JP2009235280A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

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巧一 棚橋
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Abstract

【課題】 自動車分野、電気分野、電子分野等の基幹産業分野で長期に渡り使用される高強度、高弾性率を維持し、かつ高い靭性、優れた射出成形性を有するフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
【解決手段】 本発明のフェノール樹脂成形材料は、ノボラック型フェノール樹脂、低分子量のフェノール樹脂とガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジン等の生ロジンを反応させた後、ポリオール等とエステル化反応を行って得られるロジン変性フェノール樹脂、及びガラス繊維を必須成分とすることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール樹脂成形材料に関するものである。
フェノール樹脂成形材料は、耐熱性、寸法安定性、成形性等に優れ、自動車分野、電気分野、電子分野等の基幹産業分野で長期に渡り使用されている実績を有する。特に、近年は、金属部品で使用されているものをガラス繊維で強化したフェノール樹脂成形品に置き換えることで、大幅なコストダウンが可能となった。そのため、積極的な代替検討が行われている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、ガラス繊維や無機充填材により強度を向上させることができるが、一方で靭性が低下する問題が生じた。
こうした問題に対し、靭性を改善すべくエラストマー成分の配合等が検討されているが(例えば、特許文献2)、エラストマー成分を配合すると、靭性は改善されるものの、強度が低下する問題が生じた。
特開2001−200138公報 特開平11−012433公報
本発明は、上記に示すような強度や弾性率に優れ、かつ高い靭性、優れた射出成形性を有する、フェノール樹脂成形材料を提供するものである。
このような目的は、下記[1]〜[3]項に記載の本発明により達成される。
[1] ノボラック型フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、及びガラス繊維を必須成分とすることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
[2] 前記ロジン変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂成形材料中に1〜15重量%含有するものである[1]項に記載のフェノール樹脂成形材料。
[3] 前記ガラス繊維は、フェノール樹脂成形材料中に40〜80重量%含有するものである[1]または[2]項に記載のフェノール樹脂成形材料。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、高い強度、及び弾性率を有し、且つ高い靭性、優れた射出成形性を有するものである。
以下、本発明のフェノール樹脂成形材料について説明する。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、ノボラック型フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、及びガラス繊維を必須成分とすることを特徴とする。
本発明に用いるノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、無触媒もしくは触媒存在下で反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂であり、例えば、クレゾール樹脂、キシレノール樹脂およびナフトール樹脂などが挙げられ、ランダムノボラック型でもハイオルソノボラック型でも用いることができる。これらの樹脂は、一般に分散比が1.5を超えてしまうことが多いことから、分画、分取等の手段により、数平均分子量(Mn)を調整するとともに、上記分散比(Mw/Mn)の範囲になるように調整して用いることができる。
本発明に用いるノボラック型フェノール樹脂は、特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が3.0〜20.0の特性を有するものが好ましい。より好ましくは前記分散比(Mw/Mn)は、3.0〜10.0である。前記下限値未満では、硬化が不十分で、硬化物の外観が良くない場合があり、前記上限値より大きいと硬化度および硬化時間にバラツキが生じるといった問題が起こる場合がある。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分散比(Mw/Mn)は、例えば、テトラヒドロフランを有機溶剤とするゲルパミエーションクロマトグラフ(GPC)による液体クトマトグラフ法により測定し、ポリスチレン換算して得ることができる。
本発明に用いるノボラック型フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1.0×103〜1.0×104が好ましい。より好ましくは、3.0×103〜6.0×103である。前記下限値未満では、架橋密度も低くなることから吸湿しやすい場合があり、前記上限値より大きいと軟化点が上昇し試作時の作業性が困難となる場合がある。
本発明のフェノール樹脂成型材料は、ノボラック型フェノール樹脂の硬化剤として、ヘキサメチレンテトラミンを含有することが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンは、成形材料全体に対して3〜18重量%含有することが好ましい。3重量%未満では、硬化が不十分な場合があり、18重量%を越えて配合しても硬化性はこれ以上良くなることはなく、逆に分解ガス等により成形不良の原因となる場合がある。
本発明に用いるロジン変性フェノール樹脂は、特に限定されないが、例えば、低分子量のフェノールノボラック、またはレゾール型フェノール樹脂と生ロジンとを200℃以上の温度で環化付加反応とエステル化反応を行い、更に、250℃以上の温度でグリセリン、エチレングリコール、ペンタエリスルトール等のポリオールとエステル化反応を行ってロジン変性フェノール樹脂を得ることができる。
前記で用いる生ロジンは、特に限定されないが、例えば、ガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジン等が挙げられる。
前記ロジン変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂成形材料中に1〜15重量%含有することが好ましい。前記下限値未満では、十分な靭性を得ることができない場合がある。前記上限値より多いと粘度が高くなり、成形時の流動性が低くなる場合がある。
前記ロジン変性フェノール樹脂は、さらにフェノール樹脂成形材料中に1〜15重量%含有することが好ましい
本発明に用いるガラス繊維は、特に限定されないが、例えば、A−ガラス、C−ガラス、D−ガラス、E−ガラス、R−ガラス、S−ガラス、T−ガラス、AR−ガラス等が挙げられる。
本発明に用いるガラス繊維の繊維径は、特に限定されないが、8〜18μmが好ましい。また、繊維長も特に限定されないが、1〜5mmのものが好ましい。前記範囲内であれば、成形材料化段階での作業性、得られた成形物の強度をより高くすることができる。
本発明に用いるガラス繊維の含有量は、フェノール樹脂成形材中に40〜80重量%であることが好ましい。40重量%未満では十分な強度が得られない場合があり、寸法変化が大きくなる。また80重量%を超えると成形材料化段階での作業性が困難であり、強度低下につながる場合がある。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、所望により、従来の熱硬化性樹脂成形材料に使用される各種添加剤、例えば硬化剤、若しくは硬化触媒、ステアリン酸亜鉛、若しくはステアリン酸カルシウムなどの離型剤、充填材と熱硬化性樹脂との接着性を向上させるための密着性向上剤、若しくはカップリング剤、着色顔料、若しくは着色染料、溶剤、またはガラス繊維等を配合することができる。密着性向上剤、カップリング剤については、樹脂との密着性を良好にし、強度を向上させる目的で、一般的にはガラス繊維のみに処理を行うが、高熱伝導性充填材及び補強材についても密着性向上剤、又はカップリング剤による表面処理をすることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂成形材料の製造方法は特に限定されないが、加圧ニーダー、二軸押出機、加熱ロール等で加熱溶融混練した混練物をパワーミル等で粉砕して製造される。また、こうして得られた成形材料は射出成形、移送成形および圧縮成形等のいずれにも適用することができる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。また表1に実施例1〜3、及び比較例1〜3の成形材料組成について示した。
Figure 2009235280
実施例及び比較例に用いた各配合物は以下の通りである。
ノボラック型フェノール樹脂:住友ベークライト社製スミライトレジン
PR−51714
ロジン変性フェノール樹脂:住友ベークライト社製スミライトレジン
PR−12603
エチレン−アクリルゴム変性フェノール樹脂:住友ベークライト社製スミライトレジン
PR−54365
ヘキサメチレンテトラミン:住友精化社製ウロトロピン
ガラス繊維:日本板硝子社製チョップドストランドRES03−BM38
着色剤:カーボンブラック
離型剤:ステアリン酸カルシウム
硬化触媒:酸化マグネシウム
これらを表1に示す割合で配合し加熱ロール間で混練後、次いでシート状にして冷却したものを粉砕して顆粒状の成形材料とした。
前記実施例1〜3、及び比較例1〜3で得られ熱硬化性樹脂成形材料を用い、以下の(1)〜(4)の特性を評価した。評価結果を表1に示す。
尚、(2)〜(4)の特性を測定するための試験片は、得られた成形材料を用いて移送成形により作成した。成形条件は金型温度175℃、硬化時間3分とした。
(1)射出成形性
実施例、及び比較例で得られた成形材料を、以下に示す条件で射出成形を行い、連続成形による射出成形性を確認した。
表1に示す各符号は、以下の通りである。
○:1時間連続成形できた場合
×:1時間連続成形できなかった場合
〔試験片の成形条件〕
・金型温度 175℃
・射出圧力 11.8MPa
・硬化時間 1.5分間
(2)機械特性
JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して、引張強度、引張弾性率、引張ひずみを測定した。
(3)シャルピー衝撃強度
JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して、シャルピー衝撃強度を測定した。
(4)絶縁抵抗
JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して、絶縁抵抗値を測定した。
なお、常態の測定前の処理条件は、20℃、65%RHの環境下で90時間である。また煮沸の測定は、前記前処理後の試験片を沸騰蒸留水中に入れて2時間煮沸し、20℃の温度に保った状態で、流れる清水中で30分間冷却した後、これを取り出し、乾燥した清浄なガーゼなどで表面の水分をふき取り、2分間放置した後測定を行った。
実施例1〜3で得られた硬化性樹脂成形材料は、引張強度、シャルピー衝撃強度とも高い値となり、靭性の指標となる引張ひずみの値も良好であった。さらに絶縁抵抗値も高い値を示した。
一方、比較例1ではロジン変性フェノール樹脂が配合されていないため、引っ張りひずみが小さい結果となった。すなわち靭性が低下した。
比較例2は、ノボラック型フェノール樹脂を配合していないため、十分な強度を得ることができなかった。さらに流動性が低いため、材料化が困難であり、連続成形性も不十分であった。比較例3は、エチレン−アクリルゴム変性フェノール樹脂を配合した成型材料であり、靭性は良好であったが、強度が低下した。
本発明のフェノール樹脂成形材料は、従来のフェノール樹脂成形材料に比べて強度、特に伸び量が向上しており、さらに強度特性を向上させることができるとともに、耐熱性や寸法精度の良好な成形材料となっている。このため、電気電子部品、自動車用部品、汎用機械部品などに好適に使用できる。

Claims (3)

  1. ノボラック型フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、及びガラス繊維を必須成分とすることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
  2. 前記ロジン変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂成形材料中に1〜15重量%含有するものである請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料。
  3. 前記ガラス繊維は、フェノール樹脂成形材料中に40〜80重量%含有するものである請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109265911A (zh) * 2018-07-18 2019-01-25 苏州华龙化工有限公司 一种玻璃棉增强保温隔热材料的制备方法

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