JP3826544B2 - 無電解めっき用触媒組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解めっき用触媒組成物、無電解めっき用触媒液、及び該触媒液を用いる無電解めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックス、セラミックス、ガラス等の非導電性物質は、無電解めっきに対する触媒活性がなく、この上に直接無電解めっき皮膜を形成することはできない。この様な触媒活性の無い物質に無電解めっきを行う場合には、一般に、金属パラジウム等の触媒物質を被めっき物に付着させた後、無電解めっきを行う方法が行われている。
【0003】
この様なめっき方法としては、例えば、米国特許第2702253号公報に、被めっき物を強酸性の塩化第1錫溶液に浸漬した後、水洗し、次いで強酸性の塩化パラジウム溶液に浸漬することにより、被めっき物表面に金属パラジウムを析出させ、その後無電解めっき液中に浸漬して、金属パラジウムを触媒として無電解めっきをする方法が記載されている。又、米国特許第3011920号公報には、被めっき物を強酸性のパラジウム−錫コロイド液中に浸漬することによって被めっき物表面に該コロイドを付与した後、酸またはアルカリで処理して触媒活性を発現させ、次いで無電解めっきを行う方法が記載されている。これらの方法は、いずれも触媒金属として高価な貴金属であるパラジウムを大量に用いるために処理液のコストが高く、また触媒を付与するために少なくとも二段階の処理が必要であり、工程が非常に複雑になるという欠点がある。更に、いずれの方法も錫化合物を用いるものであり、錫が無電解めっきに対する触媒毒として作用するために、無電解めっきの前に完全に錫を除去する必要があり、僅かでも残存すると、めっき皮膜の未析出、被めっき部とめっき皮膜との密着性低下などが生じるという問題点がある。
【0004】
パラジウム以外の金属を触媒として用いる方法としては、特開平1−68478号に銀塩を触媒として用いる方法が記載されている。この方法は、銀塩と界面活性剤を含有する水溶液に、銀塩に対して2〜4倍モルという多量の還元剤を添加して銀ヒドロゾルを形成し、これを被めっき物と接触させて、銀コロイドを付与した後、無電解めっきを行う方法である。しかしながら、この方法では還元剤の使用量が多いために生産コストが高く、又、形成される銀ヒドロゾルの安定性が悪く、凝集沈殿が生じやすいという欠点がある。更に、銀はパラジウムと比べて触媒活性が低く、しかも銀コロイドは吸着性が弱いために、水洗工程や無電解めっき工程で被めっき物から脱落して、不均一なめっき皮膜が形成され易く、しかも銀コロイドの持ち込みにより、無電解めっき液が分解して安定性が低下するという問題点もある。
【0005】
特開平2−93076号公報は、ニッケル、コバルト、銅等の金属イオンを含有する水溶液に還元剤を添加し、更に分散剤、安定剤等を配合した金属微粒子分散液を用いて、被めっき物に無電解めっき用触媒を付与する方法を記載している。しかしながら、これらの金属微粒子は、パラジウムと比べると触媒活性が劣り、しかもイオン化傾向が高いので空気酸化を受けやすく、酸化を防止するために安定剤として大量の還元剤を配合する必要があり、生産コストが増大するという欠点がある。更に、還元剤は水洗により洗い流され易く、還元剤が流出すると金属微粒子が空気中で瞬時に酸化して触媒活性を失うので、触媒液に浸漬した後、水洗を行うこと無く、被めっき物を直接無電解めっき液に浸漬することが必要であるが、この様な方法では、金属微粒子の大量の持ち込みにより、無電解めっき液が汚染され、めっき液の分解が生じ易いという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、パラジウムを含有しない低コストの無電解めっき用触媒液であって、被めっき物に対する吸着性が良好で優れた触媒活性を有し、しかも安定性にも優れた触媒液を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した如き課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、触媒金属として、安価でしかも酸化し難い銀を用い、銀塩の水溶液に陰イオン界面活性剤を配合するとともに、銀イオンに対して0.1〜1倍モルという少量の還元剤を配合し、更に、これに、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種を配合した触媒液は、各種の被めっき物に対する触媒成分の吸着性が良好であり、従来のパラジウム含有触媒と比べて非常に低コストでありながら、これと同等或いはそれ以上の触媒活性を有し、しかも、液の安定性が極めて良好であることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下に示す無電解めっき用触媒組成物、無電解めっき用触媒液、及び無電解めっき方法を提供するものである。
【0009】
(1) 鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物、銀塩、陰イオン界面活性剤、並びに還元剤を含有することを特徴とする無電解めっき用触媒組成物。
【0010】
(2) 鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物の少なくとも一種の化合物0.01〜50ミリモル/l、銀塩1〜100ミリモル/l、陰イオン界面活性剤0.01〜0.5重量%、並びに銀塩に対して0.1〜1倍モルの還元剤を含有する水溶液からなる無電解めっき用触媒液。
【0011】
(3) 銀塩、陰イオン界面活性剤及び還元剤を含有する水溶液を混合して銀微粒子分散液とし、これに鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を添加して得られる上記項2に記載の無電解めっき用触媒液。
【0012】
(4) 上記項2又は3に記載の触媒液に被めっき物を浸漬した後、自己触媒型の無電解めっき液に浸漬することを特徴とする無電解めっき方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒組成物は、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物、銀塩、陰イオン界面活性剤、並びに還元剤を含有するものである。
【0014】
また、本発明の触媒液は、上記した触媒組成物、即ち、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物、銀塩、陰イオン界面活性剤、並びに還元剤を水に溶解した水溶液である。
【0015】
銀塩としては、水溶性の銀化合物を用いることができ、例えば、硝酸銀、シアン酸銀、過塩素酸銀、亜硫酸銀などの無機銀塩、酢酸銀、クエン酸銀、サリチル酸銀、酒石酸銀などの有機銀塩等を用いることができる。本発明では、これらの銀塩を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0016】
陰イオン界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(P.O.E)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ラウリルリン酸、ポリオキシエチレン(P.O.E)ステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(P.O.E)アルキルフェニルエーテルリン酸等のリン酸エステル型、タウリン誘導体、サルコシン誘導体等を用いることができる。陰イオン界面活性剤を用いることによって、被めっき物に対して触媒金属である銀の吸着性が良好となり、被めっき物を均一に触媒活性化して良好な無電解めっき皮膜を形成することが可能となる。本発明では、陰イオン界面活性剤を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0017】
上記した界面活性剤の内で、特にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸等の分子内にポリオキシエチレン部分を有する陰イオン界面活性剤を用いる場合には、吸着性が特に良好になり、特に優れた触媒活性を付与できる。
【0018】
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン等のホウ素系還元剤の他、次亜リン酸ナトリウム等のリン系還元剤、ホルムアルヒド、グリオキシル酸等のアルデヒド化合物、アスコルビン酸、ヒドラジン等を用いることができる。本発明では、これらの還元剤を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0019】
鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物については、それぞれの水溶性化合物を用いることができる。その具体例としては、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩、テトラアンミン錯体、ヘキサアンミン錯体、ジエチレンジアミン錯体、トリエチレンジアミン錯体等の金属錯体等を挙げることができる。本発明では、これらの化合物を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を用いることによって、これらの化合物を配合しない場合と比べて触媒液の触媒活性が向上し、より均一で良好な無電解めっき皮膜を形成することができる。
【0020】
本発明の無電解めっき用触媒組成物は、上記した各成分からなるものであり、全成分を混合した状態とする他、各成分単独又は二種以上の成分を適宜組み合わせた状態とすることができる。
【0021】
本発明の触媒液における銀塩の配合量は、1〜100ミリモル/l程度の範囲とする。銀塩の配合量が少なすぎると、生成する銀微粒子の量が極端に少なくなり、触媒活性が不足して良好な無電解めっき皮膜を得ることができない。一方、銀塩の配合量が多すぎると、生成した銀微粒子が凝集を起こし易くなって、触媒液が不安定となるので好ましくない。
【0022】
陰イオン界面活性剤の配合量は、触媒液中に0.01〜0.5重量%程度とする。界面活性剤量が0.01重量%より少ない場合には銀微粒子の分散安定性が低下して、銀微粒子が凝集沈殿を起こすことがあるので好ましくない。一方、界面活性剤量が0.5重量%よりも多くなると、銀微粒子分散液の状態に大きな影響はないが不経済である。
【0023】
還元剤の配合量は、銀塩に対して0.1〜1倍モル程度の範囲とする。本発明によれば、この様に銀塩に対して等モル程度以下という少量の還元剤を用いることによって、銀微粒子の安定性が良好となって凝集沈殿が生じ難くなり、しかも前記した陰イオン界面活性剤の使用と相まって、銀の吸着性が良好となり、被めっき物に対して良好な触媒活性を付与することが可能となる。還元剤の使用量は、銀塩に対して0.4〜0.8倍モル程度とすることがより好ましく、触媒液の安定性、触媒活性等がより良好になる。
【0024】
還元剤の使用量が上記範囲を下回ると、銀塩の還元量が不足して、触媒液中にに生成する銀微粒子の量が極端に少なくなり、良好な無電解めっき皮膜を得ることができない。還元剤量が多すぎると、銀塩の還元が進行しすぎて、銀微粒子の安定性が低下し、凝集沈殿を生じることがあるので好ましくない。
【0025】
鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物の少なくとも一種の化合物の配合量は、0.01〜50ミリモル/l程度の範囲とし、好ましくは、0.1〜40ミリモル/l程度の範囲とする。この成分の配合量が少なすぎると、十分な触媒活性を得ることができず、一方、配合量が多すぎると、触媒液が不安定となり、触媒液の分解を生じる場合もあるので好ましくない。
【0026】
本発明の触媒液は、上記した銀塩、陰イオン界面活性剤、還元剤、並びに鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物の少なくとも一種の化合物を含有する水溶液であり、各成分を配合した後、均一に撹拌することによって得ることができる。
【0027】
本発明の触媒液の調製方法としては、特に、銀塩、陰イオン界面活性剤及び還元剤を含有する水溶液を混合撹拌して、銀塩の一部を還元させて銀微粒子分散液とし、この分散液に鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物の少なくとも一種の化合物を添加する方法が好ましい。この様な調製方法によれば、銀塩の一部が還元されて銀微粒子として安定に分散し、還元剤は銀塩の還元反応にほぼ消費されている状態の銀微粒子分散液に、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物の少なくとも一種の化合物を添加するので、これらの化合物が還元されて析出することが防止され、非常に安定性が良好な触媒液が得られる。
【0028】
銀塩、陰イオン界面活性剤及び還元剤を含有する水溶液を混合撹拌して、銀微粒子分散液とする方法については、特に限定はなく、例えば、銀塩、陰イオン界面活性剤及び還元剤を同時に添加して混合する方法、銀塩及び陰イオン界面活性剤を含有する水溶液に還元剤を添加して混合する方法、銀塩を含有する水溶液に、陰イオン界面活性剤及び還元剤を添加する方法等の各種の方法を採用できる。この際、水溶液の液温は、0〜100℃程度の広い範囲とすることができるが、通常、20〜70℃程度とすればよい。混合時間は、銀塩が還元されて銀微粒子が均一に分散する時間とすればよく、通常、水溶液が赤褐色に変色するまで混合すればよい。
【0029】
この様にして得られた銀微粒子分散液に、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を添加し、均一に混合することによって、本発明の触媒液が得られる。
【0030】
本発明の触媒液には、更に必要に応じて、触媒液の性質に悪影響を与えない範囲で、他の金属塩、有機化合物等を配合しても良い。
【0031】
本発明の無電解めっき用触媒液を用いて無電解めっきを行うには、使用する被めっき物の種類の応じて、常法に従って、脱脂処理、表面調整などを前処理を行った後、本発明の触媒液により被めっき物に銀触媒を付与し、その後、常法に従って無電解めっきを行えばよい。
【0032】
被めっき物に銀触媒を付与する方法としては、一般に被めっき物に無電解めっき用触媒を付与する際に行われている方法、例えば、被めっき物を触媒液に浸漬する方法、触媒液を被めっき物に塗布した後乾燥する方法等を適用できるが、特に、触媒液に浸漬する方法が好ましく、この方法によれば、被めっき物に対して簡単な操作で銀触媒を均一に付着させることができる。触媒液に浸漬する方法は、特に限定的では無く、通常、触媒液の液温を0〜80℃程度、好ましくは15〜50℃程度として、これに被めっき物を浸漬すればよい。液温が低すぎる場合には、銀微粒子の凝集が生じやすく、一方液温が高すぎても、やはり触媒液の安定性が低下して凝集沈殿が生じ易くなるので好ましくない。浸漬時間については、長時間浸漬すると、銀微粒子の吸着量が増加して無電解めっきの析出性が良好になるので、使用する無電解めっき液の種類、被めっき物の種類などに応じて、適宜必要な浸漬時間を決めればよい。通常は、30秒〜10分程度の範囲の浸漬時間とすればよい。
【0033】
触媒液のpHについては、1〜7程度とすることが好ましく、2〜5程度とすることがより好ましい。pHが低すぎると、界面活性剤の溶解度の低下によって、触媒液の安定性が低下して凝集沈殿が生じやすくなり、一方、pHが高すぎると、分散安定性が極端に良好になって、銀触媒の吸着量が低下して無電解めっきの析出性が低下するので好ましくない。
【0034】
上記した方法によって、本発明の触媒液を用いて被めっき物に銀触媒を付与した後、常法に従って、水洗し、その後無電解めっきを行うことによって、均一で良好な外観の無電解めっき皮膜を形成することができる。本発明の触媒液によれば、銀触媒の吸着力が強く、しかも触媒金属である銀は酸化し難いので、水洗時に触媒金属の脱落による触媒活性の低下や触媒金属の酸化がほとんど生じることがない。又、無電解めっき液中での触媒金属の脱離がないので、無電解めっき液の安定性を阻害することもない。
【0035】
無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液をいずれも用いることができ、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度等は特に限定されない。その具体例としては、無電解銅めっき液、無電解ニッケル−リンめっき液、無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、無電解パラジウム−リンめっき液、無電解銀めっき液、無電解金めっき液等を例示できる。
【0036】
本発明において適用可能な被めっき物については、特に限定はなく、無電解めっき液に対して触媒活性を有しない各種の材料を用いることが可能である。例えば、プリント基板等の金属−非導電性物質複合材料、プラスチック、セラミック、ガラス等の非導性物質、紙、布等の織維状物質、金属、金属酸化物等を用いることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の触媒液は、従来、触媒金属として主に用いられているパラジウムと比べて、非常に安価な金属である銀を用いるものであり、低コストの触媒液である。そして、この触媒液は、極めて優れた安定性を有するとともに、被めっき物に対する触媒金属の吸着性が良好で触媒活性に優れたものである。よって、本発明の触媒液を用いることによって、均一で良好な無電解めっき皮膜を形成することが可能となる。また、触媒金属の吸着性が良好であることから、無電解めっき液中での脱離がほとんどなく、無電解めっき液の安定性を損なうこともない。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0039】
実施例1
硫酸銀10ミリモルを純水800mlに溶解し、この溶液中にポリオキシエチレン(3E.O.)ステアリルエーテルリン酸500mgを含む水溶液l00mlとジメチルアミンボラン5ミリモルを含む水溶液50mlを激しく撹拌しながら投入した。溶液の色が赤褐色に急変したところで、硫酸ニッケルを2ミリモル含む水溶液50mlを添加し、撹拌することによって、均一で赤褐色透明な銀微粒子分散液1000mlが得られた。この銀微粒子分散液を触媒液1とする。
【0040】
被めっき物としてエポキシ板(5×5cm)を使用し、上記触媒液1を用いて、下記の工程で無電解めっきを行った。各処理液の液量は500mlとした。各処理の間には、水洗を行った。
【0041】
めっき工程:
1.脱脂:市販の脱脂剤(商標:エースクリーンA−220、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、60℃の処理液中に3分間浸漬した。
【0042】
2.表面調製:市販の表面調整剤(商標:OPC−370コンディクリーンM、野製薬工業株式会社製)を用いて、60℃の処理液中に3分間浸漬した。
【0043】
3.触媒付与:触媒液1をpH2.5として25℃の液中に3分間浸漬した。
【0044】
4.無電解めっき:上記1〜3の処理を行った被めっき物を三種類準備して、下記の三種類の無電解めっきを行った。
【0045】
(a)無電解ニッケル−リンめっき:市販の無電解ニッケル−リンめっき液(商標:TMP化学ニッケル、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、pH9.0のめっき液中に40℃で10分間浸漬した。
【0046】
(b)無電解ニッケル−ホウ素めっき:市販の無電解ニッケル−ホウ素めっき液(商標:トップケミアロイ66、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、pH6.5のめっき液中に60℃で10分間浸漬した。
【0047】
(c)無電解銅めっき:市販の無電解銅めっき液(商標:TMP化学銅#100、奥野製薬工業株式会社製)を用いて、pH13.0のめっき液中に25℃で10分間浸漬した。
【0048】
得られた各無電解めっき皮膜について、下記の方法で皮膜被覆率及び被めっき物外観を調べた。結果を下記表1に示す。
【0049】
試験方法:
1.皮膜被覆率(%):被めっき物上にめっき皮膜が形成された面積の割合を示す。
【0050】
2.被めっき物外観:目視によりめっき皮膜の外観を調べた。
【0051】
又、めっき浴の安定性試験として、上記条件と同様にして、めっき浴成分の金属塩、還元剤及びpH調整剤を補給しながら、10分ごとに試験片を交換して無電解めっきを連続して行い、めっき浴中で被めっき物以外に金属が析出してめっき浴の反応が急激に進行し、めっき浴の安定性が損なわれて一定の外観と析出速度でめっき皮膜が形成されなくなるまでのターン数を調べた。尚、1ターンとは、無電解めっき開始時のめっき浴中に含まれていた量に相当する金属イオンを補給した期間である。
【0052】
実施例2
過塩素酸銀10ミリモルを純水800mlに溶解し、この溶液中にスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム5gを含む水溶液l00mlを激しく撹拌しながら添加した後、60℃に加熱し、ヒドラジン8ミリモルを含む水溶液50mlを激しく撹拌しながら添加した。溶液の色が赤褐色に急変したところで、ヘキサアンミンコバルト塩化物を10ミリモル含む水溶液50mlを添加した。その結果、均一で透明な銀微粒子分散液1000mlが得られた。これを触媒液2とする。
【0053】
触媒液1に代えて、触媒液2を用いたことを除いて、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、得られた無電解めっき皮膜について、皮膜被覆率及び被めっき物外観を調べた。また、実施例1と同様にしてめっき浴の安定性を調べた。結果を下記表1に示す。
【0054】
比較例1
硝酸銀(I)0.5ミリモルを純水940mlに溶解した溶液を激しく撹拌しながら、この溶液に非イオン性界面活性剤であるポリエチレングリコール−p−ノニルフェニルエーテル100mgを含む水溶液10mlと、硝酸銀に対して4倍モルに相当する2ミリモルの水素化ホウ素ナトリウムを含む水溶液50mlを順次添加した。その結果、溶液の色が黄褐色に急変し、pH9.6の均一透明な銀ヒドロゾル1000mlが得られた。これを比較触媒液1とする。
【0055】
触媒液1に代えて、比較触媒液1をpH9.6のままで用いたことを除いて、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、得られた無電解めっき皮膜について、皮膜被覆率及び被めっき物外観を調べた。また、実施例1と同様にしてめっき浴の安定性を調べた。結果を下記表1に示す。
【0056】
比較例2
濃塩酸(35%)150mlを750mlの純水で希釈し、市販の無電解めっき用触媒であるパラジウム−錫コロイド液(商標:キャタリストC、奥野製薬工業株式会社製)60mlを加え、純水を添加して1000mlとした。これを比較触媒液2とする。
【0057】
触媒液1に代えて比較触媒液2を使用し、実施例1のめっき方法において、触媒付与後、無電解めっきの前に、活性化処理として、98%H2SO4を150g/l含有する水溶液に60℃で5分間浸漬する処理を行なうことを除いて、実施例1と同様にして、無電解めっきを行い、得られた無電解めっき皮膜について、皮膜被覆率及び被めっき物外観を調べた。また、実施例1と同様にしてめっき浴の安定性を調べた。結果を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
以上の結果から明らかなように、触媒液1及び2を用いた実施例1及び2では、被めっき物であるエポキシ板に均一で良好な無電解めっき皮膜を形成でき、しかもた被めっき物に対する触媒金属の吸着性が良好であり、めっき液中での触媒金属の脱落が生じることがなく、無電解めっき液の安定性を阻害することがなかった。
【0060】
比較例2については、無電解めっきによる皮膜被覆率は良好であるが、無電解めっき浴の安定性を阻害するものであった。又、無電解めっきの前に活性化処理が必要であり、その他の触媒液と比べて処理工程が一工程多く、処理が煩雑であった。しかも、触媒金属としてパラジウムを大量に含有しているために非常に高価であり、コスト的に不利であった。
【0061】
触媒液安定性試験
上記各実施例及び比較例で得た触媒液1、2及び比較触媒液1、2について、以下の方法で安定性試験を行った。結果を下記表2に示す。
【0062】
1.空気吹き込み試験:液温25℃、液量500mlの各触媒液に1000ml/分で空気を導入し、触媒液に凝集沈殿が生じるまでの時間を求めた。
【0063】
2.6価クロム添加試験:500mlの各触媒液に、無水クロム酸を2モル/l含有する水溶液を1mlずつ添加し、触媒液に凝集沈殿が生じるまでの添加量を求めた。
【0064】
3.塩素イオン添加試験:500mlの各触媒液に、塩素イオンを10g/l含有する水溶液を1mlずつ添加し、触媒液に凝集沈殿が生じるまでの添加量を求めた。
【0065】
【表2】
【0066】
以上の結果から明らかな様に、本発明の触媒液である触媒液1及び2は、いずれも、公知の触媒液である比較触媒液1及び2と比べて、非常に安定性が良好である。
Claims (3)
- 鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物の少なくとも一種の化合物0.01〜50ミリモル/l、銀塩1〜100ミリモル/l、陰イオン界面活性剤0.01〜0.5重量%、並びに銀塩に対して0.4〜0.8倍モルの還元剤を含有する水溶液からなる無電解めっき用触媒液。
- 銀塩、陰イオン界面活性剤及び還元剤を含有する水溶液を混合して銀微粒子分散液とし、これに鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を添加して得られる請求項1に記載の無電解めっき用触媒液。
- 請求項1又は2に記載の触媒液に被めっき物を浸漬した後、自己触媒型の無電解めっき液に浸漬することを特徴とする無電解めっき方法。
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