JPH1121417A - フェノール系樹脂組成物 - Google Patents

フェノール系樹脂組成物

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JPH1121417A
JPH1121417A JP9179912A JP17991297A JPH1121417A JP H1121417 A JPH1121417 A JP H1121417A JP 9179912 A JP9179912 A JP 9179912A JP 17991297 A JP17991297 A JP 17991297A JP H1121417 A JPH1121417 A JP H1121417A
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hydrogen atom
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JP9179912A
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Inventor
Yoshiyuki Shindo
義之 進藤
Takuo Tajima
卓雄 田島
Tatsunobu Uragami
達宣 浦上
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
Kozo Tanaka
耕三 田中
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明は、熱水で抽出される硫酸根の量
が、20ppm以下であるフェノール樹脂1種以上並び
に一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)表され
る化合物を少なくとも1種以上0.2重量%から5重量
%からなるフェノール系樹脂組成物である。 【効果】 成形時の流動性が優れ、かつ、型内に充填後
の硬化速度が速いフェノ−ル系樹脂組成物を提供するこ
とが可能となり、トランスファ−成形、射出成形、圧縮
成形等の生産性を飛躍的に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランスファ−成
形、射出成形、圧縮成形、等の加工性に優れた熱硬化型
フェノ−ル系樹脂の製造に関するものである。より詳細
には、成形時の流動性が優れ、かつ、型内に充填後の硬
化速度が速い新規なフェノ−ル系樹脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】フェノ−ル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性
等、数々の優れた特性を有しているため、非常に多くの
用途で使用されている。ただし、フェノ−ル樹脂のみで
硬化させた場合には脆く実用に耐えない場合が多い。そ
こで、一般的には各種の充填材を混練してから成形に供
されている。そのため、成形時の流動性が低下し特に、
微細な構造を有する成形物の成形が困難な場合がある。
硬化剤の種類あるいは添加量を変えて硬化速度を抑制す
ることにより流動性の向上は図れるが、この場合、成形
サイクルが長くなり生産性が低下するという不都合が発
生した。なお、硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラ
ミン、パラホルムアルデヒドやトリオキサンなどの架橋
メチレン源が用いられており、一般的にはヘキサメチレ
ンテトラミンが広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のフェノ−ル系樹
脂においては、樹脂成形時に樹脂の硬化速度を速めると
成形時の樹脂の流動性が劣化し細密な形状の成形が困難
になる問題があった。そこで 本発明の課題は、耐熱
性、電気絶縁性、機械的強度等の特性を維持しつつ、細
密な形状の成形にも適用できる成形時の流動性と型内充
填後の硬化速度とのバランスが優れたフェノ−ル系樹脂
組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、充填材を
添加して使用する場合においても、成形時の流動性が優
れ、かつ、型内に充填後の硬化速度が速いフェノ−ル系
樹脂組成物に関して鋭意検討した結果、本発明を完成す
るに至った。
【0005】すなわち、本発明は10倍量の95±5℃
の水で抽出される硫酸根の量が、20ppm以下である
一般式(1)(化11)で表されるフェノール樹脂1種
以上
【0006】
【化11】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基またはアリ−ル基を、φはベンゼン環を、
nは0〜100の整数を表す。) 並びに一般式(2)(化12)、一般式(3)(化1
3)及び一般式(4)(化14)
【0007】
【化12】 R2−Ar1−SO3−R3 (2) (式中、R2は水素原子またはアルキル基を、Ar1
フェニル基またはナフチル基を、R3 は水素原子、メチ
ル基またはエチル基を表す。)
【0008】
【化13】 R4−Ar2−COOH (3) (式中、R4は水素原子、メチル基または水酸基を、A
2はフェニル基、ベンジル基またはナフチル基を表
す。)
【0009】
【化14】 R5−O−SO2−O−R6 (4) (式中、R5、R6はそれぞれ独立にメチル基またはエチ
ル基を表す。)で表される化合物から選択される少なく
とも1種以上、0.2重量%から5重量%からなるフェ
ノール系樹脂組成物を用いることによって目的を達成す
ることができた。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本願発明のフェノール系樹脂組成物における一般
式(1)で表されるフェノール樹脂において、R1 は水
素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基また
はアリ−ル基を表し、好ましくは、水素原子、ハロゲン
原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭
素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソ
ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−
ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シク
ロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル
基、2−エチルヘキシル基など)、炭素数1〜8のアル
コキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロ
ポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブ
トキシ基、sec −ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、
ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロ
ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチ
ルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基など)、また
は炭素数6〜10のアリ−ル基(例えば、フェニル基、
2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メ
チルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロ
ピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−メ
トキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エト
キシフェニル基、3−フルオロフェニル基、1−ナフチ
ル基、2−ナフチル基など)であり、より好ましくは、
水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素
数1〜6のアルコキシ基または炭素数6〜10のアリ−
ル基であり、最も好ましくは、水素原子、炭素数1〜4
のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素
数6〜10のアリ−ル基である。
【0011】本発明で用いられる一般式(1)で表され
るフェノ−ル樹脂は、例えば、本出願人により先に出願
した特開平6−100667号公報に開示された方法に
より製造される。即ち、一般式(5)(化15)
【0012】
【化15】 R7−(CH2 X)2 (5) (式中、R7はフェニレン基、Xはハロゲン原子を示
す)で表わされる芳香族ビスハロゲノメチル化合物とフ
ェノール化合物を無触媒で反応させ製造できる。
【0013】一般式(5)で表わされる芳香族ビスハロ
ゲノメチル化合物は、例えば1,2−ジ(クロロメチ
ル)ベンゼン、1,2−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、
1,3−ジ(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ジ(フ
ルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジ(クロロメチル)
ベンゼン、1,4−ジ(ブロモメチル)ベンゼン、1,
4−ジ(フルオロメチル)ベンゼンある。これらのう
ち、工業的には塩素系化合物が好ましい。
【0014】フェノール化合物としては、フェノール、
p−クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p
−エチルフェノール、o−エチルフェノール、p−イソ
プロピルフェノール、p−n−プロピルフェノール、p
−sec−ブチルフェノール、o−sec−ブチルフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、o−ter
t−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノー
ル、p−tert−オクチルフェノール、ノニルフェノ
ール、ドデシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノ
ール、o−フェニルフェノール、p−フェニルフェノー
ル、p−クミルフェノール、p−α−メチルベンジルフ
ェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノー
ル等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これらフェノール化合物を前記ビスハロゲノメチル
化合物に対して1.3〜15倍モルの範囲で用いて反応
を行う。反応温度は50〜200℃の範囲であり、反応
時間をできるだけ短縮するためには100℃以上で行う
ことが好ましい。反応時間は温度により異なるが、2〜
10時間の範囲で十分である。
【0015】反応は全原料を一括装入して昇温しながら
行ってもよく、フェノール化合物を予め一定の温度に保
った状態で芳香族ビスハロゲノメチル化合物を添加して
行ってもよい。又、必要によっては反応に有機溶媒を使
用してもよい。この有機溶媒としては、トルエンやモノ
クロルベンゼンのような反応に不活性の溶媒で、沸点が
110℃以上のものが使用される。この溶媒の使用量は
任意の量が使われるが、通常は全原料に対し、0.1〜
10重量倍の範囲で使用すればよい。
【0016】反応の進行に伴ってハロゲン化水素ガスが
生成するが、このガスは窒素ガス等の不活性ガスを通気
させて系外へ除去するか、減圧状態にして除去する方法
が多用される。反応後、未反応のフェノール化合物や溶
媒等を減圧下に留去する等の方法で除去することによ
り、高純度のフェノール樹脂を得る。
【0017】上記の高純度のフェノール樹脂の中から1
0倍量の95±5℃の水で抽出される硫酸根の量が20
ppm以下であり、数平均分子量600〜3000、重
量平均分子量1000〜20000であるフェノール樹
脂が本願発明のフェノール系樹脂組成に好適に用いられ
る。
【0018】本発明のフェノール系樹脂組成物において
は、上記のフェノール樹脂1種または任意の2種以上を
95〜99.8重量%の範囲で好ましく用いることがで
きる。
【0019】一般式(2)で表される化合物において、
2 は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、
水素原子または炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペ
ンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘ
プチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、
tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基など)であ
り、より好ましくは、水素原子または炭素数1〜6のア
ルキル基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭
素数1〜4のアルキル基である。なお、一般式(2)で
表される化合物の中で、トルエンスルホン酸は特に好ま
しく用いられ、最も好ましくはパラトルエンスルホン酸
(以下PTSと記す)が用いられる。
【0020】一般式(3)で表される化合物において、
Ar2 はフェニル基、ベンジル基またはナフチル基を表
し、好ましくは、フェニル基、ベンジル基である。な
お、一般式(3)で表される化合物の中で、サリチル
酸、安息香酸、またはフェニル酢酸は、特に好ましく用
いられる。
【0021】一般式(4)で表される化合物において、
5 ,R6 はメチル基またはエチル基からなる群から選
択された基を表し、その中では硫酸ジエチルが好ましく
用いられる。
【0022】本発明のフェノール系樹脂組成物において
は、一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)で表
される化合物から選ばれる少なくとも1種以上を、0.
2重量%から5重量%、好ましくは、0.5重量%から
3重量%用いることができる。
【0023】本発明のフェノール系樹脂組成物は、フェ
ノ−ル樹脂を80〜130℃において融解し、この中に
一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)から選択
される少なくとも1種以上の所定量を溶解することによ
り調製できる。ここで、溶解とは肉眼で観察して濁って
いない状態を指す。なお、本発明の樹脂組成物は固体状
態でも液体状態でも好ましく用いられる。
【0024】本発明のフェノール系樹脂組成物は、粉末
状または繊維状の充填材や補強材等と混練されて用いら
れる時、本発明の効果がより顕著に現れる。本発明に用
いられる充填材や補強材はどのようなものでも良いが、
好ましく用いられる充填材および補強材を例示すれば、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、
水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸化物、ケイ酸アルミ
ニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等の天
然および合成ケイ酸塩、天然および合成ケイ酸、グラフ
ァイト、カ−ボンブラック、木粉、ナットシェル粉末、
フッソ系樹脂粉末、二硫化モリブデン、三酸化アンチモ
ン、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ロックウ−ル、
鉱物繊維、セラミック繊維、セルロ−ス繊維、アルミナ
繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維、ポリアミド繊
維、有機充填材等が掲げられる。また、ワックス、オイ
ル等の滑剤、シランカップリング剤、染料、顔料等の添
加剤も好ましく用いても良いし、必要に応じて、メタノ
−ル、エタノ−ル等の有機溶媒を用いても良い。
【0025】本発明のフェノール系樹脂組成物の硬化剤
としては、ヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアル
デヒドやトリオキサンなどの架橋メチレン源が好ましく
用いられる。特に好ましくは、ヘキサメチレンテトラミ
ンが用いられる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、実施例中、”部”は”重量部”を示す。ま
た、実施例中の物性値の測定方法を以下に示す。 (1)フェノール樹脂の熱水による硫酸根の定量 粗粉砕したフェノール樹脂の試料30g を三角フラスコ50
0ml に正確に秤取り、イオン交換水を蒸留した10倍量
の水(例えばミリポア水)300ml を加え、冷却管を取
付、ウオ−タ−バスにて95±5 ℃、20時間抽出し、冷却
後、ガラスフィルタ−で濾別し、濾液を遠心分離、上澄
液を試料溶液とする。試料溶液50μl を用いてイオンク
ロマト法にて硫酸根を定量する。 (2)ゲルタイム測定 フェノール樹脂組成物の試料5gとヘキサメチレンテトラ
ミン0.4gを室温下にて混ぜ、粉状に粉砕し、150 ±1 ℃
に加熱した鋼板上に試料0.5gをのせ、あらかじめ150 ±
1 ℃に加熱しておいたヘラを使用して試料を直径約30mm
の円状にかきひろげ、約1秒間に1回の割合で均一に押
しつけながら練り合わせ、試料とヘラの間に糸を引かな
くなるまでの時間をはかる。この操作を3回以上行い、
その平均時間を秒単位で表示し、ゲルタイムとする。 (3)コンパウンドの低圧スパイラルフロ−長さ測定 低圧スパイラルフロ−金型を用いて、金型温度150 ℃、
注入圧 100Kg/cm2で測定した。
【0027】実施例1 式(A)(化16)で示されるフェノ−ルアラルキル樹
脂(重量平均分子量Mw=7500、数平均分子量Mn
=1400/ポリスチレン換算)を、特開平6−100
667号公報に開示された方法により製造した。即ち、
温度計、撹拌装置を備えたガラス製反応器にフェノール
141g(1.5モル)を装入し、撹拌しながら昇温し
て内温を100〜110℃の範囲に保った。次に同温度
範囲を保ちながら、α,α’−ジクロロ−p−キシレン
175g(1モル)を2時間かけて分割添加した。途
中、発生する塩化水素ガスはアスピレーターによる吸引
を行って洗気瓶に補集した。添加終了後、内温を3時間
かけて150℃まで昇温した。この後、温度範囲150
〜160℃で6時間熟成を行って反応を終了した。次
に、この反応溶液から真空下で未反応フェノールを回収
した。この処理中、内温は170℃までで真空圧力は2
mmHgまでとした。未反応フェノールを回収した粘稠
な反応液をただちに磁製皿に排出し、放冷すると、淡黄
色透明な固くて脆い式(A)(化16)で表されるフェ
ノール樹脂が得られた(収量179g)。
【0028】
【化16】 (φはベンゼン環を、nは0〜100の整数を表す。) この樹脂(以下、樹脂−1と記す)の熱水により抽出さ
れる硫酸根の量は、5ppmであった。また、ゲルタイ
ムは、310 秒であった。樹脂−1をあらかじめ115 ℃か
ら120 ℃で40分間加熱し融液としたのち、樹脂100 部に
対して1部の割合でPTSを加え、この温度で20分間攪
はんして溶解させた。その後、冷却してから粉砕して、
樹脂組成物−1を得た。樹脂組成物−1のゲルタイムは
160 秒であった。樹脂組成物−1の100部に対し、ヘ
キサメチレンテトラミン8部、レゾルシンの50%メタノ
−ル溶液4部、ガラス繊維140部、ヘッドマン繊維5
0部、クレ−45部、酸化マグネシウム2部、カップリ
ング剤の50%メタノ−ル溶液1部、カ−ボンブラック3
部、スピリットブラック3部、ワックス3部の割合で配
合し、ロ−ル混練により、コンパウンド−1を得た。コ
ンパウンド−1の低圧スパイラルフロ−長さは、35.8cm
であった。一方、金型温度160 ℃で射出成形により茶卓
を成形した所、型内充填後の経過時間(以下、硬化時間
と記す)が30秒で充分に硬化した。
【0029】比較例1 式(A)で表されるが10倍量の95±5℃の水で抽出
される硫酸根の量(以下、熱水により抽出される硫酸根
の量という。)が45ppm であるフェノ−ルアラルキル樹
脂(三井東圧化学(株)製ミレックスXL−225、重
量平均分子量Mw=7400、数平均分子量Mn=15
00/ポリスチレン換算、ゲルタイムは180 秒)を用い
たこと、および、PTSを加えなかったことを除いて実
施例−1と同様にしてコンパウンド−2を得た。コンパ
ウンド−2を用いて、実施例−1と同様の方法で茶卓を
成形した所、硬化時間30秒で充分に硬化したが、低圧ス
パイラルフロ−長さは27.0cmしかなかった。
【0030】比較例2 比較例1で用いたフェノールアラルキル樹脂を樹脂−1
の替わりに用いたことを除いて実施例−1と同様にし
て、樹脂組成物−2、および、コンパウンド−3を得
た。樹脂組成物−2のゲルタイムは150 秒であった。ま
た、コンパウンド−3を用いて、実施例−1と同様の方
法で茶卓を成形した所、硬化時間30秒で充分に硬化した
が、低圧スパイラルフロ−長さは25.0cmとなった。
【0031】比較例3 樹脂−1にPTSを加えなかったことを除いて実施例−
1と同様にして、コンパウンド−4を得た。コンパウン
ド−4の低圧スパイラルフロ−長さは52.2cmと良好であ
ったが、実施例−1と同様の方法で茶卓を成形した所、
硬化時間30秒では未硬化であり、充分に硬化させるのに
60秒を要した。
【0032】実施例2 PTSの替わりにサリチル酸を3部を用いたことを除い
て、実施例−1と同様にして、樹脂組成物−3、およ
び、コンパウンド−5を得た。樹脂組成物−3のゲルタ
イムは150 秒であった。また、コンパウンド−5の低圧
スパイラルフロ−長さは34.7cmであり、実施例−1と同
様の方法で茶卓を成形した所、硬化時間30秒で充分に硬
化した。
【0033】実施例3 PTSの替わりに硫酸ジエチルを0.5 部用いたことを除
いて、実施例−1と同様にして、樹脂組成物−4、およ
び、コンパウンド−6を得た。樹脂組成物−4のゲルタ
イムは170 秒であった。また、コンパウンド−6の低圧
スパイラルフロ−長さは36.6cmであり、実施例−1と同
様の方法で茶卓を成形した所、硬化時間30秒で充分に硬
化した。
【0034】実施例1〜3および比較例1〜3のフェノ
ール系樹脂、フェノール系樹脂組成物およびコンパウン
ドの物性測定結果を表−1にまとめた。比較例1および
比較例2から熱水で抽出される硫酸根の量が20ppm
より多いフェノ−ル系樹脂を用いたフェノール系樹脂組
成物では、流動性と硬化速度とのバランスが良いものは
得られなかった。また、コンパウンド−1およびコンパ
ウンド−2を用いてトランスファー成形(金型温度19
0℃、トランスファー圧力100Kgf/mm)し、
成形品の一般物性を測定(JIS K-6911)して結果を表−2
に記載した。表−1および表−2から、本願発明のフェ
ノール系樹脂組成物は、耐熱性、電気絶縁性、機械的強
度等の特性を維持しつつ、成形時の流動性が優れ、か
つ、型内に充填後の硬化速度が速いことが明かである。
【0035】
【表1】 ──────────────────────────────────── フェノール系樹脂 フェノール系 コンパウンド 樹脂組成物 ────────── ───────── ────────── 樹脂 熱水 ゲル 添加物 ゲルタイム 低圧スパイ 硬化速度 分子量 硫酸根 タイム ラルフロー Mw,Mn ppm 秒 秒 cm 秒 ──────────────────────────────────── 実施例1 7500,1400 5 310 PTS 160 35.8 30 比較例1 7400,1500 45 180 なし - 27.0 30 比較例2 7400,1500 45 180 PTS 150 25.0 30 比較例3 7500,1400 20 180 なし - 52.2 60 実施例2 7500,1400 20 - サリチル酸 150 34.7 30 実施例3 7500,1400 20 - 硫酸ジメチル 170 36.6 30 ────────────────────────────────────
【0036】
【表2】 ──────────────────────────────────── 測定項目 単位 コンパウンド コンパウンド −1 −2 ──────────────────────────────────── 加重たわみ温度 ℃ 250以上 250以上 曲げ強さ Kgf/mm2 20.9 20.6 曲げ弾性率 Kgf/mm2 1696 1707 体積抵抗率 Ω・cm 1.2E15 1.5E15 誘電率 1MHz 5.24 5.25 誘電正接 1MHz 0.0102 0.0104 ────────────────────────────────────
【0037】
【発明の効果】本発明のフェノ−ル系樹脂組成物は、成
形時の流動性が優れ、かつ、型内に充填後の硬化速度が
速いため、トランスファ−成形、射出成形、圧縮成形等
の生産性を飛躍的に向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 詫摩 啓輔 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 田中 耕三 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10倍量の95±5℃の水で抽出される
    硫酸根の量が20ppm以下である一般式(1)(化
    1)で表される数平均分子量600〜3000、重量平
    均分子量1000〜20000のフェノール樹脂95〜
    99.8重量% 【化1】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基またはアリ−ル基を、φはベンゼン環を、
    nは0〜100の整数を表す。) 及び一般式(2)(化2) 【化2】 R2−Ar1−SO3−R3 (2) (式中、R2は水素原子またはアルキル基を、Ar1
    フェニル基またはナフチル基を、R3 は水素原子、メチ
    ル基またはエチル基を表す。)で表される化合物0.2
    〜5重量%からなることを特徴とするフェノール系樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 10倍量の95±5℃の水で抽出される
    硫酸根の量が20ppm以下である一般式(1)(化
    3)で表される数平均分子量600〜3000、重量平
    均分子量1000〜20000のフェノール樹脂95〜
    99.8重量% 【化3】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基またはアリ−ル基を、φはベンゼン環を、
    nは0〜100の整数を表す。) 及び一般式(3)(化4) 【化4】 R4−Ar2−COOH (3) (式中、R4は水素原子、メチル基または水酸基を、A
    2はフェニル基、ベンジル基またはナフチル基を表
    す。)で表される化合物0.2〜5重量%からなること
    を特徴とするフェノール系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 10倍量の95±5℃の水で抽出される
    硫酸根の量が20ppm以下である一般式(1)(化
    5)で表される数平均分子量600〜3000、重量平
    均分子量1000〜20000のフェノール樹脂95〜
    99.8重量% 【化5】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基またはアリ−ル基を、φはベンゼン環を、
    nは0〜100の整数を表す。) 及び一般式(4)(化6) 【化6】 R5−O−SO2−O−R6 (4) (式中、R5、R6はそれぞれ独立にメチル基またはエチ
    ル基を表す。)で表される化合物0.2〜5重量%から
    なることを特徴とするフェノール系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 10倍量の95±5℃の水で抽出される
    硫酸根の量が20ppm以下である一般式(1)(化
    7)で表される数平均分子量600〜3000、重量平
    均分子量1000〜20000のフェノール樹脂95〜
    99.8重量% 【化7】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
    アルコキシ基またはアリ−ル基を、φはベンゼン環を、
    nは0〜100の整数を表す。) 並びに一般式(2)(化8)、一般式(3)(化9)及
    び一般式(4)(化10) 【化8】 R2−Ar1−SO3−R3 (2) (式中、R2は水素原子またはアルキル基を、Ar1
    フェニル基またはナフチル基を、R3 は水素原子、メチ
    ル基またはエチル基を表す。) 【化9】 R4−Ar2−COOH (3) (式中、R4は水素原子、メチル基または水酸基を、A
    2はフェニル基、ベンジル基またはナフチル基を表
    す。) 【化10】 R5−O−SO2−O−R6 (4) (式中、R5、R6はそれぞれ独立にメチル基またはエチ
    ル基を表す。)で表される化合物から選択される1種以
    上の化合物0.2〜5重量%からなることを特徴とする
    フェノール系樹脂組成物。
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