JPH11199979A - 疲労特性の優れた高強度極細鋼線およびその製造方法 - Google Patents

疲労特性の優れた高強度極細鋼線およびその製造方法

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JPH11199979A
JPH11199979A JP10006810A JP681098A JPH11199979A JP H11199979 A JPH11199979 A JP H11199979A JP 10006810 A JP10006810 A JP 10006810A JP 681098 A JP681098 A JP 681098A JP H11199979 A JPH11199979 A JP H11199979A
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JP
Japan
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steel wire
mpa
surface layer
residual stress
high strength
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JP10006810A
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English (en)
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Kenichi Nakamura
謙一 中村
Hitoshi Tashiro
均 田代
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤ等の補強材として使用されるスチール
コード用鋼線、特に伸線後の疲労特性の優れた高強度極
細鋼線およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.80〜1.20%を
含有し、鋼線表面の残留応力が−2000MPa 以上20
0MPa 以下であり、C断面表層と中心のビッカース硬度
差が30未満の引張強さ4500MPa 以上、疲労限10
00MPa 以上の高強度極細鋼線。湿式極細伸線加工時の
ダイス/鋼線間の摩擦係数を0.07未満とすることに
より、鋼線のC断面での均一性を促進し、鋼線表層の残
留応力を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ等の補強材
として使用されるスチールコード用鋼線、特に伸線後の
疲労特性の優れた高強度極細鋼線およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ等の補強材として使用されるスチ
ールコードは直径がおよそ0.2mm程度の鋼線を撚って
製造される。近年、タイヤ等の軽量化の要求から、引張
強さが4500MPa 以上といった高強度の鋼線が求めら
れるようになってきた。
【0003】一般に鋼線の最終強度は、加工歪に大きく
依存し、加工歪が大きいほど強度も高くなる。その反
面、加工歪が大きくなると延性が劣化しする傾向にあ
る。また、疲労限については加工歪の小さい領域では引
張強さの増加とともに大きくなるが、加工歪の大きい領
域では引張強さが増加しても疲労限は上昇しなくなる。
【0004】引張強さ4500MPa 以上といった高強度
を得るためには加工歪を一段と大きくする必要がある。
しかし、従来の方法では強度を得ることはできるが、疲
労限が低く、工業的に使用することができなかった。
【0005】これに対して、例えば特開平4−2891
48ではパーライト組織の中のフェライトとセメンタイ
トの配列方向を線材長手方向に対して45°以内の角度
にすることにより引張強さ500kgf /mm2 以上、絞り
40%以上の鋼線を得るための技術が提案されている。
しかし、パーライト組織の方向を制御するためには特殊
な熱処理方法が必要であり、工業的には使用しにくい。
また、スチールコードの特性として重要な疲労特性につ
いては述べられていない。
【0006】また、疲労特性は鋼線表面の引張残留応力
が影響すると考えられる。従来、残留応力を制御する方
法としては、スキンパス、矯直加工、ショットピーニン
グ等が提案されている。例えば、日本金属学会誌 第2
1巻 1957年NO.9のページ540には減面率1
%以下のスキンパス伸線により鋼線表層の残留応力を圧
縮側にできることが記載されている。しかし、減面率1
%以下というスキンパス伸線はダイス管理等の問題で実
用的でない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は伸線加工工程
でのダイス/鋼線間の摩擦係数を適正化することによ
り、鋼線のC断面での均一性を促進し、鋼線表層の残留
応力を制御する疲労特性の優れた高強度極細鋼線および
その製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは加工歪を大
きくしても、鋼線のC断面での均一性を高くし、鋼線表
層の残留応力を制御することによって高強度でかつ疲労
特性の優れた鋼線を製造できることを見いだした。
【0009】更に、伸線加工時のダイス/鋼線間の摩擦
係数を適正にすることにより、加工歪を大きくしても鋼
線のC断面での均一性を高くし、鋼線表層の残留応力を
制御することが可能であることを見いだした。
【0010】本発明の要旨は下記の通りである。 (1)重量%で、C:0.80〜1.20%を含有し、
鋼線表面の残留応力が−2000MPa 以上200MPa 以
下であり、C断面表層と中心のビッカース硬度差が30
未満の引張強さ4500MPa 以上、疲労限1000MPa
以上の高強度極細鋼線。 (2)湿式極細伸線加工時のダイス/鋼線間の摩擦係数
を0.07未満とすることを特徴とする請求項1に示す
疲労特性の優れた高強度極細鋼線の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】まず本発明の対象とする鋼線の成
分限度理由について述べる。
【0012】Cは最終の伸線加工材の強度を高めるため
に必須の元素である。Cが0.80%未満では前記した
Cの効果が十分期待できず、一方、1.20%を越える
と初析セメンタイトの粗大析出を防止することが困難で
あり、初析セメンタイトにより伸線加工性が悪化するた
め0.85〜1.20%の範囲に限定した。
【0013】次に鋼線表層の残留応力の限定理由につい
て述べる。鋼線表層の残留応力が200MPa 以下であれ
ば引張残留応力であっても疲労限に影響を及ぼさない。
一方、圧縮残留応力であれば疲労限を向上させる効果を
持つが、残留応力が−2000MPa 以下では、鋼線が不
均一変形をしており、疲労限は逆に低下してしまうた
め、鋼線表層の残留応力を−2000MPa 以上200MP
a 以下とした。
【0014】次にC断面表層と中心のビッカース硬度差
の限定理由について述べる。鋼線のC断面での均一性の
指標としてC断面表層と中心のビッカース硬度差を用い
た。つまり、硬度差が0であれば均一であり、正の数値
で値が大きいほど中心に比較して表層が大きな加工を受
けている。表層と中心のビッカース硬度差が30以上で
あると引張残留応力が大きくなり、疲労限が低下するた
め、鋼線表層と中心のビッカース硬度差を30未満と限
定した。
【0015】次に伸線加工時のダイス/鋼線間の摩擦係
数の限定理由について述べる。伸線加工時のダイス/鋼
線間の摩擦係数が0.07以上であると表層部の加工に
対する中心部の加工が遅れ、表層ほど大きな加工を受け
ることとなり、不均一変形が促進される。このため、伸
線加工時のダイス/鋼線間の摩擦係数を0.07未満と
限定した。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を更に具体
的に説明する。表1は0.20mm極細鋼線の特性と化学
成分、鋼線表層の残留応力、鋼線C断面表層と中心のビ
ッカース硬度差、伸線加工時のダイス/鋼線間の摩擦係
数の関係を示したものである。5.5mm熱間圧延線材を
使用し、この線材より0.20mm極細鋼線を作製し、そ
の特性を調べた。
【0017】本発明例であるNo.2,3,4,7,
8,9,11,12,13,15,16,17はいずれ
も4500MPa 以上の引張強さと1000MPa 以上の疲
労限を実現している。
【0018】No.1は疲労限は1000MPa 以上であ
るが、C量が低いために引張強さが低い。No.5はC
量が高すぎるため、初析セメンタイトの粗大析出により
伸線が不可能である。
【0019】No.6は鋼線表層の残留応力が小さいた
め、鋼線が不均一となり疲労限が低い。No.10は鋼
線表層の残留応力が大きいため、疲労亀裂が入りやす
く、疲労限が低い。No.14は表層ほど多くの加工を
受けているため、鋼線C断面表層と中心のビッカース硬
度差が大きく、表層部で延性が劣化し、疲労限が低い。
No.18は伸線加工時のダイス/鋼線間の摩擦係数が
大きいため、鋼線表層の残留応力、C断面表層と中心の
ビッカース硬度差がともに大きくなり、疲労限が低くな
ったものである。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
伸線加工工程でのダイス/鋼線間の摩擦係数を適正化す
ることにより、鋼線のC断面での均一性を促進し、鋼線
表層の残留応力を制御して、優れた疲労特性を付与した
高強度極細鋼線およびその製造方法が提供される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 105:08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.80〜1.20%を
    含有し、鋼線表面の残留応力が−2000MPa 以上20
    0MPa 以下であり、C断面表層と中心のビッカース硬度
    差が30未満の引張強さ4500MPa 以上、疲労限10
    00MPa 以上の高強度極細鋼線。
  2. 【請求項2】 湿式極細伸線加工時のダイス/鋼線間の
    摩擦係数を0.07未満とすることを特徴とする請求項
    1に示す疲労特性の優れた高強度極細鋼線の製造方法。
JP10006810A 1998-01-16 1998-01-16 疲労特性の優れた高強度極細鋼線およびその製造方法 Pending JPH11199979A (ja)

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Effective date: 20040330