔質担体に担持させるアントラヒドロキノン化合物類の量は、アントラヒドロキノン化合物類の種類、パラジウム含有水溶液のパラジウムの濃度、固体の多孔質担体の種類、粒径、比表面積などによっても異なるが、例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩と粒状活性炭を使用した場合、担体1リットル当たり0.3〜1.0モル(M)の範囲で選ぶのが好ましい。担持量が少ないと、多量の金属イオン処理剤を使用しなければならず、多すぎるとパラジウムに作用しない量が増加して無駄になり、いずれも好ましくない。
【0022】
その他の分離方法としては、(1)同様に再溶解して酸化処理後、溶液のpHを高めてスズのみを水酸化物として沈殿分離する方法、(2)同様に再溶解した後、必要なら酸化処理して、活性炭やイオン交換樹脂等の吸着剤で吸着分離する方法、(3)同様に再溶解した後、酸化処理を溶液の酸化還元電位が上昇し始めた時点で停止することにより、パラジウムのみを金属として沈殿させる方法(特願平10−333281)(4)同様に再溶解して、電解還元する方法等が挙げられ、これらの回収方法の前処理として有効な方法である。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。なお、実施例中において、「%」とは特に記載のない限り「重量%」を意味する。
【0024】
「実施例1」
パラジウム濃度120ppm、銅濃度3,000ppm、スズ濃度12,000ppmを含むプリント基板のスルーホールメッキのパラジウム核付与工程から排出された触媒廃液(パラジウム−スズ触媒液)1リットル(以下、Lで表す)2.7%水酸化ナトリウム溶液1Lを攪拌下1時間かけて滴下してpH2にして、沈殿を生成させた。上澄み中のパラジウム濃度をICP発行分光分析法で測定したところ検出限界値(0.1ppm)以下であった。生成した沈殿を吸引ろ過により分離して、パラジウムとスズを水溶液から分離した。
【0025】
次に、上記沈殿を塩酸250mlで再溶解して、パラジウム−スズ液とし、脱塩水250mlを加え全量を500mlとした。このパラジウム−スズ液に空気を吹き込み酸化処理した。空気酸化処理することにより溶液の色が暗黒色から橙色に変化したことから、スズとパラジウムの錯体が分解したものと推測された。酸化処理した橙色の液中のパラジウム濃度は240ppmであり、銅濃度は60ppmであった。
【0026】
この液500mlをカラムに充填した金属イオン処理剤10mlに、SV(空間速度)2(1/hr)(20ml/h)で通液し,カラムを通過した液中のパラジウム濃度を分析したところ0.1ppm以下であった。さらに、同様に処理した液500mlをカラムに通液しても、パラジウムが漏洩せず、金属イオン処理剤上に、パラジウム金属が捕捉されたのが、目視で確認できた。
【0027】
なお、本発明で用いた金属イオン処理剤は、以下に従い調整した。
粒状活性炭1リットル(487g)を、減圧下、窒素置換処理を繰り返し、活性炭細孔内の酸素を窒素で置換した後、窒素雰囲気下で濃度16%の1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン(以下DDAという。)のジナトリウム塩(以下、DDAのジナトリウム塩を「DDAN」という。又、このDDANの濃度はアントラキノンに換算した濃度として表す。)の水溶液1950gを加え、減圧下で2.5時間吸着させた。この混合物を窒素雰囲気下で吸引濾過し、得られた濾過ケーキを10%硫酸溶液1リットルで処理した後、窒素置換した脱塩水1リットルで洗浄した。DDAの担持量は、活性炭1リットル当たり0.73モルであった。
【0028】
「比較例1」
実施例1と同様のパラジウム−スズ触媒液1Lに空気を吹き込み酸化処理した。酸化処理した液のパラジウム濃度は120ppmであり、銅濃度は3,000ppmであった。空気酸化処理することにより暗黒色から緑色に変化したことからスズとパラジウムの錯体を完全に分解したものと推測される。この液を実施例1と同様に金属イオン処理剤10mで処理したところ、カラムを通過した液中にはじめからパラジウムの漏洩が見られ、ほとんどパラジウムを回収することは出来なかった。上記、実施例1と比較例1の結果を、表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004269442
【0030】
「比較例2」
比較例1と同様のパラジウム−スズ触媒液1Lに空気を吹き込み酸化処理した。酸化処理した液のパラジウム濃度は120ppmであり、銅濃度は3000ppmであった。次に2.7%水酸化ナトリウム溶液1Lを攪拌下1時間かけて滴下し、pH2にして、沈殿を生成させた。このときの上澄み液中のパラジウム濃度は60ppmであった。パラジウム−スズ触媒液を空気酸化し、パラジウムイオンとスズの4価イオンの形に分解してしまうとアルカリを添加してpHを2にに調整してもスズの4価のみが沈殿し、パラジウムは回収できなかった。
【0031】
「実施例2」
パラジウム濃度200ppm、銅濃度1000ppmを含むpH1の水溶液500mlに、塩化第一スズ塩酸溶液(スズとして1200ppm)を500ml添加した。3時間静置すると液の色が黄緑色から暗黒色に変化した。次に、2%水酸化ナトリウム液を攪拌下、滴下し水溶液のpHを2に調整し、脱塩水を加え全量を2Lにした。このときの上澄み液中のパラジウム濃度を測定したところ検出限界値以下であった。生成した沈殿を吸引ろ過し、得られた沈殿を塩酸250mlで再溶解させ、脱塩水250mlを加え全量を500mlとした。この液に空気を吹き込み酸化処理した。酸化処理した橙色の液のパラジウム濃度は200ppmであり、銅濃度は30ppmであった。この液を実施例1と同様にして金属イオン処理剤で処理したところ、カラムを通過した液中のパラジウム濃度は、0.1ppm以下で、パラジウムは漏洩せず、金属イオン処理剤上に、パラジウム金属が捕捉されたのが、目視で確認できた。
【0032】
【発明の効果】
スズの2価イオンにより安定化されたパラジウムイオンを、スズとともに選択的に沈殿させることにより、パラジウムを濃縮分離できる。分離された沈殿には、スズ及びパラジウム以外の不純物が含まれないので、簡便なスズとパラジウムの分離操作によりパラジウムやスズを回収できる。特に、銅イオンが共存するパラジウム−スズ触媒液からパラジウムを金属イオン処理剤で回収する方法の前処理として好適な方法である。また、この方法を応用することにより、沈殿を再溶解すれば、パラジウム−スズ触媒液として再利用できる。さらに、沈殿を再溶解後、酸化処理でスズを4価に酸化するとスズのみが沈殿するので、パラジウム水溶液を得ることができ、金属イオン処理剤以外のパラジウム回収方法の前処理としても利用できる。

Claims (4)

  1. スズの2価イオンにより安定化されたパラジウムイオンを含有する塩酸酸性溶液のpHを高めることにより、スズの水酸化物と共にパラジウムを沈殿させて該塩酸酸性溶液から分離することを特徴とするパラジウムの分離方法。
  2. スズの2価イオンにより安定化されたパラジウムイオンを含有する塩酸酸性溶液のpHを高めることにより、スズの水酸化物と共にパラジウムを沈殿させて該塩酸酸性溶液から分離し、分離した沈殿を塩酸酸性溶液に溶解することを特徴とするパラジウムの濃縮方法。
  3. スズの2価イオンにより安定化されたパラジウムイオンを含有する塩酸酸性溶液のpHを高めることにより、スズの水酸化物と共にパラジウムを沈殿させて該塩酸酸性溶液から分離し、分離した沈殿を塩酸酸性溶液に溶解し、酸化処理した液を、アントラヒドロキノン化合物を多孔質担体に担持してなる金属イオン処理剤と接触させることを特徴とするパラジウムの回収方法。
  4. スズの2価イオンにより安定化されたパラジウムイオンを含有する塩酸酸性溶液のpHを高めることにより、スズの水酸化物と共にパラジウムを沈殿させて該塩酸酸性溶液から分離し、分離した沈殿を塩酸酸性溶液に溶解することを特徴とするパラジウムの回収のための前処理方法。
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