JP2993748B2 - 高強度高延性極細鋼線およびその製造方法 - Google Patents
高強度高延性極細鋼線およびその製造方法Info
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Description
強度で高延性の極細線の製造方法に関し詳しくは、伸線
により直径0.4mm以下であって引張強さ360kg
f/mm2 以上であるスチールコード用高強度、高延性
の極細線及びその製造方法に関する。
間圧延した後に調整冷却した直径5.0〜5.5mmの
線材を一次伸線加工後、最終パテンティング処理を行な
い、その後ブラスメッキ処理をへて最終湿式伸線加工に
より製造されている。このような極細鋼線の多くは、撚
り線加工を施した状態でスチールコードとして使用され
ている。撚り線加工は、必要に応じて2本撚り、5本撚
りなどと使い分けがされているが、高速(18000r
pm以上)での加工に耐える延性が必要とされる。更に
は、引張強さが大きいこと靭性や耐疲労性に優れること
等が必要であり、従来からこのような要望に応じて高品
質の鋼材が開発されている。
には、Mn含有量を0.3%未満に規制して鉛パテンテ
ィング後の過冷組織の発生を抑え、C、Si、Mn等の
元素量を規制することによって、撚り線時の断線が少な
く高強度および高靭延性の極細線およびスチールコード
用高炭素鋼線材が開示されており、また、特開昭63−
24046号公報には、Si含有量を1.00%以上と
することによって鉛パテンティング材の引張強さを高く
して伸線加工率を小さくした高靭性高延性極細線用線材
が開示されている。
4865号公報に開示されているのは、伸線により直径
0.5mm以下であって、引張強さ250kgf/mm
2 以上である極細線を製造するための高炭素鋼線材であ
り、また、特開昭63−24046号公報のものは、引
張強さ300kgf/mm2 以上線径0.5mm以下の
極細線を製造するための高炭素鋼線材に関するものであ
る。
にあわせて、スチールコードのハイテン化が急速に進展
しつつあり、これに応えてスチールコードも引張強さ3
40kgf/mm2 級のものが開発され、更には引張強
さ360kgf/mm2 以上のスチールコードの出現が
期待されている。
上のためで、特に疲労特性の向上が期待されている。
決したものでありその要旨は次の通りである。
最終パテンティング後の強度を138〜160kgf/
mm2 かつ初析フェライトおよび初析セメンタイトの存
在を面積率で0.02%以下の組織とし、その後、引き
抜き加工により真ひずみで3.4以上の加工を行ない直
径0.4mm以下であって引張強さ360kgf/mm
2 以上の高強度高延性極細鋼線を製造することを特徴と
する高強度高延性極細鋼線の製造方法。
加工にアプローチ角が10°を基準にして8°〜12°
の引き抜きダイスを用いることを特徴とする高強度高延
性極細鋼線の製造方法。
る。通常のパテンティング処理においては0.8%近傍
の共析成分においても旧オーステナイト粒界に添って初
析フェライトが析出すること、またこの初析フェライト
が伸線後の延性低下の原因となることを本発明者らは見
いだした。Cは経済的かつ有効な強化元素であるが、こ
の初析セメンタイトの析出量低下にも有効な元素であ
る。従って引張強さ360kgf/mm2 以上の極細線
とし延性を高めるためには、Cの添加量を0.90%以
上とすることが必要であり、高すぎると延性が低下し伸
線性が劣化するのでその上限を1.10%とする。
り、従ってその含有量があまりに少ない時、脱酸効果が
不十分となる。またSiは熱処理後に形成されるパーラ
イト中のフェライト相に固溶しパテンティング後の強度
を上げるが、反面フェライトの延性を低下させ伸線後の
極細線の延性を低下させるため0.4%以下とする。
量のMnを添加することが望ましい。しかし、多量のM
nの添加は偏析を引き起こしパテンティングの際にベイ
ナイト、マルテンサイトという過冷組織が発生しその後
の伸線性を害するため0.5%以下とする。
ング後の組織においてセメンタイトのネットワークが発
生しやすくセメンタイトの厚みのあるものが析出しやす
い。この鋼において高強度高延性を実現するためには、
パーライトを微細にし、かつ先に述べた様なセメンタイ
トネットワークや厚いセメンタイトを無くす必要があ
る。Crはこの様なセメンタイトの異常部の出現を抑制
しさらにパーライトを微細にする効果を持っている。し
かし、多量の添加は熱処理後のフェライト中の転位密度
を上昇させるため引き抜き加工後の極細線の延性を著し
く害することになる。従ってCr添加量はその効果が期
待できる0.10%以上としフェライト中の転位密度を
増加させ延性を害することの無い0.40%以下とす
る。
り、伸線後のワイヤの腐食疲労特性を向上させるために
添加する。Cuの効果のある0.2%以上添加し、上限
を鋼の熱処理特性を低下させることのない0.8%以下
とする。
めのSの含有量を0.020%以下とし、PもSと同様
に線材の延性を害するのでその含有量を0.020%以
下とするのが望ましい。
2 O3、MgO−Al2 O3 等のAl2 O3を主成分とす
る非延性介在物の存在がある。従って、本発明において
は非延性介在物による延性低下を避けるために、Al含
有量を0.003%以下とする。本発明の製造方法の限
定理由は以下の述べるとおりである。
パテンティング処理後の強度増加のためC量を増加し、
これによる初析セメンタイトの出現とパーライトラメラ
ーの形状悪化をCrを添加することで抑制し、パーライ
トの微細化による強度増加を実現した。また、パーライ
トが微細化されることによりセメンタイト層の延性が従
来鋼並となった。さらにCr、Si、Mnの添加量を低
く抑えることでフェライト相の延性を従来鋼と同程度に
保ち、材料の延性増加を実現した。このような組織微細
化のみによるパテンティング処理後の強度増加を実現す
る成分設計により、パテンティング後の強度と延性を従
来鋼以上に高めることに成功した。従って、パテンティ
ング後の強度を高めているにもかかわらず、引き抜き加
工率を上げて製造した極細線の延性劣化が従来鋼並にと
どまり、高強度と高延性が可能となった。これらの成分
設計に加えてCuを添加する事で、Cuの耐食作用によ
り腐食疲労特性を向上することが出来た。
後の線径で得られる組織に不良部分が発生しやすい。こ
の不良部分は、一次伸線過程における微小クラックの発
生源となる。しかし微小クラックの発生を組織の改善に
より低減することは本発明鋼が過共析鋼であるため難し
い。本発明者らは、引き抜き加工に10°を基準にして
8°〜12°の引き抜きダイスを用いることで容易にこ
の問題が解決できることを見いだした。一般的に、高炭
素鋼線の伸線は、引き抜き力が最も低下するアプローチ
角が14°を基準にして12°〜16°の引き抜きダイ
スが使用されている。しかし、この場合、中心部には引
張応力が働くため中心部分に微細クラックの発生しやす
い状態となっている。そこで、より容易に微細クラック
のない一次伸線を行なうには、中心部まで十分な圧縮応
力の働く10°を基準にして8°〜12°の引き抜きダ
イスを用いるのが望ましい。また、引き抜き加工に使用
するダイスのアプローチ角を低下することで、一次伸線
における内部欠陥の発生を低下し、さらに、最終湿式伸
線にも低角度のアプローチ角を持つダイスを用いること
でより高強度高延性を実現することが可能となった。
0kgf/mm2 以上(360〜430kgf/mm
2 )の強度を得るためには、最終パテンティング強度を
少なくとも138kgf/mm2 以上にする必要があ
り、最も強度の出やすい場合でも160kgf/mm2
以下にしなければ、ベイナイト等の異常部が出現し延性
が低下する。また、最終湿式伸線における引き抜き加工
量を3.4以上(好ましくは4.0以下)にしなければ
引張強さを360kgf/mm2 以上にすることができ
ない。また、本発明における最終湿式伸線加工には、よ
り良い延性を得るためにアプローチ角が10°を基準に
して8°〜12°の引き抜きダイスを用いるのが望まし
い。これは、低角度のアプローチ角を持つダイスを用い
ると伸線加工中の中心部に働く圧縮応力成分が大きくな
るため、より均一な加工となる。
12と比較のために用意した鋼13〜15を用いてスチ
ールコードを製造した。製造工程は図1に示す通りで、
熱間圧延によって製造された5.5mmφの線材を伸線
加工とLP処理により最終LPを行なう2.5〜1.9
mmφの線径とする。このワイヤに最終LP処理を行な
った後、ブラスメッキを行ない、さらに最終湿式伸線を
行ない最終ワイヤとした。
験、捻回試験、腐食疲労試験を行ないその結果を第1表
に示す。腐食疲労試験は、温度40℃、湿度80%で行
ない、大気中(温度20℃、湿度25%)での疲労寿命
に対しての疲労寿命の低下率が30%以上のときを不良
と判断した。
に従って製造されており、伸線加工においては、ダイス
のアプローチ角が10°のものを使用した。これらの本
発明鋼は、引張強さ、捻回特性、腐食疲労特性のいずれ
も優れた特性を示す。
添加量が異なり、それ以外の製造方法は本発明鋼と同じ
水準である。本発明鋼と比較して腐食疲労特性が不良と
なっていることが判る。
の引張強さが異なる。このため引張強さが360kgf
/mm2 以上でていない。
造方法において、伸線に用いたダイスのアプローチ角を
14°にしたものである。このため、捻回特性が低下し
ている。
の鋼線を製造した場合、360kgf/mm2 以上の強
度を有しかつ腐食疲労特性の優れた高強度高延性極細鋼
線を得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で C 0.90以上1.10%以下 Si 0.4%以下 Mn 0.5%以下 Cr 0.10以上0.30%以下 Cu 0.2%以上0.8%以下 Al 0.003%以下 残部鉄及び不可避的不純物よりなる高炭素鋼線を用い、
最終パテンティング後の強度を138〜160kgf/
mm2 かつ初析フェライトおよび初析セメンタイトの存
在を面積率で0.02%以下の組織とし、その後、引き
抜き加工により真ひずみで3.4以上の加工を行ない直
径0.4mm以下であって引張強さ360kgf/mm
2 以上の高強度高延性極細鋼線を製造することを特徴と
する高強度高延性極細鋼線の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、引き抜き加工にアプ
ローチ角が10°を基準にして8°〜12°の引き抜き
ダイスを用いることを特徴とする高強度高延性極細鋼線
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3044658A JP2993748B2 (ja) | 1991-03-11 | 1991-03-11 | 高強度高延性極細鋼線およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3044658A JP2993748B2 (ja) | 1991-03-11 | 1991-03-11 | 高強度高延性極細鋼線およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04280944A JPH04280944A (ja) | 1992-10-06 |
JP2993748B2 true JP2993748B2 (ja) | 1999-12-27 |
Family
ID=12697546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3044658A Expired - Lifetime JP2993748B2 (ja) | 1991-03-11 | 1991-03-11 | 高強度高延性極細鋼線およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2993748B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2500786B2 (ja) * | 1992-11-16 | 1996-05-29 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱間圧延鋼線材、極細鋼線および撚鋼線、並びに極細鋼線の製造法 |
-
1991
- 1991-03-11 JP JP3044658A patent/JP2993748B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04280944A (ja) | 1992-10-06 |
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