JPH11205356A - 通信制御システム - Google Patents

通信制御システム

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JPH11205356A
JPH11205356A JP10004956A JP495698A JPH11205356A JP H11205356 A JPH11205356 A JP H11205356A JP 10004956 A JP10004956 A JP 10004956A JP 495698 A JP495698 A JP 495698A JP H11205356 A JPH11205356 A JP H11205356A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TCP/IPプロトコルで通信を行う通信局
をEバス上に接続したときに冗長化構成をとってもユー
ザアプリケーションプログラムが冗長化を意識する必要
がない通信制御システムを実現する。 【解決手段】 TCP/IPのプロトコルに従って通信
を行う通信制御手段を搭載した通信局をネットワークア
ダプタを介してネットワークに接続する。通信制御手段
は1つの相手の通信局について1つのMACアドレスだ
けを認識している。ネットワークアダプタには固有のM
ACアドレスが付いている。ネットワークアダプタは1
つの通信局に冗長化して設けられている。冗長化制御手
段は、通信制御手段とネットワークアダプタとの間でM
ACアドレス変換を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TCP/IPのプ
ロトコルに従って通信を行う通信局をEバスに接続した
通信制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】TCP/IP(Transfer Control Protoc
ol/ Internet Protocol)は世界的に普及しているコンピ
ュータ・ネットワーク用のプロトコルである。 TCP
/IPはTCPとIPの2つのプロトコルを合わせたも
ので、 TCPはデータを正確に伝送するためのプロト
コル、 IPはネットワーク間でデータをパケット方式
で転送するためのプロトコルである。
【0003】Ethernetはコンピュータ・ネットワークに
多く用いられているLAN(Local Area Network)であ
る。なお、「Ethernet」はゼロックス社の登録商標であ
る。
【0004】図11はTCP/IPのプロトコルに従っ
て通信を行う通信局をEthernetバス(Eバスと称するこ
とにする)上に搭載した場合の概念的構成図である。こ
の図はソフトウェアとハードウェアの構成を概念的に示
した図である。通信局STはEバスB上に接続されてい
る。通信局STはネットワークアダプタNAを介してE
バスBに接続されている。IPの上にTCPとUDPが
ある。これらのプロトコルに従って、通信局STは通信
を行う。UDP(User Data Protocol)は、まとまった
単位のデータを送信するのに使用される。送信側と受信
側の通信はこのデータ送信1回だけで、通信失敗に対す
る回復機能はない。TCPは、送信側と受信側の間にコ
ネクションを張り、通信失敗後の回復などが行える。ど
ちらのプロトコルも、送受信相手はIPアドレスとプロ
トコルポート番号で認識する。TCPとUDPの上にユ
ーザアプリケーションプログラムAPがある。
【0005】図12は通信フレームの構造をTCPの場
合について示した図である。ネットワークアダプタNA
は、その上のソフトウエアの負担を軽くするため、自局
あてのフレームだけを受信する。そのため、図11に示
したEthernetヘッダには6バイトのあて先アドレス(こ
れをMACアドレスという)が付加されている。MAC
アドレスはネットワークアダプタに固有のものとして、
世界中で重複がないように指定される。TCP/IPの
伝送単位はIPパケットと呼ばれ、Ethernetフレームの
データ部に格納されている。TCP/IP通信はEthern
et以外の媒体、例えばATM(Asynchronous Transfer) 、W
AN(Wide Area Network) 等を通っても伝送されるように
設計されている。そのため、IPパケットはあて先とし
てInternetアドレス(IPアドレスという)を持ってい
る。このように、TCP/IPのプロトコルに従って通
信を行う通信局をネットワークアダプタを介してEバス
に接続すると、通信局はMACアドレスとIPアドレス
を持つことになる。IPは1つの通信局について1つの
MACアドレスしか認識しない。このことが通信システ
ムを冗長化するときのネックになっていた。
【0006】分散型制御システムにはEバスを引いたも
のがある。分散型制御システムでは、信頼性を向上させ
るために冗長化構成をとったものがある。 IPは1つ
の通信局について1つのMACアドレスしか認識しない
ことが、 Eバスを引いた分散型制御システムで冗長化
をするときの障害になっていた。
【0007】従来、TCP/IPプロトコルで通信を行
う通信局をEバス上に接続した通信制御システムにおい
て冗長化を行うときは図13の構成にしていた。図13
の(a)はTCPを使用した例、(b)はUDPを使用
した例である。図13で、 EバスはB1とB2が引か
れている。通信の送信側と受信側でネットワークアダプ
タNAからTCPあるいはUDPまでを冗長化する。冗
長化された経路のどちらを使うかはユーザアプリケーシ
ョンプログラムAPが選択する。IPアドレスとMAC
アドレスが1:1の関係にあるので、IPおよびその上
のTCPあるいはUDPも冗長化せざるを得なくなって
いる。冗長化の制御はユーザアプリケーションプログラ
ムプログラムAPで行う。
【0008】しかし、この従来例では次の問題点があっ
た。 冗長化の制御はユーザアプリケーションプログラムで
行わなければならず、負荷になる。 TCPを二重化すると、コネクション管理などの資源
(メモリ)を2倍必要とする。 TCPはストリーム型の通信で、データの単なる流れ
として通信されるので、TCPのコネクションを二重化
すると切り替えとデータの切れ目の相関がつけにくい。 TCPのコネクション維持のための通信が必要で、二
重化するとネットワークの負荷を増やしてしまう。 UDPを二重化すると上の問題はなくなるが、データ
の順番がわからなくなる。 UDPの二重化ではデータが失われても回復できな
い。 上の問題解決のためにはユーザアプリケーションプロ
グラムで回復処理が必要になり、負荷が大きい。 一般のTCP/IPアプリケーションはこのような冗
長化を仮定しておらず、特殊なアプリケーション以外は
冗長化の効果を享受できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決するためになされたものであり、 冗長化部分
の切り替えが行われてもIPに対してはIPが認識して
いるMACアドレスが受け渡される構成にすることによ
り、 TCP/IPプロトコルで通信を行う通信局をE
バス上に接続したときに冗長化構成をとってもユーザア
プリケーションプログラムが冗長化を意識する必要がな
い通信制御システムを実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は次のとおりの構
成になった通信制御システムである。
【0011】(1)ネットワーク上にネットワークアダ
プタを介して通信局を接続し、この通信局には通信制御
手段が設けられ、この通信制御手段はTCP/IPのプ
ロトコルに従って通信を行い、前記ネットワークアダプ
タには固有のMACアドレスが付けられ、前記通信制御
手段は1つの相手の通信局について1つのMACアドレ
スだけを認識している通信制御システムにおいて、通信
制御手段は1つの通信局に1個だけ搭載され、ネットワ
ークアダプタは1つの通信局に冗長化して設けられてい
るとともに、ネットワークアダプタと通信制御手段の間
に介在し、通信制御手段から送信要求があったときは、
送信要求の中にある送信先のMACアドレスを通信相手
となるネットワークアダプタのMACアドレスに変換す
るとともに、受信をしたときは、受信フレームに付いて
きた送信元のMACアドレスを自局の通信制御手段が認
識しているMACアドレスに変換する冗長化制御手段を
具備したことを特徴とする通信制御システム。
【0012】(2)前記冗長化制御手段はアドレス変換
表を有し、ネットワークアダプタの通信相手となるネッ
トワークアダプタがこのアドレス変換表で定義されてい
ることを特徴とする(1)記載の通信制御システム。
【0013】(3)前記アドレス変換表にはネットワー
クアダプタのMACアドレスと、このネットワークアダ
プタの通信相手となるネットワークアダプタのMACア
ドレスとが対にして書かれていることを特徴とする
(1)記載の通信制御システム。
【0014】(4)前記冗長化制御手段は、冗長化され
たネットワークアダプタのいずれか1つを常用側として
選択して通信を行うことを特徴とする(1)記載の通信
制御システム。
【0015】(5)前記冗長化制御手段は、常用側とな
るネットワークアダプタを切り替えて通信を行うことを
特徴とする(4)記載の通信制御システム。
【0016】(6)常用側のネットワークアダプタから
ネットワークを診断するための診断フレームを所定の周
期で送信させる診断手段を具備したことを特徴とする
(4)記載の通信制御システム。
【0017】(7)前記診断手段は、所定の周期で診断
フレームとしてICMPのエコーを送信し、この所定の
周期よりも長い時間が経過しても応答が返ってこないと
きは異常が発生したと判断することを特徴とする(6)
記載の通信制御システム。
【0018】(8)前記診断手段はネットワーク上の全
ての通信局に診断フレームを送信することを特徴とする
(6)記載の通信制御システム。
【0019】(9)前記診断手段は通信経路を確保する
ために必要な通信局だけに診断フレームを送信すること
を特徴とする(6)記載の通信制御システム。
【0020】(10)送信局の冗長化制御手段は全ての
ネットワークアダプタに対して送信を行い、受信局の冗
長化制御手段は冗長化されたネットワークアダプタで受
信した複数の通信フレームのうち自局の通信制御手段が
認識しているMACアドレスが付いた通信フレームだけ
を選んで通信制御手段に渡すことを特徴とする(2)ま
たは(3)記載の通信制御システム。
【0021】(11)受信局の冗長化制御手段は、常用
側のネットワークアダプタで受信した通信フレームを自
局の通信制御手段へ渡し、他のネットワークアダプタで
受信した通信フレームは診断フレームとして用いること
を特徴とする(10)記載の通信制御システム。
【0022】(12)受信局の冗長化制御手段は、常用
側のネットワークアダプタを切り替えることを特徴とす
る(10)記載の通信制御システム。
【0023】(13)受信局の冗長化制御手段は、常用
側のネットワークアダプタに受信がないのに他のネット
ワークアダプタに受信があったときは、受信があったネ
ットワークアダプタを新たな常用側のネットワークアダ
プタとし、それまでに常用側であったネットワークアダ
プタは待機側とすることを特徴とする(11)または
(12)記載の通信制御システム。
【0024】(14)受信局の冗長化制御手段は、最初
に通信フレームを受信したネットワークアダプタからの
通信フレームを通信制御手段へ渡し、他のネットワーク
アダプタから受信した通信フレームは診断フレームとし
て用いることを特徴とする(10)記載の通信制御シス
テム。
【0025】(15)通信制御手段は仮想MACアドレ
スを定義し、冗長化制御手段は実際のMACアドレスと
前記仮想MACアドレスの変換を行うことを特徴とする
(1)記載の通信制御システム。
【0026】(16)前記仮想MACアドレスとして、
システムが立ち上がったときの相手通信局の実際のMA
Cアドレスを用いることを特徴とする(15)記載の通
信制御システム。
【0027】(17)冗長化制御手段は受信の成功に従
ってアドレス変換表を更新することを特徴とする(2)
から(16)のいずれかに記載された通信制御システ
ム。
【0028】(18)ネットワーク上に通信局を接続
し、この通信局には通信制御手段が設けられ、この通信
制御手段はTCP/IPのプロトコルに従って通信を行
い1つの相手の通信局について1つのMACアドレスだ
けを認識している通信制御システムにおいて、前記通信
制御手段は1つの通信局に1個だけ搭載され、1つの通
信局に冗長化して設けられたポートと、このポートと通
信制御手段の間に介在し、 MACアドレスを持ってい
て、ポートに入出力される通信フレームを送受信するネ
ットワークコントローラと、常用側のポートを切り替え
たときに、通信制御手段が認識しているMACアドレス
が付いたネットワークコントローラを新たな常用側のポ
ートに接続するポート制御手段と、を具備したことを特
徴とする通信制御システム。
【0029】(19)前記ポート制御手段は、常用側の
ポートに通常の通信を行わせるとともに、他のポートに
対してはネットワークの診断だけを行うことを特徴とす
る(18)記載の通信制御システム。
【0030】(20)ネットワークを診断するための診
断フレームを所定の周期でポートから送信する診断手段
を具備したことを特徴とする(18)記載の通信制御シ
ステム。
【0031】(21)前記診断手段は、所定の周期で診
断フレームとしてICMPのエコーを送信し、この所定
の周期よりも長い時間が経過しても応答が返ってこない
ときは異常が発生したと判断することを特徴とする(1
8)記載の通信制御システム。
【0032】(22)前記診断手段は、常用側のポート
と他のポートとで診断フレームを送信する周期を異なら
せたことを特徴とする(18)記載の通信制御システ
ム。
【0033】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明を詳しく
説明する。図1は本発明の一実施例を示す概念的構成図
である。図1で、前出の図と同一のものは同一符号を付
ける。
【0034】図1で、通信局STNはEバスB1,B2
上に接続されている。図1では通信局STNは2つのネ
ットワークアダプタNA1,NA2と単一のTCP/I
Pを持ち、その間に冗長化ソフトウエアSがある。冗長
化ソフトウエアSは内部にMACアドレス変換表Tを持
つ。TCP/IPの上には、 TCP/IPの機能を使
用する通常のユーザーアプリケーションプログラムAP
が存在する。
【0035】図2は図1の具体的構成例を示した図であ
る。ネットワークアダプタNA1,NA2は、1つの通
信局に冗長化して設けられ、それぞれに固有のMACア
ドレスが割り付けられている。通信制御手段1は、1つ
の通信局に1個ずつ搭載され、TCP/IPの通信規約
に従って通信を行う。変換表メモリ2にはアドレス変換
表が格納されている。冗長化制御手段3は、ネットワー
クアダプタNA1,NA2と通信制御手段1の間に介在
し、通信制御手段1から送信要求があったときは、送信
要求の中にある送信先のMACアドレスを通信相手とな
るネットワークアダプタのMACアドレスに変換すると
ともに、受信をしたときは、受信フレームに付いてきた
送信元のMACアドレスを自局の通信制御手段1が認識
しているMACアドレスに変換する。冗長化制御手段3
が冗長化ソフトウェアSを実行する。AP実行手段4
は、 TCP/IPの機能を用いてユーザーアプリケー
ションプログラムAPを実行する。診断手段5は、通信
が正常に行われているかどうかを診断する。
【0036】この実施例の動作を説明する。図3は冗長
化した通信局を3局設けたネットワークを示す。局A,
B,C はそれぞれ2個ずつネットワークアダプタNA
1,NA2を持ち、それぞれのMACアドレスを MA1,
MA2, MB1,MB2, MC1, MC2 とする。3局はそれぞれ冗長
化されたEバスB1,B2で接続されているが、バスの
接続には依存しない。単一のバスに接続されても動作す
る。
【0037】3局の冗長化ソフトウエアには、図4に示
すMACアドレス変換表が定義されている。この変換表
により各ネットワークアダプタは通信相手が決まってい
る。IPのプロトコルで通信を行う通信制御手段1は、
「1」を付けた側の相手局のMACアドレス(この例で
はMA1, MB1, MC1,)を認識している。これは、相手局の
MACアドレスを知るため、IPアドレスを知るための
Ethernetフレームをブロードキャストし、そのIPアド
レスを持った局が応答してくること(ARP: Address Re
solution Protocol)を利用して、受信時にIPに1側の
MACアドレスを渡すことで実現できる。
【0038】局Aで局Bに送信要求がある場合、局Aの
IPは冗長化ソフトウエアに送信したいIPパケットと
相手のMACアドレス(MB1) を渡す。通信は次の手順
で行われる。 (1) 局Aの冗長化ソフトウエアが1側に送信する場合
は、MB1に送信する。 (2) 局Aの冗長化ソフトウエアが2側に送信する場合
は、アドレス変換表に従いMB2に送信する。 (3) 局BでMB1側からフレームを受信した場合、そのフ
レームには送信元ネットワークアダプタが自局のMAC
アドレス(MA1)をつけてくる。局Bでは変換表からMA1
をそのまま使う。 (4) 局BでMB2側からフレームが受信した場合、そのフ
レームには送信元ネットワークアダプタが自局のMAC
アドレス(MA2)をつけて来ている。局Bでは変換表か
らMA1を送信元のMACアドレスとして使う。 以上の動作により、局Aからの送信データは局Bに到達
する。通信に用いるネットワークアダプタが切り替えら
れても、送信側と受信側のIPでは、常に1側のMAC
アドレスが扱われる。
【0039】送信側でどちらのネットワークアダプタを
選ぶか、受信側でどちらのネットワークアダプタをIP
に送るかは以下の冗長化アルゴリズムによる。第1の冗
長化アルゴリズムでは、送信側は必ず1つの常用ネット
ワークアダプタに送信する。2局間で通信をするとき、
それぞれの方向で常用側が異なっていてもいい。同じ通
信フレームが重複して受信されることはないので、受信
側の冗長化ソフトウエアはMACアドレスの変換だけを
行い、すべての受信フレームをIPに送る。
【0040】冗長化ソフトウエアは送信するネットワー
クアダプタを交互に使用してもよい。経路に異常が発見
されたときは、そちらを使用しない。これで故障直後の
1回を除き、フレームは伝播される。
【0041】送信側は常用側を固定して使用してもよ
い。常用側の経路に異常が発見されたときのみ待機側に
切り替える。
【0042】常用側と待機側にするネットワークアダプ
タを切り替えて使用してもよい。切替は毎回ではなく、
適当な周期あるいは送信回数毎に切り替えてもよい。
【0043】経路の故障を積極的に調べるため、適当な
間隔で相手との間でEthernetフレームの交換を行い、経
路の診断に利用してもよい。診断は常用側、待機側の両
方で行ってもよい。
【0044】診断は、Internetの標準プロトコルに含ま
れるICMPのechoを利用してもよい。これは、相手局IP
に対しecho requestを送信すると、相手がecho respons
e を返してくる。この応答が返ったことを利用して、診
断とするものである。
【0045】診断をEthernet上のすべてのMACアドレ
スに対して行ってもよい。すべてのケースが尽くされる
ので、常に正常な伝送が保証される。
【0046】経路確保に必要な通信局だけに診断フレー
ムを送ってもよい。例えば、ネットワーク上に独自のI
Pアドレスを持ったルータやスイッチが存在すると、そ
こまでの経路を確保するため、ルータやスイッチにだけ
診断フレームを送信する。このようにすると、診断フレ
ームがいたずらにネットワーク上に送られることがな
く、ネットワークの混雑を緩和できる。
【0047】第2の冗長化アルゴリズムでは、送信する
ときには両方のネットワークアダプタに対し、送信先の
MACアドレスを変更した後で、送信を要求する。受信
局では同じフレームが重複して受信されるので、受信局
で冗長なフレームを除去してもよい。
【0048】受信側は常用側を固定して使用し、当該ネ
ットワークアダプタからのフレームだけをIPに渡し、
他からの受信は診断の目的だけに使用してもよい。常用
側の経路に異常が発見されたときのみ待機側に切り替え
る。
【0049】受信するネットワークアダプタを交互ある
いは適当な周期で切り替える。他からの受信は診断の目
的だけに使用する。受信側の経路に異常が発見されたと
きは待機側に切り替える。
【0050】常用としている受信アダプタに受信がない
のに、他のアダプタに受信があった場合には常用アダプ
タの経路に異常があったとして、切替を行ってもよい。
【0051】最初にフレームが受信されたアダプタから
のフレームだけをIPに渡してもよい。他からの受信は
診断の目的だけに使用する。
【0052】上述したMACアドレスの他に仮想MAC
アドレスを定義してもよい。仮想MACアドレスの使用
は、前述した冗長化アルゴリズムとは独立の機能で、こ
れらとも共存できる。MACアドレス変換表には、仮想
MACアドレスが載っている。仮想MACアドレスと
は、IPが使用する通信相手のMACアドレスのこと
で、実際の相手のMACアドレスと相関がある必要も、
相手がその仮想MACアドレスを知っている必要もな
い。
【0053】図5は仮想MACアドレスを載せたMAC
アドレス変換表の一例を示した図である。IPは仮想M
ACアドレスだけを知らされる。 IPに仮想MACア
ドレスを知らせるのは前述したARPを利用して行う。局
Aで局Bへの送信要求が発生した場合、局Aの冗長化ソ
フトウエアはMAC-Bへ送るIPパケットを与えられ
る。この時1側に送る場合はMACアドレスをMB1に、2
側に送る場合はMACアドレスMB2に変更して送信す
る。局B側では送信元MACアドレスがMA1の場合もMA2
の場合もMACアドレスをMAC-Aに変更してIPに
伝える。
【0054】こうしておくことで、IPの使用するMA
Cアドレスはハードウエアに依存せず、故障からの復帰
が容易になる。例として局Aの1側のネットワークアダ
プタが故障して交換する場合を考える。経路1側は故障
しているが、通信は継続している。ここで1側のネット
ワークアダプタを交換すると、新しいアダプタは以前と
は異なるMACアドレス、例えばMA3を持つ。図4のア
ドレス変換表では局BのMACアドレス変換表のMA1をM
A3に変更すると、IPの使っていたMACアドレスMA1
がMACアドレス変換表に存在しなくなってしまい、コ
ネクションが切れるなどの問題が発生する。仮想MAC
アドレスを使用すると、相手の具体的なMACアドレス
を書き換えるだけなので、IPの動作に影響を与えずに
交換できる。
【0055】仮想MACアドレスの選択として、最初に
使用されていたMACアドレスを使用してもよい。例え
ば、上表で局BのMACアドレス変換表では、MAC-
A =MA1, MAC-C= MC1 と初期化する。このこと
で、MACアドレスの決定に伴う手間を省略できる。故
障によって実際のMACアドレスが変わった後は、仮想
MACアドレスだけが元の情報を持っている。
【0056】各ネットワークアダプタからの受信したM
ACアドレスを用いてMACアドレス変換表を更新して
もよい。システム立ち上げ時には必ずARPのアドレス決
定が入るので、MACアドレス変換表を自動的に生成す
ることができる。また、一部のネットワークアダプタを
交換した場合、そのアダプタからのフレームを受信する
ことで、新しいアダプタを冗長化の仕組みに組み入れて
いくことができる。
【0057】図6は本発明の他の実施例の概念的構成図
である。図6では、2つのポートPA1,PA2と単一
のTCP/IPを持ち、その間にポート管理手段PTが
ある。ポート管理手段PTは通常のオペレーティングシ
ステム上ではデバイスドライバの一部として実装するこ
とができる。TCP/IPの上には、 TCP/IPの
機能を使用する通常のユーザーアプリケーションプログ
ラムAPが存在する。
【0058】図7は図6の具体的構成例を示した図であ
る。ポートPA1,PA2は、通信フレームを入出力す
るだけでMACアドレスをもたない。ポートPA1,P
A2の上位に接続されたネットワークコントローラNC
1,NC2が MACアドレスを持っている。ポート制
御手段6は、常用側のポートを切り替えたときに、通信
制御手段1が認識しているMACアドレスが付いたネッ
トワークコントローラを新たな常用側のポートに接続す
る。
【0059】この実施例の動作を説明する。図8は冗長
化通信局を3台接続したネットワークを示す。局A,
B, Cはそれぞれ2個ずつポートを持ち、それぞれのポ
ートに接続されたネットワークコントローラのMACアド
レスを MA1, MA2, MB1,MB2, MC1, MC2 とし、常用側の
MACアドレスを1(この例ではMA1, MB1, MC1,)とす
る。図では3局は単一のネットワークに接続されている
が、これに限らない。任意のポート間に経路が設定でき
るなら、ブリッジBで接続された別個のネットワークで
あってもよい。
【0060】例として局Aと局Bが通信を行う場合を考
える。両者の常用側ポートはPA1、常用側のポートと接
続されたネットワークコントローラのMACアドレスはそ
れぞれMA1とMB1である。TCPコネクションは4つのパラ
メータ、すなわち局AのIPアドレス, MA1, 局BのIP
アドレス, MB1で指定される。いま、局Aの常用側ポー
トに異常が検出された場合を考える。局Aは常用側の異
常を検出したので、ポート管理手段PTはポートPA2にM
ACアドレスがMA1のネットワークコントローラを接続
し、通信を継続させる。これによって、局Bから見る
と、相手のIPアドレスもMACアドレスも変化しないの
で、通信は継続される。局AのポートPA1に接続された
ネットワークコントローラのMACアドレスはこの例ではM
A2となり、このMACアドレスを使った診断を継続するこ
とで回復を待つ。
【0061】常用側のポートで通信する特定の2局A,
B間の経路に存在する要素は、 局Aの送信回路 2局AB間の常用側ポート間のネットワーク要素(ケ
ーブルなど) 局Bの受信回路 局Bの送信回路 局Aの受信回路 である。本実施例では、局Aでのポート切り替えの要因
は,,であり、他の要因は局B側での切り替えが
起こることで回復される。Eバスでは特定局間での通信
は必要な時にしか起こらないので、これだけで常時監視
することはできない。診断のため、局AからICMPの ech
oを他局に送信する。レスポンスが返ってくれば、局A
の送受信回路と相手局との間のネットワークが正常であ
ることが分かる。
【0062】異常検出のアルゴリズムには複数があり得
る。 (1)診断周期より長い一定時間以上受信が行われない
場合あるいはに異常があるとする。 (2)診断用のechoレスポンスが帰ってこない局では
〜に異常がある場合がある。一定時間以上待って回復
しない場合はの可能性があるので、自局側で切り替え
る。待機側でも同様の診断が必要だが、その周期は常用
側より長くてもいい。
【0063】診断は経路確保に必要な機器だけに診断フ
レームを送るだけでよい。例えば、ネットワーク上に独
自のIPアドレスを持ったルータやスイッチが存在する
と、そこまでの経路を確保するため、ルータやスイッチ
にだけ診断フレームを送信する。もちろん、すべての相
手局に対して診断を行ってもよい。
【0064】ネットワーク上に送り先のMACアドレスに
応じて動作するブリッジやスイッチがある場合、ポート
を切り替えた場合にはその送信先も変えてやらなければ
ならない。ポートの切り替え直後に他局にechoを送信
し、これらのブリッジやスイッチの送信先を強制的に切
り替えるとよい。
【0065】図9及び図10はポート管理手段PTの構
成例を示した図である。図9では、ネットワークコント
ローラNC1,NC2毎にMACアドレスを指定してお
き、どのポートを使用するかをスイッチSW1,SW2
で切り替える。スイッチSW1,SW2の切り替えはポ
ート制御手段6で行う。この構成例では切り替えに要す
る時間が短くて済む。ネットワークコントローラNC
1,NC2は通信制御手段1とEバスB1,B2との間
で通信フレームを受け渡すためのものである。
【0066】図10では、ネットワークコントローラN
C1,NC2とポートPA1,PA2を1対1で組み合わ
せ、MACアドレスの変更は、ポート制御手段6が各コン
トローラNC1,NC2にアドレスを設定することで行
う。この構成例では切り替え時間は長くなるが、常用側
コントローラが故障しても対応できる。なお、図9と図
10の両者を同時に実現してもよい。
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば次の
効果が得られる。
【0067】請求項1乃至請求項5、請求項10及び請
求項15乃至18の発明によれば次の効果が得られる。 特殊なハードウエアを使用しない。パソコンなどでは
市販のネットワークアダプタがそのまま使用できる 冗長化していない局も、このシステムに同居できる
(常用側になる)ので、全体的なコストを押さえられ
る。 IPより上に特殊な機能を要求しないので、ユーザア
プリケーションプログラムの負荷にならない。 ユーザアプリケーションプログラムは冗長化を意識し
ないので、従来からある他のアプリケーションもそのま
まで冗長化の利点を享受できる。 TCPコネクションは冗長でないので、メモリを多く
必要としない。MACアドレス管理テーブルは相手局あ
たり例えば数十バイトで足りる。 経路の切替があっても、TCPのコネクションは維持
される。故障の影響がユーザアプリケーションプログラ
ムにおよばない。 ネットワークの通信負荷は増えない。冗長化アルゴリ
ズムでは、ケーブルが独立している場合が多い。 従来型の冗長化ネットワークとも共存できる。
【0068】請求項6乃至請求項9及び請求項11乃至
請求項14の発明によれば次の効果が得られる。 ネットワーク上の要素の診断がオンラインで行え、ほ
とんどの場合故障によりデータが失われることもない。 故障からの復帰が自動化できる。
【0069】請求項19乃至請求項22に記載された発
明によれば、請求項1乃至請求項18に記載された発明
により得られる効果に加えて次の効果が得られる。 故障したポート(あるいは経路)からの切り替えがス
ムーズに行える。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概念的構成図である。
【図2】図1の具体的構成例を示した図である。
【図3】本発明の動作説明図である。
【図4】本発明の動作説明図である。
【図5】本発明の動作説明図である。
【図6】本発明の他の実施例の概念的構成図である。
【図7】本発明の動作説明図である。
【図8】本発明の動作説明図である。
【図9】ポート管理手段の構成例を示した図である。
【図10】ポート管理手段の構成例を示した図である。
【図11】TCP/IPのプロトコルに従って通信を行
う通信局をEバスをEバス上に搭載した場合の概念的構
成図である。
【図12】通信フレームの構造を示した図である。
【図13】冗長化構成をとった通信制御システムの従来
例の構成図である。
【符号の説明】
STN ステーション B1,B2 バス NA1,NA2 ネットワークアダプタ PA1,PA2 ポート NC1,NC2 ネットワークコントローラ 1 通信制御手段 2 変換表メモリ 3 冗長化制御手段 5 診断手段 6 ポート制御手段

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネットワーク上にネットワークアダプタ
    を介して通信局を接続し、この通信局には通信制御手段
    が設けられ、この通信制御手段はTCP/IPのプロト
    コルに従って通信を行い、前記ネットワークアダプタに
    は固有のMACアドレスが付けられ、前記通信制御手段
    は1つの相手の通信局について1つのMACアドレスだ
    けを認識している通信制御システムにおいて、 通信制御手段は1つの通信局に1個だけ搭載され、ネッ
    トワークアダプタは1つの通信局に冗長化して設けられ
    ているとともに、ネットワークアダプタと通信制御手段
    の間に介在し、通信制御手段から送信要求があったとき
    は、送信要求の中にある送信先のMACアドレスを通信
    相手となるネットワークアダプタのMACアドレスに変
    換するとともに、受信をしたときは、受信フレームに付
    いてきた送信元のMACアドレスを自局の通信制御手段
    が認識しているMACアドレスに変換する冗長化制御手
    段を具備したことを特徴とする通信制御システム。
  2. 【請求項2】 前記冗長化制御手段はアドレス変換表を
    有し、ネットワークアダプタの通信相手となるネットワ
    ークアダプタがこのアドレス変換表で定義されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の通信制御システム。
  3. 【請求項3】 前記アドレス変換表にはネットワークア
    ダプタのMACアドレスと、このネットワークアダプタ
    の通信相手となるネットワークアダプタのMACアドレ
    スとが対にして書かれていることを特徴とする請求項1
    記載の通信制御システム。
  4. 【請求項4】 前記冗長化制御手段は、冗長化されたネ
    ットワークアダプタのいずれか1つを常用側として選択
    して通信を行うことを特徴とする請求項1記載の通信制
    御システム。
  5. 【請求項5】 前記冗長化制御手段は、常用側となるネ
    ットワークアダプタを切り替えて通信を行うことを特徴
    とする請求項4記載の通信制御システム。
  6. 【請求項6】 常用側のネットワークアダプタからネッ
    トワークを診断するための診断フレームを所定の周期で
    送信させる診断手段を具備したことを特徴とする請求項
    4記載の通信制御システム。
  7. 【請求項7】 前記診断手段は、所定の周期で診断フレ
    ームとしてICMPのエコーを送信し、この所定の周期
    よりも長い時間が経過しても応答が返ってこないときは
    異常が発生したと判断することを特徴とする請求項6記
    載の通信制御システム。
  8. 【請求項8】 前記診断手段はネットワーク上の全ての
    通信局に診断フレームを送信することを特徴とする請求
    項6記載の通信制御システム。
  9. 【請求項9】 前記診断手段は通信経路を確保するため
    に必要な通信局だけに診断フレームを送信することを特
    徴とする請求項6記載の通信制御システム。
  10. 【請求項10】 送信局の冗長化制御手段は全てのネッ
    トワークアダプタに対して送信を行い、受信局の冗長化
    制御手段は冗長化されたネットワークアダプタで受信し
    た複数の通信フレームのうち自局の通信制御手段が認識
    しているMACアドレスが付いた通信フレームだけを選
    んで通信制御手段に渡すことを特徴とする請求項2また
    は3記載の通信制御システム。
  11. 【請求項11】 受信局の冗長化制御手段は、常用側の
    ネットワークアダプタで受信した通信フレームを自局の
    通信制御手段へ渡し、他のネットワークアダプタで受信
    した通信フレームは診断フレームとして用いることを特
    徴とする請求項10記載の通信制御システム。
  12. 【請求項12】 受信局の冗長化制御手段は、常用側の
    ネットワークアダプタを切り替えることを特徴とする請
    求項10記載の通信制御システム。
  13. 【請求項13】 受信局の冗長化制御手段は、常用側の
    ネットワークアダプタに受信がないのに他のネットワー
    クアダプタに受信があったときは、受信があったネット
    ワークアダプタを新たな常用側のネットワークアダプタ
    とし、それまでに常用側であったネットワークアダプタ
    は待機側とすることを特徴とする請求項11または12
    記載の通信制御システム。
  14. 【請求項14】 受信局の冗長化制御手段は、最初に通
    信フレームを受信したネットワークアダプタからの通信
    フレームを通信制御手段へ渡し、他のネットワークアダ
    プタから受信した通信フレームは診断フレームとして用
    いることを特徴とする請求項10記載の通信制御システ
    ム。
  15. 【請求項15】 通信制御手段は仮想MACアドレスを
    定義し、冗長化制御手段は実際のMACアドレスと前記
    仮想MACアドレスの変換を行うことを特徴とする請求
    項1記載の通信制御システム。
  16. 【請求項16】 前記仮想MACアドレスとして、シス
    テムが立ち上がったときの相手通信局の実際のMACア
    ドレスを用いることを特徴とする請求項15記載の通信
    制御システム。
  17. 【請求項17】 冗長化制御手段は受信の成功に従って
    アドレス変換表を更新することを特徴とする請求項2か
    ら請求項16のいずれかに記載された通信制御システ
    ム。
  18. 【請求項18】 ネットワーク上に通信局を接続し、こ
    の通信局には通信制御手段が設けられ、この通信制御手
    段はTCP/IPのプロトコルに従って通信を行い1つ
    の相手の通信局について1つのMACアドレスだけを認
    識している通信制御システムにおいて、前記通信制御手
    段は1つの通信局に1個だけ搭載され、1つの通信局に
    冗長化して設けられたポートと、このポートと通信制御
    手段の間に介在し、 MACアドレスを持っていて、ポ
    ートに入出力される通信フレームを送受信するネットワ
    ークコントローラと、 常用側のポートを切り替えたときに、通信制御手段が認
    識しているMACアドレスが付いたネットワークコント
    ローラを新たな常用側のポートに接続するポート制御手
    段と、を具備したことを特徴とする通信制御システム。
  19. 【請求項19】 前記ポート制御手段は、常用側のポー
    トに通常の通信を行わせるとともに、他のポートに対し
    てはネットワークの診断だけを行うことを特徴とする請
    求項18記載の通信制御システム。
  20. 【請求項20】 ネットワークを診断するための診断フ
    レームを所定の周期でポートから送信する診断手段を具
    備したことを特徴とする請求項18記載の通信制御シス
    テム。
  21. 【請求項21】 前記診断手段は、所定の周期で診断フ
    レームとしてICMPのエコーを送信し、この所定の周
    期よりも長い時間が経過しても応答が返ってこないとき
    は異常が発生したと判断することを特徴とする請求項1
    8記載の通信制御システム。
  22. 【請求項22】 前記診断手段は、常用側のポートと他
    のポートとで診断フレームを送信する周期を異ならせた
    ことを特徴とする請求項18記載の通信制御システム。
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