JP2001131646A - パラジウムの回収方法 - Google Patents

パラジウムの回収方法

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JP2001131646A
JP2001131646A JP30784299A JP30784299A JP2001131646A JP 2001131646 A JP2001131646 A JP 2001131646A JP 30784299 A JP30784299 A JP 30784299A JP 30784299 A JP30784299 A JP 30784299A JP 2001131646 A JP2001131646 A JP 2001131646A
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Suehide Hirata
末英 平田
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Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 銅の2価イオン等が共存するパラジウム含有
水中のパラジウムをアントラヒドロキノン化合物を多孔
質担体に担持した金属イオン処理剤でパラジウムを還元
捕捉するにあたり、スズの2価イオン等で銅2価イオン
のみを選択的に還元したのち、金属イオン処理剤でパラ
ジウムを捕捉する。 【効果】 共存する銅イオン等の影響を受けずに、パラ
ジウムを効率よく回収できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅の2価イオンや
鉄の3価イオン等の高酸化性の金属イオンが共存するパ
ラジウム含有水溶液からのパラジウムの回収方法に関す
る。さらに詳しくは、銅イオンや鉄イオン等が混在した
パラジウムメッキ液や無電解メッキのパラジウム核付与
処理に使われるパラジウムとスズとの混合触媒液等の廃
液から、資源的に貴重なパラジウム金属を工業的有利に
回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パラジウムは、耐食性、対変色性、低い
接触抵抗性、はんだ付け性に優れ、電子工業界でもよく
使われるメッキの一つである。また、プラスチック材
料、装飾品、電子機器部品等をメッキする際には、メッ
キ対象物品の下地表面に触媒作用を付加するため、パラ
ジウムとスズの混合触媒液を用いて、下地表面にパラジ
ウム核を付与する手法が行われている。これらの、メッ
キ処理やパラジウム核付与の工程からは、各種のパラジ
ウム含有廃液が排出されている。特に、プリント基板の
スルーホールメッキのパラジウム核付与の工程からは、
プリント基板から溶けだした多量の銅イオンや設備から
の溶けだし等に由来する鉄イオンが混入したパラジウム
含有廃液が排出されている。
【0003】このようなパラジウムを含有する水性廃液
からパラジウムを回収する方法としては、(1)活性炭
などの多孔質担体に吸着させて回収する方法、(2)有
機溶媒に溶解したキレート試薬で水溶液から抽出する方
法、(3)イオン交換樹脂によって回収する方法、
(4)沈殿させて回収する方法、などが従来から知られ
ている。しかしながら、上記の触媒液のようにパラジウ
ムと共にスズが大量に含まれる廃液の場合、上記いずれ
の方法もパラジウムのみを効率よく回収するのは困難
で、実用的に満足できる方法ではなかった。
【0004】一方、アントラヒドロキノン化合物を多孔
質担体に担持した担持物(以下「金属イオン処理剤」と
よぶ)を用いて選択的に金属イオンを回収する技術が公
開されているが、上記触媒液の場合は、共存するスズイ
オンの影響を除くため、酸化処理が必要とされている。
(特開平11−229050)
【0005】
【発明が解決しようする課題】しかしながら、プリント
基板のスルーホールメッキの触媒付け工程から排出され
たパラジウム−スズ触媒液のように銅イオンが共存する
場合、この酸化処理により、銅イオンは銅の2価イオン
に酸化されてしまう。この銅の2価イオンのような金属
イオンは、金属イオン処理剤上のアントラヒドロキノン
化合物の酸化型に対応するアントラキノン化合物よりも
高酸化性の金属イオンであるため、還元型のアントラヒ
ドロキノン化合物をアントラキノン化合物に酸化してし
まう。そのため、金属イオン処理剤の還元能力が低下し
てしまうので好ましくない。このような金属イオンとし
ては、他に鉄の3価イオン等が挙げられる。
【0006】実際、本発明者らが、パラジウムと共に銅
イオンを含有する触媒液を空気酸化した液を上記刊行物
に記載された金属イオン処理剤を充填したカラムに通液
してパラジウムの回収を試みたが、パラジウムの捕捉量
が少なく、すぐにパラジウムが漏洩してしまった。本発
明の目的は、銅の2価イオンのような金属イオン処理剤
上のアントラヒドロキノン化合物の酸化型に対応するア
ントラキノン化合物よりも高酸化性の金属イオンが共存
する上記触媒液のようなパラジウム含有液からパラジウ
ムを選択的に回収する方法を提供する事にある。
【0007】
【課題を解するための手段】本発明者らは、上記問題を
検討した結果、酸化処理後の上記触媒液に共存する銅の
2価イオンや鉄の3価イオンのみを選択的に還元するこ
とにより、金属イオン処理剤の能力低下を防げると考
え、該方法を鋭意検討した結果、塩化第一スズが銅の2
価イオンや鉄の3価イオンのみを還元し、過剰の塩化第
一スズが存在するときも、緩慢な速度でのパラジウム錯
体形成が先行し、パラジウムをすぐには還元しないこと
を見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、アントラヒドロキノ
ン化合物を多孔質担体に担持してなる金属イオン処理剤
を用いて水溶液中のパラジウムイオンを回収する方法で
あって、水溶液中の共存金属イオンが、金属イオン処理
剤上のアントラヒドロキノン化合物の酸化型に対応する
アントラキノン化合物よりも高酸化性の金属イオンであ
る場合において、共存金属イオンを選択的に低酸化性の
金属イオンに還元した後に、金属イオン処理剤でパラジ
ウムを還元捕捉することを特徴とするパラジウムの回収
方法である。より具体的には、共存金属イオンを選択的
に低酸化性の金属イオンに還元することのできる還元剤
により共存金属イオンを還元して、金属イオン処理剤で
パラジウムを回収する方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において処理の対象とされるパラジウム含有水溶
液は、銅の2価イオンや鉄の3価イオンを多量に含むパ
ラジウム含有水溶液である。具体的には、無電解メッキ
のパラジウム核付与工程に用いられる塩化パラジウムと
塩化第一スズとの混合触媒液(以下、「パラジウム−ス
ズ触媒液」ともいう)のような、塩酸酸性水溶液中でス
ズの二価イオンで安定化されたパラジウムイオンを含有
する水溶液であり、銅イオンや鉄イオンが不純物として
混入した水溶液である。例えば、プリント基板のスルー
ホールメッキの触媒付け工程から排出されたパラジウム
−スズ触媒液が挙げられる。
【0010】ここで、スズの二価イオンで安定化された
パラジウムイオンとは、スズの二価イオンが周囲に配位
したパラジウムの錯イオン或いはスズの二価イオンに囲
まれたパラジウムのコロイド粒子のような形態で水溶液
中に安定に存在している状態を意味している。このよう
な触媒液では、塩化パラジウムは塩化第一スズにより、
原子価が0に近いコロイド粒子状、または複雑な錯体を
形成しているため、該パラジウムイオンを金属イオン処
理剤で回収するには、酸化等の処理によりパラジウムを
二価のイオンに変える必要がある。この酸化は具体的に
は、(1)パラジウム含有水溶液に空気や酸素などの気
体を吹き込む方法、(2)パラジウム含有水溶液に適当
な酸化剤を添加する方法、または、(3)外部電源を用
いて電解する方法、または、(4)パラジウム含有水溶
液に酸還元電位が0.6V(対NHE)より高い電位を
有する物質を添加する方法、または、これに相当する電
位を外部電源から与える方法、などが挙げられる。これ
らの方法は、単独でも、2つ以上の方法を組合せること
もできる。
【0011】パラジウム含有水溶液について酸化処理す
る際に使用できる酸化剤としては、例えば、空気、酸
素、過酸化水素などの酸素系酸化剤、過塩素酸塩や気体
塩素などの塩素系酸化剤、三価の鉄イオンのような金属
化合物などが挙げられる。これらは、単独でも複数の酸
化剤を併用することもできる。
【0012】これらの酸化剤は、その添加量が多いと、
酸化処理後に酸化剤がパラジウム含有水溶液中に残存
し、残存した酸化剤の酸化力により、金属イオン処理剤
によるパラジウムの回収能力が低下させられるので好ま
しくない。一方、酸化剤の添加量を当量近くまで減らす
と、酸化速度が遅くなる。また、通常は無電解メッキの
前工程で発生するパラジウム含有水溶液には、パラジウ
ムに比べスズが圧倒的に多く、かつ、スズが酸化されて
からパラジウムが酸化されるので、スズに対して酸化剤
を若干過剰に添加した場合でも、パラジウムに対しては
かなり過剰に添加したこととなり、残存する酸化剤のた
めに、金属イオン処理剤のパラジウム捕捉量を大きく低
下させることになる。逆に、酸化剤が若干少ないだけで
も、パラジウムイオンは酸化されずに、回収できない。
【0013】つまり、酸化剤の添加量は、かなり厳密な
当量関係とすることが必要である。また、このような当
量関係下の酸化処理では、終点近くでの酸化速度が遅く
なり、長時間を要することになり好ましくない。パラジ
ウム含有水溶液を酸化処理する際の好適な手法は、酸化
剤を過剰に用いて酸化処理し、処理後に過剰の酸化剤を
除去または失活させ、その後に金属イオン処理剤による
回収操作を行なう方法である。
【0014】酸化剤として空気などの酸素を含有する気
体を使用する場合には、酸素の水に対する溶解度が小さ
いので、酸化処理後に残存する酸素が、金属イオン処理
剤の能力を大きく低下することはないが、理想的には、
酸化が完了した後、残存する酸素を窒素などの不活性気
体で置換するのが好ましい。酸化剤として空気や酸素な
どの気体を用いる場合には、通常は、室温で、気体を微
細な状態でパラジウム含有水溶液に吹き込むことが望ま
しい。吹き込み速度および時間は、任意に設定できる
が、空気の場合は、通常、1リットルの水溶液に10〜
300ミリリットル/分の速度で約40時間吹き込むこ
とにより、パラジウムを酸化することができる。この
際、パラジウムの酸化の進行状態は、パラジウム含有水
溶液の着色状態から確認することができる。すなわち、
濁度の高い茶褐色の水溶液が、透明の橙色に変化すれ
ば、0価のパラジウムは二価のパラジウムイオンに酸化
されたことを意味する。
【0015】この酸化処理によりパラジウムを回収でき
るようになるが、同時に共存する銅イオンや鉄イオンま
で銅の2価イオンや鉄の3価イオンに酸化してしまい、
その結果、金属イオン処理剤の還元能力を低下させてし
まう。そこで、本発明では、この銅の2価イオンや鉄の
3価イオンを銅の1価イオンや鉄の2価イオンに選択的
に還元し、金属イオン処理剤に通液する。選択的に還元
する方法としては、パラジウムイオンを還元しないで、
銅の2価イオンや鉄の3価イオンを銅の1価イオンや鉄
の2価イオンに選択的に還元できる還元剤が採用され
る。例えば、塩化第一スズ、銅金属、鉄金属、塩酸ヒド
ロキシルアミン、ヒドラジンなどが用いられる。特に、
スズ化合物はこの液中に既に含まれており、パラジウム
を還元する速度も遅いので好ましい。逆に、亜硫酸ソー
ダでは、効果がなく、酸性条件ではガスの発生等危険で
あり好ましくない
【0016】塩化第一スズの添加量は、水溶液に含まれ
る銅の2価イオンや鉄の3価イオンと電気化学的な当量
値が好ましい。本発明における電気化学的当量値とは、
銅イオンならば二価から一価、鉄イオンならば三価から
二価イオンに変化するのに相当するスズの二価から四価
への化学量論値をさす。なお、該水溶液中の銅イオンや
鉄イオンの含有量は、排出される触媒液の工程によって
異なるが、プリント基板触媒液においては銅として10
00mg/L〜3000mg/L、鉄として10〜20
0mg/Lとされる。
【0017】塩化第一スズによる還元では、塩化第一ス
ズを小過剰量添加した場合は、液相のテトラクロロパラ
ジウムイオンはスズイオンと鮮やかな赤燈色の錯イオン
を形成するが、時間の経過とともにもとにもどる。これ
らのパラジウムイオンは本発明で使用する金属イオン処
理剤を用いて還元処理が可能である。一方、水溶液に塩
化第一スズを大過剰に添加したとき。液相のテトラクロ
ロ錯イオンは、スズイオンと濃緑色の錯イオンを形成
し、この濃緑色の錯イオンは本発明における金属イオン
処理剤では還元処理されない。すなわち、塩化第一スズ
の添加量は、経済的な面からも実用的な面からも該水溶
液中に含まれる銅の2価イオンならびに鉄の3価イオン
に対し当量値を大きく上回るものであることは好ましく
なく、当量値の1から2倍が適当とされる。
【0018】水溶液に塩化第一スズを添加することによ
り、該水溶液酸化還元電位は鋭敏に変化するが、該水溶
液中に銅の2価イオンや鉄の3価イオンの電気化学的当
量値近傍ではおおむね200から300mV、さらに好
ましくは270mVから220mVに保たれる。(対S
CE)なお、本発明における酸化還元電位は、市販のO
RP計で測定できるが、電極の選択制から、白金電極を
用いるのが適当である。
【0019】また、この塩化第一スズ含有水溶液とし
て、酸化前の触媒液を用いることもできる。酸化前の触
媒液を用いるときは、あらかじめ触媒液中の塩化第一ス
ズと塩化銅と塩化鉄の含有量を測定し、銅と鉄の存在量
の二分の一モルに相当する塩化第一スズが含まれる液量
を別に分離し、残りを酸化し、酸化後にこの分離してお
いた未酸化処理の液を混合することにより、新たな試薬
を用いることなく目的の液を調整することができる。
【0020】本発明においては、上記の方法で酸化、還
元処理を行なったパラジウム含有水溶液を、アントラヒ
ドロキノン化合物類を多孔質担体に担持した金属イオン
処理剤に接触させる。酸化処理によって二価のパラジウ
ムイオンに酸化されたパラジウムは金属イオン処理剤上
のアントラヒドロキノン化合物類の還元作用により、金
属パラジウムとして金属イオン処理剤上に還元捕捉され
る。
【0021】本発明において多孔質担体としては、二酸
化珪素等の無機質系多孔質担体、活性炭や活性炭素繊維
等の炭素系多孔質担体、その他、疎水性に調製した活性
炭等の炭素粒子、例えば、ポリテトラフルオロエチレン
の水性エマルジョン加工品(特開昭53−92981号
公報を参照)、有機質系の合成ポリマー粒子、例えば、
有機合成吸着剤として用いられるスチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体、または、これらの成形品などが挙げら
れる。中でも活性炭が安価で入手し易いので、特に好ま
しい。
【0022】アントラヒドロキノン化合物類は、可逆的
な酸化還元能力がある化合物であり、吸着等によって多
孔質担体に安定に固定される化合物であればよい。アン
トラヒドロキノン化合物の具体例としては、例えば、ア
ントラヒドロキノン(9,10−ジヒドロキシアントラ
セン)、その水素化化合物、これらの置換体、および、
アントラヒドロキノン化合物類の水溶性塩、などが挙げ
られる。
【0023】このアントラヒドロキノン化合物類の水溶
性塩の水溶液としては、例えば、ナフトキノンと対応す
る1,3−ブタジエン化合物とのディールス・アルダー
反応によって得られる、1,4,4a,9a−テトラヒ
ドロアントラキノン化合物に当量(キノン化合物に対し
て2倍モル)以上の水酸化アルカリ金属の水溶液を作用
させることによって得られる、1,4−ジヒドロ−9,
10−ジヒドロキシアントラセン化合物のジナトリウム
塩水溶液が挙げられる。
【0024】前記の多孔質担体に、上記アントラヒドロ
キノン化合物類を担持させた金属イオン処理剤を調製す
るには、(1)アントラキノン化合物類を有機溶媒に溶
解した溶液に多孔質担体を浸漬して含浸させて吸着後、
亜二チオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリ
ウム)等の還元剤で処理する方法、(2)アントラヒド
ロキノン化合物類の水溶性塩の水溶液に多孔質担体を浸
漬し、アントラヒドロキノン化合物の水溶性塩を多孔質
担体に吸着させたのち、酸洗浄して固定化する方法、な
どが挙げられる。上記(2)の方法は、上記(1)の方
法で必須の還元処理が不要という利点がある。
【0025】多孔質担体に担持させるアントラヒドロキ
ノン化合物類の量は、アントラヒドロキノン化合物類の
種類、パラジウム含有水溶液のパラジウムの濃度、固体
の多孔質担体の種類、粒径、比表面積などによっても異
なるが、例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒド
ロキシアントラセンのジナトリウム塩と粒状活性炭を使
用した場合、担体1リットル当たり0.3〜1.0モル
(M)の範囲で選ぶのが好ましい。担持量が少ないと、
多量の金属イオン処理剤を使用しなければならず、多す
ぎるとパラジウムに作用しない量が増加して無駄にな
り、いずれも好ましくない。
【0026】上記の方法で酸化、還元処理を行ったパラ
ジウム含有水溶液からパラジウムの回収するには、上記
のように調製した金属イオン処理剤を、パラジウム含有
水溶液のパラジウムを還元するに必要な当量以上を添加
して撹拌処理した後、傾瀉または濾過等で担持物を濾別
するような回分式の処理法を採用することができるが、
一般的には、前記の金属イオン処理剤をカラム(塔)に
充填して、パラジウム含有水溶液を通液する方法が採用
される。カラムへ通液する方法は、特に限定されるもの
ではなく、上向きまたは下向きなど通常の通液方式によ
ることができる。
【0027】本発明において、前述した水溶液の酸化還
元電位や色の変化を検出して、所定の値になるように、
塩化第一スズ等の還元剤の添加量を調整し、還元した液
を金属イオン処理剤を充填したカラムに通液する等の方
法で連続的にパラジウムの回収ができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の
記載例に限定されるものではない。なお、実施例中にお
いて、「%」とは特に記載のない限り「重量%」を意味
する。
【0029】「実施例1」塩化パラジウム、塩化第二ス
ズ・5水和物、塩化第二銅及び37%塩酸(いずれも和
光純薬製)を用いて、下記組成の水溶液を調整し、モデ
ル触媒液とした。 Pd:100mg/L(リットル、以下同じ) Cu:1000mg/L Sn:20g/L HCl:3.7% 上記調整のモデル触媒液に、銅相当量の塩化第一スズ
1.5gを添加した、このとき水溶液の酸化還元電位は
400mVから250mVに変化した。この水溶液を1
0mlの金属イオン処理剤を充填したガラスカラムに通
水した。通水速度は40ml/h(SV4)とした。処
理液中のパラジウムイオンは、ICP原子発光法(以下
ICP)で測定した。その結果を表1に示した。表中、
処理液量は、充填した金属イオン処理剤に対する容量比
で表した。
【0030】なお、本発明で用いた金属イオン処理剤
は、以下に従い調整した。粒状活性炭1リットル(48
7g)を、減圧下、窒素置換処理を繰り返し、活性炭細
孔内の酸素を窒素で置換した後、窒素雰囲気下で濃度1
6%の1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアン
トラセン(以下DDAという。)のジナトリウム塩(以
下、DDAのジナトリウム塩を「DDAN」という。
又、このDDANの濃度はアントラキノンに換算した濃
度として表す。)の水溶液1950gを加え、減圧下で
2.5時間吸着させた。この混合物を窒素雰囲気下で吸
引濾過し、得られた濾過ケーキを10%硫酸溶液1リッ
トルで処理した後、窒素置換した脱塩水1リットルで洗
浄した。DDAの担持量は、活性炭1リットル当たり
0.73モルであった。
【0031】「比較例1」実施例1のモデル触媒液に、
塩化第一スズを加えることなく金属イオン処理剤を充填
したガラスカラムに通水した。通水速度は40ml/h
(SV4)とした。処理液中のパラジウムイオンを実施
例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
【0032】「比較例2」実施例1のモデル触媒液に、
銅に対し5倍過剰量相当の塩化第一スズ(6.0g)を
添加した、このとき水溶液の酸化還元電位は400mV
から50mVに変化した。このとき、処理液は濃緑色に
変化したこの水溶液を10mlの金属イオン処理剤を充
填したガラスカラムに通水した。通水速度は40ml/
h(SV4)とした。処理液中のパラジウムイオンを実
施例1と同様に測定し、結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】「実施例2」塩化パラジウム、塩化第二ス
ズ・5水和物、塩化第二銅、ならび37%塩酸(いずれ
も和光純薬)を用いて、下記組成の水溶液を調整し、モ
デル触媒液とした。 Pd:100mg/L Cu:3000mg/L Sn:20g/L HCl:3.7% 上記モデル触媒液に、銅相当量の塩化第一スズ6.5g
を添加した。このとき水溶液の酸化還元電位は420m
Vから220mVに変化した。この水溶液を10mlの
金属イオン処理剤を充填したガラスカラムに通水した。
通水速度は40ml/h(SV4)とした。処理液中の
パラジウムイオンは、ICPで測定した。その結果を表
2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】「実施例3」塩化パラジウム、塩化第二ス
ズ・5水和物、塩化第二銅及び37%塩酸(いずれも和
光純薬製)を用いて、下記組成の水溶液を調整し、モデ
ル触媒液とした。 Pd:200mg/L Cu:2000mg/L Sn:20g/L HCl:3.7% モデル触媒液と塩化第一スズ水溶液を酸化還元電位が2
50mVになるように連続的に混合しながら金属イオン
処理剤でカラム処理した。通液速度は300ml/hと
した。処理液中のパラジウムイオンは、ICPで測定
し、その結果を表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】「実施例4」プリント基板のスルーホール
メッキの触媒付与工程から排出したパラジウム−スズ触
媒液を空気酸化して、下記組成の触媒液を得た。 Pd:130mg/L Cu:990mg/L Sn:12g/L HCl:0.3%未満 NaCl:240g/L 還元剤として、空気酸化前の触媒液を用い、空気酸化後
の触媒液の酸化還元電位が270mVになるように連続
的に混合しながら、金属イオン処理剤でカラム処理し
た。金属イオン処理剤へのカラム通水速度は300ml
/hとした。処理液中のパラジウムイオンは、ICPで
測定し、その結果を表4に示した。
【0039】
【表4】
【0040】「実施例5」実施例4と同じ触媒液に、酸
化還元電位が270mVになるように連続的に塩化第一
スズ水溶液を混合して、金属イオン処理剤でカラム処理
した。カラム通液速度を6L/hとした。処理液中のパ
ラジウムイオンは、ICPで測定し、その結果を表5に
示した。
【0041】
【表5】
【0042】
【発明の効果】銅イオンや鉄イオンが混入したパラジウ
ム−スズ触媒液中のパラジウムを金属イオン処理剤で回
収するにあたり、酸化処理後の銅の2価イオンや鉄の3
価イオンを選択的に還元することにより銅の2価イオン
や鉄の3価イオンによる妨害を防いで、金属イオン処理
剤によるパラジウムイオンの還元捕捉が可能となる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アントラヒドロキノン化合物を多孔質担
    体に担持してなる金属イオン処理剤を用いて水溶液中の
    パラジウムイオンを回収する方法であって、水溶液中の
    共存金属イオンが、金属イオン処理剤上のアントラヒド
    ロキノン化合物の酸化型に対応するアントラキノン化合
    物よりも高酸化性の金属イオンである場合において、共
    存金属イオンを選択的に低酸化性の金属イオンに還元し
    た後に、金属イオン処理剤でパラジウムを還元捕捉する
    ことを特徴とするパラジウムの回収方法。
  2. 【請求項2】 アントラヒドロキノン化合物を多孔質担
    体に担持してなる金属イオン処理剤を用いて水溶液中の
    パラジウムイオンを回収する方法であって、水溶液中の
    共存金属イオンが、金属イオン処理剤上のアントラヒド
    ロキノン化合物の酸化型に対応するアントラキノン化合
    物よりも高酸化性の金属イオンである場合において、共
    存金属イオンを選択的に低酸化性の金属イオンに還元可
    能な還元剤で還元した後に、金属イオン処理剤でパラジ
    ウムを還元捕捉することを特徴とするパラジウムの回収
    方法。
  3. 【請求項3】 還元剤が、塩化第一スズである請求項2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 共存金属イオンが、銅の2価イオン及び
    /又は鉄の3価イオンである請求項1乃至3のいずれか
    1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 塩化第一スズを添加することによる水溶
    液の酸化還元電位及び/又は色の変化を利用して、塩化
    第一スズの添加量を調整することを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか1項に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015120941A (ja) * 2013-12-20 2015-07-02 田中貴金属工業株式会社 塩酸酸性Sn含有貴金属触媒回収液からの貴金属の回収方法
JP2015120942A (ja) * 2013-12-20 2015-07-02 田中貴金属工業株式会社 塩酸酸性Sn含有貴金属触媒回収液からの貴金属の回収方法
JP2017133110A (ja) * 2017-04-10 2017-08-03 田中貴金属工業株式会社 塩酸酸性Sn含有貴金属触媒回収液からの貴金属の回収方法

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