JPH11217644A - ガスタービン用燃焼器ライナおよびその製造方法 - Google Patents

ガスタービン用燃焼器ライナおよびその製造方法

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JPH11217644A
JPH11217644A JP10020072A JP2007298A JPH11217644A JP H11217644 A JPH11217644 A JP H11217644A JP 10020072 A JP10020072 A JP 10020072A JP 2007298 A JP2007298 A JP 2007298A JP H11217644 A JPH11217644 A JP H11217644A
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JP
Japan
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combustor liner
gas turbine
manufacturing
less
casting
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JP10020072A
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English (en)
Inventor
Takahiro Hamada
孝浩 浜田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳造処理を施した後、鍛造処理などの加熱塑性
加工を施すことにより、従来の精鋳合金製の燃焼器ライ
ナよりも高温強度に優れ、かつ時効に伴う組織変化の生
じにくいガスタービン用燃焼器ライナおよびその製造方
法を提供する。 【解決手段】ガスタービン用燃焼器ライナ14は、重量
%で、Cr:18.0〜25.0%、Co:17.0〜
23.0%、MoおよびWの少なくとも1種:10.0
%以下、Al:0.01〜3.0%、Ti:2.0%以
下、Ta:2.0%以下、Nb:2.0%以下、Hf:
0.5%以下、C:0.5%以下の元素を含有し、残部
がNi基および不可避的不純物から成ることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービン燃焼
器の燃焼室を形成する中空円筒状の燃焼器ライナおよび
その製造方法に関する技術であり、高温強度に優れ、時
効に伴う組織変化の生じにくいガスタービン燃焼器ライ
ナとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電用ガスタービンはエネルギー資源の
有効利用の点から、ガスタービンの高効率化への研究開
発が積極的に行われている。ガスタービンは、燃焼器出
口ガス温度が高いほど発電効率が向上するため、ガスタ
ービン入口温度の高温化が推進されている。しかし、ガ
スタービンを構成する高温部品用材料にとっては、極め
て過酷な環境となっており、高温における強度低下や、
著しい高温腐食および高温酸化が問題となっている。
【0003】従来の1100〜1300℃級ガスタービ
ンでは、燃焼器ライナ基材温度が約550〜650℃と
なっていた。将来的には高温化が一層進み、1500℃
超級ガスタービンでは、燃焼器ライナ基材温度が約85
0〜950℃に達すると予測されており、燃焼器ライナ
材料として、850〜950℃での耐熱性を有する材料
が求められている。
【0004】従来の燃焼器ライナ用材料としては、圧延
材でありNi基を主成分とするHastelloy−X
およびCo基を主成分とするHS188などが適用され
てきた。しかしこれらの圧延材料では、850〜950
℃の高温度域における高温強度は低く、将来的な燃焼器
ライナ材料としての適用は非常に難しかった。
【0005】一方、例えば、AlとTiとを添加するこ
とにより、Ni(Al,Ti)などのγ′相の析出に
よる析出強化型の精鋳合金では、上記の圧延材料よりも
耐熱性に優れているが、燃焼器ライナ形状への加工およ
び溶接接合が難しく、燃焼器ライナへの適用は困難であ
った。
【0006】そこで例えば、特開平9−78205号公
報等に掲載されているように、鋳造法を利用して燃焼器
ライナを製造するという方法が提案されている。
【0007】図19は従来法による燃焼器ライナの製造
方法を示す図である。
【0008】図19(a)に示すように、まず、回転す
る中空円筒状の鋳型1にNi基あるいはCo基を主成分
とする合金溶湯2を鋳込み、図19(b)に示す燃焼器
ライナ形状の鋳造品3を作製する。その後、図19
(c)に示すように、鋳造品3に対して機械加工による
仕上げを行い、精鋳合金製燃焼器ライナ4を作製する。
【0009】上記の方法により、耐熱性には優れている
が、ライナ形状への加工が困難であった精鋳合金の適用
が可能となり、耐熱性に優れた燃焼器ライナの製造が可
能となった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図19
に示した従来の燃焼器ライナの製造方法により製造され
た燃焼器ライナ4は、なお高温強度が低く、時効に伴う
組織変化が起こりやすいことが明らかとなっている。
【0011】まず精鋳合金製ライナ4では、中空円筒状
の鋳型1における壁側と中心部とでは冷却速度が異なる
ことから、結晶粒組織が不均一になることから強度にば
らつきが生じていた。
【0012】図20は、鋳造法により製造した精鋳後の
合金組織を示す図である。
【0013】図20に示すように、鋳造法では、凝固時
に結晶粒5が大きくなり易いため、十分な高温強度が得
られない。また、析出強化の役割を果たすM23
炭化物6(MはCr、MoもしくはW)が粒界に、ま
た、MC型炭化物7(MはTi、NbもしくはTa)が
粒内および粒界に析出し、これらの炭化物が凝固時に粗
大化し易いことから、鋳造法による精鋳合金では十分な
高温強度を得ることができない。
【0014】図21は、精鋳合金を850℃で100時
間加熱した後の組織を示す図である。
【0015】図21に示すように、加熱後の精鋳合金の
組織には、加熱前には見られなかった線状の脆化相(T
CP相)8が、結晶粒界付近に出現することが明らかで
ある。これらの脆化相8は、延性低下を引き起こすとと
もに、クラックの起点となり易いことから、強度低下を
引き起こす大きな要因となる。
【0016】本発明は、このような課題に対処するため
になされたものであり、鋳造処理を施した後、鍛造処理
などの熱間塑性加工を施すことにより、結晶粒組織を均
一かつ微細化して、また、結晶粒内および結晶粒界に析
出する炭化物を分散させることにより脆化相の出現を防
止し、従来の燃焼器ライナよりも高温強度に優れるとと
もに、時効に伴う組織変化の生じにくいガスタービン用
燃焼器ライナおよびその製造方法を提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のガスター
ビン用燃焼器ライナは、重量%で、Cr:18.0〜2
5.0%、Co:17.0〜23.0%、MoおよびW
の少なくとも1種:10.0%以下、Al:0.01〜
3.0%、Ti:2.0%以下、Ta:2.0%以下、
Nb:2.0%以下、Hf:0.5%以下、C:0.5
%以下の元素を含有し、残部がNi基および不可避的不
純物から成ることを特徴とする。
【0018】本発明において、ガスタービン燃焼器ライ
ナの組成範囲を限定する理由について、各元素毎に説明
する。なお、以下の説明において組成を表す%は、特に
断らない限り重量%とする。
【0019】Cr(クロム)は耐酸化性および耐食性を
向上させるのに必要不可欠な元素である。本発明におい
て、Crの含有量を18.0〜25.0%と規定した
が、その含有量が18.0%未満では十分な高温耐食性
が確保できず、また、含有量が25.0%を超えると、
延性および靭性が劣化するためである。
【0020】Co(コバルト)は固溶強化に寄与すると
ともに、高温耐食性を向上させる特性も備える元素であ
る。Coの含有量を17.0〜23.0%と規定した
が、その含有量が17.0%未満では十分な高温耐食性
が確保できず、また含有量が23.0%を超えると、高
温強度が低下するためである。
【0021】W(タングステン)は固溶強化元素として
非常に有効な元素である。本発明においては、Wの含有
量を10.0%以下と規定したが、Wの含有量を多くす
ると、靭性および加熱脆化特性が著しく低下するためで
ある。また、Mo(モリブデン)についてもWと同様の
効果が得られることから、Wの代わりにMoを10.0
%以下、もしくはWとMoとの両者をあわせて含有量を
10%以下としてもよい。
【0022】Al(アルミニウム)とTi(チタン)
は、γ′相形成元素として強度の向上に非常に有効な元
素である。しかし、Alが含有されない場合にはγ′相
が形成されないことから、Alの含有量は0.01%以
上は必要である。また、AlおよびTiの含有量を多く
すると、溶接性が低下することから、本発明において
は、Alの含有量を0.01〜3.0%、Ti含有量を
2.0%以下と規定した。
【0023】Ta(タンタル)とNb(ニオブ)とは固
溶強化元素として非常に有効な元素である。しかし、T
aの含有量が2.0%を超えると、靭性および加熱脆化
特性が著しく低下することから、Taの含有量を2.0
%以下と規定した。またNbの含有量が2.0%を超え
ると、耐酸化性が著しく劣化することから、Nbの含有
量を2.0%以下と規定した。
【0024】Hf(ハフニウム)は長時間組織安定性お
よび耐酸化性を向上させる特性を有する元素である。本
発明においては、Hfの含有量を0.5%以下と規定し
たが、その含有量が0.5%を超えると、合金の溶体化
処理が難しくなるためである。
【0025】C(炭素)は粒界強化元素であるととも
に、組織を安定化する役割を果たす元素である。Cの含
有量を0.5%以下と規定したが、Cの含有量が0.5
%を超えると、靭性および加工性が著しく劣化するため
である。
【0026】請求項2記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナは、重量%で、Cr:15.0〜35.0%、Ni:
5.0〜30.0%、W:20.0%以下、Ta:5.
0%以下、Ti:2.0%以下、C:1.0%以下の元
素を含有し、残部がCo基および不可避的不純物から成
ることを特徴とする。
【0027】本発明において、ガスタービン燃焼器ライ
ナの組成範囲を限定する理由について、各元素毎に説明
する。なお、以下の説明においも組成を表す%は、特に
断らない限り重量%とする。
【0028】Crは耐酸化性および耐食性を向上させる
のに必要不可欠な元素である。本発明において、Crの
含有量を18.0〜25.0%と規定したが、Crの含
有量が18.0%未満では十分な高温耐食性が確保でき
ない。一方、含有量が25.0%を超えると、延性およ
び靭性が劣化するためである。
【0029】Ni(ニッケル)はマトリクスを安定化さ
せるのに必要不可欠な元素である。Niの含有量を5.
0〜30.0%と規定したが、その含有量が5.0%未
満では十分な効果が期待できず、一方、Niの含有量が
30.0%を超えると、高温強度および耐食性が著しく
低下するためである。
【0030】W、TiおよびTaは、炭化物形成元素と
して強度の向上に有効な元素である。Wの含有量を2
0.0%以下と規定したが、Wの含有量を多くすると、
靭性が著しく低下するためである。また、TiおよびT
aの含有量を多くすると、溶接性が低下することから、
Taの含有量を5.0%以下、またTiの含有量を2.
0%以下と規定した。
【0031】Cは粒界強化元素であるとともに、組織を
安定化する役割を果たす元素である。本発明において、
Cの含有量を1.0%以下と規定したが、Cの含有量が
1.0%を超えると、靭性および加工性が著しく劣化す
るためである。
【0032】請求項3記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、ガスタービン燃焼器の燃焼室を形成す
る円筒状の燃焼器ライナの製造方法において、Ni基ま
たはCo基のいずれかを主成分とする合金材料を用いて
鋳造法により円筒状に鋼塊を溶製した後、前記溶製品に
熱間塑性加工を施して前記溶製品に発生した鋳造組織を
破壊することを特徴とする。
【0033】本発明において、鋳造処理の後、熱間塑性
加工を施すことにより、鋳造処理後に発生した粗大柱状
晶を破壊して、結晶粒を均一かつ微細化することができ
る。また鍛造処理により、結晶粒内および粒界に析出す
る炭化物を分散させることが可能であり、高温強度に優
れるとともに、時効に伴う組織変化が生じにくい燃焼器
ライナを得ることができる。
【0034】請求項4記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、請求項3記載のガスタービン用燃焼器
ライナの製造方法において、鋳造法として、遠心鋳造法
を用いて中空円筒状の鋼塊を溶製することを特徴とす
る。
【0035】本発明において、鋳造法として、高速回転
する鋳型に溶融金属を注入して固化させる遠心鋳造法を
用いることにより、鋳造品の段階で比較的合金偏析が少
なく、その後、鍛造処理を施すことにより、さらに強度
向上などの効果を得ることができる。
【0036】請求項5記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、請求項3および4記載のガスタービン
用燃焼器ライナにおいて、熱間塑性加工として、鍛造処
理を施すことを特徴とする。
【0037】本発明において、800〜1200℃の温
度範囲で加熱処理を施した後、圧縮力を用いて、金属を
塑性変形させて成形する鍛造処理方法を用いることによ
り、結晶粒を均一かつ微細化でき、また、結晶粒内およ
び粒界に析出する炭化物を分散させることが可能であ
り、高温強度に優れるとともに、時効に伴う組織変化が
生じにくい燃焼器ライナを得ることができる。
【0038】請求項6記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、請求項3から5までのいずれかに記載
のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、鋳
造法により、実際のライナ径よりも小さい中空円筒状の
鋼塊を溶製した後、熱間塑性加工として、拡管を伴う鍛
造処理を施すことを特徴とする。
【0039】本発明において、鋳造法において、実際の
ライナ径よりも小さい中空円筒状の鋼塊を溶製するた
め、鋳型が小型で済むことから鋳造の製造コストを軽減
することが可能である。
【0040】請求項7記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、請求項4記載のガスタービン用燃焼器
ライナの製造方法において、鋳造法により円筒状に鋼塊
を溶製した後、熱間塑性加工として、押出加工により前
記溶製品を管状に加工するとともに、鍛造処理を施すこ
とを特徴とする。
【0041】本発明において、押出加工を用いることに
より、中空型の鋳型を必要とせず、単純形状である円筒
鋳型が適用できることから、鋳型の製造コストを軽減す
ることが可能である。
【0042】請求項8記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、請求項3から7までのいずれかに記載
のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法であって、請
求項1記載の合金組成を有するガスタービン用燃焼器ラ
イナを製造する方法において、溶製品に鍛造処理を施し
た後、1000〜1300℃の範囲で1〜10時間溶体
化処理を施し、さらに急冷後、800〜950℃の範囲
で1〜12時間時効処理を施すことを特徴とする。
【0043】本発明において、Ni基を主成分とする合
金の場合には、溶体化処理後さらに時効処理を施すこと
により、高温強度に優れるとともに、時効に伴う組織変
化が生じにくい燃焼器ライナを得ることができる。
【0044】請求項9記載のガスタービン用燃焼器ライ
ナの製造方法は、請求項3から7までのいずれかに記載
のガスタービン用燃焼器ライナの製造方法であって、請
求項2記載の合金組成を有するガスタービン用燃焼器ラ
イナを製造する方法において、溶製品に鍛造処理を施し
た後、1000〜1300℃の範囲で1〜10時間溶体
化処理を施すことを特徴とする。
【0045】本発明において、Co基を主成分とする合
金の場合には、溶体化処理を施すことにより、高温強度
に優れるとともに、時効に伴う組織変化が生じにくい燃
焼器ライナを得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るガスタービン
用燃焼器ライナおよびその製造方法の実施形態につい
て、実施例と比較例とともに説明する。
【0047】第1実施形態(実施例1〜2、比較例1〜
2、従来例1〜2;図1〜9;表1〜3) 本実施形態においては、熱間塑性加工として鍛造処理を
用いて製造した燃焼器ライナが優れた高温強度および時
効処理後の組織安定性を有することの確認を行った。
【0048】図1は、燃焼器ライナの製造方法を示すプ
ロセス図である。
【0049】図1(a)に示すように、まず、中空円筒
状の鋳型10に合金溶湯11(Ni基またはCo基を主
成分とする合金材料)を鋳込み、図1(b)に示す燃焼
器ライナ形状の鋳造品12を作製した。その鋳造品12
を800〜1200℃に加熱処理を施した後、金型冶金
のマンドレル(図示しない)を挿入した後、高圧プレス
機により圧縮力を加えることにより、図1(c)に示す
鍛造処理を実施した。これにより、鋳造段階で発生した
鋳造組織を破壊し、鋳造組織のない鍛造品13を作製し
た。その後、図1(d)に示すように、機械加工による
仕上げを行い、燃焼器ライナ14を形成した。
【0050】本実施形態においては、このようにして得
られた燃焼器ライナ14の特性を検証するために、以下
に示す実施例1〜2、比較例1〜2および従来例1〜2
の試験片を用いて、組織観察、高温引張試験および時効
試験を行った。
【0051】実施例1(表1;試料No.1) 本実施例においては、表1の試料No.1に示す化学組
成成分を有し、Ni基を主成分とする合金材料を用い
た。具体的には、Cr:22.5%、Co:19.0
%、W:2.0%、Al:1.9%、Ti:1.0%、
Ta:1.0%、Nb:0.8%、C:0.1%、H
f:0.15%を含み、残部をNiおよび不可避的不純
物とした。
【0052】
【表1】
【0053】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、鍛造処理を行った。鍛造処理後、115
0℃で4時間溶体化処理を行い、さらに802℃で8時
間時効処理を施したものを試験材とした。
【0054】実施例2(表1;試料No.2) 本実施例においては、表1の試料No.2に示す化学組
成成分を有し、Co基を主成分とする合金材料を用い
た。具体的には、Cr:23.5%、Ni:10.0
%、W:7.0%、Ti:0.2%、Ta:3.5%、
C:0.6%を含み、残部をCoおよび不可避的不純物
とした。
【0055】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、鍛造処理を行った。鍛造処理後、117
5℃で1時間溶体化処理を施したものを試験材とした。
【0056】比較例1(表1;試料No.3) 本比較例においては、表1の試料No.3に示す化学組
成成分を有し、Ni基を主成分とする合金材料を用い
た。具体的には、実施例1の試料No.1と同様の化学
組成範囲を有する合金材料を用いた。
【0057】上記組成を有する試料に鋳造を施して鋼塊
を得た後、1150℃で4時間溶体化処理を行い、さら
に802℃で8時間時効処理を施したものを試験材とし
た。
【0058】比較例2(表1;試料No.4) 本比較例においては、表1の試料No.4に示す化学組
成成分を有し、Co基を主成分とする合金材料を用い
た。具体的には、実施例2の試料No.2と同様の化学
組成範囲を有する合金材料を用いた。
【0059】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、1175℃で1時間溶体化処理を施した
ものを試験材とした。
【0060】従来例1(表1;試料No.5) 本従来例においては、これまで燃焼器ライナ材として適
用実績のある、表1の試料No.5(Hastello
y−X)に示す化学組成成分を有する合金材料を用い
た。
【0061】具体的には、試料No.5は、Cr:2
2.0%、Co:8.0%、W:0.6%、Fe:1
8.5%を含み、残部をNiおよび不可避的不純物とし
た。
【0062】従来例2(表1;試料No.6) 本従来例においては、これまで燃焼器ライナ材として適
用実績のある、表1の試料No.6(HS188)に示
す化学組成成分を有する合金材料を用いた。
【0063】具体的には、試料No.6は、Cr:2
2.0%、W:14.0%、Fe:3.0%、Mo:
9.0%、C:0.1%、Ni:22.0%を含み、残
部をCoおよび不可避的不純物とした。
【0064】まず結晶粒の均一性を調べるために、燃焼
器ライナ状の合金について組織観察を行った。
【0065】図2は、実施例1における試料No.1に
示す合金材料を用いて鋳造後の鋼塊に鍛造処理を施して
製造した燃焼器ライナの合金の組織観察結果を示す図で
ある。
【0066】図2に示すように、試料No.1から得ら
れた鍛造後の結晶粒15は、等軸でかつ微細な組織であ
った。
【0067】図3は、比較例1における表1に示す試料
No.3の合金材料を用いて鋳造法により製造した燃焼
器ライナの合金の組織観察結果を示す断面図である。
【0068】図3に示すように、比較例から得られた鋳
造後の合金では、中空円筒状の鋳型10の壁側と中心部
とでは冷却速度が異なることから、中空円筒状の鋳型1
0の壁側近くでは粗大柱状晶16となり、中心部では等
軸晶17となっていた。このことから、結晶粒組織は非
常に不均一なものであった。
【0069】次に、Ni基を主成分とする実施例1およ
び比較例1により得られた合金について、結晶粒組織の
強度への影響を調べるために、試験片の採取位置の違い
による高温引張試験を実施した。
【0070】実施例1の試料No.1について、鋳型壁
側近くの周縁部および中心部において引張試験片を採取
し、また同様に、比較例1の試料No.3について鋳型
壁側近くの周縁部および中心部において引張試験片を採
取した。これらの試験片について、高温引張試験(試験
温度:850℃)を実施し、0.2%耐力(YS)、最
大引張応力(UTS)、伸びおよび絞りを測定した。そ
の結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】また、表2における実施例1および比較例
1についての、0.2%耐力(YS)および最大引張応
力(UTS)の測定結果について、図4のグラフに示
す。
【0073】図4に示すように、高温引張試験の結果、
比較例1の試料No.3においては、試験片の採取位置
である周縁部と中心部との違いによって強度にばらつき
があることが確認された。また、実施例1の試料No.
1では試験片の採取位置である周縁部と中心部との違い
による強度のばらつきが無いことが判明した。
【0074】次に、Ni基を主成分とする実施例1およ
び比較例1の合金、さらに、従来例により得られた合金
について、高温引張試験を実施した。
【0075】具体的には、実施例1の試料No.1につ
いて、中心付近において引張試験片を採取し、また同様
に、比較例1の試料No.3について、中心付近におい
て引張試験片を採取した。また、従来例の試料No.5
におけるHastelloy−Xおよび試料No.6に
おけるHS188について試験片を採取した。これらの
試験片について、高温引張試験(試験温度:850℃)
を実施し、0.2%耐力(YS)、最大引張応力(UT
S)、伸びおよび絞りを測定した。その結果を表2およ
び図5に示す。
【0076】表2および図5に示すように、高温引張試
験の結果、実施例1の試料No.1が最も優れた0.2
%耐力および最大引張応力を有し、次いで比較例1の試
料No.3、そして、従来例のHS188の順であっ
た。従って、Ni基を主成分とする合金に鍛造処理を施
すことにより、優れた高温強度を有することが確認され
た。
【0077】一方、Co基を主成分とする合金について
も、高温引張試験および耐酸化性試験を行った。
【0078】具体的には、実施例2の試料No.2につ
いて、中心付近において引張試験片を採取し、また同様
に、比較例2の試料No.4について、中心付近におい
て引張試験片を採取した。これらの試験片について、高
温引張試験(試験温度:850℃)を実施し、0.2%
耐力(YS)、最大引張応力(UTS)、伸びおよび絞
りを測定した。また、耐酸化性を評価するために、85
0℃、1000時間の大気中高温酸化試験を行い、質量
増加量を測定した。その結果を表3に示す。また併せて
前述したNi基を主成分とする実施例1の試験結果も示
す。
【0079】
【表3】
【0080】表3に示すように、高温引張試験の結果、
比較例2に比べて実施例2の方が優れた0.2%耐力
(YS)および最大引張応力(UTS)を有しているこ
とが確認された。また、Co基を主成分とする実施例2
は、Ni基を主成分とする実施例2に比べて、強度は劣
っているが、耐酸化性については優れていることが確認
された。従って、適用する製品によって、強度が要求さ
れる場合にはNi基を主成分とする実施例1の合金、耐
酸化性が要求される場合にはCo基を主成分とする実施
例2の合金が有効であることが確認された。
【0081】次に、Ni基を主成分とする実施例1およ
び比較例1の合金について、700℃〜1000℃の温
度範囲で加熱試験を実施し、加熱試験後の試験片組織内
に、脆化相が出現しているかどうかを調べた。実施例1
および比較例1の加熱時効試験結果を図6および図7に
示す。
【0082】さらに、850℃で加熱試験を実施した実
施例1および比較例1から引張試験片を採取し、高温引
張試験(試験温度:850℃)を実施し、0.2%耐力
(YS)および伸びを測定した。その高温引張試験結果
を表4および図8に示す。
【0083】
【表4】
【0084】表4、図6および図7に示すように、加熱
試験の結果、どの試験温度においても比較例1に比べて
実施例1の方が、脆化相が出現する時効時間が遅くなる
ことが確認された。また、図8の高温引張試験の結果、
比較例1に比べて実施例1の方が、加熱時効に伴う強度
および延性の低下が少ないことが確認された。従って、
Ni基を主成分とする実施例1の合金は優れた組織安定
性を有することが判明した。
【0085】次に、本実施形態により製造した図1に示
す燃焼器ライナ14についてのミクロ組織を観察した。
【0086】図9は、燃焼器ライナに見られる鍛造処理
後の組織を示す図である。
【0087】図9に示すように、本組織は従来例の図2
0に示した精鋳合金組織よりも、均一かつ微細化した結
晶粒18を有している。また、析出炭化物であるM23
型炭化物19およびMC型炭化物20が、図20に
示した精鋳合金組織よりも微細に分散している。
【0088】以上の試験結果から、本実施形態によれ
ば、鍛造処理を施して燃焼器ライナを製造することによ
り、粗大柱状晶などの鋳造組織が破壊され、図2および
図3に示すように、鍛造後の組織に比べて結晶粒が均一
化し、図4の実施例1における試料No.1に示すよう
に強度のばらつきが無くなることから、強度が大幅に向
上することが判明した。
【0089】また、鍛造処理を施した燃焼器ライナ断面
のミクロ組織を観察した結果、図9に示す鍛造後の結晶
粒18は、従来例の図20に示した鋳造後の結晶粒9よ
りも結晶粒が微細化し、図4の実施例1に示すように高
温強度が大幅に向上することが確認された。
【0090】さらに、同様に燃焼器ライナ断面のミクロ
組織を観察した結果、析出強化の役割を果たす炭化物で
あるM23型炭化物19およびMC型炭化物20が
微細分散していた。特に、M23型炭化物19は従
来例に示すように、加熱時効に伴い脆化相に変化する。
具体的に説明すると、図20に示すM23型炭化物
6は、化学組成がCr、MoおよびWを主体としてお
り、粒界に多く見られる。そして、従来例の図21に示
すように、析出する脆化相8は粒界近傍に多く見られ、
この脆化相8は加熱時効に伴い、M23型炭化物6
が脆化相8に変化したものと言える。このことから、鋳
造後に鍛造処理を行い、図9に示すM23型炭化物
19を微細分散することによって、脆化相8の生成元素
であるCr、MoおよびWの偏析が少なくなり、図6の
実施例1に示すように脆化相の生成が抑制される。その
結果、従来の精鋳合金製燃焼器ライナ4よりも、加熱時
効における組織安定性に優れた燃焼器ライナ14を提供
することができる。
【0091】なお本実施形態によれば、鋳造法を用いる
ことによって、耐熱性には優れているが燃焼器ライナ形
状への加工が困難であった合金の適用が可能となり、複
雑な形状の場合でも容易に燃焼器ライナ14を製造でき
る。
【0092】第2実施形態(実施例、比較例;図10〜
図11:表5〜6) 本実施形態においては、Ni基を主成分とする本発明の
化学組成範囲にある合金材料から構成された燃焼器ライ
ナが優れた特性を有することの確認を行った。
【0093】実施例(表5;試料No.7) 本実施例においては、表5の試料No.7に示すNi基
を主成分とする化学成分を有する合金材料を用いた。
【0094】
【表5】
【0095】試料No.7は、重量%で、Cr:18.
0〜25.0%、Co:17.0〜23.0%、Wおよ
びMoの少なくとも1種:10.0%以下、Al:0.
01〜3.0%、Ti:2.0%以下、Ta:2.0%
以下、Nb:2.0%以下、Hf:0.5%以下、C:
0.5%以下の範囲にあり、具体的には、重量%で、C
r:22.5%、Co:19.0%、W:2.0%、A
l:1.9%、Ti:1.0%、Ta:1.0%、N
b:0.8%、C:0.1%、Hf:0.15%を含
み、残部をNiおよび不可避的不純物とした。
【0096】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、鍛造処理を行った。鍛造処理後、115
0℃で4時間溶体化処理を行い、さらに802℃で8時
間時効処理を施したものを試験材とした。
【0097】比較例(表5;試料No.8〜No.1
8) 本比較例においては、表5の試料No.8〜No.18
に示すNi基を主成分とする化学組成成分を有する合金
材料を用いた。
【0098】具体的には、試料No.8〜No.18
は、その範囲以外の成分を含んでいる。
【0099】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、鍛造処理を行った。鍛造処理後、115
0℃で4時間溶体化処理を行い、さらに802℃で8時
間時効処理を施したものを試験材とした。
【0100】このようにして得られた実施例および比較
例の試験材を評価するために、高温引張試験(試験温
度:850℃)を行い、0.2%耐力(YS)、最大引
張応力(UTS)、伸びおよび絞りを測定した。また、
耐酸化性を評価するために、850℃、1000時間の
大気中高温酸化試験を行い、質量増加量を測定した。さ
らに、溶接性を評価するためにTIG溶接によるビード
オン試験を実施し、溶接部の割れの有無を確認した。こ
れらの評価試験結果を図10、図11および表6に示
す。
【0101】
【表6】
【0102】表6、図10および図11に示すように、
Crに関しては、Crの含有量が高い試料No.8では
高温強度が低く、Crの含有量が低い試料No.9では
耐酸化性が低下していた。
【0103】Coに関しては、Coの含有量が高い試料
No.10の合金では高温強度が低く、Coの含有量が
低い試料No.11の合金では耐酸化性が低下してい
た。
【0104】Wに関しては、Wの含有量が高い試料N
o.12の合金では、靭性が低下していた。
【0105】Alについては、Alが含有されていない
試料No.13では高温強度が低く、Alの含有量が高
い試料No.14の合金では溶接割れが発生した。
【0106】またTiについては、Tiの含有量が高い
試料No.15においても溶接割れが発生した。
【0107】TaとNbとに関しては、TaおよびNb
の含有量が高い試料No.16およびNo.17は耐酸
化性が低下していた。
【0108】Cに関しては、Cの含有量が高い試料N
o.18では、靭性が低下していた。
【0109】本実施形態によれば、実施例の試料No.
7における合金は、比較例の試料No.8〜No.18
における合金に比べて0.2%耐力および最大引張応力
の値が高く、高温強度に優れていることが確認された。
また、耐酸化性および溶接性においても問題が無いこと
が判明した。
【0110】第3実施形態(図12〜13:表7〜8) 本実施形態においては、本発明の化学組成範囲にあるC
o基を主成分とする合金材料から構成された燃焼器ライ
ナが優れた特性を有することの確認を行った。
【0111】実施例(表7;試料No.19) 本実施例においては、表7の試料No.19に示すCo
基を主成分とする化学組成成分を有する合金材料を用い
た。
【0112】
【表7】
【0113】表7に示すように、試料No.19は、重
量%で、Cr:15.0〜35.0%、Ni:5.0〜
30.0%、W:20.0%以下、Ta:5.0%以
下、Ti:2.0%以下、C:1.0%以下の範囲であ
り、具体的には、重量%で、Cr:23.5%、Ni:
10.0%、W:7.0%、Ti:0.2%以下、T
a:3.5%以下、C:0.6%を含み、残部をCoお
よび不可避的不純物とした。
【0114】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、鍛造処理を行った。鍛造処理後、117
5℃で1時間溶体化処理を行ったものを試験材とした。
【0115】比較例(表7;試料No.20〜No.2
7) 本比較例においては、表7の試料No.20〜No.2
7に示すCo基を主成分とする化学成分を有する合金材
料を用いた。
【0116】具体的には、試料No.20〜No.27
は、本発明の化学組成範囲以外の成分を含んでいる。
【0117】上記組成を有する合金材料に鋳造を施して
鋼塊を得た後、鍛造処理を行った。鍛造処理後、117
5℃で1時間溶体化処理を行ったものを試験材とした。
【0118】このようにして得られた実施例および比較
例の試験材を評価するために、高温引張試験(試験温
度:850℃)を行い、0.2%耐力(YS)、最大引
張応力(UTS)、伸びおよび絞りを測定した。また、
耐酸化性を評価するために、850℃、1000時間の
大気中高温酸化試験を行い、質量増加量を測定した。さ
らに、溶接性を評価するためにTIG溶接によるビード
オン試験を実施し、溶接部の割れの有無を確認した。こ
れらの評価試験結果を図12、図13および表8に示
す。
【0119】
【表8】
【0120】表8、図12および図13に示すように、
Crに関しては、Crの含有量が高い試料No.20の
合金では高温強度が低く、Crの含有量が低いNo.2
1の合金では耐酸化性が低下していた。
【0121】Niに関しては、Niの含有量が高い試料
No.22では高温強度が低く、Niの含有量が低い試
料No.23の合金では耐酸化性が低下していた。
【0122】Wについては、含有量が高い試料No.2
4の合金では、靭性が低下していた。
【0123】またTaおよびTiについては、含有量が
高い試料No.25および試料No.26の合金では溶
接割れが発生した。
【0124】Cに関しては、含有量が高い試料No.2
7では、靭性が低下していた。
【0125】以上の結果、本実施形態によれば、実施例
の試料No.19に示すCo基を主成分とする合金は、
比較例の合金に比べて0.2%耐力および最大引張応力
の値が高く、高温強度に優れていることが確認された。
また、Ni基を主成分とする合金と比べると、高温強度
は若干劣るが、耐酸化性においては非常に優れているこ
とが判明した。
【0126】第4実施形態(図14〜16) 本実施形態においては、鋳造法として遠心鋳造法を用い
ることにより、優れた強度を有する燃焼器ライナを製造
できることを説明する。
【0127】図14は、燃焼器ライナの製造プロセスを
示す図である。
【0128】図14に示すように、まず図14(a)の
ように、回転する中空円筒状の鋳型21に合金溶湯22
(Ni基またはCo基)を注入して鋳込むという遠心鋳
造法を用いて、図14(b)のように燃焼器ライナ形状
の鋳造品23を作製する。この鋳造品23に対して、図
14(c)のように、鍛造処理を実施することによっ
て、鋳造段階で発生した鋳造組織を破壊し、鋳造組織の
ない鍛造品24を作製する。その後、図14(d)のよ
うに機械加工による仕上げを行い、燃焼器ライナ25と
する。
【0129】このようにして得られた燃焼器ライナ材の
特性を検証するために、以下に示す実施例および比較例
の試験片を作製して検証試験を行った。
【0130】実施例(表1;試料No.1) 本実施例においては、表1に示す試料No.1の化学組
成範囲を有し、Niを主成分とする合金材料を用いた。
この合金材料を遠心鋳造法により作製した鋳造合金につ
いて、鍛造処理を行った後、1150℃で4時間溶体化
処理を行い、さらに802℃で8時間時効処理をしたも
のを試験片とした。
【0131】比較例(表1;試料No.1) 本実施例においては、表1に示す試料No.1の化学組
成範囲を有し、Niを主成分とする合金材料を用いた。
この合金材料を普通鋳造法により作製した鋳造合金につ
いて、鍛造処理を行った後、1150℃で4時間溶体化
処理を行い、さらに802℃で8時間時効処理をしたも
のを試験片とした。
【0132】このようにして得られた各試験片に対し
て、700℃〜1000℃の温度範囲で加熱試験を実施
し、加熱試験後の試験片組織内に、脆化相が出現の有無
を試験した。この加熱試験結果を図15および図16に
示す。
【0133】図15および図16に示すように、加熱試
験の結果、比較例に比べて実施例の方が、脆化相が出現
する時効時間が遅くなることが確認された。このことか
ら、遠心鋳造法を用いた実施例における合金が優れた組
織安定性を有することが判明した。
【0134】本実施形態によれば、遠心鋳造法を用いる
ことにより、比較的合金偏析の少ない鋳造品を作製する
ことができ、その後の鍛造処理による強度向上などの効
果が大きくなり、さらに優れた燃焼器ライナを得ること
ができる。
【0135】第5実施形態(図17) 本実施形態においては、熱間塑性加工として押出加工を
用いて燃焼器ライナを製造する方法について説明する。
【0136】図17は、燃焼器ライナの製造プロセスを
示す図である。
【0137】図17(a)に示すように、まず、鋳造法
を用いて円筒状の鋳型26に合金溶湯27(Ni基また
はCo基)を鋳込み、図17(b)に示すように、燃焼
器ライナ形状の鋳造品28を作製する。その鋳造品28
に対して、押出加工により、溶製品を管状に加工すると
ともに、鋳造段階で発生した鋳造組織を破壊し、図17
(c)に示すように、鋳造組織のない鍛造品29を作製
する。その後、図17(d)に示すように、機械加工に
よる仕上げを行い、燃焼器ライナ30とする。
【0138】本実施形態によれば、中空型の鋳型を必要
とせず、また単純形状である円筒鋳型が適用できること
から、鋳型の製造コストを軽減することができる。
【0139】第6実施形態(図18) 本実施形態においては、熱間塑性加工として拡管を伴う
鍛造処理を施して燃焼器ライナを製造する方法について
説明する。
【0140】図18は、燃焼器ライナの製造プロセスを
示す図である。
【0141】図18(a)に示すように、まず鋳造法を
用いて実際のライナ径よりも小さい中空円筒鋳型31に
合金溶湯32(Ni基またはCo基)を鋳込み、図18
(b)に示すように、燃焼器ライナ形状の鋳造品33を
作製する。その鋳造品33に対して、図18(c)に示
すように、拡管を伴う鍛造処理を行うことにより、溶製
品に発生した鋳造組織を破壊することと、溶製品の拡管
作業を同時に行うことによって、鋳造組織のない鍛造品
34を作製する。その後、図18(d)に示すように、
機械加工による仕上げを行い燃焼器ライナ35とする。
【0142】本実施形態によれば、鋳型31が小型で済
むことから、鋳型の製造コストを軽減することができ
る。
【0143】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明のガスタ
ービン用燃焼器ライナおよびその製造方法によれば、鋳
造処理を施した後、熱間塑性加工を施すことにより高温
強度に優れ、かつ加熱時効に伴う組織変化の生じにくい
燃焼器ライナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における燃焼器ライナの製造方法
を示すプロセス図。
【図2】第1実施形態における実施例1の組織観察結果
を示す図。
【図3】第1実施形態における比較例1の組織観察結果
を示す図。
【図4】第1実施形態における実施例1および比較例1
の0.2%耐力および最大引張強さを示す図。
【図5】第1実施形態における実施例1、比較例1およ
び従来例の0.2%耐力および最大引張強さを示す図。
【図6】第1実施形態における実施例1の加熱時効試験
結果を示す図。
【図7】第1実施形態における比較例1の加熱時効試験
結果を示す図。
【図8】第1実施形態における実施例1および比較例1
の0.2%耐力および伸びの時効試験結果を示す図。
【図9】第1実施形態における鍛造処理後の燃焼器ライ
ナの組織を示す図。
【図10】第2実施形態における実施例および比較例の
0.2%耐力および伸びの引張試験結果を示す図。
【図11】第2実施形態における実施例および比較例の
高温酸化試験結果を示す図。
【図12】第3実施形態における実施例および比較例の
0.2%耐力および伸びの引張試験結果を示す図。
【図13】第3実施形態における実施例および比較例の
高温酸化試験結果を示す図。
【図14】第4実施形態における燃焼器ライナの製造方
法を示すプロセス図。
【図15】第4実施形態における実施例の時効試験結果
を示す図。
【図16】第4実施形態における比較例の時効試験結果
を示す図。
【図17】第5実施形態における燃焼器ライナの製造方
法を示すプロセス図。
【図18】第6実施形態における燃焼器ライナの製造方
法を示すプロセス図。
【図19】従来における燃焼器ライナの製造方法を示す
プロセス図。
【図20】従来における精鋳合金製ライナの断面組織を
示す図。
【図21】従来における精鋳合金製ライナの短時間加熱
時効後の組織を示す図。
【符号の説明】
10 中空円筒状の鋳型 11 合金溶湯(Ni基またはCo基) 12 鋳造品 13 鍛造品 14 燃焼器ライナ 15 結晶粒 16 鋳造後の結晶粒 17 微細結晶粒 18 鍛造後の結晶粒 19 M23型炭化物 20 MC型炭化物 21 中空円筒状の鋳型 22 合金溶湯(Ni基またはCo基) 23 鋳造品 24 鍛造品 25 燃焼器ライナ 26 円筒状の鋳型 27 合金溶湯(Ni基またはCo基) 28 鋳造品 29 鍛造品 30 燃焼器ライナ 31 小型中空円筒状の鋳型 32 合金溶湯(Ni基またはCo基) 33 鋳造品 34 鍛造品 35 燃焼器ライナ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22F 1/00 651 C22F 1/00 651B 682 682 683 683

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Cr:18.0〜25.0
    %、Co:17.0〜23.0%、MoおよびWの少な
    くとも1種:10.0%以下、Al:0.01〜3.0
    %、Ti:2.0%以下、Ta:2.0%以下、Nb:
    2.0%以下、Hf:0.5%以下、C:0.5%以下
    の元素を含有し、残部がNi基および不可避的不純物か
    ら成ることを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナ。
  2. 【請求項2】 重量%で、Cr:15.0〜35.0
    %、Ni:5.0〜30.0%、W:20.0%以下、
    Ta:5.0%以下、Ti:2.0%以下、C:1.0
    %以下の元素を含有し、残部がCo基および不可避的不
    純物から成ることを特徴とするガスタービン用燃焼器ラ
    イナ。
  3. 【請求項3】 ガスタービン燃焼器の燃焼室を形成する
    円筒状の燃焼器ライナの製造方法において、Ni基また
    はCo基のいずれかを主成分とする合金材料を用いて鋳
    造法により円筒状に鋼塊を溶製した後、前記溶製品に熱
    間塑性加工を施して前記溶製品に発生した鋳造組織を破
    壊することを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のガスタービン用燃焼器ラ
    イナの製造方法において、鋳造法として、遠心鋳造法を
    用いて中空円筒状の鋼塊を溶製することを特徴とするガ
    スタービン用燃焼器ライナの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3および4記載のガスタービン用
    燃焼器ライナにおいて、熱間塑性加工として、鍛造処理
    を施すことを特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3から5までのいずれかに記載の
    ガスタービン用燃焼器ライナの製造方法において、鋳造
    法により、実際のライナ径よりも小さい中空円筒状の鋼
    塊を溶製した後、熱間塑性加工として、拡管を伴う鍛造
    処理を施すことを特徴とするガスタービン用燃焼器ライ
    ナの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4記載のガスタービン用燃焼器ラ
    イナの製造方法において、鋳造法により円筒状に鋼塊を
    溶製した後、熱間塑性加工として、押出加工により前記
    溶製品を管状に加工するとともに、鍛造処理を施すこと
    を特徴とするガスタービン用燃焼器ライナの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項3から7までのいずれかに記載の
    ガスタービン用燃焼器ライナの製造方法であって、請求
    項1記載の合金組成を有するガスタービン用燃焼器ライ
    ナを製造する方法において、溶製品に鍛造処理を施した
    後、1000〜1300℃の範囲で1〜10時間溶体化
    処理を施し、さらに急冷後、800〜950℃の範囲で
    1〜12時間時効処理を施すことを特徴とするガスター
    ビン用燃焼器ライナの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3から7までのいずれかに記載の
    ガスタービン用燃焼器ライナの製造方法であって、請求
    項2記載の合金組成を有するガスタービン用燃焼器ライ
    ナを製造する方法において、溶製品に鍛造処理を施した
    後、1000〜1300℃の範囲で1〜10時間溶体化
    処理を施すことを特徴とするガスタービン用燃焼器ライ
    ナの製造方法。
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JP2012219339A (ja) * 2011-04-11 2012-11-12 Japan Steel Works Ltd:The Ni基超合金材、タービンロータおよびそれらの製造方法
US11085103B2 (en) 2018-05-23 2021-08-10 Rolls-Royce Plc Nickel-base superalloy

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