JP3890542B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents
プリント配線板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3890542B2 JP3890542B2 JP3203297A JP3203297A JP3890542B2 JP 3890542 B2 JP3890542 B2 JP 3890542B2 JP 3203297 A JP3203297 A JP 3203297A JP 3203297 A JP3203297 A JP 3203297A JP 3890542 B2 JP3890542 B2 JP 3890542B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- catalyst
- plating
- copper
- etching
- circuit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)
- Chemically Coating (AREA)
- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板の製造方法としては各種の工法が知られているが、不導体表面に導電性を付与するためには、通常、無電解めっき方法が採用されることが多く、このような無電解めっき方法としては、不導体表面に無電解めっき用触媒を付与した後、無電解めっきを行うことが一般的である。
【0003】
プリント基板の製造では、無電解めっき用の触媒としては、多くの場合は、米国特許3,011,920号に記載された錫−パラジウムコロイドの水溶性懸濁液が用いられている。また、パラジウムイオン−アミノ系錯化剤を含む触媒液用いて、無電解めっき用触媒を付与する方法も知られている(特開平8−316612号公報)。
【0004】
しかしながら、これらのパラジウムを含有する触媒液を用いる触媒付与方法では、下記のような欠点がある。
【0005】
(i)錫−パラジウムコロイドの水溶性懸濁液触媒を用いる場合には、無電解めっき前に触媒液に含まれる錫の除去が不可欠であり工程が長くなる。また錫の除去が不完全であると、無電解めっき皮膜の未析出や異常析出を生じやすく、更に、銅−無電解銅めっき皮膜間の密着性低下等の種々の悪影響を及ぼし、プリント基板の信頼性を低下させる一因となる。
【0006】
(ii)錫−パラジウムコロイドの水溶性懸濁液触媒では、錫の空気酸化を容易とし、コロイドの安定性を確保するために、通常、錫塩を大量に配合している。その結果、触媒液中の塩濃度が高くなって粘度が増加するため、溶液の拡散二重層が厚くなり、触媒の付与量は液流動に大きく左右されることになる。このため、液流動の差によって触媒付与量が不均一となり、スルーホール内などの液流動が悪い部分には所定時間内で必要量の触媒が付与し難くなる。
【0007】
(iii)パラジウムイオン−アミノ系錯化剤を用いた触媒では、不導体表面に付与したパラジウムイオンを還元剤を用いて金属パラジウムに還元する工程が必要となるために工程が長くなる。また、通常、還元剤として高価なホウ素化水素系を用いるためコストが高くなる。
【0008】
(iv)触媒金属であるパラジウムは、耐食性が高いために一度付着すると除去することが困難であり、析出しためっき皮膜の不要部分をエッチングして導体回路を形成した場合にも、通常のエッチング処理では、触媒として付着したパラジウムの除去が困難であり、除去できないパラジウムは導電性を持つため回路間の絶縁信頼性が悪化する原因となる。又、エッチングによる導体回路形成後に、無電解ニッケルめっきや無電解金めっき等の無電解めっきを再度行なう場合には、不導体表面にはパラジウム残渣が付着しているために、無電解めっき皮膜の析出が起こり、回路間の絶縁部へのめっき析出(いわゆるパターン外析出)やガイド穴等不必要な部分にめっきが析出することがある。
【0009】
このようなパラジウムを含有する触媒を用いた場合の問題点のうちで、特に上記(iv)については、主要な原因は、触媒金属であるパラジウムの除去が困難なことである。特に、セミアディティブ法やビルドアップ工法においては、多層板の表面全面に露出する不導体表面に触媒を付与するために、触媒残渣による回路間の絶縁信頼性の低下が特に大きな問題点となっている。この問題に対処するため現在一般的には次のような方法が行われている。
【0010】
(i)触媒液の濃度を低下させたり、触媒液浸漬時間を短くすることによって、触媒の付与量を最小限にとどめ、絶縁信頼性を向上させる。
【0011】
(ii)金属エッチング液による金属回路形成後、不導体層のエッチング液に浸漬して不導体層ごとパラジウムを除去する。
【0012】
(iii)特殊な薬液を用いてパラジウムを除去する(特開平8−139435号公報)。
【0013】
しかしながら、これらの各方法については、それぞれ次のような欠点がある。
【0014】
(i)触媒の付与量を低下させる方法では、無電解めっき皮膜が十分に形成されないおそれがあり、無電解めっき皮膜の未析出、導通不良等が起こる場合がある。また、触媒液の塩濃度や粘度が高いため、プリント基板上で不均一な付与量となり易く、最小限度の触媒を付与するとしても、部分的には大量に触媒が付与されたり、逆に無電解めっき皮膜の析出に必要量の触媒が付与されない部分が生じる。
【0015】
(ii)不導体層をエッチングする方法では、不導体層が大量に除去されるために、形成された金属回路の下の部分にまでエッチングが及び、不導体層と金属回路間の密着力が低下する。また、不導体層が薄くなるために、多層積層とする場合には、不導体層を挟んだ金属層間での絶縁不良が生じ易い。
【0016】
(iii)パラジウム除去のために特殊な薬液を用いる方法では、基板に対する薬液の影響を検討する必要性があり、またパラジウム除去のための薬液処理工程が新たに必要となるため、工程数が増加する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、安価であり且つ優れた触媒活性を有する触媒液を使用して、複雑な工程を要することなく、絶縁信頼性に優れたプリント配線板を製造できる方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した如き課題に鑑みて鋭意研究を重ねてきた。その結果、不導体表面上に無電解めっき用触媒を付与し、無電解めっきを行ない、電気銅めっきを行った後、エッチングにより回路を形成する工程を含むプリント配線板製造法において、無電解めっき用触媒液として、銀塩及び銅塩の少なくとも一種を含有する特定の配合の触媒液を用いることによって、簡単な方法で良好な触媒活性を有する触媒金属を付着させることができ、しかもエッチングによる金属回路形成工程において、エッチングと同時に不導体層に付着した触媒が溶解して、エッチング後に露出した不導体層から触媒が除去され、回路間の絶縁信頼性が向上するとともに、再度無電解めっきを行う場合にも、不要部分へのめっき析出が防止されることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明は、不導体表面上に無電解めっき用触媒を付与し、無電解めっきを行ない、電気銅めっきを行った後、エッチングにより回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法において、無電解めっき用触媒を付与するための触媒液として、銀塩及び銅塩から選ばれた少なくとも一種の金属塩、陰イオン界面活性剤、並びに還元剤を含有する水溶液を用いることを特徴とするプリント配線板の製造方法に係る。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のプリント配線板の製造方法は、不導体表面上に無電解めっき用触媒を付与し、無電解めっきを行ない、電気銅めっきを行った後、エッチングにより回路を形成する工程を含む方法であれば、公知のプリント配線板の製造方法のいずれの方法にも適用できる。この方法は、触媒付与、無電解めっき、電気めっき及びエッチングの各処理をこの順序で行う方法であればよく、各処理の間にその他の処理、例えば、めっきレジスト層形成、エッチングレジスト層形成等の処理が含まれても良い。この様なプリント配線板の製造方法としては、各種の方法が知られているが、特に本発明方法を好適に適用できる方法として下記の方法を例示できる。
【0021】
(i)セミアディティブ法による両面プリント配線板の製造法:
基板に穴開けをし、表面調整をした後、触媒を付与して、無電解銅めっきを行い、その後めっきレジストにて回路パターンを形成し、さらに電気銅めっきにより必要な部分にめっきを施し、次にめっきレジストを剥離し、エッチング液により、不要部分の銅皮膜をエッチングして回路を形成する。この方法では、電気銅めっきを行った後、めっきレジスト剥離前に、必要に応じて、錫又はハンダめっきを行なうことができる。この場合には、形成された錫又はハンダめっき皮膜は、通常、エッチングによる回路形成後に剥離される。
【0022】
(ii)ビルドアップ工法におけるサブトラクティブ法による多層プリント配線板の製造法:
回路を形成した内層板上にビルドアップ用樹脂層を形成し、触媒を付与した後、無電解銅めっき及び電気銅めっきを順次行い、エッチングレジストにより回路パターンを形成した後、エッチングにより回路を形成する。更に、必要に応じて、ビルドアップ用樹脂層の形成以降の処理を所定の回数繰り返すことによって、多層プリント配線板を形成する。
【0023】
(iii)ビルドアップ工法におけるセミアディティブ法による多層プリント配線板の製造法:
回路を形成した内層板上にビルドアップ用樹脂層を形成し、触媒を付与した後、無電解銅めっきを行い、めっきレジストにて回路パターンを形成し、さらに電気銅めっきにより必要な部分だけにめっきを施し、次にめっきレジストを剥離し、エッチングにより回路を形成する。更に必要に応じて、ビルドアップ用樹脂層の形成以降の処理を所定の回数繰り返すことによって、多層プリント配線板を形成する。この方法では、電気銅めっきを行った後、めっきレジスト剥離前に必要に応じて、錫又はハンダめっきを行なうことができ、形成された錫又はハンダめっき皮膜は、通常、エッチングによる回路形成後に剥離される。
【0024】
(iv)積層プレス工法におけるサブトラクティブ法による多層プリント配線板の製造法:
回路を形成した内層板に外層用片面銅張板をプレスして積層し、穴開けを行った後、触媒を付与し、無電解銅めっき及び電気銅めっきを順次行い、エッチングレジストにより回路パターンを形成した後、エッチングにより回路を形成する。更に必要に応じて、外層用片面銅張板の積層以降の処理を所定の回数繰り返すことによって、多層プリント配線板を形成する。
【0025】
上記した方法の内で、上記(ii)及び(iii)として示したビルドアップ工法により多層板を製造する方法では、基板全面に樹脂が露出し、しかもこの表面が粗化されているために触媒付着量が多く、触媒残査が問題になりやすいので、特に、本発明方法を適用することが有利である。
【0026】
本発明の製造方法では、無電解めっき用触媒液として、銀塩及び銅塩から選ばれた少なくとも一種の金属塩、陰イオン界面活性剤、並びに還元剤を含有する水溶液を用いることが必要である。この様な触媒液は、従来主として用いられている触媒金属であるパラジウムと比べて安価な触媒成分である銀又は銅を含有するために低コストである。又、被メッキ物に対して触媒成分の吸着性が良好で触媒活性に優れているために均一で良好な無電解めっき皮膜を形成できる。更に、触媒成分の吸着性が良好であることから、無電解めっき液中での脱離がほとんどなく、無電解めっき液の安定性を損なうこともない。
【0027】
本発明では、この様な特定の触媒液を用い、しかも上記した特定の工程でプリント配線板を製造することによって、不要な銅皮膜をエッチングして導体回路を形成する際に、エッチングと同時に不導体表面に付着した触媒が簡単に溶解除去されるので、触媒除去のための付加的な処理を要することなく、回路間の絶縁性が良好となって、絶縁信頼性が向上する。又、回路形成後に、再度、無電解めっきを行う場合にも、触媒が除去されているので、回路間やガイド穴等の不要部分へのめっき析出を防止することができる。
【0028】
該触媒液に配合する金属塩の内で、銀塩としては、水溶性の銀化合物を用いることができる。この様な銀化合物としては、例えば、硝酸銀、シアン酸銀、過塩素酸銀、亜硫酸銀などの無機銀塩、酢酸銀、クエン酸銀、サリチル酸銀、酒石酸銀などの有機銀塩等を挙げることができる。又、銅塩としては、水溶性の銅化合物を用いることができる。この様な銅化合物としては、例えば、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、硝酸銅(II)等の無機塩、酢酸銅(II)、酒石酸銅(II)等の有機塩、銅(II)アンミン錯体、銅(II)エチレンジアミン錯体等の銅錯塩等を挙げることができる。該触媒液では、金属塩としては、上記した銀塩及び銅塩の内から、一種単独又は二種以上適宜混合して用いることができる。該触媒液では、特に、触媒活性がより良好であることから、銀塩を用いることが好ましい。
【0029】
該触媒液中の金属塩濃度は、0.01〜100ミリモル/l程度の範囲とし、好ましくは、0.5〜50ミリモル/l程度の範囲とする。金属塩の濃度が低すぎると、銀及び/又は銅からなる金属微粒子の生成量が極端に少なくなり、触媒活性が不足して良好な無電解めっき皮膜を得ることができない。一方、金属塩の濃度が高すぎると、生成した金属微粒子が凝集を起こし易くなって、触媒液が不安定となるので好ましくない。
【0030】
該触媒液には、陰イオン系界面活性剤を配合することが必要である。この様な特定の界面活性剤を用い、しかも後述する様に金属塩に対して等モルを下回る少量の還元剤を配合することによって、被めっき物に対して触媒金属である銀又は銅の吸着性が良好となり、被めっき物を均一に触媒活性化して良好な無電解めっき皮膜を形成することが可能となる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレン(P.O.E)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ラウリルリン酸、ポリオキシエチレン(P.O.E)ステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレン(P.O.E)アルキルフェニルエーテルリン酸等のリン酸エステル型、タウリン誘導体、サルコシン誘導体等を用いることができる。これらの界面活性剤の内で、特にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸等の分子内にポリオキシエチレン部分を有する陰イオン界面活性剤を用いる場合には、吸着性が特に良好になり、特に優れた触媒活性を付与できる。
【0031】
陰イオン界面活性剤の配合量は、触媒液中に0.01〜0.5重量%程度とし、好ましくは、0.05〜0.1重量%程度とする。界面活性剤量が0.01重量%より少ない場合には銀微粒子又は銅微粒子の分散安定性が低下して、凝集沈殿を起こすことがあるので好ましくない。一方、界面活性剤量が0.5重量%よりも多くなると、この金属微粒子分散液の状態に大きな影響はないが不経済である。
【0032】
還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン等のホウ素系還元剤の他、次亜リン酸ナトリウム等のリン系還元剤、ホルムアルヒド、グリオキシル酸等のアルデヒド化合物、アスコルビン酸、ヒドラジン等を用いることができる。
【0033】
還元剤の使用量は、金属塩に対して0.1〜0.8倍モルの範囲とすることが必要である。本発明によれば、この様に金属塩に対して等モルを下回る少量の還元剤を用いることによって、銀及び/又は銅からなる金属微粒子の安定性が良好となって凝集沈殿が生じ難くなり、しかも前記した陰イオン界面活性剤の使用と相まって、金属微粒子の吸着性が良好となり、被めっき物に対して良好な触媒活性を付与することが可能となる。還元剤の使用量は、金属塩に対して0.1〜0.5倍モル程度とすることがより好ましく、触媒液の安定性、触媒活性等がより良好になる。
【0034】
還元剤の使用量が上記範囲を下回ると、金属塩の還元量が不足して、触媒液中にに生成する金属微粒子の量が極端に少なくなり、良好な無電解めっき皮膜を得ることができない。還元剤量が多すぎると、金属塩の還元が進行しすぎて、金属微粒子の安定性が低下し、凝集沈殿を生じることがあるので好ましくない。
【0035】
本発明で用いる触媒液は、上記した金属塩、陰イオン界面活性剤、及び還元剤を含有する水溶液であり、各成分を配合した後、均一に撹拌することによって得ることができる。通常、金属塩及び陰イオン界面活性剤を含有する水溶液に還元剤を添加して混合撹拌する方法によって調製することが好ましく、この様にして調製した触媒液は、金属塩の一部が還元して金属微粒子となり、これが水溶液中に安定に分散したものとなる。尚、金属塩として銅塩を用い、還元剤としてアルカリ金属水素化ホウ素化合物を用いる場合には、触媒液の調製時に還元剤の還元力を良好とするためにpH9程度以上のアルカリ性の溶液として各成分を撹拌混合し、その後触媒液としての使用に適したpHに調整することが好ましい。この場合には、アルカリ性溶液中での銅塩の溶解性を良好にするために、銅塩を銅アンミン錯体、銅エチレンジアミン錯体等の錯塩として用いることが好ましい。
【0036】
本発明で用いる触媒液には、更に、必要に応じて、パラジウム塩を少量配合することができる。パラジウム塩を配合することによって、触媒活性が大きく向上して、従来の金属パラジウムを触媒金属として大量に含有する高価な触媒液と同等若しくはそれ以上の触媒活性を有するものとなる。該触媒液では、パラジウム塩は、0.01ミリモル/l程度又はそれを若干上回る程度という非常に少ない配合量で触媒活性を大きく向上させることができるので、従来のパラジウムを含有する触媒液におけるパラジウム含有量が、通常2ミリモル/l程度であることと比較すると、極めて少ない配合量でよく、パラジウムの使用によるコスト上昇は非常に小さい。パラジウム塩の配合量が多くなりすぎても触媒活性に大きな悪影響はないが、コストの上昇を考慮すれば、0.5ミリモル/l以下の配合量とすることが適当である。従って、触媒活性の向上効果を発揮させるためには、パラジウム塩の配合量は、0.01〜0.5ミリモル/l程度とすることが適当であり、0.02〜0.2ミリモル/l程度とすることが好ましい。
【0037】
パラジウム塩としては、水溶性パラジム塩を用いることができ、その例として、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム等の無機パラジウム塩、テトラアンミンパラジウム塩化物、ジエチレンジアミンパラジウム塩化物等のパラジウム錯体等を挙げることができる。
【0038】
パラジウム塩を触媒液に配合する場合には、その添加方法は特に限定されず、金属塩及び陰イオン界面活性剤と同時に水溶液中に配合し、その後還元剤を添加してもよく、或いは、既に、金属塩、陰イオン界面活性剤及び還元剤を配合して金属微粒子が分散した状態となった触媒液中にパラジウム塩を配合しても良い。
【0039】
該触媒液には、更に必要に応じて、触媒液の性質に悪影響を与えない範囲で、他の金属塩、有機化合物等を配合しても良い。
【0040】
本発明におけるプリント配線板の製造方法では、該触媒液による触媒付与処理は、通常の無電解めっき用触媒の付与と同様の方法で行えばよい。
【0041】
一般的には、常法に従って基板に対して必要な穴開けや表面調整等をした後、基板を触媒液に浸漬する方法、触媒液を基板に塗布した後乾燥する方法等を適用できるが、特に、触媒液に浸漬する方法が好ましく、この方法によれば、基板に対して簡単な操作で銀触媒を均一に付着させることができる。触媒液に浸漬する方法は、特に限定的では無く、通常、触媒液の液温を0〜80℃程度、好ましくは15〜50℃程度として、これに基板を浸漬すればよい。液温が低すぎる場合には、触媒液中の金属微粒子の凝集が生じやすく、一方液温が高すぎても、やはり触媒液の安定性が低下して凝集沈殿が生じ易くなるので好ましくない。浸漬時間については、長時間浸漬すると、金属微粒子の吸着量が増加して無電解めっきの析出性が良好になるので、使用する無電解めっき液の種類、被めっき物の種類などに応じて、適宜必要な浸漬時間を決めればよい。通常は、30秒〜10分程度の範囲の浸漬時間とすればよい。触媒液のpHについては、1〜7程度とすることが好ましく、2〜5程度とすることがより好ましい。pHが低すぎると、界面活性剤の溶解度の低下によって、触媒液の安定性が低下して凝集沈殿が生じやすくなり、一方、pHが高すぎると、分散安定性が極端に良好になって、触媒の吸着量が低下して無電解めっきの析出性が低下するので好ましくない。
【0042】
本発明方法では、上記した特定の触媒液を用いて触媒を付与する処理以外の処理工程については、従来のプリント配線板の製造方法と同様とすればよい。例えば、無電解めっき及び電気めっきについては、使用するめっき液の種類及びめっき条件は、その製造工程に応じて常法に従えばよく、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、光沢剤種、水素イオン濃度等は特に限定されない。通常は、プリント配線板に導電性を付与するためには、無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解銅めっき液、無電解ニッケルめっき液などを用いることができる。又、電気めっきとしても、公知の硫酸銅めっき液、ピロリン酸銅めっき液、電気ニッケルめっき液などを用いて、常法に従って電気めっきを行えばよい。
【0043】
本発明方法は、電気めっきを行った後に、不要部分のめっき金属をエッチングして金属回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法に適用できるが、金属回路形成に用いるエッチング液としても、従来からプリント配線板の製造において、金属皮膜の不要部分を除去して回路を形成する目的で用いられている公知のエッチング液をいずれも用いることができる。この様なエッチング液の代表例としては、酸性銅エッチング液、銅−アンモニアエッチング液、硫酸−過酸化水素エッチング液、塩化鉄(III)エッチング液、過硫酸ナトリウムエッチング液、過硫酸アンモニウムエッチング液等を用いることができる。これらのエッチング液の代表的な組成及びエッチング条件を以下に示すが、その濃度や使用温度等については、この範囲に限定されるものではなく、また、エッチング液の性能や寿命等を向上させるために、各種の添加物を配合することもできる。
【0044】
本発明方法では、上記した以外の各処理工程、例えば、脱脂、エッチング、表面調整、酸活性、防錆処理、ハンダめっき、錫めっき等の各処理についても、処理液及び処理条件ともに従来法と同様でよい。また各処理後の水洗に関しても、特殊な方法は必要ではなく、従来法と同様に、浸漬水洗、シャワー水洗等を使用することができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明方法によれば、以下の様な顕著な効果が奏される。
【0046】
(1)使用する触媒液は、主として比較的安価な銀塩または銅塩を触媒成分として含有するために低コストである。また、該触媒液は、被メッキ物に対する吸着性が良好で触媒活性に優れているために、均一で良好な無電解めっき皮膜を形成できる。更に、無電解めっき液中での触媒成分の脱離がほとんどなく、無電解めっき液の安定性を損なうこともない。
【0047】
(2)被処理物を触媒液に浸漬するだけで簡単に触媒金属を付与できるので、従来の錫−パラジウム水溶性懸濁触媒液を用いた場合に必要となる錫の除去処理やパラジウム−アミノ系錯化剤触媒を用いた場合に必要となるパラジウムイオンの還元処理が不要となり、処理工程が簡略化される。
【0048】
(3)金属回路の形成に用いるエッチング液に触媒金属が容易に溶解するので、エッチング処理を行うだけで触媒金属が溶解除去されて、絶縁信頼性の良好な基板が得られる。また、回路形成後に無電解めっきを行なう場合にも、パターン外析出を防止できる。このため、絶縁特性の低下を防ぐために触媒液の濃度や浸漬時間を調整して触媒の付与量を低下させる必要がなく、又、無電解めっき皮膜の未析出、導通不良等を防止できる。更に、金属回路形成後に薬品による触媒金属の除去や不導体層のエッチングによる触媒金属の除去が不要である。
【0049】
本発明方法は、上記の様な優れた特徴を有するものであり、この方法によれば、優れた絶縁特性を有するプリント配線板を簡単に製造できる。特に、ビルドアップ工法により多層プリント配線板を製造する方法では、基板全面に樹脂が露出し、しかもこの表面が粗化されているために、触媒付着量が多く触媒残査が問題になり易いが、本発明方法によれば、簡単な工程で絶縁信頼性に優れたビルドアップ工法による多層プリント配線板を製造することができる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0051】
製造例1
硫酸銀10mmolを純水800mlに溶解し、この溶液中に、ポリオキシエチレン(P.O.E)ステアリルエーテルリン酸500mgとジメチルアミンボラン5mmolを含む水溶液50mlを激しく撹拌しながら添加した。溶液の色が赤褐色に急変したところで、硝酸パラジウムを0.02mmol含む水溶液50mlを添加した。その結果、均一で赤褐色透明な銀微粒子分散液1000mlが得られた。得られた分散液を触媒1とする。
【0052】
製造例2
硫酸銅10mmolを純水750mlに溶解し、この溶液中にアンモニア水をpH10になるまで加えた。溶液が銅アンミン錯体の透明な濃藍色に変化したところでステアリル硫酸ナトリウム1gと水素化ホウ素ナトリウム2.5mmolを含む水溶液50mlを激しく攪拌しながら添加した。溶液の色が黒褐色に急変したところで硫酸を用いてpH3に調整し、塩化パラジウムを0.05mmolを含む水溶液50mlを添加した後、純水を添加して1000mlとした。その結果、均一で褐色透明な銅微粒子分散液1000mlが得られた。この分散液を触媒2とする。
【0053】
製造例3
下記の配合の錫−パラジウム水溶性懸濁液を調製した。これを触媒3とする。
【0054】
【0055】
実施例1
5×10cmのエポキシ板、及び該エポキシ板上にビルドアップ基板用エポキシ樹脂を塗布した基板のそれぞれを試験片とし、上記触媒1〜3のそれぞれを用いて、25℃の触媒液中に各試験片を5分間浸漬して触媒を付与した。尚、触媒3については、触媒付与後、活性化処理として、奥野製薬工業(株)製、OPC−555アクセレーター100ml/l溶液中に25℃で5分間浸漬した。次いで、無電解銅めっき液(奥野製薬工業(株)製、ビルドカッパー−Mu200ml/l、ビルドカッパー−1 30ml/l及びビルドカッパー−2 15ml/l水溶液)を用いて、45℃で30分間無電解銅めっきを行い、その後、硫酸銅めっき液(硫酸銅5水和物70g/l、98%硫酸200g/l及び奥野製薬工業(株)製、トップルチナ81−HL2.5ml/l)を用いて、25℃の液温で3A/dm2で30分間電気銅めっきを行なった。
【0056】
次いで、これらの各試験片について、下記組成の酸性塩化銅エッチング液、銅−アンモニアエッチング液、硫酸−過酸化水素エッチング液の3種のエッチング液を用いて下記の条件で銅めっき皮膜をエッチングした。無電解銅めっき前の触媒金属の付着量及びエッチング後の触媒残存量を測定した結果を下記表1及び表2に示す。触媒金属量は、触媒1を用いた場合には62%硝酸に試験片を浸漬し、触媒2及び触媒3を用いた場合には王水(濃硝酸1:濃塩酸3)に試験片を浸漬して触媒金属を溶解させて、原子吸光分析法により測定した。
【0057】
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
以上の結果から明らかなように、触媒1〜3を用いた場合には、いずれの場合にも触媒金属の吸着量はほぼ同程度あり、無電解銅めっき析出に何ら問題ない量の触媒が吸着した。また銅エッチング後には、触媒1及び触媒2を用いた場合には、いずれも全く触媒が残存しないのに対して、錫−パラジウム水溶性懸濁液触媒である触媒3を用いた場合には、無電解めっき前の触媒吸着量の25〜50%程度が残存した。
【0061】
実施例2
下記の工程による、ビルドアップ工法におけるサブトラクティブ法によって、回路幅100μm、回路間100μmの櫛歯パターンを有する多層板を作製した。工法の主要部分についての模式図を図1に示す。各処理についての処理液組成及び処理条件を下記表3に示す。
【0062】
ビルドアップ工法におけるサブトラクティブ法による作製工程
1.内層板穴明け
内層板として、両面銅張りエポキシ基板を使用。
【0063】
2.表面調整
表面調整剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−380コンディクリーンM を使用。
【0064】
3.触媒付与
上記触媒1〜3を使用し、25℃の触媒液中に5分間浸漬。触媒3を用いた場合には、更に、活性化剤(奥野製薬工業(株)製、OPC−555アクセレーターM)用いて錫を除去。
【0065】
4.無電解めっき(内層板スルーホールめっき)
無電解銅めっき液として、奥野製薬工業(株)製、ビルドカッパーを使用。
【0066】
5.電気めっき(内層板スルーホールめっき)
光沢剤として奥野製薬工業(株)製、トップルチナ81−HLを含有する電気銅めっき液を使用。
【0067】
6.エッチングレジストによるパターン形成
エッチングレジストとして、奥野製薬工業(株)製、フォトマールETを使用。
【0068】
7.内層板銅箔エッチング(内層板回路形成)
実施例1における銅−アンモニアエッチング液を用いて、実施例1と同様の条件でエッチング。
【0069】
8.レジスト剥離
水酸化ナトリウムを使用。
【0070】
9.樹脂層形成
ビルドアップ用エポキシ樹脂(日本ペイント製、プロビコート−5000)を使用。
【0071】
10.樹脂エッチング
樹脂エッチング液として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1200エポエッチを使用。
【0072】
11.中和
中和剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1300ニュートライザーを使用。
【0073】
12.表面調整
表面調整剤として、奥野製薬工業(株)製、 OPC−380コンディクリーンM を使用。
【0074】
13.ソフトエッチング
ソフトエッチング剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−400ソフトエッチを使用。
【0075】
14.スマット除去
希硫酸を使用。
【0076】
15.触媒付与
工程3.と同様。
【0077】
16.無電解めっき
工程4.と同様。
【0078】
17.電気メッキ
工程5.と同様。
【0079】
18.レジストによるパターン形成
工程6.と同様。
【0080】
19.めっき皮膜エッチング(回路形成)
工程7.と同様。
【0081】
20.レジスト剥離
工程8.と同様。
【0082】
【表3】
【0083】
この様な方法で得られた櫛歯パターンを有する多層板を、恒温、恒湿(85℃、85%)に保たれた恒温槽内に置いて、一定電圧(24V)を印加した状態で放置した。500時間経過した後、絶縁抵抗値を測定した。結果を下記表4に示す。
【0084】
又、この様にして得られた多層基板に、下記の条件で無電解めっきを行い、不要部分への析出性確認として、パターン外析出及びガイド穴への無電解ニッケルめっき皮膜の析出を確認した。結果を下記表4に示す。
【0085】
尚、ガイド穴は、内層板の4角に開けた直径5mmの穴であり、工程1の内層板穴明けと同時に形成し、工程9の樹脂層形成時に樹脂で塞がれないようにした。
【0086】
【0087】
【表4】
【0088】
以上の結果から明らかなように、触媒1及び2を用いた場合には、多層基板における櫛歯パターンの絶縁抵抗値が非常に高く良好な絶縁性を示したのに対して、錫−パラジウム水溶性懸濁液触媒である触媒3を用いた場合には、触媒1及び2を用いた場合と比べて、絶縁抵抗値が非常に低く絶縁性に劣るものとなった。
【0089】
又、無電解ニッケルめっきの不必要部分へのめっき析出性についても、触媒3を用いて作製された基板ではパターン外析出がほぼ全面に生じたのに対して、触媒1及び触媒2を用いた場合には、パターン外析出は全く生じなかった。
【0090】
これらの結果から、触媒1及び2を用いて得られた基板では、回路形成時の銅のエッチングにより、不要部分の触媒が完全に除去されるのに対して、触媒3を用いた場合には、エッチング後にもパターン間等に触媒残渣が存在しており、これが、絶縁性の低下やパターン外析出の原因となったともの考えられる。
【0091】
実施例3
下記の工程によるビルドアップ工法におけるセミアディティブ法によって、回路幅100μm、回路間100μmの櫛歯パターンを有する多層板を作製した。工法の主要部分についての模式図を図2に示す。各処理についての処理液組成及び処理条件は、上記表3に示した通りである。
【0092】
ビルドアップ工法におけるセミアディティブ法による作製工程
1.内層板穴明け
内層板として、両面銅張りエポキシ基板を使用。
【0093】
2.表面調整
表面調整剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−380コンディクリーンM を使用。
【0094】
3.触媒付与
上記触媒1〜3を使用し、25℃の触媒液中に5分間浸漬。触媒3を用いた場合には、更に、活性化剤(奥野製薬工業(株)製、OPC−555アクセレーターM)用いて錫を除去。
【0095】
4.無電解めっき(内層板スルーホールめっき)
無電解銅めっき液として、奥野製薬工業(株)製、ビルドカッパーを使用。
【0096】
5.電気めっき(内層板スルーホールめっき)
光沢剤として奥野製薬工業(株)製、トップルチナ81−HLを含有する電気銅めっき液を使用。
【0097】
6.エッチングレジストによるパターン形成
エッチングレジストとして、奥野製薬工業(株)製、フォトマールETを使用。
【0098】
7.内層板銅箔エッチング(内層板回路形成)
実施例1における銅−アンモニアエッチング液を用いて、実施例1と同様の条件でエッチング。
【0099】
8.レジスト剥離
水酸化ナトリウムを使用。
【0100】
9.樹脂層形成
ビルドアップ用エポキシ樹脂(日本ペイント製、プロビコート−5000)を使用。
【0101】
10.樹脂エッチング
樹脂エッチング液として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1200エポエッチを使用。
【0102】
11.中和
中和剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1300ニュートライザーを使用。
【0103】
12.表面調整
表面調整剤として、奥野製薬工業(株)製、 OPC−380コンディクリーンM を使用。
【0104】
13.ソフトエッチング
ソフトエッチング剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−400ソフトエッチを使用。
【0105】
14.スマット除去
希硫酸を使用。
【0106】
15.触媒付与
工程3.と同様。
【0107】
16.無電解めっき
工程4.と同様。
【0108】
17.めっきレジストによるパターン形成
めっきレジストとして、奥野製薬工業(株)製、フォトマールMTを使用。
【0109】
18.電気メッキ
工程5.と同様。
【0110】
19.レジスト除去
工程8.と同様。
【0111】
20.無電解めっき皮膜エッチング(回路形成)
工程7と同様。
【0112】
この様な方法で得られた櫛歯パターンを有する多層板について、実施例2と同様にして、絶縁抵抗値及び不要部分への析出性を確認した。結果を下記表5に示す。
【0113】
【表5】
【0114】
以上の結果から明らかなように、実施例2と同様に、触媒1及び2を用いた場合には、得られた多層板は絶縁性が良好であり、パターン外析出も全く生じることがなかった。これから、回路形成時の銅エッチングにより、不要部分の触媒が完全に除去されたことが判る。
【0115】
更に、上記各多層板について、下記の条件でオイルディップによる熱サイクル試験を行なった。この試験は、高温槽及び低温層に交互に浸漬することを1サイクルとして、100サイクル繰り返して行った。熱サイクル試験前と100サイクル後に基板回路間の電気抵抗値を測定して、熱サイクルに対する耐久性を求めるた。結果を下記表6に示す。
【0116】
熱サイクル試験条件
高温槽浸漬時間 5秒
高温槽浸漬温度 260℃
低温槽浸漬時間 20秒
低温槽浸漬温度 20℃
サイクル数 100サイクル
【0117】
【表6】
【0118】
以上の結果から明らかなように、錫−パラジウム水溶性懸濁液である触媒3を用いて製造したプリント回路基板と、触媒1及び2を用いて製造したプリント基板とでは、熱サイクル試験における耐久性に大差はなかった。これから、触媒1及び触媒2を用いて製造したそれぞれのプリント基板は、樹脂−金属間及び金属−金属間の密着性や基板の物性については、従来の錫−パラジウム水溶性懸濁液を用いて製造したプリント基板と同等であることが判る。
【0119】
実施例4
下記の工程による積層プレス工法(サブトラクティブ法)によって、回路幅100μm、回路間100μmの櫛歯パターンを有する多層板を作製した。工法の主要部分についての模式図を図3に示す。各処理についての処理液組成及び処理条件は、上記表3及び下記表7に示す通りである。
【0120】
積層プレス工法による作製工程
1.エッチングレジストによる内層板パターン形成(内層板イメージング)
内層板として、両面銅張りエポキシ基板を使用し、エッチングレジストとして、奥野製薬工業(株)製、フォトマールETを使用。
【0121】
2.内層板銅箔エッチング(内層板回路形成)
実施例1における銅−アンモニアエッチング液を用いて、実施例1と同様の条件でエッチング。
【0122】
3.レジスト剥離
水酸化ナトリウムを使用。
【0123】
4.多層プレス積層
片面銅張りエポキシ基板を使用。
【0124】
5.穴明け(ドリリング)
6.樹脂残渣膨潤
膨潤剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1050コンディショナーを使用。
【0125】
7.樹脂残渣除去
除去剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1200エポエッチを使用。
【0126】
8.中和
中和剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−1300ニュートライザーを使用。
【0127】
9.表面調整
表面調整剤として、奥野製薬工業(株)製、 OPC−380コンディクリーンM を使用。
【0128】
10.ソフトエッチング
ソフトエッチング剤として、奥野製薬工業(株)製、OPC−400ソフトエッチを使用。
【0129】
11.スマット除去
希硫酸を使用。
【0130】
12.触媒付与
上記触媒1〜3を使用し、25℃の触媒液中に5分間浸漬。触媒3を用いた場合には、更に、活性化剤(奥野製薬工業(株)製、OPC−555アクセレーターM)用いて錫を除去。
【0131】
13.無電解めっき(スルーホールめっき)
無電解銅めっき液として、奥野製薬工業(株)製、OPC−750無電解銅Mを使用。
【0132】
14.電気めっき(スルーホールめっき)
光沢剤として奥野製薬工業(株)製、トップルチナ81−HLを含有する電気めっき液を使用。
【0133】
15.めっきレジストによるネガパターン形成
めっきレジストとして、奥野製薬工業(株)製、フォトマールMTを使用。
【0134】
16.はんだめっきによるパターン形成
はんだめっき液として、奥野製薬工業(株)製、トップティーナ NFを使用。
【0135】
17.レジスト剥離
水酸化ナトリウムを使用。
【0136】
18.銅皮膜エッチング
実施例1における銅−アンモニアエッチング液を用いて、実施例1と同様の条件でエッチング。
【0137】
19.はんだめっき剥離
はんだ剥離剤として、奥野製薬工業(株)製、トップリップLT−2を使用。
【0138】
【表7】
【0139】
この様な方法で得られた櫛歯パターンを有する多層板について、実施例2と同様にして、絶縁抵抗値及び不要部分への析出性を確認した。結果を下記表8に示す。
【0140】
【表8】
【0141】
この結果から明らかなように、触媒1及び触媒2を用いた場合には、ガイド穴に無電解めっきが全く析出しないのに対して、パラジウムを含む触媒3を用いた場合には、エッチング後にもガイド穴に触媒が残留するので、ガイド穴への無電解ニッケルめっきの析出が生じた。尚、積層プレス工法では、銅張り基板を積層した後銅皮膜をエッチングして回路を形成するので、回路間に触媒が残留することがなく、触媒1〜3のいずれを用いた場合にも、絶縁性が良好で回路間にパターン外析出することはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビルドアップ工法におけるサブトラクティブ法による多層板製造工程の主要部分を示す模式図。
【図2】ビルドアップ工法におけるセミアディティブ法による多層板製造工程の主要部分を示す模式図。
【図3】積層プレス工法におけるサブトラクティブ法による多層板製造工程の主要部分を示す模式図。
Claims (6)
- 不導体表面上に無電解めっき用触媒を付与し、無電解めっきを行ない、電気銅めっきを行った後、エッチングにより回路を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法において、無電解めっき用触媒を付与するための触媒液として、銀塩及び銅塩から選ばれた少なくとも一種の金属塩、陰イオン界面活性剤、並びに還元剤を含有する水溶液を用いることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
- 触媒液が、銀塩及び銅塩から選ばれた少なくとも一種の金属塩0.01〜100ミリモル/l、陰イオン界面活性剤0.01〜0.5重量%、並びに金属塩に対して0.1〜0.8倍モルの還元剤を含有する水溶液である請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
- 触媒液が、銀塩及び銅塩から選ばれた少なくとも一種の金属塩、並びに陰イオン界面活性剤を含有する水溶液に、還元剤を添加し混合して得られたものである請求項1又は2に記載の方法。
- 触媒液が、更に、パラジウム塩を0.01〜0.5ミリモル/l含有するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
- 回路を形成した内層板上にビルドアップ用樹脂層を形成し、触媒を付与した後、無電解銅めっき及び電気銅めっきを順次行い、エッチングレジストにより回路パターンを形成した後、エッチングにより回路を形成し、更に、より多層化する場合には、ビルドアップ用樹脂層の形成以降の処理を所定回数繰り返すことにより多層プリント配線板を製造する請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
- 回路を形成した内層板上にビルドアップ用樹脂層を形成し、触媒を付与した後、無電解銅めっきを行い、めっきレジストにて回路パターンを形成し、さらに電気銅めっきを施し、次いで、錫若しくはハンダめっきを行なうか又は行うことなく、めっきレジストを剥離し、エッチングにより回路を形成し、錫若しくはハンダめっきを行った場合には形成されためっき皮膜を剥離し、更に、より多層化する場合には、ビルドアップ用樹脂層の形成以降の処理を所定回数繰り返すことにより多層プリント配線板を製造する請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3203297A JP3890542B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | プリント配線板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3203297A JP3890542B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | プリント配線板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10229280A JPH10229280A (ja) | 1998-08-25 |
JP3890542B2 true JP3890542B2 (ja) | 2007-03-07 |
Family
ID=12347540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3203297A Expired - Lifetime JP3890542B2 (ja) | 1997-02-17 | 1997-02-17 | プリント配線板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3890542B2 (ja) |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4508380B2 (ja) * | 2000-08-23 | 2010-07-21 | イビデン株式会社 | 多層プリント配線板の製造方法 |
JP4670065B2 (ja) * | 2001-05-15 | 2011-04-13 | 奥野製薬工業株式会社 | ブラインドバイアホールを有する配線基板への無電解銅めっき方法 |
JP4843164B2 (ja) * | 2001-08-21 | 2011-12-21 | 日本リーロナール有限会社 | 銅−樹脂複合材料の形成方法 |
JP3881614B2 (ja) | 2002-05-20 | 2007-02-14 | 株式会社大和化成研究所 | 回路パターン形成方法 |
US7166152B2 (en) | 2002-08-23 | 2007-01-23 | Daiwa Fine Chemicals Co., Ltd. | Pretreatment solution for providing catalyst for electroless plating, pretreatment method using the solution, and electroless plated film and/or plated object produced by use of the method |
JP4865381B2 (ja) * | 2006-03-30 | 2012-02-01 | 古河電気工業株式会社 | フィルム金属積層体、その製造方法、前記フィルム金属積層体を用いた回路基板、および前記回路基板の製造方法 |
JP2013008961A (ja) * | 2011-05-24 | 2013-01-10 | Fujifilm Corp | プリント配線基板、および、プリント配線基板を選択する方法 |
EP2610365B1 (en) | 2011-12-31 | 2020-02-26 | Rohm and Haas Electronic Materials LLC | Electroless plating method |
EP2610366A3 (en) | 2011-12-31 | 2014-07-30 | Rohm and Haas Electronic Materials LLC | Plating catalyst and method |
JP5648232B1 (ja) | 2013-06-21 | 2015-01-07 | Dic株式会社 | 無電解めっき用触媒、これを用いた金属皮膜及びその製造方法 |
JP6209770B2 (ja) | 2015-02-19 | 2017-10-11 | 石原ケミカル株式会社 | 無電解銅メッキ用の銅コロイド触媒液並びに無電解銅メッキ方法 |
CN106325629B (zh) * | 2015-07-06 | 2024-01-02 | 湖州胜僖电子科技有限公司 | 一种优化化学镀金析出的ito走线设计方法 |
JP6343787B1 (ja) | 2017-06-01 | 2018-06-20 | 石原ケミカル株式会社 | 無電解銅メッキ用の銅コロイド触媒液並びに無電解銅メッキ方法 |
-
1997
- 1997-02-17 JP JP3203297A patent/JP3890542B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10229280A (ja) | 1998-08-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3009326B2 (ja) | 不導性基材に金属被覆を適用するための方法 | |
CN109628915B (zh) | 稳定的化学镀铜组合物和在衬底上化学镀铜的方法 | |
JP3890542B2 (ja) | プリント配線板の製造方法 | |
US5376248A (en) | Direct metallization process | |
TWI629374B (zh) | 無電極電鍍的方法 | |
JP2002252445A (ja) | 印刷配線板の製造方法 | |
EP2818242B1 (en) | Method for electroless metallization using catalysts containing allantoin | |
JP3337802B2 (ja) | 酸化銅(i)コロイドの金属化によるダイレクトプレーティング方法 | |
EP0007577B1 (en) | Method of improving the adhesion of electroless metal deposits | |
TWI614372B (zh) | 無電極電鍍的方法 | |
JP6687695B2 (ja) | 安定した無電解銅めっき組成物及び基板上に銅を無電解めっきするための方法 | |
US5770032A (en) | Metallizing process | |
JP5004336B2 (ja) | 無電解めっき法で用いる触媒溶液及びその触媒溶液を用いた無電解めっき法並びにその無電解めっき法を用いて金属皮膜を形成した被めっき物 | |
KR20140019174A (ko) | 인쇄회로기판의 제조방법 | |
JPH01225390A (ja) | 電気伝導性板の製造法 | |
US5792248A (en) | Sensitizing solution | |
JP2000178752A (ja) | 無電解メッキ用パラジウム触媒除去剤 | |
JPH11256349A (ja) | 樹脂基材への高密着性めっき方法およびこれに用いる銅めっき液 | |
JP2648729B2 (ja) | 無電解銅めっき液および無電解銅めっき方法 | |
US20220267906A1 (en) | Solution and process for the activation of nonconductive area for electroless process | |
TWI780602B (zh) | 用於化學電鍍處理非導電區域的活化溶液及方法 | |
GB2253415A (en) | Selective process for printed circuit board manufacturing employing noble metal oxide catalyst. | |
US20230235461A1 (en) | Solution and process for the activation of nonconductive area for electroless process | |
JP3325236B2 (ja) | 無電解銅めっき方法 | |
US6524490B1 (en) | Method for electroless copper deposition using a hypophosphite reducing agent |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060418 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060426 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061115 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061124 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101215 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111215 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111215 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121215 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131215 Year of fee payment: 7 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |