JP4723822B2 - 摺動部品製造用フェノール樹脂成形材料及び樹脂製摺動部品 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車部品をはじめとする各種金属製部品の代替化に好適なフェノール樹脂成形材料に関するものである。
フェノール樹脂成形材料は、耐熱性、寸法精度、耐摩耗性、機械的強度及びコストのバランスに優れた材料として、各分野において幅広く用いられている。しかしながら、特に近年の自動車産業においては、高温雰囲気で使用されるトランスミッション部品やエンジン・ブレーキ付近の部品等のプラスチックへの代替化への要求がますます厳しくなっており、従来のフェノール樹脂成形材料ではその性能が限界のところまできているのが実状である。
特に、例えばブレーキピストン、エンジン・オイルポンプ用バルブなどのエンジン・ブレーキ付近の金属部品の樹脂化には耐熱性、寸法精度及び耐摩耗性の向上が要求され、樹脂量の低減が有効的な手段ではあるが、同時に樹脂量の低減は成形性を低下させるため、成形性と耐熱性、寸法精度、耐摩耗性、機械的強度などの特性を同時に満足するものが求められていた。
また、従来のフェノール樹脂成形材料に用いられているノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを蓚酸等の酸性触媒下で反応させたものが一般的であるが、未反応のフェノール類モノマーを主とする低分子量成分が多量に含まれているため、成形時にガスが発生しやすく、金型の曇りや離型性が悪くなるなど成形性の問題が起こっていた。
これらの解決策として、例えば、オキシカルボン酸を触媒としてフェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させて得られた未反応フェノール類が少ないノボラック型フェノール樹脂を用いたフェノール樹脂成形材料が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この成形材料では金型曇りの問題は解消されているものの、機械的強度や耐熱性といった特性は十分に改善されていないため、成形性と耐熱性、寸法精度、機械的強度、更に用途によっては耐摩耗性などの特性を同時に満足するものが求められていた。
特開平8−59769号公報
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、成形性、耐熱性、寸法精度及び機械的強度に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、成形性、耐熱性、寸法精度及び機械的強度に優れると共に、更に耐摩耗性にも優れたフェノール樹脂成形材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を克服するために鋭意研究した結果、フェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの含有量が少なく、かつ分子量分布の狭いノボラック型フェノール樹脂と無機充填材とを特定の割合で配合することによって、目的とする成形材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の摺動部品製造用フェノール樹脂成形材料は、ゲル濾過クロマトグラフの面積法による測定でフェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの合計含有量が10%以下、かつゲル濾過クロマトグラフ測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.1〜3.0であるノボラック型フェノール樹脂100質量部に対し、無機繊維状充填材としてウォラストナイト450〜800質量部、ガラス繊維100〜200質量部を、ウォラストナイトとガラス繊維の合計550〜900質量部で配合してなることを特徴とする。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、成形性,耐熱性,寸法精度及び機械強度に優れている。したがって、この成形材料から得られる成形部品は、耐熱性及び寸法精度の要求される自動車部品をはじめとする各種金属製部品の代替化に好適に使用される。
特に、無機充填材として繊維状充填材を配合した本発明のフェノール樹脂成形材料は、樹脂量低減にもかかわらず成形性が良好であり、耐熱性、寸法精度、機械的強度、更には耐摩耗性に優れている。特に樹脂量低減化によって耐摩耗性無機繊維状充填材の高充填化が可能となり、製品表面の硬度向上効果および樹脂部分の補強効果により耐摩耗性向上につながり、油潤滑もしくは水潤滑下での摺動部品の樹脂化に好適である。
本発明において用いられるノボラック型フェノール樹脂は、ゲル濾過クロマトグラフの面積法による測定でフェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの合計含有量が10%以下、好ましくは5%以下である。
また、本発明で用いられるノボラック型フェノール樹脂は、ゲル濾過クロマトグラフ測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.1〜3.0、好ましくは1.5〜2.0である。また、重量平均分子量(Mw)は特に限定はされないが、好ましくは800〜3700、より好ましくは900〜3500である。
本発明で用いられるノボラック型フェノール樹脂は、特に限定はされないが、例えば、フェノール類と、フェノール類1モルに対して0.80モル以上1.00モル以下のアルデヒド類とを、フェノール類100質量部に対して5質量部以上のリン酸類の存在下で不均一系反応させる工程を有する製造方法により製造することができる。
具体的には、原料としてフェノール類及びアルデヒド類、酸触媒としてリン酸類を必須とし、これらから形成される二相分離状態を機械的攪拌、超音波等によりかき混ぜ混合して、二相(有機相と水相)が交じり合った白濁状の不均一反応系において、フェノール類とアルデヒド類との反応を進めて縮合物(樹脂)を合成する。次に、例えば非水溶性有機溶剤(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)を添加混合して該縮合物を溶解し、かき混ぜ混合を止めて静置し、有機相(有機溶剤相)と水相(リン酸水溶液相)とに分離させる。その後水相を除去して回収を図る一方、有機相については湯水洗及び/又は中和した後、有機溶剤を蒸留回収することによって製造することができる。
原料として用いるフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、フェニルフェノール等が挙げられる。一方、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらの原料は、いずれも例示に限定はされず、またそれぞれ、単独で又は2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類(F)とフェノール類(P)の配合比(F/P)がモル基準で0.80以上1.00以下の範囲であれば、本発明で用いられるノボラック型フェノール樹脂を高収率で製造することができる。
また、酸触媒として用いるリン酸類は、水の存在下、フェノール類との間で相分離反応の場を形成する重要な役割を果すものであるため、好ましくは水溶液タイプ、例えば89質量%リン酸、75質量%リン酸などが用いられるが、必要に応じて例えばポリリン酸、無水リン酸などを用いてもよい。
リン酸類の配合量は、相分離効果の制御に大きく影響を与えるが、一般的にはフェノール類100質量部に対して5質量部以上、好ましくは25質量部以上、より好ましくは50質量部以上である。配合量が5質量部未満では、低分子量成分が低減されずに高分子量成分の生成が促進されるため、分子量分布幅が広くなる傾向がある。なお、70質量部以上のリン酸を使用する場合には、反応系への分割投入により、反応初期の発熱を抑えて安全性を確保することが望ましい。
相分離反応の促進という観点から、反応補助溶媒としての非反応性含酸素有機溶媒を用いることが好ましい。反応補助溶媒としては、アルコール類、多価アルコール系エーテル、環状エーテル類、多価アルコール系エステル、ケトン類、スルホキシド類からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の一価アルコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の二価アルコール、グリセリン等の三価アルコールが挙げられる。
多価アルコール系エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。
環状エーテル類としては、例えば、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、多価アルコール系エステルとしては、例えば、エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル類等が挙げられ、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等が挙げられる。
これらの中でも、メタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、1,4−ジオキサンなどが特に好ましい。
反応補助溶媒は、上記の例示に限定されず、上記の特質を有し、かつ反応時に液体を呈するものであれば固体でも使用することができるし、またそれぞれを単独で又は2種以上を併用してもよい。反応補助溶媒の配合量としては特に限定はされないが、フェノール類100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10〜200質量部である。
また、反応系中の水の量は、相分離効果、生産効率に影響を与えるが、一般的には質量基準で40%以下である。水の量が40%を超えると生産効率が低下する可能性がある。
また、フェノール類とアルデヒド類との反応温度は、相分離効果を高める上で重要であり、一般的には40℃〜還流温度、好ましくは80℃〜還流温度、より好ましくは還流温度である。反応温度が40℃未満であると反応時間が極めて長くなる上、低分子量成分の低減化ができない。なお、反応時間としては、反応温度、リン酸の配合量、反応系中の含水量などにより異なるが、一般的には1〜10時間程度である。また、反応環境としては、常圧が好適であるが、本発明の特徴である不均一反応を維持するならば、加圧下又は減圧下で反応を行なってもよい。
本発明で用いられる無機充填材は特に限定されるものではなく、従来のフェノール樹脂成形材料に配合されているものであれば何れも使用可能であり、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、アラミド繊維、カーボン繊維、ガラス繊維等が挙げられ、これらを単独で用いても、二種以上を併用してもよいが、ガラス繊維と他の無機充填材とを併用することが好ましい。
無機充填材の配合量は、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して350〜900質量部、好ましくは400〜800質量部であり、機械的強度と耐熱性の向上という観点からガラス繊維を100〜200質量部含有することが好ましい。無機充填材が350質量部より少ないと収縮率が大きくなるため寸法精度が低下する傾向があり、900質量部より多くなると流動性が低下するため射出成形性が悪くなるという問題が生じてくるため好ましくない。
また、本発明で用いられる無機繊維状充填材は特に限定されるものではなく、前述の無機充填材のうちの繊維状のものを含め、ピッチ系、PAN系などの各種カーボン繊維、ウォラストナイト(珪灰石)、チタン酸カリウムやホウ酸アルミ等の繊維状充填材等を用いることができるが、耐摩耗性と耐熱性の向上という観点からウォラストナイト(珪灰石)を選択し、機械的強度と耐熱性向上及び耐摩耗性を低下させない観点からガラス繊維を選択し、両者を組合せることが好ましい。この組み合わせは、コストパフォーマンスの観点からも好ましい。
無機繊維状充填材の配合量は、ノボラック型フェノール樹脂100質量部に対して450〜900質量部、好ましくは600〜800質量部である。より好ましくは、ウォラストナイトとガラス繊維の組合せであって、ウォラストナイトが350〜800質量部、好ましくは450〜700質量部、ガラス繊維が100〜200質量部、好ましくは110〜150質量部である。無機繊維状充填材が450質量部より少ないと樹脂量が増えることにより耐摩耗性の低下、線膨張係数が大きくなることにより急激な温度変化による熱衝撃性(耐熱性)が低下する傾向があり、900質量部より多くなると流動性が低下するため安定した成形性の確保が悪くなるという問題が生じてくるため好ましくない。
本発明のフェノール樹脂成形材料には、所望により従来フェノール樹脂成形材料において慣用されている各種添加剤、例えば、ヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの離型剤、酸化マグネシウムなどの硬化促進剤、カップリング剤、溶剤等を配合することができる。
本発明のフェノール樹脂成形材料の製造方法は特に限定はされないが、加圧ニーダー、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、ミキシングロール等で加熱混練した混練物をパワーミル等を用いて粉砕して製造される。また、こうして得られた成形材料は射出成形、トランスファー成形及び圧縮成形等のいずれにも適用することができる。
本発明の成形材料が、成形性、耐熱性、寸法精度及び機械的強度、更には耐摩耗性に優れている理由としては、フェノールモノマー及びダイマー成分が少なく分散比の小さいノボラック型フェノール樹脂を用いることによって混練時の成形材料の溶融粘度を下げることができ、このことで従来に比べて成形材料における樹脂成分の割合を低減しかつ無機充填材の割合を相対的に増やすことが可能になったからではないかと思われる。
特に、無機充填材として繊維状充填材を配合した本発明の成形材料により得られた製品は、熱の影響を受けやすい有機成分が少ないため、寸法精度に優れ、熱膨張係数も小さいことから、温度変化環境に対して良好で、また、実際に摺動する場合、摩耗現象を引き起こす有機成分が少ないことから、油・水潤滑下において優れた耐摩耗性を示す。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例に記載の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
[ノボラック型フェノール樹脂(1)の製造]
温度計、攪拌装置、コンデンサーを備えた反応容器内に、フェノール(P)を193部、92%パラホルム(F)を57部(F/P=0.85)、89%リン酸を116部(60%/P)、エチレングリコール96.5部(50%/P)を仕込んだ後、攪拌混合により形成される白濁状態(二相混合物)のもとで、徐々に還流温度まで昇温し、さらに同温度で10時間縮合反応を行なってから反応を停止した。次いで、攪拌混合しながらメチルイソブチルケトンを添加して縮合物を溶解した後、攪拌混合を停止して内容物を分液フラスコ内に移して静置し、メチルイソブチルケトン溶液層(上層)とリン酸水溶液層(下層)に分離させた。次いで、リン酸水溶液層を除去し、メチルイソブチルケトン溶液を数回水洗してリン酸を除いた後、再び内容物を反応容器内に戻し、減圧蒸留によりメチルイソブチルケトンを完全に除去してノボラック型フェノール樹脂(1)213.5部を得た。
[ノボラック型フェノール樹脂(2)の製造]
温度計、攪拌装置、コンデンサーを備えた反応容器内に、フェノールを193g、37質量%ホルマリンを142g(F/P=0.85)、蓚酸を0.97g(0.5%/P)を仕込んだ後、徐々に還流温度(98〜102℃)まで昇温して同温度で6時間縮合反応を行い、減圧濃縮してノボラック型フェノール樹脂(2)199g(収率103%/P)を得た。
[ノボラック型フェノール樹脂の特性]
得られたノボラック型フェノール樹脂の特性を下記の試験法により測定した。結果を表1に示す。
(I)分散比
東ソー株式会社製ゲル濾過クロマトグラフSC−8020シリーズビルドアップシステム(カラム:G2000Hxl+G4000Hxl、検出器:UV254nm、キャリヤー:テトラヒドロフラン1ml/min、カラム温度:38℃)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めて分散比(Mw/Mn)を算出した。
(II)フェノール類モノマー及びフェノール類ダイマーの含有量(%)
分子量分布の全面積に対するフェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの面積を百分率で表示する面積法によって測定した。
Figure 0004723822
<実施例1(参考例)
表2に示す様に、ノボラック型フェノール樹脂(1)100部、無機充填材として、ガラス繊維(日本電気ガラス製、基準繊維径:10μm、平均繊維長:3mm)133部及び溶融シリカ(電気化学工業製、FS−90)433部、ヘキサメチレンテトラミン12部、離型剤その他13部を配合し均一混合した。その後、熱ロールにて均一に加熱混練してシート状にし、冷却後パワーミルで粉砕しグラニュール状の成形材料を得た。
得られた成形材料を以下の条件で射出成形し、JIS曲げ試験片(80×10×4mm)を得た。
シリンダー温度:前85℃、後部40℃
金型温度:175℃
硬化時間:60秒
得られた試験片について、180℃×3時間のアフターキュアを行い、収縮率、曲げ強度、24時間煮沸後の収縮率について評価し、さらに250℃×500時間の長期耐熱性試験を行った。その結果を表2に示す。なお各種特性評価については、下記に基づいて実施した。
(1)収縮率
JISK6911規格に準じて測定。
(2)曲げ強度
JISK7203規格に準じて測定。
<実施例2(参考例)、比較例1〜3>
配合割合を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして実施し、成形材料を製造し、評価した。結果を表2に示す。尚、比較例2については、ロール作業性が悪く、成形材料が得られなかった。
Figure 0004723822
表2から明らかなように、実施例1〜2で得られたフェノール樹脂成形材料は、低収縮率に優れ、かつ強度,耐熱性のバランスのとれた特性を示した。
<実施例3,4(実施例3は参考例)、比較例4〜6>
配合割合を表3に示すように変えた以外は実施例1と同様にして実施し、成形材料を製造した。使用した無機繊維状充填材は、以下の通りである。
ウォラストナイト(巴工業製、ナイヤード400、基準繊維径:7μm、アスペクト比:4)
ガラス繊維(日東紡績(株)製、基準繊維径:11μm、平均繊維長:3mm)
尚、比較例5については、ロール作業性が悪く、成形材料が得られなかった。
得られた成形材料を実施例1と同じ条件で射出成形し、JIS収縮試験片、JIS曲げ試験片(80×10×4mm)、摩耗試験用リング試験片を得、210℃×20時間のアフターキュアを行い、以下の特性について評価を行った。その結果を表3に示す。
(1)曲げ強度
JISK7203規格に準じて測定。
(2)熱衝撃性
図1に示す寸法・形状のピストンモデルを300℃×30分加熱し、取り出し後直ちに23℃の水中に投入し、試験片の外観を確認し、これを5サイクル繰り返す。5サイクル後もクラックのないものを良好とする。
(3)耐熱水性
JIS収縮試験片を80℃熱水中に500時間浸漬し、浸漬前との寸法変化率を測定する。
(4)耐摩耗性
下記条件で試験を行い、摩耗試験用リング試験片と相手材の摩耗量を測定する。
試験荷重:60kg/cm2
試験速度:0.1m/s
試験時間:2時間
相手材質:FCD450
試験環境:ブレーキ油中(常温)
Figure 0004723822
表3から明らかなように、実施例3〜4で得られたフェノール樹脂成形材料は耐熱性(耐熱衝撃性)、耐摩耗性、寸法精度、機械的強度のバランスに優れた特性を示した。
熱衝撃性試験用のピストンモデルの形状を示す図である。

Claims (4)

  1. ゲル濾過クロマトグラフの面積法による測定でフェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの合計含有量が10%以下、かつゲル濾過クロマトグラフ測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.1〜3.0であるノボラック型フェノール樹脂100質量部に対し、無機繊維状充填材としてウォラストナイト450〜800質量部、ガラス繊維100〜200質量部を、ウォラストナイトとガラス繊維の合計550〜900質量部で配合してなることを特徴とする摺動部品製造用フェノール樹脂成形材料。
  2. フェノール類モノマーとフェノール類ダイマーの合計含有量が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品製造用フェノール樹脂成形材料。
  3. 前記ノボラック型フェノール樹脂が、フェノール類と、フェノール類1モルに対して0.80モル以上1.00モル以下のアルデヒド類とを、フェノール類100質量部に対して5質量部以上のリン酸類の存在下で不均一系反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の摺動部品製造用フェノール樹脂成形材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動部品製造用フェノール樹脂成形材料を成形してなることを特徴とする油潤滑下または水潤滑下で使用される樹脂製摺動部品。
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