JPH11323448A - 貴金属を選択的に回収する方法 - Google Patents

貴金属を選択的に回収する方法

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JPH11323448A
JPH11323448A JP10133214A JP13321498A JPH11323448A JP H11323448 A JPH11323448 A JP H11323448A JP 10133214 A JP10133214 A JP 10133214A JP 13321498 A JP13321498 A JP 13321498A JP H11323448 A JPH11323448 A JP H11323448A
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noble metal
aqueous solution
metal ion
treating agent
ion
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JP10133214A
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Suehide Hirata
末英 平田
Koji Kusabe
光司 草部
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Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
Original Assignee
Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅イオンが共存する貴金属イオンを含む水溶
液から、貴金属を選択的に回収する方法を提供するこ
と。 【解決手段】 銅イオンが共存する貴金属イオンを含む
水溶液から貴金属を選択的に回収するにあたり、この水
溶液を塩酸酸性とし、アントラヒドロキノン化合物類を
多孔質担体に担持させた金属イオン処理剤と接触させる
ことにより、この金属イオン処理剤の上に貴金属イオン
のみを選択的に捕捉することを特徴とする。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貴金属を選択的に
回収する方法に関する。さらに詳しくは、金やパラジウ
ムなどの貴金属イオンが含まれ、同時に重金属の銅イオ
ンが共存する水溶液から、金やパラジウムなどの貴金属
のみを選択的に回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】貴金属類は耐食性に優れ、かつ、高貴な
光沢を有することから、古来より多くの装飾品の素材と
して用いられてきている。最近では、基盤技術その他メ
ッキ技術などの進歩から、装飾品の用途のみならず、電
子機器の基板、コネクターなど電子分野、自動車排ガス
の浄化用触媒としても利用されており、貴金属類は現代
の産業においては不可欠な存在となっている。しかしな
がら、貴金属類の年間の産出量は限られており、資源的
にも極めて貴重であるため、廃棄物・廃液などからの回
収・再生し、再使用を図ることは極めて重要な課題であ
る。
【0003】こうした貴金属類は、多くは銅などの重金
属類と共に使用されているため、回収・再生化工程で
は、これら貴金属類と重金属類とを分別して回収する工
程が必要であり、その結果全体として回収コストは高く
なる。こうした貴金属類を回収する方法として従来から
知られている方法としては、(1)イオン交換樹脂を利用
して選択的に回収する方法、(2)キレート剤を用いて選
択的に溶媒抽出する方法、(3)硫化物などの沈殿として
回収する方法、などが挙げられる。
【0004】ところで、重金属の中でも銅イオンはその
挙動が貴金属イオンと類似しているため、水溶液中に貴
金属イオンと銅イオンとが共存している場合には、上記
(1)ないし(3)のいずれの回収方法によっても、貴金属と
銅が同伴されてしまう。そのため、貴金属を粗回収した
後、さらに貴金属と銅とを分離精製する工程が必要とな
り、回収操作が煩雑となり、コスト高になることは避け
られなかった。
【0005】水溶液中の貴金属イオンを高選択率で回収
する他の方法として、アントラヒドロキノン化合物等の
ヒドロキノン骨格を有する化合物を代表とするレドック
ス反応試薬を、多孔質担体に吸着固定させた担持物(以
下、この担持物を単に「金属イオン処理剤」という。)
を、例えば、カラム等に充填し、貴金属イオンを含む水
溶液をカラムに通液して処理し、貴金属のパラジウムイ
オンを金属イオン処理剤によって還元し、0価の金属と
して捕捉する方法が提案されている(特開平7−185
568号公報参照)。この提案方法は、従来のイオン交
換樹脂法よりも、貴金属イオンの選択回収率が良好であ
り、操作法も容易であるという長所がある。
【0006】しかしながら、本発明者らは、重金属であ
る銅イオンが共存する貴金属イオンが含まれる水溶液
を、上記刊行物で提案されている金属イオン処理剤をカ
ラムに充填し、通液して接触処理を試みたところ、貴金
属イオンと共に銅イオンも金属イオン処理剤上に捕捉さ
れてしまい、貴金属のみを選択的に回収することができ
ないことが分った。
【0007】その理由は、金属イオン処理剤に担持され
たアントラヒドロキノン化合物の還元力で、水溶液中の
貴金属イオンのみならず、銅イオンまでが次式、すなわ
ち、Cu2++e→Cu+、Cu++e→Cu↓、によって
表される様に、二価の銅イオンは一価の銅イオンに、一
価の銅イオンを0価の銅に還元されるものと推測され
る。特に、一価の銅イオンが熱力学的に不安定な存在で
あるので、0価の銅までの還元反応が優先的におこり、
金属イオン処理剤上に捕捉されてしまうものと推測され
る。
【0008】
【発明が解決しようする課題】本発明者等は、この課題
を解決するため、貴金属イオンを含む水溶液中に銅イオ
ンが共存する際に、銅イオンを捕捉することなく貴金属
のみを選択的に回収する方法を鋭意検討した結果、貴金
属イオンを含む水溶液を塩酸酸性とし、金属イオン処理
剤と接触させると、貴金属イオンのみが捕捉され銅イオ
ンが捕捉されることなく通過することを見出し本発明を
完成したものである。すなわち、本発明の目的は、銅イ
オンが共存する貴金属イオンを含む水溶液から、貴金属
のみを選択的に回収する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、銅イオンが共存する貴金属イオンを含
む水溶液から貴金属を選択的に回収するにあたり、この
水溶液を塩酸酸性とし、アントラヒドロキノン化合物類
を多孔質担体に担持させた金属イオン処理剤と接触させ
ることにより、この金属イオン処理剤上に貴金属イオン
のみを選択的に捕捉することを特徴とする、貴金属を選
択的に回収する方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において処理の対象とされる水溶液は、金やパラ
ジウムなどの貴金属を含み、かつ、銅イオンが共存する
水溶液である。具体的には、プリント基板などの無電解
メッキ工程において発生するパラジウムと銅イオンが共
存する触媒液、金の精製工程において発生する銅不純物
を含む王水抽出液、または、産業廃棄物などから貴金属
を回収する工程において発生する回収液などが挙げられ
るが、これら例示したものに限定されるものではない。
【0011】本発明において、水溶液中に含まれる貴金
属イオンとは、金イオン{Au+またはAu3+}および
/またはパラジウムイオン(II)(Pd2+)であり、貴金
属イオンを含む水溶液中に共存する銅イオンとは、二価
の銅(II)(Cu2+)をいう。
【0012】本発明方法によるときは、上記二価の銅イ
オンが共存する貴金属イオンを含む水溶液に塩酸を添加
して酸性とする。塩酸は工業的に使用頻度の高く安価で
あり、塩化水素(HCl)を水に溶解した35%塩化水
素酸(以下これを「塩酸」と略称する)が好ましい。こ
の塩酸濃度は、塩化水素(HCl)としての濃度であ
り、容量モル濃度(mol/l=モル/リットル、以下単に
「M」と略称する)によって表される。
【0013】銅イオンが共存する貴金属イオンを含む水
溶液を、塩酸酸性とすることにより、一価の銅イオン
(Cu+)が安定に存在できるようになるため、水溶液
中に共存する二価の銅イオン(Cu2+)は、金属イオン
処理剤によって0価の銅まで還元されずに、一価の銅イ
オンに還元された状態で水溶液中に安定して存在させる
ことができる。本発明者らの実験によれば、1リットル
の水溶液中に50〜5000mgの銅イオンが存在する場
合には、水溶性の一価の銅イオン(Cu+)を安定に存
在させるには約0.1M以上の塩酸が必要であり、さら
に好ましくは1M以上の塩酸が必要であることが分っ
た。なお、銅イオンが共存する貴金属イオンを含む水溶
液で、一価の銅イオン(Cu+)を安定に存在させるた
めに、この水溶液に塩化ナトリウムおよび/または塩化
カリウムなどを溶解、共存させることにより、塩酸の使
用量を減らすことができる。
【0014】本発明方法によるときは、貴金属イオンを
含む水溶液に塩酸を加えて酸性としたあと、この水溶液
をアントラヒドロキノン化合物類を多孔質担体に担持さ
せた金属イオン処理剤に接触させる。金属イオン処理剤
は、アントラヒドロキノン化合物類の還元作用により、
金属イオンを金属まで還元させるように機能する。
【0015】アントラヒドロキノン化合物類は、可逆的
な酸化還元能力がある化合物でありる。アントラヒドロ
キノン化合物の具体例としては、例えば、アントラヒド
ロキノン(9,10−ジヒドロキシアントラセン)、そ
の水素化化合物、これらの置換体、および、アントラヒ
ドロキノン化合物類の水溶性塩などが挙げられる。アン
トラヒドロキノン化合物類は、後記する多孔質担体に担
持させ水溶液中で使用されるので、一般に水溶液に溶出
しないような疎水性の置換基を有する還元性化合物が好
ましい。
【0016】アントラヒドロキノン化合物類の置換体に
おける置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニ
ル基、アルコキシル基、フェニル基、アルキルアミノ
基、ハロゲン基等の比較的疎水性の置換基が挙げられ
る。これら置換基は、炭素数が1〜60の範囲のものの
中から選ばれ、中でも好ましいのは、炭素数24以下の
アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基などであ
り、アルキル基は直鎖でも、分岐したものでもよい。ま
た、アントラヒドロキノン化合物類の置換体における置
換基は、スルホン酸基、スルホン酸アミド基、カルボキ
シル基を含有する置換基であってもよい。
【0017】これらの置換基を有する化合物の具体例と
しては、2−メチルアントラヒドロキノン、2−エチル
アントラヒドロキノン、2−アミルアントラヒドロキノ
ン、2−t−ブチルアントラヒドロキノン、2−(4−
メチルペンチル)アントラヒドロキノン等のアルキル化
アントラヒドロキノン化合物類、2−(4−メチルーペ
ンテニル)アントラヒドロキノン等のアルケニル化アン
トラヒドロキノン化合物類、1−メトキシアントラヒド
ロキノン、1,5−ジメトキシアントラヒドロキノン等
のアルコキシル化アントラヒドロキノン化合物類、2−
フェニルアントラヒドロキノン等のフェニル置換アント
ラヒドロキノン化合物類、2−N,N−ジメチルアミノ
アントラヒドロキノン等のアルキルアミノ化アントラヒ
ドロキノン化合物類、1−クロロアントラヒドロキノ
ン、2−クロロアントラヒドロキノン等のハロゲン化ア
ントラヒドロキノン化合物類などが挙げられる。
【0018】ヒドロキノン化合物の水素化化合物として
は、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアント
ラセン、1,2,3,4−テトラヒドロ−9,10−ジ
ヒドロキシアントラセン等が挙げられる。これらの化合
物は単独でも、複数の化合物を併用することもできる。
【0019】このアントラヒドロキノン化合物類の水溶
性塩の水溶液としては、例えば、ナフトキノンと対応す
る1,3−ブタジエン化合物とのディールス・アルダー
反応によって得られる。1,4,4a,9a−テトラヒ
ドロアントラキノン化合物に、当量(キノン化合物に対
して2倍モル)以上の水酸化アルカリ金属の水溶液を作
用させることによって得られる、1,4−ジヒドロ−
9,10−ジヒドロキシアントラセン化合物のジナトリ
ウム塩水溶液が挙げられる。
【0020】金属イオン処理剤は、上記のアントラヒド
ロキノン化合物類を多孔質担体に担持させたものであ
る。多孔質担体としては、二酸化珪素等の無機質系多孔
質担体、活性炭や活性炭素繊維等の炭素系多孔質担体、
その他、疎水性に調製した活性炭等の炭素粒子、例え
ば、ポリテトラフルオロエチレンの水性エマルジョン加
工品(特開昭53−92981号公報を参照)、有機質
系の合成ポリマー粒子、例えば、有機合成吸着剤として
用いられるスチレンージビニルベンゼン共重合体、また
は、これらの成形品などが挙げられる。中でも活性炭が
安価で入手し易いので、特に好ましい。
【0021】この多孔質担体は、細孔径が5オングスト
ローム以上、好ましくは10オングストローム以上であ
り、比表面積は、例えば、炭素系多孔質担体では、1グ
ラム当たり1000平方メートルのものが標準となる。
この多孔質担体の形態は、粉体、ぺレット状、球状また
は破砕品等のいずれであってもよい。粉体、ぺレット
状、球状、破砕品等の粒径は、小さい程比表面積が大き
くなり接触効率はよいが、カラムなどに充填して連続的
に貴金属イオンを含有する水溶液を処理する場合には、
通液抵抗が大きくなるので、例えば、活性炭の場合は
0.3〜2.5mmの範囲で選ぶのが好ましい。
【0022】前記の多孔質担体に、上記アントラヒドロ
キノン化合物類を担持させた金属イオン処理剤を調製す
るには、(1) アントラヒドロキノン化合物類に対応する
アントラキノン化合物類を有機溶媒に溶解した溶液に多
孔質担体を浸漬して含浸させ、溶媒を除去して多孔質担
体にアントラキノン化合物類を担持させた後、亜ニチオ
ン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)等
の還元剤で処理する方法、(2) アントラヒドロキノン化
合物類の水溶性塩の水溶液に多孔質担体を浸漬し、アン
トラヒドロキノン化合物の水溶性塩を多孔質担体に吸着
させたのち、酸洗浄して固定化する方法、などが挙げら
れる。上記(2) の方法は、上記(1) の方法で必須の還元
処理が不要でるという利点がある。
【0023】多孔質担体に担持させるアントラヒドロキ
ノン化合物類の量は、アントラヒドロキノン化合物類の
種類、貴金属イオン含有水溶液の貴金属の濃度、多孔質
担体の種類、粒径、比表面積などによっても異なるが、
例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシア
ントラセンのジナトリウム塩と粒状活性炭を使用した場
合には、担体1リットル当たり0.3〜1.0モル
(M)の範囲で選ぶのが好ましい。担持量が少ないと、
多量の金属イオン処理剤を使用しなければならず、多す
ぎると貴金属イオンに作用しない量が増加して無駄にな
り、いずれも好ましくない。
【0024】上記の方法で共存する銅イオンが還元され
るのを防止した貴金属イオンを含む水溶液から貴金属を
回収するには、上記のように調製した金属イオン処理剤
を、貴金属イオンを含む水溶液中の貴金属を還元するに
必要な当量以上を添加して撹拌処理した後、傾瀉または
濾過等で担持物を濾別するような回分式の処理法を採用
することができるが、一般的には、前記の金属イオン処
理剤をカラム(塔)に充填して、上記処理を行った貴金
属イオンを含む水溶液を通液する方法が採用される。カ
ラムヘ通液する方法は、特に限定されるものではなく、
上向きまたは下向きなど通常の通液方式によることがで
きる。
【0025】貴金属イオンは、上記金属イオン処理剤に
よって0価の金属に還元されて金属イオン処理剤上に捕
捉され、処理後の水中には殆ど検出されなくなるが、そ
の機構は次の様に推定される。すなわち、貴金属Mのイ
オン(M+)は電子(e)を受容し、0価の金属{M
(0)}となるものと推定される{Mn++ne→M(0)
↓、nは反応に関与する電子数とする}。貴金属が金の
場合は次式、すなわち、Au++e→Au↓、または、
Au3++3e→Au↓、によって0価の金属に還元され
て捕捉・回収されるものと推定される。貴金属がパラジ
ウムの場合は次式、すなわち、Pd2++2e→Pd↓、
によって0価の金属に還元されて回収されるものと推定
される。
【0026】二価の銅イオン(Cu2+)が共存する水溶
液を、上記の金属イオン処理剤に接触させると、貴金属
イオンと共に銅イオンまで0価の金属に還元されてしま
う。しかしながら、水溶液に適量の酸性物質、例えば、
0.1M以上、好ましくは1M以上の塩酸酸性水溶液と
することにより、金属イオン処理剤を用いても0価の金
属にまでは還元されず、次式、すなわち、Cu2++e+
2Cl-→CuCl2 -、の様に還元され、金属イオン処
理剤を通過してしまうものと推定される。
【0027】従って、銅イオンが共存する貴金属イオン
を含む水溶液が、水溶性の一価の銅イオン(Cu+)が
安定して存在することができる条件を満たしておれば、
銅イオンが共存する貴金属イオンを含む水溶液を金属イ
オン処理剤に接触させたとき、一価の銅イオンは金属イ
オン処理剤に捕捉されることがなく、貴金属のみが選択
的に捕捉・回収される。銅イオンが共存する貴金属イオ
ンを含む水溶液を、上記の金属イオン処理剤に接触させ
ると、貴金属はこの金属イオン処理剤上で0価の金属に
還元されて、選択的に捕捉され、処理後の排水中には殆
ど検出されなくなる。貴金属を捕捉した後の金属イオン
処理剤を、粉末X線回折法により分析することにより、
貴金属イオンを貴金属として捕捉されていることを確認
することができる。
【0028】貴金属イオンが金属イオン処理剤上に0価
の金属として捕捉される機構については、まだ明確に解
明されていないが、現象面からすると、貴金属イオンが
金属イオン処理剤に接触すると、この処理剤に担持され
たアントラヒドロキノン化合物で還元されて貴金面の核
が形成され、この核を介して電子の授受が行われ、貴金
属が積層し成長して金属イオン処理剤上に貴金属の被膜
が形成されるものと推定される。
【0029】貴金属イオンを含む水溶液を、上記の手順
でカラムに繰り返し通液することによって、上記の金属
イオン処理剤はその還元能力が失われる。これは、多孔
質担体に担持させたアントラヒドロキノン化合物類が、
還元力のないアントラキノン化合物類に変化したからで
ある。アントラキノン化合物類をアントラヒドロキノン
化合物類に還元すれば、還元能力を回復することができ
る。アントラキノン化合物類を還元するには、例えば、
ハイドロサルファイトナトリウム水溶液等による還元、
その他発生期の水素(例えば、亜鉛と塩酸またはアルカ
リ水溶液)等による還元が可能である。このように還元
再生処理した後、かなりの回数にわたって繰り返し使用
することができる。再生し再使用可能な回数は、アント
ラヒドロキノン化合物類の種類によって若干の差があ
る。
【0030】複数回の繰り返し使用によって還元能力を
失い、再生能力も失った金属イオン処理剤は、例えば、
これを焼却することによって貴金属として容易に回収す
ることができる。この焼却方法は、特に限定されるもの
ではなく、ロータリーキルンのような回転焼却炉、るつ
ぼ型の焼却炉等、焼却残渣から貴金属が回収し易い方法
であればよい。また、多孔質単体に捕捉された貴金属
は、王水等の酸化剤によって貴金属イオンとして溶解し
て回収することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り、以下の
記載例に限定されるものではない。なお、実施例中にお
いて、「%」とは特に記載のない限り「重量%」を意味
する。
【0032】[実施例1] <銅イオンと金イオンとを含む水溶液からの金の選択的
回収−1> (1)1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアン
トラセン(以下、DDAという)を活性炭に担持させた
金属イオン処理剤の調整:容量が3リットルのナス型フ
ラスコに、粒状活性炭(三菱化学社製、石炭系活炭)1
リットル(487g)を採取し、減圧下、窒素置換処理
を繰り返し、活性炭細孔内の酸素を窒素で置換した。窒
素置換のあと、窒素雰囲気下で濃度16%のDDAのジ
ナトリウム塩(以下、DDAのジナトリウム塩をDDA
Nという。また、このDDANの濃度はアントラキノン
に換算した濃度として表す。)の水溶液1950gを加
え、減圧下で2.5時間吸着させた。この混合物を窒素
雰囲気下で吸引濾過し、得られた濾過ケーキを10%硫
酸溶液1リットルで処理した後、窒素置換した脱イオン
水1リットルで洗浄した。得られたDDAを活性炭に担
持させた金属イオン処理剤を、脱イオン水中で保存し
た。
【0033】(2)金属イオン処理剤のDDA担持量の
測定:上記で得られた金雇イオン処理剤の10ミリリッ
トルを採取し、ソックスレー抽出器を使用して、まず、
アセトン・メタノ一ルの混合溶媒(重量比=1:1)で
抽出し、次に、トルエン溶媒によって活性炭に担持され
たDDAを抽出した。得られた溶媒混合物を蒸発・乾固
させて、残留したDDAの量の測定結果から、担持量を
算出したところ、活性炭1リットル当たり0.73モル
であった。
【0034】(3)銅イオンおよび金イオンを含む水溶
液の調整:市販の塩化金(III)ナトリウム二水和物(N
aAuCl3・2H2O)(和光純薬社製)1gと、塩化
銅(II)二水和物(CuCl2・2H2O)(関東化学社
製)30mgとを、1M塩酸溶液1リットルに溶解して、
銅イオンおよび金イオンを含む水溶液を調整した。
【0035】(4)金属イオン処理剤との接触処理:上
記(1)に記載の方法で調整した金属イオン処理剤10
ミリリットルを、ガラスカラム(桐山製作所社製、11
mmφ×150mm)に充填した。このカラムに、上記
(3)に記載の方法で調整した銅イオンおよび金イオン
を含む水溶液を、下向きに通液させて接触処理した。通
液速度は、40ミリリットル/時とした。接触処理した
後の液中の金属イオン濃度を、ICP一原子発光分析法
(以降ICP−AESと略称する)によって測定した。
測定結果を、表−1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】[実施例2] <銅イオンと金イオンとを含む水溶液からの金の選択的
回収−2> (5)銅イオンと金イオンを含む水溶液の調整−2:市
販の塩化第一銅(I)(CuCl)2g、および上記(3)
で使用したのと同種の塩化金ナトリウム二水和物200
mgとを、1Mの塩酸水溶液1リットルに溶解して、銅イ
オンと金イオンを含む水溶液を調整した。
【0038】(6)金属イオン処理剤との接触処理:上
記(5)に記載の方法で調整した水溶液を、上記(4)
に記載したのと同様の手順で金属イオン処理剤を充填し
たカラムに通液させて接触処理した。接触処理した後の
液中の金属イオン濃度を、ICP−AESで測定した。
その結果を、表−2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】[実施例3] <銅イオンとパラジウムイオンとを含む水溶液からのパ
ラジウムの選択的回収−1> (7)銅イオンとパラジウムイオンを含む水溶液の調
整:市販の塩化パラジウム(PdCl2)(和光純薬)
130mgと、上記(3)に記載した例で使用したのと同
種の塩化銅(II)二水和物240mgとを、1Mの塩酸水溶
液1リットルに溶解して、銅イオンとパラジウムイオン
を含む水溶液を調整した。
【0041】(8)金属イオン処理剤との接触処理:上
記(7)に記載の方法で調整した水溶液を、前記(4)
に記載したのと同様の手順で金属イオン処理剤を充填し
たカラムに通液させて接触処理した。接触処理した後の
液中の金属イオン濃度を、ICP−AESで測定した。
その結果を、表−3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】[実施例4] <銅イオンとパラジウムイオンとを含む水溶液からのパ
ラジウムの選択的回収−2> (9)銅イオンとパラジウムイオンを含む水溶液の調
整:上記(7)に記載したのと同種の塩化パラジウムを
200mgと、前記(5)に記載した例で使用したのと同
種の塩化第一銅(I)を2gとを、1M塩酸水溶液1リッ
トルに溶解して、銅イオンとパラジウムイオンを含む水
溶液を調整した。
【0044】(10)金属イオン処理剤との接触処理:
上記(9)に記載の方法で調整した水溶液を、前記
(4)に記載したのと同様の手順で金属イオン処理剤を
充填したカラムに通液させて接触処理した。接触処理し
た後の液中の金属イオン濃度を、ICP−AESで測定
した。その結果を、表−4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】[実施例5] <銅イオンとパラジウムイオンとを含む水溶液からのパ
ラジウムの選択的回収−3> (11)無電解メッキ触媒化工程で得られた使用済み廃
液(パラジウム含有量:80ppm、Cu含有量:200p
pm、塩酸酸性pH0.7)を、前記(4)に記載したの
と同様の手順で金属イオン処理剤を充填したカラムに通
液させて接触処理した。接触処理した後の液中の金属イ
オン濃度を、ICP−AESで測定した。その結果を、
表−5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】[比較例1] (12)塩酸を含まない銅イオンおよび金イオンを含む
水溶液の調整:前記(3)に記載の銅イオンおよび金イ
オンを含む水溶液の調整において、塩化金酸ナトリウム
を500mgに、塩化銅(II)二水和物を30mgに変え、こ
れらを塩酸を含まない水1リットルに溶解して、銅イオ
ンおよび金イオンを含む水溶液を調整した。
【0049】(13)金属イオン処理剤との接触処理:
上記(12)に記載の方法で調整した水溶液を、前記
(4)に記載したのと同様の手順で金属イオン処理剤を
充填したカラムに通液させて接触処理した。接触処理し
た後の液中の金属イオン濃度を、ICP−AESで測定
した。その結果を、表−6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】[比較例2] (14)塩酸をわずかに含む銅イオンおよびパラジウム
イオンを含む水溶液の調整:前記(7)に記載の銅イオ
ンおよびパラジウムイオンを含む水溶液の調製におい
て、塩化パラジウムを300mgに塩化銅(II)二水和物を
1gに変え、1リットルの水に溶解した。この際、塩化
パラジウムを水に溶解させるため、0.001Mの極め
てわずかの塩酸を水に添加した。
【0052】(15)金属イオン処理剤との接触処理:
上記(14)に記載の方法で調整した水溶液を、前記
(4)に記載したのと同様の手順で金属イオン処理剤を
充填したカラムに通液させて接触処理した。接触処理し
た後の液中の金属イオン濃度を、ICP−AESで測定
した。その結果を、表−7に示す。
【0053】
【表7】
【0054】表−1ないし表−7から、次のことが明ら
かとなる。 (1)本発明方法によるときは、貴金属イオンを含む水溶
液に重金属である銅イオンが共存していても、金属イオ
ン処理剤を充填したカラムに通液させて接触処理した後
の液には、貴金属イオンは痕跡程度しか含まれず、共存
する重金属イオンは多量に検出され、貴金属が選択的に
捕捉されていることが分る(実施例1〜実施例5参
照)。 (2)これに対して、貴金属イオンを含む水溶液を塩酸酸
性にしない場合(比較例1)、および、極めてわずかの
塩酸を加えたにすぎない場合(比較例2)は、重金属で
ある銅イオンも同時に金属イオン処理剤に捕捉されてし
まい、いずれも痕跡程度しか検出できず、貴金属のみを
選択的に回収することはできない。
【0055】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明した通りであ
り、次の様な特別に有利な効果を奏し、その産業上の有
用性は極めて大である。 1.本発明方法によるときは、貴金属イオンを含む水溶
液に重金属である銅イオンが共存していても、資源的に
も経済的にも貴重な貴金属の金またはパラジウムを、重
金属である銅から選択的に分離し、同時に貴金属のみを
効率的に回収することができる。 2.本発明方法によるときは、貴金属と重金属が共存す
る水溶液から貴金属のみを回収する際に、工業的に最も
普及しており安価な塩酸を利用できるばかりでなく、従
来法の溶媒抽出法における様に取扱に危険を伴う有機溶
剤を使用しないので、回収作業に危険な全くない。 3.本発明方法によるときは、さらに、金属イオン処理
剤を充填したカラムに一過的に通液処理するだけで、効
率的に貴金属のみを0価の金属として金属イオン処理剤
上に捕捉できるので、濾過など別工程が一切不要であ
り、操作が極めて簡

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅イオンが共存する貴金属イオンを含む
    水溶液から貴金属を選択的に回収するにあたり、この水
    溶液を塩酸酸性とし、アントラヒドロキノン化合物類を
    多孔質担体に担持させた金属イオン処理剤と接触させる
    ことにより、この処理剤上に貴金属イオンのみを選択的
    に捕捉することを特徴とする、貴金属を選択的に回収す
    る方法。
  2. 【請求項2】 貴金属イオンが、金イオンおよび/また
    はパラジウムイオンである、請求項1に記載の貴金属を
    選択的に回収する方法。
  3. 【請求項3】 銅イオンが共存する貴金属イオンを含む
    水溶液を塩酸酸性とする際に、塩酸濃度を0.1モル/
    リットル以上とする、請求項1または請求項2に記載の
    貴金属を選択的に回収する方法。
  4. 【請求項4】 アントラヒドロキノン化合物類が、9,
    10−ジヒドロキシアントラセン、1,4−ジヒドロ−
    9,10−ジヒドロキシアントラセン、1,2,3,4−
    テトラヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン、
    または、これらの置換体から選ばれた少なくとも1種以
    上の化合物である、請求項1ないし請求項3のいずれか
    1項に記載の貴金属を選択的に回収する方法。
  5. 【請求項5】 多孔質担体が炭素系多孔質担体である、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の貴金属
    を選択的に回収する方法。
  6. 【請求項6】 炭素系多孔質担体が、活性炭または活性
    炭素繊維である請求項5に記載の貴金属を選択的に回収
    する方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002061156A1 (fr) * 2001-02-01 2002-08-08 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Procede pour separer, enrichir et recuperer du palladium

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WO2002061156A1 (fr) * 2001-02-01 2002-08-08 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Procede pour separer, enrichir et recuperer du palladium

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