JPH08238488A - 水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンの処理方法 - Google Patents

水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンの処理方法

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JPH08238488A
JPH08238488A JP4521195A JP4521195A JPH08238488A JP H08238488 A JPH08238488 A JP H08238488A JP 4521195 A JP4521195 A JP 4521195A JP 4521195 A JP4521195 A JP 4521195A JP H08238488 A JPH08238488 A JP H08238488A
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JP
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silver
aqueous solution
anthrahydroquinone
metal
metal ion
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JP4521195A
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Koji Kusabe
草部光司
Tatsuya Sakurai
桜井達也
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Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水溶液中のチオ硫酸錯イオン、特に写真定着
工程から排出される排水から銀を処理方法を提供するこ
とにある。 【構成】 可逆的な酸化還元能力を有するアントラヒド
ロキノン化合物を炭素質多孔質担体に担持した金属イオ
ン処理剤で、水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンを還元し、
銀金属として該金属イオン処理剤に捕捉する方法におい
て、水溶液のpHを7以上に調整し、かつ該銀錯イオン
の還元によって生成する水素イオンと等モル以上の塩基
を添加する方法である。 【効果】 本発明の金属イオン処理剤の利用効率が高く
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真工業等から排出さ
れるチオ硫酸銀錯イオンを含有する定着液排水から、資
源的にも、経済的にも貴重な銀を回収する処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】日本は、近年殆どの金属を輸入に頼って
おり、特に電子部品、自動車や工業排ガスの酸化処理に
使用する工業用酸化触媒及び還元触媒等の工業用触媒及
び各種のメッキ用金属並びに写真工業で使用される感光
剤には、大量の貴金属が使用され、それに応じてこれら
を製造したり、回収する際にも重金属若しくは貴金属イ
オンを含む排水が排出され、又写真工業においてその定
着工程からも多量の貴重な金属資源を含む排水が排出さ
れ、資源の乏しいわが国ではこれらの金属資源を回収、
再利用することが重要視されている。
【0003】写真工業から排出される定着液や定着水洗
廃液等に含まれる銀イオンは、チオ硫酸銀錯イオン
(「化1」)として水溶液に含まれている。この銀錯イ
オンを回収する方法としては、例えば、(1)水溶液中
から不溶性塩又は還元等によって沈殿物を生成させて、
夾雑物と貴金属等の金属とを分離し、精製し回収する方
法、(2)陰イオン交換樹脂に吸着させて回収する方
法、(3)酸化還元樹脂によって吸着回収する方法、
(4)この銀錯イオンを電解還元して金属として取得す
る方法(例えば、Austin C. Cooley,
J.Imaging Science Technol
ogy第37卷,4号,374〜379頁(1993
年))及び、(5)スチールウール等による金属交換法
等がある。
【0004】
【化1】
【0005】(1)の方法は廃液中に、金属イオンが同
伴される可能性が高く、金属の回収率があまり良くな
い。また、例えば硫化物として沈殿させる場合は、臭気
が強い、生成した沈殿が微細なため濾過が難しい等の問
題が有る。(2)の方法は数種類のイオンが共存する場
合には除去率があまり高くなく、2〜3mg/リットル
程度の銀イオンの漏洩がある。(3)の方法は酸化還元
樹脂を製造するための原料となるモノマー、例えばモノ
ビニルアントラキノン等、を製造する場合においても、
アントラキノン等のキノン類を直接アルキル化やアルケ
ニル化する実用的な方法がなく、多くの工程を必要とし
非常に高価になる。且つそのモノマーを使用して、例え
ばジビニルベンゼンと重合させた場合にはビーズ状にな
りにくい等の欠点があり、実用的なものが製造されてい
ない。(4)の方法、即ち電解法は、高濃度の銀錯イオ
ンの回収には有力であるが、低濃度のチオ硫酸銀錯イオ
ンの場合には、電流効率が悪くなる上、漂白工程から混
入したEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、鉄塩
が含まれると、電流効率がさらに低下する。又、排水規
制等における数ppm以下の銀イオン濃度まで処理する
ことは実質的にできない。(5)の方法は、銀を回収す
る代わりに、他の金属を水溶液中に増加させるため環境
保護の点から好ましくない。
【0006】水溶液中において、多価の金属イオンをヒ
ドロキノン−キノン型のレドックス反応試薬を用いて還
元する方法については、アントラキノンを除くアントラ
キノン誘導体のヒドロキノン型の有機溶剤溶液を用い
て、水溶液中の多価の金属イオンを銅、銀及び水銀等の
金属に還元して分離し、回収する方法が知られている
(米国特許3,820,979号)。ここで使用するレ
ドックス反応試薬は一度完全に酸化された後、改めて水
素化還元することにより、レドックス反応試薬の有機溶
剤溶液として循環再使用されている。推定されるヒドロ
キノン−キノン型の代表的なレドックス反応試薬の挙動
は[化2]に示す通りである。
【0007】
【化2】
【0008】これらのレドックス反応試薬は、従来いず
れも溶液中に溶解した状態で使用に供されており、溶液
と共に失われる欠点があった。アントラキノン及びその
誘導体のレドックス反応試薬としては、例えば、アント
ラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアン
トラキノン、2−プロピルアントラキノン、2−イソプ
ロピルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノ
ン、2−アミルアントラキノン、テトラヒドロアントラ
キノン、2置換−テトラヒドロアントラキノン等が知ら
れており、何れもブタジエン又は置換基を有するジエン
化合物とナフトキノンとの縮合反応(Diels Al
der反応)、又は無水フタル酸と対応するアルキルベ
ンゼンとの縮合反応により合成することができる。
【0009】前出の米国特許第3,820,979号で
は、これらのアントラキノンを除くアントラキノン誘導
体と、これに組合わせて使用する有機溶剤溶液の例が挙
げられている。溶解させるために使用する溶剤として
は、高沸点の非極性及び極性の溶媒を混合したものを必
要とする欠点があった。例えば、非極性有機溶剤として
は、アルキルトルエン、アルキルナフタレン、又は、ジ
フェニルを、極性有機溶剤としてはオクタノール、エチ
ルヘキサノール、又は、ジイソブチルケトンを、その他
にジアルキルフタレート、ジアリルフタレート、アルキ
ルベンゾエート、ベンジルアセテート等のエステル類を
使用することが挙げられている。
【0010】前出の米国特許第3,820,979号の
例では、このレドックス反応試薬を有機溶剤溶液として
利用するには、可燃性、又は、蒸発損失等の使用上の危
険又は不利益を克服する必要があり、工程上、共存する
水溶液相、有機溶剤相及び金属に還元し回収する固相の
3相分離に困難性があり、また固相の残渣に伴って失わ
れるレドックス反応試薬の量がプロセスの経済性に重大
な影響を及ぼす等の問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようする課題】しかして、本発明が解決
しようとする課題は、水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンを
選択的に、効率よく回収することができ、さらに、水溶
液、例えば排水中のこの銀錯イオンを無害な濃度以下に
まで処理するための方法を提供することにある。本発明
者等は、この課題に関して、該レドックス反応試薬、例
えば、ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多孔質
担体に吸着固定した担持物で金属イオン、特に銀錯イオ
ン等の貴金属イオンを含有する水溶液を処理したとこ
ろ、貴金属イオンが選択的に還元され、この担持物に0
価の金属として捕捉されること、及び従来のイオン交換
樹脂よりも選択率が良好であること見出し、平成5年1
1月17日に出願した(特願平5−323045)。し
かしながら、金属イオン処理剤の担体が活性炭である場
合は、処理の進行と共に黒色の該処理剤上に、0価の銀
が析出し、白色を呈するが、カラム(塔)に充填して使
用する場合に塔下部の該処理剤が黒色のまま破過し、金
属イオン処理剤が有効に活用されない欠点があった。し
かして、本発明の課題は、この欠点を克服することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この課題
を解決するため、鋭意検討した結果、スチレンージビニ
ベンゼン等の合成吸着剤を担体に使用した場合とは異な
り、活性炭にアントラヒドロキノン化合物を担持した金
属イオン処理剤を使用して、チオ硫酸銀錯イオンを含有
する水溶液を処理する場合には、アントラヒドロキノン
による銀イオンの還元で生成した水素イオンが活性炭に
吸着され活性炭細孔内のpHが酸性側に傾くため、銀処
理能力が低下することを見いだした。さらに、アントラ
ヒドロキノン化合物の酸化還元電位が、チオ硫酸銀錯イ
オンの酸化還元電位より低くなるように該水溶液のpH
を調整し、更に該銀錯イオンの還元反応で生成する水素
イオンと等モル以上の塩基を該銀錯イオン含有水溶液に
添加することにより、アントラヒドロキノン化合物当た
り、換言すると、単位金属イオン処理剤当たりの処理効
率が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0013】即ち、本発明は、レドックス反応試薬とし
てのアントラヒドロキノン化合物を炭素質多孔質担体に
担持した金属イオン処理剤を使用して、チオ硫酸銀錯イ
オンを含む水溶液から、該銀錯イオンを、銀金属として
該金属イオン処理剤に捕捉し回収する方法において、該
水溶液のpHを7以上に調整し、更に該銀錯イオンの還
元反応で生成する水素イオンと等モル以上の塩基を添加
することを特徴とする水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンの
処理方法に存する。
【0014】本発明においては、該金属イオン処理剤の
能力を十分に発揮するには、チオ硫酸銀銀錯イオンを含
む水溶液のpHを7以上、好ましくは8以上に調整する
のが望ましいが、pHを12より高めると、アントラヒ
ドロキノン化合物が溶けだす恐れがあるので好ましくな
い。。
【0015】本発明においてチオ硫酸銀錯イオンを含む
水溶液に添加する塩基とは、該銀錯イオンの還元によっ
て生成する水素イオンを中和できる塩基であれば良く、
一般的には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の
炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニア等の水
溶性の塩基を用いることができる。通常、水酸化ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム又はアンモニア水が経済的に望ま
しい。
【0016】チオ硫酸銀錯イオンを含む水溶液として
は、写真現像工程の定着過程において排出される排水が
あげられる。
【0017】本発明におけるレドックス反応試薬として
は、チオ硫酸銀錯イオンを0価の銀金属に還元する能力
がある化合物であり、多孔質担体に安定に吸着等によっ
て固定される化合物であれば使用することができる。こ
の化合物としては、酸化還元電位の関係においてアント
ラヒドロキノン化合物が好ましい。
【0018】本発明において、アントラヒドロキノン化
合物としては、例えばアントラヒドロキノン(9,10
−ジヒドロキシアントラセン)並びにその水素化化合物
及びこれらの置換体が挙げられる。
【0019】上記のアントラヒドロキノン化合物の置換
体における置換基としては、例えば、アルキル基、アル
ケニル基、アルコキシル基、フェニル基、アルキルアミ
ノ基、ハロゲン基等の比較的疎水性の置換基が挙げられ
る。アルキル基、アルケニル基及びアルコキシル基にお
ける炭素数は1〜60、実用的には24以下であり、ア
ルキル基は直鎖又は分岐したもののいずれでもよい。
【0020】又、本発明の目的に障害にならない限り、
これらアントラヒドロキノン化合物の置換基としてスル
ホン酸基、スルホン酸アミド基、カルボキシル基を含有
する置換基を採用することができるが、本発明の金属イ
オン処理剤は水溶液中で使用されるので、一般に水溶液
に溶出しないような疎水性の置換基を有する還元性化合
物が好ましい。
【0021】これらの置換基を有する化合物としては、
例えば2−メチルアントラヒドロキノン、2−エチルア
ントラヒドロキノン、2−アミルアントラヒドロキノ
ン、2−t−ブチルアントラヒドロキノン、2−(4−
メチルぺンチル)アントラヒドロキノン等のアルキル化
アントラヒドロキノン化合物;2−(4−メチル−ペン
テニル)アントラヒドロキノン等のアルケニル化アント
ラヒドロキノン化合物;1−メトキシアントラヒドロキ
ノン、1,5−ジメトキシアントラヒドロキノン等のア
ルコキシル化アントラヒドロキノン化合物;2−フェニ
ルアントラヒドロキノン等のフェニル置換アントラヒド
ロキノン化合物;2−N,N−ジメチルアミノアントラ
ヒドロキノン等のアルキルアミノ化アントラヒドロキノ
ン化合物;1−クロロアントラヒドロキノン、2−クロ
ロアントラヒドロキノン等のハロゲン化アントラヒドロ
キノン化合物が挙げられる。
【0022】ヒドロキノン化合物の水素化化合物として
は、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアント
ラセン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラヒドロ
キノン等が挙げられる。これらの化合物は単独でも、又
複数の化合物を併用することもできる。
【0023】本発明において炭素質の多孔質担体として
は、活性炭、活性炭繊維等の炭素製品、その他、疎水性
に調製した活性炭等の炭素粒子、例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレンの水性エマルジョン加工品(特開昭53
−92981)が挙げられるが、特に、活性炭が安価で
入手し易く好ましい。この多孔質担体に好適に使用され
るには、細孔径が5オングストローム以上、好ましくは
10オングストローム以上、1グラム当たりの比表面積
は、炭素製品では1グラム当たりの比表面積1000平
方メートルが標準となる。活性炭は粉体又はペレット
状、球状若しくは破砕炭状等のいずれの形態をも採用す
ることができる。
【0024】この多孔質担体のペレット状、球状又は破
砕炭等の粒径は、小さければ小さい程接触効率は良い
が、カラム等に充填して連続的に金属イオンを含む水溶
液を処理する場合には通液抵抗が大きくなるので、一般
に、活性炭の場合は0.3〜2.5ミリメートルが適当
である。
【0025】本発明において、レドックス反応試薬とし
てのアントラヒドロキノン化合物を炭素質の多孔質担体
に担持して、水溶液中の金属イオン処理剤を調製する方
法としては、アントラヒドロキノン化合物等の酸化され
やすい不安定な化合物の場合には、上記のレドックス反
応試薬に対応する酸化物(アントラキノン化合物)を使
用して担持する方法を採用することができる。
【0026】この場合の酸化物としては、例えばアント
ラヒドロキノンに対応する化合物として、それぞれアン
トラキノン(9,10−アントラキノン)並びにその水
素化化合物及び前記の置換基を有するアントラキノン化
合物が挙げられる。
【0027】本発明において、金属イオン処理剤の調製
方法としては、一般には次のように行う。例えば、回分
式方法としては、レドックス反応試薬としての酸化物
(アントラキノン化合物)を可溶な有機溶媒に溶解した
溶液中に、使用する化合物の種類及び溶媒によっても異
なるが、一般的には常温以上で、活性炭等の炭素質の多
孔質担体を加えて、撹拌しながら、この多孔質担体にレ
ドックス反応試薬の酸化物を含浸、吸着させて、有機溶
媒を留去、乾燥することにより、該酸化物の担持物を容
易に製造することができる。さらに、必要ならばこの乾
燥した担持物に、溶媒を加えて含浸させた後、脱塩した
水を加えて撹拌しながら、この担体に吸着されなかった
浮上する該酸化物を除去、洗浄し、該酸化物の担持物を
そのまま湿潤状態で保持する。又、溶媒で湿潤した固体
の多孔質担体を予めカラムに充填し、該酸化物を溶解し
た溶液を通液し、担持し、洗浄する方法でも実施でき
る。さらに、該酸化物の担持物を還元処理することによ
り、本発明の金属イオン処理剤を調製することができ
る。
【0028】該酸化物を担持した担持物の還元処理法と
しては、通常のアントラキノン化合物をアントラヒドロ
キノン化合物に還元する方法を採用することができる。
例えば、亜二チオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイ
トナトリウム)、亜二チオン酸カリウム(ハイドロサル
ファイトカリウム)等のハイドロサルファイトの水溶液
が好適に使用され、その他アントラキノン化合物の種類
に応じて、亜硫酸塩又は亜鉛−酸(又はアルカリ)系の
還元剤を使用することができる。ハイドロサルファイト
ナトリウムによってアントラキノン化合物を還元する場
合には、例えば、化学量論量以上のハイドロサルファイ
トナトリウム水溶液を、pH10以下の条件下にアント
ラキノン化合物を担持した担持物を回分式に、又は担持
物を充填した塔(カラム)等に通液し、接触させること
により実施することができる。
【0029】なお、アントラキノン化合物からハイドロ
サルファイトナトリウムを使用して、アントラヒドロキ
ノン化合物へ還元する反応の反応式は、次の「化3」式
に示した通りである。
【0030】
【化3】
【0031】上記吸着処理に用いる有機溶媒としては、
レドックス反応試薬としての酸化物の必要量を溶解する
ことができるものであれば採用することができるが、該
酸化物に対する溶解度及び使用する担体に担持しやすい
溶媒を選択するのが好ましい。この有機溶媒としては、
一般的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール等のアルコールが挙げられる。該酸化物
の溶液の濃度は、一般にその溶解度以下、飽和濃度に近
い濃度が好ましい。
【0032】該酸化物の担持量は、特に限定されず、使
用する固体の多孔質担体の種類によっても異なり、さら
に使用目的等により適宜選択されるが、一般的に0.0
1〜2モル/リットル−担体、好ましくは0.3〜1.
0モル/リットル−担体である。担持量が少ないと、回
収金属に対してコスト高になり、多すぎても金属イオン
に作用しない量が増加するので原料が無駄になる。
【0033】本発明の金属イオン処理剤を製造する方法
としては、前述の有機溶媒を使用して担体に担持させる
方法とは別に、レドックス反応試薬の還元性化合物であ
るアントラヒドロキノン化合物の水溶性塩水溶液に、炭
素質の多孔質担体を加え、アントラヒドロキノン化合物
を該多孔質担体に吸着させた後、該多孔質担体を分離
し、次いで洗浄処理することからなる方法が挙げられ
る。
【0034】本発明において、アントラヒドロキノン化
合物としては、例えば、アントラヒドロキノン若しくは
前記のアルキル置換アントラヒドロキノン又は1,4−
ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン(1,
4−ジヒドロアントラヒドロキノン)若しくはそのアル
キル置換化合物が挙げられる。
【0035】本発明におけるアントラヒドロキノン化合
物の水溶性塩としては、例えば、アルカリ金属塩又はア
ンモニウム塩から選ばれる。アルカリ金属塩としては、
ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられ
る。アンモニウム塩としては、通常のアンモニウム(N
4 +)塩、又はテトラメチルアンモニウム塩、テトラエ
チルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩若
しくはテトラブチルアンモニウム塩等の第四級アンモニ
ウム塩が挙げられる。しかしながら、通常は安価なナト
リウム塩が用いられる。
【0036】特に、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒ
ドロキシアントラセン化合物のジナトリウム塩水溶液
は、ナフトキノンと対応する1,3−ブタジエン化合物
とのディールス・アルダー反応によって得られる1,
4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン化合物に
当量(キノン化合物に対して2倍モル)以上、好ましく
は2〜2.4倍モルの水酸化アルカリ金属の水溶液を作
用させることによって容易に、その水溶液が得られるの
で工業的に有利に得ることができる。本発明の方法に使
用するヒドロキノン骨格を有する化合物のアルカリ金属
塩水溶液の濃度(濃度はアントラキノン等のキノン化合
物換算の重量%で表す。)は、1〜23%(本明細書に
おいて、「%」は断らない限り「重量%」を示す。)、
好ましくは2〜22%であり、吸着処理の温度は、通常
は常温でよく、吸着時間は5分〜5時間、好ましくは1
〜4時間である。
【0037】これらのアントラヒドロキノン化合物の使
用量は、炭素質の多孔質担体の種類によっても異なる
が、その化合物の溶解度以下であれば、特に制限を受け
ることはなく、吸着処理した後に得られる母液を再度濃
度調整することによって、吸着処理に使用することがで
きる。
【0038】吸着処理は、通常バッチ(回分式)では多
孔質担体とアントラヒドロキノン化合物のアルカリ金属
塩水溶液を入れた容器を緩やかに回転又は静置して吸着
させる方法、又は充填塔等に多孔質担体を予め充填し、
アントラヒドロキノン化合物の水溶性塩水溶液を循環し
て、浸漬させながら、吸着させるような連続的な接触方
法も採用することができる。
【0039】この方法に用いられる多孔質担体として
は、前記の担体が挙げられるが、特に、粒子状の活性炭
が安価で取り扱いやすく、かつ担持率も高く好ましい。
【0040】レドックス反応試薬としてのアントラヒド
ロキノン化合物は、一般に極めて弱い一種の酸であるの
で、該アントラヒドロキノン化合物のアルカリ金属塩を
担持した担持物を水等の水性媒体で洗浄処理する程度で
もその塩は加水分解してそのアルカリ金属イオンは水素
イオンと置換することができる。この水性媒体として
は、溶存酸素を除去した脱塩水、脱イオン水等の水性媒
体が好ましい。この洗浄処理においては洗浄水量を少な
くし、又は水素イオンとの置換を確実にするには酸水溶
液による処理が有効である。この酸水溶液による洗浄処
理に用いられる酸としては、アルカリ金属塩を遊離させ
る能力がある酸ならば、有機又は無機の酸でよい。例え
ば、無機の酸としては硫酸、塩酸等が、有機の酸として
は酢酸等のカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等のスル
ホン酸が挙げられる。この酸の使用量は、得られる担持
物中のアルカリ金属イオンが十分に水素イオンと置換さ
れる量であればよく、一般に、吸着した化合物の当量以
上、20当量以下であり、その濃度は0.1〜20%の
水溶液が用いられる。
【0041】この洗浄処理においては、予め上記の洗浄
処理を行わず、本発明における担持物を使用する用途、
例えば、金属イオン処理においては、処理する対象の中
性から酸性の金属イオン水溶液によって、洗浄処理と金
属イオンの処理を兼ねることも可能であるが、アントラ
ヒドロキノンのアルカリ金属塩は極めて酸化されやす
く、空気等の酸化剤と接触すると発熱や発火する恐れが
あるので、予めこの洗浄処理を行うことが、保存及び輸
送における安全上好ましい。
【0042】この方法を実施するには、一般的に次のよ
うに行う。例えば、容器に、所定量の粒状の活性炭を入
れ、減圧下で脱気し、さらに窒素置換を十分行った後、
窒素雰囲気下で所定濃度のアントラヒドロキノン化合物
のアルカリ金属塩、例えば所定濃度の1,4−ジヒドロ
−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム
塩水溶液の所定量に多孔質担体を加え、減圧下で接触さ
せ、所定時間吸着させる。この混合物を窒素雰囲気下で
遠心分離機等の分離装置で、該担体を分離し、脱酸素し
た脱イオン水等の水性媒体で洗浄処理し、又は希酸、例
えば5〜10%の硫酸で洗浄し、得られたアントラヒド
ロキノン化合物を担持した担体(担持物)を十分に脱酸
素処理した脱塩水中で保存する。得られる担持物の担持
量は、アントラヒドロキノン化合物の種類、その塩の水
溶液の濃度及び固体の多孔質担体の種類によっても異な
るが、例えば1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキ
シアントラセンのジナトリウム塩と粒状活性炭を使用し
た場合、約0.3〜1.0モル/リットル−担体であ
る。
【0043】このようにして得られた1,4−ジヒドロ
−9,10−ジヒドロキシアントラセン/活性炭からな
る担持物は、例えば金属イオン処理剤として有用であ
り、例えばチオ硫酸銀錯イオンに使用すると第1回目に
おいて、他のアントラヒドロキノン化合物に比べて、2
〜5倍の金属イオンの捕捉効率を示す。
【0044】本発明の金属イオン処理剤は、水溶液中に
含まれるチオ硫酸銀錯イオンをレドックス反応によって
0価の金属に変え、該金属イオン処理剤に捕捉し、回収
することができる。
【0045】本発明におけるチオ硫酸銀錯イオン(チオ
スルファト銀錯イオンともいう。)は、次の「化4」に
示した化学式の化合物で示される。
【0046】
【化4】
【0047】本発明におけるチオ硫酸銀錯イオン含有水
溶液の接触処理法としては、前記のように調製した金属
イオン処理剤を該銀錯イオンを含有する水溶液中の該銀
錯イオンに対して、その還元する当量以上を添加して撹
拌処理させた後、傾瀉又は濾過等で金属イオン処理剤を
濾別するような回分式の処理法を採用することができる
が、一般的には前記の金属イオン処理剤をカラム(塔)
に充填して、これにチオ硫酸銀錯イオン含有水溶液を通
液する方法が採用される。
【0048】カラムへの通液方法は、特に限定されるこ
とはなく通常の方法で行うことができ、上向きの通液方
式又は下向きの通液方式等の方法を適宜採用することが
できる。
【0049】本発明のように活性炭等の炭素質担体を使
用する金属イオン処理剤においては、被処理水溶液のp
Hの影響が大きく、「図1」に示すように該被処理水溶
液のpHが約7まではpHが高くなるに従って、単位金
属イオン処理剤当たりの銀の捕捉量、換言するとレドッ
クス試薬のモル当たりの効率が増加する。pHが約7以
上、約8以上になると、該捕捉量は殆ど頭打ちになる。
従って、被処理水溶液のpHは、約7〜12、好ましく
は8〜11が好ましい。pHが12以上では、アントラ
ヒドロキノン化合物が溶出する可能性があるので、好ま
しくない。水溶液中の陰イオンは目的の金属イオンが沈
殿しない限り、無機酸や有機酸等の陰イオンが存在して
いてもよい。水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンの濃度は溶
解している限り特に限定されないが、一般的には銀とし
て0.01〜10000ppm、好ましくは0.1pp
m以上、さらに好ましくは1ppm以上、1000pp
m以下である。
【0050】本発明の処理温度は一般的に10〜70°
C、通常は常温で行われる。本発明においては、所望す
れば2種類以上の平衡酸化還元電位の異なる還元性化合
物を固体の多孔質担体に担持してなる金属イオン処理剤
を使用して、チオ硫酸銀錯イオンを含有する水溶液を処
理する方法を採用することができる。
【0051】本発明の金属イオン処理剤は、チオ硫酸銀
錯イオンを含有する水溶液を処理する場合において、還
元する能力が失われた、即ち破過した金属イオン処理剤
を、前記したようなアントラキノン化合物をアントラヒ
ドロキノン化合物に還元する方法、例えばハイドロサル
ファイトナトリウム水溶液等による還元、その他発生期
の水素(例えば、亜鉛と塩酸又はアルカリ水溶液)等の
本発明におけるアントラキノン化合物をアントラヒドロ
キノン化合物に還元できる種々の還元方法によって再度
還元処理させた後、再び該銀錯イオンを含有する水溶液
を処理することによって、担持したレドックス反応試薬
の種類によって多少の差はあるものの、かなりの回数に
わたって繰り返し、該銀錯イオンを還元し吸着捕捉する
ことができる。
【0052】破過した酸化型(キノン型)を呈したレド
ックス反応試薬を担持した金属イオン処理剤の一般的な
還元方法は、この破過した金属イオン処理剤を、通常脱
塩水等で洗浄した後、前記したような還元処理を行うこ
とによって、この金属イオン処理剤によって繰り返し金
属イオン含有水溶液を処理することができる。この洗浄
処理は、残留する金属イオンを含む水溶液を置換できる
量でよく、一般に金属イオン処理剤の2容量倍以上で十
分である。
【0053】繰り返し使用されて最終的に再生する能力
を失い、銀金属を捕捉した担持物(金属イオン処理剤)
は、例えば焼却することによって銀金属として容易に回
収することができる。この焼却法は、特に限定されるも
のではなく、ロータリーキルンのような回転焼却炉、る
つぼ型の焼却炉等の焼却残渣から銀金属が回収されやす
いものであればどのような形式のものでも採用すること
ができる。
【0054】又、捕捉された銀金属を硝酸、濃硫酸等の
酸化剤によって銀イオンとして溶解し、回収するような
回収法も採用することができる。
【0055】本発明において、適用されるチオ硫酸銀錯
イオンを含有する水溶液としては、チオ硫酸銀錯イオン
を含有する水溶液なら対象とされるが、典型的には写真
工業の定着工程から排出される排水が挙げられる。例え
ば、ハロゲン化銀系の写真感光材料の定着工程の水洗水
や安定化液等のチオ硫酸銀錯イオンを含有する排水等が
挙げられる。
【0056】
【作用】本発明における炭素質の多孔質担体にレドック
ス反応試薬を担持した金属イオン処理剤によるチオ硫酸
銀錯イオンの処理では、該処理剤上で0価の金属に還元
されて、選択的に捕捉され、処理水中には殆ど検出され
なくなる。この該銀錯イオンを捕捉した該処理剤を粉末
X線回折法により分析すると銀金属として捕捉されてい
ることが確認された。
【0057】チオ硫酸銀錯イオンが該金属イオン処理剤
上に銀金属として捕捉される機構については、まだ明確
に解析されていないが、現象面から推定すると、チオ硫
酸銀錯イオンが該処理剤に接触すると該処理剤に担持さ
れたアントラヒドロキノン化合物で還元されて銀金属の
核が形成され、この核を介して電子の授受が行われ、銀
金属が積層し成長して該処理剤上に銀金属被膜が形成さ
れるものと推定している。
【0058】還元再生時にも、該処理剤上に積層した銀
金属被膜を介して電子の授受が行われ、担持されている
キノン化合物を還元してヒドロキノン型の化合物とする
ことにより、再びチオ硫酸銀錯イオンを還元し該処理剤
上に積層するものと推定される。
【0059】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例
に限定されるものではない。なお、実施例中において、
「%」とは断らない限り「重量%」を示す。
【0060】「実施例1」 [金属イオン処理剤を使用して、チオ硫酸銀錯イオン含
有水溶液を処理する場合におけるpHによる影響] (1)2−エチルアントラキノンを活性炭に担持した金
属イオン処理剤の調製 [2−エチルアントラキノンの担持]500mlナス型
フラスコに、メタノールで湿潤した後脱気処理した石炭
系粒状活性炭(三菱化学社製、商品名ダイヤホープC、
粒径1.0〜2.5mm、比表面積1500m2/g)
150ml(60g)、2−エチルアントラキノン20
g、イソプロパノール100mlを加え、回転エバポレ
ータに取り付け、80°C湯浴中で加熱し、2−エチル
アントラキノンを溶解した後、減圧下(560mmHg
以下)で緩やかに溶媒を留去し、2−エチルアントラキ
ノンを該活性炭に吸着させた。該活性炭にメタノール1
00mlを加え、よく含浸した後、脱塩処理した水1リ
ットルを加え、撹拌しながら浮上する吸着されなかった
2−エチルアントラキノンを除去した。さらに、300
mlの脱塩処理した水で3回同様な洗浄処理を行い、得
られた担持物を湿潤状態で保持した。この担持物に吸着
された2−エチルアントラキノンの吸着量は、活性炭1
リットル当たり0.56モルであった。
【0061】[2−エチルアントラキノン担持物の還元
による金属イオン処理剤の調製]前記の操作によって得
られた担持物10mlを、100mlの三角フラスコに
採り、脱塩水100mlとハイドロサルファイトナトリ
ウム4gを加え、撹拌した後、密閉状態で30分放置
し、還元した。次に、11mm直径×150mm長さの
ガラス製カラムに充填し、窒素で脱酸素処理した脱塩水
100mlで洗浄し、金属イオン処理剤を調製した(2
‐エチルアントラヒドロキノンの担持物)。同様に調製
した金属イオン処理剤を充填したカラムを全部で5セッ
ト用意した。
【0062】(2)金属イオン処理剤によるチオ硫酸銀
錯イオン含有水溶液(定着水洗モデル廃水)の処理 [定着水洗モデル廃水の調製]脱塩水700mlにチオ
硫酸アンモニウム200g、無水亜硫酸ナトリウム15
g、酢酸15gを加え、溶解した後、脱塩水で希釈し、
1リットルとした。これに塩化銀7.2gを暗室内で溶
解した溶液を原液とし、この原液を100倍に希釈した
溶液を定着水洗モデル廃水(チオ硫酸銀錯イオンとして
溶解、銀濃度50ppm、pH5.0)とした。
【0063】[金属イオン水溶液の処理]前記で調製し
た定着水洗モデル廃水を5セット用意し、それぞれ5セ
ットのモデル廃水に、20%水酸化ナトリウム水溶液を
添加し、pHを5、5.5、7.5、8.2及び9.5
に調整した。次に、それぞれ用意した5セットのカラム
に、異なるpHのモデル廃水を、S.V.(S.V.は
空間速度を表し、単位は1/hrである。以下同じ。)
2で通液し、銀の捕捉量を調べた。その結果を「表1」
及び「図1」に示した。銀の理論捕捉量は1231mg
である。 この結果、銀の捕捉量は、pH約7〜8で上
限となることが判る。
【0064】なお、処理液中の銀濃度は、ICP発光分
析法により測定した(以下、同じ)。又、銀を捕捉した
金属イオン処理剤の一部を粉砕したものを、Cu管球を
用いた粉末エックス線回折法により分析した結果、「表
2」に示すように、銀金属による回折ピークを確認し
た。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】「実施例2乃び3、及び比較例1乃至3」 [1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−アント
ラセン(以下、単に「DDA」と略す。)又はアントラ
ヒドロキノンを活性炭に担持した金属イオン処理剤によ
るチオ硫酸銀錯イオン含有水溶液の処理] (1)[DDA又はアントラヒドロキノンを活性炭に担
持した金属イオン処理剤の調製] (イ)[DDAの担持] 3リットルナス型フラスコに、石炭系活性炭(三菱化学
社製、商品名ダイヤホープ008S、粒径約0.2〜
0.4mm)1リットル(496.7g)をいれ、減
圧、窒素置換を繰り返した後、窒素雰囲気下で22%D
DAのジナトリウム塩水溶液2000mlを加えた。窒
素雰囲気下で時々撹拌しながら2.5時間吸着させた。
窒素雰囲気下で濾過し、10%硫酸水溶液1リットルで
リスラリー洗浄し、窒素で溶存酸素を置換した脱塩水1
000mlで洗浄し、窒素雰囲気下で2リットルサンプ
ル瓶に移し保存した。この担持物中における吸着された
DDAの吸着量は、下記の測定法により測定し、0.8
6モル/l(リットル)−活性炭であった。
【0068】[担持量の測定]担持物の10mlを、ア
セトン:メタノール(1:1)の混合溶媒でソックスレ
ーを使用して抽出した後、トルエンに切り替えて再度抽
出した後、抽出液をドライアップし、抽出された重量を
定量し、その重量をアントラキノンに換算して吸着量を
算出した。本実施例における担持量の測定は、全てこの
方法に準じて、行った。
【0069】(ロ)[アントラヒドロキノンの担持] 200mlナス型フラスコに、水酸化ナトリウム2.4
g、ハイドロサルファイトナトリウム8.5g及び脱塩
水50mlからなる水溶液に、十分に脱気した脱塩水で
湿潤した後脱気処理した石炭系活性炭(三菱化学社製、
商品名ダイヤホープC、粒径1.0〜2.5mm)50
ml(20g)を窒素雰囲気下で加え、撹拌した後、室
温で粉砕したアントラキノン6gを加え、12時間放置
し、吸着させた。次いで、窒素雰囲気下で濾過し、5%
希硫酸50mlで洗浄し、窒素バブリングした脱塩水5
0mlで3回洗浄し、窒素雰囲気下で150mlサンプ
ル瓶に移し、保存した。この担持物中における吸着され
たアントラヒドロキノンの吸着量は、前述と同様に測定
し、0.41モル/l(リットル)ー活性炭であった。
【0070】(2)金属イオン処理剤によるチオ硫酸銀
錯イオン含有水溶液の処理 [定着水洗モデル廃水(チオ硫酸銀錯イオン水溶液)の
調製]実施例1と同様に調製して、定着水洗モデル廃水
(チオ硫酸銀錯イオンとして溶解、銀濃度50ppm、
pH5.0)とした。
【0071】[定着水洗モデル廃水の処理]前記(1)
−(イ)で調製した金属イオン処理剤(DDA−活性炭
担持物)を10ml採取し、11mm直径×150mm
長さのカラムに充填し、上記の定着水洗モデル廃水を、
水酸化ナトリウムを添加し(添加量140mg/l)、
pH8.2に調整した後、該カラムにS.V.10(1
00ml/hr)で通液した。処理した結果(「実施例
2」)を「表3」に示した。なお、比較として、pH
5.0のまま同様に実施した結果(「比較例1」)も
「表3」に示した。
【0072】(b)前記(1)−(イ)で調製した金属
イオン処理剤(DDA−活性炭担持物)を10mg採取
し、11mm直径×150mm長さのカラムに充填し、
酢酸を添加しない以外、実施例1と同様の組成の定着モ
デル廃水に、水酸化ナトリウムを添加し(添加量30m
g/l)、pH8.2に調整した後、該カラムにS.
V.10(100ml/hr)で通液した。処理した結
果(「比較例2」)を「表3」に示した。
【0073】(c)前記(1)−(ロ)で調製した金属
イオン処理剤(アントラヒドロキノン−活性炭担持物)
を10ml採取し、11mm直径×150mm長さのカ
ラムに充填し、実施例1の定着水洗モデル廃水に、水酸
化ナトリウムを添加し(添加量140mg/l)、pH
8.2に調整した後、該カラムにS.V.2(20ml
/hr)で通液した。処理した結果(「実施例3」)を
「表3」に示した。なお、比較として、pH5.0のま
ま同様に実施した場合の結果(「比較例3」)を「表
3」に示した。
【0074】
【表3】
【0075】「実施例5」 [DDAを活性炭に担持した金属イオン処理剤による写
真定着水洗廃水の処理] (1)DDAを活性炭に担持した金属イオン処理剤の調
製 [DDAの担持]300mlナス型フラスコに、脱塩水
で湿潤した後脱気処理した石炭系活性炭(三菱化学社
製、商品名ダイヤホープC、粒径1.0〜2.5mm)
100ml(39g)を採取し、減圧後酸素を窒素で置
換する操作を繰り返し、活性炭細孔内の酸素を除去した
後、22%DDAのジナトリウム塩水溶液200mlを
加え、減圧下で1時間吸着させた。窒素雰囲気下で15
0mlサンプル瓶に移し、窒素置換した水で満たし、保
存した。この担持物中における吸着されたDDAの吸着
量は、前記の測定法により測定し、0.53モル/l
(リットル)ー活性炭であった。
【0076】(2)金属イオン処理剤による写真定着廃
水の処理 前記(1)で調製した金属イオン処理剤(DDA−活性
炭担持物)5mlを12mm直径×150mm長さのカ
ラムに充填し、写真定着水洗廃水(銀濃度60ppm)
に、水酸化ナトリウムを添加し(添加量70mg/
l)、pH8.5に調製した後、該カラムにS.V.4
で通液した。処理した結果は、「表4」に示した。
【0077】
【表4】
【0078】
【発明の効果】本発明に係る金属イオン処理剤を使用し
て、水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンを銀金属として捕
捉、回収する場合には、pHが7以上で、該金属イオン
処理剤の単位当たりの利用効率が極めて高くなる。更
に、該銀錯イオンの還元によって生成する水素イオンと
等モル以上の塩基を、該水溶液に添加する事で、カラム
(塔)下部の金属イオン処理剤も有効に利用することが
できる。本発明は、特に写真工業の定着工程から排出さ
れる廃水に含まれるようなチオ硫酸銀錯イオンを銀金属
として回収する場合に有効である。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】チオ硫酸銀錯イオン含有水溶液を、DDAを活
性炭に担持した金属イオン処理剤で処理した場合におけ
る、処理前の水溶液のpHに対する該銀錯イオンの捕捉
量の関係を示したグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レドックス反応試薬としてのアントラヒ
    ドロキノン化合物を炭素質多孔質担体に担持した金属イ
    オン処理剤を使用して、チオ硫酸銀錯イオンを含む水溶
    液から、該銀錯イオンを銀金属として該金属イオン処理
    剤に捕捉し回収する方法において、該水溶液のpHを7
    以上に調整し、更に銀錯イオンの還元反応によって生成
    する水素イオンと等モル以上の塩基を添加することを特
    徴とする水溶液中のチオ硫酸銀錯イオンの処理方法。
  2. 【請求項2】 水溶液のpHが、8以上である請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 水溶液のpHが、12以下である請求項
    1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 チオ硫酸銀錯イオンを含む水溶液が写真
    現像工程の定着過程において排出される排水である請求
    項1、2又は3記載の方法。
  5. 【請求項5】 アントラヒドロキノン化合物が、アント
    ラヒドロキノン、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒド
    ロキシアントラセン、1,2,3,4−テトラヒドロア
    ントラヒドロキノン又はアルキルアントラヒドロキノン
    から選ばれた一種又は二種以上の化合物である請求項1
    記載の方法
  6. 【請求項6】 炭素質多孔質担体が、活性炭又は活性炭
    素繊維である請求項1記載の方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0826784A3 (en) * 1996-08-26 1998-03-25 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Carbon support impregnated with anthrahydroquinone and metal for treating noble metal complex ions in aqueous solution
WO2011054180A1 (zh) * 2009-11-04 2011-05-12 大连理工大学 大孔聚合物固定醌化合物的制备方法
WO2020221242A1 (zh) * 2019-04-29 2020-11-05 厦门理工学院 一种蒽醌化合物固定在无机填料表面的制备方法及应用
WO2020221243A1 (zh) * 2019-04-29 2020-11-05 厦门理工学院 一种无机填料表面接枝蒽醌化合物的制备方法及应用

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