JPH11202518A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH11202518A
JPH11202518A JP544798A JP544798A JPH11202518A JP H11202518 A JPH11202518 A JP H11202518A JP 544798 A JP544798 A JP 544798A JP 544798 A JP544798 A JP 544798A JP H11202518 A JPH11202518 A JP H11202518A
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JP
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conductive
image
undercoat layer
charge
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JP544798A
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English (en)
Inventor
Keiko Hiraoka
敬子 平岡
Shunichiro Nishida
俊一郎 西田
Yayoi Nagao
弥生 長尾
和夫 ▲吉▼永
Kazuo Yoshinaga
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機能分離型感光体も、使用環境によって特性
が変化し、画像欠陥を生じる。とくに低コストな電子写
真感光体を生産する上で望ましい干渉縞防止用の球状樹
脂粒子を含有した導電性樹脂層を導電性支持体に用いた
場合には、下引き層を用いても環境安定性の向上と画像
欠陥等の低減された高画質化の両立が困難であった。 【解決手段】 導電性支持体の上に少なくとも下引き
層、電荷発生層および電荷輸送層を有する機能分離型感
光体において、下引き層が酸化ジルコニウムを含有する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機能分離型感光体に
おいて、露光光として可干渉光を用いる電子写真装置に
用いられる電子写真感光体に関するもので、特に、改良
された下引き層を有する電子写真感光体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式による複写機、プリンター
は広範囲に普及しており、コンピュータの進歩により、
デジタル画像処理方式が一般化し、ますます高耐久化、
高解像度、高画質化、低コスト化が求められている。
【0003】このような要求に対して電子写真感光体に
求められる機能を感光体の複数の部材に分担させる機能
分離型電子写真感光体が検討されている。
【0004】該機能分離型電子写真感光体においては導
電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層を形成したもの
が用いられるが、アルミニウム、ステンレススチール、
鉄等の金属支持体上に直接電荷輸送層を設けたものは金
属支持体の凹凸やその物性により、ポチ、ガサツキ、ピ
ンホール等の画像欠陥が発生しやすく、繰り返し安定
性、接着強度が不十分であった。
【0005】このような問題に対して高純度なアルミニ
ウムに高精度な表面加工を施した支持体を用いたり、陽
極酸化により表面改質した支持体を用いたり、導電性微
粒子を高分子化合物中に分散した導電性樹脂層を金属支
持体上に形成した支持体を用いたりすることが検討され
ている。
【0006】しかしながら、上記電子写真特性への要求
が厳しくなるにともない、さらに導電性支持体と電荷発
生層の間に下引き層と呼ばれる機能層を設けることが検
討されている。
【0007】例えば、ポリパラキシレン、カゼイン、ポ
リビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリビニルアセ
タール、メラミン樹脂、ニトロセルロース、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルピリジン、ポリビニルメチルエーテル等の樹
脂層を用いることが知られている。
【0008】その他には、ジルコニウムキレート化合
物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニ
ウム化合物やシランカップリング剤を用いて下引き層を
形成することも知られている。(特開昭59−2234
39号公報、特開昭61−94057号公報、特開昭6
2−273549号公報、特開平4−145446号公
報等) さらに上述のような感光体上に電子写真プロセスにより
画像を形成する場合に、デジタル露光系を用いると露光
時にレーザー光が感光層を透過して導電性支持体まで達
して反射され、レーザー光がコヒーレント光であるため
に膜厚干渉が生じ、これにより画像上に干渉縞模様の濃
度むらが現われる。
【0009】これを防ぐためにさまざまな方法で反射光
を拡散反射光として位相を変化させ干渉縞の発生を防ぐ
手順が取られており、例えば導電性支持体自身に細かい
凹凸をつける、導電性支持体を陽極酸化して凹凸をつけ
るなどがあるが、光を散乱させるための球状樹脂粉体を
適当なバインダーに分散させ導電性支持体を被覆する方
法が、ディッピング塗工で済み生産性がよい。球状樹脂
粉体の粒径は0.3μm〜4μmが好ましく、なぜなら
球状樹脂粉体の粒径が0.3μmより小さくなると、粒
子による光の散乱効果が得られず、4μmよりも大きく
なると下引き層の表面凹凸が大きくなり、この上に塗工
する電荷発生層に塗りむら等が生じて画像劣化の要因に
なるためである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな機能分離型感光体を用いても使用環境によって感光
体の特性が変化し、黒ポチ、かぶりなどと呼ばれる画像
欠陥を生じることが知られている。たとえば、低湿下で
用いると、下引き層内に電荷が蓄積してしまって残留電
位が大きくなり、高温高湿下で用いると、導電性基板側
からホールが注入されてしまい、帯電を行っても感光体
上に電荷が乗らない部分ができ画像欠陥を生じる。近年
の電子写真方式の画像形成装置においては高解像化が求
められているために電子写真感光体の光導電層の薄膜化
が必要であり上記課題の解決はますます重要になってい
る。
【0011】とくに低コストな電子写真感光体を生産す
る上で望ましい干渉縞防止用の球状樹脂粒子を含有した
導電性樹脂層を導電性支持体に用いた場合には前記下引
き層を用いても環境安定性の向上と画像欠陥等の低減さ
れた高画質化の両立が困難であった。
【0012】本発明の目的は、低コストであって、残留
電位が少なく、あらゆる環境下においてポチやかぶりの
ない安定した高画質を実現するデジタル露光用電子写真
感光体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このため本発明の電子写
真感光体においては、機能分離型感光体において導電性
支持体を球状樹脂粉体を含む樹脂で被覆し、導電性支持
体と電荷発生層の間に下引き層を設け下引き層中に酸化
ジルコニウムを含有させることにより、あらゆる使用環
境下において安定した画像を出力することのできる電子
写真感光体を提供することを特徴とするものである。
【0014】さらに下引き層中に、酸化ジルコニウムと
ともに酸化チタンを含有させることもできる。
【0015】有機光導電性化合物を用いた電子写真感光
体は成膜性がよく、塗工によって生産できるため、極め
て生産性が高く安価な感光体を提供できる利点を有して
いる。また、使用する染料や顔料の選択により、感色性
を自在にコントロールできるなどの利点を有し、これま
で、幅広い検討が成されてきた。特に最近では、有機光
導電性染料や顔料を含有した電荷発生層と前述の光導電
性ポリマーや低分子の光導電性物質を含有した電荷輸送
層を積層した機能分離型感光体の開発により、従来の有
機電子写真感光体の欠点とされていた感度や耐久性に著
しい改善が成されてきた。
【0016】本発明は、改良された下引き層を有するこ
とにより、これらの性能をさらに向上させた電子写真感
光体を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体は、少な
くとも電荷発生層と電荷輸送層を有する機能分離型のも
のである。
【0018】電荷発生材料としては、例えば、セレン−
テルル、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フ
タロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベン
ズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、トリスア
ゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾ系顔料、インジゴ系顔
料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等を用いるこ
とができる。
【0019】電荷輸送性化合物は電子輸送性化合物と正
孔輸送性化合物に大別される。
【0020】電子輸送性化合物としては、2,4,7−
トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニト
ロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタ
ン、およびアルキル置換ジフェノキノン等の電子受容性
化合物やこれらの電子受容性化合物を高分子化したもの
が挙げられる。正孔輸送性化合物としてはピレン、およ
びアントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール、
インドール、オキサゾール、チアゾール、オキサチアゾ
ール、ピラゾール、ピラゾリン、チアジアゾールおよび
トリアゾール等の複素環化合物、p−ジエチルアミノベ
ンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾンおよび
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−
エチルカルバゾール等のヒドラゾン系化合物、α−フェ
ニル−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンおよ
び5−(4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン)
−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン等のスチリ
ル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールアミン
系化合物あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖また
は側鎖に有する高分子化合物(ポリ−N−ビニルカルバ
ゾール、ポリビニルアントラセン等)が挙げられる。
【0021】電荷輸送性化合物と高分子化合物からなる
組成物は電荷輸送層もしくは電荷輸送能を有する表面保
護層として用いることが可能である。
【0022】上記電荷発生材料や電荷輸送材料は必要に
応じてバインダーポリマーが用いられる。バインダーポ
リマーの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ
化ビニリデン、トリフルオロエチレン、等のビニル化合
物の重合体および共重合体、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステ
ル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウ
レタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹
脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂、等が挙げられる。
【0023】特に本発明で用いられる電荷輸送層用の高
分子化合物は前記本発明の電荷輸送性化合物と相溶する
ものが用いられる。
【0024】代表的な高分子化合物としてはポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリル
酸エステル、ポリアクリル酸エステル等がある。
【0025】電荷輸送層に用いられる電荷輸送性化合物
は電荷輸送層の固形分に対して20wt%以上、70w
t%以下が好ましい。20wt%以下では十分な電荷移
動能が得られないために残留電位の増加等が生じ好まし
くない。70wt%以上では電荷輸送層の機械的強度が
低下してしまうために十分な耐久性が得られない。
【0026】電荷輸送層に用いられる高分子化合物は電
荷輸送層の固形分に対して20wt%以上、80wt%
以下が好ましい。80wt%以上では十分な電荷移動能
が得られないために残留電位の増加等が生じ好ましくな
い。20wt%以下では電荷輸送層の機械的強度が低下
してしまうために十分な耐久性が得られない。
【0027】図1に機能分離型感光体の断面図を示す。
電荷輸送層14は電荷発生層13の上に積層され、電場
の存在下電荷発生層13から電荷キャリアを受け取り、
これを輸送する機能を有している。電荷輸送層14は電
荷輸送物質を必要に応じて適当なバインダー樹脂ととも
に溶剤中に溶解塗布することによって形成され、その膜
厚は一般的には3〜30μmであるが5〜20μmが好
ましい。後述のように高解像な画像を得るためには12
μm以下であることが好ましい。
【0028】感光層が形成される導電性支持体11とし
ては、前述のように、例えば、アルミニウム、アルミニ
ウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブ
デン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金や白
金などの上に導電性微粒子を分散した導電性樹脂層を形
成したものが用いられる。またこうした金属あるいは合
金を、真空蒸着法によって被膜形成したプラスチック
(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂など)
に被覆した支持体上に導電性微粒子を分散した導電性樹
脂層を形成したものあるいは導電性粒子を樹脂に分散し
た導電性支持体などを用いることができる。前記導電性
樹脂層はディッピング法により塗工され、乾燥、熱処理
されるが、樹脂を用いていることから250℃以下が好
ましく、より好ましくは180℃以下で熱処理される。
【0029】本発明の酸化ジルコニウムを含有する下引
き層12を導電性支持体11と電荷発生層33の間に設
ける。このような下引き層は1層のみで構成されている
ものでも、複数の層により構成されていてもよい。下引
き層の膜厚は複数ある場合でも20μm以下、0.4〜
5.0μmが好ましい。
【0030】酸化ジルコニウムを含有する下引き層はジ
ルコニウムキレート化合物もしくはジルコニウムアルコ
キシド化合物を単独もしくは複数組み合わせて用いるこ
とで形成される。
【0031】下引き層中に含有される酸化ジルコニウム
の割合は20wt%以上で用いられる。20wt%以下
では環境安定性が不十分であるために好ましくない。よ
り好ましくは30wt%以上で用いられる。
【0032】また、下引き層の均一性や密着性の向上の
ためにシランカップリング剤を併用することが好まし
い。
【0033】ジルコニウムキレート化合物もしくはジル
コニウムアルコキシド化合物を溶解するための溶剤とし
ては上記導電性樹脂層を侵さないものが望ましく、エタ
ノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等のア
ルコール類等が用いられる。
【0034】塗工方法としては浸せきコーティング法、
スプレーコーティング法、ブレードコーティング法、等
のコーティング法を用いることができる。本発明の下引
き層は乾燥、熱処理によって前記ジルコニウムキレート
化合物もしくはジルコニウムアルコキシド化合物が縮合
して金属酸化物を形成し、高温で処理するほど縮合反応
は進むものであるが、乾燥および熱処理温度は導電性樹
脂層を劣化させない温度である必要があり250℃以下
が好ましく、より好ましくは180℃以下で熱処理され
る。また、あまり低温での熱処理は縮合が進まないため
に経時変化を生じ易く好ましくないので、少なくとも8
0℃以上、より好ましくは100℃以上で熱処理され
る。
【0035】また、本発明の感光体に用いる導電性樹脂
層には干渉防止のための球状微粒子が混合されているた
めに凹凸があり、均一に塗布するためには複数回の塗
工、熱処理を行うことが好ましい。
【0036】以上のようにして形成された酸化ジルコニ
ウムを含有する下引き層は、光電子放出法によるイオン
化ポテンシャルが5.0eV以上のものが用いられる。
5.0eV以下では導電性樹脂層からの正孔注入による
画像欠陥および電荷発生層からの電子除去が不十分なた
めに生じる残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変
動が生じやすい。より好ましくは5.5eV以上のイオ
ン化ポテンシャルを有するものが用いられる。
【0037】電気抵抗は1×106 Ωcm以上、1×1
10Ωcm以下で用いられる。1×106 Ωcm以下で
はピンホールの影響等を受けやすく、1×1010Ωcm
以上では残留電位やメモリーが発生しやすくなるために
好ましくない。
【0038】図4に示す、本発明の電子写真感光体を用
いた画像形成装置について簡単に説明する。
【0039】まず、原稿台20上に原稿Gを複写すべき
面を下側にしてセットする。次にコピーボタンを押すこ
とにより複写が開始される。原稿照射用ランプ、短焦点
レンズアレイ、CCDセンサーが一体のユニット19が
原稿を照射しながら走査することにより、その照射走査
光が、短焦点レンズアレイによって結像されてCCDセ
ンサーに入射される。CCDセンサーは受光部、転送
部、出力部より構成されている。CCD受光部において
光信号が電気信号に変換され、転送部でクロックパルス
に同期して順次出力部へ転送され、出力部において電荷
信号を電圧信号に変換し、増幅、低インピーダンス化し
て出力する。このようにして得られたアナログ信号をデ
ジタル信号に変換し、さらに画像の特性に応じて解像
度、階調性を最適化するところの画像処理を行って出力
するためのデジタル信号に変換してプリンター部に送ら
れる。
【0040】コンピュータ等から出力する場合には解像
度、階調再現方法等を選択して望ましい画像が得られる
ように処理し変換してプリンター部に送られる。プリン
ター部においては、上記の画像信号を受けて以下のよう
にして静電潜像を形成する。本発明の感光ドラム11
は、中心支軸を中心に所定の周速度で回転駆動され、そ
の回転過程に帯電器3により所定の電圧の正極性または
負極性の一様な帯電処理を受け、その一様帯電面に画像
信号に対応してON、OFF発光される固体レーザー素
子の光を高速で回転する回転多面鏡によって走査するこ
とにより感光ドラム11面には、原稿画像に対応した静
電潜像が順次に形成されていく。
【0041】図5は、前記の装置においてレーザー光を
走査するレーザー走査部300(図4では100)の概
略機構を示すものである。
【0042】このレーザー走査部300によりレーザー
光を走査する場合には、まず入力された画像信号に基づ
き発光信号発生器301により、固体レーザー素子30
2から放射されたレーザー光は、コリメーターレンズ系
303により概略平行な光束に変換され、さらに矢印b
方向に回転する回転多面鏡304により矢印c方向に走
査されるとともにfθレンズ群305a,305b,3
05cにより感光ドラム等の被走査面306にスポット
状に結像される。このようなレーザー光の走査により被
走査面306上には画像一走査分の露光分布が形成さ
れ、該被走査面306を前記走査方向とは垂直に所定量
だけスクロールさせれば、該被走査面306上に画像信
号に応じた露光分布が得られる。
【0043】本実施例においては、レーザーPWM方式
(パルス幅変調)を用いて、1画素の面積階調による多
値記録を行ったため、PWM方式について簡単に説明す
る。
【0044】図6はパルス幅変調回路の1例を示す回路
ブロック図、図7はパルス幅変調回路の動作を示すタイ
ミングチャートである。
【0045】図6において401は8ビットのデジタル
画像信号をラッチするTTLラッチ回路、402はTT
L論理レベルをECL論理レベルに変換する高速レベル
変換器、403はECL論理レベルをアナログ信号に変
換する高速D/Aコンバーターである。404はPWM
信号を発生するECLコンパレーター、405はECL
論理レベルをTTL論理レベルに変換するレベル変換
器、406はクロック信号2fを発振するクロック発振
器、407はクロック信号2fに同期して略理想的三角
波信号を発生する三角波発生器、408はクロック信号
2fを1/2分周して画像クロック信号fを作成してい
る1/2分周器である。これによりクロック信号2fは
画像クロック信号fの2倍の周期を有していることとな
る。なお、回路を高速動作させるために、随所にECL
論理回路を配している。
【0046】このような回路構成の動作を図7のタイミ
ングチャートを参照して説明する。信号(a)はクロッ
ク信号2f、信号(b)は画像クロック信号fを示して
おり、図示のごとく画像信号と関係つけてある。また、
三角波発生器内部においても、三角波信号のデューティ
ー比を50%に保つために、クロック信号2fをいった
ん1/2分周してから三角波信号(c)を発生させてい
る。さらに、この三角波信号(c)はECLレベルに変
換されて三角波信号(d)になる。
【0047】一方、画像信号は00h(白)〜FFh
(黒)まで256階調レベルで変化する。なお、記号
‘h’は16進数表示を示している。そして画像信号
(e)はいくつかの画像信号値についてそれらをD/A
変換したECL電圧レベルを示している。例えば、第1
画素は黒画素レベルのFFh、第2画素は中間調レベル
の80h、第3画素は中間調レベルの40h、第4画素
は中間調レベルの20hの各電圧を示している。コンパ
レーターは三角波信号(d)と画像信号(e)を比較す
ることにより、形成すべき画素濃度に応じたパルス幅
T,t2,t3,t4等のPWM信号を発生する。そし
てこのPWM信号は、0Vまたは5VのTTLレベルに
変換されてPWM信号(f)になりレーザードライバ回
路に入力される。このようにして得られたPWM信号値
に対応して1画素あたりの露光時間を変化させることに
より1画素で最大256階調を得ることが可能となる。
【0048】本実施例はPWM方式による階調制御を用
いたが、ディザ法等の面積階調法やレーザー光強度変調
を用いることも可能であり、さらに、それらを組み合わ
せてもよい。
【0049】このようにして、感光ドラム11に形成さ
れた静電潜像は現像装置14により現像され、形成され
たトナー像は、転写帯電器17によって転写材上に静電
転写される。その後、転写材は分離帯電器18によって
静電分離されて定着器16へと搬送され、熱定着されて
画像が出力される。
【0050】一方、トナー像転写後の感光ドラム11の
面はクリーナー15によって転写残りトナー等の付着汚
染物の除去を受けて繰り返し画像形成に使用される。
【0051】図8に本発明の電子写真感光体を用いたカ
ラー複写機の概略図を示す。
【0052】図8において、符号201はイメージスキ
ャナ部であり、原稿を読み取り、デジタル信号処理を行
う部分である。また、200はプリンタ部であり、イメ
ージスキャナ201に読み取られた原稿画像に対応した
画像を用紙にフルカラーでプリント出力する部分であ
る。
【0053】イメージスキャナ部201において、20
2は原稿厚板であり、原稿台ガラス(以下プラテン)2
03上の原稿204を固定するために用いられる。原稿
204は、ハロゲンランプ205の光で照射される。原
稿204からの反射光はミラー206,207に導か
れ、レンズ208により3本のCCDラインセンサで構
成される3ラインセンサ(以下CCDという)210上
に像を結ぶ。CCD210は原稿からの光情報を色分解
して、フェルカラー情報のうちレッド(R)、グリーン
(G)、ブルー(B)成分として信号処理部209に送
られる。なお、205,206は速度vで、207は1
/2vでラインセンサの電気的走査方向(以下、主走査
方向)に対して垂直方向(以下、副走査方向)に機械的
に動くことにより、原稿全面を走査する。
【0054】211は標準白色板であり、シェーディン
グ補正時に、センサ210−2〜210−4それぞれ
R,G,Bの成分のラインセンサに対応する読み取りデ
ータの補正のためのデータを発生するために用いられ
る。
【0055】この標準白色板は可視光に対してほぼ均一
の反射特性を示している。
【0056】この標準白色板を用いてR,G,Bの可視
センサ210−2〜210−4の出力データの補正に用
いる。
【0057】信号処理部209では読み取られた信号を
電気的に処理し、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエ
ロー(Y)、ブラック(BK)の各成分に分解し、プリ
ンタ部200に送る。また、イメージスキャナ部201
における一回の原稿走査(スキャナ)につき、M,C,
Y,BKの内、一つの成分が面順次にプリンタ200に
送られ、計4回の原稿走査により一回のカラー画像形成
が完成する。
【0058】イメージスキャナ部201より送られてく
るM,C,Y,BKの画像信号は、レーザードライバ2
12に送られる。レーザードライバ212は画像信号に
応じ、半導体レーザー213を変調駆動する。レーザー
光はポリゴンミラー214、f−θレンズ215、ミラ
ー216を介し、感光ドラム217上を走査する。
【0059】219〜222は現像器であり、マゼンタ
現像器219、シアン現像器220、イエロー現像器2
21、ブラック現像器222より構成され、4つの現像
器が交互に感光体ドラムに接し、感光体ドラム217上
に形成されたM,C,Y,BKの静電潜像を対応するト
ナーで現像する。
【0060】223は転写ドラムで、用紙カセット22
4または225より給紙された用紙をこの転写ドラム2
23に巻付け、感光体ドラム217上に現像されたトナ
ー像を用紙に転写する。このようにしてM,C,Y,B
Kの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニット2
26を通過して定着後、排紙される。
【0061】つぎに本発明の電子写真感光体を用いた電
子写真画像形成装置について説明する。本発明の電子写
真感光体に帯電し露光により潜像を形成することによ
り、耐久性の優れた、常に高画質の画像が得ることが可
能となったが、特に画像形成装置の中で高速かつ低騒音
プリンタとして、電子写真方式を採用したレーザービー
ムプリンタもしくはデジタル方式の複写機、Fax等に
対して高画質化、高耐久化の効果が大きい。
【0062】電子写真方式を採用したレーザービームプ
リンタもしくはデジタル方式の複写機、Fax等は文
字、図形等の画像を感光体にレーザービームを当てる
か、当てないかで形成する2値記録である。そして、一
般には文字、図形等の記録は中間調を必要としないので
プリンタの構造も簡便にできる。
【0063】ところがこのような2値記録方式であって
も中間調を表現できるプリンタがある。かかるプリンタ
としてはディザ法、濃度パターン法等を採用したものが
よく知られている。しかし、周知のごとくディザ法、濃
度パターン法等を採用したプリンタでは高解像度が得ら
れない。そこで、近年、記録密度を低下させずに高解像
度で、各画素において中間調を形成する方式(PWM方
式)が提案されている。この方式は、画像信号によっ
て、レーザービームを照射する時間を変調することによ
り中間調画素形成を行うもので、この方式によれば高解
像度かつ高階調性の画像を形成でき、したがって、特に
高解像度と高階調性を必要とするカラー画像形成装置に
はとくに適している。すなわち、この方式によると、1
画素毎にビームスポットにより形成されるドットの面積
階調を行うことができ解像度を低下させることなく中間
調を表現できる。
【0064】ところが、このPWM方式においても、さ
らに画素密度を上げていくと露光スポット径に対して画
素が相対的に小さくなるために露光時間変調による階調
を十分にとることができないという問題点がある。
【0065】そこで階調性を保持したまま解像度を向上
するためには、露光スポット径をより小さくする必要が
ある。そのためには、例えばレーザーを用いた走査光学
系を使用するときにはレーザー光の波長を短波長化する
こと、f−θレンズのNAを大きくすること、等が必要
となるが、このような方法を用いると高価なレーザーの
使用やレンズ、スキャナの大型化、焦点深度の低下によ
る要求される機械精度の上昇等から装置の大型化やコス
ト上昇は避け難い。
【0066】また、LEDアレイや液晶シャッターアレ
イ等の固体スキャナにおいてもスキャナ自体の価格の上
昇、取り付け精度の上昇、電気駆動回路のコスト上昇は
避け難い。さらに前述のようにスポットを微小化してい
った場合でも電子写真方式において良好な階調再現性を
得ることは困難であり、電気的な処理により、階調性を
疑似的に再現しているにすぎなかった。
【0067】以上の様な問題点が存在するにもかかわら
ず、近年、電子写真方式を用いた画像形成装置に要求さ
れる解像度、階調性はますます上昇している。このよう
な状況に対して、現像に用いられるトナーの粒子径を小
さくして解像度、階調性を向上することや現像条件をよ
り均質にして改善することが試みられている。
【0068】しかしながら、このような改善を行っても
肉眼で認識可能な400線から600線の256階調の
フルカラー画像データ等の階調データの再現性および文
字等の2値画像の高解像な再現が十分でなかった。
【0069】前述のように、通常肉眼で識別できる画像
としては400dpi、256階調程度であるが、この
場合の最小解像面積は16μm2 程度であり、5000
dpi以上の解像度に相当するものである。
【0070】また、このような高解像度を実現するため
には光ビームのスポット面積を微細化する必要があるが
単にスポット面積を微細化するのみでは上記のような高
画質を実現することができなかった。
【0071】このような問題点に対して検討したとこ
ろ、光ビームを照射して潜像を形成するところの電子写
真画像形成装置において感光体の光導電層の膜厚と照射
スポット面積の積と階調再現性の間に一定の関係がある
ことを見い出し、スポット面積と感光体の光導電層の膜
厚の積が20000μm3 以下とすることで400dp
i、256階調を実現するところのきわめて優れた画像
品質を得ることを可能とした。
【0072】このことは従来の電子写真画像形成装置に
おいては光スポット面積を微細化しているにもかかわら
ず、感光体上に形成される潜像および現像の条件が十分
でないためであると考えられる。すなわち潜像を形成す
るための光キャリアが光導電層を走行する間に拡散を生
じるために光スポットによって与えられた画像情報が劣
化してしまう現象や形成された潜像により生じる電位ポ
テンシャルのコントラストが導電性基板までに存在する
空間により低下する現象が生じることにより、初期に光
スポットにより与えられた画像情報が大きく劣化してし
まうことにより画質の低下が発生しているものと考えら
れる。
【0073】上記に示すように光ビームのスポット面積
と感光体の光導電層の膜厚の積を20000μm3 以下
とすることにより、前記のキャリアの拡散や現像性の低
下を生じることなく良好な画像形成を可能とするもので
ある。これは、一般的に実現可能な微小光スポット径か
ら求められるスポット面積で用いる感光体の光導電層の
膜厚、主として正孔輸送層の膜厚としては12μm以下
が適していることを示している。
【0074】前述のように光導電層の膜厚は薄い方が望
ましいが、同一帯電電位におけるピンホールや感度の低
下等を発生することから1μm以上の膜厚が望まれる。
より望ましくは3μm以上の膜厚で用いられる。
【0075】図2に本発明の電子写真感光体を用いた電
子写真画像形成装置における照射光強度分布と導電性基
板に到達した照射光の光強度分布を示す。
【0076】該光ビームのスポット面積はピーク強度の
1/e^2に減少するまでの部分で表わされる。用いら
れる光ビームとしては半導体レーザーを用いた走査光学
系、LEDや液晶シャッター等の固体スキャナ、等があ
り、光強度分布についてもガウス分布、ローレンツ分
布、等があるがそれぞれのピーク強度の1/e^2まで
の部分をスポット面積とする。
【0077】光スポットは一般的には図2に示すように
楕円形の形状を有している。
【0078】光ビームのスポット面積は4000μm2
以下で用いられる。4000μm2以上で400dp
i、256階調の画像信号を与えた場合に隣接画素の重
複による影響が大きくなり、階調再現性が不安定となる
ことから好ましくない。
【0079】本発明における階調再現性は、400dp
iの解像度において光ビームの照射量を256階調分直
線的に変化させた場合に画像濃度が照射量に比例する部
分で定義される。図3に本発明における階調再現性の測
定の模式図を示す。
【0080】以上に示すように高画質化のためにはデジ
タル露光系における光スポット径を小さくするとともに
感光体の電荷輸送層の膜厚を低減することが必要である
が、電荷輸送層の膜厚低減は電荷注入、ピンホール等に
よる画像劣化を生じやすくなり下引き層の高性能化が求
められる。
【0081】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明する。
【0082】(実施例1)図1は本発明の実施例を示す
機能分離型感光体の断面図であり、図示のように導電性
支持体1の上に下引き層2、電荷発生層3、電荷輸送層
4の順に積層されており、導電性支持体はアルミニウム
管1a上に導電性樹脂層1bを設けたものである。
【0083】引き抜き加工により得られた外径30mm
のアルミニウムシリンダーを用いて導電性樹脂層として
フェノール樹脂(商品名プライオーフェン、大日本イン
キ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ10
0部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1
次粒径50nm)200部、および平均粒径2μmのシ
リコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸せきコーティ
ング法により乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗工
した。
【0084】次に酸化ジルコニウムを含有する下引き層
2を形成した。
【0085】下引き層2の生成法としては、下記成分よ
りなる下引き層形成用塗布液を調整し、浸せきコーティ
ング法により塗工した。
【0086】 ジルコニウムテトラアセチルアセトネート 10重量部 (ZC150、(株)松本交商) γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン (SH6020、東レダウコーニング(株)) 0.5重量部 メタノール 75重量部 n−ブチルアルコール 25重量部 塗工後180℃で30分間熱処理することを5回繰り返
して、膜厚が1.1μmの下引き層を形成した。この作
成した下引き層のイオン化ポテンシャルを大気下光電子
分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定
したところ5.63eVであった。
【0087】また、上記と同一の条件でガラス上に酸化
ジルコニウムを含有する下引き層を形成して体積抵抗を
測定したところ1×109 Ωcmであった。
【0088】次に、電荷発生層としてI型チタニルオキ
シフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部に
ポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2
部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0089】この分散液を先に形成した下引き層の上に
乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーティ
ング法で塗工した。
【0090】ついで、下記の構造のトリアリールアミン
化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名Z−40
0、三菱瓦斯化学(株)製)5部をテトラハイドロフラ
ン70部に溶解した電荷輸送層用の液を前記の電荷発生
層の上に浸せきコーティング法により乾燥後10μmの
膜厚に塗工した。
【0091】
【化1】 このようにして作成した電子写真感光体をキヤノン製レ
ーザービームプリンタ(LBP−8 MarkIV)に
装着して、帯電/露光/現像/転写/クリーニングとい
う電子写真プロセスを繰り返し、25℃、50%の通常
環境下において電子写真特性の評価を行った。この結
果、明部電位と暗部電位の間に十分なコントラストを得
ることができ、解像度、画質も良好であった。また連続
して5000枚の画像出力を行ったところ、暗部電位、
明部電位の上昇はほとんどなく、また画像上のカブリや
黒ポチなどの画像欠陥のないものが得られた。
【0092】次に帯電されている感光体に強露光した場
合の感光体への残留電位を測定した。
【0093】同様に作成した感光体を同じ電子写真プロ
セスを用いて、15℃、湿度15%並びに30℃、湿度
80%の環境下にて電子写真特性の評価を行った。
【0094】いずれの環境下においても暗部電位/明部
電位は安定しており十分なコントラストを得ることがで
きた。結果を表1に示す。
【0095】
【表1】 以上より導電性基板上に導電性粒子と球状粉体を含有し
た樹脂層を持つ導電性基板と、下引き層に酸化ジルコニ
ウムを用いた機能分離型感光体を用いることにより電子
写真特性の優れた電子写真感光体を得ることができた。
【0096】(実施例2)実施例2の電子写真感光体
は、実施例1の感光体の下引き層2を下記の組成に置き
換えたものである。下引き層2の生成法としては、下記
成分よりなる下引き層形成用塗布液を調整し、浸せきコ
ーティング法により塗工した。
【0097】 トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート 10重量部 (ZC540、(株)松本交商) テトラブトキシチタン((株)松本交商) 1重量部 γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン (SH6020、東レダウコーニング(株)) 0.5重量部 メタノール 75重量部 n−ブチルアルコール 25重量部 塗工後180℃で30分間熱処理することを4回繰り返
して、膜厚が0.8μmの下引き層を形成した。この作
成した下引き層のイオン化ポテンシャルを大気下光電子
分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定
したところ5.54eVであった。
【0098】また、上記と同一の条件でガラス上に酸化
ジルコニウムを含有する下引き層を形成して体積抵抗を
測定したところ4×108 Ωcmであった。
【0099】下引き層以外の各層の組成は実施例1の感
光体と同様のものである。この電子写真感光体を用いて
実施例1と同様の電子写真特性の評価を行った。
【0100】初期と連続出力5000枚後の暗部電位V
dならび明部電位Vl、残留電位を表2に示す。連続出
力5000枚後でも、暗部電位や明部電位の変化はな
く、画像的にもカブリや黒ポチなどの画像欠陥の見られ
ない良好な画像を得ることができた。
【0101】
【表2】 以上より導電性基板上に導電性粒子と球状粉体を含有し
た樹脂層を持つ導電性基板と、下引き層に酸化ジルコニ
ウムおよび酸化チタンを用いた機能分離型感光体を用い
ることにより電子写真特性の優れた電子写真感光体を得
ることができた。
【0102】(実施例3)実施例3の電子写真感光体
は、実施例1の感光体の下引き層2を下記の組成に置き
換えたものである。下引き層2の生成法としては、下記
成分よりなる下引き層形成用塗布液を調整し、浸せきコ
ーティング法により塗工した。
【0103】 トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート 10重量部 (ZC540、(株)松本交商) γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 1重量部 (東レダウコーニング(株)) メタノール 75重量部 n−ブチルアルコール 25重量部 塗工後120℃で30分間熱処理することを2回繰り返
して、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。この作
成した下引き層のイオン化ポテンシャルを大気下光電子
分析法(理研計器製、表面分析装置AC−1)にて測定
したところ5.51eVであった。
【0104】また、上記と同一の条件でガラス上に酸化
ジルコニウムを含有する下引き層を形成して体積抵抗を
測定したところ4×109 Ωcmであった。
【0105】下引き層以外の各層の組成は実施例1の感
光体と同様のものである。この電子写真感光体を用いて
実施例1と同様の電子写真特性の評価を行った。
【0106】初期と連続出力5000枚後の暗部電位V
dならび明部電位Vl、残留電位を表3に示す。連続出
力5000枚後でも、暗部電位や明部電位の変化はな
く、画像的にもカブリや黒ポチなどの画像欠陥の見られ
ない良好な画像を得ることができた。
【0107】
【表3】 以上より導電性基板上に導電性粒子と球状粉体を含有し
た樹脂層を持つ導電性基板と、下引き層に酸化ジルコニ
ウムおよび酸化チタンを用いた機能分離型感光体を用い
ることにより電子写真特性の優れた電子写真感光体を得
ることができた。
【0108】(比較例1)引き抜き加工により得られた
外径30mmのアルミニウムシリンダーを用いて導電性
樹脂層としてフェノール樹脂(商品名プライオーフェ
ン、大日本インキ化学工業(株)製)167部をメチル
セロソルブ100部に溶解したものへ導電性硫酸バリウ
ム超微粒子(1次粒径50nm)200部、および平均
粒径2μmのシリコーン樹脂粒子3部を分散したものを
浸せきコーティング法により、乾燥後の膜厚が15μm
となるように塗工した。
【0109】下引き層としてアルコール可溶性共重合ナ
イロン(商品名アミランCM−8000、東レ(株)
製)5部をメタノール95部に溶解した溶液を浸せきコ
ーティング法により塗工した。80℃で10分間乾燥し
て、膜厚が1μmの下引き層を形成した。
【0110】次に、電荷発生層としてI型チタニルオキ
シフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部に
ポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2
部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0111】この分散液を先に形成した下引き層の上に
乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーティ
ング法で塗工した。
【0112】実施例1で用いたトリアリールアミン化合
物5部とポリカーボネート樹脂(商品名Z−400、三
菱瓦斯化学(株)製)5部をテトラハイドロフラン70
部に溶解した電荷輸送層用の液を前記の電荷発生層の上
に浸せきコーティング法により乾燥後10μmの膜厚に
塗工した。
【0113】このような感光体に対して、電子写真特性
の評価を行った。初期は暗部電位Vdが600V、明部
電位Vlが250Vとコントラストが十分取れていた
が、5000枚連続出力を行ったところ、暗部電位Vd
が550V、明部電位Vlが265Vと変化していた。
これに伴い、特に高温高湿時の画像にはカブリや黒ポチ
などの画像欠陥が多く見られた。各環境での結果を表4
に示す。
【0114】
【表4】 (比較例2)下引き層の作成条件以外は実施例1と同様
に下記のように感光体を作成した。
【0115】引き抜き加工により得られた外径30mm
のアルミニウムシリンダーを用いて導電性樹脂層として
フェノール樹脂(商品名プライオーフェン、大日本イン
キ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ10
0部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1
次粒径50nm)200部、および平均粒径2μmのシ
リコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸せきコーティ
ング法により乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗工
した。
【0116】次に酸化ジルコニウムを含有する下引き層
2を形成した。
【0117】下引き層2の生成法としては、下記成分よ
りなる下引き層形成用塗布液を調整し、浸せきコーティ
ング法により塗工した。
【0118】 ジルコニウムテトラアセチルアセトネート 10重量部 (ZC150、(株)松本交商) γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン (SH6020、東レダウコーニング(株)) 0.5重量部 メタノール 75重量部 n−ブチルアルコール 25重量部 塗工後200℃で120分間熱処理することを5回繰り
返して、膜厚が1.0μmの下引き層を形成した。
【0119】次に、電荷発生層としてI型チタニルオキ
シフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部に
ポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2
部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0120】この分散液を先に形成した下引き層の上に
乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーティ
ング法で塗工した。
【0121】ついで、実施例1と同じトリアリールアミ
ン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名Z−40
0、三菱瓦斯化学(株)製)5部をテトラハイドロフラ
ン70部に溶解した電荷輸送層用の液を前記の電荷発生
層の上に浸せきコーティング法により乾燥後10μmの
膜厚に塗工した。
【0122】このようにして作成した電子写真感光体を
キヤノン製レーザービームプリンタ(LBP−8 Ma
rk IV)に装着して、帯電/露光/現像/転写/クリ
ーニングという電子写真プロセスを繰り返し、25℃、
50%の通常環境下において電子写真特性の評価を行っ
た。この結果、帯電性が不十分であり、導電性樹脂層か
らと考えられる注入のために画像上のカブリや黒ポチな
どの画像欠陥が多かった。次に帯電されている感光体に
強露光した場合の感光体への残留電位を測定した。
【0123】同様に作成した感光体を同じ電子写真プロ
セスを用いて、15℃、湿度15%並びに30℃、湿度
80%の環境下にて電子写真特性の評価を行った。
【0124】各環境下における暗部電位/明部電位等の
結果を表5に示す。
【0125】
【表5】 (比較例3)下引き層の作成条件以外は実施例1と同様
に下記のように感光体を作成した。
【0126】引き抜き加工により得られた外径30mm
のアルミニウムシリンダーを用いて導電性樹脂層として
フェノール樹脂(商品名プライオーフェン、大日本イン
キ化学工業(株)製)167部をメチルセロソルブ10
0部に溶解したものへ導電性硫酸バリウム超微粒子(1
次粒径50nm)200部、および平均粒径2μmのシ
リコーン樹脂粒子3部を分散したものを浸せきコーティ
ング法により、乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗
工した。
【0127】次に酸化ジルコニウムを含有する下引き層
2を形成した。
【0128】下引き層2の生成法としては、下記成分よ
りなる下引き層形成用塗布液を調整し、浸せきコーティ
ング法により塗工した。
【0129】 ジルコニウムテトラアセチルアセトネート 10重量部 (ZC150、(株)松本交商) γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン (SH6020、東レダウコーニング(株)) 0.5重量部 メタノール 75重量部 n−ブチルアルコール 25重量部 塗工後180℃で30分間熱処理することを1回繰り返
して、膜厚が0.2μmの下引き層を形成した。
【0130】次に、電荷発生層としてI型チタニルオキ
シフタロシアニン顔料5部をシクロヘキサノン95部に
ポリビニルベンザール(ベンザール化度75%以上)2
部を溶解した液に加え、サンドミルで2時間分散した。
【0131】この分散液を先に形成した下引き層の上に
乾燥後の膜厚が0.2μmとなるように浸せきコーティ
ング法で塗工した。
【0132】ついで、実施例1と同じトリアリールアミ
ン化合物5部とポリカーボネート樹脂(商品名Z−40
0、三菱瓦斯化学(株)製)5部をテトラハイドロフラ
ン70部に溶解した電荷輸送層用の液を前記の電荷発生
層の上に浸せきコーティング法により乾燥後10μmの
膜厚に塗工した。
【0133】このようにして作成した電子写真感光体を
キヤノン製レーザービームプリンタ(LBP−8 Ma
rk IV)に装着して、帯電/露光/現像/転写/クリ
ーニングという電子写真プロセスを繰り返し、25℃、
50%の通常環境下において電子写真特性の評価を行っ
た。この結果、帯電性が不十分であり、導電性樹脂層か
らと考えられる注入のために画像上のカブリや黒ポチな
どの画像欠陥が多かった。次に帯電されている感光体に
強露光した場合の感光体への残留電位を測定した。
【0134】同様に作成した感光体を同じ電子写真プロ
セスを用いて、15℃、湿度15%並びに30℃、湿度
80%の環境下にて電子写真特性の評価を行った。
【0135】各環境下における暗部電位/明部電位等の
結果を表6に示す。
【0136】
【表6】
【0137】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
球状粉体を含む導電性樹脂層を設けた導電性支持体上
に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層し、
下引き層中に酸化ジルコニウムを含有させることによ
り、低温低湿から高温高湿にいたる環境で安定した電子
写真特性を有する電子写真感光体を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性樹脂層を有する導電性支持体上
に酸化ジルコニウムを含有する下引き層を形成した電子
写真感光体の断面の概略図である。
【図2】本発明の電子写真感光体における照射光ビーム
のスポット形状と導電性基板に到達した光ビームの強度
分布を示す概略図である。
【図3】階調再現性の測定方法における光照射量と画像
濃度の関係を示す概略図である。
【図4】本発明の電子写真画像形成装置の概略図であ
る。
【図5】本発明のレーザー光走査部の概略図である。
【図6】本発明のレーザー光を制御するためのパルス幅
変調回路の回路ブロック図である。
【図7】本発明のレーザー光を制御するためのパルス幅
変調回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の電子写真画像形成装置のカラー複写機
の構成図である。
【符号の説明】
G 原稿 1 感光ドラム 2 前露光ランプ 3 帯電器 4 現像装置 5 クリーナー 6 定着器 7 転写帯電器 8 分離帯電器 9 ユニット 10 原稿台 11 導電性支持体 11a アルミニウム管 12 下引き層 13 電荷発生層 14 電荷輸送層 201 イメージスキャナ部 200 プリンタ部 201 イメージスキャナ 202 原稿厚板 203 原稿台ガラス(プラテン) 204 原稿 205 ハロゲンランプ 206,207 ミラー 208 レンズ 209 信号処理部 210 CCD 210−2〜210−4 センサ 211 標準白色板 212 レーザードライバ 213 半導体レーザー 214 ポリゴンミラー 215 f−θレンズ 216 ミラー 217 感光ドラム 219〜222 現像器 223 転写ドラム 224,225 用紙カセット 226 定着ユニット 300 レーザー走査部 301 発光信号発生器 302 固体レーザー素子 303 コリメーターレンズ系 304 回転多面鏡 305a,305b,305c fθレンズ群 306 被走査面306
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲吉▼永 和夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体の上に少なくとも下引き
    層、電荷発生層および電荷輸送層を有する機能分離型感
    光体において、前記下引き層が酸化ジルコニウムを含有
    することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記下引き層がさらに酸化チタンを含有
    する請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記導電性支持体が金属シリンダーの上
    に導電性樹脂層を設けたものである請求項1または2に
    記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記導電性樹脂層が球状シリコンと導電
    性粒子を含有する請求項3に記載の電子写真感光体。
JP544798A 1998-01-14 1998-01-14 電子写真感光体 Pending JPH11202518A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP544798A JPH11202518A (ja) 1998-01-14 1998-01-14 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

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GB2421588A (en) * 2004-12-17 2006-06-28 Lexmark Int Inc Increased silicon microspheres in charge transfer layers
US7351507B2 (en) 2003-09-17 2008-04-01 Ricoh Company, Limited Electrophotographic photoreceptor, image forming apparatus and method, and image process cartridge
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